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特開2022-190068ポリアミンから誘導される多重荷電イオン性化合物およびその組成物、ならびにその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190068
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ポリアミンから誘導される多重荷電イオン性化合物およびその組成物、ならびにその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/04 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
C08G73/04
【審査請求】有
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176207
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2021509766の分割
【原出願日】2019-08-28
(31)【優先権主張番号】62/724,357
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ ダワン
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
(57)【要約】
【課題】本明細書には、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物、それらを作製する方法、およびそれらを含む物品または組成物が開示される。
【解決手段】開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、2つの反応:イオン性基を有する活性化オレフィンとのアザ-マイケル付加反応およびエポキシドとの開環反応を通してポリアミンから誘導される。活性化オレフィンは、以下の式(1)、(2)、または(3)のうちの1つを有し、エポキシドは、(4)であり、Xは、NHまたはOである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物であって、
ポリアミンから活性化オレフィンおよびエポキシドとのその反応を通じて誘導される化合物を含み、
前記活性化オレフィンが、以下の式のうちの1つを有し、
【化1】
前記エポキシドが、
【化2】
であり、
Xが、NHまたはOであり、
が、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルケニル、又はアルキニル基であり、
2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、
が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、
Yが、-NR6(+)であり、
Y’が、-COOH、-SOH、-PO、-OSOH、-OPO、またはそれらの塩であり、
、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基であり、
が、Hまたはアルキルであり、
が、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、kは、1~30の整数であり、
前記ポリアミンおよび活性化オレフィンが、アザ-マイケル付加反応を受け、前記ポリアミンおよびエポキシドが、開環反応を受け、
前記化合物が、前記活性化オレフィンからの1個、もしくはそれ以上の正電荷および前記エポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電カチオン性化合物、または前記活性化オレフィンからの1個、もしくはそれ以上の負電荷および前記エポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電アニオン性化合物である、化合物。
【請求項2】
前記ポリアミンが、(i)-[RNH]-の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミン(式中、Rが、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、2~1,000,000の整数である)、(ii)HN-(RNH)-RNHの一般式を有する直鎖ポリアミン(式中、Rが、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、2~1,000,000の整数である)、または(iii)HN-(RN(R’))-RNHの一般式を有する直鎖ポリアミン(式中、Rが、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、R’が、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH)CH、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nは、2~1,000,000の整数である)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記ポリアミンが、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、ペンチレンイミン、ヘキシレンイミン、ヘプチレンイミン、またはそれらの組み合わせを含むポリアルキレンイミンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記ポリアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ポリエチレンイミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、またはそれらの組み合わせを含むアルキレンアミンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記ポリアミンが、ポリエーテル骨格を有するか、またはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、もしくは両方の酸化物の混合物に基づくポリエーテル骨格を有するモノアミン、ジアミン、およびトリアミンの混合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記ポリアミンが、直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリエチレンイミンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記ポリアミンが、(i)一級および二級アミン基のみ、(ii)一級、二級、および三級アミン基のみ、または(iii)一級および三級アミン基のみを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記ポリアミンが、単一の化合物であるか、または2つ以上の異なるポリアミンの混合物であり、前記異なるポリアミンが、異なる分子量、異なる構造、またはそれらの両方を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記ポリアミンが、約60~約2,000,000Daの平均分子量を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Xが、NHまたはOであり、Rが、HまたはCHである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Yが、(i)-NR6(+)であり、R、R、およびRが独立して、CHであるか、(ii)-NR6(+)であり、RおよびRが独立して、CHであり、Rは、C~C12芳香族アルキルであるか、(iii)-NR6(+)であり、RおよびRが独立して、CHであり、Rは、-CH-Cであるか、または(iv)-NR6(+)であり、R、R、およびRが独立して、CHであり、Yの対イオンは、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、二水素リン酸塩、二水素亜リン酸塩、ギ酸塩、炭酸水素塩、シュウ酸水素塩、硫酸水素塩、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Y’が、-COOHもしくはその塩、-SOHもしくはその塩、または-POもしくはその塩である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が、-CHCH-、-CHCHCH-、-C(CH-、直鎖C~C18アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、または分岐鎖C~C20アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
(i)Rが、Hであり、Rが、C~C30アルキルであるか、(ii)Rが、C~C30アルキルであり、Rが、H、CH、もしくはC~Cアルキルであるか、または(iii)Rが、C~C30アルキルもしくはC~C20アルキルである、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
前記エポキシドが、アルキルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ドデシグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、1,2-エポキシアルカン、1,2-エポキシテトラデカン、1,2-エポキシドデカン、または1,2-エポキシオクタンであり、前記活性化オレフィンが、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、または2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
前記活性化オレフィンが、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、イタコン酸、マレイン酸、または3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネートである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
前記活性化オレフィンが、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
Y’が、アニオン基であり、正の対イオンが、Li、Na、K、NH 、または四級アンモニウムである、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が、同じポリアミン、活性化オレフィン、およびエポキシドから誘導される少なくとも2つの修飾ポリアミン化合物の混合物であるか、または前記化合物が、異なるポリアミンならびに同じ活性化オレフィンおよびエポキシドから誘導される少なくとも2つの修飾ポリアミン化合物の混合物である、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が、約100~約2,000,000Daの平均分子量(M)を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、少なくとも2個の正電荷、または少なくとも4個の負電荷を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が、NA-[R10’-NA、H-(RNA)-RNA、NA-(RNA)-RNA、またはNA-(RN(R’))-RNAの一般式のうちの1つを有し、式中、
10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、
Rが、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、
R’が、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH)CH、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNA、RNARNA、またはRN(RNAであり、nは、2~1,000,000であり得、
Aは、H、
【化3】
の組み合わせ、またはH、
【化4】
の組み合わせであり、
Xが、NHまたはOであり、
が、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルケニル、又はアルキニル基であり、
2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖C~C30アルキレン基であり、
が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、
Yが、-NR6(+)であり、
Y’が、-COOH、-SOH、-PO、-OSOH、-OPO、またはそれらの塩であり、
、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基であり、
が、Hまたはアルキルであり、
が、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、kは、1~30の整数であり、
前記化合物が、1個、もしくはそれ以上の
【化5】
基および少なくとも1つの
【化6】
基を有する多重荷電カチオン性化合物であるか、または1個、もしくはそれ以上の
【化7】
基、および少なくとも1つの
【化8】
基を有する多重荷電アニオン性化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、直鎖ポリエチレンイミン、ならびに2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸およびC12~C14アルキルグリシジルエーテルから誘導される、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、分岐鎖ポリエチレンイミン、ならびに2-エチルヘキシルグリシジルエーテルおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)からのものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の修飾ポリアミン化合物を合成するための方法であって、
ポリアミンを活性化オレフィンおよびエポキシドと接触させて、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物にすることを含み、
前記活性化オレフィンは、以下の式のうちの1つを有し、
【化9】
前記エポキシドが、
【化10】
であり、
Xが、NHまたはOであり、
が、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルケニル、又はアルキニル基であり、
2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、
が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、
Yが、-NR6(+)であり、
Y’が、-COOH、-SOH、-PO、-OSOH、-OPO、またはそれらの塩であり、
、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基であり、
が、Hまたはアルキルであり、
が、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、kは、1~30の整数であり、
前記ポリアミンおよび活性化オレフィンが、アザ-マイケル付加反応を受け、前記ポリアミンおよびエポキシドが、開環反応を受け、
前記化合物が、前記活性化オレフィンからの1個、もしくはそれ以上の正電荷および前記エポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電カチオン性化合物、または前記活性化オレフィンからの1個、もしくはそれ以上の負電荷および前記エポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電アニオン性化合物である、方法。
【請求項26】
前記接触ステップが、反応溶媒の存在下で行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、PEG、またはそれらの混合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記接触ステップが、触媒、塩基、または酸の存在下で行われる、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記接触ステップが、塩基を含まずに行われる、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記接触ステップが、有機塩基の存在下で行われる、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記接触ステップが、水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ性金属水酸化物、金属炭酸塩、イミダゾール、ピリジン塩基、アミジン塩基、グアニジン塩基、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記接触ステップが、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で行われる、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1~24のいずれか一項に記載の1つ以上の修飾ポリアミン化合物を含む、物品、製品、または組成物。
【請求項34】
水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせを含む担体溶媒をさらに含む、請求項33に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項35】
前記担体溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである、請求項34に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項36】
前記物品、製品、または組成物が、固体または液体である、請求項33~35のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項37】
非イオン性、半非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、ジカチオン性、ジアニオン性界面活性剤、またはそれらの混合物である界面活性剤をさらに含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2018年8月29日に出願された仮出願第62/724,357号に基づく優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、多重荷電分子の分野およびそれを作製する方法に関する。特に、本開示は、カチオン基またはアニオン基とその窒素原子に結合した非イオン性基との両方を含む新しい分類の修飾ポリアミンに関する。開示された化合物は、様々な用途において単独でまたは他の化学物質と一緒に、汚損制御剤、抗菌剤、消毒剤、柔軟仕上げ剤、帯電防止剤、腐食防止剤、発泡剤、浮選コレクタ、分散剤、石油増進回収(EOR)を支援する界面活性剤、洗浄剤などとして有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
工業用水システムを含む水システムは、多くの異なる目的を果たす。その装置および水を含む任意の水システムは、微生物汚染および汚損を招きやすい。現在利用可能な最良の水処理プログラムで処理された工業用水システムにおいてさえ、あらゆる有機または無機材料の汚損または付着が生じ得る。水システムが定期的に清掃または処理されないと、水システムはひどく汚損されるであろう。
【0004】
汚損は、微生物汚染およびそれに続く微生物および/またはバイオフィルム成長によって生じる。工業用水システムにおける微生物汚染の原因は数多くあり、風媒性汚染、水補給、プロセス漏出、および不適切に洗浄された装置が含まれ得るが、これらに限定されない。汚損を引き起こす微生物は、水システムの任意の湿潤性または半湿潤性の表面上に微生物群を確立する場合がある。蒸発冷却水システムは、特に汚損を生じやすい。
【0005】
汚損は、水システム、特に工業用水システムに悪影響を及ぼす。例えば、深刻な鉱物スケール(無機材料)は、任意の水接触面に蓄積し、続いて、任意のスケールは、微生物および/またはバイオフィルム成長に理想的な環境を提供する。水システムにおいて汚損またはバイオフィルム成長が進行することができると、水システムは、動作効率の低下、早期の装置故障、および微生物汚損ならびに/またはバイオフィルム成長に関連する健康関連リスクの増加に見舞われる場合がある。
【0006】
微生物群が表面上で発達するにつれて、微生物によって分泌されたエキソポリマー物質が、バイオフィルムの形成を助ける。これらのバイオフィルムは、栄養素を集めるための手段を確立し、微生物成長に対する保護を提供する複雑な生態系であるため、バイオフィルムはスケール形成、腐食、および他の汚損プロセスを加速させる場合がある。バイオフィルムは、水システムの効率低下の一因になるだけでなく、微生物の増殖および危険なレジオネラ属細菌の発生に優れた環境を提供する。したがって、レジオネラ属菌および他の水媒性病原体に関連した健康関連のリスクを最小限に抑えるために、バイオフィルムおよび他の汚損プロセスを可能な限り低減することが重要である。
【0007】
バイオフィルムおよびバイオフィルムに関連する微生物を洗浄または除去するために、様々な方法が開発されている。バイオフィルムの洗浄および除去が必要である一方、より良好な手法は、汚損またはバイオフィルムの形成もしくは成長を阻止または低減することであるため、バイオフィルムを一掃または除去する必要性が低減される。バイオフィルムの一掃または除去には、通常、動作の中断および他の化学物質の導入が必要である。汚損および/またはバイオフィルム形成もしくは成長を阻止または低減するための1つの方法は、水システムを汚損制御組成物剤または汚損制御組成物で処理することである。例えば、腐食抑制剤および/または汚損制御組成物剤は、炭素鋼パイプラインおよびインフラストラクチャを腐食およびバイオフィルム形成から保護するために、上流の石油およびガス生産流体にしばしば添加される。
【0008】
四級アンモニウム化合物は、腐食防止剤および汚損制御剤として長年使用されてきた。四級アンモニウム化合物は、独特の特性を有するため、界面活性剤の重要なサブカテゴリに属する。四級アンモニウム化合物と他の界面活性剤との間の主な違いは、それらの独特の構造である。四級アンモニウム化合物は、主に2つの部分、疎水基、例えば長アルキル基、および四級アンモニウム塩基からなる。アンモニウムの独特の正電荷は、重要な役割、例えば、界面活性剤と表面との間またはバイオフィルムの異なる構成成分間の静電相互作用を担う。しかしながら、そのような目的に使用される四級アンモニウム化合物は、ビス四級種またはベンジルクロリドで四級化された種である場合が多く、非常に有害であることが知られている。加えて、単一の四級化合物を含有する任意の水を環境に放出するために政府の規制が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本開示の目的は、水システムにおける汚損制御のための新規化合物を効率的かつ効果的に作製する方法を開発することである。
【0010】
本開示のさらなる目的は、物品、製品、および/または組成物において新規化合物を使用することである。
【0011】
本開示のこれらのおよび他の目的、利点、および特徴は、本明細書に記載の特許請求の範囲と共に、以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書には、新規化合物、開示される化合物を作製する方法、および開示される化合物を含む物品または組成物が開示される。より具体的には、開示される化合物は、様々なサイズの単一分子内に多数の正電荷または負電荷および非イオン性基を含む多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物である。それらは水溶性ポリアミンまたはポリエチレンイミンから誘導される。
【0013】
一態様では、本明細書には、NA-[R10’-NA、(RNA)-RNA、NA-(RNA)-RNA、またはNA-(RN(R’))-RNAの一般式のうちの1つを有する多重荷電化合物であって、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNAB、RNARNAB、またはRN(RNAB)であり、nは、2~1,000,000であり得、Aが、H、
【化1】
の組み合わせ、またはH、
【化2】
の組み合わせであり、
式中、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR (+)であり、Y’が、-COOH、-SOH、-POH、-OSOH、-OPOH、またはそれらの塩であり、R、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基であり、Rが、Hまたはアルキルであり、Rが、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、化合物は、1、2、3個、もしくはそれ以上の
【化3】
基および少なくとも1つの
【化4】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または1、2、3個、もしくはそれ以上の
【化5】
基および少なくとも1つの
【化6】
基を有する多重荷電アニオン性化合物である、多重荷電化合物が開示される。
【0014】
別の態様では、本明細書には、ポリアミンから活性化オレフィンおよびエポキシドとのその反応を通じて誘導される多重荷電化合物であって、活性化オレフィンは、以下の式、
【化7】
のうちの1つを有し、エポキシドは、
【化8】
であり、
式中、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR (+)であり、Y’が、-COOH、-SOH、-POH、-OSOH、-OPOH、またはそれらの塩であり、R、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基であり、Rが、Hまたはアルキルであり、Rが、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、ポリアミンおよび活性化オレフィンが、アザ-マイケル付加反応を受け、ポリアミンおよびエポキシドが、開環反応を受け、化合物が、活性化オレフィンからの1、2、3個、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電カチオン性化合物、または活性化オレフィンからの1、2、3個、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電アニオン性化合物である、多重荷電化合物が開示される。
【0015】
別の態様では、本明細書には、本明細書に開示される化合物またはその塩を作製する方法が開示される。
【0016】
さらに別の態様では、本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む物品、製品、または組成物が、本明細書に提供される。
【0017】
上記の概要は、例示的なものにすぎず、決して限定することを意図していない。上記の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、本技術のさらなる態様、実施形態、および特徴は、本技術の例示的な実施形態を示し、かつ記載する以下の図面および詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明も、決して限定するものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】最初に直鎖ポリエチレンイミンとエポキシドとの開環反応、および次いで活性化オレフィン(α,β-不飽和カルボニル化合物)とのアザ-マイケル付加反応によって、多重荷電カチオン性化合物を生成するための例示的な一般反応スキームである。
図2】最初に直鎖ポリエチレンイミンとα,β-不飽和カルボニル化合物とのアザ-マイケル付加反応、および次いでエポキシドとの開環反応によって、多重荷電カチオン性化合物を生成するための例示的な代替の一般反応スキームである。
図3】開環反応およびアザ-マイケル付加反応をそれぞれ通して、分岐鎖ポリエチレンイミンをエポキシドおよびα,β-不飽和カルボニル化合物の両方と反応させることにより、多重荷電カチオン性化合物を生成するための例示的な一般反応スキームである。
図4】開環反応およびアザ-マイケル付加反応をそれぞれ通して、直鎖ポリエチレンイミンをエポキシドおよびα,β-不飽和カルボニル化合物の両方と反応させることにより、多重荷電カチオン性化合物を生成するための一般反応スキームである。
【0019】
本開示の様々な実施形態が図面を参照して詳細に説明されることになり、同様の参照番号は、いくつかの図を通して、同様の構成要素を表している。様々な実施形態への言及は、本開示の範囲を限定しない。本明細書において提示される図は、本開示による様々な実施形態に対する限定ではなく、本開示の例示的な説明のために提示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書には、新規化合物、本明細書に開示される化合物を作製する方法、および本明細書に開示される化合物を含む物品または組成物が開示される。より具体的には、アザ-マイケル付加反応および開環反応の両方を通して、ポリアミン、活性化オレフィン、およびエポキシドから誘導される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物が開示される。そのような化合物を合成する方法が開示される。
【0021】
本開示の実施形態は、特定の組成物および使用方法に限定されず、これは変えることができ、当業者によって理解される。本明細書に使用される全ての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が別段明らかに示されない限り、複数形の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、そのSI認証形態で表示され得る。
【0022】
本明細書内に列挙された数値範囲は、定義された範囲内の数を含む。本開示全体を通して、本開示の様々な態様が、範囲形式で提示されている。範囲形式での記載は、単に便宜性および簡潔性のためであると理解されるべきであり、本開示の範囲への不可変な限定として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能性のある部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0023】
本開示をより容易に理解し得るように、ある特定の用語をまず定義する。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示の実施形態に関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、必要以上の実験を伴うことなく本開示の実施形態の実践に使用されることができ、好ましい材料および方法が、本明細書に記載されている。本開示の実施形態についての記載および特許請求において、以下に記載の定義に従って、以下の専門用語が使用されるであろう。
【0024】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、現実世界において濃縮物または使用溶液の作製に使用される典型的な測定および液体取扱い手順、これらの手順における誤差、組成物の作製または方法の実行に使用される成分の製造、供給源、または純度の違いなどによって生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に対する新規の平衡条件によって異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「置換された」とは、その中に含有される水素原子への1つ以上の結合が非水素原子または非炭素原子への結合によって置き換えられている以下に定義される有機基(例えばアルキル基)を指す。置換基としてはまた、ヘテロ原子への二重結合または三重結合を含む1つ以上の結合によって、1つ以上の炭素原子(複数可)または水素原子(複数可)が置き換えられている基が挙げられる。したがって、置換基は、別段特定されない限り、1つ以上の置換基で置換されている。置換基は、1、2、3、4、5、または6個の置換基で置換されていてもよい。
【0026】
置換環の基としては、水素原子への結合が炭素原子への結合で置き換えられている環および環系が挙げられる。したがって、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリール基もまた、置換または非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基で置換されてもよく、本明細書で定義されている。
【0027】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」または「アルキル基」は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、シクロアルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチルなど)、ならびにアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。
【0028】
別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用されるとき、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が挙げられ得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「複素環式基」という用語は、環中の1個以上の炭素原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似の閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよい。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられる。
【0030】
アルケニル基またはアルケンは、2~約30個の炭素原子を有し、さらに少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基である。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~約30個の炭素原子、または典型的には2~10個の炭素原子を有する。アルケニル基は、置換または非置換であり得る。アルケニル基の二重結合の場合、二重結合の配置は、トランスまたはシス配置であり得る。アルケニル基はアルキル基と同様に置換されていてもよい。
【0031】
アルケニル基は、2~約30個の炭素原子を有し、さらに少なくとも1つの三重結合を含む、直鎖、分岐鎖、または環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~約30個の炭素原子、または典型的には2~10個の炭素原子を有する。アルキニル基は、置換または非置換であり得る。アルキニル基は、アルキルまたはアルケニル基と同様に置換されていてもよい。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」、「シクロアルキレン」、「アルキニリド」、および「アルケニレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれ-CHCHCH-によって例示されるような、アルキル、シクロアルキル、またはアルケニル基から誘導される二価ラジカルを指す。アルキレン、シクロアルキレン、アルキニレン、およびアルケニレン基については、連結基の配向は暗示されない。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「エステル」は、-R30COOR31基を指す。R30は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R31は、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「アミン」(または「アミノ」)は、-R32NR3334基を指す。R32は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R33およびR34は独立して、水素、または本明細書に定義されているように、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「アミン」はまた、独立した化合物を指す。アミンが化合物であるとき、R32’NR33’34’基の式によって表すことができ、式中、R32’、33’およびR34は独立して、水素、または本明細書に定義されているように、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「アルコール」は、-R35OH基を指す。R35は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「カルボン酸」は、-R36COOH基を指す。R36は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「エーテル」は、-R37OR38基を指す。R37は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R38は、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。
【0039】
本明細書で使用される「溶媒」という用語は、任意の無機または有機溶媒を指す。溶媒は、反応溶媒または担体溶媒として、開示される方法または物品、製品、もしくは組成物に有用である。好適な溶媒としては、低級アルカノール、低級アルキルエーテル、グリコール、アリールグリコールエーテル、および低級アルキルグリコールエーテルなどの酸素化溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。他の溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、混合エチレン-プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ならびにプロピレングリコールフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。水も溶媒である。本明細書で使用される溶媒は、単一の溶媒、または多くの異なる溶媒の混合物であり得る。
【0040】
グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールt-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールtert-ブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルなど、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】

本明細書に開示される組成物または方法には、酸が含まれ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、酸を含まない。
【0042】
一般に、酸は、本開示で使用される場合、有機酸および無機酸の両方を含む。有機酸としては、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、グルコン酸、イタコン酸、トリクロロ酢酸、尿素塩酸塩、および安息香酸が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびテレフタル酸などのジカルボン酸も挙げられる。これらの有機酸の組み合わせも使用され得る。無機酸としては、リン酸、硫酸、スルファミン酸、メチルスルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、および硝酸などの鉱酸が挙げられるが、これらに限定されない。無機酸は、単独で、他の無機酸(複数可)と組み合わせて、または1つ以上の有機酸と組み合わせて使用され得る。酸発生剤は、例えばフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、ケイフッ化ナトリウムなどの発生剤を含み、好適な酸を形成するために使用され得る。
【0043】
本明細書に開示されるこの方法または組成物において特に好適な酸の例にとしては、無機酸および有機酸が挙げられる。例示的な無機酸としては、リン酸、ホスホン酸、硫酸、スルファミン酸、メチルスルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、および硝酸が挙げられる。例示的な有機酸としては、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、クエン酸、乳酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、グルコン酸、イタコン酸、トリクロロ酢酸、尿素塩酸塩、および安息香酸が挙げられる。シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびテレフタル酸などの有機ジカルボン酸を使用することもできる。
【0044】
アルカリ源または塩基
開示される調製方法または組成物は、触媒または成分として有効量のアルカリ源または塩基を使用することを含み得る。続いて、アルカリ源または塩基は、1つ以上のアルカリ化合物を含む。アルカリ源は、その固体、液体、または溶液の形で反応混合物に添加され得る。
【0045】
一般に、有効量のアルカリ源は、少なくとも約8のpHを有する版の混合物を提供する量としてみなされるべきである。溶液が約8~約10のpHを有するとき、それは、弱アルカリ性とみなされ得、pHが約12より大きいとき、溶液は、苛性とみなされ得る。
【0046】
アルカリ源は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、またはそれらの混合物を含むことができる。使用可能な好適な金属炭酸塩は、例えば、炭酸、重炭酸、セスキ炭酸のナトリウムもしくはカリウム、またはそれらの混合物を含む。使用可能な好適なアルカリ金属水酸化物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、または水酸化カリウムを含む。有用なアルカリ金属ケイ酸塩の例には、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム(2.4~5:1のMO:SiO比を有し、Mはアルカリ金属を表す)またはメタケイ酸塩が含まれる。メタケイ酸塩は、水酸化物およびケイ酸塩を混合することによって作製され得る。アルカリ源はまた、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムなどの金属ホウ酸塩も含み得る。
【0047】
アルカリ源はまた、エタノールアミン、尿素硫酸塩、アミン、アミン塩、および四級アンモニウムも含み得る。最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩および第四級アンモニウム化合物は、以下のように概略的に描かれ、
【化9】
式中、Rは、長アルキル鎖を表し、R’、R’’、およびR’’’は、長アルキル鎖、またはより小さいアルキル基もしくはアリール基、あるいは水素のいずれかであってもよく、Xは、アニオンを表す。
【0048】
いくつかの実施形態では、反応物質が反応を触媒するために一級アミンまたは一級アミン基を含有するため、調製方法は、アルカリ源を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、アルカリ源を含まない。
【0049】
ポリアミン
ポリアミンは、NH-[R10’-NH、(RNH)-RNH、HN-(RNH)-RNH、またはHN-(RN(R’))-RNHの一般式を有することができるが、これに限定されず、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nは、2~1,000,000であり得る。ポリアミン中のモノマー、例えば、RまたはR’基は、同じであっても異なっていてもよい。本開示では、ポリアミンは、nが1~9であるときの小分子ポリアミン、およびnが10~1,000,000であるときの高分子ポリアミンの両方を指す。
【0050】
小分子ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、およびトリス(2-アミノエチル)アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
他の可能なポリアミンとしては、HuntsmanによるJEFFAMINE(登録商標)モノアミン、ジアミン、およびトリアミンが挙げられる。これらの非常に多機能な製品は、通常、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、または両方のオキシドの混合物に基づくポリエーテル骨格の末端に結合した一級アミノ基を含有する。JEFFAMINE(登録商標)アミンは、コアポリエーテル骨格構造に基づくモノアミン、ジアミンおよびトリアミンからなるポリエーテルアミン族を含む。JEFFAMINE(登録商標)アミンはまた、高転化率およびポリテトラメチレングリコール(PTMEG)系のポリエーテルアミンを含む。これらのJEFFAMINE(登録商標)アミンは、約130~約4,000の平均分子量(M)を有する。
【0052】
本開示で使用されるポリアミンは、ポリアミン誘導体または修飾ポリアミンであり得、ポリアミン中のNHプロトンのうちの1つ以上が、すべてではないが、非置換または置換基によって置換される。例えば、窒素原子に接続された1つ以上のアルキル基を含有するアルキルポリアミンを使用して、本明細書に開示される多重荷電カチオン性ポリアミンを生成することができる。これらのPEI誘導体では、一級NHまたは二級NHプロトンのうちのいくつかのみが他の非プロトン基に置き換えられ、残りのNHまたはNHプロトンは、アザ-マイケル付加反応によって、親水性(イオン性)基を含有する活性化オレフィンなどのマイケル受容体と依然として反応することができる。
【0053】
高分子ポリアミンの1つの分類は、ポリエチレンイミン(PEI)およびその誘導体を含む。ポリエチレンイミン(PEI)またはポリアジリジンは、CHCHNHの繰り返し単位を有するポリマーであり、NH(CHCHNH)-CHCHNH2の一般的な配合物を有し、式中、nは、2~10であり得る。PEI中の繰り返しモノマーは、43.07の分子量(M)および1:2の窒素と炭素との比率を有する。
【0054】
PEI誘導体は、エトキシル化/プロピル化PEI、ポリクワットPEI、ポリグリセロールクワットPEI、および他のPEI誘導体、塩、またはそれらの混合物を含む。修飾ポリエチレンイミンを含むポリエチレンイミンのモル質量は、約800g/モル~約2,000,000g/モルで変わり得る。例えば、SOKALAN(登録商標)HP20は、アルコキシル化PEI製品である。これらのPEI誘導体では、一級NH2または二級NHプロトンのいくつかのみが官能基に置き換えられ、残りのNHまたはNHプロトンは、マイケル受容体、例えば、活性化オレフィンもしくは親水性(イオン性)を含有するα,β-不飽和化合物と依然として反応することができる。
【0055】
PEIおよびそれらの誘導体は、直鎖、分岐鎖、または樹枝状であり得る。直鎖ポリエチレンイミンは、一級、二級、および三級アミノ基を含有する分岐鎖PEIとは対照的に、すべての二級アミンを含有する。完全に分岐した樹枝状の形態も存在し、一級および三級アミノ基を含有する。修飾されていない直鎖、分岐鎖、および樹枝状のPEIについての図を下記に示す。
【化10】
【0056】
PEI誘導体は通常、窒素原子上のプロトン(複数可)を異なる基で置換することによって得られる。1つのそのようなPEI誘導体は、エトキシル化およびプロポキシル化PEIであり、ポリエチレンイミンは、エチレンオキシド(EO)および/またはプロピレンオキシド(PO)側鎖で誘導体化される。PEIのエトキシル化は、PEIの溶解度を高めることができる。
【0057】
PEIは、工業規模で生産される。様々な市販のポリエチレンイミンは、例えば、Lupasol(登録商標)(BASF)の商品名で販売されている、例えばLupasol(登録商標)FG、Lupasol(登録商標)G、Lupasol(登録商標)PR8515、Lupasol(登録商標)WF、Lupasol(登録商標)G20/35/100、Lupasol(登録商標)HF、Lupasol(登録商標)P、Lupasol(登録商標)PS、Lupasol(登録商標)PO100、Lupasol(登録商標)PN50/60、およびLupasol(登録商標)SKが挙げられるものを含んで入手可能である。これらのPEIはそれぞれ、約800、約1,300、約2,000、約5,000、約25,000、約1,300/2,000/5,000、約25,000、約750,000、約750,000、約1,000,000、および約2,000,000の平均分子量(M)を有する。
【0058】
ポリマーの分子量について一般的に使用される2つの平均は、数平均分子量(M)および重量平均分子量(M)である。多分散指数(D)は、ポリマーの分子量分布を表す。Mn=(Σn)/Σn、M=(Σn )/Σn、およびD=M/M、式中、指数番号iは、試料中に存在する異なる分子量の数を表し、nは、モル数とMのモル質量との合計である。ポリマーについては、MおよびMは通常異なる。例えば、PEI化合物は、GPCで約10,000のMおよびLSで約25,000のMを有することができる。
【0059】
光散乱(LS)は、ポリマー試料のMを測定するために使用することができる。試料または製品の分子量を測定する別の簡単な方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)である。GPCは、ポリマー内の分子をサイズによって分離し、材料の分子量分布を提供する分析技術である。GPCはまた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られている。この技術は、それらのMおよびMの両方についてのポリマーの分析に使用されることが多い。
【0060】
これらの市販および例示的なポリエチレンイミンは水溶性であり、水溶液またはメトキシプロパノール中に提供される無水ポリエチレンイミンおよび/または修飾ポリエチレンイミンとして入手可能である(Lupasol(登録商標)PO100については)。
【0061】
PEIおよびその誘導体は、通常、そのポリカチオン特性から誘導される多くの適用を見出す。アミン基が存在するため、PEIは酸でプロトン化されて、周囲の媒体からPEI塩を形成し、pHに依存して部分的または完全にイオン化された生成物を得ることができる。例えば、約73%のPEIがpH2でプロトン化され、約50%のPEIがpH4でプロトン化され、約33%のPEIがpH5でプロトン化され、約25%のPEIがpH8でプロトン化され、約4%のPEIがpH10でプロトン化される。一般に、PEIは、水の有無でそれらのプロトン化または非プロトン化形態として購入することができる。pH13の市販のPEIは、約16~17meq/g(1グラム当たりのミリ当量)の電荷(カチオン性)密度を有する。
【0062】
各プロトン化窒素中心の対イオンは、中和中に得られる酸のアニオンとバランスが取れている。プロトン化されたPEI塩の例としては、PEI-塩酸塩、PEI-硫酸塩、PEI-硝酸塩、PEI-酢酸塩 PEI脂肪酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。実際に、任意の酸を使用して、PEIをプロトン化し、対応するPEI塩化合物を形成することができる。
【0063】
本開示において有用な好適なポリエチレンイミンは、一級、二級、および三級アミン置換基の混合物、または異なる平均分子量の混合物を含有し得る。一級、二級、および三級アミン置換基の混合物は、例えば、鎖セグメントに沿って3~3.5の窒素原子ごとに分岐する約1:1:1~約1:2:1の比率で含む任意の比率であり得る。あるいは、好適なポリエチレンイミン化合物は、主に、一級、二級、または三級アミン置換基のうちの1つであり得る。
【0064】
本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を作製するために使用することができるポリアミンは、様々なその平均分子量を有することができる。それらの特徴的な平均分子量を有する異なる多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、異なる出発小分子ポリアミン、高分子PEI、またはそれらの混合物を選択することによって生成することができる。ポリアミンまたはPEIのサイズ、ならびにα,β-不飽和化合物およびエポキシドによる修飾の程度を制御することにより、同様の平均分子量および多数のカチオン性電荷または多数のアニオン性電荷を有する多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を生成することができる。この特徴のために、未修飾のポリアミンまたはPEIを使用するより幅広い用途向けに、異なる多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を生成および使用することができる。
【0065】
具体的には、本明細書に開示される修飾ポリアミンを作製するために使用することができるポリアミンは、約60~200、約100~400、約100~600、約600~5,000、約600~800、約800~2,000、約800~5,000、約100~2,000,000、約100~25,000、約600~25,000、約800~25,000、約600~750,000、約800~750,000、約25,000~750,000、約750,000~2,000,000、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約1,000、約1,500、約2,000、約3,000、約5,000、約8,000、約10,000、約15,000、約20,000、約50,000、約100,000、約250,000、約500,000、約1,000,000、約2,000,000、またはそれらの間の任意の値の平均分子量(M)を有する。
【0066】
一態様では、本明細書には、NA-[R10’-NA、(RNA)-RNA、NA-(RNA)-RNA、またはNA-(RN(R’))-RNAの一般式のうちの1つを有する多重荷電化合物であって、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNA、RNARNA、またはRN(RNAであり、nは、2~1,000,000であり得、Aが、H、
【化11】
の組み合わせ、またはH、
【化12】
の組み合わせであり、
式中、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR (+)であり、Y’が、-COOH、-SOH、-POH、-OSOH、-OPOH、またはそれらの塩であり、R、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基であり、Rが、Hまたはアルキルであり、Rが、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、化合物は、1、2、3個、もしくはそれ以上の
【化13】
基および少なくとも1つの
【化14】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または1、2、3個、もしくはそれ以上の
【化15】
基および少なくとも1つの
【化16】
基を有する多重荷電アニオン性化合物である、多重荷電化合物が開示される。
【0067】
いくつかの実施形態では、Aは、
【化17】
である。いくつかの他の実施形態では、Aは、
【化18】
である。さらにいくつかの他の実施形態では、Aは、
【化19】
である。
【0068】
いくつかの実施形態では、多重荷電化合物は、NA-[R10’-NAである。いくつかの他の実施形態では、多重荷電化合物は、(RNA)-RNAである。さらにいくつかの他の実施形態では、多重荷電化合物は、NA-(RNA)-RNAである。いくつかの他の実施形態では、多重荷電化合物は、NA-(RN(R’))-RNAである。
【0069】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの他の実施形態では、Rは、C~Cアルキル基である。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基である。
【0070】
別の態様では、本明細書には、ポリアミンから活性化オレフィンおよびエポキシドとのその反応を通じて誘導される多重荷電化合物であって、活性化オレフィンは、以下の式、
【化20】
のうちの1つを有し、エポキシドは、
【化21】
であり、
式中、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR (+)であり、Y’が、-COOH、-SOH、-POH、-OSOH、-OPOH、またはそれらの塩であり、R、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基であり、Rが、Hまたはアルキルであり、Rが、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、ポリアミンおよび活性化オレフィンが、アザ-マイケル付加反応を受け、ポリアミンおよびエポキシドが、開環反応を受け、化合物が、活性化オレフィンからの1、2、3個、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電カチオン性化合物、または活性化オレフィンからの1、2、3個、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電アニオン性化合物である、多重荷電化合物が開示される。
【0071】
本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、ポリアミンから、イオン性基を有するα,β-不飽和カルボニル化合物などの活性化オレフィンとのそのアザ-マイケル付加反応、およびエポキシドとのその開環反応の結果、誘導される。
【0072】
開示された化合物をもたらすポリアミンの2つの反応は、例えば、図1図2、および図3に示すような3つの異なる方法で、逐次的または同時的であり得、これらの図は、開示された多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物をもたらす構造および反応についての一般スキームを図示している。
【0073】
図1は、最初に直鎖ポリエチレンイミンとエポキシドとの開環反応、および次いで活性化オレフィン、例えばカチオン基を有するα,β-不飽和カルボニル化合物とのアザ-マイケル付加反応によって、多重荷電カチオン性化合物を生成するための例示的な一般反応スキームを示す。図2は、最初に直鎖ポリエチレンイミンとα,β-不飽和カルボニル化合物とのアザ-マイケル付加反応、および次いでエポキシドとの開環反応によって、多重荷電カチオン性化合物を生成するための例示的な代替の一般反応スキームを示す。図3は、開環反応およびアザ-マイケル付加反応をそれぞれ通して、分岐鎖ポリエチレンイミンをエポキシドおよびα,β-不飽和カルボニル化合物の両方と反応させることにより、多重荷電カチオン性化合物を生成するための例示的な一般反応スキームを示す。
【0074】
図1図2、および図3では、k、l、m、n、o、またはpは、1~100の整数であり、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル基であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR6(+)、またはその塩であり、R、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基またはベンジル基であり、Rが、Hまたはアルキルであり、Rが、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数である。
【0075】
図1図2、および図3の構造VおよびVIは、一般化された反応生成物の描写である。構造VおよびVIでは、ポリエチレンイミン中のすべての二級および一級アミン基は、エポキシドおよびα,β-不飽和カルボニル化合物と反応するため、二級アミン基は残らない。開示された多重荷電イオン性化合物において、いくつかの二級または一級アミン基は、エポキシドまたは活性化オレフィンのいずれとも完全には反応せず、多重荷電イオン性化合物中またはその塩中に一級または二級アミン基として残る可能性がある。
【0076】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの他の実施形態では、Rは、CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。
【0077】
いくつかの実施形態では、Rは、C~C30アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、C~C20アルキルである。
【0078】
いくつかの実施形態では、Rは、-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、アルキル基は、C~C30アルキル基である。
【0079】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、NH-[R10’-NH、(RNH)-RNH、HN-(RNH)-RNH、またはHN-(RN(R’))-RNHであり、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C-C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nは、2~1,000,000であり得る。ポリアミン中のモノマー、例えば、RまたはR’基は、同じであっても異なっていてもよい。本開示では、ポリアミンは、nが1~9であるときの小分子ポリアミン、およびnが10~1,000,000であるときの高分子ポリアミンの両方を指す。
【0080】
言い換えれば、多重荷電イオン性化合物は、NA-[R10’-NA、(RNA)-RNA、NA-(RNA)-RNA、またはNA-(RN(R’))-RNAなどの式を有することができ、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基であり、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNA、RNARNA、またはRN(RNAであり、nは、2~1,000,000であり得、Aが、H、
【化22】
組み合わせ、またはH、
【化23】
の組み合わせであり、式中、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR (+)であり、Y’が、-COOH、-SOH、-POH、-OSOH、-OPOH、またはそれらの塩であり、R、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基であり、Rが、Hまたはアルキルであり、Rが、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、化合物が、活性化オレフィンからの1、2、3個、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電カチオン性化合物、または活性化オレフィンからの1、2、3個、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電アニオン性化合物である。
【0081】
いくつかの実施形態では、Aは、正に帯電した
【化24】
および非イオン性の
【化25】
である。他のいくつかの実施形態では、Aは、負に帯電した
【化26】

および非イオン性の
【化27】
である。
【0082】
いくつかの実施形態では、一級NHプロトンのうちの少なくとも2つは、
【化28】
によって置き換えられ、一級NHまたは二級NHのうちの少なくとも1つは、
【化29】
によって置き換えられ、一級NHプロトンの残部は、そのまま残る。いくつかの実施形態では、一級NHプロトンのうちの少なくとも2つは、
【化30】
によって置き換えられ、一級NHまたは二級NHのうちの少なくとも1つは、
【化31】
によって置き換えられ、一級NHプロトンの残部は、そのまま残る。いくつかの他の実施形態では、一級NHプロトンのすべてが、
【化32】
によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、一級NHおよび二級NHプロトンのいくつかは、
【化33】
によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、一級NHのすべておよび二級NHプロトンのいくつかは、
【化34】
によって置き換えられる。それでもなお、本明細書に開示される化合物は、1、2、3個、もしくはそれ以上の
【化35】
基および少なくとも1つの
【化36】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または1、2、3個、もしくはそれ以上の
【化37】
基もしくは
【化38】
基および少なくとも1つの
【化39】
基を有する多重荷電アニオン性化合物である。
【0083】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの他の実施形態では、Rは、CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、CHCH、CHCHCH、またはCH(CHである。
【0084】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR (+)である。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR (+)であり、R、R、およびRは独立して、CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Yは、-NR (+)であり、RおよびRは独立して、CHであり、Rは、C~C12芳香族アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR (+)であり、RおよびRは独立して、CHであり、Rは、-CH-Cである。
【0085】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR (+)であり、Yの対イオンは、負に帯電したイオンまたは種である。いくつかの他の実施形態では、Yの対イオンは、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、Y’は、-COOHまたはその塩である。いくつかの他の実施形態では、Y’は、-SOH、-OSOH、またはそれらの塩である。さらにいくつかの他の実施形態では、Y’は、-POH、-OPOH、またはそれらの塩である。
【0087】
いくつかの実施形態では、Yがアニオン基であるとき、負電荷の対位イオンは、Li、Na、K、NH 、四級アンモニウムなどである。
【0088】
いくつかの実施形態では、Rは、CHである。いくつかの他の実施形態では、Rは、CHCHである。他の実施形態では、Rは、C(CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、非置換、直鎖、および飽和C~C30アルキレン基である。いくつかの実施形態では、Rは、非置換、直鎖、および不飽和C~C30アルキレン基である。
【0089】
いくつかの実施形態では、Rは、直鎖C~C18アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、Rは、分岐鎖C~C20アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。
【0090】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、-[RNH]-の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、Rが、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、3、4、5、6、7~9、または10~1,000,000の整数である。
【0091】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、(RNH)-RNH2の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、各モノマー中で同じである。いくつかの他の実施形態では、Rは、あるモノマーと別のモノマーとは異なり得る。
【0092】
いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、HN-(RNH)-RNHの一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、各モノマー中で同じである。いくつかの他の実施形態では、Rは、あるモノマーと別のモノマーとは異なり得る。
【0093】
さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、HN-(RN(R’))-RNHの一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、RまたはR’は、各モノマー中で同じである。いくつかの他の実施形態では、RまたはR’は、あるモノマーと別のモノマーとは異なり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、NH-[R10’-NHの一般式を有するものであり、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、3、4、5、6、7~9、または10~1,000,000の整数である。
【0095】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、HuntsmanによるJEFFAMINE(登録商標)に基づく1つ以上のポリアミンである。
【0096】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、アルキレンアミンを含み、アルキレンアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ポリエチレンイミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、またはそれらの混合物を含む。
【0097】
いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、ポリエーテル骨格を有するか、またはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、もしくは両方の酸化物の混合物に基づくポリエーテル骨格を有するモノアミン、ジアミン、およびトリアミンの混合物である。
【0098】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、非修飾ポリアミンである。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、修飾ポリアミンである。
【0099】
さらにいくつかの実施形態では、ポリアミンは、エトキシル化ポリアミン、プロピル化ポリアミン、ポリクワットを有するポリアミン、ポリグリセロールを有するポリアミン、またはそれらの組み合わせである。
【0100】
さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリエチレンイミンである。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、一級および二級アミン基のみを含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンは、一級、二級、および三級アミン基のみを含む。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、一級および三級アミン基のみを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、単一の化合物である。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、2つ以上の異なるポリアミンの混合物であり、異なるポリアミンは、異なる分子量、異なる構造、またはその両方を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約60~約2,000,000Daの平均分子量(M)を有する。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、約60~約5,000Daの平均分子量(M)を有する。さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、約60~約25,000Daの平均分子量(M)を有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約60~200、約100~400、約100~600、約600~5,000、約600~800、約800~2,000、約800~5,000、約100~2,000,000、約100~25,000、約600~25,000、約800~25,000、約600~750,000、約800~750,000、約25,000~750,000、約750,000~2,000,000、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約1,000、約1,500、約2,000、約3,000、約5,000、約8,000、約10,000、約15,000、約20,000、約50,000、約100,000、約250,000、約500,000、約1,000,000、約2,000,000、またはそれらの間の任意の値の平均分子量(M)を有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約130~約4000の平均分子量(M)を有するジアミンまたはトリアミンである。
【0105】
いくつかの実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導された混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導された混合物である。
【0106】
いくつかの他の実施形態では、多重荷電カチオン性化合物は、分岐鎖ポリエチレンイミンおよび3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導された混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導された混合物である。
【0107】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、または2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MSQ)である。
【0108】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、またはそれらの混合物である。
【0109】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MSQ)、またはそれらの混合物である。
【0110】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸、3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート、またはそれらの塩もしくはそれらの混合物である。
【0111】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である。
【0112】
いくつかの実施形態では、エポキシドは、アルキルグリシダルエーテル(alkylglyicdal ether)、ヘキシルグリシダルエーテル、オクチルグリシダルエーテル、ドデシグリシダルエーテル、1,2-エポキシアルカン、1,2-エポキシテルタデカン(1,2-epoxytertadecane)、1,2-エポキシドデカン、もしくは1,2-エポキシオクタン、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、エポキシドは、アルキルグリシダルエーテルまたは1,2-エポキシアルカンである。さらにいくつかの他の実施形態では、エポキシドは、ヘキシルグリシダルエーテル、オクチルグリシダルエーテル、ドデシグリシダルエーテル、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、エポキシドは、1,2-エポキシテルタデカン、1,2-エポキシドデカン、もしくは1,2-エポキシオクタン、またはそれらの混合物である。
【0113】
さらにいくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンがアルカリ性pHで負電荷を帯びることができるアニオン基を含有する場合、負電荷の対陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、Li、Na、K、NH 、四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
いくつかの実施形態では、化合物は、エポキシド、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、およびそれぞれ、約1300の平均分子量(M)を有するポリエチレンイミン、約5,000の平均分子量(M)を有するポリエチレンイミン、約25,000の平均分子量(M)を有するポリエチレンイミン、または約750,000の平均分子量(M)を有するポリエチレンイミンからの生成物である。
【0115】
nが2よりも大きいとき、化合物は3つ以上のカチオン性化合物の混合物であり得、これは、NH置き換えの正確な位置が互いに異なることを理解すべきである。
【0116】
いくつかの実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、約100~約2,000,000Daの平均分子量(M)を有する。いくつかの他の実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、約100~約50,000Daの平均分子量(M)を有する。さらにいくつかの他の実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、約100Da~約600Da、約100Da~約1,000Da、約100Da~約1,400Da、約100Da~約3,000Da、約100Da~約5,500Da、または約100Da~約10,000Da、約100Da~約20,000Da、約100Da~約30,000Da、または約100Da~約40,000Daの平均分子量(M)を有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、多重荷電カチオン性化合物は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の正電荷を有する。いくつかの他の実施形態では、化合物は、10~1000個の正電荷、または正電荷間の任意の値を有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、多重荷電カチオン性化合物は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の負電荷を有する。いくつかの他の実施形態では、化合物は、10~1000個の正電荷、または負電荷間の任意の値を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、化合物または修飾化合物は、水溶性または水分散性である。
【0120】
エポキシドのアザ-マイケル付加反応および開環反応
本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、ポリアミンと、親水性(イオン性)基を含有する活性化オレフィンまたはα,β-不飽和カルボニル化合物などのマイケル受容体との間のアザ-マイケル付加反応、およびポリアミンとエポキシドとの間の開環反応から誘導される。アザ-マイケル付加反応および開環反応は、逐次的にまたは同時に起こり得る。いくつかの実施形態では、アザ-マイケル付加反応の反応生成物は、エポキシドの開環反応によってさらに誘導される。代替的に、本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、ポリアミンとエポキシドとの間の開環反応から誘導され、開環反応の生成物は、次いで、生成物間のアザ-マイケル付加反応を通した親水性(イオン性)基を含有する活性化オレフィンまたはα,β-不飽和カルボニル化合物などのマイケル受容体と反応する。
【0121】
脂肪族アミン基は、カルボニル、シアノ、またはニトロ基などの電子求引基の近位にある不飽和炭化水素部分(例えば、炭素-炭素二重結合)と接触するとき、アザ-マイケル付加反応を受けることができる。具体的には、マイケル付加は、求核剤と活性化オレフィンおよびアルキン官能性との間の反応であり、求核剤は、カルボニル基などの電子求引基および共鳴安定化活性化基に隣接している炭素-炭素多重結合にわたって付加する。マイケル付加求核剤は、「マイケル供与体」として知られ、活性化求電子オレフィンは、「マイケル受容体」として知られ、2つの構成成分の反応生成物は、「マイケル付加体」として知られている。マイケル供与体の例としては、アミン、チオール、ホスフィン、カルバニオン、およびアルコキシドが挙げられるが、これらに限定されない。マイケル受容体の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸アルキル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、シアノアクリレートおよびビニルスルホン、ビニルケトン、ニトロエチレン、α,β-不飽和アルデヒド、ホスホン酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アゾ化合物、ベータ-ケトアセチレン、およびアセチレンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
本明細書で使用される場合、「活性化オレフィン」は、二重結合炭素のうちの少なくとも1つが共役電子求引基を有する置換アルケンを指す。活性化オレフィンの例としては、α,β-不飽和カルボニル化合物(CH=CHCO-NH-CH、アルキル-CH=CH-CO-アルキル、CH=CHC(O)-O-CHなど)、CH=CH-COOH、CH=CH(CH)-COOH、CH=CH-SOHなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
アザ-マイケル付加反応は、強酸または強塩基によって触媒され得る。場合によっては、一部のイオン液体は、反応媒体および触媒の両方として機能することができる。開示される化合物を合成するためのアザ-マイケル付加反応に好ましい触媒は、塩基である。例示的な塩基触媒は、水酸化物およびアミンであり得る。開示される化合物を合成するための反応はポリアミンを使用するため、ポリアミン自体が、反応のための触媒として機能することができる。かかる実施形態では、追加の触媒は必要ではないか、または追加の触媒は任意である。他の好ましい触媒としては、アミジンおよびグアニジン塩基が挙げられる。
【0124】
反応のために溶媒および/または希釈剤の使用は任意である。用いられるとき、例えば、水、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF))、芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、アルコール(例えば、n-ブタノール)、などの様々な非酸性溶媒が好適である。合成プロセスが溶媒に比較的反応しにくいため、様々な溶媒が反応に使用され得る。溶媒(または希釈剤)が用いられるとき、充填レベルは、約10重量%~最大約80重量%以上の範囲であり得る。溶媒充填レベルは、最終反応混合物の約0重量%、約1重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約50重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約80重量%、約1重量%~約20重量%、約20重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、約60重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%、約5重量%、約15重量%、約25重量%、35重量%、約45重量%、約55重量%、約65重量%、約75重量%、またはそれらの間の任意の値であり得る。
【0125】
一般に、反応は、様々な温度にわたる温度で実施され得る。反応温度は、約0℃~約150℃、より好ましくは約50℃~約80℃の範囲であり得る。接触温度は、約10℃~約140℃、約20℃~約130℃、約30℃~約120℃、約40℃~約110℃、約50℃~約100℃、約60℃~約90℃、約70℃~約80℃、約0℃~約20℃、約20℃~約40℃、約40℃~約60℃、約60℃~約80℃、約80℃~約100℃、約100℃~約120℃、約120℃~約150℃、約5℃、約25℃、約45℃、約65℃、約85℃、約105℃、約125℃、約145℃、またはそれらの間の任意の値であり得る。反応温度は、反応の開始から反応の終了までとほぼ同じであり得、反応の進行中にある温度から別の温度に変更され得る。
【0126】
本明細書に開示される化合物の合成のための反応時間は、反応温度、触媒の有効性および量、希釈剤(溶媒)の有無などのかかる要因に応じて大きく異なり得る。好ましい反応時間は、約0.5時間~約48時間、約1時間~40時間、約2時間~38時間、約4時間~約36時間、6時間~約34時間、約8時間~約32時間、約10時間~約30時間、約12時間~約28時間、約14時間~26時間、約16時間~24時間、約18時間~20時間、約1時間~8時間、8時間~16時間、8時間~約24時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約14時間、約16時間、約18時間、約24時間、約30時間、約36時間、またはそれらの間の任意の値であり得る。
【0127】
エポキシドとアミンとの開環反応はまた、従来技術で知られている。この開環反応は、約-20℃~約200℃の温度で、および触媒、塩基、または酸の存在下で行うことができる。いくつかの実施形態では、開環反応は、触媒、塩基、または酸を含まずに行われる。他のいくつかの実施形態では、開環反応は、約100℃~約150℃の温度で、アザ-マイケル付加反応とは異なる温度で、別の触媒、塩基、または酸の存在下で行われる。
【0128】
開示された化合物の合成のためのアザ-マイケル付加および開環反応の両方は、1モルのポリアミンおよび指定されたモル(2モル以上)の活性化オレフィン、エポキシド、および両方が上記の温度で十分な時間で一緒に混合されるときに実現することができる。
【0129】
エポキシドのアザ-マイケル付加反応および開環反応を使用して、200℃を超える高温および標準の大気圧よりも高い高圧を使用することなく、高収率で(98%を超える)開示された化合物を合成することができることが見出された。
【0130】
両方の反応の進行は、典型的には、ESI-MSおよび/またはNMR分光法によってモノマーの消費について監視することができる。反応生成物は、HPLCまたは当業者に既知の他の方法によって精製または分離することができる。完了まで進行した反応に関しては、形成された生成物は、溶媒の除去によって、または反応媒体の反対であった無極性溶媒中での沈殿によって分離することができる。水中での反応については、形成された生成物は、水性反応混合物から沈殿する。より高い圧力により、反応を加速させることができる。典型的には、反応が室温で実施されると、16時間以内のいくつかの実施形態では、反応は、98%を超える生産収率を有することができる。
【0131】
作製の方法
別の態様では、本明細書には、化合物またはその塩を作製する方法であって、この方法は、ポリアミンを
【化40】
のエポキシドおよび以下の式のうちの1つによるイオン性基を有する活性化オレフィン(マイケル受容体)と接触させることを含み、
【化41】
式中、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR (+)であり、Y’が、-COOH、-SOH、-POH、-OSOH、-OPOH、またはそれらの塩であり、R、R、およびRが、独立して、C~C10アルキル基であり、Rが、Hまたはアルキルであり、Rが、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、ポリアミンおよび活性化オレフィンは、アザ-マイケル付加反応を受け、ポリアミンおよびエポキシドは、開環反応を受け、化合物は、活性化オレフィンからの1、2、3個、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電カチオン性化合物、または活性化オレフィンからの1、2、3個、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電アニオン性化合物である、方法が開示される。
【0132】
開示された方法のいくつかの実施形態では、ポリアミンは、NH-[R10’-NH、(RNH)-RNH、HN-(RNH)-RNH、HN-(RN(R’))-RNH、またはそれらの混合物であり、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nは、2~1,000,000であり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、以下であり、
【化42】
式中、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR (+)であり、R、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基である。
【0134】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MSQ)、またはそれらの混合物である。
【0135】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR (+)であり、Yの対イオンは、負に帯電したイオンまたは種である。いくつかの他の実施形態では、Yの対イオンは、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである。
【0136】
開示された方法のいくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、以下であり、
【化43】
式中、Xが、NHまたはOであり、Rが、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R2’が、H、CH、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CHCOOH、Y’、または-(CH-Y’であり、mは、2~4の整数であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Y’が、-COOH、-SOH、-POH、-OSOH、-OPOH、またはそれらの塩であり、R、R、Rが独立して、C~C10アルキル基である。
【0137】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である。
【0138】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート、またはそれらの混合物である。
【0139】
さらにいくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンがアルカリ性pHで負電荷を帯びることができるアニオン基を含有するとき、負電荷の対陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、Li、Na、K、NH 、四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの他の実施形態では、Rは、CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。
【0141】
いくつかの実施形態では、Rは、C~C30アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、C~C20アルキルである。
【0142】
いくつかの実施形態では、Rは、-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、アルキル基は、C~C30アルキル基である。
【0143】
いくつかの実施形態では、エポキシドは、アルキルグリシダルエーテル、ヘキシルグリシダルエーテル、オクチルグリシダルエーテル、ドデシグリシダルエーテル、1,2-エポキシアルカン、1,2-エポキシテルタデカン、1,2-エポキシドデカン、または1,2-エポキシオクタン、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、エポキシドは、アルキルグリシダルエーテルまたは1,2-エポキシアルカンである。さらにいくつかの他の実施形態では、エポキシドは、ヘキシルグリシダルエーテル、オクチルグリシダルエーテル、ドデシグリシダルエーテル、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、エポキシドは、1,2-エポキシテルタデカン、1,2-エポキシドデカン、または1,2-エポキシオクタン、またはそれらの混合物である。
【0144】
開示される方法のいくつかの実施形態では、接触ステップは、反応溶媒の存在下で行われる。反応溶媒は、化学合成で一般的に使用される任意の無機または有機溶媒であり得る。開示される方法で使用される反応溶媒は、当業者に既知の任意の方法により、ポリアミンと、カチオン基またはアニオン基を含む活性化オレフィンとの間の反応に導入することができる。例えば、溶媒は、ポリアミン、活性化オレフィン、もしくは両方が添加される前に、一方もしくは両方の反応物質と同時に、またはその後に、反応用の容器または槽に添加され得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、反応溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、PEG、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、反応溶媒は、水である。
【0146】
開示される方法のいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒、塩基、または酸の存在下で行われる。触媒、塩基、または酸は、当業者に既知の任意の方法によって、ポリアミンと活性化オレフィンとの間の反応に導入され得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、接触ステップは、追加の塩基またはアルカリ源の存在なしに行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ源の存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカノールアミンなどの有機塩基の存在下で行われる。さらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、イミダゾール/ピリジン塩基、またはそれらの組み合わせ、例えば、NaOH、NaCO、アミノエチルピリジン、アミノプロピルイミダゾール、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で行われる。いくつかの実施形態では、触媒塩基は、アミジンもしくはグアニジン塩基、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、触媒は、室温で無溶媒条件下で反応するための、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデカ-7-エン-8-イウムアセテートなどのイオン液体である。
【0148】
開示される方法のさらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、酸の存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒の存在下で行われる。触媒は、マイケル付加反応について当業者に既知の触媒のうちのいずれか1つ以上であり得る。
【0149】
開示される方法のさらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒、塩基、または酸を含まずに行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、イミダゾール/ピリジン系塩基、またはそれらの全てを含まずに行われる。いくつかの実施形態では、接触ステップは、塩基を含まずに行われる。
【0150】
いくつかの実施形態では、接触ステップは、最初にポリアミンと活性化オレフィンとの間、および次いで生成物とエポキシドとの間の2ステッププロセスである。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、最初にポリアミンとエポキシドとの間、および生成物と活性化オレフィンとの間の2ステッププロセスである。さらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは単一のステップであり、ポリアミンが、エポキシドおよび活性化オレフィンの両方と接触することが生じる。接触ステップが2ステッププロセスであるとき、2つのステップは、約-20℃~約200℃の2つの異なる温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、活性化オレフィンとの接触ステップは、約20℃~約120℃の温度で行われる。いくつかの他の実施形態では、エポキシドとの接触ステップは、約100℃~約150℃の温度で行われる。
【0151】
さらに別の態様では、本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む物品、製品、または組成物が、本明細書に提供される。
【0152】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、担体溶媒または担体をさらに含む。本明細書で使用される場合、「担体溶媒」または担体は、開示される化合物が均一に分布し、かつ安定し得る溶媒または溶媒系である。
【0153】
本明細書で使用される場合、「安定」とは、本明細書に開示される化合物が、本明細書に開示される化合物および担体溶媒または任意の他の成分が均質に混合された後、約1時間、約1時間~約12時間、約12時間、約1日、約5日、約10日、約20日、約1ヶ月、約1ヶ月~約1年、または約1年~約2年、組成物中の担体溶媒または他の成分から沈殿または分離しないことを意味する。
【0154】
いくつかの他の実施形態では、担体は、水、有機溶媒、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、有機溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、有機溶媒および水をさらに含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの他の実施形態では、有機溶媒は、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである。さらにいくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである。
【0156】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノンである。
【0157】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、追加の界面活性剤をさらに含むことができる。追加の界面活性剤は、非イオン性、半非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、ジカチオン性、ジアニオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせである。
【0158】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、固体である。いくつかの他の実施形態では、物品、製品、または組成物は、液体である。
【0159】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、またはその構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態において、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態において、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0160】
「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されると理解される。
【0161】
本開示の方法および組成物は、開示される組成物または方法の構成成分および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、方法および組成物が、追加の工程、構成成分、または成分が、特許請求の範囲に記載の方法および組成物の基本的かつ新規な特徴を著しく変更しない場合にのみ、その追加の工程、構成成分、または成分を含んでもよいことを意味する。
【実施例0162】
本開示の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本開示のある特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として与えられている。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本開示の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用法および条件にそれを適合するために本開示の実施形態の様々な変更および修正を行うことができる。したがって、本開示の実施形態の様々な修正は、本明細書に示され記載されているものに加えて、前述の記載から当業者には明らかとなるであろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0163】
実施例1
例示的な化合物を合成するための一般的なスキーム
本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を調製するための一般合成反応スキームは、図4である。この一般スキームでは、直鎖ポリエチレンイミンがポリアミンの代表として使用される。直鎖ポリエチレンイミンの窒素上の水素は、アザ-マイケル付加反応を介したカチオン基およびエポキシド開環反応を介した疎水性基の両方によって置き換えられる。イオン性モノマーおよび疎水性アルキルエポキシドの量を変えることにより、異なる組成物を作り出すことができる。
【0164】
図4では、kは、1~100の整数であり、Xが、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル基であり、Rが、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yが、-NR6(+)またはその塩であり、R、R、およびRが独立して、C~C10アルキル基またはベンジル基であり、Rが、アルキルまたは-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数である。
【0165】
反応の進行は、ESI-MSおよび/またはNMR分光法によってカチオン性モノマーおよびエポキシドの消費について監視することができる。モノマーおよびエポキシドについて約>98%が消費されたときには、反応を停止することができる。多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物の水溶液またはアルコール溶液は、適用試験に「そのまま」使用することができる。
【0166】
上記のスキームでは、水および/またはイソプロパノールを溶媒として使用することができる。しかしながら、反応のために溶媒および/または希釈剤の使用は任意である。用いられるとき、例えば、アセトニトリル、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF))、他のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-ブタノール、グリコール、PEG、または混合物)などの様々な非酸性溶媒が好適である。
【0167】
上記のスキームでは、追加の触媒は必要ない。開示された多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を合成するための反応はポリアミンを使用するため、ポリアミン自体が両方の反応のための(塩基)触媒として機能することができる。しかしながら、追加の触媒は任意である。開示された多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物の合成に用いられるアザ-マイケル付加反応および開環反応はまた、強酸または強塩基によって触媒することができる。
【0168】
上記のスキームでは、反応は、約50℃~約130℃の温度で実施することができる。しかしながら、反応温度は、約20℃~約150℃、より好ましくは約50℃~約100℃の範囲であり得る。
【0169】
上記のスキームでは、合成を2ステップ反応で達成する。しかしながら、開示された多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、タンデム型のマイケル付加による1ステップ、ワンポット反応による、およびポリアミンをイオン性モノマーおよびエポキシドと同時に反応させることによる開環反応によって合成することができる。
【0170】
実施例2
DETA/2EHGE(1:2)付加物の合成
温度プローブ、コンデンサ、および磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、2-エチルヘキシルグリシダルエーテル(2-EHGE、55グラム)を添加した。次いで、ジエチレントリアミン(DETA、15グラム)をよく撹拌した反応混合物に添加した。反応物の温度を130℃に上げ、3時間または反応が完了するまで撹拌した。
【0171】
実施例3
TEPA/C12~C14アルキルグリシジルエーテル(1:3)付加物の合成
温度プローブ、コンデンサ、磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、ERISYS(商標)GE8(C12~C14アルキルグリシジルエーテル、CAS番号:68609-97-2、132グラム)を添加した。次いで、トリエチレンペンタミン(TEPA、98%、30グラム)を、よく撹拌した反応混合物に添加した。反応物の温度を130℃に上げ、3時間または反応が完了するまで撹拌した。
【0172】
実施例4
TEPA/C12~C14アルキルグリシジルエーテル(1:2)付加物の合成
温度プローブ、コンデンサ、磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、ERISYS(商標)GE8(C12~C14アルキルグリシジルエーテル、CAS番号:68609-97-2、120グラム)を添加した。次いで、トリエチレンペンタミン(TEPA、98%、40グラム)を、よく撹拌した反応混合物に添加した。反応温度を130℃に上げ、3時間または反応が完了するまで撹拌した。
【0173】
実施例5
エチレンアミンE-100/APTAC(1:2.5)付加物の合成
温度プローブ、コンデンサ、磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、ポリエチレンアミンE-100(50グラム)を添加した。次いで、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、121グラム)、および水(20グラム)をフラスコの中に添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了まで進行すると、混合物は、透明な黄色がかった溶液に変化した。
【0174】
実施例6
例示的な多重荷電カチオン性化合物の合成
温度プローブ、コンデンサ、および磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、実施例1の化合物(DETA/2EHGE 1:2付加物、21.5グラム)を添加した。次いで、3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、34グラム)および水をフラスコの中に添加した。得られた懸濁液を、70℃で一晩またはAPTACの完全な消費が達成されるまで撹拌した。反応が完了まで進行すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変化した。
【0175】
実施例7
例示的な多重荷電アニオン性化合物の合成
温度プローブ、コンデンサ、および磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、実施例2の化合物(DETA/2EHGE 1:2付加物、21.5グラム)を添加した。次いで、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム塩溶液(NaAMPS、58%、49グラム)および水(6グラム)をフラスコの中に添加した。得られた懸濁液を、70℃で一晩またはNaAMPSの完全な消費が達成されるまで撹拌した。反応が完了まで進行すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変化した。
【0176】
実施例8
例示的な多重荷電カチオン性化合物の合成
温度プローブ、コンデンサ、および磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、実施例3の化合物(TEPA/C12~C14アルキルグリシジルエーテル、1:3付加物、35.6グラム)およびイソプロパノール(36グラム)を添加した。次いで、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、24グラム)をフラスコの中に添加した。得られた混合物を、70℃で一晩またはAPTACの完全な消費が達成されるまで撹拌した。反応が完了まで進行すると、懸濁液は、透明な濃い琥珀色の溶液に変化した。
【0177】
実施例9
例示的な多重荷電アニオン性化合物の合成
温度プローブ、コンデンサ、磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、実施例3の化合物(TEPA/C12~C14アルキルグリシジルエーテル、1:3付加物、40グラム)およびイソプロパノール(26グラム)を添加した。次いで、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム塩溶液(NaAMPS、58%、46グラム)および水(31グラム)をフラスコの中に添加した。得られた溶液を、70℃で一晩またはNaAMPSの完全な消費が達成されるまで撹拌した。反応が完了まで進行すると、混合物は、透明な黄色がかった溶液に変化した。
【0178】
実施例10
例示的な多重荷電カチオン性化合物の合成
温度プローブ、コンデンサおよび磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、実施例4の化合物(TEPA/C12~C14アルキルグリシジルエーテル、1:2付加物、33.62グラム)およびイソプロパノール(50グラム)を添加した。次いで、3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、31グラム)をフラスコの中に添加した。得られた混合物を、70℃で一晩またはAPTACの完全な消費が達成されるまで撹拌した。反応が完了まで進行すると、懸濁液は、透明な濃い琥珀色の溶液に変化した。
【0179】
実施例11
多重荷電カチオン性化合物/界面活性剤の合成
温度プローブ、コンデンサ、および磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、実施例5の化合物(エチレンアミンE-100/APTAC 1:2.5付加物、74%、50グラム)を添加した。次いで、ERISYS(商標)GE8(C12~C14アルキルグリシジルエーテル、CAS番号:68609-97-2、41.5グラム)およびイソプロパノール(40グラム)をフラスコの中に添加した。得られた混合物を、90℃で一晩または反応が完了するまで撹拌した。
【0180】
実施例12
多重荷電カチオン性化合物の合成
温度プローブ、コンデンサ、および磁気撹拌棒を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、実施例5の化合物(エチレンアミンE-100/APTAC 1:2.5付加物、74%、63グラム)を添加した。次いで、ERISYS(商標)GE8(C12~C14アルキルグリシジルエーテル、CAS番号:68609-97-2、34.2グラム)およびイソプロパノール(40グラム)をフラスコの中に添加した。得られた混合物を、90℃で一晩または反応が完了するまで撹拌した。
【0181】
実施例13
例示的な多重荷電カチオン性化合物のワンポット合成
温度プローブ、コンデンサ、磁気撹拌棒を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、ERISYS(商標)GE8(C12~C14アルキルグリシジルエーテル、CAS番号:68609-97-2、110グラム)、トリエチレンペンタミン(TEPA、99%、25グラム)、3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、108グラム)、およびイソプロパノール(80mL)を添加した。得られた混合物を、APTACおよびERISYS(商標)GE8の消費によって示されるように、90℃で一晩または反応が完了するまで撹拌した。反応が完了まで進行すると、混合物は透明な琥珀色の溶液に変化した。
【0182】
実施例14
例示的な多重荷電カチオン性化合物のワンポット合成
温度プローブ、コンデンサ、磁気撹拌棒を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(98%、93グラム)、トリエチレンテトラアミン(TETA、60%、29.8グラム)、3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、67グラム)、およびイソプロパノール(50mL)添加した。得られた混合物を、90℃で一晩またはAPTACおよび2-エチルヘキシルグリシジルエーテルの消費によって示されるように、反応が完了するまで撹拌した。反応が完了まで進行すると、混合物は、透明な琥珀色の溶液に変化した。
【0183】
実施例15
例示的な多重荷電アニオン性化合物のワンポット合成
温度プローブ、コンデンサ、磁気撹拌棒を備えた500mLの3つ口丸底フラスコに、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(98%、77グラム)、ジエチレントリアミン(DETA、99%、14グラム)、アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム塩溶液(NaAMPS、58%、160グラム)、およびイソプロパノール(80mL)を添加した。得られた混合物を、90℃で一晩、またはNaAMPSおよび2-エチルヘキシルグリシジルエーテルの消費によって示されるように、反応が完了するまで撹拌した。反応が完了まで進行すると、混合物は濃い黄色の溶液に変化した。
【0184】
本発明はこのように説明されているが、同じことが多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。かかる変動は、本開示の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのかかる修正は、以下の特許請求の範囲の範疇内に含まれることが意図される。
【0185】
上記の明細書は、新規化合物、それらの合成および使用、ならびに開示される化合物を含む組成物、製品、または物品の説明を提供する。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの実施形態が作製され得るため、本開示は、特許請求の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4