(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190067
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】仮想現実、拡張現実、および複合現実システムのための接眼レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20221215BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20221215BHJP
G02B 26/10 20060101ALN20221215BHJP
G02C 11/00 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
G02B26/10 109Z
G02C11/00
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176188
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2022021156の分割
【原出願日】2018-01-22
(31)【優先権主張番号】62/449,524
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エリック ブロウィ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アンソニー クルグ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート デール テコルスト
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ハドソン ウェルチ
(72)【発明者】
【氏名】ビクター カイ リウ
(72)【発明者】
【氏名】サマース バーガバ
(57)【要約】
【課題】好適な仮想現実、拡張現実、および複合現実システムのための接眼レンズを提供すること。
【解決手段】拡張現実のための接眼レンズ導波管。接眼レンズ導波管は、入力結合器領域、第1、第2の直交瞳エクスパンダ(OPE)領域、射出瞳エクスパンダ(EPE)領域を伴う透明基板を含み得る。入力結合器領域は、第1のOPE領域と第2のOPE領域の間に位置付けられ得、入力結合器領域上に外部から入射する入力光ビームを基板の内側で伝搬する第1、第2の誘導光ビームに分割し、向け直すことができ、第1の誘導ビームは、第1のOPE領域のほうへ導かれ、第2の誘導ビームは、第2のOPE領域のほうへ導かれる。第1、第2のOPE領域の各々は、第1、第2の誘導ビームを複数の複製された間隔を置かれたビームに分割し得る。EPE領域は、第1、第2のOPE領域の両方から複製されたビームが基板から出射するように、それらを向け直し得る。
【選択図】
図13A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(任意の優先権出願の参照による組み込み)
本願と共に提出された出願データシートにおいて外国および国内優先権クレームが識別されるあらゆる出願は、37 CFR 1.57下、参照により本明細書に組み込まれる。本願は、米国特許出願第62/449,524号(2017年1月23日出願、名称「EYEPIECE FOR VIRTUAL,AUGMENTED,OR MIXED REALITY SYSTEMS」)に対する優先権を主張する。
【0002】
(分野)
本開示は、仮想現実、拡張現実、および複合現実システムのための接眼レンズに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
現代のコンピューティングおよび表示技術は、仮想現実、拡張現実、および複合現実システムの開発を促進している。仮想現実または「VR」システムは、ユーザが体験するためのシミュレートされた環境を作成する。これは、頭部搭載型ディスプレイを通して、コンピュータ生成画像データをユーザに提示することによって行われることができる。この画像データは、感覚体験を作成し、それは、ユーザをシミュレートされた環境内に没入させる。仮想現実シナリオは、典型的には、実際の実世界画像データもまた含むのではなく、コンピュータ生成画像データのみの提示を伴う。
【0004】
拡張現実システムは、概して、実世界環境をシミュレートされた要素で補完する。例えば、拡張現実または「AR」システムは、頭部搭載型ディスプレイを介して、ユーザに、周囲実世界環境のビューを提供し得る。しかしながら、コンピュータ生成画像データも、ディスプレイ上に提示され、実世界環境を向上させることができる。このコンピュータ生成画像データは、実世界環境に文脈上関連する要素を含むことができる。そのような要素は、シミュレートされたテキスト、画像、オブジェクト等を含むことができる。複合現実または「MR」システムは、あるタイプのARシステムであり、それもシミュレートされたオブジェクトを実世界環境の中に導入するが、これらのオブジェクトは、典型的には、さらなる相互作用の程度を特徴とする。シミュレートされた要素は、多くの場合、リアルタイムで双方向性であることができる。
【0005】
図1は、例示的AR/MR場面1を描写し、ユーザは、人々、木々、背景における建物、およびコンクリートプラットフォーム20を特徴とする実世界公園設定6を見る。これらのアイテムに加え、コンピュータ生成画像データも、ユーザに提示される。コンピュータ生成画像データは、例えば、実世界プラットフォーム20上に立っているロボット像10と、マルハナバチの擬人化のように見える、飛んでいる漫画状アバタキャラクタ2とを含むことができるが、これらの要素2、10は、実際には、実世界環境内に存在しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
いくつかの実施形態では、仮想現実、拡張現実、または複合現実システムのための接眼レンズ導波管は、少なくとも部分的に透明である基板と、基板上またはその中に形成され、入力結合器領域上に外部から入射する少なくとも1つの入力光ビームを基板の内側で伝搬する第1および第2の誘導光ビームに分割し、向け直すように構成される入力結合器領域と、基板上またはその中に形成され、入力結合器領域からの第1の誘導光ビームを複数の平行な間隔を置かれた光ビームに分割するように構成される第1の直交瞳エクスパンダ(OPE)領域と、基板上またはその中に形成され、入力結合器領域からの第2の誘導光ビームを複数の平行な間隔を置かれた光ビームに分割するように構成される第2のOPE領域と、基板上またはその中に形成され、基板から出射するように、第1および第2のOPE領域の両方からの光ビームを向け直すように構成される共通射出瞳エクスパンダ(EPE)領域とを備え、入力結合器領域は、第1のOPE領域と第2のOPE領域との間に位置付けられ、第1の誘導光ビームを第1のOPE領域のほうへ導き、第2の誘導光ビームを第2のOPE領域のほうへ導くように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、接眼レンズ導波管は、光ビームを第1のOPE領域から受け取り、EPE領域のより大きい部分に到達するようにその分布を広げる第1のスプレッダー領域と、光ビームを第2のOPE領域から受け取り、EPE領域のより大きい部分に到達するようにその分布を広げる第2のスプレッダー領域とをさらに備えている。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1のスプレッダー領域および第2のスプレッダー領域の両方は、光ビームの分布をEPE領域の中心に向かって広げるように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、入力結合器領域は、入力光ビームを分割し、第1および第2のOPE領域のほうへ向け直すための回折光学特徴を備えている。入力結合器領域の回折光学特徴は、少なくとも1つの回折格子を形成する複数のラインを備え得る。入力結合器領域の回折光学特徴は、格子模様パターンにおいてレイアウトされた複数の特徴も備え得る。入力結合器領域の回折光学特徴は、交差格子も備え得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、入力結合器領域の回折光学特徴は、光を第1および第2のOPE領域のほうへ導くことと、OPE領域のいずれも最初に通過せずにEPE領域のほうへ導くこととを行うように構成される。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
仮想現実、拡張現実、または複合現実システムのための接眼レンズ導波管であって、前記接眼レンズ導波管は、
少なくとも部分的に透明である基板と、
前記基板上またはその中に形成された入力結合器領域であって、前記入力結合器領域は、前記入力結合器領域上に外部から入射する少なくとも1つの入力光ビームを前記基板の内側で伝搬する第1および第2の誘導光ビームに分割し、向け直すように構成されている、入力結合器領域と、
前記基板上またはその中に形成された第1の直交瞳エクスパンダ(OPE)領域であって、前記第1のOPE領域は、前記入力結合器領域からの前記第1の誘導光ビームを複数の平行な間隔を置かれた光ビームに分割するように構成されている、第1のOPE領域と、
前記基板上またはその中に形成された第2のOPE領域であって、前記第2のOPE領域は、前記入力結合器領域からの前記第2の誘導光ビームを複数の平行な間隔を置かれた光ビームに分割するように構成されている、第2のOPE領域と、
前記基板上またはその中に形成された共通射出瞳エクスパンダ(EPE)領域と
を備え、
前記共通EPE領域は、前記第1および第2のOPE領域の両方からの前記光ビームが前記基板から出射するように、それらを向け直すように構成され、
前記入力結合器領域は、前記第1のOPE領域と前記第2のOPE領域との間に位置付けられ、前記入力結合器領域は、前記第1の誘導光ビームを前記第1のOPE領域のほうへ導き、前記第2の誘導光ビームを前記第2のOPE領域のほうへ導くように構成されている、接眼レンズ導波管。
(項目2)
前記基板は、325ミクロン厚未満である、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目3)
前記基板は、ガラス、プラスチック、またはポリカーボネートを備えている、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目4)
前記接眼レンズ導波管は、画像データの色成分を投影するように構成されている、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目5)
光を前記入力結合器領域のほうへ導くためのプロジェクタをさらに備えている、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目6)
前記入力結合器領域は、前記入力光ビームを前記第1のOPE領域のほうへ導かれる+1次回折光と、前記第2のOPE領域のほうへ導かれる-1次回折光とに分離するように構成されている、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目7)
前記第1および第2のOPE領域は、約180°分離されており、前記EPE領域は、OPE領域の両方に対して約90°に位置している、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目8)
前記第1および第2のOPE領域は、前記EPE領域に向かって傾けられている、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目9)
前記第1および第2のOPE領域は、約120°分離されており、前記EPE領域は、OPE領域の両方に対して約60°に位置している、項目8に記載の接眼レンズ導波管。
(項目10)
前記入力結合器領域は、前記入力光ビームを分割し、前記第1および第2のOPE領域のほうへ向け直すための回折光学特徴を備えている、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目11)
前記入力結合器領域の前記回折光学特徴は、少なくとも1つの回折格子を形成する複数のラインを備えている、項目10に記載の接眼レンズ導波管。
(項目12)
前記入力結合器領域の前記回折光学特徴は、格子模様パターンにおいてレイアウトされた複数の特徴を備えている、項目10に記載の接眼レンズ導波管。
(項目13)
前記格子模様パターンは、六角形格子模様を備えている、項目12に記載の接眼レンズ導波管。
(項目14)
前記入力結合器領域の前記回折光学特徴は、交差格子を備えている、項目10に記載の接眼レンズ導波管。
(項目15)
前記入力結合器領域の前記回折光学特徴は、光を前記第1および第2のOPE領域のほうへ導くことと、前記OPE領域のいずれも最初に通過せずに前記EPE領域のほうへ導くこととを行うように構成されている、項目10に記載の接眼レンズ導波管。
(項目16)
前記第1および第2のOPE領域は、前記第1および第2の誘導光ビームの各々を前記複数の平行な間隔を置かれた光ビームに分割するための回折光学特徴を備えている、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目17)
前記第1および第2のOPE領域の前記回折光学特徴は、回折格子を形成する複数のラインを備えている、項目16に記載の接眼レンズ導波管。
(項目18)
前記第1および第2のOPE領域の前記回折格子は、前記複数の間隔を置かれた光ビームを前記EPE領域のほうへ導くように角度付けられている、項目17に記載の接眼レンズ導波管。
(項目19)
前記光ビームを前記第1のOPE領域から受け取り、前記EPE領域のより大きい部分に到達するようにその分布を広げる第1のスプレッダー領域と、
前記光ビームを前記第2のOPE領域から受け取り、前記EPE領域のより大きい部分に到達するようにその分布を広げる第2のスプレッダー領域と
をさらに備えている、項目1に記載の接眼レンズ導波管。
(項目20)
前記第1のスプレッダー領域および前記第2のスプレッダー領域の両方は、前記光ビームの前記分布を前記EPE領域の中心に向かって広げるように構成されている、項目19に記載の接眼レンズ導波管。
(項目21)
前記第1および第2のスプレッダー領域は、回折光学特徴を備えている、項目19に記載の接眼レンズ導波管。
(項目22)
前記第1および第2のスプレッダー領域の各々の回折光学特徴は、回折格子を形成する複数のラインを備えている、項目21に記載の接眼レンズ導波管。
(項目23)
前記第1のスプレッダー領域の前記回折格子は、前記第1のOPE領域の回折格子に対して約90°に向けられ、前記第2のスプレッダー領域の前記回折格子は、前記第2のOPE領域の回折格子に対して約90°に向けられている、項目22に記載の接眼レンズ導波管。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、ARシステムを通した拡張現実(AR)場面のユーザのビューを図示する。
【
図2】
図2は、ウェアラブルディスプレイシステムの例を図示する。
【
図3】
図3は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。
【
図4】
図4は、複数の深度平面を使用して3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
【
図5】
図5A-5Cは、曲率半径と焦点半径との間の関係を図示する。
【
図6】
図6は、AR接眼レンズ内で画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの例を図示する。
【
図7】
図7A-7Bは、導波管によって出力された出射ビームの例を図示する。
【
図8】
図8は、スタックされた導波管アセンブリの例を図示し、各深度平面は、複数の異なる成分色を使用して形成される画像を含む。
【
図9A】
図9Aは、各々が内部結合光学要素を含むスタックされた導波管の組の例の断面側面図を図示する。
【
図9C】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の例の見下げ平面図を図示する。
【
図10】
図10は、例示的AR接眼レンズ導波管スタックの斜視図である。
【
図11】
図11は、接眼レンズ導波管をスタックされた構成に支持するための縁シール構造を伴う、例示的接眼レンズ導波管スタックの一部の断面図である。
【
図12A】
図12Aおよび12Bは、画像をユーザの眼に向かって投影するときの動作時の接眼レンズ導波管の上面図を図示する。
【
図12B】
図12Aおよび12Bは、画像をユーザの眼に向かって投影するときの動作時の接眼レンズ導波管の上面図を図示する。
【
図13A】
図13Aは、VR/AR/MRシステムのための例示的接眼レンズの半分の正面図を図示する(装着されたままの位置における)。
【
図13B】
図13Bは、入力結合器領域において接眼レンズの中に投影された画像データが接眼レンズを通して伝搬し、ユーザの眼に向かって射出瞳エクスパンダ(EPE)領域から投影されるようにする接眼レンズの回折光学特徴のうちのいくつかを図示する。
【
図14A】
図14Aは、交差回折格子を有する入力結合器領域を含む接眼レンズの実施形態を図示する。
【
図15A】
図15Aは、上側および下側OPE領域を伴う接眼レンズの実施形態を図示し、上側および下側OPE領域は、EPE領域に向かって角度付けられ、よりコンパクトな形状因子を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
(例示的HMDデバイス)
本明細書に開示される仮想および拡張現実システムは、ディスプレイを含むことができ、それは、コンピュータ生成画像データをユーザに提示する。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、装着可能であり、それは、有利には、より没入型のVRまたはAR体験を提供し得る。
図2は、ウェアラブルディスプレイシステム60の例を図示する。ディスプレイシステム60は、ディスプレイまたは接眼レンズ70と、そのディスプレイ70の機能をサポートするための種々の機械的および電子モジュールならびにシステムとを含む。ディスプレイ70は、フレーム80に結合され得、それは、ディスプレイシステムユーザ90によって装着可能であり、ディスプレイ70をユーザ90の眼の正面に位置付けるように構成される。ディスプレイ70は、いくつかの実施形態では、アイウェアと見なされ得る。いくつかの実施形態では、スピーカ100が、フレーム80に結合され、ユーザ90の外耳道に隣接して位置付けられる。ディスプレイシステムは、1つ以上のマイクロホン110も含み、音を検出し得る。マイクロホン110は、ユーザが、入力またはコマンドをシステム60に提供することを可能にすることができ(例えば、音声メニューコマンドの選択、自然言語質問等)、および/または他の人物(例えば、類似ディスプレイシステムの他のユーザ)とのオーディオ通信を可能にすることができる。マイクロホン110は、オーディオデータ(例えば、ユーザおよび/または環境からの音)をユーザの周囲から収集することもできる。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、周辺センサ120aも含み得、それは、フレーム80と別個であり、ユーザ90の身体(例えば、頭部、胴体、四肢等上)に取り付けられ得る。周辺センサ120aは、いくつかの実施形態では、ユーザ90の生理学的状態を特徴付けるデータを取得し得る。
【0013】
ディスプレイ70は、有線導線または無線接続性等の通信リンク130によって、ローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合され、それは、フレーム80に固定して取り付けられる構成、ユーザによって装着されるヘルメットもしくは帽子に固定して取り付けられる構成、ヘッドホンに内蔵される構成、または別様にユーザ90に除去可能に取り付けられる構成(例えば、リュック式構成において、またはベルト結合式構成において)等、種々の構成で搭載され得る。同様に、センサ120aは、通信リンク120b(例えば、有線導線または無線接続性)によって、ローカルプロセッサおよびデータモジュール140に動作可能に結合され得る。ローカル処理およびデータモジュール140は、ハードウェアプロセッサおよび不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ)等のデジタルメモリを含み得、それらの両方は、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用され得る。データは、1)画像捕捉デバイス(例えば、カメラ)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロスコープ、および/または本明細書に開示される他のセンサ等の(例えば、フレーム80に動作可能に結合される、または別様にユーザ90に取り付けられ得る)センサから捕捉されるデータ、および/または、2)場合によっては処理もしくは読み出し後にディスプレイ70に渡すために、遠隔処理モジュール150および/または遠隔データリポジトリ160(仮想コンテンツに関連するデータを含む)を使用して取得および/または処理されたデータを含み得る。ローカル処理およびデータモジュール140は、有線または無線通信リンク等を介して、通信リンク170、180によって、遠隔処理モジュール150および遠隔データリポジトリ160に動作可能に結合され得、それによって、これらの遠隔モジュール150、160は、互いに動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール140に対するリソースとして利用可能である。いくつかの実施形態では、ローカル処理およびデータモジュール140は、画像捕捉デバイス、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープのうちの1つ以上のものを含み得る。いくつかの他の実施形態では、これらのセンサのうちの1つ以上のものは、フレーム80に取り付けられ得るか、または有線もしくは無線通信経路によってローカル処理およびデータモジュール140と通信する独立デバイスであり得る。
【0014】
遠隔処理モジュール150は、画像およびオーディオ情報等のデータを分析ならびに処理するための1つ以上のプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、デジタルデータ記憶設備であり得、それは、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であり得る。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、情報(例えば、拡張現実コンテンツを生成するための情報)をローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔処理モジュール150に提供する1つ以上の遠隔サーバを含み得る。他の実施形態では、ローカル処理およびデータモジュールにおいて、全てのデータが記憶され、全ての算出が実施され、遠隔モジュールからの完全に自律的な使用を可能にする。
【0015】
「3次元」または「3-D」としての画像の知覚は、ユーザの各眼への画像の若干異なる表現を提供することによって達成され得る。
図3は、ユーザのために3次元画像データをシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。各眼210、220のために1つの2つの異なる画像190、200が、ユーザに出力される。画像190、200は、ユーザの視線と平行な光学軸またはz-軸に沿って距離230だけ眼210、220から間隔を置かれている。画像190、200は、平坦であり、眼210、220は、単一の遠近調節された状態をとることによって、画像上に焦点を合わせ得る。そのような3-Dディスプレイシステムは、ヒト視覚系に依拠し、画像190、200を組み合わせ、組み合わせられた画像の深度および/またはスケールの知覚を提供する。
【0016】
しかしながら、ヒト視覚系は、複雑であり、深度の現実的知覚を提供することは、困難である。例えば、従来の「3-D」ディスプレイシステムの多くのユーザは、そのようなシステムが不快であることを見出すか、または、深度の感覚を全く知覚しないこともある。オブジェクトは、両眼離反運動と遠近調節の組み合わせにより、「3次元」として知覚され得る。互いに対する2つの眼の両眼離反運動の移動(例えば、瞳孔が、互いに向かって、またはそこから離れるように移動し、眼のそれぞれの視線を収束させ、オブジェクトを固視するような瞳孔の回転)は、眼の水晶体の焦点合わせ(または「遠近調節」)と緊密に関連付けられる。通常条件下、焦点を1つのオブジェクトから異なる距離における別のオブジェクトに変化させるための眼のレンズの焦点の変化または眼の遠近調節は、「遠近調節-両眼離反運動反射」ならびに散瞳または縮瞳として知られる関係下、両眼離反運動における整合した変化を自動的に同一距離に生じさせるであろう。同様に、通常条件下、両眼離反運動の変化は、水晶体形状および瞳孔サイズの遠近調節の整合した変化を誘起するであろう。本明細書に記載されるように、多くの立体視または「3-D」ディスプレイシステムは、3次元的な眺めがヒト視覚系によって知覚されるように、各眼への若干異なる表現(したがって、若干異なる画像)を使用して、場面を表示する。しかしながら、そのようなシステムは、単に、画像情報を単一の遠近調節された状態において提供し、「遠近調節-両眼離反運動反射」に対抗して機能するので、多くのユーザに対して不快であり得る。遠近調節と両眼離反運動との間のより良好な整合を提供するディスプレイシステムは、3次元画像データのより現実的かつ快適なシミュレーションを形成し得る。
【0017】
図4は、複数の深度平面を使用して3次元画像データをシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
図4を参照すると、眼210、220は、異なる遠近調節された状態をとり、z-軸に沿って種々の距離におけるオブジェクトに焦点を合わせる。その結果、特定の遠近調節された状態は、図示される深度平面240のうちの特定の1つに関連付けられると言え、関連付けられた焦点距離を有し、それによって、特定の深度平面におけるオブジェクトまたはオブジェクトの一部は、眼がその深度平面に対して遠近調節された状態にあるとき、焦点が合う。いくつかの実施形態では、3次元画像データは、眼210、220の各々のために画像の異なる表現を提供することによってシミュレートされ得、異なる深度平面に対応する画像の異なる表現を提供することによってもシミュレートされ得る。眼210、220のそれぞれの視野は、例証を明確にするために、別個であるように示されるが、それらは、例えば、z-軸に沿った距離が増加するにつれて、重複し得ることを理解されたい。加えて、例証を容易にするために、深度平面は、平坦であるように示されるが、深度平面の輪郭は、深度平面内の全ての特徴が特定の遠近調節された状態における眼と焦点が合うように、物理的空間内で湾曲させられ得ることを理解されたい。
【0018】
オブジェクトと眼210または220との間の距離は、その眼によって視認されるようなそのオブジェクトからの光の発散の量も変化させ得る。
図5A-5Cは、距離と光線の発散との間の関係を図示する。オブジェクトと眼210との間の距離は、減少する距離R1、R2、およびR3の順序で表される。
図5A-5Cに示されるように、光線は、オブジェクトまでの距離が減少するにつれてより発散する。距離が増加するにつれて、光線は、よりコリメートされる。換言すると、点(オブジェクトまたはオブジェクトの一部)によって生成される光場は、点がユーザの眼から離れている距離の関数である球状波面曲率を有すると言え得る。曲率は、オブジェクトと眼210との間の距離の減少に伴って増加する。その結果、異なる深度平面では、光線の発散度も、異なり、発散度は、深度平面とユーザの眼210との間の距離の減少に伴って増加する。単眼210のみが、例証を明確にするために、
図5A-5Cおよび本明細書の他の図に図示されるが、眼210に関する議論は、ユーザの両眼210および220に適用され得ることを理解されたい。
【0019】
知覚された深度の高度に真実味のあるシミュレーションは、眼に限られた数の深度平面の各々に対応する画像の異なる表現を提供することによって達成され得る。異なる表現は、ユーザの眼によって別個に焦点を合わせられ、それによって、異なる深度平面上に位置する場面のための異なる画像特徴を焦点が合うようにするために要求される眼の遠近調節の量に基づいて、および/または焦点がずれている異なる深度平面上の異なる画像特徴の観察に基づいて、ユーザに深度合図を提供することに役立ち得る。
【0020】
(ARまたはMR接眼レンズのための導波管スタックアセンブリの例)
図6は、AR接眼レンズ内で画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの例を図示する。ディスプレイシステム250は、複数の導波管270、280、290、300、310を使用して、3次元知覚を眼/脳に提供するために利用され得る導波管のスタックまたはスタックされた導波管アセンブリ260を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、
図2のシステム60であり、
図6は、そのシステム60のいくつかの部分をより詳細に図式的に示す。例えば、導波管アセンブリ260は、
図2のディスプレイ70の一部であり得る。ディスプレイシステム250は、いくつかの実施形態では、明視野ディスプレイと見なされ得ることを理解されたい。
【0021】
導波管アセンブリ260は、複数の特徴320、330、340、350を導波管の間に含み得る。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、1つ以上のレンズであり得る。導波管270、280、290、300、310および/または複数のレンズ320、330、340、350は、種々のレベルの波面曲率または光線発散を用いて画像情報を眼に送信するように構成され得る。各導波管レベルは、特定の深度平面に関連付けられ得、その深度平面に対応する画像情報を出力するように構成され得る。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、導波管のための光源として機能し得、画像情報を導波管270、280、290、300、310の中に投入するために利用され得、それらの各々は、本明細書に説明されるように、眼210に向かって出力のために各それぞれの導波管にわたって入射光を分配するように構成され得る。光は、画像投入デバイス360、370、380、390、400の各それぞれの出力表面410、420、430、440、450から出射し、それぞれの導波管270、280、290、300、310の対応する入力表面460、470、480、490、500の中に投入される。いくつかの実施形態では、入力表面460、470、480、490、500の各々は、対応する導波管の縁であり得るか、または対応する導波管の主要表面の一部(すなわち、世界510またはユーザの眼210に直接面する導波管表面のうちの1つ)であり得る。いくつかの実施形態では、光のビーム(例えば、コリメートされたビーム)が、各導波管の中に投入され得、導波管内の屈折によって、ビームレットにサンプリングすること等によって複製され、次いで、その特定の導波管に関連付けられた深度平面に対応する屈折力の量を伴って、眼210のほうへ導かれ得る。いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの単一の1つが、複数(例えば、3つ)の導波管270、280、290、300、310に関連付けられ、その中に光を投入し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400の各々は、各々が対応する導波管270、280、290、300、310の中への投入のための画像情報を生成する個別的なディスプレイである。いくつかの他の実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400は、画像情報を1つ以上の光学導管(光ファイバケーブル等)を介して画像投入デバイス360、370、380、390、400の各々に伝送し得る単一の多重化されたディスプレイの出力端である。画像投入デバイス360、370、380、390、400によって提供される画像情報は、異なる波長または色の光を含み得ることを理解されたい。
【0023】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光は、光プロジェクタシステム520によって提供され、それは、光モジュール530を含み、それは、発光ダイオード(LED)等の光源または光エミッタを含み得る。光モジュール530からの光は、ビームスプリッタ(BS)550を介して、光変調器540(例えば、空間光変調器)に導かれ、それによって変調され得る。光変調器540は、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光の知覚される強度を空間的および/または時間的に変化させ得る。空間光変調器の例は、シリコン上液晶(LCOS)ディスプレイを含む、液晶ディスプレイ(LCD)およびデジタル光処理(DLP)ディスプレイを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、光プロジェクタシステム520もしくはそれの1つ以上のコンポーネントは、フレーム80(
図2)に取り付けられ得る。例えば、光プロジェクタシステム520は、フレーム80のつる部分(例えば、耳掛け部82)の一部であるか、または、ディスプレイ70の縁に配置され得る。いくつかの実施形態では、光モジュール530は、BS550および/または光変調器540と別個であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、光を種々のパターン(例えば、ラスタ走査、螺旋走査、リサジューパターン等)で1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に、最終的に、ユーザの眼210の中に投影するための1つ以上の走査ファイバを備えている走査ファイバディスプレイであり得る。いくつかの実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、光を1つまたは複数の導波管270、280、290、300、310の中に投入するように構成される単一走査ファイバまたは走査ファイバの束を図式的に表し得る。いくつかの他の実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、複数の走査ファイバまたは走査ファイバの複数の束を図式的に表し得、それらの各々は、光を導波管270、280、290、300、310のうちの関連付けられた1つの中に投入するように構成される。1つ以上の光ファイバは、光を光モジュール530から1つ以上の導波管270、280、290、300、および310に伝送する。加えて、1つ以上の介在光学構造が、走査ファイバまたは複数のファイバと、1つ以上の導波管270、280、290、300、310との間に提供され、例えば、走査ファイバから出射する光を1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に向け直し得る。
【0026】
コントローラ560は、画像投入デバイス360、370、380、390、400、光源530、および光モジュール540の動作を含むスタックされた導波管アセンブリ260の動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ560は、ローカルデータ処理モジュール140の一部である。コントローラ560は、導波管270、280、290、300、310への画像情報のタイミングおよび提供を調整する、プログラミング(例えば、非一過性媒体内の命令)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、単一一体型デバイス、または、有線もしくは無線通信チャネルによって接続される分散型システムであり得る。コントローラ564は、いくつかの実施形態では、処理モジュール140または150(
図2)の一部であり得る。
【0027】
導波管270、280、290、300、310は、全内部反射(TIR)によって、各それぞれの導波管内で光を伝搬するように構成され得る。導波管270、280、290、300、310の各々は、主要上部および底部表面ならびにそれらの主要上部表面と底部表面との間に延びている縁を伴う、平面である、または別の形状(例えば、湾曲)を有し得る。図示される構成では、導波管270、280、290、300、310の各々は、外部結合光学要素570、580、590、600、610を含み得、外部結合光学要素は、各それぞれの導波管内で伝搬する光を向け直すことによって光を導波管から外に抽出し、導波管から外に画像情報を眼210に出力するように構成される。抽出された光は、外部結合光とも称され得、光を外部結合する光学要素は、光抽出光学要素とも称され得る。抽出される光のビームは、導波管によって、導波管内で伝搬する光が光抽出光学要素に衝打する場所において出力され得る。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、例えば、本明細書にさらに議論されるような回折格子を含む回折光学特徴であり得る。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管270、280、290、300、310の底部主要表面に配置されて図示されるが、いくつかの実施形態では、それらは、本明細書にさらに議論されるように、上部および/または底部主要表面に配置され得、および/または、導波管270、280、290、300、310の体積内に直接配置され得る。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管270、280、290、300、310を形成するための透明基板に取り付けられる材料の層内に形成され得る。いくつかの他の実施形態では、導波管270、280、290、300、310は、モノリシック材料部品であり得、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、その材料部品の表面上および/または内部に形成され得る。
【0028】
各導波管270、280、290、300、310は、光を出力し、特定の深度平面に対応する画像を形成し得る。例えば、眼の最近傍の導波管270は、眼210にコリメートされた光のビームを送達し得る。コリメートされた光のビームは、光学無限遠焦点面を表し得る。次の上方の導波管280は、眼210に到達する前、第1のレンズ350(例えば、負のレンズ)を通過するコリメートされた光のビームを出力し得る。第1のレンズ350は、眼/脳が、その導波管280から生じる光を光学無限遠から眼210に向かって内向きにより近い第1の焦点面から生じるように解釈するように、若干の凸面波面曲率をコリメートされたビームに追加し得る。同様に、第3の上方の導波管290は、眼210に到達する前、その出力光を第1のレンズ350および第2の340レンズの両方を通過させる。第1のレンズ350および第2の340レンズの組み合わせられた屈折力は、眼/脳が、第3の導波管290から生じる光が第2の導波管280からの光であった光学無限遠から内向きにさらに近い第2の焦点面から生じるように解釈するように、別の漸増量の波面曲率を追加し得る。
【0029】
他の導波管層300、310およびレンズ330、320も同様に構成され、スタック内の最も高い導波管310は、人物に最も近い焦点面を表す集約焦点力のために、その出力をそれと眼との間のレンズの全てを通して送出する。スタックされた導波管アセンブリ260の他の側の世界510から生じる光を視認/解釈するとき、レンズ320、330、340、350のスタックを補償するために、補償レンズ層620が、スタックの上部に配置され、下方のレンズスタック320、330、340、350の集約屈折力を補償し得る。そのような構成は、利用可能な導波管/レンズ対と同じ数の知覚される焦点面を提供する。導波管の外部結合光学要素およびレンズの集束側面の両方は、静的であり得る(すなわち、動的または電気活性ではない)。いくつかの代替実施形態では、一方または両方は、電気活性特徴を使用して動的であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310のうちの2つ以上のものは、同一の関連付けられた深度平面を有し得る。例えば、複数の導波管270、280、290、300、310が、同一深度平面に設定される画像を出力し得、または、導波管270、280、290、300、310の複数のサブセットが、各深度平面のために1つの組で、同一の複数の深度平面に設定される画像を出力し得る。これは、タイル化された画像を形成し、それらの深度平面において拡張された視野を提供する利点を提供し得る。
【0031】
外部結合光学要素570、580、590、600、610は、光をそれらのそれぞれの導波管から向け直すことと、導波管に関連付けられた特定の深度平面のために、この光を適切な量の発散またはコリメーションを伴って出力することとの両方を行うように構成され得る。その結果、異なる関連付けられた深度平面を有する導波管は、外部結合光学要素570、580、590、600、610の異なる構成を有し得、それらは、関連付けられた深度平面に応じて、異なる量の発散を伴う光を出力する。いくつかの実施形態では、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、体積または表面特徴であり得、それは、特定の角度において光を出力するように構成され得る。例えば、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、体積ホログラム、表面ホログラム、および/または回折格子であり得る。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、レンズではないこともある。むしろ、それらは、単に、スペーサであり得る(例えば、クラッディング層および/または空隙を形成するための構造)。
【0032】
いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、十分に低い回折効率を伴う回折特徴であり、それによって、ビーム内の光の出力の一部のみが、各相互作用で、眼210のほうへ向け直され、残りは、TIRを介して導波管を通して移動し続ける。故に、光モジュール530の射出瞳は、導波管にわたって複製され、光源530からの画像情報を搬送する複数の出力ビームを作成し、眼210が複製された光源射出瞳を捉え得る場所の数を効果的に拡張させる。これらの回折特徴は、それらの幾何学形状にわたって可変回折効率も有し、導波管によって出力される光の均一性を改良し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、1つ以上の回折特徴は、能動的に回折する「オン」状態と、それほど回折しない「オフ」状態との間で切り替え可能であり得る。例えば、切り替え可能な回折特徴は、ポリマー分散液晶の層を含み得、その中で微小液滴は、ホスト媒体中に回折パターンを形成し、微小液滴の屈折率は、ホスト材料の屈折率に実質的に合致するように切り替えられ得るか(その場合、パターンは、入射光を著しく回折しない)、または微小液滴は、ホスト媒体のものに合致しない屈折率に切り替えられ得る(その場合、パターンは、入射光を能動的に回折しる)。
【0034】
いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630(例えば、可視光およびIR光カメラを含む、デジタルカメラ)が、提供され、眼210、眼210の一部、または眼210を包囲する組織の少なくとも一部の画像を捕捉し、例えば、ユーザ入力を検出し、バイオメトリック情報を眼から抽出し、眼の視線方向を推定および追跡し、ユーザの生理学的状態を監視すること等を行い得る。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、画像捕捉デバイスと、光(例えば、IRまたは近IR光)を眼に投影するための光源とを含み得、光は、次いで、眼によって反射され、画像捕捉デバイスによって検出され得る。いくつかの実施形態では、光源は、IRまたはその近IRを放出する、発光ダイオード(「LED」)を含む。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、フレーム80(
図2)に取り付けられ得、処理モジュール140または150と電気通信し得、それは、カメラアセンブリ630からの画像情報を処理し、例えば、ユーザの生理学的状態、装着者の視線方向、虹彩識別等に関する、種々の決定を行い得る。いくつかの実施形態では、1つのカメラアセンブリ630が、各眼のために利用され、各眼を別個に監視し得る。
【0035】
図7Aは、導波管によって出力される出射ビームの例を図示する。1つの導波管が、図示される(斜視図を用いて)が、導波管アセンブリ260(
図6)内の他の導波管も、同様に機能し得る。光640は、導波管270の入力表面460において導波管270の中に投入され、TIRによって、導波管270内を伝搬する。回折特徴との相互作用を通して、光は、出射ビーム650として、導波管から出射する。出射ビーム650は、画像を導波管の中に投影するプロジェクタデバイスからの射出瞳を複製する。出射ビーム650のうちの任意の1つは、入力光640の総エネルギーのサブ部分を含む。完璧に効率的システムでは、全ての出射ビーム650内のエネルギーの和は、入力光640のエネルギーに等しくなるであろう。出射ビーム650は、
図7Aでは、略平行であるように図示されるが、本明細書に議論されるように、ある屈折力の量が、導波管270に関連付けられた深度平面に応じて、与えられ得る。平行出射ビームは、光を外部結合し、眼210から長距離(例えば、光学無限遠)における深度平面上に設定されているように見える画像を形成する外部結合光学要素を伴う導波管を示し得る。他の導波管または他の外部結合光学要素の組は、
図7Bに示されるように、より発散する出射ビームパターンを出力し得、それは、眼210がより近い距離に遠近調節し、それを網膜上に焦点を合わせることを要求し、それは、光学無限遠より眼210に近い距離からの光として脳によって解釈されるであろう。
【0036】
いくつかの実施形態では、フルカラー画像が、成分色(component color)(例えば、赤色、緑色、および青色等の3つ以上の成分色)の各々における画像をオーバーレイすることによって、各深度平面において形成され得る。
図8は、スタックされた導波管アセンブリの例を図示し、各深度平面は、複数の異なる成分色を使用して形成される画像を含む。図示される実施形態は、深度平面240a-240fを示すが、より多いまたはより少ない深度も、検討される。各深度平面は、第1の色Gの第1の画像、第2の色Rの第2の画像、および第3の色Bの第3の画像を含む、それに関連付けられた3つ以上の成分色画像を有し得る。異なる深度平面は、文字G、R、およびBに続く異なるジオプタ度数によって図に示される。これらの文字の各々に続く数字は、ジオプタ(1/m)、すなわち、ユーザからの深度平面の距離の逆数を示し、図中の各ボックスは、個々の成分色画像を表す。いくつかの実施形態では、異なる波長の光の眼の焦点合わせにおける差異を考慮するために、異なる成分色に関する深度平面の正確な場所は、変動し得る。例えば、所与の深度平面のための異なる成分色画像は、ユーザからの異なる距離に対応する深度平面上に設置され得る。そのような配列は、視力およびユーザ快適性を増加させ得、または色収差を減少させ得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、各成分色の光は、単一の専用導波管によって出力され得、その結果、各深度平面は、それに関連付けられた複数の導波管を有し得る。そのような実施形態では、図中の各ボックスは、個々の導波管を表すものと理解され得、3つの導波管が、深度平面毎に3つの成分色画像を表示するために、深度平面毎に提供され得る。各深度平面に関連付けられた導波管は、この図面では、例証を容易にするために互いに隣接して示されるが、物理的デバイスでは、導波管は全て、レベル毎に1つの導波管を伴うスタックで配列され得ることを理解されたい。いくつかの他の実施形態では、複数の成分色が、同一導波管によって出力され得、それによって、例えば、単一導波管のみが、深度平面毎に提供され得る。
【0038】
図8を継続して参照すると、いくつかの実施形態では、Gは、緑色であり、Rは、赤色であり、Bは、青色である。いくつかの他の実施形態では、黄色、マゼンタ色、およびシアン色を含む光の他の波長に関連付けられた他の色が、加えて使用され得るか、または、赤色、緑色、もしくは青色のうちの1つ以上のものに取って代わり得る。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、および350は、ユーザの眼への周囲環境からの光を遮断または選択的に通すように構成された能動または受動光学フィルタであり得る。
【0039】
本開示全体を通した所与の光の色の言及は、その所与の色としてユーザによって知覚される光の波長の範囲内の1つ以上の波長の光を包含するものと理解されたい。例えば、赤色光は、約620~780nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含み得、緑色光は、約492~577nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含み得、青色光は、約435~493nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、光源530(
図6)は、ユーザの視覚的知覚範囲外の1つ以上の波長、例えば、IRおよび/または紫外線波長の光を放出するように構成され得る。IR光は、700nm~10μmの範囲内の波長を伴う光を含むことができる。いくつかの実施形態では、IR光は、700nm~1.5μmの範囲内の波長を伴う近IR光を含むことができる。加えて、ディスプレイ250の導波管の内部結合、外部結合、および他の光向け直し構造は、例えば、結像および/またはユーザ刺激用途のために、この光をディスプレイからユーザの眼210のほうへ導きおよび放出するように構成され得る。
【0041】
ここで
図9Aを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管に衝突する光は、光を導波管の中に内部結合するように向け直される必要があり得る。内部結合光学要素が、光をその対応する導波管の中に向け直し、内部結合するために使用され得る。
図9Aは、各々が内部結合光学要素を含むスタックされた導波管の組660の例の断面側面図を図示する。導波管の各々は、1つ以上の異なる波長または1つ以上の異なる波長範囲の光を出力するように構成され得る。スタック660は、スタック260(
図6)に対応し得、スタック660の図示される導波管は、複数の導波管270、280、290、300、310の一部に対応し得るが、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの1つ以上のものからの光が、光が内部結合のために向け直されることを要求する位置または向きから導波管の中に投入されることを理解されたい。
【0042】
図示されるスタックされた導波管の組660は、導波管670、680、および690を含む。各導波管は、関連付けられた内部結合光学要素(導波管上の光入力エリアとも称され得る)を含み、例えば、内部結合光学要素700は、導波管670の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素710は、導波管680の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素720は、導波管690の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置される。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720のうちの1つ以上のものは、それぞれの導波管670、680、690の底部主要表面上に配置され得る(特に、該1つ以上の内部結合光学要素は、反射性光学要素である)。図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、それらのそれぞれの導波管670、680、690の上側主要表面(または次の下側導波管の上部)上に配置され得、特に、それらの内部結合光学要素は、透過性光学要素である。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720は、それぞれの導波管670、680、690の本体内に配置され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、他の光の波長を透過しながら、1つ以上の光の波長を選択的に向け直すような波長選択的である。そのそれぞれの導波管670、680、690の片側または角に図示されるが、内部結合光学要素700、710、720は、いくつかの実施形態では、それらのそれぞれの導波管670、680、690の他のエリア内に配置され得ることを理解されたい。
【0043】
図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、互いから側方にオフセットされ得る。いくつかの実施形態では、各内部結合光学要素は、光が別の内部結合光学要素を通過せずに、その光を受け取るようにオフセットされ得る。例えば、各内部結合光学要素700、710、720は、
図6に示されるように、光を異なる画像投入デバイス360、370、380、390、および400から受け取るように構成され得、光を内部結合光学要素700、710、720の他のものから実質的に受け取らないように、他の内部結合光学要素700、710、720から分離され得る(例えば、側方に間隔を置かれる)。
【0044】
各導波管は、関連付けられた光分配要素も含み、例えば、光分配要素730は、導波管670の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分配要素740は、導波管680の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分配要素750は、導波管690の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置される。いくつかの他の実施形態では、光分配要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられた導波管670、680、690の底部主要表面上に配置され得る。いくつかの他の実施形態では、光分配要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられた導波管670、680、690の上部および底部両方の主要表面上に配置され得るか、または、光分配要素730、740、750は、それぞれ、異なる関連付けられた導波管670、680、690内の上部および底部主要表面の異なるもの上に配置され得る。
【0045】
導波管670、680、690は、間隔を置かれ、例えば、材料のガス、液体、および/または固体層によって分離され得る。例えば、図示されるように、層760aは、導波管670と680とを分離し得、層760bは、導波管680と690とを分離し得る。いくつかの実施形態では、層760aおよび760bは、低屈折率材料(すなわち、導波管670、680、690の直近のものを形成する材料より低い屈折率を有する材料)から形成される。いくつかの実施形態では、層760a、760bを形成する材料の屈折率は、導波管670、680、690を形成する材料の屈折率を少なくとも0.05または少なくとも0.10下回る。有利には、より低い屈折率層760a、760bは、導波管670、680、690を通した光のTIR(例えば、各導波管の上部および底部主要表面間のTIR)を促進するクラッディング層として機能し得る。いくつかの実施形態では、層760a、760bは、空気から形成される。図示されないが、図示される導波管の組660の上部および底部は、直接に隣接するクラッディング層を含み得ることを理解されたい。
【0046】
好ましくは、製造および他の考慮点を容易にするために、導波管670、680、690を形成する材料は、類似または同一であり、層760a、760bを形成する材料は、類似または同一である。他の実施形態では、導波管670、680、690を形成する材料は、1つ以上の導波管間で異なり得るか、または層760a、760bを形成する材料は、依然として、前述の種々の屈折率関係を保持しながら、異なり得る。
【0047】
図9Aを継続して参照すると、光線770、780、790が、導波管の組660に入射する。光線770、780、790は、1つ以上の画像投入デバイス360、370、380、390、400(
図6)によって導波管670、680、690の中に投入され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、光線770、780、790は、異なる色に対応し得る異なる性質(例えば、異なる波長または異なる波長範囲)を有する。内部結合光学要素700、710、720の各々は、光が、TIRによって、導波管670、680、690のうちのそれぞれの1つを通して伝搬するように、入射光を向け直す。
【0049】
例えば、内部結合光学要素700は、第1の波長または波長範囲を有する光線770を選択的に向け直すように構成され得る。同様に、透過された光線780は、第2の波長または波長範囲の光を向け直すように構成される内部結合光学要素710に衝突し、それによって向け直される。同様に、光線790は、第3の波長または波長範囲の光を選択的に向け直すように構成される内部結合光学要素720によって向け直される。
【0050】
図9Aを継続して参照すると、光線770、780、790は、対応する導波管670、680、690を通して伝搬するように向け直される。すなわち、各導波管の内部結合光学要素700、710、720は、光をその対応する導波管670、680、690の中に向け直し、光を対応する導波管の中に内部結合する。光線770、780、790は、光にTIRによってそれぞれの導波管670、680、690を通して伝搬させる角度で向け直される。光線770、780、790は、導波管の対応する光分配要素730、740、750と相互作用するまで、TIRによってそれぞれの導波管670、680、690を通して伝搬する。
【0051】
ここで
図9Bを参照すると、
図9Aの複数のスタックされた導波管の例の斜視図が、図示される。前述のように、光線770、780、790は、それぞれ、内部結合光学要素700、710、720によって内部結合され、次いで、それぞれ、導波管670、680、690内でTIRによって伝搬する。光線770、780、790は、次いで、それぞれ、光分配要素730、740、750と相互作用する。光分配要素730、740、750は、光線770、780、790が外部結合光学要素800、810、および820に向かって伝搬するように、それらを向け直す。
【0052】
いくつかの実施形態では、光分配要素730、740、750は、直交瞳エクスパンダ(OPE)である。いくつかの実施形態では、OPEは、光を外部結合光学要素800、810、820に向け直すことと、それらが外部結合光学要素に伝搬するときに光分配要素730、740、750を横断する多くの場所において光線770、780、790をサンプリングすることによって、この光に関連付けられた瞳を拡張させることとの両方を行う。いくつかの実施形態では(例えば、射出瞳がすでに所望のサイズである場合)、光分配要素730、740、750は、省略され得、内部結合光学要素700、710、720は、光を直接外部結合光学要素800、810、820に向け直すように構成され得る。例えば、
図9Aを参照すると、光分配要素730、740、750は、いくつかの実施形態では、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820と置換され得る。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素800、810、820は、光を導波管から外にユーザの眼210(
図7)のほうへ向け直す射出瞳(EP)または射出瞳エクスパンダ(EPE)である。OPEは、少なくとも1つの軸においてアイボックスの寸法を増加させるように構成され得、EPEは、OPEの軸と交差する(例えば、直交する)軸においてアイボックスを増加させるように構成され得る。
【0053】
故に、
図9Aおよび9Bを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管の組660は、各成分色のために、導波管670、680、690と、内部結合光学要素700、710、720と、光分配要素(例えば、OPE)730、740、750と、外部結合光学要素(例えば、EP)800、810、820とを含む。導波管670、680、690は、各1つの間に空隙/クラッディング層を伴ってスタックされ得る。内部結合光学要素700、710、720は、(異なる波長の光を受け取る異なる内部結合光学要素を用いて)入射光を対応する導波管の中に導く。光は、次いで、それぞれの導波管670、680、690内でのTIRを支援する角度で伝搬する。TIRは、ある角度範囲に対してのみ生じるので、光線770、780、790の伝搬角度の範囲は、限定される。TIRを支援する角度の範囲は、そのような例では、導波管670、680、690によって表示され得る視野の角度限界と考えられ得る。示される例では、光線770(例えば、青色光)は、前述の様式において、第1の内部結合光学要素700によって内部結合され、次いで、導波管を進行する間、導波管の表面から往復反射し続け、光分配要素(例えば、OPE)730は、それを漸次的にサンプリングし、外部結合光学要素(例えば、EPE)800のほうへ導かれる追加の複製光線を作成する。光線780および790(例えば、それぞれ、緑色および赤色光)は、導波管670を通過し、光線780は、内部結合光学要素710上に衝突し、それによって内部結合される。光線780は、次いで、TIRを介して、導波管680を伝搬し、その光分配要素(例えば、OPE)740、次いで、外部結合光学要素(例えば、EPE)810に進むであろう。最後に、光線790(例えば、赤色光)は、導波管670、680を通過し、導波管690の内部結合光学要素720上に衝突する。光内部結合光学要素720は、光線が、TIRによって、光分配要素(例えば、OPE)750、次いで、TIRによって、外部結合光学要素(例えば、EPE)820に伝搬するように、光線790を内部結合する。外部結合光学要素820は、次いで、最後に、光線790をユーザに外部結合し、ユーザは、他の導波管670、680からの外部結合された光も受け取る。
【0054】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の例の見下げ平面図を図示する。図示されるように、導波管670、680、690は、各導波管の関連付けられた光分配要素730、740、750および関連付けられた外部結合光学要素800、810、820とともに、垂直に整列させられ得る。しかしながら、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、垂直に整列させられない。むしろ、内部結合光学要素は、非重複であり得る(例えば、見下げ図に見られるように、側方に間隔を置かれる)。この非重複空間配列は、1対1ベースで異なる源から異なる導波管の中への光の投入を促進し、それによって、特定の光源が特定の導波管に一意に光学的に結合されることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、非重複の空間的に分離される内部結合光学要素を含む配列は、シフト瞳システムと称され得、これらの配列内の内部結合光学要素は、サブ瞳に対応し得る。
【0055】
図10は、例示的AR接眼レンズ導波管スタック1000の斜視図である。接眼レンズ導波管スタック1000は、世界側カバーウィンドウ1002と、眼側カバーウィンドウ1006とを含み、それらは、カバーウィンドウ間に位置付けられる1つ以上の接眼レンズ導波管1004を保護し得る。他の実施形態では、カバーウィンドウ1002、1006の一方または両方は、省略され得る。すでに議論されたように、接眼レンズ導波管1004は、層構成において配列され得る。接眼レンズ導波管1004は、一緒に結合され得、例えば、各個々の接眼レンズ導波管は、1つ以上の隣接する接眼レンズ導波管に結合される。いくつかの実施形態では、導波管1004は、隣接する接眼レンズ導波管1004が互いに直接接触しないように、縁シール(
図11に示される縁シール1108等)と一緒に結合され得る。
【0056】
接眼レンズ導波管1004の各々は、ガラス、プラスチック、ポリカーボネート、サファイア等、少なくとも部分的に透明である基板材料から作製されることができる。選択された材料は、1.4を上回る、例えば、1.6、または1.8を上回る屈折率を有し、光誘導を促進し得る。各接眼レンズ導波管基板の厚さは、例えば、325ミクロン以下であり得るが、他の厚さも、使用されることができる。各接眼レンズ導波管は、1つ以上の内部結合領域と、光分散領域と、画像拡張領域と、外部結合領域とを含むことができ、それらは、各導波管基板902上または内に形成される回折特徴から成り得る。
【0057】
図10に図示されないが、接眼レンズ導波管スタック1000は、それをユーザの眼の正面に支持するための物理的支持構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、接眼レンズ導波管スタック1000は、
図2に図示されるように、頭部搭載型ディスプレイシステム60の一部である。一般に、接眼レンズ導波管スタック1000は、外部結合領域が、直接、ユーザの眼の正面にあるように支持される。
図10は、ユーザの眼の一方に対応する接眼レンズ導波管スタック1000の一部のみを図示することを理解されたい。完成した接眼レンズは、鼻当てによって分離されるかもしれない2つの半体を伴う同一構造の鏡像を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、接眼レンズ導波管スタック1000は、カラー画像データを複数の深度平面からユーザの眼の中に投影することができる。接眼レンズ1000内の各個々の接眼レンズ導波管1004によって表示される画像データは、選択された深度平面のための画像データの選択された色成分に対応し得る。例えば、接眼レンズ導波管スタック1000は、6つの接眼レンズ導波管1004を含むので、2つの異なる深度平面に対応するカラー画像データ(例えば、赤色、緑色、および青色成分から成る)を投影することができる:深度平面あたりの色成分あたり1つの接眼レンズ導波管1004。他の実施形態は、より多いまたはより少ない色成分および/またはより多いまたはより少ない深度平面のための接眼レンズ導波管1004を含むことができる。
【0059】
図11は、接眼レンズ導波管1104をスタックされた構成に支持するための縁シール構造1108を伴う例示的接眼レンズ導波管スタック1100の一部の断面図である。縁シール構造1108は、接眼レンズ導波管1104を整列させ、その間に配置される空気空間または別の材料を用いて、それらを互いから分離する。図示されないが、縁シール構造1108は、スタックされた導波管構成の周辺全体の周囲に延びていることができる。
図11では、各接眼レンズ導波管間の分離は、0.027mmであるが、他の距離も、可能である。
【0060】
図示される実施形態では、一方が3m深度平面のためのものであり、他方が1m深度平面のためのものである赤色画像データを表示するように設計される2つの接眼レンズ導波管1104が存在する。(再び、接眼レンズ導波管1104によって出力される光のビームの発散は、画像データを特定の距離に位置する深度平面から生じるように見えるようにすることができる。)同様に、一方が3m深度平面のためのものであり、他方が1m深度平面のためのものである青色画像データを表示するように設計される2つの接眼レンズ導波管1104と、一方が3m深度平面のためのものであり、他方が1m深度平面のためのものである緑色画像データを表示するように設計される2つの接眼レンズ導波管1104とが存在する。これらの6つの接眼レンズ導波管1104の各々は、0.325mm厚であるように図示されるが、他の厚さも、可能である。
【0061】
世界側カバーウィンドウ1102および眼側カバーウィンドウ1106も、
図11に示される。これらのカバーウィンドウは、例えば、0.330mm厚であることができる。6つの接眼レンズ導波管1104、7つの空気間隙、2つのカバーウィンドウ1102、1106、および縁シール1108の厚さを考慮すると、図示される接眼レンズ導波管スタック1100の総厚は、2.8mmである。
【0062】
図12Aおよび12Bは、それが画像をユーザの眼210に向かって投影するときの動作時の接眼レンズ導波管1200の上面図を図示する。画像は、最初に、投影レンズ1210またはある他のプロジェクタデバイスを使用して、像面1207から接眼レンズ導波管1200の入射瞳1208に向かって投影されることができる。各像点(例えば、画像ピクセルまたは画像ピクセルの一部)は、光の対応する入力ビーム(例えば、1202a、1204a、1206a)を有し、それは、入射瞳1208(例えば、プロジェクタレンズ1210の光学軸に対する特定の角度)における特定の方向に伝搬する。光線として図示されるが、光の入力ビーム1202a、1204a、1206aは、例えば、それらが接眼レンズ導波管1200に進入するとき、数ミリメートル以下の直径を伴うコリメートされたビームであり得る。
【0063】
図12Aおよび12Bでは、中央像点は、入力ビーム1204aに対応し、それは、実線を用いて図示される。鎖線を用いて図示される入力ビーム1202aは、中央像点の片側に変位させられた像点に対応する一方、破線を用いて図示される入力ビーム1206aは、他側に変位させられた像点に対応する。例証を明確にするために、3つのみの入力ビーム1202a、1204a、1206aが、入射瞳1208に示されるが、典型的入力画像は、多くの入力ビームを含み、それらは、異なる像点に対応する。入力ビームは、x-方向およびy-方向の両方において、光学軸に対してある角度範囲で伝搬するであろう。
【0064】
入射瞳1208における入力ビーム(例えば、1202a、1204a、1206a)の種々の伝搬角度と像面1207におけるそれぞれの像点との間に、一意の対応が存在する。接眼レンズ導波管1200は、全て、像点とビーム角度との間の対応を実質的に維持しながら、入力ビーム(例えば、1202a、1204a、1206a)を内部結合し、それらを分配型様式において空間を通して複製し、それらを誘導し、入射瞳1208より大きく、複製されたビームから成る、射出瞳1210を形成するように設計されることができる。接眼レンズ導波管1200は、特定の角度で伝搬する光の所与の入力ビーム(例えば、1202a)を多くの複製されたビーム(例えば、1202b)の中に変換することができ、それらは、その特定の入力ビームおよびその対応する像点と実質的に一意に互いに関係付けられた角度で射出瞳1210を横断して出力される。故に、接眼レンズ導波管1200は、投影された画像を構成するビームの相対的角度関係を維持しながら、瞳拡張を実施することができる。
【0065】
図12Aおよび12Bに示されるように、光の入力ビーム1204aは、像面1207における中央像点に対応し、実線で示される複製された出力ビーム1204bの組に変換され、それらは、接眼レンズ導波管1200の射出瞳1210と垂直な光学軸と整列させられている。光の入力ビーム1202aは、鎖線で示される複製された出力ビーム1202bの組に変換され、それらは、それらがユーザの視野の片側から生じたように見えるような伝搬角度で接眼レンズ導波管1200から出射する一方、光の入力ビーム1206aは、破線で示される、複製された出力ビーム1206bの組に変換され、それらは、それらがユーザの視野の他側から生じたように見えるような伝搬角度で接眼レンズ導波管1200から出射する。入力ビーム角度および/または出力ビーム角度の範囲が大きいほど、接眼レンズ導波管1200の視野(FOV)は大きくなる。
【0066】
各画像のために、複製された出力ビームの組(例えば、1202b、1204b、1206b)、すなわち、像点あたり1組の複製されたビームが存在し、それらは、射出瞳1210を横断して異なる角度で出力される。出力ビーム(例えば、1202b、1204b、1206b)の各々は、コリメートされることができる。所与の像点に対応する出力ビームの組は、平行経路(
図12Aに示されるように)または発散経路(
図12Bに示されるように)に沿って伝搬するビームから成り得る。いずれの場合も、複製された出力ビームの組の特定の伝搬角度は、像面1207における対応する像点の場所に依存する。
図12Aは、出力ビームの各組(例えば、1202b、1204b、1206b)が平行経路に沿って伝搬するビームから成る場合を図示する。これは、画像が光学無限遠から生じたように見えるように投影される結果をもたらす。これは、
図12Aでは、周辺出力ビーム1202b、1204b、1206bから接眼レンズ導波管1200の世界側(ユーザの眼210が位置する場所と反対側)上の光学無限遠に向かって延びている細線によって表される。
図12Bは、出力ビームの各組(例えば、1202b、1204b、1206b)が発散経路に沿って伝搬するビームから成る場合を図示する。これは、画像が光学無限遠より近い距離から生じたように見えるように投影される結果をもたらす。これは、
図12Bでは、周辺出力ビーム1202b、1204b、1206bから接眼レンズ導波管1200の世界側上の点に向かって延びている細線によって表される。
【0067】
再び、複製された出力ビームの各組(例えば、1202b、1204b、1206b)は、像面1207における特定の像点に対応する伝搬角度を有する。平行経路に沿って伝搬する複製された出力ビームの組の場合(
図12A参照)、全てのビームの伝搬角度は、同一である。しかしながら、発散経路に沿って伝搬する複製された出力ビームの組の場合、個々の出力ビームは、異なる角度で伝搬し得るが、それらの角度は、それらがビームの組の軸に沿って共通点から生じたように見えるという点で、互いに関連する(
図12B参照)。この軸は、発散出力ビームの組に関する伝搬の角度を定義し、像面1207における特定の像点に対応する。
【0068】
(例示的接眼レンズ導波管)
図13Aは、VR/AR/MRシステムのための例示的接眼レンズ導波管1300の半分の正面図を図示する(装着されたままの位置における)。接眼レンズ導波管1300は、入力結合器領域1310と、上側直交瞳エクスパンダ(OPE)領域1320aと、下側直交瞳エクスパンダ(OPE)領域1320bと、射出瞳エクスパンダ(EPE)領域1330とを含むことができる。いくつかの実施形態では、接眼レンズ導波管1300は、上側スプレッダー領域1340aと、下側スプレッダー領域1340bとを含むことができる。接眼レンズ導波管1300は、少なくとも部分的に透明である基板材料から作製される。例えば、接眼レンズ導波管1300は、ガラス、プラスチック、ポリカーボネート、サファイア等の基板1302から作製されることができる。選択された材料は、1を上回る屈折率、より好ましくは、1.4を上回るまたは好ましくは1.6を上回る、最も好ましくは、1.8を上回る比較的に高屈折率を有し、光誘導を促進し得る。基板1302の厚さは、例えば、325ミクロン以下であり得る。接眼レンズ導波管1300の前述の領域の各々は、1つ以上の回折構造を接眼レンズ導波管基板1302上または内に形成することによって作製されることができる。具体的な回折構造は、領域毎に変動し得る。
【0069】
図13Aに図示されないが、接眼レンズ導波管1300は、接眼レンズ導波管をユーザの眼の正面に支持するための物理的支持構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、接眼レンズ導波管1300は、
図2に図示されるような頭部搭載型ディスプレイの一部である。一般に、接眼レンズ導波管1300は、EPE領域1330が、直接、ユーザの眼の正面にあるように支持される。
図13Aは、ユーザの眼の一方に対応する接眼レンズ導波管1300の片側半分のみを図示することを理解されたい。完成した接眼レンズ導波管は、典型的には、
図13Aに図示される同一構造の鏡像も含む(例えば、ユーザの頭部のこめかみに向いたそれぞれの入力結合器領域1310と、ユーザの眼の正面のそれぞれのEPE領域1330とを伴い、鼻当てによって分離されることもある)。2つの半体は、同一基板1302または別個の基板の一部であることができる。
【0070】
図10および11に示されるように、いくつかの実施形態では、接眼レンズは、一緒にスタックされる(クラッディング層によって分離される)複数の基板1302から作製される、複数の接眼レンズ導波管1300を含むことができる。各基板1302は、
図13Aに図示されるようなものであることができ、画像データを眼の中に投影するための導波管として設計されることができる。いくつかの実施形態では、スタック内の各接眼レンズ導波管1300によって表示される画像データは、選択された深度平面に対応する画像データの選択された色成分に対応する。例えば、3つの異なる深度平面に対応するカラー画像データ(例えば、から成る赤色、緑色、および青色成分)を投影する接眼レンズは、一緒にスタックされた合計9つの接眼レンズ導波管1300を含み得る:3つの深度平面の各々のための画像データの各色成分のために1つの接眼レンズ導波管1300。
【0071】
図13Bは、入力結合器領域1310において接眼レンズ導波管の中に投影された画像データが接眼レンズ導波管を通して伝搬し、ユーザの眼に向かってEPE領域1330から投影されるようにする接眼レンズ導波管1300の回折光学特徴のうちのいくつかを図示する。概して、画像データは、光のビームを介して、接眼レンズ導波管1300の中に投影され、それは、図示される略z-方向に進行し(但し、角度変動の量は、画像データのFOVに依存し得る)、基板1302の外側から入力結合器領域1310上に入射する。入力結合器領域1310は、回折光学特徴を含み、それは、光の入力ビームが全内部反射を介して接眼レンズ導波管1300の基板1302の内側で伝搬するように、光の入力ビームを向け直す。いくつかの実施形態では、入力結合器領域1310は、上側および下側OPE領域1320間に対称的に位置する。入力結合器領域1310は、入力光を分割し、これらのOPE領域1320の両方に向け直す。
【0072】
OPE領域1320は、回折光学特徴を含み、それは、少なくとも2つの機能を実施することができる:第1に、それらは、y-方向に沿って多くの場所において光の各入力ビームを空間的に複製し、多くの間隔を置かれた平行ビームを形成することによって、瞳拡張を実施することができ、第2に、それらは、概して、EPE領域1330に向かって、光の複製されたビームを経路上で回折することができる。
【0073】
EPE領域1330も同様に、回折光学特徴を含み、それらは、少なくとも2つの機能を実施することができる:第1に、それらは、ビームを別の方向(例えば、ビームがOPE領域1320によって複製されるものに略直交する方向)に沿って多くの場所に複製することができ、第2に、それらは、OPE領域1320から生じる光のビームが接眼レンズ導波管1300の基板1302から出射し、ユーザの眼に向かって伝搬するように、それらを回折することができる。EPE領域1330の回折光学特徴はまた、本明細書のいずれかで議論されるように、ある程度の屈折力を光の出射ビームに与え、それらを所望の深度平面から生じるかのように見えさせ得る。接眼レンズ導波管1300は、光ビームがEPE領域1330によって出力される、出射の角度が、入力結合器領域1310における対応する入力ビームの進入の角度と一意に互いに関係付けられ、それによって、眼が入力画像データを忠実に再現することを可能にする性質を有することができる。
【0074】
接眼レンズ導波管1300の光学動作が、ここで、より詳細に説明されるであろう。最初に、画像データが、1つ以上の入力デバイスから入力結合器領域1310において接眼レンズ導波管1300の中に投影される。入力デバイスは、例えば、空間光変調器プロジェクタ(ユーザの顔に対する接眼レンズ導波管1300の正面または背面に位置する)を含むことができる。いくつかの実施形態では、入力デバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)技術、シリコン上液晶(LCoS)技術、デジタル光処理(DLP)技術、またはファイバ走査ディスプレイ(FSD)技術を使用し得るが、その他も、使用されることができる。各入力デバイスは、1つ以上の光のビームを入力結合器領域1310のサブ部分上に投影することができる。本明細書のいずれかに議論されるように、各基板1302は、導波管としての機能を果たし、画像データの所与の深度平面のための所与の色成分をユーザの眼の中に導くことができる。入力結合器領域1310の異なるサブ部分が、接眼レンズを構成する複数のスタックされた接眼レンズ導波管1300の各々のために画像データを入力するために使用されることができる。これは、各接眼レンズ導波管1300のための画像データをその接眼レンズ導波管1300の基板1302の中に入力するために充てられている入力結合器領域1310のサブ部分に、適切な回折光学特徴を提供することによって遂行されることができる(例えば、
図9A-9Cに示されるように)。例えば、1つの基板1302は、その入力結合器領域1310の中心に提供される回折特徴を有し得る一方、その他は、そのそれぞれの入力結合器領域の周縁、例えば、3時または9時位置に提供される回折特徴を有し得る。したがって、各接眼レンズ導波管1300のために意図される入力画像データは、正しい画像データが、他の基板の中に結合されずに、正しい基板1302の中に結合されるように、入力結合器領域1310の対応するサブ部分にプロジェクタによって狙いを定められることができる。
【0075】
プロジェクタは、光の入力ビームが、概して、図示されるz-方向に沿って、基板1302の入力結合器領域1310に接近するように提供され得る(但し、入力画像の異なる点に対応する光ビームが異なる角度で投影されるであろうことを所与として、ある程度の角度偏差が存在するであろう)。任意の所与の基板1302の入力結合器領域1310は、回折光学特徴を含み、それは、全内部反射を介して接眼レンズ導波管1300の基板1302内を伝搬する光の入力ビームを適切な角度で向け直す。拡大
図1312によって示されるように、いくつかの実施形態では、入力結合器領域1310の回折光学特徴は、多くのラインから成る回折格子を形成し得、ラインは、図示されるx-方向に水平に延び、図示されるy-方向に垂直に周期的に繰り返される。いくつかの実施形態では、ラインは、接眼レンズ導波管1300の基板1302の中にエッチングされ得、および/または、それらは、基板1302上に堆積される材料から形成され得る。例えば、入力結合器格子(ICG)は、基板の背面(入力光ビームが進入する場所と反対側)の中にエッチングされ、次いで、金属等のスパッタリングされた反射材料で被覆されるラインを備え得る。そのような実施形態では、入力結合器格子は、反射モードで作動するが、他の設計は、透過モードを使用することができる。入力結合器格子は、表面レリーフ格子、バイナリ表面レリーフ構造、体積ホログラフィック光学要素(VHOE)、切り替え可能なポリマー分散液晶格子等を含むいくつかのタイプのいずれかであることができる。ラインの周期、デューティサイクル、深度、プロファイル等は、基板が設計される光の波長、格子の所望の回折効率、および他の要因に基づいて、選択されることができる。
【0076】
この入力結合器回折格子上に入射する入力光は、分割され、上側OPE領域1320aのほうへ上向きに+y方向と、下側OPE領域1320bのほうへ下向きに-y方向との両方に向け直される。具体的には、入力結合器領域1310の回折格子上に入射する入力光は、正および負の回折次数に分離され、正の回折次数は、上側OPE領域1320aのほうへ上向きに導かれ、負の回折次数は、下側OPE領域1320bのほうへ下向きに導かれ、またはその逆となる。いくつかの実施形態では、入力結合器領域1310における回折格子は、主に、入力光を+1の回折次数および-1の回折次数の中に結合するように設計される。(回折格子は、0次回折次数と1次回折次数を超えるより高い回折次数とを低減または排除するように設計されることができる。これは、例えば、各ラインのプロファイルを適切に成形することによって遂行されることができる。)
【0077】
図13Aに示されるように、光ビーム1324aおよび1324bは、それぞれ、経路を例証し、経路に沿って、入力結合器領域1310の9時位置に投影された入力画像の4つの角に対応する入力ビームが、上側OPE領域1320aおよび下側OPE領域1320bのほうへ向け直される。同様に、光ビーム1326aおよび1326bは、それぞれ、経路を例証し、経路に沿って、入力結合器領域1310の3時位置に投影された入力画像の4つの角に対応する入力ビームが、上側OPE領域1320aおよび下側OPE領域1320bのほうへ向け直される。
【0078】
上側OPE領域1320aおよび下側OPE領域1320bも、回折光学特徴を含む。いくつかの実施形態では、これらの回折光学特徴は、接眼レンズ導波管1300の基板1302上または内に形成されるラインである。ラインの周期、デューティサイクル、深度、プロファイル等は、基板が設計される光の波長、格子の所望の回折効率、および他の要因に基づいて、選択されることができる。OPE領域1320a、1320bの具体的形状は、変動し得るが、一般に、入力画像データの完全ビューを提供するように、入力画像データの角に対応する光のビームおよびその間の全ての光のビームに適応するために必要とされるものに基づいて、決定され得る。
【0079】
すでに述べられたように、OPE領域1320a、1320b内のこれらの回折格子の1つの目的は、各入力光ビームを多くの空間場所で複製し、複数の間隔を置かれた平行光ビームを生産することである。これは、ビームと格子の各相互作用に伴って、TIRを介して、基板1302の正面と背面との間で往復して反射するにつれて、格子が、光ビームの出力の所望の部分のみを向け直す(例えば、1次回折を介して)一方、残りの部分が、接眼レンズ導波管1300の平面内で同一方向に伝搬し続けるように(例えば、0次回折を介して)、OPE回折格子が比較的に低回折効率(例えば、10%未満)を有するように設計することによって遂行されることができる。(格子の回折効率に影響を及ぼすために使用され得る1つのパラメータは、ラインのエッチング深度である。)OPE領域1320a、1320b内の回折格子の別の目的は、概して、EPE領域1330のほうへ、それらの複製された光ビームを経路に沿って導くことである。すなわち、光ビームがOPE回折格子と相互作用する度に、その出力の一部は、EPE領域1330に向かって回折され、その出力の残りの部分は、再び格子と相互作用するまでOPE領域内で同一方向に伝送し続け、その出力の別の部分は、EPE領域に向かって偏向される等。このように、各入力光ビームは、複数の平行光ビームに分割され、それらは、概して、EPE領域1330のほうへ、経路に沿って導かれる。これは、
図13Cに図示される。
【0080】
OPE回折格子の向きは、概して、EPE領域1330のほうへ、それらの光ビームを向け直すように、入力結合器領域1310から到達する光ビームに対して傾けられる。傾きの具体的角度は、接眼レンズ導波管1300の種々の領域のレイアウトに依存し得る。
図13Aおよび13Bに図示される接眼レンズ導波管実施形態では、上側OPE領域1320aは、+y-方向に延びている一方、下側OPE領域1320bは、-y-方向に延びており、それらは、180°離れて向けられる。一方、EPE領域1330は、OPE領域1320a、1320bの軸に対して90°で位置する。したがって、OPE領域1320a、1320bからの光をEPE領域1330に向け直すために、OPE領域の回折格子は、図示されるx-軸に対して約+/-45°に向けられ得る。具体的には、拡大
図1322aによって示されるように、上側OPE領域1320aの回折格子は、x-軸に対して約+45°に向けられるラインから成り得る。一方、拡大
図1322bによって示されるように、下側OPE領域1320bの回折格子は、x-軸に対して約-45°に向けられるラインから成り得る。
【0081】
図13Cは、
図13Bに示されるOPE領域の光学動作の3次元例証である。
図13Cは、
図13Bからの入力結合器領域1310と、上側OPE領域1320aとを示し、両方は、視認者により近い基板1302の側上にある。入力結合器領域1310および上側OPE領域1320aの回折光学特徴は、それらが微視的であるので見えない。この場合、単一入力ビーム1311が、図示されるが、画像は、接眼レンズ導波管1300を通して若干異なる角度で伝搬する多くのそのような入力ビームから成るであろう。入力ビーム1311は、入力結合器領域1310から上側OPE領域1320aに進入する。入力ビーム1311は、次いで、全内部反射を介して、接眼レンズ導波管1300を通して伝搬し続け、その表面間で往復して繰り返し反射する。これは、
図13Cでは、各ビームの図示される伝搬におけるジグザグによって表される。
【0082】
入力ビーム1311が、上側OPE領域1320a内に形成される回折格子と相互作用すると、その出力の一部は、EPE領域1330に向かって回折される一方、その出力の別の部分は、上側OPE領域1320aを通して、同一経路に沿って継続する。すでに述べられたように、それは、部分的に、格子の比較的に低回折効率に起因する。さらに、EPE領域1330に向かって回折されるビームは、上側OPE領域1320aの格子に再遭遇し得、その出力の一部は、入力ビーム1311の元の伝搬方向に逆回折され得る一方、その屈折力の他の部分は、EPE領域に向かって継続し得る。これらのビームの一部の経路は、矢印によって、
図13Cに示される。その効果は、上側OPE領域1320aを通して伝搬するにつれて、入力ビームが多くの場所において複製されるので、光の空間的広がりが拡張されることである。これは、入力ビーム1311が、最終的には、EPE領域1330に向かって、概して、x-方向に進行する多くの光ビームに複製されることを示す
図13Cから明白である。
【0083】
図13Bに戻って参照すると、入力結合器領域1310が2つのOPE領域間に位置することが有利である。まぜなら、これが、1つのOPE領域が入力結合器領域1310から1つ以上の正の回折次数を受け取り、他のOPE領域が1つ以上の負の回折次数を受け取るように、接眼レンズ導波管1300が、入力結合器領域1310において正および負の回折次数に回折される光を効率的に利用することを可能にするからである。正および負の回折次数からの光は、次いで、EPE領域1330において再び組み合わせられ、ユーザの眼に外部結合されることができる。上側および下側OPE領域1320a、1320b間の入力結合器領域1310の位置は、この点において有利であるが、入力結合器領域1310が、事実上、EPE領域1330の中心部分を陰にする結果をもたらし得る。すなわち、入力ビームは、入力結合器によって、正および負の回折次数に分離され、EPE領域1330のほうへ+x方向に向け直される前、最初に、+y方向または-y方向に導かれるので、より少ない光ビームが、
図13Aおよび13Bにおいて入力結合器領域1310の左側に直接位置するEPE領域の中心部分に到達し得る。これは、EPE領域1330の中心がユーザの眼と整列させられた場合、OPE領域1320間の入力結合器領域1310の位置によって生じるこの陰にする効果に起因して、より少ない光ビームが、最終的に、EPE領域1330の中心部分からユーザの眼に導かれ得るので、望ましくないこともある。これに対する解決策として、接眼レンズ導波管1300は、上側および下側スプレッダー領域1340a、1340bも含むことができる。これらのスプレッダー領域は、EPE領域1330の中心部分を充填するように、OPE領域からの光ビームを向け直すことができる。上側および下側スプレッダー領域1340a、1340bは、
図13Bに図示される回折特徴を用いて、このタスクを遂行する。
【0084】
拡大
図1342aに示されるように、上側スプレッダー領域1340aは、その格子ラインが、x-軸に対して約-45°で形成される回折格子を含むことができ、それは、上側スプレッダー領域1340aが光を主に受け取る近傍の上側OPE領域1320a内の格子ラインに略直交する。OPE格子のように、スプレッダー領域内の格子の効率は、各光ビームの出力の一部のみが、格子との各相互作用の間、向け直されるように設計されることができる。上側スプレッダー領域1340a内の回折格子ラインの配向に起因して、上側OPE領域1320aからの光ビームは、EPE領域1330のほうへ+x-方向に継続する前、幾分、-y-方向に向け直される。したがって、上側スプレッダー領域1340aは、EPE領域1330に対する入力結合器領域1310の位置によって生じる任意の陰づけにもかかわらず、EPE領域1330の中心部分に到達する光ビームの数を増加させることに役立つ。同様に、拡大
図1342bに示されるように、下側スプレッダー領域1340bは、x-軸に対して約+45°で形成される格子ラインを含むことができ、それは、下側スプレッダー領域1340bが光を主に受け取る近傍の下側OPE領域1320b内の格子ラインに略直交する。下側スプレッダー領域1340b内の回折格子ラインは、EPE領域1330のほうへ+x方向に継続する前、下側OPE領域1320bからの光ビームを、幾分、+y方向に向け直す。したがって、下側スプレッダー領域1340bも、EPE領域1330の中心部分に到達する光ビームの数を増加させることに役立つ。
【0085】
OPE領域1320a、1320bおよびスプレッダー領域1340a、1340bからの光ビームは、最終的に、EPE領域1330に到達するまで、接眼レンズ導波管1300の基板1302を通して伝搬する。EPE領域1330は、回折光学特徴を含むことができ、それは、光ビームを接眼レンズ導波管1300からユーザの眼に向け直す。拡大
図1332に示されるように、EPE領域1330の回折光学特徴は、y-方向に延び、x-方向に周期性を示す垂直格子ラインであることができる。代替として、
図14に示されるように、EPE領域1330内の回折格子のラインは、屈折力を画像データに与えるために、幾分、湾曲させられることができる。ラインの周期、デューティサイクル、深度、プロファイル等は、基板が設計される光の波長、格子の所望の回折効率、および他の要因に基づいて、選択されることができる。各光ビームの出力の一部は、EPE領域1330内の格子との各相互作用の結果、接眼レンズ導波管1300の基板1302から向け直される。各出力ビームが接眼レンズ導波管1300のEPE領域1330から出射する具体的角度は、入力結合器領域1310における対応する入力ビームの入射角によって決定される。
【0086】
図14Aは、交差回折格子を伴う入力結合器領域1410を含む、接眼レンズ導波管1400の実施形態を図示する。接眼レンズ導波管1400は、基板1402から形成され、入力結合器領域1410と、上側OPE領域1420aと、下側OPE領域1420bと、EPE領域1430とを含む。別様に述べられない限り、
図14に示される接眼レンズ導波管1400は、
図13A-13Cに図示される接眼レンズ導波管1300と同様に機能することができる。接眼レンズ導波管1400の設計は、必ずしも、
図13A-13Cに関して議論されるスプレッダー領域1340a、1340bのタイプを使用せずに、EPE領域1430(入力結合器領域1410のすぐ左側に位置する)の中心部分のほうへ導かれる光の量を増加させるための別の方法を表す。
【0087】
図13A-13Cにおける接眼レンズ導波管1300と比較した
図14Aにおける接眼レンズ導波管1400の主な差異は、入力結合器領域1410の設計である。
図13A-13Cに示される接眼レンズ導波管1300では、入力結合器領域1310は、入力光を主に上側および下側OPE領域1320a、1320bのみに向け直すように設計された。対照的に、
図14Aに示される入力結合器領域1410は、入力光を、上側および下側OPE領域1420a、1420bに導くことと、EPE領域1430に直接導くこととの両方を行うように設計される。これは、入力結合器領域1410内の交差回折格子を使用することによって、遂行されることができる。
【0088】
図14Bは、交差回折格子から成る入力結合器領域1410の例示的実施形態の斜視図である。交差格子は、異なる向きを伴う2つの回折格子の重なりと考えられ得る。第1の回折格子は、
図13A-13Cに関して図示されたものと同様に形成されることができる。すなわち、x-方向に延び、y-方向に周期的に繰り返されるラインから成ることができる。この第1の回折格子は、入力光を正のおよび負の回折次数に分割し、それらは、それぞれ、上側および下側OPE領域1420a、1420bのほうへ導かれる。第1の回折格子は、OPE領域1420a、1420bに向け直す入力光の出力の割合を制御するための第1の回折効率を有することができる。
【0089】
第2の回折格子は、y-方向に延び、x-方向に周期的に繰り返されるラインから成ることができる。言い換えると、第2の回折格子は、第1の回折格子に対して約90°に向けられることができる。第2の回折格子のこの向きは、光の入力ビームを、OPE領域を最初に通過せずに、本実施形態では、OPE領域1420a、1420bが入力結合器領域1410に対して位置する方向から実質的に90°の方向に位置するEPE領域1430のほうへ向け直す。(第2の回折格子は、他の実施形態では、EPE領域1430が位置する方向に応じて、他の向きも有し得る。)第2の回折格子は、第1の回折格子のものと異なり得る第2の回折効率を有するように設計されることができる。いくつかの実施形態では、第2の回折格子は、第1の回折格子未満の効率性であるように設計されることができる。(これは、例えば、
図14Bに示されるように、第2の回折格子のラインを第1の回折格子のものより浅くすることによって遂行されることができる。)したがって、入力光の出力の大部分は、第1の回折格子によって、上側および下側OPE領域1420a、1420bのほうへ向け直される(光ビーム1412a、1412bによって表される)一方、入力光の出力のより少ない部分は、直接、第2の回折格子によって、EPE領域1430のほうへ向け直される(光ビーム1414によって表される)。入力結合器領域1410は、OPE領域1420を最初に通過しないように、入力光の出力の一部を、直接、EPE領域1430に向け直すので、入力結合器領域のEPE領域の中心部分の前述の陰づけは、低減させられることができる。
【0090】
図15Aは、上側および下側OPE領域を伴う接眼レンズ導波管1500の実施形態を図示し、上側および下側OPE領域は、EPE領域1530に向かって角度付けられ、よりコンパクトな形状因子を提供する。接眼レンズ導波管1500は、基板1502から形成され、入力結合器領域1510と、上側OPE領域1520aと、下側OPE領域1520bと、EPE領域1530とを含む。別様に述べられない限り、
図15Aに示される接眼レンズ導波管1500は、
図13A-13Cに図示される接眼レンズ導波管1300と同様に機能することができる。
【0091】
図13A-13Cにおける接眼レンズ導波管1300と比較した
図15Aにおける接眼レンズ導波管1500の主な差異は、OPE領域1520a、1520bが、EPE領域1530に向かって角度付けられていることである。
図15Aに示される実施形態では、各OPE領域は、y-軸から約30°傾斜される。したがって、
図13A-13Bに図示される実施形態におけるように、約180°分離されるのではなく、上側OPE領域1520aおよび下側OPE領域1520bは、約120°分離される。EPE領域に向かったOPE領域1520a、1520bの角度付けの精密な量は、変動し得る(例えば、最大60°)が、一般に、そのような角度付けは、接眼レンズ導波管1500が、よりコンパクト設計を達成することを可能にし得る。これは、VR/AR/MRシステムの頭部搭載型ディスプレイがあまり嵩張らないように作製されることを可能にし得るので、有利であり得る。
【0092】
入力結合器領域1510内の回折特徴の設計は、OPE領域1520a、1520bが入力結合器領域1510に対して位置する方向に対応するように、光の入力ビームが接眼レンズ導波管1500の基板1502の中に発射される角度に合致するように変化させられることができる。入力結合器領域1510の回折特徴の例示的実施形態は、
図15Bにおける拡大
図1512に示される。
【0093】
図15Bは、
図15Aに示される接眼レンズ導波管1500の入力結合器領域1510の回折光学特徴の例示的実施形態を図示する。図示される実施形態では、入力結合器領域1510は、六角形格子模様1516においてレイアウトされた複数の回折特徴または光散乱特徴1514(例えば、くぼみ、突出部等)を有する。(注記:各回折特徴1514の周囲の点線は、六角形格子模様1516を図示するように意図され、必ずしも、点線に沿った任意の物理的構造に対応するわけではない。)回折特徴の六角形格子模様1516は、入力結合器領域上に入射する光の入力ビームが60°間隔で複数の方向に接眼レンズ導波管1500の基板1502の中に発射されるようにする。したがって、
図15Aに示されるように、第1の入力ビームの組は、x-軸に対して約60°で上側OPE領域1520aに向かって発射され、第2の入力ビームの組は、x-軸に対して約-60°で下側OPE領域1520bに向かって発射され、第3の入力ビームの組は、概して、x-軸に沿って、直接、EPE領域1530に向かって発射される。他のモザイク式構成も、接眼レンズ導波管1500の形状および入力結合器領域1510からOPE領域への方向に応じて、使用されることができる。回折特徴1514の具体的形状は、光がこれらの方向の各々に向け直される効率を決定する。図示される実施形態では、回折特徴1514の各々は、菱形であるが、他の形状も、可能である。加えて、回折特徴1514は、単段階または多段階であることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、入力結合器領域1510の回折特徴は、基板1502の背面(入力ビームが入力デバイスから基板1502に進入する場所と反対側)の中にエッチングされる。基板1502の背面上のエッチングされた回折特徴は、次いで、反射材料でコーティングされることができる。このように、光の入力ビームは、回折特徴が反射モードで動作するように、基板の正面表面に進入し、背面上の回折特徴から回折する。上側OPE領域1520aおよび下側OPE領域1520bも、前述のような回折光学特徴を含む。上側OPE領域1520aの回折特徴は、
図15Cにおける拡大
図1522に図示される。
【0095】
図15Cは、
図15Aに示される接眼レンズ導波管1500のOPE領域1520aの回折光学特徴の例示的実施形態を図示する。
図13Aおよび13Bに示される接眼レンズ導波管1300内のOPE領域の回折特徴の場合のように、
図15Aに示される接眼レンズ導波管1500のOPE領域1520a、1520bの回折特徴も同様に、周期的に繰り返されるパターンのラインであり、それらは、回折格子を形成する。しかしながら、この場合、ラインが向けられる角度は、依然として、光のビームをEPE領域1530に向け直すように、OPE領域1520aの傾けられた向きを考慮して調節されている。具体的には、上側OPE領域1520aの回折格子のラインは、x-軸に対して約+30°に向けられる。同様に、下側OPE領域1520b内の回折格子のラインは、x-軸に対して約-30°に向けられる。
【0096】
(追加の考慮点)
文脈によって別様に明確に要求されない限り、説明および請求項全体を通して、単語「備えている」、「~を備えている」、「~を含む」、「~を含んでいる」、「~を有する」、「~を有している」および同等物は、排他的または包括的意味とは対照的に、包含的意味、すなわち、「限定ではないが~を含む」の意味で解釈されるべきである。単語「結合される」は、本明細書で概して使用されるように、直接接続されるか、または1つ以上の中間要素を経由して継続されるかのいずれかであり得る2つ以上の要素を指す。同様に、単語「接続される」は、本明細書で概して使用されるように、直接接続されるか、または1つ以上の中間要素を経由して接続されるかのいずれかであり得る2つ以上の要素を指す。文脈に応じて、「結合される」または「接続される」は、光が1つの光学要素から別の光学要素に結合または接続されるような光学結合または光学接続を指し得る。加えて、単語「本明細書で」、「上記で」、「下記で」、「後述の」、「前述の」、および類似意味の単語は、本願で使用されるとき、全体として本願を指すものとし、本願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈によって許容される場合、単数形または複数形を使用する上記の詳細な説明における単語は、それぞれ、複数形または単数形も含み得る。単語「または」は、2つ以上のアイテムのリストを参照する場合、包含的(排他的ではなく)「または」であって、「または」は、以下の単語の解釈の全て、すなわち、リスト内のアイテムのいずれか、リスト内のアイテムの全て、およびリスト内のアイテムのうちの1つ以上のものの任意の組み合わせを網羅し、リストに追加される他のアイテムを除外しない。加えて、冠詞「a」、「an」、および「the」は、本願および添付の請求項において使用される場合、別様に規定されない限り、「1つ以上の」または「少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきである。
【0097】
本明細書で使用されるように、項目のリスト「~のうちの少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含むそれらの項目の任意の組み合わせを指す。ある例として、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、ならびにA、B、およびCを網羅することが意図される。語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」等の接続文は、別様に具体的に記載されない限り、概して、項目、用語等がX、Y、またはZのうちの少なくとも1つであり得ることを伝えるために使用されるような文脈で別様に理解される。したがって、そのような接続文は、概して、ある実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、およびZのうちの少なくとも1つがそれぞれ存在するように要求することを示唆することを意図されない。
【0098】
さらに、とりわけ、「~できる(can)」、「~し得る(could)」、「~し得る(might)」、「~し得る(may)」、「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「等(such as)」、および同等物等、本明細書で使用される条件文は、別様に具体的に記載されない限り、または使用されるような文脈内で別様に理解されない限り、概して、ある実施形態がある特徴、要素、および/または状態を含む一方、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えることが意図されることを理解されたい。したがって、そのような条件文は、概して、特徴、要素、および/もしくは状態が、1つ以上の実施形態に対していかようにも要求されること、またはこれらの特徴、要素、および/もしくは状態が任意の特定の実施形態において含まれる、もしくは実施されるべきかどうかを示唆することを意図されない。
【0099】
別様に述べられない、または図示されない、もしくは文脈から当業者に明白ではない限り、述べられた値または他の記述子とともに使用される「約」、「およそ」、および「概して」のような単語は、述べられた値の周囲の±20%の範囲を示すと理解され得る。
【0100】
ある実施形態が、説明されたが、これらの実施形態は、一例としてのみ提示され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実施形態のうちの任意の1つの特徴は、実施形態の任意の他の1つの特徴と組み合わせられる、および/またはそれで代用されることができる。種々の実施形態のある利点が、本明細書に説明された。しかし、全ての実施形態が、必ずしも、これらの利点の各々を達成するわけではない。
【0101】
実施形態は、付随の図面に関連して説明された。しかしながら、図は、正確な縮尺で描かれていない。距離、角度等は、単に、例証的であり、必ずしも、図示されるデバイスの実際の寸法およびレイアウトとの正確な関係を伝えるものではない。
【0102】
前述の実施形態は、当業者が、本明細書に説明されるデバイス、システム、方法等を作製および使用することを可能にするために、ある程度詳細に説明された。様々な変形例が、可能である。コンポーネント、要素、および/またはステップは、改変され、追加され、除去され、または再配列され得る。ある実施形態が、明示的に説明されたが、他の実施形態も、本開示に基づいて、当業者に明白となるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想現実、拡張現実、または複合現実システムのための接眼レンズであって、前記接眼レンズは、
少なくとも部分的に透明である導波管基板と、
前記導波管基板上またはその中に形成された入力結合器格子であって、前記入力結合器格子は、前記入力結合器格子上に外部から入射する少なくとも1つの入力光ビームを前記導波管基板の内側で伝搬する少なくとも第1の誘導光ビームへと結合するように構成されている、入力結合器格子と、
前記導波管基板上またはその中に形成された第1の直交瞳エクスパンダ(OPE)格子であって、前記第1のOPE格子は、前記入力結合器格子からの前記第1の誘導光ビームを複数の平行な間隔を置かれた光ビームに分割するように構成されている、第1のOPE格子と、
前記光ビームを前記第1のOPE格子から受け取り、その分布を広げる第1のスプレッダー格子であって、前記第1のスプレッダー格子は、前記第1のOPE格子の回折特徴に対して約90°に向けられた回折特徴を備えている、第1のスプレッダー格子と、
前記導波管基板上またはその中に形成された射出瞳エクスパンダ(EPE)格子であって、前記EPE格子は、前記第1のOPE格子および前記第1のスプレッダー格子からの前記光ビームが前記導波管基板から出射するように、それらを向け直すように構成されている、EPE格子と
を備えている、接眼レンズ。
【請求項2】
前記第1のOPE格子の前記回折特徴は、前記複数の間隔を置かれた光ビームを前記EPE領域のほうへ導くように角度付けられている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項3】
前記第1のスプレッダー格子は、前記第1のOPE格子からの前記光ビームの前記分布を前記EPE領域の中心に向かって広げるように構成されている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項4】
前記基板は、325ミクロン厚未満である、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項5】
前記基板は、ガラス、プラスチック、またはポリカーボネートを備えている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項6】
前記接眼レンズ導波管は、画像データの色成分を投影するように構成されている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項7】
光を前記入力結合器領域のほうへ導くためのプロジェクタをさらに備えている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項8】
前記入力結合器格子は、前記入力結合器格子上に外部から入射する前記少なくとも1つの入力光ビームを前記基板の内側で伝搬する第1および第2の誘導光ビームに分割し、向け直すように構成されており、前記接眼レンズ導波管は、
前記基板上またはその中に形成された第2のOPE格子であって、前記第2のOPE格子は、前記入力結合器格子からの前記第2の誘導光ビームを複数の平行な間隔を置かれた光ビームに分割するように構成されている、第2のOPE格子と、
前記基板上またはその中に形成された第2のスプレッダー格子であって、前記第2のスプレッダー格子は、前記光ビームの少なくとも一部を前記第2のOPE領域から受け取るように構成されている、第2のスプレッダー格子と
をさらに備えており、
前記EPE格子は、前記第1および第2のOPE領域ならびに前記第1および第2のスプレッダー領域からの前記光ビームが前記基板から出射するように、それらを向け直すように構成されており、
前記入力結合器格子は、前記第1のOPE格子と前記第2のOPE格子との間に位置付けられ、前記入力結合器格子は、前記第1の誘導光ビームを前記第1のOPE格子のほうへ導き、前記第2の誘導光ビームを前記第2のOPE領域のほうへ導くように構成されており、
前記第2のスプレッダー格子は、前記EPE領域のより大きい部分に到達するように前記第2のOPE格子からの前記光ビームの分布を広げるように構成されている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項9】
前記入力結合器格子は、前記入力光ビームを前記第1のOPE格子のほうへ導かれる+1次回折光と、前記第2のOPE領域のほうへ導かれる-1次回折光とに分離するように構成されている、請求項8に記載の接眼レンズ。
【請求項10】
前記第1および第2のOPE領域は、約180°分離されており、前記EPE格子は、OPE領域の両方に対して約90°に位置している、請求項8に記載の接眼レンズ。
【請求項11】
前記第1および第2のOPE領域は、前記EPE領域に向かって傾けられている、請求項8に記載の接眼レンズ。
【請求項12】
前記第1および第2のOPE領域は、約120°分離されており、前記EPE格子は、OPE領域の両方に対して約60°に位置している、請求項11に記載の接眼レンズ。
【請求項13】
前記入力結合器格子は、前記入力光ビームを分割し、前記第1および第2のOPE領域のほうへ向け直すための回折光学特徴を備えている、請求項8に記載の接眼レンズ。
【請求項14】
前記入力結合器格子の前記回折光学特徴は、少なくとも1つの回折格子を形成する複数のラインを備えている、請求項13に記載の接眼レンズ。
【請求項15】
前記入力結合器格子の前記回折光学特徴は、格子模様パターンにおいてレイアウトされた複数の特徴を備えている、請求項13に記載の接眼レンズ。
【請求項16】
前記格子模様パターンは、六角形格子模様を備えている、請求項15に記載の接眼レンズ。
【請求項17】
前記入力結合器格子の前記回折光学特徴は、交差格子を備えている、請求項13に記載の接眼レンズ。
【請求項18】
前記入力結合器格子の前記回折光学特徴は、光を前記第1および第2のOPE領域のほうへ導くことと、前記OPE領域のいずれも最初に通過せずに前記EPE格子のほうへ導くこととを行うように構成されている、請求項13に記載の接眼レンズ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【外国語明細書】