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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190096
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】薬剤仕分装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176690
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2020079681の分割
【原出願日】2019-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2018116206
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018157492
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018234914
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】天野 弘和
(72)【発明者】
【氏名】▲すぎ▼本 知大
(72)【発明者】
【氏名】河野 翼
(72)【発明者】
【氏名】兒嶋 信紀
(72)【発明者】
【氏名】津田 紘道
(57)【要約】
【課題】薬剤自体を認識し、自動的に仕分ける。
【解決手段】薬剤仕分装置(1)は、薬剤載置台(133a)に載置された薬剤を撮像した画像から当該薬剤の大きさおよび形状を特定し、特定した当該薬剤の大きさおよび形状に紐付けられた振動の大きさおよび単位時間当たりの振動回数で、薬剤載置台を揺動させる旋回機構(133b)を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分容器を複数載置可能な収容部と、
前記仕分容器に収容された薬剤を自動で1度に払い出す払出機構と、を備える薬剤仕分装置。
【請求項2】
前記払出機構は、前記仕分容器を傾斜させることで、当該仕分容器に収容された薬剤を払い出す、請求項1に記載の薬剤仕分装置。
【請求項3】
前記払出機構は、
前記仕分容器を把持する把持部と、
前記把持部を回動させる回動部と、をさらに備え、
前記把持部が前記仕分容器を把持した状態で、前記回動部を駆動することで、前記把持部を上方に回動させることにより、前記仕分容器に収容された薬剤を払い出す、請求項2に記載の薬剤仕分装置。
【請求項4】
前記収容部を第2収容部とし、
薬剤を収容する第1収容部と、
前記第1収容部から取り出された薬剤の種類を判別するために、当該薬剤を撮像する撮像部と、
前記第1収容部から取り出した薬剤であり、かつ前記撮像部の撮像結果に基づき種類が判別された薬剤を、前記第2収容部へ搬送する仕分部と、を備え、
前記払出機構は、前記仕分部に備えられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の薬剤仕分装置。
【請求項5】
前記払出機構により払い出された薬剤を1錠ずつ払出す可変カセットをさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の薬剤仕分装置。
【請求項6】
薬剤を分包する分包機構と、
前記収容部に収容された前記薬剤を前記分包機構へ搬送するための薬剤投入口と、をさらに備え、
前記払出機構は、前記仕分容器に収容された薬剤を前記薬剤投入口へ投入し、
前記可変カセットは、前記薬剤投入口に投入された薬剤を1錠ずつ払出し、
前記分包機構は、前記可変カセットから払い出された薬剤を分包する、請求項5に記載の薬剤仕分装置。
【請求項7】
薬剤を分包する分包機構をさらに備え、
前記分包機構は、前記払出機構により払い出された薬剤を分包する、請求項1から4の何れか1項に記載の薬剤仕分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を仕分ける薬剤仕分装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、返品された複数種類の薬剤は、薬剤師または医師の手により種類毎に仕分けられていた。返品される薬剤は、様々な患者に処方される、または処方された調剤後の薬剤である。そのため、1患者単位の処方箋情報に基づいて、調剤機器等に予め薬種単位でまとめられた薬種群(薬剤カセット)から、一服用時期単位毎に、(1種または複数種の)薬剤(錠剤)を取りまとめる(分包する)調剤業務に比べて、複数の患者に処方された薬剤がまとめて返品される薬剤の種類は非常に多い。そのため、返品された薬剤を自動的に仕分けて、再利用することの有用性は高い。なお、一服用時期用に調剤される薬剤は、一般に2~3種類程度であり、多くても10種類程度である。
【0003】
なお、仕分け業務にかかる時間、手間、または仕分け間違い(薬剤カセットへの戻し間違い)による誤投与のリスクを避けるため、返品された薬剤を、そのまま廃棄する薬局または病院(正確には院内薬剤部)も存在している。
【0004】
特許文献1には、返品されたアンプルまたはバイアルを自動的に認識して格納する薬剤仕分装置が開示されている。この薬剤仕分装置は、アンプルまたはバイアルの向き及び姿勢と、アンプルまたはバイアルの性状(例:形状、大きさ、種類及び使用期限)とを認識する。そして、認識されたアンプルまたはバイアルの大きさに応じて格納時に個々のアンプルまたはバイアルに設定される格納領域と、個々のアンプルまたはバイアルの識別情報とを関連付けて、アンプルまたはバイアルを個別に配置し、それによって個別のアンプルまたはバイアルを取り出し可能に格納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/170761号(2015年11月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1での返品対象は、アンプルまたはバイアルであり、錠剤またはカプセル等の、容器等に収容されていない薬剤、または包装等が施されていない薬剤自体ではない。そのため、特許文献1では、このような薬剤(例:錠剤またはカプセル)そのものを識別し、自動的に仕分けることについてまでは想定されていない。
【0007】
また、特許文献1では、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)へのデータ登録に関する処理の詳細は開示されていない。
【0008】
本発明の一態様は、薬剤自体を認識し、自動的に仕分けることが可能な薬剤仕分装置を実現することを目的とする。また、本発明の一態様は、薬剤データの登録の有無に依らず、薬剤を仕分けることが可能な薬剤仕分装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分容器を複数載置可能な収容部と、前記仕分容器に収容された薬剤を自動で1度に払い出す払出機構と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る薬剤仕分装置によれば、薬剤自体を認識し、自動的に仕分けることができる。また、薬剤データの登録の有無に依らず、薬剤を仕分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】薬剤仕分装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】薬剤仕分装置の構成例を示す図であり、(a)は薬剤仕分装置の斜視図であり、(b)は、薬剤仕分領域の基本構成を示す斜視図である。
図3】(a)および(b)は、撮像ユニットの全体構成を示す斜視図であり、(c)は、薬剤載置台の一例を示す斜視図である。
図4】(a)および(b)は、撮像ユニットの旋回について説明するための図である。
図5】薬剤仕分処理の一例を説明するための図である。
図6】仕分画像の表示例を示す図である。
図7】鑑査画像の表示例を示す図である。
図8】確認画像の表示例を示す図である。
図9】(a)および(b)は、検索画像の表示例を示す図であり、(c)は、第1カメラが撮像した画像の一例を示す図である。
図10】(a)は、登録画像の一例を示す図であり、(b)は、画像調整処理の一例を説明するための図である。
図11】カプセルを登録するときの登録画像の一例を示す図である。
図12】別のカプセルを登録するときの登録画像の一例を示す図である。
図13】データ管理システムの一例を示す図である。
図14】(a)は、配置領域に移動してきた薬剤載置台の一例を示す平面図であり、(b)および(c)は、薬剤の位置を調整した後の薬剤載置台の一例を示す平面図である。
図15】第2カメラが第1収容部を撮像した画像の一例を示す図である。
図16】分包機の一例を説明するための図であり、(a)は分包機の正面図、(b)はカセット格納機構の一例を示す図であり、(c)および(d)は補充テーブルの使用例を説明するための図である。
図17】分包機の一例を示すブロック図である。
図18】(a)~(d)は、非回動型のカセット格納機構の一例を示す図である。
図19】ユーザ設定画像の一例を示す図である。
図20】(a)は、薬剤払出機の構成例を示す斜視図であり、(b)は、手撒きユニットの構成例を示す斜視図である。
図21】は、分包機における分包処理の一例を示すフローチャートである。
図22】分包機における分包処理の別例を示すフローチャートである。
図23】(a)及び(b)は、吸着機構の動作例を示す図である。
図24】細長い形状の薬剤の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図25】(a)は、変形例としての薬剤仕分装置の構成例を示す図であり、(b)及び(c)は、仕分カップ搬送機構の先端部の形状および動作を説明するための図である。
図26】制御部の一例を示すブロック図である。
図27】(a)は、薬剤仕分装置の別例を示す斜視図であり、(b)は、当該別例を示す概略的な平面図である。
図28】(a)及び(b)は、上部空間を説明するための図である。
図29】(a)~(d)は、薬剤搬送部の位置決め動作を説明するための図である。
図30】(a)及び(b)は、押込検知部を用いた対象物検知について説明するための図である。
図31】吸着パッドの有無判定について説明するための図である。
図32】照明器及びバックライトの配置位置の一例を示す斜視図である。
図33】待機トレイへの薬剤の配置例を説明するための図である。
図34】分包機構の構成例を示す図であり、(a)は、分包機構の一部の構成例を概略的に示す図であり、(b)及び(c)は、上部シャッター機構における開閉動作について説明するための図であり、(d)及び(e)は、下部シャッター機構における開閉動作について説明するための図である。
図35】分包処理時に、薬剤投入口から薬剤を1個ずつ落下させるための処理例を説明するためのフローチャートである。
図36】残薬確認画像の一例を示す図である。
図37】(a)は、類似薬剤登録画像の一例を示す図であり、(b)は、類似薬剤選択画像の一例を示す図である。
図38】(a)は、返却元選択前の仕分画像の一例を示す図であり、(b)は、返却元登録画像の一例を示す図である。
図39】(a)は、返却元選択画像の一例を示す図であり、(b)は、返却元選択後の仕分画像の一例を示す図である。
図40】(a)は、分包紙への印字例を示す図であり、(b)は、ジャーナルへの印字例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態1]
〔薬剤仕分装置1の概要〕
まず、薬剤仕分装置1の概要について図1および図2を用いて説明する。図1は、薬剤仕分装置1の全体構成を示すブロック図である。図2は、薬剤仕分装置1の構成例を示す図であり、(a)は薬剤仕分装置1の斜視図であり、(b)は、薬剤仕分領域2の基本構成を示す斜視図である。図1、並びに、図2の(a)および(b)に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分領域2、タッチパネル3、印刷出力部4、および分包機構6を備える。
【0013】
薬剤仕分装置1は、複数種類の薬剤のそれぞれについて撮像し、撮像の結果得られた画像に基づき薬剤の種類を判別し、種類毎に薬剤を仕分ける。具体的には、薬剤仕分領域2においてこの処理が行われる。薬剤仕分領域2(薬剤仕分装置1の内部構成)については後述する。なお、種類毎に仕分けられた薬剤は、ユーザによる目視鑑査が行われた後、分包されたり、薬剤棚または分包機へと返却されたりする。
【0014】
本実施形態では、複数種類の薬剤は、容器等に収容されていない薬剤、または包装等が施されていない薬剤であり、その一例として、錠剤またはカプセルであるものとして説明する。また、複数種類の薬剤が返品された薬剤であるものとして説明する。薬剤の返品としては、薬局または病院における採用薬が当該薬局または病院にて「返品薬」として返品される場合と、当該薬局または病院において、当該採用薬以外に、他の薬局または病院で発行された薬剤も含み得る「持参薬」が返品される場合とが含まれる。換言すれば、返品される薬剤という概念には、上記「返品薬」および「持参薬」の少なくともいずれかが含まれる。薬剤仕分装置1は、薬剤が返品された後、撮像から仕分までの処理を自動的に行うことが可能である。
【0015】
タッチパネル3は、操作部31にて各種ユーザ入力を受け付けるとともに、表示部32にて各種画像(例:薬剤仕分の推移を示す画像、目視鑑査用の画像)を表示する。
【0016】
印刷出力部4は、目視鑑査後のユーザ入力に従って、目視鑑査後の薬剤に関する薬剤データ(例:薬剤名、製造元または成分を示すデータ)を表すジャーナルを印字する。薬剤データには、薬剤固有の画像を示す画像データが含まれていてもよい。
【0017】
分包機構6は仕分けられた薬剤を分包する。分包機構6はオプション機構である。分包機構6が薬剤仕分装置1に備えられる場合、返品された薬剤の仕分から、目視鑑査を経た後の分包までの処理を、薬剤仕分装置1で一括して行うことが可能となる。特に、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ薬剤が投入される場合には、目視鑑査を除き、上記仕分から分包までの処理を自動で行うことができる。
【0018】
分包機構6としては、従来から用いられている錠剤分包機または散薬分包機の分包部を採用することが可能である。この場合、例えば、同一薬種毎に仕分けられた仕分カップ141内の薬剤を、一包または複数包に分包することができる。
【0019】
また、薬剤仕分装置1は、第1RFID(Radio Frequency Identifier)リーダ・ライタユニット5を備えている。第1RFIDリーダ・ライタユニット5は、図2の(b)に示すように、台座19の、薬剤の取出し側に設けられている。
【0020】
第1RFIDリーダ・ライタユニット5は、第2収容部14の各仕分カップ141の底部に設けられたRFIDタグ(不図示)に記憶された、各仕分カップ141に格納された薬剤に関するデータを読取る。当該データとしては、例えば、格納された薬剤の個数、薬剤データ、および撮像ユニット13が取得した画像データが挙げられる。当該データは、目視鑑査によって決定された薬剤データ(目視鑑査後の薬剤データ)を含んでもよい。また、上記RFIDタグに目視鑑査後の薬剤データを書込んでもよい。目視鑑査後の薬剤データは、対応する仕分カップ141に格納された薬剤を、(1)分包機構6、もしくは薬剤仕分装置1とは異なる分包機で分包する時、または(2)薬剤棚へ返却する時に用いられる。
【0021】
また、図2の(a)に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤の取出し側を開閉可能とする開閉シャッター51と開閉扉52とを備えている。第2収容部14に収容された薬剤を分包機構6へと移動させるために、薬剤仕分装置1は、例えば、当該薬剤を一時的に保持する包装ホッパー(不図示)、および包装ホッパーに保持された薬剤を分包機構6へと移動させる移動通路(不図示)を備える。また、少なくとも移動通路は、取外し可能となっている。開閉扉52を開くことにより、移動通路を薬剤仕分装置1の外部へと取出すことができる。
【0022】
〔薬剤仕分領域2の基本構成〕
次に、図1および図2の(b)を用いて、薬剤仕分領域2の基本構成(薬剤仕分装置1の内部構成)について説明する。
【0023】
図1および図2の(b)に示すように、薬剤仕分領域2は、ハードウェアとして主に、第1収容部11、搬送・仕分ユニット12(仕分部)、撮像ユニット13、第2収容部14、待機トレイ15、回収トレイ16、薬剤投入口17および第2RFIDリーダ・ライタユニット18を備える。そして、搬送・仕分ユニット12を除く各部材は台座19に設けられている。搬送・仕分ユニット12、撮像ユニット13、および第2RFIDリーダ・ライタユニット18の主要機能については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0024】
第1収容部11は、ユーザによって返品された複数種類の薬剤を混在した状態で収容する。本実施例では、第1収容部11は、複数の収容部に分割されている。この場合、例えば、1つの収容部に収容された薬剤の全てが搬送・仕分ユニット12によって搬送されると、当該収容部に隣接する収容部に収容された薬剤が搬送対象となる。また、第1収容部11がZ軸(円柱形状の中心)に対して回動可能に設けられてもよい。この場合、コンピュータ60の制御部60aは、例えば1つの収容部が空になったタイミングで、搬送・仕分ユニット12が薬剤を取得しやすいように第1収容部11を回動させてもよい。
【0025】
第2収容部14は、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分カップ141を備える。制御部60aは、撮像ユニット13で撮像された薬剤の画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき当該薬剤を格納する仕分カップ141を決定する。当該薬剤は、その決定された仕分カップ141に搬送・仕分ユニット12により搬送され、格納される。
【0026】
待機トレイ15は、薬剤が仮置きされる収容部である。例えば、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aによりそれら以外の種類であると判別された薬剤が、待機トレイ15に仮置きされる。この場合、仕分カップ141から薬剤が取り除かれた後、待機トレイ15から当該仕分カップ141に搬送されてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、待機トレイ15には、薬剤であると推定された推定薬剤(後述)が仮置きされても構わない。推定薬剤が仮置きされた場合、制御部60aの判別結果に応じて、第2収容部14の所定領域に搬送される。
【0028】
回収トレイ16は、制御部60aにより種類が判別できなかった物(例:薬剤以外の異物)を格納する収容部である。薬剤以外の異物としては、例えば、PTP(Press Through Pack)シートの破片が挙げられる。PTPシートの破片は、薬剤の返品時に第1収容部11に混入する可能性がある。また、制御部60aは、薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録されている薬剤、またはユーザが廃棄することを所望する薬剤(例:製造日の古い薬剤)についても、回収トレイ16に格納する。
【0029】
薬剤投入口17は、薬剤仕分装置1に分包機構6が備えられている場合に、第2収容部14に格納された薬剤を、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ搬送するためのものである。当然ながら、薬剤仕分装置1に分包機構6が備えられていない場合には、薬剤投入口17は不要な構成である。
【0030】
また、図1に示すように、薬剤仕分装置1の上記各部材(ハードウェア)を統括して制御するコンピュータ60を備える。コンピュータ60は、制御部60a(ソフトウェア)として主に、搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、操作入力部66、表示制御部67、RFID制御部68、印刷出力制御部69、および登録部70を備える。搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、および登録部70については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0031】
操作入力部66および表示制御部67は、それぞれタッチパネル3の操作部31および表示部32を制御する。RFID制御部68は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5および第2RFIDリーダ・ライタユニット18を制御する。印刷出力制御部69は、操作入力部66が受け付けたユーザ入力に従って、印刷出力部4を制御する。なお、薬剤仕分装置1が分包機構6を備える場合には、制御部60aは、分包機構6を制御する分包制御部を備えることとなる。
【0032】
また、コンピュータ60は記憶部80を備える。記憶部80は、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)、および、第1カメラ131が撮像した画像を示す画像データ等を記憶する。なお、記憶部80に記憶された各種データは、記憶部80にて管理されていなくてもよく、例えば外部装置で管理されてもよい。この場合、制御部60aは、上記各種データを、必要に応じて、インターネット等の通信回線を通じて当該外部装置から取得してもよい。また、薬剤データベースは、新たな薬剤データが追加されることにより、更新されてもよい。
【0033】
〔薬剤仕分装置1における処理の概要〕
薬剤仕分装置1では、搬送・仕分ユニット12が、第1収容部11に返品された各薬剤を撮像ユニット13まで搬送する。搬送された各薬剤を順次撮像ユニット13が撮像する。制御部60aは、撮像された画像に基づき各薬剤の種類を判別するとともに、判別した各薬剤の第2収容部14における仕分位置を決定する。搬送・仕分ユニット12は、決定された仕分位置に各薬剤を搬送する。そして、第2収容部14に格納された薬剤についての情報は、仕分カップ141のRFIDタグに書き込まれたり、記憶部80に記憶されたり、タッチパネル3に表示されたりする。また、薬剤の仕分が完了した後、または仕分の途中において、ユーザがタッチパネル3を操作することで、目視鑑査、分包等の処理が行われる。以降、各処理について具体的に説明する。
【0034】
〔撮像ユニット13への薬剤搬送処理〕
まず、第1収容部11から撮像ユニット13への薬剤搬送処理について、図1および図2の(a)を用いて説明する。
【0035】
具体的には、搬送・仕分ユニット12は、第1収容部11に収容された薬剤を、撮像ユニット13が薬剤を受け入れる受入領域Ar1(図3の(b)参照)まで搬送させる。搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12による当該搬送処理を制御する。
【0036】
搬送・仕分ユニット12は、第2カメラ121、吸着・シャッター機構122、および搬送機構123を備える。
【0037】
第2カメラ121は、搬送対象とする薬剤を特定するために、第1収容部11を逐次撮像する。撮像制御部63は、第2カメラ121の撮像処理を制御する。第2カメラ121は、搬送・仕分ユニット12の(具体的には、少なくとも吸着・シャッター機構122を含む筐体の)、台座19と対向する側の端部に設けられる。第2カメラ121は、後述の吸着機構の先端部に設けられてもよい。撮像制御部63は、撮像された画像を解析して、当該画像に薬剤が含まれるか否かを判定する。搬送制御部61は、薬剤が含まれると判定された場合には、例えば、上記先端部を第1収容部11に近づけ、そのとき撮像された画像に含まれる薬剤を搬送対象の薬剤として特定する。
【0038】
吸着・シャッター機構122は、搬送対象として特定された薬剤を吸着する吸着機構と、吸着機構が吸着した薬剤が落下することを防止するシャッター機構とを含む。吸着機構はZ軸方向に移動可能に設けられる。シャッター機構は上記端部の前方に、XY平面と略平行に移動可能に設けられる。
【0039】
吸着機構は、薬剤取得時に、上記端部から延伸して、その先端部において、特定された薬剤を吸着した後、上記端部の位置まで戻る。この状態において、搬送制御部61は、上記端部と対向する位置にシャッター機構を移動させ、薬剤搬送中、シャッター機構の位置を維持する(閉状態とする)。搬送制御部61は、受入領域Ar1に配置された薬剤保持機構133の薬剤載置台133a(図3の(b)参照)と対向する位置まで吸着・シャッター機構122を移動させると、シャッター機構を上記端部と対向しない位置に移動させる(開状態とする)。そして、吸着機構を上記端部から延伸させた後、吸着状態を解除することにより、薬剤載置台133aに薬剤を載置する。
【0040】
搬送機構123は、搬送制御部61の制御を受けて、X軸およびY軸方向に吸着・シャッター機構122を移動させる。この搬送機構123により、第1収容部11上での搬送対象となる薬剤の探索時の吸着・シャッター機構122の動き、または第1収容部11から薬剤載置台133aまでの薬剤搬送が可能となる。また、後述の薬剤仕分処理においても、薬剤載置台133aから、第2収容部14、待機トレイ15または回収トレイ16への薬剤搬送が可能となる。
【0041】
〔薬剤撮像処理〕
次に、撮像ユニット13による薬剤撮像処理について、図1図2の(b)、図3および図4を用いて説明する。図3の(a)および(b)は、撮像ユニット13の全体構成を示す斜視図であり、図3の(c)は、薬剤載置台133aの一例を示す斜視図である。図4の(a)および(b)は、撮像ユニット13の旋回について説明するための図である。上記薬剤撮像処理は、主として、撮像ユニット13および撮像制御部63により行われる。
【0042】
具体的には、撮像ユニット13は、薬剤載置台133aに載置され、図3の(b)に示す撮像対象となる薬剤を配置する配置領域Ar2(撮像領域)に配置された薬剤を撮像する。撮像制御部63は、撮像ユニット13による当該撮像処理と、第1カメラ131および照明器134の旋回移動と、薬剤保持機構133の移動とを制御する。撮像ユニット13は、図1および図3に示すように、第1カメラ131(撮像部)、回転機構132(回動部)、薬剤保持機構133(薬剤載置台、移動機構)、および照明器134(紫外光照射部、可視光照射部)を備える。
【0043】
第1カメラ131は、後述の判別部64において薬剤の種類を判別するために、第1カメラ131と対向する配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。薬剤保持機構133は、薬剤を保持する機構であり、図3の(a)および(b)に示すように、薬剤載置台(シャーレ)133aと、旋回機構133b(移動機構)と、薬剤載置台133aおよび旋回機構133bを接続する軸部133cとを備える。薬剤載置台133aは、撮像対象となる薬剤を載置するものである。旋回機構133bは、薬剤載置台133aを移動させるものであり、具体的には、薬剤載置台133aをXY平面に対して旋回させるとともに、軸部133cを、軸部133cの周方向に旋回させる。
【0044】
撮像制御部63は、薬剤載置台133aに第1収容部11から搬送された薬剤が載置されると、旋回機構133bを駆動し、当該薬剤載置台133aを受入領域Ar1から配置領域Ar2へと移動させる。その後、少なくとも第1カメラ131および照明器134を制御して、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。撮像した画像は記憶部80に画像データとして記憶される。撮像制御部63は、例えば撮像が完了した後に、旋回機構133bを駆動し、撮像された薬剤が載置された薬剤載置台133aを配置領域Ar2から受入領域Ar1へと移動させる。
【0045】
本実施形態では、薬剤載置台133aは軸部133cの先端部(端部)に2つ設けられている。旋回機構133bは、軸部133cを旋回させることにより、一方の薬剤載置台133aを配置領域Ar2に配置したとき、他方の薬剤載置台133aを受入領域Ar1に配置する。配置領域Ar2での薬剤撮像時に、搬送・仕分ユニット12により、受入領域Ar1に存在する薬剤載置台133aに、第1収容部11から薬剤を搬送しておくことで、連続的な薬剤の撮像処理が可能となる。なお、当該薬剤載置台133aは、第2収容部14への薬剤仕分処理後等、薬剤が載置されていない状態であることが前提である。
【0046】
また、本実施形態では、薬剤載置台133aは透明性を有する。そのため、第1カメラ131は、薬剤載置台133aに載置された薬剤を、薬剤載置台133aを通して多方面から撮像できる。
【0047】
また、図3の(c)に示すように、薬剤載置台133aは底部が凹んだ状態の断面略V字形状であってもよい。また、図3の(b)および図4に示すように、薬剤載置台133aが受入領域Ar1および配置領域Ar2に配置されている場合、断面略V字形状の溝方向(軸部133cの延伸方向)は、回転機構132による撮像機構(後述)の旋回軸Ayに対して略平行である。また、薬剤載置台133aの底部は、鋭角なV字形状ではなくてよい。図3の(c)に示すように、底部は、底面部133aaと、底面部133aaの対向する2箇所から傾斜した傾斜面部133abとを備えていてもよい。底部の形状は、薬剤載置台133aの裏側から見ても(撮像しても)、薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)を認識できる程度で、かつ薬剤が固定される程度の形状であればよい。
【0048】
薬剤がカプセルまたは変形錠(例:ラグビーボール形)の場合、薬剤載置台133aの底部が平坦であれば、XY平面上で薬剤の向きがそろわずに、鮮明な薬剤の画像(刻印情報または印字情報)を取得することが困難になる可能性がある。断面略V字形状であれば、最下端部にカプセルまたは変形錠が嵌合され、当該薬剤を固定できる。そのため、鮮明な薬剤の画像が取得しやすくなる。なお、錠剤の場合には、例えば、軸部133cを軸部133cの周方向に旋回させることで、薬剤載置台133aの平面部分(傾斜面部133ab)を第1カメラ131に対向させることで、当該薬剤を確実に動かないようにしてもよい。
【0049】
その他、旋回機構133bは、薬剤載置台133aを振動させる(小さく動かす、ゆする)ことも可能である。この場合、例えば、薬剤載置台133aに載置されたカプセルに振動を与えて転がすことで、カプセルのプリントが付された部分を所定の方向に向かせることができる(例:当該部分を、後述の初期位置に配置された第1カメラ131と対向させることができる)。また、上記振動により、例えば円筒状(底部が円形状)の錠剤が上記平面部分に立った状態で載置されたとしても、錠剤を横に倒す(錠剤の底部が当該平面部分に対向するように配置する)ことができる。
【0050】
照明器134は、撮像制御部63の制御により、薬剤の撮像時に、薬剤に照射される光を出射する。照明器134は、図3の(a)に示すように、薬剤に可視光を照射する可視光照射部(第1照射部134aおよび第2照射部134b)と、薬剤に紫外光を照射する紫外光照射部134cとを備える。
【0051】
第1照射部134aおよび第2照射部134bは、可視光として白色光を薬剤に照射する。第1照射部134aはバー形状の可視光源(バー照明)であり、第2照射部134bはリング形状の可視光源(リング照明)である。第1カメラ131は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから出射され、薬剤で反射した可視光を受光することにより、可視光に基づく画像(可視光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した可視光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。
【0052】
紫外光照射部134cは、薬剤に紫外光(例:365nm以上410nm以下のピーク波長を有する光)を照射することで、薬剤に含まれる成分を励起させる。これにより、薬剤から蛍光(例:410nm以上800nm以下のピーク波長を有する光)が取り出される。第1カメラ131は、薬剤から発せられた蛍光を受光することにより、紫外光に基づく画像(紫外光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した紫外光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。
【0053】
回転機構132は、図3および図4に示すように、撮像対象となる薬剤が配置される配置領域Ar2(当該位置に配置された薬剤載置台133a)の周囲を旋回するように第1カメラ131を回動させる。第1カメラ131は、回転機構132が回動させた複数の位置から、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。具体的には、第1カメラ131および照明器134を含む撮像機構を、配置領域Ar2の周囲を旋回するように回動させる。そのため、配置領域Ar2に対する第1カメラ131および照明器134の位置関係を維持したまま、第1カメラ131が複数の方向から薬剤を撮像できる。
【0054】
回転機構132は、図3の(a)に示すように、撮像機構駆動部132aと動力伝達機構132bとを含む。撮像機構駆動部132aは、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させるための動力を発生する。動力伝達機構132bは、撮像機構駆動部132aが発生させた動力を撮像機構へと伝達する。撮像機構駆動部132aは、撮像制御部63の制御により駆動し、配置領域Ar2の周囲における撮像機構の位置を変更する。
【0055】
回転機構132は、撮像機構を、初期位置と、初期位置と対向する位置との間において旋回させる。初期位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の上方の位置である。初期位置と対向する位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の下方の位置である。また、当該位置は、第1カメラ131が配置領域Ar2に存在する薬剤載置台133aの底部と対向する位置であるともいえる。
【0056】
図4に示すように、配置領域Ar2の中心を通りZ軸と平行な軸を軸Ax0とし、配置領域Ar2の中心および撮像機構の中心を通る軸を軸Ax1とする。また、軸Ax0と軸Ax1とのなす角をθとする。本実施形態では、回転機構132は、撮像機構を、θ=0°(初期位置)、45°、135°および180°の位置のいずれかに配置する。なお、図4の(a)は撮像機構がθ=0°の位置にある場合を示し、図4の(b)は撮像機構が初期位置から旋回してθ=45°の位置にある場合を示す。
【0057】
このように、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させることにより、薬剤を配置領域Ar2に固定した状態で、複数の方向から薬剤を撮像できる。また、薬剤載置台133aをゆすっても薬剤(錠剤)が立っている場合であっても、斜め方向(θ=45°または135°)からの撮像で、薬剤に付された刻印等が示す情報を取得できる。
【0058】
なお、撮像機構を固定し薬剤を回動させることで複数の方向から当該薬剤を撮像してもよい。
【0059】
(撮像位置制御)
次に、撮像機構の位置制御の一例について説明する。撮像制御部63は、まず撮像機構を初期位置にセットし、第1カメラ131に、当該初期位置おいて配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像させる。このとき、第1カメラ131は、第1照射部134aおよび第2照射部134bからの可視光に基づく可視光画像(2つの可視光画像)を取得するとともに、紫外光照射部134cからの紫外光に基づく紫外光画像を取得する。
【0060】
次に、撮像制御部63は、撮像機構を初期位置とは対向する位置にセットし、第1カメラ131に、当該位置において配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像させ、2つの可視光画像および紫外光画像を取得する。判別部64は、これら6つの画像を解析することにより、薬剤の種類を判別する。薬剤の種類を1つに特定できなかった場合、撮像制御部63は、θ=45°および135°の位置において、第1照射部134aおよび第2照射部134bから可視光を出射させ、第1カメラ131に薬剤を撮像させる。判別部64は、このときの可視光画像を解析して薬剤の種類を判別する。
【0061】
上記に限らず、撮像機構の位置制御は種々の方法が挙げられる。例えば、初期位置と対向する位置から撮像した後、初期位置から撮像を行ってもよい。また、θ=45°の位置から撮像したときの可視光画像に基づく薬剤の判別処理を行い、薬剤の種類を1つに特定できなかった場合にのみθ=135°の位置から撮像したときの可視光画像を取得してもよい。また、初期位置および初期位置と対向する位置において紫外光画像のみを取得し、当該紫外光画像に基づく薬剤の判別処理を行った後、当該位置における可視光画像を取得してもよい。また、全ての位置において可視光画像および紫外光画像を取得してもよい。
【0062】
〔画像処理・判別処理〕
次に、撮像ユニット13により撮像された画像に対する画像処理と、画像処理の結果に基づく薬剤の判別処理について、図1を用いて説明する。上記画像処理は、主として撮像制御部63により行われ、上記判別処理は、主として判別部64により行われる。
【0063】
判別部64は、第1カメラ131により撮像された薬剤の画像に基づき、薬剤の種類を判別する。具体的には、判別部64は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから可視光が照射された状態で撮像された薬剤の撮像結果(可視光画像)に基づき、薬剤の種類を判別する。また、判別部64は、紫外光が照射された状態で撮像された薬剤の撮像結果(紫外光画像)に基づき、薬剤の種類を判別する。
【0064】
判別部64は、可視光画像および/または紫外光画像のそれぞれにおいて画像解析を実行することにより、当該画像に含まれる薬剤の特徴を抽出する。換言すれば、判別部64は、薬剤の特徴を抽出する特徴抽出部64a(識別情報抽出部)を有する。薬剤の特徴としては、例えば、大きさ、形状、刻印、プリント、割線、代表色(刻印またはプリントが付された領域の色)が挙げられる。OCR(Optical Character Recognition)等を行った場合には、薬剤の特徴として、刻印またはプリントにより表された薬剤名(例:識別コード)または製造元を示す識別情報(薬剤を識別する識別情報)、使用期限等のその他の情報が抽出される。また、紫外光画像の場合には、薬剤の特徴として、画像中の薬剤における代表色が挙げられる。判別部64は、抽出した各薬剤の特徴を、薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。なお、薬剤の特徴抽出は、公知の技術により行われてもよい。
【0065】
判別部64は、各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別する。換言すれば、判別部64は、抽出した薬剤の特徴に基づいて、パターンマッチング等を用いて、薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込む薬剤データ抽出部64bを有する。この場合、例えば、上述した大きさ、形状、刻印、プリント、割線、および代表色の少なくとも1つを用いて薬剤データの候補を絞込む。その後、判別部64は、OCR等を行い、刻印またはプリントに表された識別情報等を読取り、パターンマッチング等を用いて上記候補の中から薬剤の種類をさらに絞込む。
【0066】
また、判別部64は、パターンマッチング等を用いて抽出した薬剤の特徴(対象特徴)が薬剤データベースに無い場合であっても、対象特徴の少なくとも一部に基づき薬剤(錠剤またはカプセル)であると推定される場合には、薬剤の種類を推定薬剤として判別する。この場合、推定薬剤も、第2収容部14または待機トレイ15への仕分け対象とすることができる。本実施形態では、推定薬剤は、まず待機トレイ15へ仮置きされても構わない。
【0067】
このように、判別部64(判定部)は、予め登録された複数種類の薬剤に関する薬剤データ(薬剤データベース)の中に、第1カメラ131によって撮像された画像(画像データ)に対応する薬剤データが存在するか否かを判定している。
【0068】
判別部64は、薬剤の種類の判別結果を仕分制御部62に出力する。例えば、薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する。この場合、判別部64は、当該薬剤に関する薬剤データを、当該薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。
【0069】
判別部64は、薬剤の種類を推定薬剤として判別した場合には、薬剤の特徴(推定薬剤として推定された物の特徴)を判別結果として出力する。一方、判別部64は、薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録された薬剤であると判別した場合、または第1収容部11に収容された物が薬剤以外の異物であると判別した場合、仕分対象外の薬剤である旨を判別結果として出力する。
【0070】
〔薬剤仕分処理〕
次に、上記判別処理の結果に基づく薬剤仕分処理について、図1図5図8を用いて説明する。図5は、薬剤仕分処理の一例を説明するための図である。図6は、仕分画像Im1(仕分画面)の表示例を示す図である。図7は、鑑査画像Im2(鑑査画面)の表示例を示す図である。図8は、確認画像(確認画面)Im3の表示例を示す図である。上記薬剤仕分処理は、主として、搬送・仕分ユニット12および仕分制御部62により行われる。
【0071】
なお、図5では、便宜上、第2収容部14に載置可能な仕分カップ141の位置を特定するための符号A~Fおよび1~7を付している。また、仕分カップ141は、仕分けられた薬剤が収容される仕分容器であって、第2収容部14に取外し可能に載置できる。
【0072】
上述したように、第1収容部11に収容された薬剤は、第1収容部11から受入領域Ar1へと搬送された後(図5の(i)参照)、配置領域Ar2へと移動させられる。第1カメラ131により撮像された後、薬剤は、配置領域Ar2から再び受入領域Ar1へと移動させられる。その後、本実施形態では、薬剤は、判別部64による判別結果に基づき、図5の(ii)、(iii)~(v)、または(vi)に示す経路を経て搬送される。
【0073】
具体的には、搬送・仕分ユニット12は、判別部64による判別結果に基づき、薬剤を種類毎に第2収容部14へ格納するか、または待機トレイ15へ格納する(図5の(ii)および(iii)参照)。仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、撮像および判別処理後に受入領域Ar1に配置された薬剤を、判別結果に基づき、第2収容部14の所定の仕分カップ141または待機トレイ15まで搬送する。
【0074】
図1および図5に示すように、本実施形態では、第2収容部14には、確定エリアAr11(第1領域)および仮判定エリアAr12(第2領域)が設定されている。確定エリアAr11は、判別部64によって画像データに対応する薬剤データが存在すると判定された薬剤を収容するエリアである。一方、仮判定エリアAr12は、判別部64によって画像データに対応する薬剤データが存在しないと判定された薬剤を収容する、確定エリアAr11と異なる位置に設定されたエリアである。
【0075】
図5の例では、薬剤の取出し側のA-1~F-5に確定エリアAr11が設定され、薬剤の取出し側から離れた位置であるB-6~F-7に仮判定エリアAr12が設定されている。但し、確定エリアAr11および仮判定エリアAr12の設定位置および範囲はこれに限られず、ユーザの利便性に応じて変更可能である。
【0076】
また、図5の例のように、確定エリアAr11が仮判定エリアAr12よりも広く設定されている場合、薬剤仕分装置1が、第2収容部14において確定エリアAr11を有効活用する「確定エリア有効活用モード」に設定されていると称しても構わない。
【0077】
搬送・仕分ユニット12は、画像データに対応する薬剤データが存在すると判定された薬剤については、種類毎に確定エリアAr11に収容する(図5の(ii)または(v)参照)。一方、搬送・仕分ユニット12は、画像データに対応する薬剤データが存在しないと判定された薬剤については、仮判定エリアAr12に収容する(図5の(iv)参照)。
【0078】
図5の(ii)の場合)
仕分制御部62は、判別結果として薬剤に関する薬剤データを受け取った場合、判別部64が画像データに対応する薬剤データが存在すると判定したものとして、確定エリアAr11において当該薬剤を格納する仕分位置(仕分カップ141)を決定する。また、仕分制御部62は、当該判別結果(薬剤データ)と、決定した仕分位置とを付けて記憶部80に記憶する。
【0079】
仕分制御部62は、仕分位置を決定すると、搬送制御部61と同様に搬送機構123を制御して、搬送・仕分ユニット12を受入領域Ar1の上方に移動させる。仕分制御部62は、搬送制御部61と同様、第2カメラ121および吸着・シャッター機構122を制御して、受入領域Ar1に配置された薬剤を吸着する。その後、搬送機構123により、決定した仕分カップ141へと薬剤を搬送させる。搬送後、吸着を解除することにより、当該仕分カップ141に薬剤を格納する。また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納した薬剤の個数をカウントし、仕分位置に紐づけて記憶部80に記憶する。
【0080】
図5の(iii)の場合)
仕分制御部62は、薬剤の種類が推定薬剤であるとの判別結果を受け取った場合、判別部64が画像データに対応する薬剤データが存在しないと判定したものとして、待機トレイ15を仕分位置として決定する。そして、仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、受入領域Ar1から待機トレイ15へと薬剤を搬送させる。
【0081】
例えば、上記「確定エリア有効活用モード」では、第1収容部11に収容された薬剤の仕分(確定エリアAr11、待機トレイ15または回収トレイ16への仕分)が完了した後、待機トレイ15に収容された薬剤については、再度、判別部64による判別処理が行われる。つまり、上記「確定エリア有効活用モード」では、種類が判別した薬剤を確定エリアAr11に仕分けると共に、推定薬剤については待機トレイ15に一旦仮置きしておく。そして、種類が判別した薬剤を確定エリアAr11に仕分けた後、待機トレイ15に収容された推定薬剤に対する再仕分が実行される。具体的には、仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、待機トレイ15から受入領域Ar1へと薬剤を搬送させる。その後、当該薬剤が受入領域Ar1から配置領域Ar2へと移動された後、当該薬剤に対して上述の薬剤撮像処理、および画像処理・判別処理が行われる。
【0082】
その結果、判別部64により画像データに対応する薬剤データが存在すると判定された場合には、仕分制御部62は、確定エリアAr11における薬剤未格納の仕分カップ141(仕分位置として未決定の仕分カップ141)を、仕分位置として決定する。その後、仕分制御部62は、上述したように、搬送・仕分ユニット12を制御して、受入領域Ar1から、仕分位置として決定した確定エリアAr11における仕分カップ141へと薬剤を搬送させる(図5の(v)参照)。また、仕分制御部62は、薬剤データベースにおいて特定した薬剤データと、決定した仕分位置とを紐付けて記憶部80に記憶する。
【0083】
一方、判別部64により再度、画像データに対応する薬剤データが存在しないと判定された場合には、仕分制御部62は、仮判定エリアAr12における薬剤未格納の仕分カップ141を仕分位置として決定する。そして、仕分制御部62は、推定薬剤に係る薬剤の特徴と、決定した仕分位置とを紐付けて記憶部80に記憶する。
【0084】
仕分制御部62は、画像に含まれる薬剤(推定薬剤)の特徴のうちの少なくとも1つに基づき、仮判定エリアAr12における仕分位置を決定する。例えば、仕分制御部62は、画像における推定薬剤の色、形状、または当該薬剤に付された情報のうちの少なくとも1つに基づき、仮判定エリアAr12における仕分位置を決定する。具体的には、仕分制御部62は、薬剤の色、形状、または当該薬剤に付された情報のうちの少なくとも1つが一致するとみなされる推定薬剤同士の仕分位置が同一となるように、仕分位置を決定する。薬剤に付された情報とは、例えば、薬剤に付された識別情報の少なくとも一部を指す。識別情報の少なくとも一部同士が略一致していれば(比較する2つの識別情報に類似する部分があれば)、当該識別情報が付された薬剤同士は同一の仕分カップ141に収容されても構わない。一方、仕分制御部62は、仮判定エリアAr12に最初に仕分ける推定薬剤、および、既に仕分けられた推定薬剤の特徴と一致しない特徴を有する仕分対象の推定薬剤については、仮判定エリアAr12における薬剤未格納の仕分カップ141を仕分位置として決定する。
【0085】
その後、仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、仕分位置として決定した仮判定エリアAr12における仕分カップ141へと薬剤を搬送させる(図5の(iv)参照)。具体的には、搬送・仕分ユニット12は、推定薬剤については、画像に含まれる薬剤の色、形状、または当該薬剤に付された情報のうちの少なくとも1つに基づき、仮判定エリアAr12の各位置(各仕分カップ141)に仕分ける。
【0086】
また、仕分制御部62は、判別結果として薬剤に関する薬剤データを受け取った場合であっても、確定エリアAr11の仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合には、待機トレイ15を仕分位置として決定する。この場合、仕分制御部62は、確定エリアAr11の仕分カップ141に空きができた場合に、待機トレイ15に仕分けられた薬剤の仕分位置を、当該仕分カップ141が配置された位置として決定する。また、仕分制御部62は、仮判定エリアAr12の仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合には、仮判定エリアAr12の仕分カップ141に空きができるまで、待機トレイ15に薬剤を待機させる。
【0087】
なお、上述のように確定エリアAr11の大きさは、ユーザが任意に設定できる。例えば、ユーザは、図5に示すように、確定エリアAr11の大きさが極力大きくなるように(上記「確定エリア有効活用モード」に)設定しても構わない。この場合、第1収容部11に収容された薬剤のうち、種類が判別した全てまたはほとんどの薬剤を、確定エリアAr11へ収容する可能性を高めることができる。但し、確定エリアAr11の設定については、上記「確定エリア有効活用モード」において、以下のような2つの設定を選択できる構成であっても構わない。
【0088】
(1)種類が判別した薬剤が待機トレイ15へ収容されることを許容した確定エリアAr11の設定。この設定の場合、制御部60aは、確定エリアAr11に空きができた場合に、待機トレイ15に仮置きした薬剤を確定エリアAr11に収容する。
【0089】
(2)種類が判別した薬剤の待機トレイ15へ仕分けを極力発生させないような、極力大きな確定エリアAr11の設定。
【0090】
図5の(iii)の場合の代替処理)
上記「確定エリア有効活用モード」での処理とは異なり、推定薬剤については、待機トレイ15に仮置きすることなく、直接、仮判定エリアAr12に搬送しても構わない。つまり、制御部60aは、第1収容部11に収容された薬剤に対する判別処理が完了した後、判別結果に応じて、確定エリアAr11および仮判定エリアAr12のいずれかに薬剤を順次仕分けても構わない。
【0091】
この場合、制御部60aは、薬剤の種別が判別できなった場合、再度、判別処理を実行しても構わない。再度の判別処理により薬剤の種類が判別できる可能性もあるためである。再度の判別処理は、例えば所定回数実行される。所定回数は、再度の判別処理により薬剤の種類が判別できる可能性があり、かつ処理時間の増大化への影響が少ない回数(例:3回)に設定されていればよい。制御部60aは、再度の判別処理により薬剤の種類が判別できた場合、当該薬剤を確定エリアAr11に搬送する。一方、所定回数の判別処理を行ってもなお、薬剤の種類が判別できなかった場合には、当該薬剤を仮判定エリアAr12に搬送する。
【0092】
また、順次仕分けていった結果、確定エリアAr11に仕分けることができない状態となった場合(確定エリアAr11に空の仕分カップ141が存在しなくなった場合)、仕分対象の薬剤は待機トレイ15に収容される。また、仮判定エリアAr12に仕分けることができない状態となった場合(仮判定エリアAr12に空の仕分カップ141が存在しなくなった場合)、仕分対象の推定薬剤は待機トレイ15に収容される。つまり、確定エリアAr11および仮判定エリアAr12のそれぞれにおいて仕分ける位置が無くなった場合には、仕分対象の薬剤または推定薬剤は、他方のエリアに収容されることなく、待機トレイ15へ搬送され蓄積されていく。
【0093】
なお、薬剤仕分装置1は、「確定エリア有効活用モード」および「確定エリア非有効活用モード」のいずれかのモードに設定可能となっていても構わない。「確定エリア有効活用モード」に設定されている場合、上述のように、推定薬剤については待機トレイ15に仮置きされた後、確定エリアAr11または仮判定エリアAr12に仕分けられる。一方、「確定エリア非有効活用モード」に設定された場合、上述のように、推定薬剤については、待機トレイ15に仮置きされることなく、仮判定エリアAr12に直接仕分けられる。
【0094】
図5の(vi)の場合)
仕分制御部62は、仕分対象外の薬剤である旨の判別結果を受けた場合には、判別後の薬剤が薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録された薬剤であるか、判別後に受入領域Ar1に配置された物が異物である。そのため、仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、当該薬剤または異物を回収トレイ16へと搬送させる。
【0095】
このように、仕分制御部62は、薬剤の種類の判別結果に依らず、第1収容部11に収容された物の全てを、第2収容部14、待機トレイ15および回収トレイ16の何れかに格納する。そのため、薬剤の種類を1つに特定できない場合、または第1収容部11に異物が混入していた場合であっても、それを理由に仕分処理を停止することなく、継続させることができる。
【0096】
また、判別対象となった薬剤が薬剤データベースに登録された薬剤であれば確定エリアAr11へ、登録されていない薬剤であれば仮判定エリアAr12へと仕分けることができる。そのため、記憶部80への薬剤データの登録の有無に依らず、薬剤を仕分けることができる。また、記憶部80への薬剤データの登録の有無に応じて仕分ける領域を変更できるので、後述の薬剤登録処理の利便性を向上させることができる。
【0097】
(その他の構成)
なお、仕分制御部62は、受入領域Ar1に配置された薬剤載置台133aから、判別処理が完了した薬剤を取り出すために、第2カメラ121に当該薬剤載置台133aを撮像させて、当該薬剤の位置を絞り込む。また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納された薬剤の分包機構6への搬送時に、当該仕分カップ141から薬剤を取り出すために、第2カメラ121に当該仕分カップ141を撮像させて、搬送対象とする薬剤を絞り込む。
【0098】
また、確定エリアAr11においては、仕分制御部62により仕分カップ141に格納された薬剤に関する薬剤データは、第2RFIDリーダ・ライタユニット18によって、当該仕分カップ141に設けられたRFIDタグに記憶される。
【0099】
第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5と同様、RFIDタグへの薬剤データ等の書込み、またはRFIDタグに記憶された薬剤データ等の読出しを行う。仕分制御部62は、RFID制御部68に、仕分カップ141に薬剤を格納するたびに、当該薬剤に関するデータを書込ませる。
【0100】
第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、第2収容部14の下側に設けられている。具体的には、各仕分カップ141のRFIDタグに記憶された薬剤に関するデータの読取りまたは書込み時に、各仕分カップ141の底部と対向するように設けられる。
【0101】
(表示画像例)
薬剤仕分処理中、または薬剤仕分処理の動作停止中、表示制御部67は、図6に示すような仕分画像Im1を、表示部32に表示させることができる。
【0102】
薬剤が仕分けられる複数の仕分位置のそれぞれと、当該仕分位置に配置される仕分カップ141と、仕分カップ141に収容された薬剤に関する薬剤データ(または対象特徴の少なくとも一部を含むデータ)とは紐付けられて、記憶部80に記憶されている。また、仕分カップ141に収容された薬剤の個数、および当該薬剤の画像データも紐付けられて、記憶部80に記憶されている。
【0103】
そのため、表示制御部67は、第2収容部14における複数の仕分位置と、仕分位置のそれぞれにおける仕分状況(例:収容された薬剤の個数)とを反映した、仕分画像Im1を表示できる。
【0104】
また、表示制御部67は、仕分画像Im1において、薬剤が仕分けられている位置に、鑑査結果等を表示する。表示制御部67は、鑑査結果として、目視による鑑査未対応を示す「目視未」、または、鑑査対応済を示す「目視済」を表示する。また、表示制御部67は、薬剤データ未登録であるために仮判定エリアAr12に仕分けられている旨を示す「仮仕分」を表示する。これらの表示により、ユーザは、鑑査未対応の薬剤が仕分けられた仕分カップ141、または、薬剤データベースへの登録を要する薬剤が仕分けられた仕分カップ141を確認できる。
【0105】
表示制御部67は、仕分画像Im1に示された確定エリアAr11の仕分位置に対するユーザ入力を受付けることで、当該仕分位置に対応付けられた薬剤の鑑査画像Im2(図7参照)を表示部32に表示する。これにより、ユーザが目視鑑査を行うことを所望する薬剤の鑑査画像Im2を表示できる。
【0106】
また、表示制御部67は、仕分画像Im1に示された仮判定エリアAr12の仕分位置に対するユーザ入力を受付けることで、当該仕分位置に対応付けられた薬剤の確認画像Im3を表示部32に表示する。これにより、ユーザが薬剤データベースへの登録を所望する薬剤の確認画像Im3(図8参照)を表示できる。
【0107】
〔薬剤登録処理〕
次に、仮判定エリアAr12に仕分けられた薬剤を薬剤データベースへ登録する薬剤登録処理について、図1図6図8図10を用いて説明する。図9の(a)および(b)は、検索画像(検索画面)Im4の表示例を示す図であり、(c)は、第1カメラ131が撮像した画像の一例を示す図である。図10の(a)は、登録画像(登録画面)Im5の一例を示す図であり、(b)は、画像調整処理の一例を説明するための図である。
【0108】
上述のように、表示制御部67は、図6に示す仕分画像Im1に示される仮判定エリアAr12の仕分位置に対するユーザ入力を受付けることで、図8に示すような確認画像Im3を表示する。図8に示すように、確認画像Im3には、少なくとも画像表示領域Ar31および「マスタ登録」ボタンが含まれる。
【0109】
画像表示領域Ar31は、仕分位置に紐付けて記憶部80に記憶された、仕分カップ141に格納された薬剤の画像データが示す画像(第1カメラ131が撮像した画像)が、仕分カップ141に格納された薬剤の個数分表示される領域である。本例では、画像表示領域Ar31には、F-7の位置に配置された仕分カップ141に格納された2個の薬剤の画像が表示されている。「マスタ登録」ボタンは、画像表示領域Ar31で選択された薬剤の、薬剤データベースへの登録を開始するためのユーザ入力を受付けるものである。
【0110】
1つの画像データが選択された状態で、「マスタ登録」ボタンへのユーザ入力を受付けると、制御部60aは、当該画像データに対応する薬剤の登録処理を行う。具体的には、図1に示すように、制御部60aは、登録部70を備える。登録部70は、仮判定エリアAr12に仕分けられた薬剤に関する薬剤データを、薬剤データベースに登録する処理を総括して行う。つまり、登録部70は、判別部64により画像データに対応する薬剤データが存在しないと判定された薬剤について、ユーザにより特定された、画像データに係る薬剤の薬剤データを、当該画像データと紐付けて登録する。
【0111】
具体的には、登録部70は、表示制御部67を制御して、図9の(a)に示す検索画像Im4を表示部32に表示させる。検索画像Im4は、仕分カップ141に格納された薬剤についての検索結果を示す画像である。
【0112】
検索画像Im4には、図9の(a)に示すように、少なくとも文字入力領域Ar41、画像表示領域Ar42、検索結果一覧領域Ar43、および「選択」ボタンが含まれる。文字入力領域Ar41は、画像表示領域Ar42に表示された薬剤を検索するための文字を入力可能な領域である。画像表示領域Ar42は、第1カメラ131が撮像した画像(図8で選択された画像と同一の画像)を表示する領域である。検索結果一覧領域Ar43は、「検索」ボタンへのユーザ入力を受付けたときに、検索結果を表示する領域である。「選択」ボタンは、検索結果一覧領域Ar43に表示された薬剤データのうちの1つの薬剤データの選択を決定するものである。
【0113】
ここで、第1カメラ131は、配置領域Ar2に配置された薬剤載置台133aに載置された薬剤を撮像する。そのため、記憶部80に記憶された画像データにおける薬剤に付された情報(例:刻印情報または印刷情報)の向きは、薬剤毎によって異なる。画像表示領域Ar42には、記憶部80に記憶された画像データが示す画像(第1カメラ131が撮像した画像)がそのまま表示される。そのため、画像表示領域Ar42には、例えば図9の(a)に示すように、刻印情報が下向きの状態の画像が表示される。また、例えば、刻印情報が横向きの状態で撮像された場合には、図9の(c)に示すように、刻印情報が横向きの状態の画像が画像表示領域Ar42に表示される。なお、図7に示す鑑査画像Im2、図8に示す確認画像Im3においても同様である。
【0114】
表示制御部67が図9の(a)に示す検索画像Im4を表示すると、ユーザは、画像表示領域Ar42に表示された画像を確認することで、刻印情報を認識する。ユーザは、認識した刻印情報の少なくとも一部を文字入力領域Ar41に入力する。
【0115】
登録部70は、文字入力領域Ar41に刻印情報の少なくとも一部が入力された後、「検索」ボタンへのユーザ入力を受付けた場合、薬剤総合データベースにおいて、文字入力領域Ar41に入力された文字に基づく検索を行う。
【0116】
薬剤総合データベースとは、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理するものである。薬剤総合データベースは、薬剤仕分装置1と通信可能に接続でき、複数種類の薬剤を総合的に一元管理するデータ管理装置500(図13参照)で管理されるデータベースである。データ管理装置500は、例えば薬剤仕分装置1の製造元で使用される装置である。薬剤総合データベースは、様々な場所(病院、病棟または薬局等)で使用される薬剤仕分装置1、および薬剤仕分装置1以外の装置(例:分包機)で取り扱われ得る全ての薬剤に関する薬剤データを含む。
【0117】
一方、薬剤データベースは、薬剤仕分装置1、または薬剤仕分装置1が使用される病院、病棟または薬局等で管理しているデータベースである。薬剤データベースは、上述のように、例えば記憶部80で管理される。薬剤総合データベースで管理されている薬剤データ数は膨大であるため、薬剤データベースにその全てを含めることは現実的ではない。そのため、薬剤データベースは、薬剤総合データベースに含まれる薬剤データの中から、各薬剤仕分装置1で、または、各病院、病棟もしくは薬局等で使用されることが想定される薬剤データを抽出して管理している。つまり、薬剤データベースには存在しない薬剤データであっても、薬剤総合データベースには存在する。そのため、登録部70は、薬剤総合データベースにおいて検索を行う。
【0118】
なお、薬剤総合データベースおよび薬剤データベースに登録されている薬剤データには、薬剤に付された識別情報(例:刻印情報または印字情報)が規定された方向および大きさに調整された薬剤の画像データが含まれる。当該方向および大きさは、例えば、薬剤の種類または大きさ毎に設定されている。
【0119】
ユーザが、画像に含まれる情報のうち「SW」が文字入力領域Ar41に入力した後、「検索」ボタンを押下したとする。この場合、登録部70は、図9の(b)に示すように、薬剤総合データベースにおいて文字「SW」について検索した結果を、検索結果一覧領域Ar43に表示する。ユーザは、検索結果一覧領域Ar43において、画像に含まれる情報「SW344」と一致する薬剤データを選択する。
【0120】
登録部70は、検索結果一覧領域Ar43に表示された1つの薬剤データが選択された状態において、「選択」ボタンへのユーザ入力を受付けると、表示制御部67を制御して、登録画像Im5を表示部32に表示させる。またこのとき、登録部70は、判別部64(特徴抽出部64a)を制御することで、第1カメラが撮像した画像(図8で選択された画像と同一の画像)から刻印情報を抽出する。登録部70は、当該画像に割線が含まれている場合には、割線もあわせて抽出する。刻印情報の抽出には、公知の技術を採用できる。
【0121】
登録画像Im5には、図10に示すように、少なくとも画像表示領域Ar51、薬剤情報表示領域Ar52、画像調整領域Ar53、操作部表示領域Ar54、および「確定」ボタンが含まれる。
【0122】
画像表示領域Ar51は、第1カメラ131が撮像した画像を表示する領域である。画像表示領域Ar51には、図8で選択された画像と同一の画像が表示される。但し、画像表示領域Ar51には、1つの薬剤を複数の方向から撮像した画像が表示されても構わない。図10では、1つの薬剤を異なる方向から撮像した4個の画像が表示されている。
【0123】
薬剤情報表示領域Ar52は、薬剤総合データベースから抽出した薬剤に関する薬剤データ(例:画像データ、薬剤名、および刻印情報(例:識別コード))を表示する領域である。画像調整領域Ar53は、画像の方向または大きさを調整する領域である。操作部表示領域Ar54は、画像調整領域Ar53に表示された画像の方向または大きさを調整するための操作部を表示する領域である。「確定」ボタンは、薬剤データベースへの登録を確定するものである。
【0124】
画像表示領域Ar51に表示された画像のうちの1つの画像が選択されると、登録部70は、画像調整領域Ar53に当該画像を表示する。また、登録部70は、検索画像Im4の「選択」ボタンへのユーザ入力受付時に抽出した刻印情報を、画像調整領域Ar53に表示する。つまり、登録部70は、抽出した刻印情報と選択した画像とを、画像調整領域Ar53に重畳表示する。
【0125】
登録部70は、抽出した刻印情報を画像調整領域Ar53に表示する。登録部70は、抽出した刻印情報の方向および大きさを、薬剤データベースで規定された方向および大きさにあわせた状態で、当該刻印情報を画像調整領域Ar53に表示する。そのため、画像調整領域Ar53に表示された刻印情報にあわせて、選択した画像の方向および大きさを変更することで、薬剤データベースで規定された方向および大きさの刻印情報を含む画像データを、薬剤データベースに登録できる。
【0126】
画像調整領域Ar53において、抽出した刻印情報と選択した画像とを重畳させた状態で、ユーザは、操作部表示領域Ar54に表示された操作部を操作する。これにより、ユーザは、選択した画像を回転させたり、上下または左右方向に移動させたり、当該画像の大きさを変更したりする。登録部70は、当該操作部へのユーザ入力を反映した画像を画像調整領域Ar53に逐次表示する。これにより、ユーザは、画像調整領域Ar53を確認しながら、抽出した刻印情報の方向および大きさと略一致するように、選択した画像の方向、大きさおよび位置を変更できる。
【0127】
例えば図10の(a)の場合、図10の(b)に示すように、登録部70は、抽出した刻印情報を、画像調整領域Ar53に表示させた後、選択した画像を画像調整領域Ar53に表示させる。本例では、第1カメラ131が撮像した画像において刻印情報は下向きである。つまり、画像調整領域Ar53では、抽出した刻印情報と、選択した画像における刻印情報とは互いに反対の方向を向いている。なお、図10の(b)では、明瞭に区別できるように、抽出した刻印情報「SW344」の各文字を太字で示し、選択した画像における刻印情報「SW344」の各文字を点線で示している。
【0128】
この状態において、ユーザは、操作部表示領域Ar54に表示された操作部を操作して、選択した画像の方向、大きさおよび位置を変更することで、選択した画像に含まれる刻印情報を抽出した刻印情報の方向および大きさに略一致させる。これらの刻印情報の方向および大きさが略一致した状態で、ユーザは、「確定」ボタンを押下する。
【0129】
登録部70は、「確定」ボタンへのユーザ入力を受付けると、画像調整領域Ar53で調整された画像を示す画像データ(調整後の画像データ)と、検索の結果選択された薬剤データとを紐付けて薬剤データベースに登録する。
【0130】
このように、本実施形態では、判別部64(特徴抽出部64a)は、第1カメラ131によって撮像された画像に含まれる薬剤に示された刻印情報(識別情報)を抽出する。表示制御部67は、当該画像および刻印情報を表示部32に表示する。具体的には、当該画像および刻印情報を、登録画像Im5の画像調整領域Ar53に表示する。そして、登録部70は、抽出した刻印情報が表示部32に表示されるときの所定の方向(薬剤データベースで規定されている所定の方向)に、画像に含まれる薬剤に示された刻印情報の方向を一致させたときの、当該画像を示す画像データを登録する。
【0131】
これにより、薬剤データベースで規定された方向および大きさの刻印情報を含む画像データを、薬剤データベースに登録できる。そのため、判別部64による薬剤データベースを用いた照合の正確性を向上させることができ、また迅速化を図ることができる。
【0132】
なお、図10の(a)に示すように、画像表示領域Ar51に複数の画像が表示されている場合、登録部70は、それぞれの画像について、上述した薬剤登録処理を行っても構わない。この場合、薬剤データベースには、1つの薬剤について、複数の画像データが登録される。また、登録部70は、複数の画像から選択した1つの画像(例えば、刻印情報が明瞭に映っているとユーザが判断した画像)についてのみ、調整後の画像データを薬剤データベースに登録しても構わない。
【0133】
〔カプセルの場合の薬剤登録処理〕
次に、薬剤がカプセルである場合の薬剤登録処理について、図11および図12を用いて説明する。図11は、カプセルを登録するときの登録画像Im6の一例を示す図である。図12は、別のカプセルを登録するときの登録画像Im7の一例を示す図である。
【0134】
登録部70は、薬剤がカプセルである場合、表示制御部67を制御して、カプセルの周囲の複数の位置から撮像された複数の画像を表示部32に表示させる。
【0135】
カプセルの場合、錠剤とは異なり、表面および裏面のいずれかに印字情報(例:識別コード)が表示されているとは限らない。そのため、登録部70は、複数の画像を表示させることで、複数の画像のうち、印字情報が明確に含まれている画像を、登録対象の画像としてユーザに選択させることができる。従って、カプセルの場合であっても、薬剤データベースへの登録に適した画像データを登録できる。
【0136】
登録画像Im6には、図11に示すように、少なくとも画像表示領域Ar61、薬剤情報表示領域Ar62、画像調整領域Ar63、操作部表示領域Ar64、および「確定」ボタンが含まれる。各領域および「確定」ボタンのそれぞれは、図10の(a)に示す画像表示領域Ar51、薬剤情報表示領域Ar52、画像調整領域Ar53、操作部表示領域Ar54、および「確定」ボタンと同様の機能を有する。但し、画像表示領域Ar61には、カプセルの周囲の複数の位置から撮像された複数の画像(本例では7個の画像)が表示される。
【0137】
図11の例では、カプセルを2分割した領域のそれぞれに印字情報が付されている。ユーザは、上記7個の画像において、2分割した各領域の中央付近に印字情報が表示されている画像を選択する。つまり、ユーザは、各領域について、薬剤情報表示領域Ar62に表示された画像データに含まれる印字情報と可能な限り類似した印字情報を含む画像を選択する。本例では、ユーザは、3番目の画像および6番目の画像を選択する。その後、図10を用いて説明した場合と同様の薬剤登録処理が行われる。
【0138】
つまり、ユーザは、画像調整領域Ar63において、画像表示領域Ar61において選択した画像の印刷情報が、撮像された薬剤の画像から抽出し、かつ所定の方向を向くように表示された印刷情報と略一致するように、当該画像の方向、大きさおよび位置を変更する。その後、選択した画像の印刷情報と抽出した印刷情報とが略一致した状態において、ユーザは「確定」ボタンを押下する。登録部70は、「確定」ボタンへのユーザ入力を受付けると、調整後の画像データを、検索の結果選択された薬剤データとを紐付けて薬剤データベースに登録する。本例では、3番目の画像および6番目の画像のそれぞれについて薬剤登録処理が行われる。
【0139】
なお、薬剤データベースに登録されている画像データでは、薬剤情報表示領域Ar62に示されるように、一方の領域の印刷情報が上向きであり、他方の領域の印刷情報が下向きである。そのため、登録部70は、一方の領域の印刷情報については上向きに、他方の領域の印刷情報については下向きに、それぞれ印字情報を画像調整領域Ar63に表示する。従って、ユーザは、3番目の画像の印刷情報は上向きの印刷情報と略一致させるように、また、6番目の画像の印刷情報は下向きの印刷情報と略一致させるように、各画像の方向、大きさおよび位置を変更する。
【0140】
また、カプセルの短手方向に印字情報が含まれている場合もある。この場合も図11と同様に、登録部70は、複数の方向から撮像した画像を表示部32に表示させる。
【0141】
登録画像Im6には、図12に示すように、少なくとも画像表示領域Ar71、薬剤情報表示領域Ar72、画像調整領域Ar73、操作部表示領域Ar74、および「確定」ボタンが含まれる。各領域および「確定」ボタンのそれぞれは、図11に示す画像表示領域Ar61、薬剤情報表示領域Ar62、画像調整領域Ar63、操作部表示領域Ar64、および「確定」ボタンと同様の機能を有する。
【0142】
ユーザは、画像表示領域Ar71に含まれる7個の画像において、2分割した各領域において印字情報がより多く含まれる画像を選択する。つまり、ユーザは、各領域について、薬剤情報表示領域Ar72に表示された画像データに含まれる印字情報と可能な限り類似した印字情報を含む画像を選択する。
【0143】
本例では、ユーザは、一方の領域については3番目、4番目および5番目の画像を選択すると共に、他方の領域については4番目および5番目の画像を選択する。そして、図11を用いて説明した場合と同様に、一方の領域については、3番目、4番目および5番目の各画像についての調整が行われると共に、他方の領域については、4番目および5番目の各画像についての調整が行われる。ユーザは、抽出した印字情報と、選択した画像に含まれる印字情報との一致度が最も高い調整後の画像データについて、「確定」ボタンを押下する。これにより、登録部70は、上記一致度が最も高い調整後の画像データを、検索の結果選択された薬剤データと紐付けて薬剤データベースに登録する。
【0144】
このように、薬剤がカプセルの場合であっても、薬剤データベースで規定された方向および大きさの印字情報を含む画像データを、薬剤データベースに登録できる。
【0145】
なお、ユーザは、印字情報がより多く含まれる画像の全てを選択しなくてもよい。例えば、ユーザは、各領域について、薬剤情報表示領域Ar72に表示された画像データに含まれる印字情報と可能な限り類似した印字情報を含む画像を1つ選択するだけでも構わない。
【0146】
また、薬剤データベースに登録されている画像データでは、薬剤情報表示領域Ar72に示されるように、一方の領域の印字情報は「ABCD(E)」、および他方の領域の印刷情報「5mg」は共に左向きである。そのため、登録部70は、両領域の印字情報を表示するときに、それぞれ左向きの印字情報を画像調整領域Ar73に表示する。
【0147】
〔データ管理システム〕
次に、データ管理システムについて、図13を用いて説明する。図13は、データ管理システムの一例を示す図である。
【0148】
データ管理システムは、複数の薬剤仕分装置1と、薬剤仕分装置1のそれぞれと通信可能に接続できるデータ管理装置500とを含む。薬剤仕分装置1およびデータ管理装置500は、インターネット回線、または専用VPN(Virtual Private Network)回線を介してデータの送受信を行う。なお、データ管理システムに含まれる薬剤仕分装置1は、1個であっても構わない。
【0149】
薬剤仕分装置1は、図1に示す制御部60aおよび記憶部80に加え、データ管理装置500とデータの送受信を行う送受信部101を備える。送受信部101は、例えば、仮判定エリアAr12に仕分けられた薬剤の画像データを、データ管理装置500に送信する。
【0150】
データ管理装置500は、送受信部501、制御部502、タッチパネル503、および記憶部504を備える。送受信部501は、薬剤仕分装置1とデータの送受信を行う。送受信部501は、例えば、送受信部101からの画像データを受信する。制御部502は、データ管理装置500を統括的に制御するものであり、主として、登録部521を備える。登録部521は、図1に示す登録部70と同様の機能を有する。タッチパネル503は、操作部531および表示部532を備える。タッチパネル503、操作部531および表示部532は、図1に示すタッチパネル3、操作部31および表示部32とそれぞれ同様の機能を有する。記憶部504は、薬剤総合データベース、および、薬剤データベースを記憶する。薬剤データベースは、各薬剤仕分装置1専用のものであっても、各薬剤仕分装置1に共通のものであっても構わない。
【0151】
例えば、データ管理装置500では、送受信部501は、各薬剤仕分装置1において仮判定エリアAr12に仕分けられた薬剤の画像データを、各薬剤仕分装置1から受信する。そして、各画像データについて、上述した薬剤登録処理が行われる。登録部521は、調整後の画像データを、ユーザが特定した薬剤データと紐付けて薬剤データベースに登録する。
【0152】
制御部502は、送受信部501を制御して、調整後の画像データが登録された薬剤データベースを、各薬剤仕分装置1に送信する。なお、制御部502は、調整後の画像データと、当該画像データが紐付けられた薬剤データとを含むデータのみを、各薬剤仕分装置1に送信しても構わない。また、制御部502は、画像データを送信してきた薬剤仕分装置1にのみ、薬剤データベースを送信しても構わない。
【0153】
このように、データ管理装置500は、薬剤仕分装置1において、画像データに対応する薬剤データが存在しないと判定された薬剤の画像データを受信する送受信部501と、ユーザにより特定された、画像データに係る薬剤の薬剤データを、当該画像データと紐付けて登録する登録部521と、を備える。これにより、薬剤仕分装置1が登録部70を有していなくても(薬剤仕分装置1において薬剤登録処理が行われなくても)、薬剤データベースに推定薬剤の画像データを登録できる。
【0154】
また、本データ管理システムにおいては、データ管理装置500は、各薬剤仕分装置1で用いられる薬剤データベースを管理する。そのため、薬剤データベースを各薬剤仕分装置1の記憶部80で管理しなくても構わない。
【0155】
また、薬剤仕分装置1とデータ管理装置500との間でのデータの送受信は、上述の回線を用いて行われなくても構わない。例えば、薬剤仕分装置1とは異なる通信装置(例:PC(Personal Computer))を用いて、データ管理装置500とのデータの送受信が行われても構わない。また、相手先に送信すべきデータを格納した記憶媒体(例:HDD(Hard Disk Drive)またはDVD(Digital Versatile Disc))を、相手先に送付しても構わない。通信装置または記憶媒体を用いる場合、薬剤仕分装置1は送受信部101を備える必要が無い。また、データ管理装置500は、送受信部501を備える必要が無い。
【0156】
また、病院、病棟または薬局等で薬剤総合データベースを管理する場合、データ管理装置500は、薬剤総合データベースを病院、病棟または薬局等に設置されたデータ管理装置に送信しても構わない。この場合、薬剤総合データベースを病院、病棟または薬局等で管理できる。また、薬剤総合データベースが格納された記憶媒体が、病院、病棟または薬局等に配布されても構わない。
【0157】
[実施形態2]
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。以降の実施形態についても同様である。図14の(a)は、配置領域Ar2に移動してきた薬剤載置台133aの一例を示す平面図であり、(b)および(c)は、薬剤の位置を調整した後の薬剤載置台133aの一例を示す平面図である。
【0158】
本実施形態の薬剤仕分装置1は、登録部70を備えている必要は無い。つまり、第2収容部14において、確定エリアAr11および仮判定エリアAr12の2領域が設定されている必要は無い。この場合、制御部60aは、薬剤の種類を判別できた薬剤、および推定薬剤については、第2収容部14のいずれかの仕分位置(仕分カップ141)に仕分ける。つまり、推定薬剤についても、仕分カップ141に空きがあれば、待機トレイ15に仕分けられることなく、第2収容部14に仕分けられる。
【0159】
つまり、本実施形態の薬剤仕分装置1は、その基本構成として、少なくとも以下の構成を有していればよい。なお、以降の実施形態においても同様である。
・複数種類の薬剤を混在した状態で収容する第1収容部11。
・薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部14。
・第1収容部11から取出した薬剤を撮像する撮像ユニット13。
・撮像ユニット13によって撮像された画像に基づき、薬剤の種類を判別する判別部64。
・判別部64による判別結果に基づき、薬剤を種類毎に第2収容部14へ格納する搬送・仕分ユニット12。
【0160】
実施形態1で説明したように、図3の(a)および(b)に示す旋回機構133bは、薬剤載置台133aを振動させることが可能である。旋回機構133bが薬剤載置台133aを振動させることで、刻印情報または印字情報を所定の方向に向かせることができる。
【0161】
ここで、図14の(a)に示すように、旋回機構133bによって、薬剤載置台133aが受入領域Ar1から配置領域Ar2に旋回して移動した場合に、薬剤に働く遠心力によって、薬剤が薬剤載置台133aの端部まで移動することがある。この場合に、薬剤の大きさまたは形状に依らず一定の振動を行うと、薬剤載置台133aの縁部に薬剤が連続して衝突することで、薬剤を所定の方向を向かせることができない可能性もある。所定の方向を向かせることができない場合、撮像回数が増加したり、刻印情報または印字情報の抽出が困難な画像しか撮像できなかったりする可能性がある。
【0162】
本実施形態の薬剤仕分装置1では、旋回機構133b(揺動機構)は、薬剤載置台133aに載置された薬剤の大きさおよび形状に基づき、配置領域Ar2に配置された薬剤載置台133aを揺動(振動)させる。
【0163】
具体的には、撮像制御部63は、第1カメラ131が撮像した画像に基づき、画像に含まれる薬剤の長さ(大きさ)、および形状を特定する。なお、この特定には、公知の技術を採用できる。また、記憶部80には、薬剤の長さ、薬剤の形状、薬剤載置台133aの振動量(振動の大きさ)、および、単位時間当たりの振動回数が紐付けられて記憶されている。振動量および振動回数は、例えば実験等により設定される。
【0164】
薬剤が錠剤である場合、図14の(b)に示すように、例えば、図14の(a)に示す状態から、一方の傾斜面部133abを略水平としたときの傾斜面部133abの中央付近に薬剤が載置されるように、振動量および振動回数が設定される。また、薬剤がカプセルである場合、図14の(c)に示すように、例えば、図14の(a)に示す状態から、底面部133aaを略水平としたときの底面部133aaの中央付近に薬剤が載置されるように、振動量および振動回数が設定される。例えば、薬剤の長さ(大きさ)が小さい薬剤ほど、薬剤載置台133aの振動に伴う移動量は大きくなるため、振動量は小さく設定される。
【0165】
撮像制御部63は、撮像した画像から特定した薬剤の長さまたは形状に紐付けられた振動量および振動回数で、配置領域Ar2において薬剤載置台133aを振動させる。これにより、錠剤の場合には図14の(b)に示すように、また、カプセルの場合には図14の(c)に示すように、第1カメラ131が刻印情報または印刷情報を撮像しやすい位置に薬剤を載置できる。そのため、撮像回数の増加を防止できる。
【0166】
また、薬剤の大きさおよび形状に基づき薬剤載置台133aを振動させることで、薬剤載置台133aの振動により薬剤が薬剤載置台133aから飛び出してしまうことを防止できる。また、薬剤載置台133aの振動により、薬剤が薬剤載置台133aの縁部と連続的に衝突することを防止できる。そのため、衝突による薬剤の破損の可能性を低減できる(薬剤への負担を軽減できる)。
【0167】
[実施形態3]
本実施形態では、判別処理の高速化について説明する。図15は、第2カメラ121が第1収容部11を撮像した画像の一例を示す図である。
【0168】
本実施形態の薬剤仕分装置1は、実施形態2で述べた基本構成に加え、実施形態1と同様、第1収容部11に収容された薬剤を取出す吸着機構(取出機構)と、吸着機構が薬剤を取出すときに、当該薬剤を撮像する第2カメラ121(第2撮像部)と、を備える。
【0169】
搬送制御部61は、第2カメラ121が撮像した画像に対する撮像制御部63の解析結果に基づき、第1収容部11に収容された複数種類の薬剤の中から、吸着機構に吸着させる薬剤を決定する。搬送制御部61は、撮像制御部63が検出した、画像に含まれる薬剤(物体)の輪郭の大きさに基づき、吸着機構に吸着させる薬剤を決定しても構わない。なお、輪郭の検出には、公知の技術が採用されてよい。また、薬剤を取出す順序は、予め設定されている。例えば、輪郭が大きい順に取出すよう設定されている。
【0170】
このように薬剤の大きさに基づき薬剤の取出し順序が設定されている場合、吸着機構は、同じ種類の薬剤を連続して取出す可能性が高い。例えば、図15に示すように、第2カメラ121が撮像した画像に、種類(大きさ)の異なる薬剤「A」~「E」が含まれているものとする。大きさは、薬剤「A」>薬剤「B」>薬剤「C」>薬剤「D」>薬剤「E」となっているものとする。
【0171】
上記のように薬剤を取出す順序が設定されている場合、図15に示す例では、吸着機構は、まず薬剤「A」を連続して取出す。薬剤「A」の取出しが完了すると、次に薬剤「B」を連続して取出す。その後、薬剤「C」を連続して取出した後、薬剤「D」を連続して取出し、最後に薬剤「E」を連続して取出す。つまり、吸着機構は、薬剤「A」~薬剤「E」のそれぞれについて連続して取出している。
【0172】
この場合、判別部64は、同種類の薬剤の判別処理を連続して行う可能性が高い。そのため、本実施形態の薬剤仕分装置1では、判別部64は、第2カメラ121が撮像した画像において、吸着機構が今回取出した薬剤の輪郭と、吸着機構が前回までに取出した薬剤の輪郭との一致度が所定値以上であるか否かを判定する。そして、判別部64は、一致度が所定値以上であると判定した場合には、前回までに取出した薬剤の種類を判別したときに適用した薬剤データを、今回取出した薬剤の種類の判別に適用する。
【0173】
なお、所定値は、例えば実験を行うことで、同種類の薬剤の輪郭同士を比較したときに、これらの輪郭を有する薬剤が同種類の薬剤であると判定できる程度に設定されていればよい。また、一致度の算出には、公知の技術が採用されてよい。また、一致度の判定は、例えば搬送制御部61で行われても構わない。
【0174】
具体的には、撮像制御部63は、第2カメラ121が撮像した画像を解析することで、第1収容部11に含まれる全薬剤の輪郭を検出する。搬送制御部61は、予め設定された薬剤の取出し順序に従い、取出す薬剤を決定する。搬送制御部61は、取出す薬剤として決定した薬剤の輪郭を示す輪郭データを記憶部80に記憶する。
【0175】
判別部64は、実施形態1と同様、取出された薬剤について第1カメラ131が撮像した画像から当該薬剤の特徴を抽出し、当該特徴を薬剤データベースと照合することで、当該薬剤の種類を判別する。判別部64は、このときに特定した薬剤の種類(薬剤データ)を、当該薬剤の輪郭データに紐付けて記憶部80に記憶する。
【0176】
搬送制御部61は、予め設定された薬剤の取出し順序に従い、次の薬剤を取出すと共に、当該薬剤の輪郭データを記憶部80に記憶する。判別部64は、前回取出された薬剤の輪郭データと今回取出した薬剤の輪郭データとを比較することで、これらの薬剤の輪郭の一致度を算出し、当該一致度が所定値以上であるか否かを判定する。判別部64は、一致度が所定値以上であると判定した場合には、今回取出された薬剤の特徴を、前回取出された薬剤の輪郭データに紐付けられた薬剤データと照合することで、当該薬剤の種類を判別する。
【0177】
判別部64は、前回取出された薬剤の薬剤データを用いて今回の薬剤の種類を判別できた場合、上記の処理を繰り返して行う。つまり、判別部64は、今回取出された薬剤の輪郭データと、記憶部80に記憶されている、前回までに取出された薬剤の輪郭データとの一致度が所定値以上である場合、今回取出された薬剤の特徴を、前回までに取出された薬剤の薬剤データと照合する。
【0178】
上述のように、同種類の薬剤が第1収容部11に収容されている場合、同種類の薬剤を連続して取出すことになる。本実施形態では、上記一致度が所定値以上である場合に、前回と同種類の薬剤が取出されたものとして、今回取出された薬剤の種類を、前回までに取出された薬剤の薬剤データを用いて判別する。これにより、同種類の薬剤のそれぞれについて、実施形態1のように、第1カメラ131が撮像した画像から抽出した薬剤の特徴を、薬剤データベースと照合する必要が無い。そのため、薬剤の種類の判別に要する処理時間を短縮することが可能となる。
【0179】
なお、判別部64は、上記一致度が所定値未満であると判別した場合には、前回の薬剤とは異なる種類の薬剤を取出したものと判定し、実施形態1と同様、薬剤データベースを用いて当該薬剤の種類を判別する。この判定結果を受けて、搬送制御部61は、記憶部80に記憶されている薬剤の輪郭データを、今回取出した薬剤の輪郭データに更新する。判別部64は、以降の処理において、更新後の輪郭データを用いる。なお、輪郭データの更新処理は、搬送制御部61が行っても構わない。
【0180】
ここで、種類は異なるが大きさが略同一である薬剤が、第1収容部11に収容されている場合もある。この場合、今回取出された薬剤の大きさが前回までに取出された薬剤と略同一であるが、今回取出された薬剤の種類が前回までに取出された薬剤の種類とは異なることもある。この場合、判別部64は、上記一致度が所定値以上であると判定するが、前回までに取出された薬剤の薬剤データを用いて照合を行っても、今回取出された薬剤の種類を判別できない。
【0181】
略同一の大きさを有するが、種類が異なる薬剤を連続して取出した場合、その都度、上記一致度が所定値以上であるか否かを判定すると共に、前回までに取出された薬剤の薬剤データを用いた照合を行う。そして、照合に失敗するたびに、判別部64は、実施形態1と同様、今回取出された薬剤について第1カメラ131が撮像した画像を解析した結果と、薬剤データベースとを用いて、当該薬剤の種類を判別することとなる。従って、略同一の大きさであるが、種類が異なる薬剤を順次取出してしまった場合には、かえって処理時間を要してしまうことになる。
【0182】
そのため、判別部64は、前回までに取出した薬剤の種類を判別したときに適用した薬剤データを、今回取出した薬剤の種類の判別に適用した場合に、所定回数以上、当該薬剤の種類を判別できなかった場合には、当該薬剤データの適用を中止しても構わない。この場合、略同一の大きさであるが、種類が異なる薬剤を順次取出した場合であっても、処理時間の増大を抑制できる。なお、所定回数は、処理時間の増大化への影響が少ない回数(例:3回)に設定されていればよい。
【0183】
なお、判別部64は、前回までに取出した薬剤の種類を判別したときに適用した薬剤データの適用を中止した場合、実施形態1と同様、今回取出された薬剤について第1カメラ131が撮像した画像を解析した結果と、薬剤データベースとを用いることで、当該薬剤の種類を判別する。
【0184】
以上のように、本実施形態の薬剤仕分装置1は、以下の構成を有している。
【0185】
つまり、本実施形態の一態様に係る薬剤仕分装置1は、複数種類の薬剤を混在した状態で収容する第1収容部11と、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部14と、薬剤を撮像する撮像ユニット13(撮像部)と、撮像ユニット13によって撮像された画像に基づき、薬剤の種類を判別する判別部64と、判別部64による判別結果に基づき、薬剤を種類毎に第2収容部14へ格納する搬送・仕分ユニット12(仕分部)と、第1収容部11に収容された薬剤を取出す吸着機構(取出機構)と、吸着機構が薬剤を取出すときに、当該薬剤を撮像する第2カメラ121(第2撮像部)と、を備え、判別部64は、第2カメラ121が撮像した画像において、吸着機構が今回取出した薬剤の輪郭と、吸着機構が前回までに取出した薬剤の輪郭との一致度が所定値以上である場合、前回までに取出した薬剤の種類を判別したときに適用した薬剤データを、今回取出した薬剤の種類の判別に適用する。
【0186】
また、本実施形態の一態様に係る薬剤仕分装置1は、上記の態様において、判別部64は、前回までに取出した薬剤の種類を判別したときに適用した薬剤データを今回取出した薬剤の種類の判別に適用した場合に、所定回数以上、当該薬剤の種類を判別できなかった場合には、当該薬剤データの適用を中止しても構わない。
【0187】
[実施形態4]
本実施形態では、分包機700の一例について説明する。図16は、分包機700の一例を説明するための図であり、(a)は分包機700の正面図、(b)はカセット格納機構705の一例を示す図であり、(c)および(d)は補充テーブル703の使用例を説明するための図である。図17は、分包機700の一例を示すブロック図である。
【0188】
分包機700は、薬剤を分包するものであり、図16の(a)および図17に示すように、バーコードリーダ701、可変カセット装着部702、補充テーブル(充填テーブル)703、およびタッチパネル704を備える。分包機700は、薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤の返却先である。また、図16の(b)および図17に示すように、開閉扉710を開けた分包機700の内部には、カセット格納機構705が備えられている。
【0189】
バーコードリーダ701は、薬剤仕分装置1または分包機700で発行されたジャーナルに付されたバーコード、または、薬剤が収容された薬剤箱に付されたバーコードに含まれる情報を読取る。バーコードは、例えば、薬剤名等の識別情報が付与されたGS1コードである。
【0190】
可変カセット装着部702は、装着された可変カセット801を駆動するものである。可変カセット801は、挿入された薬剤を、分包機700に内蔵された分包機構(不図示)に払出す。
【0191】
補充テーブル703は、図16の(c)に示すように、固定カセット800を載置可能な台である。補充テーブル703には、開閉扉710が設けられた分包機700の前面側(固定カセット800の取出し側)に補充テーブル703が引き出された状態において、カセット格納機構705に格納された複数の固定カセット800のうちの1つの固定カセット800が載置される。補充テーブル703の、固定カセット800が載置される位置には、RFIDリーダが設けられている。
【0192】
固定カセット800の底部には、RFIDタグが設けられている。RFIDタグには、固定カセット800に収容されている薬剤の薬剤データ(例:識別情報)が記憶される。固定カセット800が補充テーブル703に載置されたときに、RFIDリーダは、RFIDタグに記憶された薬剤データを読み出す。
【0193】
タッチパネル704は、各種ユーザ入力を受け付けるとともに各種画像を表示する。
【0194】
カセット格納機構705は、薬剤を収容する固定カセット800を格納可能な固定カセット装着部705b(カセット格納部)を複数備える。複数の固定カセット装着部705b(各固定カセット装着部705bに格納された固定カセット800)は、その全てが分包機700の前面側に配置可能なように、Z軸を中心として回動可能に設けられている。つまり、カセット格納機構705は、Z軸を中心として回転する軸部705aと、軸部705aに略垂直に設けられた複数の固定カセット装着部705bを備える。
【0195】
また、図17に示すように、分包機700は、分包機700の各部を制御する制御部706、および、各種データを記憶する記憶部707を備える。記憶部707には、例えば、各固定カセット装着部705bの位置と、各固定カセット800に付されたカセット番号と、各固定カセット800に収容された薬剤の識別情報とが紐付けられて記憶されている。
【0196】
固定カセット800に薬剤が充填(または返却)される場合、ジャーナルまたは薬剤箱に付されたバーコードに含まれる識別情報をバーコードリーダ701が読取る。制御部706は、記憶部707を参照することで、読み取られた識別情報に紐付けられたカセット番号を特定すると共に、特定したカセット番号が付された固定カセット800の格納位置を特定する。制御部706は、特定した格納位置が分包機700の前面側となるように、軸部705aを回転させる。これにより、ユーザは、薬剤の充填先となる固定カセット800を容易に取出すことができる。
【0197】
ユーザは、分包機700の前面側に配置された、薬剤の充填先となる固定カセット800を取出し、補充テーブル703に載置することで、当該薬剤を当該固定カセット800に収容できる。このとき、RFIDリーダがRFIDタグに含まれる識別情報を読取ることで、制御部706は、RFIDリーダが読み取った識別情報を、バーコードリーダ701が読み取った識別情報と照合する。これにより、薬剤の充填前にも、固定カセット800が当該薬剤の充填先として適切な固定カセット800であるか否かを判定できる。
【0198】
ここで、薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤の分包機700への充填を考慮しない場合、上述のように、バーコードリーダ701で識別情報を読取ることを契機として、軸部705aを回転させればよい。つまりこの場合、補充テーブル703のRFIDリーダによる識別情報の読取りを契機として、軸部705aを回転させる必要は無い。
【0199】
しかし、薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤の分包機700への充填を考慮した場合、仕分カップ141のRFIDタグに記憶された識別情報を読取ることを契機として、軸部705aを回転させる必要がある。仕分カップ141のRFIDタグに記憶された識別情報を用いて、仕分カップ141に収容された薬剤と同種類の薬剤が収容された固定カセット800を、分包機700の前面側に配置して、当該固定カセット800を取出し可能にする必要があるためである。
【0200】
薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤を、分包機700に格納された固定カセット800に充填する場合、ユーザは、固定カセット800に充填すべき薬剤が収容された仕分カップ141を分包機700まで運ぶ。そして、ユーザは、図16の(d)に示すように、分包機700の補充テーブル703に載置する。つまり、補充テーブル703は、仕分カップ141を載置可能な台であるともいえる。
【0201】
薬剤仕分装置1では、仕分けられた薬剤の識別情報(薬剤データ)が、仕分カップ141のRFIDタグに記憶される。そのため、RFIDリーダは、仕分カップ141が補充テーブル703に載置されたときに、仕分カップ141のRFIDタグに記憶された識別情報を読み出す。
【0202】
この場合、制御部706は、記憶部707を参照することで、RFIDリーダが仕分カップ141のRFIDタグから読取った識別情報に紐付けられたカセット番号を特定すると共に、特定したカセット番号が付された固定カセット800の格納位置を特定する。つまり、制御部706は、RFIDリーダによる識別情報の読取りを契機として、特定した格納位置(固定カセット装着部705b)が分包機700の前面側に配置されるように、軸部705aを回転させる。
【0203】
ユーザは、分包機700の前面側に配置された、仕分カップ141に収容された薬剤の充填先となる固定カセット800を取出し、補充テーブル703に載置することで、当該薬剤を当該固定カセット800に収容できる。
【0204】
なお、補充テーブル703のRFIDリーダによる識別情報の読取りは、仕分カップ141が設けられた場合のみ行われればよい。例えば、補充テーブルに秤量装置(不図示)が設けられている場合、制御部706は、所定値未満の重量である場合に、仕分カップ141であると判定して、RFIDリーダによって読取られた識別情報を用いて、軸部705aを回転させても構わない。
【0205】
<変形例>
なお、カセット格納機構705は、複数の固定カセット装着部705bが軸部705aを中心に回動する機構であったが、これに限られない。例えば、複数の固定カセット装着部が回動しない非回動型のカセット格納機構であっても構わない。
【0206】
図18の(a)および(b)は、非回動型のカセット格納機構705Aの一例を示す図である。図18の(a)は、カセット格納機構705Aの正面図であり、(b)は、カセット格納棚7051を引き出した状態のカセット格納機構705Aの斜視図である。図18の(c)および(d)は、非回動型のカセット格納機構705Bの一例を示す図である。図18の(c)は、カセット格納機構705Bの正面図であり、(d)は、カセット格納棚7055を引き出した状態のカセット格納機構705Bの斜視図である。
【0207】
図18の(a)に示すように、カセット格納機構705Aは、分包機700の前面側に引き出せる複数のカセット格納棚7051を備えている。カセット格納棚7051には、図18の(b)に示すように、底部7053と平行となるように、複数の仕切板7052が設けられている。複数の仕切板7052および底部7053により、複数の固定カセット装着部が形成されている。
【0208】
カセット格納棚7051の前面部には、報知部7054aが設けられている。また、仕切板7052および底部7053の、複数の固定カセット装着部のそれぞれには、報知部7054bが設けられている。報知部7054aおよび7054bは、薬剤の充填先として特定された固定カセット800の格納位置を報知するための部材であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)で実現される。制御部706は、上述のように、記憶部707を参照することで、薬剤の充填先としての固定カセット800の格納位置を特定すると、当該格納位置が存在するカセット格納棚7051の報知部7054a、および、当該格納位置の報知部7054bを点灯する。
【0209】
また、図18の(c)に示すように、カセット格納機構705Bは、分包機700の前面側に引き出せる複数のカセット格納棚7055を備えている。カセット格納棚7055には、図18の(d)に示すように、底部7056を奥行き方向(引出し方向)に2分割する仕切板7057が設けられている。底部7056には、仕切板7057を挟んで両側に、かつ奥行き方向に固定カセット800を載置できる複数の固定カセット装着部が形成されている。
【0210】
カセット格納棚7055の前面部には、報知部7054aと同様の機能を有する報知部7058aが設けられている。また、底部7056の、複数の固定カセット装着部のそれぞれには、報知部7054bと同様の機能を有する報知部7058bが設けられている。制御部706は、上述のように、記憶部707を参照することで、薬剤の充填先としての固定カセット800の格納位置を特定すると、当該格納位置が存在するカセット格納棚7055の報知部7058a、および、当該格納位置の報知部7058bを点灯する。
【0211】
なお、非回動型のカセット格納機構は、図18に示す構成に限られない。例えば、カセット格納棚は1つであっても構わない。また、図18の(a)の形態において、1つのカセット格納棚が奥行き方向に延伸する仕切板によって分割され、奥行き方向に2列に固定カセット800を載置する構成であっても構わない。また、図18の(c)の形態において、1つのカセット格納棚が仕切板によって分割されておらず、奥行き方向に1列に固定カセット800を載置する構成であっても構わない。
【0212】
また、非回動型のカセット格納機構は、1つのカセット格納棚に対して複数の固定カセット装着部が設けられた構成ではなくても構わない。例えば、複数の固定カセット装着部の全てが、分包機700の前面側を向くように配置され、かつ前面側に引出し可能な構成であっても構わない。この場合、複数の固定カセット装着部のそれぞれに報知部が設けられる。
【0213】
以上のように、本変形例に係る非回動型のカセット格納機構においては報知部を備えることで、ユーザが所望の固定カセット800を取出すことが可能となる。
【0214】
なお、報知部は、タッチパネル704であっても構わない。この場合、例えば、タッチパネル704に各格納位置を示す画像が表示されており、制御部706は、薬剤の充填先としての固定カセット800の格納位置を特定したときに、当該格納位置を強調表示する。また、図18に示すような1つのカセット格納棚に複数の固定カセット装着部が設けられている場合には、当該格納位置に加え、当該格納位置が存在するカセット格納棚も強調表示する。
【0215】
[実施形態5]
薬剤仕分装置1は、図19に示すようなユーザ設定画像(ユーザ設定画面)Im8を表示しても構わない。図19は、ユーザ設定画像Im8の一例を示す図である。
【0216】
ユーザ設定画像Im8は、図19に示すように、第1収容部11に収容された薬剤を、分包機700または薬剤棚に返却せずに廃棄するための仕分条件を設定可能な仕分条件設定領域Ar81、Ar82およびAr83を備える。
【0217】
仕分条件設定領域Ar81は、分包機700が払出した最終分包日からの経過日数の入力を受付けることが可能な領域である。各薬剤の最終分包日を示す情報は、分包機700から取得可能である。制御部60aは、薬剤仕分日が、取得した情報が示す最終分包日から入力された日数以上経過している薬剤については、判別処理を行わず、回収トレイ16へ搬送する。
【0218】
分包機700の固定カセット800に返却される薬剤は、返却時点で固定カセット800に収容されている薬剤の上に載置されることになる。固定カセット800に収容されている薬剤よりも製造日の古い薬剤を返却した場合、当該薬剤が固定カセット800の上方に収容されることになる。一般に、固定カセット800の下方から薬剤が払出されるため、製造日の古い薬剤を返却した場合には、当該薬剤がなかなか払出されない。そのため、製造日の古い薬剤の方が上方に収容されることは、薬剤の運用または安全上好ましくない。また、製造日の古い薬剤を薬剤棚の薬剤容器に返却したり、分包紙で分包して薬剤棚に返却したりする場合も同様である。
【0219】
本実施形態では、仕分条件設定領域Ar81で仕分条件として上記経過日数を設定できるため、製造日の古い薬剤については回収トレイ16へ搬送できる。そのため、当該薬剤を廃棄できるので、当該薬剤の利用を回避できる。
【0220】
また、仕分条件設定領域Ar82は、上記仕分条件としての薬価単価の入力を受付可能な領域である。各薬剤の薬価単価は、例えば、薬剤データに紐付けて記憶部80に記憶されている。仕分条件設定領域Ar82に薬価単価が入力されている場合、制御部60aは、当該薬価単価以下の薬剤については、判別処理を行わず、回収トレイ16へ搬送する。
【0221】
また、仕分条件設定領域Ar83は、上記仕分条件としての、ユーザが廃棄したい薬剤の薬剤名を入力可能な領域である。仕分条件設定領域Ar83に薬剤名が入力されている場合、制御部60aは、当該薬剤については、判別処理を行わず、回収トレイ16へ搬送する。
【0222】
このように、仕分条件設定領域Ar82およびAr83に入力された情報に該当する薬剤を回収トレイ16へと搬送できる。つまり、仕分条件設定領域Ar81を用いた場合と同様、ユーザが廃棄したいと所望する薬剤を回収トレイ16へ搬送できる。そのため、当該薬剤を廃棄できるので、当該薬剤の利用を回避できる。
【0223】
[実施形態6]
本実施形態では、図1を用いて、薬剤仕分処理の時間短縮のための構成について説明する。本実施形態の薬剤仕分装置1は、実施形態2で述べた基本構成を備えていればよい。つまり、実施形態2と同様、登録部70を備えている必要は必ずしもなく、また、第2収容部14において、確定エリアAr11および仮判定エリアAr12の2領域が設定されている必要は必ずしも無い。
【0224】
図1等を用いて実施形態1で説明したように、判別部64は、第1カメラ131が撮像した画像に基づき、薬剤の種類を判別する。例えば、判別部64は、可視光画像及び紫外光画像を解析することにより、大きさ、形状、刻印、プリント、割線、代表色等の薬剤の特徴を抽出し、当該薬剤の特徴を薬剤データベースと照合する。具体的には、判別部64は、抽出した薬剤の特徴のうちの少なくとも1つを用いて、薬剤データベースの中から薬剤データの候補を絞り込んだ後、刻印またはプリントに表された識別情報等を読取り、パターンマッチング等を用いて上記候補の中から薬剤の種類をさらに絞込む。
【0225】
ここで、薬剤データベースに登録される薬剤データ数の増加は、抽出した薬剤の特徴と照合する薬剤データ数の増加を意味する。そのため、薬剤データ数が増加すればするほど、抽出した薬剤の特徴と薬剤データベースとの照合時間が増大することになり、ひいては、薬剤仕分処理の処理時間が増大してしまう。
【0226】
本実施形態の薬剤仕分装置1では、上記処理時間の増大を抑制するために、判別部64が以下の機能を有する。つまり、判別部64は、第1カメラ131によって撮像された画像から抽出した薬剤の特徴を、登録された複数種類の薬剤に関する薬剤データのうち、所定期間内(例:1か月以内)に分包機700によって分包された薬剤に関する薬剤データと照合することで、薬剤の種類を判別する。つまり、判別部64は、所定期間内に分包機700によって分包された実績のある薬剤に関する薬剤データを、撮像された画像から抽出された薬剤の特徴の照合対象とする。
【0227】
分包機700(図16参照)および薬剤仕分装置1では、それぞれ分包機700および薬剤仕分装置1の分包機構6で分包された日時を、分包対象となった薬剤データと紐付けて管理する。薬剤仕分装置1および分包機700が通信可能に接続される場合、薬剤仕分装置1は、分包機構6で分包された日時だけでなく、分包機700で分包された日時も管理できる。なお、分包機700および薬剤仕分装置1の分包機構6で分包された日時の管理は、分包機700及び薬剤仕分装置1と通信可能に接続される上位システムで行われても構わない。また、薬剤仕分装置1は、受信した処方データ(例:1患者単位の処方箋情報)に基づき、分包機700または分包機構6で分包された日時を特定しても構わない。
【0228】
判別部64は、薬剤データベースの中から、分包された日時が所定期間内である薬剤データを抽出し、抽出した薬剤データを、撮像した画像から抽出した薬剤の特徴との照合対象とする。これにより、薬剤データベースに登録されている全ての薬剤データを、必ずしも当該照合対象とする必要は無いため、上記照合時間(薬剤の種類の判別処理時間)を削減することが可能となる。
【0229】
薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤は、分包機構6または分包機700で分包されたり、薬剤棚へ返却されたりする。つまり、仕分け後の薬剤は、処方のために用いられる。そのため、古い薬剤(例:分包された日時が所定期間外の薬剤)については、廃棄対象(分包または返却の対象外)となるため、薬剤仕分装置1での仕分けが要求される可能性は低い。そのため、所定期間内に分包された薬剤に関する薬剤データを照合対象としても、第1収容部11に収容された薬剤の種類を判別できる可能性は高い。
【0230】
なお、所定期間内に分包された薬剤に関する薬剤データに、撮像された画像に含まれる薬剤の特徴が含まれていない場合には、搬送・仕分ユニット12は、当該薬剤を待機トレイ15へと搬送しても構わない。また、実施形態1の場合であれば、搬送・仕分ユニット12は、当該薬剤を待機トレイ15、又は第2収容部14に設定された仮判定エリアAr12へと搬送しても構わない。さらに、判別部64は、薬剤データベースに登録された全ての薬剤データ(照合対象とした薬剤データを除く)を照合対象としても構わない。
【0231】
[実施形態7]
本実施形態では、図1を用いて、薬剤仕分処理の時間短縮のための構成について説明する。本実施形態の薬剤仕分装置1は、実施形態6と同様、実施形態2で述べた基本構成を備えていればよい。
【0232】
本実施形態の薬剤仕分装置1は、図1に示すように、上記基本構成に加え、待機トレイ15および仕分制御部62を備える。待機トレイ15は、実施形態1でも説明したように、第2収容部14に格納できなかった薬剤を仮置きするトレイ(仮収容部)である。仕分制御部62は、実施形態1でも説明したように、判別部64による判別結果に基づき、薬剤の仕分位置を決定する。加えて、仕分制御部62は、決定した仕分位置と、判別部64が照合に使用した薬剤データとを紐付けて記憶部80に記憶する。
【0233】
また、本実施形態の薬剤仕分装置1では、判別部64は、待機トレイ15に収容された薬剤を第2収容部14に収容する場合(再仕分けする場合)、以下の処理を行う。つまり、判別部64は、待機トレイ15から取出され、かつ第1カメラ131によって撮像された当該薬剤の画像を、仕分制御部62で決定された仕分位置としての待機トレイ15に紐付けられた薬剤データと照合することで、当該薬剤の種類を判別する。
【0234】
なお、再仕分けする場合の上記処理は、判別部64とは異なる別の判別部(第2判別部)で行われても構わない。本実施形態では、当該処理を判別部64が行う(つまり、判別部64が第2判別部の機能を有する)ものとして説明する。
【0235】
第2収容部14に確定エリアAr11及び仮判定エリアAr12が設定されていない場合、種類が判別した薬剤は、その種類毎に第2収容部14の仕分カップ141に収容される。全ての仕分カップ141に薬剤が収容された状態において、仕分カップ141に収容された薬剤の種類とは異なる種類の薬剤であると判別された場合、当該薬剤は、待機トレイ15に収容される。また、第2収容部14に確定エリアAr11及び仮判定エリアAr12が設定されている場合、確定エリアAr11に薬剤を収容できなくなった場合には、その後確定エリアAr11への収容対象となった薬剤については、待機トレイ15に収容されても構わない。
【0236】
待機トレイ15に収容された薬剤については、第2収容部14の仕分カップ141に空きができた後に、再仕分けが行われる。つまり、待機トレイ15に収容された薬剤は、再度第1カメラ131によって撮像された後、判別部64による判別結果に基づき、空いている仕分カップ141に収容される。
【0237】
この場合、判別部64は、撮像された画像から薬剤の特徴を抽出し、当該薬剤の特徴を、薬剤データベースに登録された全ての薬剤データと照合を行っても構わない。しかし、全ての薬剤データとの照合には、登録された薬剤データ数分の処理時間を要する。また、待機トレイ15に収容される前に上記照合を行った結果として薬剤の種類を判別できているため、待機トレイ15から取出された後も同様に、登録された全ての薬剤データとの照合を行う必要は必ずしもない。
【0238】
そこで、判別部64は、待機トレイ15に収容された薬剤の再仕分けを行う場合、待機トレイ15から取出した後に撮像した薬剤の画像を、登録されている全ての薬剤データのうち、待機トレイ15が仕分位置として登録されている薬剤データと照合する。具体的には、判別部64は、撮像した薬剤の画像から薬剤の特徴を抽出し、抽出した薬剤の特徴を、待機トレイ15が仕分位置として登録されている薬剤データと照合する。
【0239】
つまり、判別部64は、待機トレイ15に収容された薬剤の判別結果(識別結果)として、決定した仕分位置(待機トレイ15)と、判別部64が当該薬剤の照合に使用した薬剤データとを紐付けて記憶しておく。その結果、種類の判別に1度成功した薬剤を待機トレイ15に収容した場合、再仕分けのための2度目の種類の判別時には、判別部64は、待機トレイ15に収容され、かつ種類が判別している薬剤に関する薬剤データのみを用いて、当該薬剤の種類を判別できる。そのため、判別処理の時間を短縮できると共に、薬剤の識別率を向上させることが可能となる。
【0240】
[実施形態8]
本実施形態では、図16図17および図20図22を用いて、分包機700側での処理の一例について説明する。
【0241】
分包機700は、固定カセット800、可変カセット801、及び手撒きユニット709から供給される薬剤を、自機が備える分包機構(不図示)により分包して払出す。分包機700は、例えば、処方データ(例:1患者単位の処方箋情報)に基づき、所定の分包単位(例:服用時期単位)で薬剤を分包する。なお、分包機700は、散薬を払出す散薬供給ユニットを備えていても構わない。
【0242】
分包機700は、実施形態4で説明したように、薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤を、分包機700に格納された固定カセット800に充填する場合、ユーザは、固定カセット800に充填すべき薬剤が収容された仕分カップ141を分包機700まで運ぶ。そして、ユーザは、図16の(d)に示すように、分包機700の補充テーブル703に載置する。補充テーブル703のRFIDリーダ(カセット照合用リーダ)は、仕分カップ141のRFIDタグから、当該仕分カップ141に収容された薬剤に関する情報(例:識別情報(例:YJコード)および薬剤の個数)を読取る。制御部706は、RFIDリーダによる識別情報の読取りを契機として、特定した格納位置(固定カセット装着部705b)が分包機700の前面側に配置されるように、全ての固定カセット装着部705bを一律に回動させる。
【0243】
なお、実施形態4では、分包機700が軸部705aを備え、制御部706は、上記特定した固定カセット装着部705bが前面側に配置されるように、軸部705aを回転させているが、これに限られない。本明細書の分包機700において軸部705aを備える必要は必ずしもない。つまり、分包機700は、上記特定した固定カセット装着部705bが前面側に配置されるように、全ての固定カセット装着部705bを周方向に一律に回動する回動機構を備えていればよい。
【0244】
本実施形態の分包機700では、RFIDリーダによる識別情報の読取りを契機として、仕分カップ141に収容された薬剤を、固定カセット800に充填するだけではなく、可変カセット801及び手撒きユニット709へ充填し、分包できるようにしても構わない。
【0245】
以下に、固定カセット800、可変カセット801、及び手撒きユニット709について説明する。
【0246】
<固定カセット>
固定カセット800は、予め定められた種類の薬剤を払出対象とするカセット(薬剤カセット)である。固定カセット800は、払出される対象が特定種類の薬剤に限定された専用カセットであるともいえる。つまり、固定カセット800には、特定種類の薬剤が予め収容される(予め定められた薬剤が収容される)。
【0247】
ここで、「特定種類」とは、薬剤の名称(成分)等に基づき分類された薬剤の種類に限らず、薬剤の大きさ(重量)、薬剤の形状、薬剤の表面の状態(質感)、薬剤の硬さ等、様々な指標のうちの少なくとも1つの指標が同一であることを指す。つまり、固定カセット800は、薬剤の種類、大きさ、形状、表面の状態、及び硬さ等のうちの少なくとも1つの指標が同一である薬剤の払出しに限定されたものである。なお、薬剤の表面の状態とは、例えば、つるつるしている、ざらざらしている等の触り心地を指す。
【0248】
固定カセット800は、収容されている薬剤を単位量毎(例:1錠ずつ)払出すことが可能である。例えば、固定カセット800は、薬剤が収容される薬剤収容部と、薬剤収容部の下方に設けられ、薬剤収容部に収容された薬剤を個別に払出す薬剤払出部とを備える。
【0249】
<可変カセット>
図20の(a)は、可変カセット801の構成例を示す斜視図である。可変カセット801は、払出指示が示す種類の薬剤を払出対象とするカセット(薬剤カセット)である。可変カセット801は、払出される対象が特定種類の薬剤に限定されていない汎用カセットであるともいえる。つまり、可変カセット801には、複数種類の薬剤のうちの1種類の薬剤が収容される。可変カセット801は、固定カセット800とは異なり、可変カセット801には予め決められた特定種類の薬剤が収容されているわけではなく、例えば処方データに応じて、可変カセット801に収容される薬剤を適宜変更できる。可変カセット801は、駆動条件の変更により、収容された任意の種類の薬剤を単位量毎に払出すことが可能である。また、可変カセット801は、収容される薬剤の種類に応じて、薬剤の通過経路幅を変更可能なカセットであるともいえる。
【0250】
可変カセット801は、可変カセット装着部702に取外し可能に装着できる。可変カセット装着部702は、可変カセット801を装着可能な装着ユニット(モーターベース)である。可変カセット装着部702は、装着された可変カセット801から薬剤を払出すために、制御部706からの薬剤払出の指示を受けて、当該薬剤の駆動機構に駆動力を供給する。つまり、制御部706は、可変カセット装着部702を介して可変カセット801を制御する。
【0251】
薬剤を払出すときに、ユーザが所有する可変カセット801のうちの1つに、払出対象の薬剤が割り付けられる。その後、当該可変カセット801が可変カセット装着部702に設けられている場合には、可変カセット装着部702のロックが解除され、可変カセット801が可変カセット装着部702から取外し可能な状態となる。ユーザは、可変カセット801に割り付けられた薬剤を収容した後、当該可変カセット801を可変カセット装着部702に戻すことで、当該可変カセット801からの薬剤の払出しが可能となる。
【0252】
可変カセット801は、図20の(a)に示すように、主として、第1回転体8011、第2回転体8012、高さ規制体8013、および幅規制体8014を備える。第1回転体8011および第2回転体8012は、回転することで、投入された薬剤を払出口8015まで搬送する薬剤搬送機構である。高さ規制体8013および幅規制体8014は、第2回転体8012上に、薬剤が一列に並んで払出口8015へ搬送可能な、薬剤の通過経路(通過経路幅;移送高さh1及び移送幅w1)を規定する部材である。
【0253】
<手撒きユニット>
図20の(b)は、手撒きユニット709の構成例を示す斜視図である。手撒きユニット709は、払出す薬剤をユーザにより投入することが可能なユニットである。手撒きユニット709は、図20の(b)に示すように、ユーザにより分包単位で薬剤が投入される複数の手撒き収容部709a(マス)と、各手撒き収容部709aに収容された薬剤を手撒き収容部709a毎に払出す手撒き払出部709bと、を備える。
【0254】
複数の手撒き収容部709aはマトリクス状に配置されている。手撒き払出部709bは、例えば、各手撒き収容部709aの底面に、各手撒き収容部709aを個別に開閉可能なように設けられる。ユーザは、どの薬剤をどの手撒き収容部709aに収容するかを表記した指示書を確認しながら、各手撒き収容部709aに薬剤を収容する。その後、制御部706の制御を受けて、自機の分包機構で分包されるタイミングに合わせて、各手撒き収容部709aが個別に開くことにより、各手撒き収容部709aに収容された薬剤が払出される。
【0255】
指示書は、制御部706によって発行される。制御部706は、仕分カップ141に収容された薬剤、または処方データに含まれる薬剤を、どのユニット(例:固定カセット800、可変カセット801、手撒きユニット709)から払出すのかを特定する。制御部706は、払出先として手撒きユニット709を特定した場合、仕分カップ141毎に、又は処方データに基づき、薬剤を収容する手撒き収容部709aの位置を特定する。この特定により、制御部706は、薬剤を収容する手撒き収容部709aの位置を指示書に印字する。
【0256】
<本実施形態における処理>
次に、仕分カップ141に収容された薬剤を薬剤棚(不図示)に戻す場合の処理の一例について説明する。図21は、分包機700における分包処理の一例を示すフローチャートである。
【0257】
ユーザは、まず、仕分カップ141を補充テーブル703に載置する。補充テーブル703のRFIDリーダは、仕分カップ141のRFIDタグから、当該仕分カップ141に収容された薬剤の識別情報を読取る(S1)。
【0258】
次に、制御部706は、指定された薬剤の充填先が、可変カセット801であるか、または手撒きユニット709であるかを特定する(S2)。
【0259】
ここで、分包機700が実装している薬剤の情報は、薬剤仕分装置1に記憶される。そのため、薬剤仕分装置1は、当該情報に基づき、仕分カップ141に収容された薬剤が分包機700に実装されていないと判定した場合に、当該薬剤の充填先として、可変カセット801または手撒きユニット709を指定する。そして、指定した充填先を示す充填先情報(返却先情報)を印字したジャーナルを発行する。可変カセット801および手撒きユニット709の何れを指定するかは、例えば薬剤の種類毎に決められていても構わない。
【0260】
また、薬剤仕分装置1には、分包機700において使用可能な可変カセット801についての情報も記憶される。そのため、薬剤仕分装置1は、仕分カップ141に収容された薬剤を割り付けるために使用する可変カセット801を指定できる。なお、ユーザが複数の分包機700を所有している場合、薬剤仕分装置1には、分包機700毎に使用可能な可変カセット801についての情報が記憶される。
【0261】
制御部706は、例えばバーコードリーダ701で読取られたジャーナルの充填先情報を参照することで、仕分カップ141に収容された薬剤の充填先を特定する。このとき、制御部706は、S1で読取られた識別情報を参照することで、参照するジャーナルの適否を判定する。
【0262】
制御部706は、指定された薬剤の充填先が可変カセット801である場合(S2でYES)、ジャーナルから読取った充填先情報に示された可変カセット801を、仕分カップ141に収容された薬剤を払出すための部材として特定する(S3)。その後、制御部706は、特定した可変カセット801を取外し可能な状態とする。
【0263】
次に、制御部706は、特定した可変カセット801に薬剤を充填するよう、ユーザに対して通知を行う。ユーザは、特定された可変カセット801に、仕分カップ141に収容された薬剤を収容した後、例えば分包開始のユーザ操作を行う。これにより、制御部706は、当該薬剤の分包処理を行う(S4)。つまり、仕分カップ141に収容されていた薬剤を当該可変カセット801から払出し、例えば薬品棚に戻すために分包することが可能となる。
【0264】
制御部706は、指定された薬剤の充填先が手撒きユニット709である場合(S2でNO)、手撒きユニット709を、仕分カップ141に収容された薬剤を払出すための部材として特定する(S5)。この場合、制御部706は、当該薬剤を収容する手撒き収容部709aの位置を決定し、その決定結果を反映した指示書を発行する。ユーザは、指示書を確認しながら、仕分カップ141に収容された薬剤を手撒き収容部709aに収容した後、例えば分包開始のユーザ操作を行う。これにより、制御部706は、当該薬剤の分包処理を行う(S6)。つまり、仕分カップ141に収容されていた薬剤を手撒きユニット709から払出し、例えば薬品棚に戻すために分包することが可能となる。
【0265】
このように、仕分カップ141に収容された薬剤の充填先として、可変カセット801または手撒きユニット709が特定される。そして、分包機700は、可変カセット801または手撒きユニット709から払出された薬剤を、薬剤棚へ戻すために分包する。つまり、仕分カップ141に収容された薬剤は、分包機700に実装されていない薬剤(非実装の薬剤)であることを前提として分包される。そのため、ユーザは、仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機700に実装されているか否かを意識することなく薬剤棚に充填できる。
【0266】
薬剤仕分装置1の分包機構6で分包する場合、仕分カップ141に収容された薬剤を吸着機構で1つずつ吸着して、分包機構6へと搬送する必要がある。可変カセット801または手撒きユニット709を用いた場合、仕分カップ141に収容された薬剤を一度に可変カセット801または手撒きユニット709に収容でき、可変カセット801または手撒きユニット709から順次払出すことができる。そのため、分包機構6を用いた分包に比べて、処理時間を短縮できる。また、仕分カップ141を早期に空にし、収容されていた薬剤とは異なる種類の薬剤を仕分けるために用いることが可能となる。
【0267】
また、分包機構6は薬剤仕分装置1のオプション機能であるため、薬剤仕分装置1に設けられていない場合もある。この場合であっても、仕分カップ141に収容された薬剤を分包機700によって分包できる。
【0268】
また、使用可能な可変カセット801の数の分、複数の仕分カップ141のそれぞれに収容された薬剤を各可変カセット801に収容できる。また、手撒きユニット709の、薬剤を収容可能な手撒き収容部709aの数の分、複数の仕分カップ141のそれぞれに収容された薬剤を各手撒き収容部709aに収容できる。そのため、複数の仕分カップ141のそれぞれに収容された薬剤を、同時期に分包していくことが可能となる。
【0269】
なお、S2、S4およびS5の処理は、ユーザにより行われても構わない。例えば、ユーザは、薬剤仕分装置1により発行されたジャーナルを確認することにより、仕分カップ141に収容された薬剤の充填先を特定しても構わない。この場合、制御部706は、仕分カップ141から読取った識別情報をタッチパネル704に表示する。これにより、ユーザは、当該薬剤用のジャーナルであるか否かを確認できる。
【0270】
また、上記の処理では、仕分カップ141に収容された薬剤は、固定カセット800には収容されない。しかし、当該薬剤を払出すことが可能な空の固定カセット800を固定カセット装着部705bに装着しておくことで、制御部706は、仕分カップ141に収容された薬剤の充填先として、当該固定カセット800を特定しても構わない。
【0271】
<本実施形態における別処理>
分包機700における分包処理の別例について説明する。図22は、分包機700における分包処理の別例を示すフローチャートである。
【0272】
ここでは、分包機700が、処方データに基づき薬剤を分包する場合について説明する。なお、払出対象の薬剤を収容する固定カセット800そのものが無い場合に、薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤の中に払出対象の薬剤があるものとして説明する。
【0273】
まず、制御部706は、処方データを受け付けると(S21)、処方データに含まれる薬剤(払出対象の薬剤)が収容された固定カセット800の有無を判定する(S22)。制御部706は、該当する固定カセット800が存在すると判定した場合には(S22でYES)、当該固定カセット800を、当該薬剤を払出すためのカセットとして特定する(S23)。
【0274】
制御部706は、該当する固定カセット800が存在しないと判定した場合には(S22でNO)、ユーザが所有する可変カセット801のうち、使用可能な可変カセット801が存在するか否かを判定する(S24)。
【0275】
制御部706は、使用可能な可変カセット801が存在すると判定した場合(S24でYES)、当該可変カセット801を、払出対象の薬剤を払出すためのカセットとして特定する(S25)。つまり、制御部706は、当該可変カセット801に払出対象の薬剤の識別情報を割り付ける。
【0276】
また、制御部706は、特定した可変カセット801に薬剤を充填するよう、ユーザに対して通知を行う。ユーザは、当該薬剤を収容する仕分カップ141を薬剤仕分装置1から取出し、当該仕分カップ141を補充テーブル703に載置する。これにより、補充テーブル703のRFIDリーダは、仕分カップ141のRFIDタグに記憶された識別情報を読取る(S26)。制御部706は、読取られた識別情報が、特定した可変カセット801に割り付けられた識別情報と一致すると判定した場合、当該可変カセット801を、薬剤投入可能な状態とする(例:可変カセット装着部702のロックを解除)。その後、ユーザは、可変カセット801に、仕分カップ141に収容された薬剤を収容した後、例えば分包開始のユーザ操作を行う。これにより、払出対象の薬剤を当該可変カセット801から払出すことが可能となる。
【0277】
制御部706は、使用可能な可変カセット801が存在しないと判定した場合(S24でNO)、手撒きユニット709を、払出対象の薬剤を払出すユニットとして特定する(S27)。この場合、制御部706は、処方データに基づき、払出対象の薬剤を収容する手撒き収容部709aの位置を決定し、その決定結果を反映した指示書を発行する。ユーザは、指示書を確認しながら、仕分カップ141に収容された薬剤(払出対象の薬剤)を手撒き収容部709aに収容した後、例えば分包開始のユーザ操作を行う。これにより、払出対象の薬剤を手撒きユニット709から払出すことが可能となる。
【0278】
制御部706は、処方データに含まれる全ての薬剤について、上記のように払出先を特定する。その後、制御部706は、処方データに基づき、固定カセット800、可変カセット801、及び/又は手撒きユニット709から薬剤を払出し、分包する(S28)。
【0279】
なお、固定カセット800に収容された薬剤が空になった場合には、制御部706は、当該固定カセット800に当該薬剤を収容する旨の通知をユーザに行っても構わない。この場合、ユーザは、当該通知を確認することで、当該薬剤が収容された仕分カップ141を薬剤仕分装置1から取出し、補充テーブル703に載置する。これにより、制御部706は、該当する固定カセット800が分包機700の前面側に配置されるように、全ての固定カセット装着部705bを回動させるため、ユーザは、仕分カップ141に収容された薬剤を当該固定カセット800に収容できる。
【0280】
なお、上記では、固定カセット800の使用可否を判定した後、可変カセット801の使用可否を判定し、その後、手撒きユニット709の使用可否を判定しているが、これに限られない。制御部706は、処方データに含まれる薬剤の種類毎に、固定カセット800、可変カセット801および手撒きユニット709の何れから払出すのかを特定しても構わない。例えば、制御部706は、薬剤の種類毎に予め定められた払出先情報に従って、薬剤の払出先を特定する。つまりこの場合、制御部706は、固定カセット800および可変カセット801の使用可否を判定することなく、処方データに含まれる薬剤の払出先を特定するため、図22に示す処理方法に比べ、分包の処理時間を短縮できる。
【0281】
[実施形態9]
本実施形態では、図1を用いて、判別処理の一例について説明する。実施形態1で説明したように、仕分制御部62は、画像における推定薬剤の色、形状、または当該薬剤に付された情報のうちの少なくとも1つに基づき、仮判定エリアAr12における仕分位置を決定する。具体的には、仕分制御部62は、推定薬剤の色、形状、または当該薬剤に付された情報のうちの少なくとも1つが一致するとみなされる推定薬剤同士の仕分位置が同一となるように、仕分位置を決定する。
【0282】
この一致するか否かの判定に用いられる閾値は、固定値ではなく、ユーザ操作により変更できるようになっていても構わない。つまり、推定薬剤の色、形状、または当該推定薬剤に付された情報のうちの少なくとも1つが一致するか否かの判定を行う閾値を可変に設定でき、仕分制御部62は、仮判定エリアAr12における仕分位置を決定するときに、当該閾値を用いて上記判定を行っても構わない。
【0283】
仮判定エリアAr12において、同一の仕分カップ141に収容すべきと考える上記判定の基準は、ユーザによって異なる。例えば、白色であれば、大きさ又は形状が多少異なっていても、同一の仕分カップ141に収容したいと考えるユーザも存在すれば、色も大きさ及び形状もある程度一致しないと同一の仕分カップ141には収容できないと考えるユーザも存在する。また、表面の刻印情報と裏面の刻印情報とがある程度一致しないと同一の仕分カップ141には収容できないと考えるユーザも存在する。
【0284】
ユーザ操作により設定された閾値を用いることで、各ユーザの基準に沿って、仮判定エリアAr12における薬剤の仕分けを行うことができる。
【0285】
また、例えば、色または形状等のある程度の違いをも許容しないように閾値を厳しく設定することで、薬剤の種類を特定できなかった場合であっても、薬剤の種類の候補をできる限り絞込むことが可能となる。そのため、特徴の一致度が比較的高い薬剤同士を、仮判定エリアAr12に配置された同一の仕分カップ141に収容できる。
【0286】
特に持参薬の場合、ユーザが処方した薬剤ではないため、当該薬剤に比べ、その種類を特定するための検索範囲が広がり、膨大となる。従って、持参薬の場合は特に、一致度が比較的高い薬剤同士が仮判定エリアAr12に配置された同一の仕分カップ141に収容されるように閾値を設定することで、次回の種類特定において上記検索範囲を狭くすることが可能となる。
【0287】
また、仕分制御部62は、薬剤の種類を特定できずとも、仕分カップ141に収容した薬剤の画像を、当該薬剤の薬剤データに紐付けて記憶する。そのため、種類を特定できなかった薬剤のエビデンスを残すことが可能となる。例えば持参薬については、ユーザが処方した薬剤ではないため、その種類の特定に困難が伴いやすい。当該画像を記憶しておくことで、当該画像を持参薬の特定等において有効に活用できる。
【0288】
また、仮判定エリアAr12の仕分カップ141の数は、有限でかつ少ない。色または形状等のある程度の違いを許容するように閾値を設定することで、仮判定エリアAr12において使用する仕分カップ141の数を減少させることができる。
【0289】
なお、閾値としては、複数の判定対象に対してそれぞれのレベル(厳密さ)を設定できる。例えば、判定対象が色である場合、一致すると判定する色度の範囲、判定対象が形状の場合、一致すると判定する形状の範囲が、閾値として設定される。また、複数の判定対象のための閾値を用いるかどうかについても設定できる。例えば、判定対象が色および形状である場合、使用する判定対象として、色のみ、形状のみ、または、色および形状の両方を選択できる。
【0290】
上記レベルの調整のための操作部としては、タッチ式LEDレベルバー、ダイヤル式の操作部、クイックホイール式の操作部等、種々のものが挙げられる。また、上記判定対象の具体例としては、薬剤の色および形状の他、例えば、刻印情報の有無、刻印情報の位置、薬剤の大きさが挙げられる。刻印情報の位置が「片面」に設定された場合、刻印情報が片面にあるものは同一種類の薬剤の候補として抽出され、「両面」に設定された場合には、刻印情報が両面にあるものに限り同一種類の薬剤の候補として抽出される。また、薬剤の大きさの閾値は、1mm単位で設定可能である。
【0291】
[実施形態10]
本実施形態では、図1を用いて、薬剤仕分処理の時間短縮のための構成について説明する。本実施形態の薬剤仕分装置1は、実施形態6と同様、実施形態2で述べた基本構成を備えていればよい。
【0292】
全ての仕分カップ141に薬剤が収容された場合、空の仕分カップ141ができるまで、全ての仕分カップ141に収容された薬剤とは異なる種類の薬剤を、仕分カップ141に仕分けることができない。
【0293】
薬剤仕分装置1の制御部60aは、仕分カップ141に収容された薬剤の個数に依らず、所定の条件を満たした場合に、仕分カップ141に収容された薬剤を分包対象として特定する。例えば、制御部60aは、分包機700が実装していない薬剤(非実装薬剤)を収容する仕分カップ141、またはユーザが選択した仕分カップ141を、分包対象の薬剤を収容する仕分カップ141として特定する。この場合、分包対象として特定された薬剤の個数が多ければ多いほど、その分、分包処理に時間を要することとなる。
【0294】
本実施形態では、仕分カップ141に収容された薬剤を分包対象とするか否かを判定するための個数を予め設定しておく。制御部60aは、全ての仕分カップ141に薬剤が収容されたときに、各仕分カップ141に収容された薬剤の個数が、予め設定された個数以下である仕分カップ141を特定する。そして、制御部60aは、特定した仕分カップ141に収容された薬剤を、分包対象の薬剤として特定する。
【0295】
そのため、収容された個数が少ない薬剤により占有された仕分カップ141を、優先的に空の状態(次の薬剤の仕分けのために使用可能な状態)とすることができる。そのため、全ての仕分カップ141に薬剤が収容された場合であっても、空の仕分カップ141をより短時間に準備できるので、薬剤仕分処理の時間短縮を図ることが可能となる。
【0296】
また、全ての仕分カップ141に薬剤が収容された場合には、何れかの仕分カップ141を空にするために、ユーザは、例えば分包機構6を動作させる必要がある。また、例えば、当該仕分カップ141を取出して、当該仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機700または薬剤棚へ充填する必要がある。できる限り薬剤の分包を行いたくないユーザとっては特に、これらの作業が負担になる可能性がある。
【0297】
上述のように、制御部60aは、全ての仕分カップ141に薬剤が収容されたときに、各仕分カップ141に収容された薬剤の個数が、予め設定された個数以下である仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機構6による分包対象として決定する。つまり、ユーザ操作を介することなく、自動で空の仕分カップ141を準備できる。従って、上記作業によるユーザの負担を軽減できる。
【0298】
なお、確定エリアAr11及び仮判定エリアAr12が設定されている場合についても同様に適用できる。つまり、制御部60aは、確定エリアAr11の全ての仕分カップ141に薬剤が収容されたときに、収容された薬剤の個数が予め設定された個数以下である仕分カップ141を特定する。そして、制御部60aは、特定した仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機構6による分包対象としても構わない。仮判定エリアAr12の全ての仕分カップ141に薬剤が収容されたときも同様である。
【0299】
[実施形態11]
本実施形態では、図1および図23を用いて、吸着パッド122cの取付忘れ防止のための構成について説明する。図23の(a)及び(b)は、吸着機構122aの動作例を示す図である。本実施形態の薬剤仕分装置1は、実施形態6と同様、実施形態2で述べた基本構成を備えていればよい。
【0300】
図1等を用いて実施形態1で説明したように、吸着・シャッター機構122は、搬送対象として特定された薬剤を吸着する吸着機構122aを備える。吸着機構122aは、図23の(a)に示すように、空気が流れる空気管122bと、空気管122bの先端部に、搬送対象の薬剤に接触する吸着パッド122cと、を備える。吸着パッド122cは、空気が流れる空気管122bを介して、真空を発生させる(空気を吸引する)真空ポンプ(不図示)に接続されている。
【0301】
吸着パッド122cは、空気管122bから取り外して清掃できる。清掃後、吸着パッド122cは空気管122bに取り付けられる。搬送制御部61は、吸着パッド122cの取付忘れを防止するために、例えば薬剤仕分装置1の動作開始時に、第1収容部11の底部又は台座19(基準面)から所定の高さまで吸着機構を降下させる。所定の高さは、吸着パッド122cが取り付けられた状態において、吸着パッド122cが基準面に接触する程度の高さに設定される。
【0302】
搬送制御部61は、所定の高さにおいて吸引を行うことで、空気管122bにおける流量を測定する。流量に変化があれば吸着パッド122cが取り付けられていると判定し、流量に変化がなければ吸着パッド122cが取り付けられていないと判定する。
【0303】
しかし、上記手法で吸着パッド122cが取り付けられているか否かを判定する場合、薬剤仕分装置1毎に、所定の高さ、および、吸着パッド122cのサイズを厳密に規定する必要がある。そのため、薬剤仕分装置1毎に、所定の高さの調整および吸着パッド122cのサイズの測定に、時間および手間を要する。また、吸着パッド122cの個体差による誤判定が発生する可能性もある。
【0304】
本実施形態では、吸着パッド122cが取り付けられる吸着機構122aの先端面を基準面に近づけたときに、当該基準面と、当該先端面における少なくとも2箇所との距離がそれぞれ異なるように、当該基準面に対する当該先端面の位置が規定される。
【0305】
具体的には、図23の(a)に示すように、台座19に傾斜台21を備える。傾斜台21は、吸着機構122aの先端面(吸着パッド122cが取り付けられている場合、吸着パッド122cの底面)に対して傾斜する傾斜面21aを有する。傾斜面21aが上記基準面である。
【0306】
吸着機構122aを傾斜面21aから所定の高さまで近付け、吸引した場合を考える。所定の高さは、吸着パッド122cが取り付けられているときに、吸着パッド122cの一部(ここでは第1部分Pr1)が接触する程度の位置に規定される。
【0307】
吸着パッド122cが取り付けられている場合、第1部分Pr1と傾斜面21aとの間に隙間がほとんど生じないため、第1部分Pr1での流量の変化が大きくなる。そのためこの場合、搬送制御部61は、流量の変化が閾値以上になった(流量が閾値未満になった)と判定でき、吸着パッド122cが取り付けられていると判定できる。
【0308】
なお、吸着パッド122cにおける各位置と傾斜面21aとの距離に応じて、当該各位置における流量の変化量が異なる。この流量の変化量の違いにより、吸着パッド122cの形状は変化する。具体的には、上記距離が近いほど吸着パッド122cにおける流量の変化が更に大きくなるように(例えば、第2部分Pr2よりも第1部分Pr1の方が流量の変化が更に大きくなるように)、吸着パッド122cの形状が変化する。そのため、第1部分Pr1の流量は、第2部分Pr2の流量に比べ大きく変化しやすい。
【0309】
但し、吸着パッド122cの形状が変化した場合であっても、吸着パッド122cは、傾斜面21aに吸着する。そのため、搬送制御部61は、傾斜台21を用いた場合であっても、流量の変化に基づき吸着パッド122cの取付有無を判定できる。
【0310】
一方、吸着パッド122cが取り付けられていない場合、吸着パッド122cの厚み分、第1部分Pr1と傾斜面21aとの間に隙間が生じてしまい、第1部分Pr1においても流量の変化はほとんど生じない。そのため、搬送制御部61は、流量の変化が閾値未満である(流量が閾値以上のままである)と判定でき、吸着パッド122cが取り付けられていないと判定できる。
【0311】
また、図23の(b)に示すように、吸着機構122aを第1収容部11の壁面11aに近付けることで、吸着パッド122cが取り付けられているか否かを判定しても構わない。この場合、壁面11aが上記基準面である。
【0312】
吸着機構122aを第1収容部11の内部へ降下させた後、壁面11aから所定距離まで近付け、吸引した場合を考える。所定距離は、吸着パッド122cが取り付けられているときに、吸着パッド122cの一部(ここでは第2部分Pr2)が接触する程度の位置に規定される。
【0313】
吸着パッド122cが取り付けられている場合、第2部分Pr2と壁面11aとの間に隙間がほとんど生じないため、第2部分Pr2での流量の変化が大きくなる。そのためこの場合、搬送制御部61は、流量の変化が閾値以上になったと判定でき、吸着パッド122cが取り付けられていると判定できる。なお、上述したのと同様、吸着パッド122cにおける各位置と壁面11aとの距離に応じて吸着パッド122cにおける流量の変化量が異なることにより、吸着パッド122cの形状は変化する。これに起因して、第2部分Pr2の流量は、第1部分Pr1の流量に比べ大きく変化しやすい。
【0314】
一方、吸着パッド122cが取り付けられていない場合、少なくとも吸着パッド122cの形状の変化による流量の変化は生じない。そのため、流量の変化が生じたとしても、吸着パッド122cが取り付けられている場合よりもその変化は小さい。そのため、搬送制御部61は、流量の変化が閾値未満であると判定でき、吸着パッド122cが取り付けられていないと判定できる。
【0315】
上記の構成によれば、傾斜面21a又は壁面11aまでの吸着機構122aの移動距離を、厳密に規定する必要が無くなる。吸着パッド122cが取り付けられている場合には、吸着パッド122cの形状の変化により、流量の変化がより大きくなるためである。そのため、上記移動距離を厳密に規定するための時間および手間を削減できる。
【0316】
また、所定の高さまたは所定距離を、基準面と吸着パッド122cとの接触位置よりも若干離れた位置に設定しておくことも可能となる。吸着パッド122cの個体差、または吸着パッド122cの設計変更等により、様々な形状または大きさの吸着パッド122cが混在して使用されることも想定される。上記のように所定の高さまたは所定距離を設定することで、搬送制御部61は、様々な形状または大きさの吸着パッド122cに依らず、吸着パッド122cの取付有無を安定的に検出できる。
【0317】
[実施形態12]
本実施形態では、図1図3図4図14および図24を用いて、所定の形状を有する薬剤の種類を精度良く判別するための構成について説明する。図24は、細長い形状の薬剤の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施形態の薬剤仕分装置1は、実施形態6と同様、実施形態2で述べた基本構成を備えていればよい。
【0318】
実施形態1で説明したように、図3の(a)および(b)に示す旋回機構133bは、薬剤載置台133aを振動させることが可能である。旋回機構133bが薬剤載置台133aを振動させることで、刻印情報または印字情報を所定の方向(例えば上向き(+Z軸方向))に向かせることができる。また、薬剤載置台133aを振動させることで、薬剤載置台133aにおいて、中央付近に存在しない薬剤を略中央へと移動させることができる。また、薬剤が錠剤である場合、図14の(b)に示すように、旋回機構133bは、薬剤載置台133aの傾斜面部133abが略水平となるように、軸部133cを回転させる。
【0319】
そして、図4の(a)および(b)に示すように、旋回機構133bは、第1カメラ131および照明器134を含む撮像機構を、配置領域Ar2の周囲を旋回するように回動させる。これにより、第1カメラ131は、配置領域Ar2において、例えばθ=0°、45°、135°および180°の4箇所から、薬剤載置台133aに載置された薬剤を撮像できる。
【0320】
しかし、薬剤の形状によっては、旋回機構133bによる振動により薬剤を略中央へ移動させようとした場合に、当該振動により、刻印情報又は印字情報が所定の方向以外の方向(意図しない方向)に向いてしまう場合がある。例えば、図24の(a)および(b)に示すような薬剤MD(例:ソタコール(登録商標))の場合、刻印情報(図24の(a)では「AAA 000」)が意図しない方向を向いてしまう可能性がある。
【0321】
薬剤MDにおいて、上面MDtに刻印情報が付され、側面MDsには刻印情報は付されていない。また、上面MDt又は下面MDuだけでなく側面MDsも、所定の面積以上の面積を有する平面形状となっている。そのため、上面MDt、下面MDu及び側面MDsのいずれが薬剤載置台133aの底部と対向しても、薬剤は起立してしまうことになる。なお、このような形状を有する薬剤は、図24の(a)および(b)に示すように細長い形状となっている場合が多い。
【0322】
側面MDsが薬剤載置台133aの底部と対向することにより薬剤が起立した場合、刻印情報は横方向(Z軸方向に略垂直な方向)を向いてしまうことになる。第1カメラ131は所定の位置(例:上記4箇所)から撮像するため、その向きによっては、刻印情報を識別できる程度に撮像できない可能性がある。
【0323】
本実施形態の薬剤仕分装置1では、旋回機構133bは、薬剤の形状に基づき、薬剤載置台133aに与える振動の大きさ、および、傾斜面部133abの傾斜角度を変更するための軸部133cの回転速度を変更する。
【0324】
具体的には、判別部64は、撮像した画像を解析することで、薬剤の長辺の長さL1および短辺の長さL2を取得し、当該薬剤のアスペクト比を算出する。判別部64は、当該薬剤のアスペクト比に基づき、短辺の長さL2に対する長辺の長さL1の割合(長辺の長さL1/短辺の長さL2)が所定値以上であるか否かを判定する。所定値は、例えば実験等を経て、側面MDsを下方にした状態で起立する薬剤を検出できる程度の大きさに設定されていればよい。
【0325】
判別部64は、短辺の長さL2に対する長辺の長さL1の割合が所定値以上であると判定した場合(つまり側面MDsを下方にした状態で起立する薬剤であると判定した場合)、所定値以上であるときの設定値に従い、上記振動の大きさおよび回転速度を設定する。撮像制御部63は、旋回機構133bを制御して、当該設定値に従い設定した振動の大きさおよび回転速度で、薬剤載置台133aを振動および回転させる。
【0326】
例えば、上記設定値としては、短辺の長さL2に対する長辺の長さL1の割合が所定値未満であるときの設定値に比べ、振動も回転速度も小さく設定される。振動は例えば0に設定される。
【0327】
このように、短辺の長さL2に対する長辺の長さL1の割合が所定値以上である場合には、振動も回転速度も小さくすることで、側面MDsを下方にした状態で起立する薬剤を、薬剤載置台133aで起立しないように、薬剤載置台133aを動かすことができる。そのため、薬剤載置台133aの動きによって、刻印情報が所定の方向以外の方向を向かないようにすることができるので、薬剤の種類の判別(薬剤の識別)を精度良く行うことが可能となる。
【0328】
また、薬剤が側面MDsを下方にした状態で起立することを抑制できる。そのため、当該状態となったことに起因した、再度の薬剤の撮像および種類の判別の発生を抑制できる。従って、効率良く薬剤を判別し、仕分けることが可能となる。
【0329】
[実施形態13]
本実施形態では、図1図20および図25を用いて、分包処理の時間短縮のための構成について説明する。図25の(a)は、変形例としての薬剤仕分装置1Aの構成例を示す図であり、(b)及び(c)は、仕分カップ搬送機構125の先端部の形状および動作を説明するための図である。
【0330】
薬剤仕分装置1Aは、図25の(a)に示すように、仕分カップ搬送機構125および可変カセット801を備える点で、薬剤仕分装置1とは異なる。つまり、薬剤仕分装置1Aは、仕分カップ搬送機構125および可変カセット801以外の構成については、薬剤仕分装置1と同様の構成及び機能を有する。薬剤仕分装置1Aは、少なくとも実施形態2で述べた基本構成を備えていればよい。
【0331】
薬剤仕分装置1Aは、分包機構6を備える。分包機構6は、当該薬剤を一時的に保持する包装ホッパー6aと、当該薬剤を分包した分包紙を熱融着するヒーターローラー6bとを備える。可変カセット801から払出された薬剤は、包装ホッパー6aを介して、ヒーターローラー6bへと移送され、ヒーターローラー6bで分包紙に分包される。
【0332】
また、薬剤仕分装置1Aは、図20の(a)に示す可変カセット801を備える。可変カセット801は、薬剤投入口17に投入された薬剤を1錠ずつ払出すものである。可変カセット801は、薬剤投入口17から投入された薬剤を第1回転体8011で受取ることが可能なように、薬剤投入口17の下方に設置される。また、可変カセット801は、包装ホッパー6aが第2回転体8012により払出口8015から払出された薬剤を受取ることが可能なように、包装ホッパー6aの上方に設置される。なお、薬剤仕分装置1Aは、可変カセット801を装着し、かつ駆動する可変カセット装着部(不図示)を備える。
【0333】
吸着・シャッター機構122は、吸着機構(例:図23の吸着機構122a)と、図25の(a)に示すような仕分カップ搬送機構125とを備える。吸着機構及び仕分カップ搬送機構125は、共に±Z軸方向の移動が可能である。吸着機構は、搬送対象として特定された薬剤を吸着するものである。そのため、搬送制御部61または仕分制御部62は、薬剤を搬送するときに、吸着機構の±Z軸方向の移動を制御する。一方、仕分カップ搬送機構125は、第2収容部14および薬剤投入口17の間において、仕分カップ141を移動させるものである。そのため、仕分制御部62は、薬剤を分包機構6で分包するときに、仕分カップ搬送機構125の±Z軸方向の移動を制御する。
【0334】
図25の(b)に示すように、仕分カップ搬送機構125は、例えば、把持部125a、回動部125b及び支持部125cを備える。把持部125aは、仕分カップ141を把持する。把持部125aは、図25の(b)の例では、開閉動作を行うことが可能な2つの爪部により実現されている。回動部125bは、Z軸方向と略垂直な方向に延伸する回転軸を有し、把持部125aを回動させる。支持部125cは、その先端部で把持部125aを支持する。
【0335】
仕分制御部62は、仕分カップ141に収容された薬剤を分包機構6で分包する場合、搬送機構123を制御して、当該薬剤を収容する仕分カップ141上に、仕分カップ搬送機構125に移動させる。その後、仕分制御部62は、仕分カップ搬送機構125を下方に移動させ、把持部125aに仕分カップ141を把持させる。
【0336】
仕分制御部62は、把持部125aが仕分カップ141を把持した状態で、薬剤投入口17の上方に仕分カップ搬送機構125を移動させた後、回動部125bを駆動することで、把持部125aを上方に回動させる。これにより、仕分カップ141に収容された薬剤を薬剤投入口17に投入できる。
【0337】
制御部60aは、可変カセット801に薬剤が投入される前に、高さ規制体8013および幅規制体8014を駆動して、当該薬剤のサイズに基づき移送高さh1及び移送幅w1を調整する。そして、制御部60aは、例えば可変カセット801に薬剤が投入されたときに、第1回転体8011および第2回転体8012を回転させることで、投入された薬剤を包装ホッパー6aへ1錠ずつ払出す。これにより、分包機構6により当該薬剤を分包できる。
【0338】
仕分カップ141に収容された薬剤を、吸着機構を用いて分包機構6へ払出す場合、仕分カップ141に収容された薬剤を1つずつ吸着して、薬剤投入口17へ搬送する必要がある。そのため、当該薬剤の個数が多ければ多いほど、当該薬剤の払出しに時間を要する。また、空の仕分カップ141を準備するのにも時間を要する。
【0339】
薬剤仕分装置1Aのように、可変カセット801を薬剤投入口17の下方に装着可能とすることで、仕分カップ141に収容された薬剤を1度に可変カセット801に投入できる。そのため、全ての仕分カップ141に薬剤が収容された場合であっても、次の薬剤の仕分けのために空の仕分カップ141を短時間で準備できるので、薬剤仕分処理の時間短縮を図ることが可能となる。また、分包処理の時間も短縮できる。
【0340】
また、薬剤仕分装置1Aは、仕分カップ搬送機構125を備えることで、仕分カップ141に収容された薬剤を自動で分包機構6へと払出すことができる。そのため、分包機構6を用いて分包する場合に、ユーザが、仕分カップ141を薬剤投入口17まで運んで、当該仕分カップ141に収容された薬剤を薬剤投入口17に投入するといった手間を削減できる。
【0341】
なお、仕分カップ搬送機構125は、搬送・仕分ユニット12が備えられるものとして説明したが、これに限らず、搬送・仕分ユニット12とは別体に、薬剤仕分装置1に設けられていても構わない。
【0342】
[実施形態14]
本実施形態では、図1を用いて、判別処理の精度向上のための構成について説明する。本実施形態の薬剤仕分装置1は、実施形態6と同様、実施形態2で述べた基本構成を備えていればよい。
【0343】
処方に採用している採用薬の中には、互いに異なる種類であっても、薬剤の色および大きさが類似する薬剤が存在する。例えば、採用薬の約7~8割程度が、所定の大きさ(例:直径7mm)を有する白色の錠剤であるユーザも存在する。
【0344】
判別部64は、第1収容部11に収容された薬剤の種類を判別する場合、第1カメラ131が撮像した画像から抽出した薬剤の特徴を、薬剤データベースに登録された複数の薬剤データと照合する。判別部64は、例えば、薬剤の特徴と薬剤データとの一致度をスコアとして算出し、当該スコアの高い順に薬剤データの順位付けを行う。そして、判別部64は、設定された順位までの薬剤データ(例:1位~10位の薬剤データ)を、薬剤の種類を特定するために用いる薬剤データの候補(候補データ)として特定する。
【0345】
薬剤仕分装置1に収容される薬剤について、種類に応じて薬剤の大きさまたは色等が異なる場合には、1位の薬剤データのスコアが、2位以下の薬剤データのスコアに比べ突出することが多い。そのため、この場合、判別部64は、上記のように設定された順位(例:10位)までを候補データとして特定すれば、十分に薬剤の種類を特定できる。
【0346】
しかし、上記のように候補データを特定した場合、互いに種類は異なるが、大きさおよび色が類似している薬剤については、その種類を正確に特定できない可能性もある。つまり、大きさおよび色が類似する薬剤が多く存在する場合、設定された順位よりも下の順位(設定された順位が10位である場合、11位以降)においてもスコアが近似している可能性が高い。そのため、当該下の順位において、本来特定されるべき薬剤データが存在する可能性もある。
【0347】
そこで、このような薬剤の種類の特定を精度良く行うために、判別部64は、画像から抽出した薬剤の特徴を登録された薬剤データと照合した結果、当該特徴との一致度が所定値以上である薬剤データを、候補データとして特定する。そして、判別部64は、薬剤を再度撮像した画像から抽出した当該薬剤の特徴を、当該候補データと照合することにより、薬剤の種類を判別する。
【0348】
例えば、判別部64は、薬剤データベースに含まれる各薬剤データについて、画像から抽出した薬剤の特徴との一致度(スコア)を算出し、スコアが1位の薬剤データを特定する。判別部64は、予め設定された、1位の薬剤データのスコアとの差分値の範囲内にある薬剤データの全てを、候補データとして特定する。そして、判別部64は、例えば、候補データとして特定した薬剤データにフラグを立てる。
【0349】
例えば、スコアが0~100(数値が大きいほど一致度が高い)で規定されているとする。例えば1位の薬剤データのスコアが97.5であり、予め設定された差分値が0.3である場合、判別部64は、スコアが97.2(=97.5-0.3)以上の薬剤データの全てを、候補データとして特定する。
【0350】
その後、第1カメラ131は薬剤を再度撮像し、判別部64は、撮像した画像に含まれる薬剤の特徴を、特定した候補データと照合することで、スコアを算出する。そして、スコアが予め設定された差分値の範囲内にある候補データを、更なる候補データとして特定する。
【0351】
判別部64は、この処理を繰り返すことで、薬剤データを一意に特定する。なお、再度薬剤を撮像するか否かの判断(撮像回数)は、特定された候補データの数等によって決定されてよい。
【0352】
このように、スコアが所定値以上である薬剤データを候補データとして絞込むことで、抽出されるべき薬剤データを漏れなく特定できる。そのため、薬剤の種類の特定を精度良く行うことが可能となる。
【0353】
なお、同じ薬剤の撮像を繰り返し行った場合、撮像の都度、薬剤の位置が異なっている可能性がある。前回撮像時の位置と異なる位置で薬剤を撮像した場合、撮像条件が前回撮像時の撮像条件よりも良くなる可能性がある。そのため、同じ薬剤の撮像を繰り返し行うことで、精度良くスコアを算出できる可能性がある。
【0354】
また、判別部64は、薬剤データを一意に特定するための、画像に含まれる薬剤の特徴と候補データとの照合の繰り返し処理を、以下のように実行しても構わない。
【0355】
例えば、判別部64は、最初の照合においては、画像に含まれる薬剤の特徴を、特定した全ての候補データと照合することで、全ての候補データに対するスコアを算出する。判別部64は、算出したスコアのうち、上位のスコアを有する候補データ(例:上位75%以内の候補データ(つまり所定値以上のスコアを有する薬剤データ))を、2回目の照合対象となる候補データとして特定する。これにより、下位のスコアを有する候補データ(例:下位25%以内の候補データ)を、2回目の照合対象となる候補データから除外できる。同様に、判別部64は、2回目の照合において算出したスコアのうち、上位のスコアを有する候補データ(例:上位75%以内の候補データ)を、3回目の照合対象となる候補データとして特定する。
【0356】
例えば、画像に含まれる薬剤の特徴が刻印情報である場合、判別部64は、照合するたびに、画像に含まれる薬剤の刻印情報との一致度が所定値以上(例:75%以上の一致度)である刻印情報を有する薬剤データを、次回の照合対象としての候補データとして特定する。
【0357】
このように、照合対象となる候補データを一定数削減しながら照合を行って薬剤データを一意に特定することで、薬剤データの特定を効率良く行うことが可能となる。なお、上記75%はあくまで一例であって、実験等を経て、効率良く薬剤データを特定できる程度の値に設定されればよい。
【0358】
[実施形態15]
本実施形態では、図1を用いて、分包処理の別例について説明する。本実施形態の薬剤仕分装置1は、実施形態2で述べた基本構成に加え、分包機構6を備えていればよい。
【0359】
分包機700等によって処方データに基づいて薬剤が分包された後に、処方に変更が生じ、分包内容を急遽変更するといった事態が生じる場合がある。例えば、1種類の薬剤を取り除くという処方の変更が生じた場合、ユーザは、各薬包を破いて、各薬包から当該薬剤を取り除いた後、各薬包を接着テープ等で再度封止するといった作業を行うことも可能である。薬包数が少ない場合には、このようなユーザによる手作業での再分包も可能であるが、薬包数が多くなった場合には、当該手作業での再分包は現実的には困難となる。そのため、再分包対象の薬包数が多くなった場合には、実際には、全薬包を廃棄して、分包機700等によって、修正後の処方データに基づく再分包が行われることもある。
【0360】
本実施形態では、薬剤仕分装置1は、処方データに基づき、分包機構6による分包処理を行っても構わない。例えば、処方データに基づく薬剤の分包処理後に処方の変更が生じた場合、ユーザは、各薬包に収容された薬剤を第1収容部11に投入する。薬剤仕分装置1は、第1収容部11に収容された薬剤を、種類毎に第2収容部14の仕分カップ141に仕分ける。種類毎の仕分けが完了した後、薬剤仕分装置1は、第2収容部14に仕分けた薬剤を、修正後の処方データ(上記変更が反映された処方データ)に基づき、分包機構6により分包する。
【0361】
このように、薬剤仕分装置1は、処方に変更が生じた場合に、その変更内容に応じた再分包を行うことができる。そのため、例えば1種類の薬剤を取り除くといった処方の変更が生じた場合に、各薬包から当該薬剤を取り除き、その後薬包を接着テープ等で封止するといった手作業を行う手間を省くことが可能となる。また、全薬包を廃棄することなく再分包を行うことも可能となる。
【0362】
なお、薬剤仕分装置1は、種類毎に第2収容部14に仕分ける必要は必ずしもない。例えば、薬剤仕分装置1は、修正後の処方データに基づき、同一の薬包に再分包される薬剤を、同一の仕分カップ141に収容しても構わない。この場合も上記と同様、薬剤仕分装置1は、第2収容部14に薬剤を仕分けた後、修正後の処方データに基づき、当該薬剤を分包機構6により分包する。
【0363】
ここで、例えば実施形態13(図25)に示す薬剤仕分装置1Aでは、上述したように、仕分カップ141を薬剤投入口17まで搬送できる。つまり、薬剤仕分装置1Aでは、1つの仕分カップ141に収容された薬剤を一度に薬剤投入口17に投入できる。そのため、同一の薬包に再分包される薬剤が同一の仕分カップ141に収容されている場合には、一薬包分の薬剤を一度に分包機構6に投入できるため、分包処理を更に効率良く行うことが可能となる。
【0364】
なお上記では、薬剤仕分装置1の分包機構6が、修正後の処方データに基づく分包処理に用いられる場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、予製のための分包処理に用いられても構わない。つまり、分包機700等によって予製データに基づき薬剤が各薬包(分包帯)に収容された後、予製データの内容に変更が生じた場合に、薬剤仕分装置1は、修正後の処方データに基づく分包処理と同様に、修正後の予製データに基づく分包処理を行っても構わない。なお、予製データとは、予製のために作成されるデータであって、各分包帯への薬剤の収容方法に関するデータである。
【0365】
また上記では、薬剤を取り除くという処方の変更が生じた場合を例に挙げて説明したが、薬剤を追加するという処方の変更が生じる場合も考えられる。この場合、ユーザは、追加対象となった薬剤を仕分カップ141に収容し、当該仕分カップ141を第2収容部14に配置する。これにより、薬剤を追加するという処方の変更が生じた場合であっても、薬剤仕分装置1は、修正後の処方データに基づき、分包機構6により薬剤を再分包することが可能となる。
【0366】
[補足]
上述のように、第2収容部14には種類毎に薬剤が収容される。第2収容部14に種類毎に薬剤が収容されるという意味には、薬剤の種類を一意に(完全に)特定できた場合には、一意に特定された種類毎に、同一の位置(同一の仕分カップ141)に薬剤を収容することが含まれる。加えて、当該意味には、薬剤の種類を一意に特定できていないが、薬剤の色、形状等に基づきある程度特徴が類似する薬剤(推定薬剤)同士であると特定できた場合には、ある程度特徴が類似する薬剤毎に、同一の位置に薬剤を収容することも含む。
【0367】
[実施形態16]
本実施形態では、薬剤仕分装置1の起動時の動作について説明する。本実施形態の薬剤仕分装置1は、少なくとも実施形態2で述べた基本構成を備える。以降の実施形態についても同様である。
【0368】
<制御部>
まず、図26を用いて、制御部60bについて説明する。図26は、制御部60bの一例を示すブロック図である。図26に示すように、制御部60bは、制御部60aの構成に加え、駆動制御部71、対象物有無判定部72、流量判定部73、及び分包制御部74を備えている。なお、本実施形態以降において、制御部は、制御部60aを基本構成とし、各実施形態の動作及び処理において必要となる上記部材の少なくとも何れかを備えていればよい。
【0369】
駆動制御部71は、第2カメラ121及び吸着・シャッター機構122を含む筐体(以降、薬剤搬送部120と称する)の移動、及び、障害物検知機構22の移動を制御する。具体的には、駆動制御部71は、薬剤搬送部120の移動に連動するように、障害物検知機構22を移動させる。
【0370】
対象物有無判定部72は、台座19に設置されるべき対象物が存在するか否かを判定する。判定対象となる対象物としては、例えば、仕分カップベース14a(図27参照)、待機トレイ15(図27参照)、回収トレイ16(図27参照)、及び吸着パッド122c(図23図31参照)が挙げられる。
【0371】
流量判定部73は、吸着機構122a(図23図31参照)における流量が所定値以下であるか否かを判定することで、吸着機構122aにおいて破損等(吸引異常)が生じているか否かを判定する。
【0372】
分包制御部74は、分包機構6の動作を制御する。また、分包制御部74は、仕分カップ141に格納された薬剤を薬剤投入口17(薬剤投入部)まで搬送する、又は、薬剤投入口17に投入された薬剤を仕分カップ141に返送する薬剤搬送部120の動作を制御する。
【0373】
なお、本願明細書を通して、少なくとも薬剤仕分装置1の説明において用いられる「分包」には、「処方データに基づいて服用時期毎に分けて薬剤を包装する」という意味と、「処方データに関係なく、第2収容部14に仕分けられた薬剤を単に包装する」という意味と、が包含されることに留意されたい。
【0374】
<障害物検知機構>
まず、図26図28を用いて、障害物検知機構22について説明する。図27の(a)は、薬剤仕分装置1の別例を示す斜視図であり、(b)は、当該別例を示す概略的な平面図である。図28の(a)及び(b)は、上部空間USを説明するための図である。
【0375】
図27の(a)及び(b)に示すように、本実施形態の薬剤仕分装置1は、障害物検知機構22及び反射ミラー23を備えている。
【0376】
障害物検知機構22は、薬剤仕分領域2に何等かの障害物が置かれていることを検知するものである。具体的には、障害物検知機構22は、規定された状態で第2収容部14に載置された(正しく載置された)仕分カップ141の上部空間US(図28参照)に存在する障害物(物体)を検知する物体検知部として機能する。図27の(a)に示すように、障害物検知機構22は、薬剤仕分装置1(台座19)の一端に設けられる。
【0377】
障害物検知機構22は、上部空間USに光を出射する光源(例:レーザ光源)と、光源から出射された光を受光するセンサとを備える。上部空間USに障害物が置かれた場合、センサは、光源が出射した光を受光できなくなることで、当該上部空間USに障害物が置かれたことを検知する。
【0378】
反射ミラー23は、障害物検知機構22と対向する位置(他端)に設けられ、障害物検知機構22が出射した光を、障害物検知機構22側へと反射する。障害物検知機構22のセンサは、上部空間USに障害物が存在しない場合、障害物検知機構22の光源から出射され、反射ミラー23で反射した光を受光する。一方、上部空間USに障害物が存在する場合、センサは、光源から出射され、反射ミラー23で反射した光を受光することができない。このとき、障害物検知機構22は、上部空間USに存在する障害物を検知する。つまり、対象物有無判定部72は、障害物検知機構22が光を受光している場合には上部空間USに障害物が存在しないものと判定し、光を受光しなかった場合に障害物が存在すると判定する。
【0379】
また、障害物検知機構22は、駆動制御部71(又は、搬送制御部61、仕分制御部62、分包制御部74)の制御を受けて水平方向に移動する。図27の(b)に示すように、本実施形態では、障害物検知機構22は、y軸方向(薬剤仕分装置1における薬剤の取出側と奥側とを結ぶ直線上)に移動する。従って、反射ミラー23は、他端においてy軸方向に延伸するように設けられている。
【0380】
このように、障害物検知機構22を所定方向に移動可能とすることで、障害物検知機構を複数設けたり、所定方向に延伸する1つの障害物検知機構を設けたりすることなく、第2収容部14の全体において、上部空間USに存在する障害物を検知できる。つまり、障害物の検知のための機構を安価に準備できる。
【0381】
なお薬剤仕分装置1は、撮像ユニット13を備えている。そのため、反射ミラー23は、障害物検知機構22と対向する、薬剤仕分装置1の筐体(壁面)の内側と、撮像ユニット13とに設けられている。各反射ミラー23の端部23aは、図27の(b)に示すように、湾曲形状を有している。このように端部23aを湾曲形状とすることで、端部23aが非湾曲形状の場合に生じ得る障害物の誤検出を回避できる。
【0382】
図28の(a)に示すように、上部空間USは、例えば、薬剤搬送部120の底部(台座19と対向する最下面)と、台座19に正しく載置されている場合の仕分カップ141の最上面との間の空間である。
【0383】
仕分カップ141は、第2収容部14に着脱可能に配置される。そのため、図28の(b)に示すように、仕分カップ141は、正しく載置されず台座19に対して斜めに載置される場合もある。なお、図28の(a)に示す状態が、仕分カップ141の全てが正しく載置されている状態である。つまり、仕分カップ141の最上面が略水平となるように載置された状態が、仕分カップ141が正しく載置された状態である。
【0384】
障害物検知機構22は、仕分カップ141が正しく載置されず台座19に対して斜めに載置されている場合に、台座19に正しく載置されている場合の仕分カップ141の最上面(上面)よりも突出した仕分カップ141の一部を、障害物として検知する。このとき、障害物検知機構22は出射した光を受光していないため、対象物有無判定部72は、上部空間DAに障害物が存在すると判定する。この場合、表示制御部67は、当該障害物を除去する(例:仕分カップ141を正しく載置する)ことをユーザに報知する。また、駆動制御部71(又は、搬送制御部61、仕分制御部62、分包制御部74)は、移動状態にある薬剤搬送部120を停止させる。
【0385】
このように、障害物検知機構22及び対象物有無判定部72により、上部空間USに障害物が存在することにより、薬剤搬送部120の移動時にその先端が障害物と衝突し、薬剤搬送部120又は障害物(例:仕分カップ141)が破損することを防止できる。
【0386】
また、障害物検知機構22は、例えば、薬剤が積み重なり、待機トレイ15又は仕分カップ141の最上面から突出してしまった場合に、当該最上面から突出した薬剤を、障害物として検知する。つまり、障害物検知機構22は、待機トレイ15又は仕分カップ141に収容された薬剤のうち、その上面から飛び出した薬剤を検知する機構としても機能する。この場合、表示制御部67は、待機トレイ15又は仕分カップ141に薬剤が満載となっていることをユーザに報知する。これにより、待機トレイ15又は仕分カップ141から薬剤がその外部に飛び出てしまうことを防止できる。
【0387】
なお、反射ミラー23を設けなくても構わない。この場合、障害物検知機構22は、自機構が出射した光を受光した場合(つまり、出射した光が障害物で反射した光を受光した場合)、上部空間USに存在する障害物を検知する。つまり、対象物有無判定部72は、上部空間USに障害物が存在すると判定する。
【0388】
<薬剤搬送部の位置決め動作>
次に、図26及び図29を用いて、薬剤仕分装置1の起動時に行われる、薬剤搬送部120の位置決め動作について説明する。図29の(a)~(d)は、薬剤搬送部120の位置決め動作を説明するための図である。
【0389】
本実施形態では、障害物検知機構22は、2つの障害物検知部を有している。一方の障害物検知部は、光源22a1及びセンサ22b1を備え、他方の障害物検知部は、光源22a2及びセンサ22b2を備えている。図29の(a)に示すように、2つの障害物検知部は、それぞれから出射された光La1及びLa2が薬剤搬送部120に照射されないように、薬剤搬送部120の幅よりも大きい間隔(距離D1)を有するように配置されている。実際には、上部空間USに存在する部材は、吸着機構122aである。そのため、上記距離D1は、少なくとも吸着機構122aの幅よりも大きい間隔を有していればよい。
【0390】
また、駆動制御部71は、薬剤搬送部120の移動に連動するように、障害物検知機構22を移動させる。本実施形態では、障害物検知機構22は、y軸方向に移動可能となっている。そのため、障害物検知機構22は、薬剤搬送部120のy軸方向の移動に連動するように移動する。これにより、障害物検知機構22から出射された光La1及びLa2が、薬剤搬送部120に照射されることを回避できる。
【0391】
薬剤仕分装置1は、その起動時に、薬剤搬送部120の、第2収容部14(具体的には仕分カップベース14a)に対する位置決め動作を行う。この位置決め動作により、制御部60b(特に、仕分制御部62及び分包制御部74)は、第2収容部14に収容された複数の仕分カップ141の位置を正確に特定できる。
【0392】
位置決め動作を行うためには、仕分カップ141が載置される領域を構成する各辺が延伸する方向(x軸方向及びy軸方向)に、薬剤搬送部120を移動させる必要がある。ここで、第2収容部14における薬剤取出し側の一端(例えば、薬剤仕分装置1の前方から見て左端)を、位置決め動作を開始する初期位置とする。
【0393】
本実施形態では、図29の(a)に示すように、駆動制御部71は、まず、薬剤搬送部120を初期位置に移動させた後、位置決め動作を開始する。このとき、駆動制御部71は、障害物検知機構22をオンにすることで、光源22a1から光La1を、光源22a2から光La2をそれぞれ出射させる。上部空間USに障害物がなければ、光La1及びLa2は、反射ミラー23で反射されて障害物検知機構22のセンサで受光される。
【0394】
次に、図29の(a)に示すように、駆動制御部71は、薬剤搬送部120及び障害物検知機構22を、例えば距離D1を超える程度、y軸方向に移動させる。本実施形態では、この移動により、薬剤搬送部120は、y軸方向において、2列目の仕分カップ141に対応する位置となる。つまり、薬剤搬送部120は、x軸方向において、2列目の仕分カップ141の上を移動できる位置となる。y軸方向への移動距離は、これに限らず、光源22a2から出射された光La2が1列目の仕分カップ141の飛び出しを検知できる程度(光La2が1列目の仕分カップ141の上を通過する程度)の距離であればよい。なお、1列目の仕分カップ141は、図29で網掛けされている仕分カップ141を指す。
【0395】
ここで、駆動制御部71は、薬剤搬送部120を、初期位置から1列目の仕分カップ141の上を移動させた後、y軸方向に移動させることも考えられる。しかしながら、薬剤搬送部120が初期位置にいる時点においては、図29の(a)に示すように、光源22a1から出射された光La1も、光源22a2から出射された光La2も、1列目の仕分カップ141の上を通過していない。そのため、1列目の仕分カップ141のいずれかが飛び出していたとしても、光La1及びLa2が、飛び出した仕分カップ141によって遮られることが無いため、障害物検知機構22は、当該仕分カップ141を検知することができない。従って、薬剤搬送部120を、初期位置から1列目の仕分カップ141の上を移動させた場合、1列目の仕分カップ141のいずれかが飛び出していた場合には、薬剤搬送部120が、飛び出した仕分カップ141に衝突してしまう。
【0396】
図29の(a)に示すように、薬剤搬送部120及び障害物検知機構22を、初期位置から所定距離y軸方向に移動させることにより、対象物有無判定部72は、薬剤搬送部120を1列目の仕分カップ141の上を移動させずに、光源22a2から出射された光La2によって1列目の仕分カップ141の飛び出し有無を確認することができる。
【0397】
次に、図29の(b)に示すように、駆動制御部71は、薬剤搬送部120を、仕分カップ141の上をx軸方向に沿って、第2収容部14における他端(例えば、薬剤仕分装置1の前方から見て右端)まで移動させる。本実施形態では、薬剤搬送部120は、2列目の仕分カップ141の上をx軸方向に沿って、他端側に配置された仕分カップ141まで移動させる。2列目の仕分カップ141については、薬剤搬送部120及び障害物検知機構22が初期位置からy軸方向に移動している間に、光源22a1から出射された光La1による飛び出し有無の確認が行われる。そのため、2列目の仕分カップ141のいずれかの飛び出しが検知された場合には、薬剤搬送部120の移動が停止されるため、薬剤搬送部120が飛び出した仕分カップ141に衝突することを回避できる。
【0398】
その後、図29の(c)及び(d)に示すように、駆動制御部71は、薬剤搬送部120及び障害物検知機構22を、他端側に配置された仕分カップ141の上をy軸方向に沿って移動させることで、位置決め動作が終了する。
【0399】
なお、駆動制御部71は、図29の(a)に示すように薬剤搬送部120及び障害物検知機構22がy軸方向に沿って移動している間に、1列目の仕分カップ141のいずれかの飛び出しが検知された場合も、薬剤搬送部120及び障害物検知機構22を停止させる。また、図29の(c)に示すように薬剤搬送部120及び障害物検知機構22がy軸方向に沿って移動している間に、3列目~7列目の仕分カップ141のいずれかの飛び出しが検知された場合も、薬剤搬送部120及び障害物検知機構22を停止させる。
【0400】
このように、位置決め動作において、薬剤搬送部120は、第2収容部14の上の、薬剤搬送部120と連動して移動する障害物検知機構22の光源22a1又は22a2から出射された光La1又はLa2が通過した後の領域を移動する。これにより、薬剤仕分装置1は、薬剤搬送部120が移動する前に、薬剤搬送部120が移動予定としている領域における障害物の有無を判定できる。そのため、薬剤搬送部120の、飛び出した仕分カップ141への衝突を回避できる。
【0401】
なお、図29に示す移動例はあくまで一例である。例えば、光La2が1列目の仕分カップ141の上を通過するように初期位置が設定されている場合、薬剤搬送部120は、1列目の仕分カップ141の上をx軸方向に沿って移動した後、他端側に配置された仕分カップ141の上をy軸方向に沿って移動しても構わない。
【0402】
<フィルタの目詰まり確認>
薬剤仕分装置1は、その起動時に、吸着機構122aが備えるフィルタ(不図示)の、粉塵等の異物による目詰まり確認を行う。当該フィルタは、吸着パッド122cから吸い上げられた粉塵等の異物を収集するためのものである。
【0403】
吸着機構122aは、空気管122b(図23図31参照)に流れる空気の流量を検出する流量センサ(不図示)を備えている。この場合、搬送制御部61(又は、仕分制御部62、分包制御部74)は、吸着パッド122cで薬剤を吸着したことを、流量センサが検出する流量の変化に基づき判定できる。
【0404】
流量判定部73は、空気管122b内の、薬剤を非吸着時の空気の流量が、第1所定値(所定の流量)以下であるか否かを判定する。流量判定部73は、第1所定値以下であると判定した場合には、フィルタの目詰まりが発生していると判定する。この場合、表示制御部67は、フィルタの目詰まりが発生しているため、フィルタの清掃又は取替えが必要であることをユーザに報知する。また、制御部60bは、薬剤仕分装置1における起動時の動作を停止する。
【0405】
なお、第1所定値以下であると判定された場合、表示制御部67は、吸着パッド122cに異常があるものとして、その旨をユーザに報知しても構わない。また、本処理は、薬剤仕分処理の開始前に行われても構わない。
【0406】
また、流量判定部73が判定する所定値を、第1所定値及び第2所定値の2段階で設定しても構わない。第1所定値は、清掃を要する程度にフィルタの目詰まりが発生したと判定するための指標として設定される。第2所定値は、清掃を要する程度のフィルタの目詰まりではないが、近い将来に清掃を要する程度にフィルタの目詰まりが発生すると判定するための指標として設定される。従って、第1所定値よりも第2所定値の方が高く設定される。
【0407】
この場合、流量判定部73は、空気管122b内の、薬剤を非吸着時の空気の流量が、第2所定値以下であるか否かを判定する。表示制御部67は、第2所定値以下であると判定した場合には、近い将来にフィルタの清掃が必要になりそうであることをユーザに報知する。制御部60bは、薬剤仕分装置1における起動時の動作(又は薬剤仕分処理)を一旦停止するが、操作入力部66が再スタートを示すユーザ入力を受付けた場合には、当該動作を再開する。
【0408】
<仕分カップベースの有無確認>
薬剤仕分装置1は、その起動時に、仕分カップベース14aが台座19に設置されているか否かの確認を行う。なお、本処理は、薬剤仕分処理の開始前に行われても構わない。仕分カップベース14aは、図27(a)及び(b)に示すように、複数の仕分カップ141を整列した状態で収容する収容部である。
【0409】
図30の(a)及び(b)は、押込検知部126を用いた対象物検知処理を説明するための図である。薬剤搬送部120は、図30の(a)及び(b)に示すように、押込検知部126を備える。押込検知部126は、薬剤搬送部120から台座19の方向へ吸着機構122aを延伸させるときの延伸方向とは逆方向に、吸着機構122aが押し込まれたことを検知するものである。本実施形態では、押込検知部126は略C型形状であり、その内側にそれぞれが対向するように、光源126a及びセンサ126bが設けられている。押込検知部126は、吸着機構122aの上方に、かつ、吸着機構122aがその内側を通過可能なように設けられている。
【0410】
押込検知部126は、図30の(a)に示すように、吸着機構122aの延伸動作に連動して移動する。図30の(b)に示すように、吸着パッド122cが物体(例:仕分カップベース14a)に接触すると、薬剤搬送部120に設けられたばね(不図示)の力によって、吸着機構122aは押し上げられる。その結果、センサ126bは光源126aから出射された光を受光できなくなる。対象物有無判定部72は、センサ126bが受光できなくなったときに、吸着機構122aの先端部が対象物と接触したと判定する。つまり、対象物有無判定部72は、センサ126bが受光できなくなったときに、存在すべき対象物と接触した、つまり対象物が存在すると判定する。
【0411】
仕分カップベース14aには、図27の(a)及び(b)に示すように、仕分カップ141が収容されない領域が存在する。この領域を用いて、仕分カップベース14aの有無判定が行われる。以降、この領域を有無判定領域14aaと称する。
【0412】
駆動制御部71は、有無判定領域14aaにおいて、吸着機構122aを下降させる。このときの下降距離は、仕分カップベース14aが設置されている場合には、有無判定領域14aaへの接触を押込検知部126が検知できる程度で、かつ、仕分カップベース14aが設置されていない場合には、台座19に接触しない程度に設定されていればよい。
【0413】
吸着機構122aを下降させた結果、吸着機構122aが押し上げられ、センサ126bが受光できなくなった場合に、対象物有無判定部72は、仕分カップベース14aが存在すると判定する。一方、上記下降距離分、吸着機構122aを下降させても、吸着機構122aが押し上げられず、センサ126bが受光し続けている場合には、対象物有無判定部72は、仕分カップベース14aが存在しないと判定する。この場合、表示制御部67は、仕分カップベース14aを台座19に設置するようにユーザに報知する。
【0414】
<吸引異常有無確認>
薬剤仕分装置1は、その起動時に、吸着機構122aが薬剤を吸着したときに、その吸着を正常に検知できるか否かの確認を行う。なお、本処理は、薬剤仕分処理の開始前に行われても構わない。
【0415】
流量判定部73は、空気管122b内の、薬剤を非吸着時の空気の流量が、第3所定値以下であるか否かを判定する。第3所定値は、例えば、予め実験等により特定された、薬剤を吸着したときの流量に設定されていればよい。
【0416】
駆動制御部71は、例えば有無判定領域14aaにおいて、吸着機構122aを下降させ、仕分カップベース14aに接触させる。この状態において、流量判定部73は、第3所定値以下であると判定した場合には、薬剤を正常に吸着できる(つまり、制御部60bが薬剤の吸着を正常に検知できる)と判定する。一方、流量判定部73は、第3所定値以下にならないと判定した場合には、薬剤を正常に吸着できないと判定する。この場合、表示制御部67は、吸着機構122aが薬剤を正常に吸着できない状態であることをユーザに報知する。第3所定値以下にならない場合、空気管122b又は吸着パッド122cの破損等の異常が発生していると考えられる。ユーザへの報知により、破損箇所の特定及び修理を行うことが可能となる。
【0417】
<待機トレイの有無確認>
薬剤仕分装置1は、その起動時に、待機トレイ15が台座19に設置されているか否かの確認を行う。なお、本処理は、薬剤仕分処理の開始前に行われても構わない。
【0418】
撮像制御部63は、待機トレイ15が設置される領域の上において、薬剤搬送部120が備える第2カメラ121により当該領域を撮像する。対象物有無判定部72は、撮像制御部63が撮像した画像を解析することにより、当該画像に待機トレイ15が含まれているか否かを判定する。対象物有無判定部72は、当該画像に待機トレイ15が含まれている場合、待機トレイ15が台座19に設置されていると判定する。一方、対象物有無判定部72は、当該画像に待機トレイ15が含まれていない場合、待機トレイ15が台座19に設置されていないと判定する。この場合、表示制御部67は、待機トレイ15を設置するようにユーザに報知する。
【0419】
<回収トレイの有無確認>
薬剤仕分装置1は、その起動時に、回収トレイ16が台座19に設置されているか否かの確認を行う。なお、本処理は、薬剤仕分処理の開始前に行われても構わない。
【0420】
図27の(a)及び(b)に示すように、回収トレイ16の4隅には、その内側に突出する突出部16aが設けられている。対象物有無判定部72は、吸着機構122aを当該4隅に設けられた突出部16aの何れかに接触させることで、回収トレイ16の設置有無を判定する。
【0421】
本処理は、上述した仕分カップベース14aの有無確認と同様の手法で行われる。具体的には、駆動制御部71は、回収トレイ16が設置される領域の上において、吸着機構122aを下降させる。このときの下降距離は、回収トレイ16が設置されている場合には、突出部16aへの接触を押込検知部126が検知できる程度で、かつ、回収トレイ16が設置されていない場合には、台座19に接触しない程度に設定されていればよい。
【0422】
吸着機構122aを下降させた結果、吸着機構122aが押し上げられ、センサ126bが受光できなくなった場合に、対象物有無判定部72は、回収トレイ16が存在すると判定する。一方、上記下降距離分、吸着機構122aを下降させても、吸着機構122aが押し上げられず、センサ126bが受光し続けている場合には、対象物有無判定部72は、回収トレイ16が存在しないと判定する。この場合、表示制御部67は、回収トレイ16を設置するようにユーザに報知する。
【0423】
<吸着パッドの有無確認>
薬剤仕分装置1は、その起動時に、吸着パッド122cが吸着機構122aに取り付けられているか否かの確認を行う。なお、本処理は、薬剤仕分処理の開始前に行われても構わない。図31は、吸着パッド122cの有無判定について説明するための図である。
【0424】
吸着パッド122cの有無判定は、空気管122b内の、薬剤を非吸着時の空気の流量が、例えば第3所定値以下であるか否かによって行われる。具体的には、駆動制御部71は、例えば有無判定領域14aaにおいて、吸着機構122aを下降させ、仕分カップベース14aに接触させる。この状態において、流量判定部73は、第3所定値以下であると判定した場合には、吸着パッド122cが吸着機構122aに取り付けられていると判定する。一方、流量判定部73は、第3所定値以下にならないと判定した場合には、吸着パッド122cが吸着機構122aに取り付けられていないと判定する。この場合、表示制御部67は、吸着パッド122cを吸着機構122aに取り付けるようにユーザに報知する。これにより、吸着パッド122cの取付け忘れを防止できる。
【0425】
ここで、薬剤搬送部120の、台座19と対向する側の端部(吸着機構122aの初期位置)から、仕分カップベース14aに正しく載置された仕分カップ141の底部までの距離は一定である。そのため、有無判定領域14aaにおいて本処理を行う場合、当該底部の位置を起点として吸着機構122aの下降距離(吸着機構122aの停止位置)を決定することにより、当該下降距離を精密に(例:ミリオーダで)決定できる。
【0426】
具体的には、図31に示すように、上記底部の位置を規定する基準線BLから、仕分カップベース14aの表面までの距離D11は一定である。そのため、距離D11から、吸着パッド122cの厚みを考慮した値(例:厚みの半分となる値)を減算した距離D12も一定の値となる。そのため、基準線BLから距離D12分離れた位置を、吸着機構122aの停止位置として決定すればよい。つまり、下降距離を、吸着機構122aの初期位置から当該停止位置までの距離として決定すればよい。
【0427】
これにより、下降距離(停止位置)を、吸着パッド122cが取り付けられている場合に、吸着パッド122cが仕分カップベース14aの表面に接触し、かつ、吸着パッド122cが取り付けられていない場合に、吸着機構122aの先端部が当該表面に接触しない程度の距離(位置)に設定することができる。
【0428】
つまり、吸着機構122aを下降距離分下降させたときに、図31に示すように、吸着パッド122cが取り付けられている場合には、吸着パッド122cの仕分カップベース14aの表面への接触により、流量は第3所定値以下となる。一方、吸着パッド122cが取り付けられていない場合には、吸着機構122aの先端部と仕分カップベース14aの表面との間に隙間OPが生じるため、流量は第3所定値以下にはならない。そのため、対象物有無判定部72は、精度良く、吸着パッド122cの有無判定を行うことができる。
【0429】
<薬剤載置台の汚れ及び残薬確認>
薬剤仕分装置1は、その起動時に、薬剤載置台133aの汚れ及び残薬の有無の確認を行う。なお、本処理は、薬剤仕分処理の開始前に行われても構わない。図32は、照明器134及びバックライト135の配置位置の一例を示す斜視図である。
【0430】
撮像ユニット13において、第1照射部134a(可視光照射部;バー照明)、第2照射部134b(可視光照射部;リング照明)、及び紫外光照射部134cは、図32に示すように配置されている。また、図32に示すように、受入領域Ar1には、受入領域Ar1に位置した薬剤載置台133aを、その下方から照射するバックライト135が設けられている。吸着機構122aが、受入領域Ar1に位置した薬剤載置台133aに載置された薬剤を吸着するときに(つまり、当該薬剤載置台133aにおいて吸着位置を決定するときに)、バックライト135は点灯する。これにより、精度よく吸着位置を決定できる。
【0431】
撮像制御部63は、受入領域Ar1に位置した薬剤載置台133aを撮像する。撮像制御部63は、撮像した画像を解析した結果、相対的に輝度が低い領域を検出した場合に、薬剤載置台133aに汚れがあると判定する。この場合、表示制御部67は、薬剤載置台133aに汚れがあるため、当該薬剤載置台133aを清掃するようにユーザに報知する。この相対的に輝度が低い領域を検出する手法としては、例えば、動的閾値処理等の公知の手法が用いられる。
【0432】
また、撮像制御部63は、撮像した画像を解析することにより、薬剤載置台133aに薬剤が存在するか否かについても判定する。撮像制御部63は、例えば、予め特定されている薬剤と推定される大きさ及び形状との一致度が所定値以上である場合に、薬剤載置台133aに薬剤が載置されていると判定する。この場合、駆動制御部71は、搬送・仕分ユニット12を制御することにより、薬剤載置台133aに載置された薬剤を第1収容部11へ搬送する。そのため、薬剤載置台133aに薬剤が載置された状態のままで薬剤仕分処理を開始してしまうことを防止できる。また、第1収容部11に収容することで、当該薬剤も仕分対象とすることができると共に、薬剤載置台133aに薬剤が載置されている旨の報知を行う必要が無い。
【0433】
なお、一方の薬剤載置台133aの汚れ及び残薬の有無の確認が行われた後、他方の薬剤載置台133aの汚れ及び残薬の有無の確認が行われる。
【0434】
<動作例>
薬剤仕分装置1における起動時(又は薬剤仕分処理の開始前)の動作例について説明する。駆動制御部71は、薬剤搬送部120を、位置決め動作を開始する初期位置に移動させた後、位置決め動作を行う。駆動制御部71は、位置決め動作が完了すると、薬剤搬送部120を第1収容部11に移動させる。
【0435】
駆動制御部71は、第1収容部11の上で、吸着機構122aによる空気の掃出し処理を実行する。これにより、吸着パッド122cに薬剤が付着していた場合に、その付着した状態のままで薬剤仕分処理を開始してしまうことを防止できる。また、吸着パッド122cに付着した薬剤を第1収容部11に収容することで、当該薬剤も仕分対象とすることができると共に、吸着パッド122cに薬剤が付着している旨の報知を行う必要が無い。
【0436】
次に、駆動制御部71は、薬剤搬送部120を有無判定領域14aaに移動させる。この位置において、仕分カップベース14aの有無確認、吸着パッド122cの有無確認、吸引異常有無確認、及びフィルタの目詰まり確認の各処理が行われる。
【0437】
次に、駆動制御部71は、薬剤搬送部120を待機トレイ15に移動させる。これにより、待機トレイ15の有無確認の処理が行われる。次に、駆動制御部71は、薬剤搬送部120を回収トレイ16に移動させる。これにより、回収トレイ16の有無確認の処理が行われる。そして最後に、駆動制御部71は、薬剤搬送部120を受入領域Ar1に移動させる。これにより、薬剤載置台133aの汚れ及び残薬の有無の確認処理が行われる。
【0438】
薬剤仕分装置1は、その起動時(又は薬剤仕分処理の開始前)に上述した処理を行うことで、薬剤仕分処理を安全かつ確実に行うことが可能となる。
【0439】
〔実施形態17〕
本実施形態では、図33を用いて、待機トレイ15への薬剤の配置方法について説明する。図33は、待機トレイ15への薬剤の配置例を説明するための図である。図33において、薬剤MD1~MD5は、その順で待機トレイ15に配置されていくものとする。
【0440】
待機トレイ15の内部を撮像することにより、待機トレイ15における薬剤の収容状況を確認することも可能である。しかしながら、実際には、撮像した画像の解析では、当該収容状況を把握しにくい。そのため、上述したように、障害物検知機構22により、待機トレイ15の上面から飛び出した薬剤の存在(薬剤が満載である状態)を検知している。
【0441】
一方で、待機トレイ15への薬剤の配置方法により、待機トレイ15の上面から薬剤を飛び出しにくくすることも可能である。図33の(a)に示すように、薬剤MD1~MD5の位置をずらして配置することで、待機トレイ15において薬剤を積み上がりにくくすることができる。但し、この場合も薬剤同士が重なり合っている。そこで、図33の(b)に示すように、薬剤MD1~MD5が少なくとも1つ前に配置された薬剤とは重ならないように配置することで、待機トレイ15において薬剤をさらに積み上がりにくくすることができる。具体的には、載置された薬剤から所定距離(例:約2mm)離隔する位置に、次に薬剤が載置される。なお、待機トレイ15における配置位置は、制御部60bによって決定される。
【0442】
[実施形態18]
本実施形態では、薬剤の形状に応じた吸着方法の切替え及び仕分方法について説明する。薬剤の形状又は大きさとしては、一般的な錠剤及びカプセルの形状(例:断面が略円形状、略楕円形状、略矩形状)又は大きさの他、例えば以下のような形状又は大きさのものも存在する。
【0443】
(1)半錠形状(円弧が1つで角部が2つある形状)、
(2)一般的な錠剤及びカプセルの形状とは異なる形状(例:一般の薬剤に比べて深い割線を有する薬剤の形状)(以降、異形状と称する)、
(3)一般的な錠剤及びカプセルの大きさよりも小さい薬剤(以降、小薬剤と称する。小薬剤とは、画像のピクセルで所定数以下のもの。すなわち、画像における薬剤の像の領域に含まれる画素数が所定の画素数以下のもの。)。
【0444】
制御部60bは、薬剤を吸着するとき、吸引させながら吸着機構122aを下降させるという初期設定動作を行う。このように制御することで、薬剤によっては、薬剤に接触する前に当該薬剤を吸着することができるため、薬剤仕分処理を効率良く行うことが可能となる。しかしながら、上記(1)~(3)のような形状又は大きさを有する薬剤に対して、吸引させながら吸着機構122aを下降させると、吸引による空気の流れにより吸着前に薬剤が暴れてしまい、薬剤を吸着できないことがある。また、上記空気の流れにより薬剤が動いてしまい、適切な位置を吸着できないこともある。
【0445】
そのため、仕分制御部62は、上記のような形状又は大きさを有する薬剤を仕分ける場合には、初期設定動作を、吸着機構122aを下降させて、吸着パッド122cを薬剤に接触させた後(押し付けた後)、吸引を開始するという特殊設定動作に切り換える。なお、薬剤への接触は流量の変化により判定できる。
【0446】
異形状の薬剤については、当該薬剤の形状が異形状であることを示す情報が当該薬剤の薬剤データに紐付けて薬剤データベースに登録されている。判別部64は、第1カメラ131が撮像した画像に基づき、薬剤の種類を判別したときに、薬剤データベースを参照することにより、当該薬剤が異形状の薬剤として指定されているか否かを判定する。異形状の薬剤であると判定された場合、仕分制御部62は、吸着動作を初期設定動作から特殊設定動作に切り換える。
【0447】
また、判別部64は、第1カメラ131が撮像した画像に基づき、配置領域Ar2に載置された薬剤の形状及び大きさを特定する。その結果、判別部64が、半錠形状を有する薬剤、又は小薬剤であると判定した場合、仕分制御部62は、吸着動作を初期設定動作から特殊設定動作に切り換える。なお、画像における薬剤の像の領域に含まれる画素数が所定の画素数以下である場合に、小薬剤であると判定される。
【0448】
このように、上記(1)~(3)のような特殊な形状又は大きさを有する薬剤については、吸着動作を特殊設定動作に切り換えることにより、薬剤が吸着できない、又は、不適切な位置で薬剤を吸着してしまうといった事態を回避できる。
【0449】
また、仕分制御部62は、判別部64により半錠形状の薬剤であると判定された場合には、半錠形状の薬剤を、同一の仕分カップ141に仕分けても構わない。
【0450】
[実施形態19]
本実施形態では、薬剤載置台133aに複数の薬剤が載置された場合の処理について説明する。
【0451】
判別部64は、薬剤の種類を判別するときに、第1カメラ131が撮像した画像を解析する。この画像解析により、薬剤載置台133aに薬剤が複数存在すると判定された場合、薬剤の種類判別処理を中断し、撮像制御部63は、薬剤載置台133aを配置領域Ar2から受入領域Ar1に移動させる。搬送制御部61は、薬剤搬送部120を受入領域Ar1の上に移動させた後、第2カメラ121が撮像した画像に基づき、薬剤載置台133aに載置された複数の薬剤のうちの1つを取出し、第1収容部11に搬送する。搬送制御部61は、薬剤載置台133aに載置された複数の薬剤の全てが第1収容部11に搬送されるまで、当該処理を繰り返す。そして、搬送制御部61は、薬剤載置台133aに薬剤が存在しないと判定した場合に、第1収容部11から再度薬剤を1つ取出して、薬剤載置台133aに載置する。これにより、一旦中断された薬剤の種類判別処理が再開される。
【0452】
このように、薬剤仕分装置1は、薬剤載置台133aに複数の薬剤が載置されていた場合には、当該薬剤を第1収容部11に戻すことにより、確実に1つずつ、薬剤の種類判別処理を行うことができる。
【0453】
[実施形態20]
本実施形態では、図34を用いて、第2収容部14に格納された薬剤を分包する分包機構6(分包部)の構成について説明する。図34は、分包機構6の構成例を示す図である。図34の(a)は、分包機構6の一部の構成例を概略的に示す図である。図34の(b)及び(c)は、上部シャッター機構6dにおける開閉動作について説明するための図であり、(d)及び(e)は、下部シャッター機構6eにおける開閉動作について説明するための図である。
【0454】
図34の(a)に示すように、分包機構6は、包装ホッパー6a、ヒーターローラー6b、移動通路6c、上部シャッター機構6d、及び下部シャッター機構6eを備えている。ヒーターローラー6b、上部シャッター機構6d、及び下部シャッター機構6eの制御は、分包制御部74によって行われる。
【0455】
包装ホッパー6aは、移動通路6cを通過(落下)した薬剤を受入れ、ヒーターローラー6bにセットされた分包紙PPに導くものである。具体的には、包装ホッパー6aは、移動通路6cを通過した薬剤を、ヒーターローラー6bによって薬剤が分包される前に載置される分包前薬剤載置領域MPArに導く。図34の(a)では、分包紙PPは一点鎖線で示されている。包装ホッパー6aは、分包前薬剤載置領域MPArにおいて、ヒーターローラー6bの底部付近に薬剤を載置するために、ヒーターローラー6b側に向けて先細り形状となっている。
【0456】
ヒーターローラー6bは、1包分ずつ薬剤を分包紙PPに分包するものである。具体的には、ヒーターローラー6bは、分包紙PPを熱融着して分包紙PPに薬剤を分包する。分包前薬剤載置領域MPArにおいて、分包紙PPに1包分の薬剤を載置しておくことで、1包分の薬剤毎に分包紙PPに分包できる。
【0457】
なお、分包機構6は、同一種類毎に仕分けられた仕分カップ141から取り出された薬剤を分包する場合、1つの仕分カップ141に格納された薬剤の全てを1包分として分包しても構わない。また、仕分カップ141に格納された薬剤の数量が多い場合には、所定数量ずつ複数包に分割して分包しても構わない。複数包に分割して分包する場合、分包機構6に設けられた印刷機構(不図示)により、分包紙PPに薬剤名を印字しても構わない。この場合、分包制御部74は、薬剤の取出し元である仕分カップ141のRFIDから薬剤データを読み出すことにより、当該薬剤を分包した分包紙PPに、当該薬剤の薬剤名を印字させる。これにより、ユーザは、各包にどの種類の薬剤が分包されているか否かを確認することが可能となる。また、分包機構6は、複数包に分割して分包した場合、各包に1/2、2/2といった印字を行うことにより、ユーザが、分包された対象薬剤の全包数を確認できるようにしても構わない。また、分包機構6は、仕分処理を実行した日付もしくは日時、又は、仕分処理を実行した病棟等の情報を分包紙PPに印字しても構わない。
【0458】
移動通路6cは、搬送・仕分ユニット12によって仕分けられた薬剤(分包対象の薬剤)が投入される薬剤投入口17と、包装ホッパー6aとの間に設けられ、薬剤投入口17から投入された薬剤を包装ホッパー6aに導くものである。換言すれば、移動通路6cは、薬剤投入口17と分包前薬剤載置領域MPArとを接続し、薬剤投入口17に投入された薬剤を分包前薬剤載置領域MPArに導くものである。
【0459】
上部シャッター機構6dは、薬剤投入口17に接続されており、かつ、薬剤投入口17に投入された分包対象ではない薬剤の、分包機構6への落下を防止する薬剤落下防止部として機能する。図34の(b)に示すように、上部シャッター機構6dは、上部シャッター6da及び上部シャッター駆動部6dbを備えている。
【0460】
上部シャッター6daは、薬剤投入口17の底部として機能する、開閉可能なシャッターである。上部シャッター駆動部6dbは、上部シャッター6daを駆動することで、上部シャッター6daの開閉動作を制御する。図34の(b)は上部シャッター6daが開いている状態、(c)は上部シャッター6daが閉じている状態を示している。
【0461】
上部シャッター6daは、通常は閉じた状態であり、分包対象の薬剤が薬剤投入口17に投入されたときに開く。具体的には、分包制御部74は、搬送・仕分ユニット12を制御することにより、分包対象の薬剤を該当する仕分カップ141から取出し、薬剤投入口17まで搬送する。分包制御部74は、薬剤投入口17に薬剤を投入した後、上部シャッター機構6dを制御することにより、閉じている上部シャッター6daを開く。これにより、薬剤投入口17に投入された薬剤は、移動通路6cを介して包装ホッパー6aへと導かれる。分包制御部74は、所定時間(投入された薬剤が移動通路6cへと落下するのに十分な時間)経過後、開いている上部シャッター6daを閉じる。
【0462】
このように、上部シャッター機構6dを設けることにより、薬剤仕分装置1の動作中に、薬剤投入口17に誤って落下した薬剤(分包対象ではない薬剤)が、分包機構6により分包されてしまうことを回避できる。
【0463】
また、第2カメラ121(薬剤撮像部)は、分包制御部74の制御を受けて、上部シャッター6daが開く前に、薬剤投入口17に投入された薬剤を撮像する。分包制御部74は、第2カメラ121が撮像した画像を、分包のエビデンスとして記憶部80に記憶しておく。これにより、ユーザは、分包機構6により分包される直前に撮像した薬剤の画像を用いて、薬剤が正しく分包されているか否かを確認できる。
【0464】
下部シャッター機構6eは、分包機構6で作成される1包分に含まれる薬剤の全てが、薬剤投入口17から投入されるまで、薬剤投入口17から投入された薬剤を一時的に保持する薬剤保持部として機能する。換言すれば、下部シャッター機構6eは、1包分に含まれる薬剤の全てが薬剤投入口17から投入されるまで、分包前薬剤載置領域MPArに導入されないようにするものである。そのため、下部シャッター機構6e(具体的には、後述の下部シャッター6ea)は、薬剤投入口17と分包前薬剤載置領域MPArとの間に設けられていればよい。本実施形態では、下部シャッター機構6eは、包装ホッパー6aと移動通路6cとの間に設けられているが、これに限らず、例えば包装ホッパー6a又は移動通路6cの内部に設けられても構わない。
【0465】
また、図34の(e)に示すように、下部シャッター機構6eは、開閉可能な下部シャッター6ea(シャッター)を備えている。また、下部シャッター機構6eは、下部シャッター駆動部(不図示)を備えている。下部シャッター駆動部は、下部シャッター6eaを駆動することで、下部シャッター6eaの開閉動作を制御する。図34の(d)は下部シャッター6eaが開いている状態、(e)は下部シャッター6eaが閉じている状態を示している。
【0466】
下部シャッター6eaは、通常は閉じた状態であり、1包分の薬剤が下部シャッター6ea上に保持されたときに開く。具体的には、分包制御部74は、1包分に含まれる複数の薬剤のうち最後の薬剤が薬剤投入口17に投入され、上部シャッター6daを開いてから所定時間経過後、下部シャッター6eaを開く。これにより、1包分の薬剤が纏めて包装ホッパー6a(つまり、分包前薬剤載置領域MPAr)へと導かれる。但し、1包分に含まれる薬剤が1個の場合には、上記最後の薬剤は当該薬剤となる。
【0467】
ここで、記憶部80には、薬剤の種類(又は、薬剤の大きさ、形状等)毎に、1包に収容できる最大数を示す情報が記憶されている。具体的には、薬剤の種類毎に、標準袋長(例:80mm)を有する1包分に収容できる最大収容数を示す情報が記憶されている。分包制御部74は、仕分カップ141のRFIDから、当該仕分カップ141に格納された薬剤の個数を読み出し、当該個数と最大収容数とを比較することにより、1包の袋長、及び1包に分包する数量を決定する。
【0468】
例えば、分包制御部74は、上記個数が最大収容数よりも少ないと判定した場合には、仕分カップ141に格納された薬剤を全て薬剤投入口17に投入すると共に、仕分カップ141に格納された薬剤を分包する1包分の袋長を短くする。例えば、標準袋長80mmのときの最大収容数が8錠と定められた薬剤の場合に、1包に分包される薬剤が7錠であれば、袋長を70mmに変更する。なお、袋長は段階的に変更可能であってよく、この場合、例えば70mm,76mm,80mm(標準袋長),90mm及び110mmの間で変更可能である。
【0469】
また、分包制御部74は、上記個数が最大収容数と同数であると判定した場合には、仕分カップ141に格納された薬剤を全て薬剤投入口17に投入すると共に、仕分カップ141に格納された薬剤を分包する1包分の袋長を標準袋長のままとする。
【0470】
また、分包制御部74は、上記個数が最大収容数よりも多いと判定した場合には、1包分の袋長を標準袋長よりも大きい袋長(例:110mm)に設定し、薬剤の種類に基づき、当該袋長の1包分に分包できる数量分の薬剤を算出する。そして、算出した数量分の薬剤を、仕分カップ141から薬剤投入口17へと投入しても構わない。なお、ユーザの希望によりできるだけ多くの薬剤を1包に分包したい場合(そのような設定となっている場合)にも同様の処理を行っても構わない。
【0471】
このように、分包制御部74は、1包に分包する数量を決定するため、当該数量に基づき、1包分のどの薬剤を薬剤投入口17に投入しているかを特定できる。なお、分包制御部74は、処方データに基づき、1包分のどの薬剤を薬剤投入口17に投入しているかを特定しても構わない。
【0472】
また、分包制御部74は、1包分の薬剤を分包前薬剤載置領域MPArに載置できたタイミングで、1包分の分包紙PPの送り動作を実行し、当該送り動作が完了した後に、ヒーターローラー6bにより当該1包分の分包紙PPが熱融着される。これにより、1包分の薬剤毎に分包紙PPに分包できる。
【0473】
上記所定時間は、上部シャッター6daを開いて薬剤が移動通路6cを介して下部シャッター6eaまで到達するのに十分な時間に設定されればよい。但し、分包制御部74は、分包紙PPの送り動作が停止している間に下部シャッター6eaを開く。
【0474】
また、分包制御部74は、所定時間(下部シャッター6ea上に載置された薬剤が包装ホッパー6aへと落下するのに十分な時間)経過後、開いている下部シャッター6eaを閉じる。
【0475】
このように、下部シャッター機構6eを設けることにより、分包前薬剤載置領域MPArへの1包分の薬剤の載置タイミングと、分包紙PPの送り動作のタイミングとを合わせることができる。そのため、薬剤仕分装置1は、ヒーターローラー6bによって1包分の薬剤毎に分包紙PPに分包できる。
【0476】
また、下部シャッター機構6eにより一時的に薬剤を保持することにより、1包分の薬剤を一度に分包前薬剤載置領域MPArに落下させることができる。そのため、薬剤を1個ずつ落下させることにより、薬剤が分包前薬剤載置領域MPArの手前で熱融着前の分包紙PPの間に挟まってしまい、分包前薬剤載置領域MPArまで落下できないという現象が生じることを回避できる。
【0477】
上記現象が生じた場合、熱融着前の2つの分包紙PPの位置ずれが生じてしまうことがある。この状態でヒーターローラー6bにより分包紙PPを熱融着すると、包装不良となるため、薬剤の分包をやり直す必要がある。下部シャッター機構6eを設けることにより、上記現象を回避できるので、包装不良が生じることを回避できる。従って、薬剤仕分装置1は、薬剤の分包を効率良く行うことができる。
【0478】
なお、他の実施形態においては、分包機構6は、本実施形態では説明した構成と異なる構成であっても構わない。上述したように、例えば、包装ホッパー6aは、薬剤投入口17から投入された薬剤を一時的に保持するものであっても構わない。また、移動通路6cは、包装ホッパー6aで保持された薬剤を分包前薬剤載置領域MPArに移動するものであっても構わない。
【0479】
[実施形態21]
本実施形態では、分包処理の前処理について説明する。図34に示す上部シャッター6da及び下部シャッター6ea上に、前回の分包処理時に用いられた薬剤がそのまま残っている等、分包対象ではない薬剤が載置されたままとなっている場合も考えられる。このような薬剤が分包されることを回避するために、分包制御部74は、分包処理の開始時に、上部シャッター6da及び下部シャッター6eaを開く。上部シャッター6da及び下部シャッター6ea上に分包対象でない薬剤が残っていた場合、この動作により、当該薬剤を、分包前薬剤載置領域MPArに落下させることができる。そして、分包制御部74は、分包前薬剤載置領域MPArに載置された薬剤を分包紙PPで分包することにより、第2収容部14に仕分けられた薬剤を分包する前に、薬剤仕分装置1の外部へと払出すことができる。
【0480】
一般に、分包装置は、装置の制約上、分包処理の開始時に、分包紙PPを数包分、薬剤を分包しない状態で空送りする必要がある。分包機構6では、上部シャッター6da及び下部シャッター6ea上に残された薬剤を、この空送りされる分包紙PP(空包)に分包できる。そのため、分包機構6では、装置の制約上発生する空砲を、当該薬剤の回収包として有効利用できる。
【0481】
また、印刷機構によって分包紙PPに「回収包」という文字を印字することにより、他の包と区別できるようにしても構わない。また、分包機構6に、ペンによる自動線引き装置(不図示)を設け、回収包とわかるマーキングとして色付きの線を該当包に引いても構わない。
【0482】
[実施形態22]
本実施形態では、図26及び図35を用いて、分包処理時に、薬剤投入口17から薬剤を1個ずつ落下させるための処理について説明する。図35は、当該処理例を説明するためのフローチャートである。
【0483】
<薬剤仕分装置の構成>
図26に示すように、分包制御部74は、個数判定部741、薬剤移動決定部742及び分包薬剤搬送制御部743を備える。
【0484】
個数判定部741は、第2カメラ121(投入撮像部)が撮像した、薬剤投入口17の内部の画像に基づき、薬剤投入口17に投入された薬剤の個数を判定する。具体的には、個数判定部741は、第2カメラ121が撮像した画像に薬剤が複数含まれていると判定した場合、薬剤投入口17に投入された薬剤を取出した状態で第2カメラ121が再度撮像した画像に薬剤が含まれていない場合に、薬剤投入口17に投入された薬剤が1つであると判定する。
【0485】
薬剤移動決定部742は、個数判定部741が、薬剤投入口17に投入された薬剤が1つであると判定した場合に、薬剤投入口17から分包機構6への薬剤の移動を決定する。薬剤移動決定部742は、当該移動を決定した場合、上部シャッター駆動部6dbを駆動して上部シャッター6daを開く。これにより、薬剤投入口17に投入された薬剤が1個である場合のみ、薬剤を分包機構6へ移動させることができる。つまり、薬剤投入口17から薬剤を1個ずつ落下させることができる。
【0486】
分包薬剤搬送制御部743は、搬送・仕分ユニット12を制御することにより、第2収容部14に格納された薬剤を薬剤投入口17へと搬送する。また、分包薬剤搬送制御部743は、第2カメラ121が撮像した画像に薬剤が複数含まれていると判定した場合、薬剤投入口17に投入された薬剤を取出した状態で第2カメラ121が再度撮像した画像に薬剤が含まれている場合には、薬剤投入口17に投入された薬剤を第2収容部14へと返送する。
【0487】
この場合、分包薬剤搬送制御部743は、薬剤投入口17に投入された複数の薬剤のうちの1つを、当該薬剤を取出した仕分カップ141へと返送する。具体的には、分包薬剤搬送制御部743は、薬剤投入口17を再度撮像するために薬剤投入口17から取出した薬剤を、当該薬剤を取出した仕分カップ141へと返送する。分包薬剤搬送制御部743は、薬剤投入口17に投入された薬剤が1個となるまで、薬剤の返送動作を繰り返す。これにより、薬剤投入口17に複数の薬剤が投入された場合であっても、薬剤投入口17から分包機構6へ薬剤を落下させる前に、薬剤投入口17に存在する薬剤の個数を1個にすることができる。
【0488】
<薬剤仕分装置の処理>
図35に示すように、分包薬剤搬送制御部743は、分包対象の薬剤を薬剤投入口17へ投入する(S31)。分包制御部74は、第2カメラ121を制御することにより、薬剤投入後の薬剤投入口17の内部を撮像する(S32)。個数判定部741は、第2カメラ121が撮像した画像を解析することにより、当該画像に複数の薬剤が含まれているか否かを判定する(S33)。
【0489】
個数判定部741が、上記画像に複数の薬剤が含まれていないと判定した場合(S33でNO)、薬剤移動決定部742は、薬剤投入口17から分包機構6への薬剤の移動を決定する。つまりこの場合、薬剤移動決定部742は、上部シャッター機構6dを制御して上部シャッター6daを開く(S36)。
【0490】
一方、個数判定部741が、上記画像に複数の薬剤が含まれていると判定した場合(S33でYES)、薬剤移動決定部742は、上部シャッター6daを閉じたままとする。この場合、分包制御部74は、薬剤投入口17に投入された薬剤を取出した後(S34)、この状態において、第2カメラ121を制御することにより、薬剤投入口17の内部を再度撮像させる。そして、個数判定部741は、第2カメラ121が再度撮像した画像を解析することにより、当該画像に薬剤が含まれているか否かを判定する(S35)。
【0491】
個数判定部741が、上記画像に薬剤が含まれていないと判定した場合(S35でYES)、薬剤移動決定部742は、薬剤投入口17から分包機構6への薬剤の移動を決定する。つまり、薬剤移動決定部742は、薬剤投入口17に投入された薬剤が1個であるものとして、上部シャッター機構6dを制御して上部シャッター6daを開く(S36)。
【0492】
一方、個数判定部741が、上記画像に薬剤が含まれていると判定した場合(S35でNO)、薬剤移動決定部742は、薬剤投入口17に投入された薬剤が複数存在するものとして、上部シャッター6daを閉じたままとする。この場合、分包薬剤搬送制御部743は、S34で取出した薬剤を、当該薬剤を取出した仕分カップ141へと返却する(S37)。その後、S32の処理に戻る。
【0493】
S34では、搬送・仕分ユニット12は、薬剤投入口17に投入された薬剤を1個取出している。そのため、薬剤投入口17に投入された薬剤が複数であれば、S34で薬剤を取出したとしても、薬剤投入口17には、少なくとも1個の薬剤が残っていることになる。一方、薬剤投入口17に投入された薬剤が1個であれば、S34で薬剤を取出した後の薬剤投入口17には、薬剤は存在しないことになる。
【0494】
S33で、撮像された画像に薬剤が複数含まれていると判定された場合であっても、S35で、撮像された画像(薬剤を1個取出した後の画像)においては、薬剤が含まれていないと判定される場合もある。薬剤の種類(刻印等の形状)によっては、1個の薬剤の撮像結果であるにもかかわらず、画像処理の結果としては2個の薬剤と判定してしまう場合があるためである。この場合については、薬剤投入口17に投入された薬剤は1個であるため、薬剤移動決定部742は上部シャッター6daを開いて、当該薬剤を分包機構6へと導く。
【0495】
一方、S35で、撮像された画像(薬剤を1個取出した後の画像)において薬剤が含まれている場合には、薬剤投入口17に、複数の薬剤が投入されていることが確実となる。そのため、取出した薬剤を仕分カップ141に返却することにより、薬剤投入口17に投入された薬剤を減らすことができる。そして、3個以上の薬剤が薬剤投入口17に投入された場合であっても、上述した処理を繰り返すことにより、薬剤投入口17内の薬剤の個数を1個とした状態で分包機構6へ導くことができる。
【0496】
このように、薬剤仕分装置1は、薬剤投入口17から同時に複数の薬剤を分包機構6へ払出すことを回避できる。また、画像処理の精度上、実際に薬剤投入口17に投入された薬剤が1個であるにもかかわらず、画像処理において2個の薬剤が存在すると誤判定した場合であっても、最終的に1個と判定し、当該1個の薬剤を分包機構6へ払出すことができる。つまり、誤判定した場合、薬剤投入口17から薬剤を仕分カップ141に返却してしまったり、薬剤投入口17に複数の薬剤が存在する旨の報知をユーザに行ったりすることが無い。
【0497】
[実施形態23]
本実施形態では、図26及び図36を用いて、仕分カップ141の残薬確認処理について説明する。図36は、残薬確認画像Im10の一例を示す図である。
【0498】
図26に示すように、仕分制御部62は、格納判定部621及び情報記憶制御部622を備える。
【0499】
格納判定部621は、第2カメラ121(容器撮像部)が撮像した、仕分カップ141の内部の画像に基づき、仕分カップ141に薬剤が格納されているか否かを判定する。格納判定部621が解析対象とする画像は、搬送・仕分ユニット12が薬剤を仕分ける前の未使用の仕分カップ141の内部を、第2カメラ121が撮像したものである。つまり、格納判定部621は、未使用の仕分カップ141が薬剤の仕分位置として決定された場合に、当該仕分カップ141に薬剤が格納されているか否かを判定する。
【0500】
情報記憶制御部622は、格納判定部621により仕分カップ141に薬剤が格納されていると判定された場合、当該仕分カップ141に薬剤が格納されていることを示す格納情報を、当該仕分カップ141を識別するための容器識別情報に紐付けて記憶する。具体的には、情報記憶制御部622は、格納判定部621により薬剤が格納されていると判定された仕分カップ141に設けられたRFIDタグに、格納情報を記憶する。これにより、格納情報と容器識別情報とが紐付けられた状態でRFIDタグに記憶される。但し、記憶部80に、格納情報と容器識別情報とが紐付けられた状態で記憶されても構わない。
【0501】
このように、薬剤仕分装置1は、未使用の仕分カップ141に薬剤が格納されている場合に、格納情報と容器識別情報とを紐付けて記憶することで、当該仕分カップ141が未使用の状態ではないことを特定できる。そのため、薬剤仕分装置1は、当該仕分カップ141に薬剤を仕分けることを回避できる。また、薬剤仕分装置1は、第2収容部14において、当該仕分カップ141の載置位置を変更したとしても、当該仕分カップ141の載置位置を特定できる。
【0502】
また、仕分制御部62は、格納判定部621により仕分カップ141に薬剤が格納されていると判定された場合、当該仕分カップ141への薬剤仕分処理を中断する。そして、仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12が吸着している薬剤を、第1収容部11へと搬送する。なおこの場合、仕分制御部62は、別の未使用の仕分カップ141を仕分位置として決定し、当該仕分カップ141に当該薬剤を仕分けても構わない。
【0503】
また、図26に示すように、分包制御部74は、格納判定部744及び情報記憶制御部745を備える。格納判定部744及び情報記憶制御部745は、格納判定部621及び情報記憶制御部622とそれぞれ同様の機能を有する。但し、格納判定部744が解析対象とする画像は、搬送・仕分ユニット12が、仕分カップ141に格納された薬剤の全てを、分包機構6へと払出した後の仕分カップ141の内部を、第2カメラ121が撮像したものである。
【0504】
また、表示制御部67は、図36に示すような残薬確認画像Im10を表示する。残薬確認画像Im10は、第2収容部14への薬剤の仕分状況と共に、仕分制御部62によって仕分けられた薬剤が格納されているか否かという格納状況を表示する。
【0505】
図36に示すように、本実施形態では、残薬確認画像Im10は、各仕分カップ141の画像を表示する共に、各仕分カップ141の画像の枠線を色分け表示することで、上記格納状況を表示する。例えば、表示制御部67は、(1)未使用の仕分カップ141の画像の枠線を青色とし、(2)仕分制御部62によって仕分けられた薬剤が格納されている仕分カップ141の画像の枠線を緑色とする。また、表示制御部67は、(3)未使用の仕分カップ141に薬剤が格納されている場合には、当該仕分カップ141の画像の枠線を赤色とする(つまり、当該仕分カップ141に対して「残薬あり」の表示を行う)。なお、図36では、上記(1)の場合の枠線を点線、上記(2)の場合の枠線を二重線、上記(3)の場合の枠線を太線で表現している。
【0506】
仕分制御部62によって仕分けられた薬剤が格納されている仕分カップ141においては、RFIDタグに、当該薬剤の薬剤データが記憶されている。従って、表示制御部67は、RFIDタグに薬剤データが記憶されている仕分カップ141を、仕分制御部62によって仕分けられた薬剤が格納されている仕分カップ141であると特定できる。
【0507】
また、薬剤が格納されている未使用の仕分カップ141においては、RFIDタグに、格納情報が記憶されている。従って、表示制御部67は、RFIDタグに格納情報が記憶されている仕分カップ141を、薬剤が格納されている未使用の仕分カップ141であると特定できる。
【0508】
また、表示制御部67は、RFIDタグに、薬剤データ及び格納情報が記憶されていない仕分カップ141を、薬剤が格納されていない(薬剤を仕分けることが可能な)未使用の仕分カップ141であると特定できる。
【0509】
このように、表示制御部67(報知制御部)は、格納判定部621により未使用の仕分カップ141に薬剤が格納されていると判定された場合、その旨を報知する。これにより、ユーザは、薬剤が格納された未使用の仕分カップ141を確認することが可能となる。
【0510】
なお、薬剤が格納された未使用の仕分カップ141については、ユーザがクリア操作を行うまで、薬剤が仕分けられることは無い(薬剤の仕分位置として決定されることは無い)。つまり、仕分制御部62は、ユーザが当該仕分カップ141を取出したことを検知し、かつ、操作入力部66が、当該仕分カップ141の目視確認を完了した旨のユーザ入力を受付けて初めて、当該仕分カップ141を薬剤の仕分対象として認識する。
【0511】
また、残薬確認のユーザ入力を受付けた場合、制御部60bは、第2カメラ121に、各仕分カップ141の内部を撮像させる。この場合、制御部60bは、各仕分カップ141の画像に薬剤が含まれているか否かと、各仕分カップ141のRFIDタグに、薬剤データが記憶されているか否かとに基づき、各仕分カップ141の残薬確認を行っても構わない。
【0512】
この場合、例えば、表示制御部67は、画像に薬剤が含まれており、かつ、RFIDタグに薬剤データが記憶されている場合に、画像の枠線を緑色表示とする。同様に、表示制御部67は、画像に薬剤が含まれておらず、かつ、RFIDタグに薬剤データが記憶されていない場合に、画像の枠線を青色表示とする。また、表示制御部67は、画像に薬剤が含まれており、かつ、RFIDタグに薬剤データが記憶されていない場合に、画像の枠線を赤色表示とする。
【0513】
また、表示制御部67は、残薬確認画像として、第2収容部14への薬剤の仕分状況と共に、分包制御部74による仕分カップ141からの薬剤の取出状況を表示する。例えば、表示制御部67は、分包制御部74によって全ての薬剤が取り出された後の仕分カップ141に薬剤が格納されている場合には、当該仕分カップ141の画像の枠線を、他の仕分カップ141と異なる色(例:赤色)とする。つまり、表示制御部67は、当該仕分カップ141に対して「残薬あり」の表示を行う。表示制御部67は、RFIDタグに格納情報が記憶されている仕分カップ141を、「残薬あり」の仕分カップ141として特定できる。
【0514】
[実施形態24]
本実施形態では、ユーザによる薬剤載置台133aの清掃を補助する機能について説明する。
【0515】
薬剤載置台133aの状態を確認する旨のユーザ入力を受付けた場合、駆動制御部71は、受入領域Ar1の上に薬剤搬送部120を移動させる。その後、撮像制御部63は、バックライト135を点灯させると共に、第2カメラ121により、一方の薬剤載置台133aを撮像する。撮像制御部63は、一方の薬剤載置台133aの撮像が完了すると、他方の薬剤載置台133aを受入領域Ar1に移動させた後、当該薬剤載置台133aを撮像する。表示制御部67は、2つの薬剤載置台133aの画像を表示する。これにより、ユーザは、薬剤載置台133aの状態(汚れ具合)を確認できる。
【0516】
また、ユーザは、薬剤載置台133aを清掃する場合、2つの薬剤載置台133aから清掃対象とする薬剤載置台133aを選択する。清掃対象とする薬剤載置台133aを選択する旨のユーザ入力を受付けた場合、制御部60bは、当該薬剤載置台133aを受入領域Ar1に位置させる。その後、制御部60bは、開閉シャッターのロックを解除する。これにより、ユーザは、清掃対象として選択した薬剤載置台133aを容易に取出し、かつ清掃できる。
【0517】
ユーザが、清掃対象とする薬剤載置台133aを受入領域Ar1に移動させるために、薬剤載置台133aを手動で旋回させることも可能である。しかしながら、この場合、薬剤載置台133aを掴む位置、又は旋回中の薬剤載置台133aの傾斜によっては、薬剤載置台133aを破損させてしまう可能性がある。上述のように、清掃対象とする薬剤載置台133aの受入領域Ar1への移動を自動で行う(制御部60bの制御により行う)ことにより、薬剤載置台133aの破損を回避できる。
【0518】
[実施形態25]
本実施形態では、図26及び図37を用いて、類似する薬剤に対する処理について説明する。図37の(a)は、類似薬剤表示画像Im11の一例を示す図であり、(b)は、類似薬剤選択画像Im12の一例を示す図である。
【0519】
判別部64は、第1カメラ131が撮像した画像に基づき、薬剤の種類を判別する。このとき、判別部64は、画像に含まれる薬剤が、薬剤データベースに登録されている薬剤の画像と類似していると判定した場合には、判別対象の薬剤と、薬剤データベースに登録されている薬剤とを類似薬剤として特定する。類似の判断は、薬剤の種類の判別のために画像から抽出した薬剤の特徴が、薬剤データベースに登録されている薬剤の特徴と類似するか否かによって行われる。類似の判定基準は、実験等により予め設定されていればよい。
【0520】
判別部64は、薬剤の種類を判別するときに、画像から抽出した薬剤の特徴を、薬剤データベースに登録された全ての薬剤の特徴(後述の類似薬剤リストに登録された薬剤の特徴を含む)と照合する。その結果、判別部64が薬剤データベースに登録されていない薬剤(推定薬剤)であると判別した場合には、薬剤データベースに登録された薬剤の中に、推定薬剤の特徴と類似する特徴を有する薬剤が存在するか否かを判定する。
【0521】
判別部64は、特徴が類似する薬剤が存在すると判定した場合、種類の判別対象となった推定薬剤の特徴と、薬剤データベースに登録された、類似する特徴を有する薬剤とを、類似薬剤であると特定する。そして、判別部64は、推定薬剤の薬剤データを薬剤データベースに登録すると共に、類似薬剤として特定された2つの薬剤の薬剤データを類似薬剤として紐付け、これらの薬剤を類似薬剤リストに登録する。類似薬剤リストは、薬剤データベースに登録された薬剤のうち、どの薬剤同士が類似しているのかを示すリストである。
【0522】
また、判別部64は、操作入力部66が、類似薬剤として特定された薬剤のうちのいずれかの薬剤の薬剤データを、類似薬剤の薬剤データとして採用する旨のユーザ入力を受付けた場合、採用(指定)された薬剤データを類似薬剤の薬剤データとして特定する。この場合、判別部64は、薬剤の種類を判別するときに、類似薬剤については、指定された薬剤データのみが、種類の判別対象となる薬剤の薬剤データとの照合対象となる。換言すれば、類似薬剤の薬剤データの指定がない場合には、類似薬剤として特定された各薬剤の薬剤データの全てが、種類の判別対象となる薬剤の薬剤データとの照合対象となる。
【0523】
また、判別部64は、操作入力部66が、類似薬剤として特定された薬剤のうちのいずれかの薬剤の薬剤データを削除する旨のユーザ入力を受付けた場合、当該薬剤データを薬剤データベースから削除する。その結果、薬剤データベースにおいて、類似する薬剤が存在しなくなった薬剤については、類似薬剤リストから除外される。
【0524】
また、仕分制御部62は、類似薬剤リストに登録がある薬剤については、同一の仕分カップ141に格納する。表示制御部67は、第2収容部14への薬剤の仕分状況を表示する画像において、類似薬剤が格納される仕分カップ141に、類似薬剤が格納されていることを示す情報を表示する。例えば、表示制御部67は、当該画像において、当該仕分カップ141に対して「類似薬剤」の表示を行う。但し、類似薬剤の薬剤データとして1つの薬剤データが指定された場合、表示制御部67は、「類似薬剤」の表示に代えて、当該薬剤データが示す薬剤名を表示する。
【0525】
以上のように、薬剤データベースに登録された薬剤と類似する推定薬剤については、当該薬剤と同一の仕分カップ141に格納することにより、当該薬剤と共に推定薬剤の目視鑑査をユーザに行わせることができる。
【0526】
また、同一種類の薬剤であっても、販売元(又は製造元)の変更、又は販売年月日(新旧)等によって、異なる特徴を有すると判別される場合がある。例えば、販売元が変更となった場合、画像から取得される刻印情報は同一であってもYJコードが異なる。そのため、このような薬剤について販売元の変更後のYJコードが薬剤データベースに登録されていない場合には、販売元の変更前のYJコードを有する薬剤と同一の仕分カップ141に格納されない可能性がある。薬剤データベースに登録された薬剤と類似する推定薬剤については、当該薬剤と同一の仕分カップ141に格納することにより、実質同一種類の薬剤を別々の仕分カップ141に格納することを回避できる。また、このような薬剤については目視鑑査を促すことで、より安全に仕分けることができる。
【0527】
<具体例>
例えば、記憶部80に記憶されている薬剤データベースに、「10」、「8」及び「XYZ」という刻印(特徴)を有する3種類の薬剤の薬剤データが登録されているとする。また、種類の判別対象となる薬剤の薬剤データは、「B」又は「13」という刻印(特徴)を有するものとする。また、判別部64は、画像を解析した結果として、刻印同士が類似しているか否かについて判定するものであり、かつ、刻印「8」及び「B」、又は刻印「B」及び「13」が類似すると判定するものとする。なお、刻印「10」、「8」、「XYZ」、「B」及び「13」を有する薬剤をそれぞれ、「10」薬剤、「8」薬剤、「XYZ」薬剤、「B」薬剤、及び「13」薬剤と称する。
【0528】
判別部64は、「B」薬剤の種類を判別するとき、刻印「B」を、薬剤データベースに登録されている薬剤の刻印「10」、「8」及び「XYZ」のそれぞれと照合し、その結果、刻印「B」が刻印「8」と類似すると判定する。判別部64は、「B」薬剤の薬剤データを薬剤データベースに登録すると共に、「8」薬剤及び「B」薬剤を類似薬剤リストに登録する。
【0529】
また、仕分制御部62は、「8」薬剤及び「B」薬剤については、同一の仕分カップ141に格納する。表示制御部67は、仕分状況を表示する画像において、当該仕分カップ141に「類似薬剤」の表示を行う。
【0530】
その後、判別部64は、「13」薬剤の種類を判別するとき、刻印「13」を、薬剤データベースに登録されている薬剤の刻印「10」、「8」、「XYZ」及び「B」のそれぞれと照合し、その結果、刻印「13」が刻印「B」と類似すると判定する。判別部64は、「13」薬剤の薬剤データを薬剤データベースに登録すると共に、「B」薬剤及び「13」薬剤を類似薬剤リストに登録する。
【0531】
この場合、類似薬剤リストには、(1)「8」薬剤及び「B」薬剤と、(2)「B」薬剤及び「13」薬剤との2つが登録されており、かつ当該(1)及び(2)において「B」薬剤は共通である。そのため、仕分制御部62は、「8」薬剤、「B」薬剤及び「13」薬剤については、同一の仕分カップ141に格納する。なお、薬剤データベースから「B」薬剤の薬剤データが削除された場合、「8」薬剤と「13」薬剤とは類似であると判定されていないため、上記(1)及び(2)共に類似薬剤リストから削除される。
【0532】
<表示例>
次に、図37を用いて、類似薬剤表示画像Im11及び類似薬剤選択画像Im12について説明する。
【0533】
類似薬剤表示画像Im11は、類似薬剤リストに登録された薬剤に関するデータを表示するものである。図37の(a)の例では、類似薬剤表示画像Im11には、類似薬剤として登録された薬剤毎に、YJコード、薬剤名、及び、第1カメラ131が撮像した画像が表示される。
【0534】
類似薬剤選択画像Im12は、類似薬剤リストに登録された類似薬剤のうち、いずれの薬剤の薬剤データを、類似薬剤の薬剤データとして採用するか否かを選択するための画像である。図37の(b)の例では、類似薬剤選択画像Im12には、類似薬剤表示画像Im11で選択された類似薬剤を構成する薬剤の画像、薬剤名及び刻印情報が表示されると共に、採用ボタンBo11、Bo12、及び解除ボタンBo2が表示される。
【0535】
採用ボタンBo11及びBo12は、類似薬剤を構成する薬剤毎に表示され、類似薬剤の薬剤データとして採用する薬剤の薬剤データを決定するための操作ボタンである。例えば、ユーザが「類似薬品1を採用」と表示された採用ボタンBo11に触れることで、「類似薬品1」の薬剤データが、類似薬剤の薬剤データとして採用される。また、解除ボタンBo2は、上記の採用を解除するものである。
【0536】
[実施形態26]
本実施形態では、薬剤データベースへの登録承認処理について説明する。薬剤データベースには、ユーザによる目視鑑査を行い、ユーザによる承認を経て、薬剤データが登録される。具体的には、薬剤仕分装置1は、薬剤データベースに仮登録された薬剤データの初回使用時に、ユーザに目視鑑査を促す。ユーザは、仮登録された薬剤データの目視鑑査後に、当該薬剤データを薬剤データベースに本登録することを承認する旨のユーザ入力を行う。薬剤仕分装置1は、当該ユーザ入力を受付けた場合に、当該薬剤データの薬剤データベースへの本登録を行う。
【0537】
薬剤データベースへの薬剤データの登録を、目視鑑査を行う権限があるユーザ以外の第三者(例:薬剤仕分装置1の販売元又は製造元)が行う場合がある。そのため、ユーザの承認を経て薬剤データベースへの薬剤データの登録(本登録)とすることで、薬剤仕分装置1の安全性を向上させることができる。
【0538】
例えば、第三者は、薬剤仕分装置1の納品先(例:病院)で使用している薬剤の種類を聞き出し、薬剤データベースを作成するが、第三者が情報を有していない薬剤については、薬剤データベースに登録することができない。そのため、第三者は、これらの未登録の薬剤については、納品先から当該薬剤に関するデータ及び画像を提供してもらい、未登録の薬剤についても薬剤データベースに登録を行う。このような場合にも、未登録の薬剤データについては、初回使用時に、ユーザによる承認を経て、薬剤データベースに本登録される。
【0539】
〔実施形態27〕
本実施形態では、返却元を選択した場合の仕分処理について説明する。図38の(a)は、返却元選択前の仕分画像Im15の一例を示す図であり、(b)は、返却元登録画像Im16(施設マスタ編集画面)の一例を示す図である。図39の(a)は、返却元選択画像Im17の一例を示す図であり、(b)は、返却元選択後の仕分画像Im15の一例を示す図である。図40の(a)は、分包紙への印字例を示す図であり、(b)は、ジャーナルへの印字例を示す図である。
【0540】
なお、図38の(a)に示す仕分画像Im15に表示された「返却元」とは、薬剤仕分装置1に投入される前に薬剤が保管されていた場所であり、例えば病棟、診療科、施設(例:医療機関)である。本実施形態では、返却元が、例えば調剤薬局がチェーン展開している場合の各店舗を指す場合について説明する。
【0541】
例えば調剤薬局がチェーン展開している場合、1つの店舗に薬剤仕分装置1を導入し、自店舗及び他店舗において返品された薬剤を当該薬剤仕分装置1で一括して仕分けて分包する場合、仕分後の薬剤を、元の店舗に返却する必要がある。各店舗で扱う薬剤は互いに異なる可能性があるため、仕分後の薬剤を元の店舗に間違いなく返却する必要がある。従来、仕分後の薬剤を店舗毎に準備した籠等に収容することで、仕分後の薬剤が、対象店舗の籠以外の籠に収容されることを防止していた。
【0542】
しかしながら、人の手による管理であるため、仕分後の薬剤が、不注意により、対象店舗の籠以外の籠に収容されてしまう可能性があった。また、対象店舗の籠以外の籠に収容されてしまったときに機械的に確認する方法もなかった。
【0543】
そこで、本実施形態の薬剤仕分装置1は、返却元として登録された各店舗のいずれかがユーザ入力に基づき選択されると、選択された返却元を示す情報を記憶しておく。
【0544】
具体的には、薬剤仕分装置1は、返却元として、店舗名と、店舗名を示すID(施設コード)とを入力することで、各店舗を登録する。薬剤仕分装置1は、図38の(a)に示すように、仕分画像Im15の「メニュー」ボタンBo3に対するユーザ入力を受付けると、各メニューを表示する。薬剤仕分装置1は、「施設マスタ」に対するユーザ入力を受付けると、図38の(b)に示す返却元登録画像Im16を表示する。薬剤仕分装置1は、返却元登録画像Im16において、店舗名と施設コードとを取得する。
【0545】
その後、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分開始時に、仕分画像Im15の「返却元選択」ボタンBo4に対するユーザ入力を受付けることで、図39の(a)に示す返却元選択画像Im17を表示する。薬剤仕分装置1は、返却元選択画像Im17に表示された複数の店舗(登録された店舗)から返却元の店舗が選択されると、選択された店舗を示す情報を記憶すると共に、図39の(b)に示す仕分画像Im15に示すように、選択された店舗名(本例ではB店舗)を表示する。その後、ユーザ入力に基づき、仕分処理が開始される。
【0546】
そして、薬剤仕分装置1は、分包機構6による分包時に、記憶した上記情報に基づき、分包紙又はジャーナルに、返却元である店舗を示す情報を、分包した薬剤を示す情報と共に印字する。これらの情報は、例えば文字と、各店舗に設置された情報読取機で読取可能な形態(例:バーコードリーダで読取可能なバーコード)として印字される。図40の(a)及び(b)の例では、薬剤の種類を示すGS1コードCo1、及び、店舗名を示す店舗バーコードCo2が印字されている。
【0547】
これにより、返却元の店舗において、目視確認と、情報読取機による機械的な確認を経て、当該店舗による薬剤の充填が可能となる。そのため、複数の店舗の1つに薬剤仕分装置1を導入し、自店舗及び他店舗において返品された薬剤を当該薬剤仕分装置1で一括して仕分けて分包する場合であっても、元の店舗に間違いなく返却することができる。
【0548】
[ソフトウェアによる実現例]
薬剤仕分装置1及び1Aの制御ブロック(特に、制御部60a及び60b)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0549】
後者の場合、薬剤仕分装置1及び1Aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0550】
なお、データ管理装置500の制御ブロック(特に、制御部502)、および、分包機700の制御ブロック(特に、制御部706)についても同様である。
【0551】
[付記事項]
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0552】
〔まとめ〕
また、本発明は以下のようにも表現される。
【0553】
本発明の態様1に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第1収容部から取出した薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記第2収容部へ格納する仕分部と、前記撮像部の撮像領域において前記薬剤を載置する薬剤載置台と、前記薬剤載置台に載置された薬剤を撮像した画像から当該薬剤の大きさおよび形状を特定し、特定した当該薬剤の大きさおよび形状に紐付けられた振動の大きさおよび単位時間当たりの振動回数で、前記薬剤載置台を揺動させる揺動機構と、を備える。
【0554】
本発明の態様2に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第2収容部に収容できなかった薬剤を仮置きする仮収容部と、前記第1収容部から取出した薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像を、登録された複数種類の薬剤に関する薬剤データと照合することで、前記薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤の仕分位置を決定すると共に、決定した仕分位置と、前記判別部が照合に使用した薬剤データとを紐付けて記憶部に記憶する仕分制御部と、前記仮収容部に収容された薬剤を前記第2収容部に収容する場合、前記仮収容部から取出され、かつ前記撮像部によって撮像された当該薬剤の画像を、登録されている全ての薬剤データと照合せずに、当該全ての薬剤データのうち、決定された前記仕分位置としての前記仮収容部に紐付けられた薬剤データとのみ照合することで、当該薬剤の種類を判別する第2判別部と、を備える。
【0555】
本発明の態様3に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第1収容部から取出した薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像から抽出した薬剤の特徴を、登録された複数種類の薬剤に関する薬剤データと照合した結果、当該特徴との一致度が所定値以上である薬剤データを、前記薬剤の種類を特定するための候補データとして特定し、前記撮像部が前記薬剤を再度撮像した画像から抽出した当該薬剤の特徴を、当該候補データと照合することにより、前記薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記第2収容部へ格納する仕分部と、を備える。
【0556】
本発明の態様4に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第1収容部から取出した薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記第2収容部へ格納する仕分部と、前記第2収容部に格納された薬剤を分包する分包部と、前記分包部に接続されており、かつ、前記仕分部によって仕分けられた、分包対象の薬剤が投入される薬剤投入部と、前記薬剤投入部の底部として機能し、前記分包対象の薬剤が前記薬剤投入部に投入されたときに開くシャッターを備えることにより、分包対象ではない薬剤の、前記分包部への落下を防止する薬剤落下防止部と、を備える。
【0557】
本発明の態様5に係る薬剤仕分装置は、態様4において、前記シャッターが開く前に、前記薬剤投入部に投入された薬剤を撮像する薬剤撮像部を備える。
【0558】
本発明の態様6に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第1収容部から取出した薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記第2収容部へ格納する仕分部と、前記仕分部によって仕分けられた薬剤を分包する分包部と、前記分包部に接続されており、かつ、前記仕分部によって仕分けられた薬剤が投入される薬剤投入部と、前記薬剤投入部と、前記分包部における分包前薬剤載置領域との間に設けられた、開閉可能なシャッターを備え、前記分包部で作成される1包分に含まれる薬剤の全てが、前記薬剤投入部から投入されるまで、前記薬剤投入部から投入された薬剤を一時的に保持する薬剤保持部と、を備える。
【0559】
本発明の態様7に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第1収容部から取出した薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記第2収容部へ格納する仕分部と、前記第2収容部に着脱可能に配置され、かつ、前記仕分部によって仕分けられた薬剤を格納する仕分容器と、水平方向に移動することで、規定された状態で前記第2収容部に載置された前記仕分容器の上部空間に存在する物体を検知する物体検知部と、を備え、前記物体検知部は、光源と、前記光源から出射された光を受光するセンサと、を備え、前記仕分部の移動と連動して移動するものであり、前記仕分部は、前記第2収容部の上の、前記光源から出射された光が通過した後の領域を移動する。
【0560】
本発明の態様8に係る薬剤仕分装置は、態様7において、前記第2収容部に収容できなかった薬剤を仮置きする仮収容部を備え、前記物体検知部は、前記仮収容部に仮置きされた薬剤のうち、前記仮収容部の上面から飛び出した薬剤を検知する。
【0561】
本発明の態様9に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第1収容部から取出した薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記第2収容部へ格納する仕分部と、前記第2収容部に着脱可能に配置され、かつ、前記仕分部によって仕分けられた薬剤を格納する仕分容器と、前記仕分部が前記薬剤を仕分ける前の未使用の仕分容器の内部、又は、前記仕分容器に格納された薬剤の全てを、前記薬剤を分包する分包部へと払出した後の仕分容器の内部を撮像する容器撮像部と、前記容器撮像部が撮像した画像に基づき、前記仕分容器に前記薬剤が格納されているか否かを判定する格納判定部と、前記格納判定部により前記仕分容器に前記薬剤が格納されていると判定された場合、当該仕分容器に前記薬剤が格納されていることを示す格納情報を、当該仕分容器を識別するための容器識別情報に紐付けて記憶する情報記憶制御部と、を備える。
【0562】
本発明の態様10に係る薬剤仕分装置は、態様9において、前記格納判定部により前記仕分容器に前記薬剤が格納されていると判定された場合、その旨を報知する報知制御部を備える。
【符号の説明】
【0563】
1、1A 薬剤仕分装置
6 分包機構(分包部)
6d 上部シャッター機構(薬剤落下防止部)
6da 上部シャッター(シャッター)
6e 下部シャッター機構(薬剤保持部)
6ea 下部シャッター(シャッター)
11 第1収容部
12 搬送・仕分ユニット(仕分部)
14 第2収容部
15 待機トレイ(仮収容部)
17 薬剤投入口(薬剤投入部)
22 障害物検知機構(物体検知部)
22a1、22a2 光源
22b1、22b2 センサ
32 表示部
62 仕分制御部
64 判別部(判定部)
64a 特徴抽出部(識別情報抽出部)
67 表示制御部(報知制御部)
70 登録部
80 記憶部
121 第2カメラ(第2撮像部、薬剤撮像部、投入撮像部、容器撮像部)
122 吸着・シャッター機構(取出機構)
131 第1カメラ(撮像部)
133a 薬剤載置台
133b 旋回機構(揺動機構)
141 仕分カップ(仕分容器)
621、744 格納判定部
622、745 情報記憶制御部
741 個数判定部
742 薬剤移動決定部
743 分包薬剤搬送制御部
Ar11 確定エリア(第1領域)
Ar12 仮判定エリア(第2領域)
MPAr 分包前薬剤載置領域
US 上部空間
図1
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