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  • 特開-半導体製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019009
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】半導体製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/203 20060101AFI20220120BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20220120BHJP
   C30B 1/10 20060101ALI20220120BHJP
   C30B 29/08 20060101ALI20220120BHJP
   H01L 21/208 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
H01L21/203 S
C23C14/34
C30B1/10
C30B29/08
H01L21/208 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122520
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】709002004
【氏名又は名称】学校法人東北学院
(72)【発明者】
【氏名】原 明人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁志
【テーマコード(参考)】
4G077
4K029
5F053
5F103
【Fターム(参考)】
4G077AA03
4G077BA05
4G077CA03
4G077DA11
4G077HA06
4G077JA01
4K029AA09
4K029BA03
4K029BA04
4K029BA05
4K029BA08
4K029BA15
4K029BB09
4K029BD01
4K029CA05
4K029GA01
5F053DD20
5F053FF10
5F053GG02
5F053LL10
5F053PP13
5F103AA08
5F103BB22
5F103DD30
5F103GG02
5F103GG10
5F103LL08
5F103PP03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】直接遷移型Ge1-xSnxナノドットを含有するGe半導体薄膜の成長技術を提供する
【解決手段】Ge系半導体薄膜は、ゲルマニウム(Ge)と共晶系を形成する金属ナノ粒子6を含有した非晶質Ge(a-GFe)2系初期膜であり、該金属ナノ粒子は、スズ(Sn)も同時に含有している。Ge系半導体薄膜は、エネルギーを加えることによる加熱により、共晶反応を用いて該金属ナノ粒子をナノスケール融液7に変換し、続く冷却過程において、該ナノスケール融液領域を固化して形成されたGe1-xSnxナノドット8を含有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルマニウム(Ge)と共晶系を形成する金属ナノ粒子を含有した非晶質Ge (a-Ge)系初期膜であり、かつ該金属ナノ粒子はスズ(Sn)も同時に含有していることに特徴を有し、エネルギーを加えることによる加熱により、共晶反応を用いて該金属ナノ粒子をナノスケール融液に変換し、引き続く冷却過程において、該ナノスケール融液領域が固化されることにより形成されたGe1-xSnxナノドットを含有していることを特徴とするGe系半導体薄膜製造方法
【請求項2】
金属ナノ粒子のサイズは20 nm以下であることを特徴とする請求項1項
【請求項3】
金属ナノ粒子中のSn の含有量は10%以上、50%未満であることを特徴とした請求項1-2項
【請求項4】
金属ナノ粒子はCu, Au, Ag, Alを主成分としていることを特徴とした請求項1-3項
【請求項5】
金属ナノ粒子の面密度は1×1011 cm-2以上であることを特徴とした請求項1-4項
【請求項6】
Ge系薄膜の全体の厚さは40 nm以下であることを特徴とした請求項1-5項
【請求項7】
Ge系薄膜はGe、GeとSiの化合物、GeとSnの化合物であることを特徴とする請求項1-6項

















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年、ゲルマニウム-スズ(Ge1-xSnx)半導体が注目されている。理論計算によるとSn含有量の増加に伴って電子・正孔の有効質量が減少することが報告されている。また、同じく理論的研究によると、Ge1-xSnxのSn濃度が10%を超えると伝導帯ミニマムの波数がΓ(ガンマ)点にシフトし、Ge1-xSnxが直接遷移型半導体に変化することが報告され、既にレーザ発振が確認されている。
【0002】
Sn濃度が10%以上のGe1-xSnxドットを含有するGe系半導体薄膜は、Ge1-xSnxドットが直接遷移型の性質を有しているため光デバイスに応用可能であり、同時にロジック回路に向けたMOSFETへの応用も可能である。
【0003】
しかし、一般的にSnの固溶限界は1%程度とされており、10%を超えるSn濃度を含むGe1-xSnx薄膜を形成することは非常に難しい。
【背景技術】
【0004】
近年IoT に注目が集まっている。IoTエッジデバイスでは、数MHz程度で時々動作するデバイスから、大量のデジタル・アナログデータを常時扱う高性能デバイスまで要求性能が多岐にわたる。
【0005】
将来的には、IoTエッジデバイスの多様化・多機能化とともに、用途に応じてプラスチック・ガラスなどのSi ウエハ以外の基板上にデバイスを形成することが要求される。特に、プラスチック上に形成されたIoTデバイスは薄く変形可能であることから、皮膚・洋服・鞄・製品など、あらゆるものに貼り付けることができる。
【0006】
今後、発展が期待されているガラスやプラスチック基板上のIoTエッジデバイスでは、ガラスやプラスチック上でCMOS回路を実現可能な新たな半導体材料を利用した革新的半導体デバイスが必要とされている。
【0007】
さらに、光デバイスを集積することができれば、高速な演算に加え、光通信機能を付加することが可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】G. He and H. A. Atwater, Phys. Rev. Lett. 79, 1937 (1997).
【非特許文献2】Y. Chibane and M. Ferhat, J. Appl. Phys. 107, 053512 (2010).
【非特許文献3】K. L. Low, Y. Yang, G. Han, W. Fan, and Y.-C. Yeo, J. Appl. Phys. 112, 103715 (2012).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的にSnの固溶限界は1%程度とされており、10%を超えるSn濃度を含むGe1-xSnx薄膜を形成することは非常に難しい。
【0010】
世界的にみるとSnを含有した直接遷移型 Ge1-xSnx薄膜の成長は、MBEやCVDなどの成長技術、一方向凝固におけるSn偏析を利用した技術が進行中であるが、金属ナノ粒子を利用した方法による技術報告はない。
【0011】
簡単かつ安価な成長技術である金属ナノ粒子を利用する方法で“光るGe系半導体”が成長できれば、ガラスやプラスチック上の光電子集積回路の安価で早期の実現が見込める。
【課題を解決するための手段】
【0012】
Cuを金属ナノ粒子に用いた結晶化の模式図を図1および図2に示す。図1は初期膜の断面模式図、図2は平面図である。
【0013】
ガラス基板上にスパッタリング法を利用してa-Ge/Cu/a-Geの積層膜を形成する。図1および図2(a)に示すように、初期膜のCuナノ粒子は厚さ3 nm、大きさ10 nmのナノ粒子として形成されている。
【0014】
続いて、500℃で熱処理を行う。図2(b)に示すように、Cuナノ粒子の周辺ではCuとGeの共晶反応により、20-40 nm程度のGe-Cuナノスケール液滴が形成される。
【0015】
これが固化した際には、図2(c)に示すように、結晶性Geナノドットが形成される。CuはGe結晶中では格子間の位置を占め、非常に拡散係数が大きく(~10-4 cm2/s@500℃)、容易にGe結晶中を拡散し、欠陥にゲッタリングされるため、Geナノドット中には微小量のCuのみが残存する。また、500℃では非晶質Geは固相成長を生じるため、Geナノドット以外の領域も結晶(図2(b)(c)の固相成長Ge)になる。
【0016】
本発明は、上記現象の発見に基づき、鋭意検討の結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。以下、詳説する。
【0017】
発明の原理を図3に示す。ガラス基板上にスパッタリング法を利用してa-Ge/Cu1-xSnx/a-Geの積層膜を形成する。図3(a)に示すように、Cu1-xSnxは10 nm程度のナノスケールドットとして形成されている。続いて、500℃で熱処理を行う。この際、Cu1-xSnxナノドットの周辺ではCuとGeの共晶反応により、図3(b)に示すように20-40 nm程度のナノスケールGe-Cu-Sn 液滴が形成される。
【0018】
引き続いて冷却中に固化した際には、結晶性Ge-Cu-Snナノドットが固相成長Ge中に形成される。CuはGe結晶中では格子間位置を占めるため、非常に拡散係数が大きい。従って、容易にGe結晶中を拡散し、欠陥にゲッタリングされる。
【0019】
最終的に、図3(c)に示すように、直接遷移型半導体Ge1-xSnナノドットを含有したGe薄膜が形成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ディジタル回路の基本となるGe-CMOS回路とGeからなる光デバイスを同一基板上に実現することが可能となり、高性能デジタル・アナログ回路、光通信回路、センサなどを集積化した次世代IoTエッジデバイスの実現が可能になる。本発明は、低温プロセスである故に、三次元-LSI技術にも展開可能であり、その技術波及効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】Snを含んでいない場合の初期積層膜の断面図(Cuを例としている)
図2】発明の簡単な原理:Snを含んでいない場合(Cuを例としている)
図3】発明の簡単な原理:Snを含んでいる場合(Cuを例としている)
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図3をもとに、Cuを金属ナノ粒子とした場合の本発明の最良の形態を説明する。ガラス基板上にスパッタリング法を利用してa-Ge/Cu1-xSnx/a-Geの積層膜を形成する。
【0023】
この時のa-Geの 膜厚は、1層目と2層目の合計において、全体の厚さが15 nm程度であることが好ましい。なお、15 nmに限定されたものではなく、合計で10 nm以上、40 nm以下であれば良い。
【0024】
また、Cu中のSn濃度は25%としたが、これに限定されたものではなく、10%から50%が可能である。
【0025】
また、第1層a-Ge 上のCu1-xSnxナノ粒子の直径は数nmから20 nm程度が好ましい。この条件を満足するためには、Cu1-xSnxのスパッタ時間は10s以下が好ましい。
【0026】
続いて、a-Ge/Cu1-xSnx/a-Geの積層膜を図3(b)において500℃で熱処理を行う。なお、熱処理温度は500℃に限定されたものではなく、450℃―520℃の間が好ましい。
【0027】
この熱処理温度は、用いる金属により異なる。たとえば、Auを利用した場合には100℃-200℃である。また、Alを利用した場合には200℃付近である。さらにAgを利用した場合には300-400℃程度である。しかし、これらの金属はGe中の拡散係数が小さく、ナノドット中に残存するため、不純物除去のための追加プロセスが必要となる。
【0028】
500℃の熱処理時において、図3(b)に示すように、Cu1-xSnxナノドットの周辺ではCuとGeの共晶反応により、10-40 nm程度のナノスケールGe-Cu-Sn 液滴が形成される。
【0029】
引き続いて固化した図3(c)においては、結晶性Ge-Cu-Snナノドットが固相成長Ge中に存在しているGe薄膜が形成される。
【0030】
しかし、CuはGe結晶中では格子間位置を占めるため、非常に拡散係数が大きい。従って、容易にGe結晶中を拡散し、欠陥にゲッタリングされる。
【0031】
最終的に、図3(c)に示すように、直接遷移型半導体Ge1-xSnナノドットを含有したGe薄膜が形成される。
【符号の説明】
【0032】
1. Cuナノ粒子
2. 非晶質Ge (a-Ge)
3. Ge-Cuナノスケール融液(液滴)
4. 固相成長Ge
5. ナノGeドット
6. Cu1-xSnxナノ粒子
7. Cu-Sn-Geナノスケール融液(液滴)
8. Ge1-xSnナノドット



















図1
図2
図3