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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190089
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】局部洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
E03D9/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176481
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2018091476の分割
【原出願日】2018-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康智
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 綱基
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智也
(72)【発明者】
【氏名】佃 和磨
(72)【発明者】
【氏名】古閑 一樹
(72)【発明者】
【氏名】作埜 絢子
(57)【要約】
【課題】シャッタに汚水や汚物が付着することを抑制する。
【解決手段】開口部から進出させた局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させることで局部洗浄を行う局部洗浄装置であって、前記開口部を開閉可能なシャッタと、前記シャッタに水を流す洗浄部と、を備えることを特徴とする局部洗浄装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部から進出させた局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させることで局部洗浄を行う局部洗浄装置であって、
前記開口部を開閉可能なシャッタと、
前記シャッタに水を流す洗浄部と、
を備えることを特徴とする局部洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄部は、前記シャッタが前記開口部を開状態とした場合に、前記シャッタに水を流す、請求項1に記載の局部洗浄装置。
【請求項3】
前記シャッタは、前記開口部に対して回動可能に取り付けられており、局部洗浄ノズルが前進すると当該局部洗浄ノズルに押されて前記開口部を開状態とし、前記局部洗浄ノズルを後退させると前記開口部を閉状態とし、
前記洗浄部は、前記局部洗浄ノズルが前記開口部から前進して前記開口部を開状態とした場合において、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで前記シャッタの背面に水を流す、請求項1又は2に記載の局部洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄部は、前記開口部を開状態とした場合において、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで、前記局部洗浄ノズルの表面と前記シャッタの背面との双方において水膜を形成する、請求項3に記載の局部洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、用便後に局部洗浄ノズルをノズル開口部から便器本体の内側に進出させ、当該局部洗浄ノズルの先端から洗浄水を吐出させることで、人体の局部を洗浄(局部洗浄)する局部洗浄装置が開示されている。
【0003】
上記局部洗浄装置には、汚水や汚物がノズル開口部を介して局部洗浄装置内に流入することを防止するために、ノズル開口部を開閉するシャッタが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-125375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノズル開口部をシャッタで閉状態に制御している場合には、このシャッタの表面に汚水や汚物が付着する可能性がある。また、ノズル開口部を開状態に制御している場合には、シャッタが上方に回動しているため、汚水や汚物がシャッタの裏面にも付着する可能性がある。そのため、シャッタを衛生的に保つことが望まれている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、シャッタに汚水や汚物が付着することを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、開口部から進出させた局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させることで局部洗浄を行う局部洗浄装置であって、前記開口部を開閉可能なシャッタと、前記シャッタに水を流す洗浄部と、を備えることを特徴とする局部洗浄装置である。
【0008】
本発明の一態様は、上述の局部洗浄装置であって、前記洗浄部は、前記シャッタが前記開口部を開状態とした場合に、前記シャッタに水を流す。
【0009】
本発明の一態様は、上述の局部洗浄装置であって、前記シャッタは、前記開口部に対して回動可能に取り付けられており、局部洗浄ノズルが前進すると当該局部洗浄ノズルに押されて前記開口部を開状態とし、前記局部洗浄ノズルを後退させると前記開口部を閉状態とし、前記洗浄部は、前記局部洗浄ノズルが前記開口部から前進して前記開口部を開状態とした場合において、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで前記シャッタに水を流す。
【0010】
本発明の一態様は、上述の局部洗浄装置であって、前記洗浄部は、前記開口部を開状態とした場合において、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで、前記局部洗浄ノズルの表面と前記シャッタの背面との双方において水膜を形成する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、シャッタに汚水や汚物が付着することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る局部洗浄装置9を備えるトイレシステムAの概略構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る局部洗浄ノズル10の進退動作を説明する図である。
図3】本発明の一実施形態に係る局部洗浄装置9の概略構成の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る水膜形成の動作のフロー図である。
図5】本発明の一実施形態に係る局部洗浄の際の水膜形成の動作のフロー図である。
図6】本発明の一実施形態に係る水膜口171の位置を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係るシャッタ12の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る局部洗浄装置を備えるトイレシステムAの概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、トイレシステムAは、トイレ装置1及びリモコン装置2を備える。
【0015】
トイレ装置1は、トイレルームに設けられており、リモコン装置2と有線又は無線通信することで情報を送受する。
【0016】
リモコン装置2は、トイレルームの所定位置に設置されている。例えば、この所定位置とは、トイレルームの壁面である。リモコン装置2には、複数の操作スイッチが設けられており、使用者は、例えば、便器洗浄や局部洗浄に対応した操作スイッチを押下操作することで、トイレ装置1に対して便器洗浄や局部洗浄を実行させることができる。
【0017】
トイレ装置1は、便器本体3及び便座装置4を備える。
【0018】
便器本体3は、トイレルーム内の床面に設置されている。便器本体3の上部には、便座装置4が設置されている。
【0019】
便座装置4は、本体カバー5、便座6、便蓋7、便器洗浄装置8及び局部洗浄装置9を備える。
【0020】
本体カバー5は、便器本体3の後部かつ上部に載置された便器洗浄装置8及び局部洗浄装置9を収容するように便器洗浄装置8及び局部洗浄装置9を上側から覆うカバーである。
【0021】
便座6は、本体カバー5に対して上下方向に回動可能に支持されている。すなわち、便座6は、本体カバー5に軸支されており、便器本体3に対して起立状態と倒伏状態との間で回動自在である。
【0022】
便蓋7は、本体カバー5に対して上下方向に回動可能に支持されている。すなわち、便蓋7は、本体カバー5に軸支されており、便器本体3に対して起立状態と倒伏状態との間で回動自在である。
【0023】
便器洗浄装置8は、本体カバー5内に収容して設けられ、例えば使用者により便器洗浄に対応する操作スイッチが操作されることで、便器本体3内に洗浄水を吐出させる便器洗浄を実行する。
【0024】
局部洗浄装置9は、用便後に局部洗浄ノズル10をノズル開口部11から便器本体3の内側に進出させ、当該局部洗浄ノズル10の先端に形成された吐出孔10aから洗浄水を吐出することで、人体の局部を洗浄する局部洗浄を実行する。
【0025】
具体的には、局部洗浄装置9は、局部洗浄ノズル10、ノズル開口部11、及びシャッタ12を備える。なお、ノズル開口部11は、本発明の「開口部」の一例である。
【0026】
局部洗浄ノズル10は、本体カバー5に収納されており、先端部に洗浄水を吐出する吐出孔10aを備える。そして、局部洗浄ノズル10は、後端側から供給されて内部を流通した洗浄水が吐出孔10aから所定の方向に吐出するように構成されている。
【0027】
ノズル開口部11は、局部洗浄ノズル10が前方に進出したときに局部洗浄ノズル10が挿通可能な大きさの開口である。
【0028】
シャッタ12は、ノズル開口部11を開閉可能であって、例えば、ノズル開口部11に対して回動可能に取り付けられている。このシャッタ12は、局部洗浄ノズル10が前進するとその局部洗浄ノズル10に押圧されてノズル開口部11を開状態とし、局部洗浄ノズル10を後退させるとノズル開口部11を閉状態とする。
【0029】
以下に、図2を用いて局部洗浄ノズル10の進退動作について説明する。
【0030】
シャッタ12は、バネ部材(不図示)を介して局部洗浄装置9に連結されている。すなわち、シャッタ12には、バネ部材によってシャッタ12を閉じる方向に付勢する力が作用している。
【0031】
また、シャッタ12の背面には、局部洗浄ノズル10に対向する位置に突起12aが設けられている。この突起12aは、下方に向かうに従い漸次背面に近づく傾斜面を備える。このため、局部洗浄ノズル10が進出すると、当該局部洗浄ノズル10の先端部が突起12aに当接する(図2(a))。そして、局部洗浄ノズル10がさらに進出すると、局部洗浄ノズル10の先端部により突起12aの傾斜面が押圧される。これにより、シャッタ12は、背面12bを下方に向けるように上方に回動し、所定の位置に保持される(図2(b))。このように、ノズル開口部11が開き、本体カバー5から便器本体の内側に局部洗浄ノズル10を進出させることで、局部洗浄ノズル10の吐出孔10aから洗浄水の温水を吐出し使用者の局部を洗浄したり、局部洗浄装置9内に設けられた温風乾燥装置により便座6に着座した使用者の局部にノズル開口部11から温風を吹き出すことができる。
【0032】
また、局部洗浄ノズル10を後退させると、シャッタ12は、バネ部材の付勢力により後方に退避しつつ回動する。これにより、局部洗浄ノズル10の先端部が突起12aに当接する。そして、局部洗浄ノズル10がさらに後退すると、局部洗浄ノズル10の先端部が突起12aと離間し、シャッタ12がノズル開口部11を閉鎖(閉状態)する。
【0033】
さらに、局部洗浄装置9は、局部洗浄ノズル10がノズル開口部11から進出している状態において、当該局部洗浄ノズル10の表面に水で水膜を形成することで、局部洗浄ノズル10及びシャッタ12に汚物や汚水が付着することを防止する機能を備える。なお、この水膜を形成するための水とは、冷水であってもよいし、温水であってもよい。本実施形態では、温水により水膜を形成する場合について説明する。
以下に、本実施形態に係る局部洗浄装置9の構成について、図3を用いて具体的に説明する。
【0034】
図3に示すように、局部洗浄装置9は、第1の流路13、第2の流路14、給水バルブ15、温水生成部16、及び洗浄部17を備える。
【0035】
第1の流路13は、給水源Sからの水を、給水バルブ15を介して温水生成部16に流入させる流路である。なお、本実施形態において「水」とは、冷水でもよいし、温水でもよい。
第2の流路14は、温水生成部16からの温水を洗浄部17に送水するための流路である。
【0036】
給水バルブ15は、第1の流路13に設けられ、その第1の流路13を開放又は閉塞することで、給水源Sから温水生成部16への給水を制御する。具体的には、給水バルブ15は、洗浄部17の制御により開状態に制御された場合には、第1の流路13を開放する。これにより、給水源Sからの水が第1の流路13を介して温水生成部16に流入する。一方、給水バルブ15は、洗浄部17の制御により閉状態に制御された場合には、第1の流路13を閉塞する。これにより、温水生成部16への水の流入が停止される。
【0037】
温水生成部16は、第1の流路13を介して流入してきた水を所定の温度に加熱して温水を生成する。そして、温水生成部16は、所定の温度に加熱した温水を第2の流路14を介して洗浄部17に送水する。以下に、温水生成部16の構成について、具体的に説明する。
【0038】
温水生成部16は、ヒータ161、温度センサ162、及び温度制御部163を備える。
【0039】
ヒータ161は、第1の流路13を介して流入してきた水を、温度制御部163の制御に基づいて所定の温度に加熱する。そして、ヒータ161により加熱されて生成された温水は、第2の流路14を介して洗浄部17に供給される。
【0040】
温度センサ162は、第2の流路14に設けられ、ヒータ161により加熱された温水の温度を測定するセンサであって、例えば、サーミスタである。温度センサ162は、測定した温度を温度制御部163に出力する。
【0041】
温度制御部163は、温度センサ162で測定された温度が上記所定の温度になるようにヒータ161の出力を制御する。なお、温度制御部163は、第2の流路14に供給する温水の温度を任意の温度に制御可能である。
【0042】
洗浄部17は、局部洗浄ノズル10、水膜口171、分岐流路172~174、流調バルブ175、駆動部176、及び制御装置177を備える。
【0043】
局部洗浄ノズル10は、おしり洗浄用ノズル111及びビデ用ノズル112の一対の局部洗浄ノズルの少なくともいずれかである。なお、以下の説明において、おしり洗浄用ノズル111及びビデ用ノズル112のそれぞれを区別しない場合には、単に「局部洗浄ノズル10」と標記する。
【0044】
水膜口171は、局部洗浄ノズル10の表面に水膜を形成するための開口部である。すなわち、洗浄部17は、水膜口171から局部洗浄ノズル10の表面に向けて温水を吐出させることで、ノズル開口部11から進出している局部洗浄ノズル10の表面に水膜を形成する。
【0045】
分岐流路172~174は、第2の流路14から分岐する流路である。
【0046】
分岐流路172は、第2の流路14から分岐し、おしり洗浄用ノズル111の先端部に連通する。
分岐流路173は、第2の流路14から分岐し、ビデ用ノズル112の先端部に連通する。
分岐流路174は、第2の流路14から分岐し、水膜口171に連通する。
【0047】
流調バルブ175は、複数の分岐流路172~174のうち、温水生成部16で生成された温水を流す分岐流路を一以上選択し、その選択した分岐流路(以下、「選択分岐流路」という。)に温水生成部16で生成された温水を供給する。ただし、流調バルブ175は、複数の分岐流路172~174のどの分岐流路にも、温水生成部16で生成された温水を流さない場合には、選択分岐流路を選択しないこともできる。
さらに、流調バルブ175は、その選択分岐流路に流れる温水の流量を調整可能である。なお、流調バルブ175における選択分岐流路の選択や選択分岐流路に流れる温水の流量調整は、制御装置177により制御される。
【0048】
駆動部176は、制御装置177による制御に基づいて、一対のおしり洗浄用ノズル111とビデ用ノズル112を、それぞれ個別に進退させることが可能である。
【0049】
制御装置177は、給水バルブ15の駆動を制御することで、第1の流路13の開放又は閉塞を制御する。
また、制御装置177は、流調バルブ175における選択分岐流路の選択を制御することで、局部洗浄ノズル10による局部洗浄や、局部洗浄ノズル10の表面に対する水膜の形成を制御する。なお、この温水による水膜は、局部洗浄ノズル10の進退動作に伴い形成される。
さらに、制御装置177は、温度制御部163と通信することで、第2の流路14に供給される温水の温度を調整可能である。
【0050】
以下に、本実施形態に係る局部洗浄装置9の動作の流れについて、図4を用いて説明する。なお、以下の説明において、局部洗浄ノズル10の進退動作として、おしり洗浄用ノズル111の進退動作を例として説明する。
【0051】
ノズル開口部11を開状態にする場合には、制御装置177は、駆動部176の駆動を制御しておしり洗浄用ノズル111の進出動作を開始させる(ステップS101)。ここで、ノズル開口部11を開状態にする場合とは、例えば、局部洗浄を行う場合や温風乾燥を行う場合がある。
【0052】
制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111が進出すると、おしり洗浄用ノズル111がシャッタ12の背面12bを押圧することでシャッタ12を上方に回動させる。これにより、ノズル開口部11が開状態に制御され、おしり洗浄用ノズル111がノズル開口部11から所定の位置まで進出する(ステップS102)。
【0053】
制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111がノズル開口部11から進出すると、当該おしり洗浄用ノズル111の表面において水膜を形成する(ステップS103)。具体的には、制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111がノズル開口部11から進出すると、流調バルブ175を制御して、選択分岐流路を分岐流路172とする。これにより、温水生成部16で生成された温水は分岐流路174を通り、水膜口171から吐出される。したがって、洗浄用ノズル111の表面において水膜が形成され、局部洗浄が実施される場合においては、洗浄用ノズル111の表面に汚物や汚水が付着することを防止することができる。
【0054】
ここで、ノズル開口部11が開状態に制御されている場合には、おしり洗浄用ノズル111の表面は、シャッタ12の背面に接触している。そのため、おしり洗浄用ノズル111の表面に吐出された温水は、おしり洗浄用ノズル111の表面を伝ってシャッタ12の背面に流れる。これにより、シャッタ12の背面に水膜が形成され、汚物や汚水が付着することを抑制する。また、シャッタ12の背面に汚物や汚水が付着している場合には、その付着している汚物や汚水を洗い流すことができる。
【0055】
このように、制御装置177は、ノズル開口部11が開状態に制御されている場合には、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面の双方に水膜を形成する。したがって、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面が汚物や汚水で汚れることを抑制することができる。
【0056】
制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面の双方に水膜を形成してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS104)。
制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面の双方に水膜を形成してから所定時間が経過した場合には、当該水膜の形成を停止する(ステップS105)。具体的には、制御装置177は、流調バルブ175を制御することで第2の流路14から分岐流路174への温水の流入を停止することで、水膜の形成を停止する。または、制御装置177は、給水バルブ15を制御して第1の流路13を閉塞することで、水膜の形成を停止する。一方、制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面の双方に水膜を形成してから所定時間が経過していない場合には、当該水膜の形成を継続する。
【0057】
制御装置177は、水膜の形成を停止すると、駆動部176の駆動を制御して、おしり洗浄用ノズル111を、本体カバー5内に退避させる(ステップS106)。
【0058】
次に、局部洗浄を行う際にシャッタ12に水膜を形成する動作について、図5を用いて説明する。
【0059】
例えば、使用者がリモコン装置2における局部洗浄ボタンを操作すると、制御装置177は、当該操作を検出する。そして、制御装置177は、給水バルブ15を制御して第1の流路13を開放させるとともに、駆動部176の駆動を制御しておしり洗浄用ノズル111の進出動作を開始させる(ステップS201)。
【0060】
おしり洗浄用ノズル111が進出するとノズル開口部11が開状態となる。したがって、制御装置177は、ノズル開口部11から進出すると、当該おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面において水膜を形成する(ステップS202)。具体的には、制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111がノズル開口部11から進出すると、流調バルブ175を制御して、選択分岐流路を分岐流路172とする。これにより、温水生成部16で生成された温水は分岐流路174を通り、水膜口171から吐出される。そのため、おしり洗浄用ノズル111の表面に温水が吐出される。また、おしり洗浄用ノズル111の表面に吐出された温水は、当該表面を伝ってシャッタ12の背面に流れる。これにより、洗浄用ノズル111の表面とシャッタ12の背面とにおいて水膜が形成される。
【0061】
おしり洗浄用ノズル111が局部洗浄を行う所定の位置まで進出すると(ステップS203)、制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111の進出動作を停止する。そして、制御装置177は、局部洗浄を実施するために、流調バルブ175を制御して、分岐流路174に加えて分岐流路172を選択分岐流路として選択する。これにより、温水生成部16で生成された温水は、分岐流路172及び分岐流路174に流入する。したがって、水膜の形成を継続するとともに、おしり洗浄用ノズル111の吐出孔10aから上記温水が洗浄水として吐出して局部洗浄を開始する(ステップS204)。
【0062】
ここで、おしり洗浄用ノズル111による局部洗浄中において、当該おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面に水膜が形成されている。これにより、局部洗浄中において、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面に汚物が付着することを防止することができる。
【0063】
リモコン装置2において、使用者により局部洗浄の停止を指示する操作が行われると、制御装置177は、当該操作を検出して、流調バルブ175における選択分岐流路を分岐流路174のみとする。すなわち、制御装置177は、第2の流路14から分岐流路172への温水の供給を停止することで、局部洗浄を停止する(ステップS205)。そして、制御装置177は、駆動部176の駆動を制御しておしり洗浄用ノズル111の退避動作を開始させる(ステップS206)。なお、おしり洗浄用ノズル111の退避動作を実施している場合においても、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面に対する水膜の形成は継続している。これにより、局部洗浄中において、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面の表面に汚物が付着した場合があっても、その付着した汚物を温水で洗い流すことが可能となる。
【0064】
制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111が本体カバー5内に退避されたか否かを判定する(ステップS207)。そして、制御装置177は、おしり洗浄用ノズル111が本体カバー5内に退避したと判定した場合には、水膜の形成を停止する(ステップS208)。具体的には、制御装置177は、流調バルブ175を制御することで第2の流路14から分岐流路174への温水の流入を停止することで、水膜の形成を停止する。または、制御装置177は、給水バルブ15を制御して第1の流路13を閉塞することで、水膜の形成を停止する。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0066】
(変形例1)
上記実施形態において、局部洗浄中においても、おしり洗浄用ノズル111の表面及びシャッタ12の背面に対する水膜の形成を継続する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5に示す動作において、制御装置177は、局部洗浄中においては局部洗浄ノズル10の表面への温水の吐出を停止して、水膜の形成を停止してもよい。
【0067】
(変形例2)
上記実施形態では、局部洗浄ノズル10が進出すると、シャッタ12は、背面12bを下方に向けるように上方に回動したが、本発明はこれに限定されない。例えば、シャッタ12は、局部洗浄ノズル10が進出すると、背面12bを上方に向けるように下方に回動してもよい。
【0068】
(変形例3)
上記実施形態では、洗浄部17は、局部洗浄ノズル10がノズル開口部11から前進してノズル開口部11を開状態となっている場合において、局部洗浄ノズル10の表面に温水を吐出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、洗浄部17は、局部洗浄ノズル10の表面に水を吐出してもよい。すなわち、洗浄部17は、局部洗浄ノズル10の表面に冷水又は温水の水を吐出すればよい。
【0069】
(変形例4)
上記実施形態では、洗浄部17は、シャッタ12の背面に水膜を形成したが、本発明はこれに限定されず、シャッタ12の表面に水膜を形成してもよいし、シャッタ12の表面及び背面の双方に水膜を形成してもよい。
【0070】
(変形例5)
なお、上記実施形態における水膜口171の位置は、温水生成部16で生成された温水の一部を水膜口171から局部洗浄ノズル10の表面に吐出できる位置であれば、特に限定されない。例えば、図6に示すように、水膜口171は、局部洗浄ノズル10を出し入れ可能な支持部本体300の上部に形成されてもよい。
【0071】
(変形例6)
上記実施形態では、シャッタ12に突起12aが設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、図7に示すように、シャッタ12に突起12aを設けなくてもよい。これにより、シャッタ12の下端が局部洗浄ノズル10に接触するため、シャッタ12の背面だけでなくシャッタ12の下端まで洗浄することができる。
【0072】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係る局部洗浄装置9は、ノズル開口部11を開閉可能なシャッタ12に水を流す洗浄部17を備える。
【0073】
このような構成によれば、シャッタ12に汚水や汚物が付着することを抑制することができる。
【0074】
また、洗浄部17は、シャッタ12がノズル開口部11を開状態にしている場合に、シャッタ12に水を流してもよい。
【0075】
このような構成によれば、シャッタ12の背面に汚水や汚物が付着することを抑制することができる。
ここで、シャッタ12の表面は、使用者により視認されやすいため、汚れている場合には使用者により容易に清掃することが可能である。ただし、シャッタ12の背面は、使用者により視認されにくく、かつ清掃が困難である。したがって、洗浄部17は、シャッタ12がノズル開口部11を開状態にしている場合に、シャッタ12に水を流すことで、シャッタ12の背面を清潔にして衛生的に保つことができる。
【0076】
また、洗浄部17は、局部洗浄ノズル10がシャッタ12を押圧して前記ノズル開口部を開状態に制御している場合において、局部洗浄ノズル10の表面に水を吐出することでシャッタ12に水を流してもよい。
【0077】
このような構成によれば、局部洗浄ノズル10の表面とシャッタ12の背面との双方において、汚水や汚物が付着することを抑制することができる。
【0078】
また、本発明の一実施形態に係る局部洗浄装置9では、局部洗浄ノズル10の表面に吐出された温水は、局部洗浄ノズル10の表面を伝ってシャッタ12の背面に流れるように構成されているため、局部洗浄ノズル10の横幅より広い範囲においてシャッタ12の背面を洗浄できる。
【符号の説明】
【0079】
A トイレシステム
1 トイレ装置
2 リモコン装置
9 局部洗浄装置
10 局部洗浄ノズル
11 ノズル開口部(開口部)
12 シャッタ
17 洗浄部
S 給水源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7