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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190117
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20221215BHJP
   A47C 7/28 20060101ALI20221215BHJP
   B60N 2/70 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B60N2/68
A47C7/28 Z
B60N2/70
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176984
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2018073962の分割
【原出願日】2018-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】大沼 弘治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 龍平
(57)【要約】
【課題】座り心地を向上させることができる乗物用シートを提供する。
【解決手段】乗物用シートは、左右方向に離間して配置された左右のサイドフレーム11と、前後方向に離間して配置され、左右のサイドフレーム11を連結するフロントフレーム12およびリアフレーム13と、フロントフレーム12とリアフレーム13に架設された第1縦ワイヤ110および第2縦ワイヤ120と、上側から見て少なくとも第2縦ワイヤ120と交差して配置された補強線材200と、第1縦ワイヤ110の一部と補強線材200の一部を覆った状態で第1縦ワイヤ110と補強線材200を連結する板状の第1樹脂部材310と、第2縦ワイヤ120の一部と補強線材200の一部を覆った状態で第2縦ワイヤ120と補強線材200を連結する板状の第2樹脂部材320とを備える。第1樹脂部材310と第2樹脂部材320は、互いに離間して配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に離間して配置された一対の対向フレームと、
前記第1方向に直交する第2方向に離間して配置され、前記一対の対向フレームを連結する一対の連結フレームと、
前記一対の連結フレームに架設された第1架設線材および第2架設線材と、
着座者側から見て少なくとも前記第2架設線材と交差して配置された補強線材と、
前記第1架設線材の一部と前記補強線材の一部を覆った状態で前記第1架設線材と前記補強線材を連結する板状の第1樹脂部材と、
前記第2架設線材の一部と前記補強線材の一部を覆った状態で前記第2架設線材と前記補強線材を連結する板状の第2樹脂部材と、を備え、
前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材は、互いに離間して配置され、
前記第1架設線材および前記第1樹脂部材は、前記第1方向において前記第2架設線材および前記第2樹脂部材の両側に設けられ、
前記第2樹脂部材は、前記補強線材に連結された一対の連結部を有する第3樹脂部材を含み、
前記一対の連結部は、前記第2方向において同じ位置に配置されていることを特徴とする乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者からの荷重を受ける支持部材を備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートとして、例えば、特許文献1には、枠状のクッションフレームと、クッションフレームのフロントパネルとリヤパイプに架設された2本の前後ワイヤと、2本の前後ワイヤと交差して配置された中央ワイヤおよび架橋ワイヤとを備えたものが開示されている。この技術において、クッションフレームの内側に配置されたワイヤ(線材)は、クッションパッドを介して着座者からの荷重を受ける部材として機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-162431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、着座者からの荷重を受ける部材(以下、「支持部材」という。)は、乗物用シートの座り心地を向上させることができる構成であることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、座り心地を向上させることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、パッド材が傷むのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、第1方向に離間して配置された一対の対向フレームと、第1方向に直交する第2方向に離間して配置され、一対の対向フレームを連結する一対の連結フレームと、一対の連結フレームに架設された第1架設線材および第2架設線材と、着座者側から見て少なくとも第2架設線材と交差して配置された補強線材と、第1架設線材の一部と補強線材の一部を覆った状態で第1架設線材と補強線材を連結する板状の第1樹脂部材と、第2架設線材の一部と補強線材の一部を覆った状態で第2架設線材と補強線材を連結する板状の第2樹脂部材と、を備える。そして、第1樹脂部材と第2樹脂部材は、互いに離間して配置されている。
【0007】
このような構成によれば、着座者からの荷重を受ける支持部材を、第1架設線材、第2架設線材、補強線材、第1樹脂部材および第2樹脂部材によって構成することができる。そして、第1樹脂部材と第2樹脂部材が板状であることで、着座者からの荷重を面で受けることができる。また、第1樹脂部材と第2樹脂部材が互いに離間して配置されていることで、支持部材に適度な可撓性を持たせることができる。これにより、乗物用シートの座り心地を向上させることができる。
【0008】
前記した乗物用シートにおいて、第1架設線材および第1樹脂部材は、第1方向において第2架設線材および第2樹脂部材の両側に設けられていてもよい。この場合、第2樹脂部材は、補強線材に連結された一対の連結部を有する第3樹脂部材を含むことができる。そして、一対の連結部は、第2方向において同じ位置に配置されている構成とすることができる。
【0009】
これによれば、第3樹脂部材を含む第2樹脂部材と、第2樹脂部材の両側に設けられた第1樹脂部材とによって着座者を安定して支持することができる。これにより、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0010】
前記した乗物用シートにおいて、補強線材は、第1方向に延びる第1延在部と、第1延在部の両端から第2方向の一方に屈曲して延びる一対の第2延在部とを有する第1補強部を含み、第3樹脂部材は、着座者側から見て一対の第2延在部の間に配置され、一対の連結部は、一方が一対の第2延在部の一方に連結され、他方が一対の第2延在部の他方に連結されている構成とすることができる。
【0011】
これによれば、第3樹脂部材によって着座者をしっかりと支えることができるので、支持部材によって着座者をより安定して支持することができる。これにより、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0012】
前記した乗物用シートにおいて、第1樹脂部材は、第1方向に延びる第1部分と、第1部分の第2架設線材側の端の一部から第2架設線材に向けて延びる第2部分とを有し、補強線材は、第2延在部の少なくとも一部が第1部分と第2部分の間の隅部に配置され、第2延在部の隅部に配置された部分の両側部分が第1部分と第2部分により覆われて保持されている構成とすることができる。
【0013】
これによれば、第3樹脂部材の取付剛性を向上させることができるので、第3樹脂部材によって着座者を一層しっかりと支えることができ、支持部材によって着座者を一層安定して支持することができる。これにより、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0014】
前記した乗物用シートにおいて、補強線材は、第1方向に延び、第2方向において第1補強部と並んで配置された第2補強部を含み、第2補強部は、第1方向の端部が第1樹脂部材により覆われて保持されている構成とすることができる。
【0015】
これによれば、第1補強部と第2補強部とによって支持部材を強固に補強することができるので、支持部材によって着座者をより一層安定して支持することができる。これにより、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0016】
前記した乗物用シートにおいて、第1補強部および第2補強部は、1本の線材からなる構成とすることができる。
【0017】
これによれば、支持部材をより強固に補強することができるので、支持部材によって着座者をさらに安定して支持することができる。これにより、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0018】
前記した乗物用シートにおいて、第1方向は、左右方向であり、第1樹脂部材は、左右方向外側にいくにつれて着座者側に位置するように傾斜する支持面を含む支持部をそれぞれ有し、第3樹脂部材は、着座者側から見て左右の支持部の間に配置されている構成とすることができる。
【0019】
これによれば、支持部材における着座者を支持する面を人体の形状に沿わせることができるので、支持部材によって着座者をバランス良く支持することができる。これにより、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0020】
前記した乗物用シートにおいて、第1樹脂部材および第2樹脂部材の少なくとも一方は、肉厚の補強部を有する構成とすることができる。
【0021】
これによれば、第1樹脂部材や第2樹脂部材の剛性を向上させることができるので、第1樹脂部材や第2樹脂部材によって着座者を安定して支持することができる。これにより、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0022】
前記した乗物用シートにおいて、補強部は、着座者側とは反対側に凸となるリブを含む構成とすることができる。
【0023】
これによれば、リブのエッジが第1樹脂部材や第2樹脂部材の着座者側に配置されるパッド材に接触しないので、パッド材が傷むのを抑制することができる。
【0024】
前記した乗物用シートは、樹脂からなり、第1架設線材の連結フレームに掛止される部分を覆う第1被覆部材を備え、第1樹脂部材と第1被覆部材は、互いに離間して配置され、第1架設線材の一部が第1樹脂部材と第1被覆部材の間で露出している構成とすることができる。
【0025】
前記した乗物用シートは、樹脂からなり、第2架設線材の連結フレームに掛止される部分を覆う第2被覆部材を備え、第2樹脂部材と第2被覆部材は、互いに離間して配置され、第2架設線材の一部が第2樹脂部材と第2被覆部材の間で露出している構成とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、乗物用シートの座り心地を向上させることができる。
【0027】
また、本発明によれば、第1架設線材と第1樹脂部材を第2架設線材と第2樹脂部材の両側に設け、第2樹脂部材を構成する第3樹脂部材の一対の連結部を第2方向において同じ位置に配置することで、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0028】
また、本発明によれば、第3樹脂部材を第1補強部の一対の第2延在部の間に配置し、一対の連結部の一方を第2延在部の一方に連結し、他方を第2延在部の他方に連結することで、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0029】
また、本発明によれば、第2延在部の少なくとも一部を第1樹脂部材の第1部分と第2部分の間の隅部に配置し、第2延在部の隅部配置部分の両側部分を第1部分と第2部分により覆って保持することで、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0030】
また、本発明によれば、第1補強部と並んで配置された第2補強部の端部を第1樹脂部材により覆って保持することで、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0031】
また、本発明によれば、第1補強部と第2補強部を1本の線材からなる構成とすることで、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0032】
また、本発明によれば、第3樹脂部材を第1樹脂部材の左右の支持部の間に配置することで、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0033】
また、本発明によれば、第1樹脂部材および第2樹脂部材の少なくとも一方に補強部を設けることで、乗物用シートの座り心地をより向上させることができる。
【0034】
また、本発明によれば、補強部が着座者側とは反対側に凸となるリブを含むことで、パッド材が傷むのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施形態に係る乗物用シートを示す図である。
図2】クッションフレームと支持部材を示す図である。
図3】架設線材と補強線材を示す図である。
図4】支持部材を示す図である。
図5】支持部材を上側から見た図である。
図6】支持部材の後端部を上側から見た図である。
図7】支持部材を下側から見た図である。
図8】第1の変形例に係る支持部材の後端部を上側から見た図である。
図9】第2の変形例に係る支持部材の後端部を上側から見た図である。
図10】変形例に係る連結部を示す図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者(着座者)から見た、前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、自動車の運転席や助手席などで使用される車両用シートSとして構成され、シートクッションS1と、シートバックS2とを備えている。
【0037】
シートクッションS1の内部には、シートクッションS1のフレームを構成する、図2に示すようなクッションフレームF1が内蔵されている。シートクッションS1は、クッションフレームF1に、ウレタンフォームなどからなるパッド材と、布地や皮革などからなる表皮材を被せることで構成されている。また、図示は省略するが、シートバックS2は、シートバックS2のフレームを構成するバックフレームに、パッド材と、表皮材を被せることで構成されている。
【0038】
クッションフレームF1は、一対の対向フレームの一例としての左右のサイドフレーム11と、一対の連結フレームの一例としてのフロントフレーム12およびリアフレーム13と、パンフレーム14とを備えている。なお、本実施形態では、左右方向が「第1方向」に相当し、前後方向が「第1方向に直交する第2方向」に相当する。また、本実施形態では、上側が「着座者側」に相当し、下側が「着座者側とは反対側」に相当する。
【0039】
左右のサイドフレーム11は、前後に長い長尺状のフレームであり、左右方向において対向した状態で離間して配置されている。各サイドフレーム11は、板金からなる。
フロントフレーム12とリアフレーム13は、前後方向に離間して配置されている。フロントフレーム12とリアフレーム13は、左右に延びる金属製のパイプ材からなり、フロントフレーム12が左右のサイドフレーム11の前部同士を連結しており、リアフレーム13が左右のサイドフレーム11の後部同士を連結している。
パンフレーム14は、左右のサイドフレーム11の前端部同士を連結するように配置されている。パンフレーム14は、板金からなる。
【0040】
左右のサイドフレーム11の間には、支持部材20が配置されている。支持部材20は、シートクッションS1の図示しないパッド材を介して着座者からの荷重を受ける部材であり、架設線材100と、補強線材200と、板状の樹脂部材300と、被覆部材400とを備えて構成されている。詳細については後述するが、架設線材100と補強線材200は、金属製の線材からなる。また、樹脂部材300は、樹脂からなり、インサート成形などにより架設線材100の一部と補強線材200の一部を覆った状態で架設線材100および補強線材200と一体に形成されている。また、被覆部材400は、樹脂からなり、インサート成形などにより架設線材100の後端部を覆った状態で架設線材100と一体に形成されている。
【0041】
図3に示すように、架設線材100は、フロントフレーム12とリアフレーム13に架設されている。架設線材100は、左右に並んで複数設けられている。具体的に、架設線材100は、第1架設線材としての左右の第1縦ワイヤ110と、第2架設線材としての第2縦ワイヤ120とを含む。
第1縦ワイヤ110は、左右に離間して配置され、第1延在部111と、第2延在部112と、屈曲部113と、第1傾斜部114と、第1フック部115と、第2傾斜部116と、第2フック部117とを有している。
【0042】
第1延在部111および第2延在部112は、前後に延びている。
屈曲部113は、第1延在部111と第2延在部112の間に位置し、延在部111,112に対して左右方向外側の斜め上方に向けて略U字状に突出している。
第1傾斜部114は、第1延在部111の前端から前斜め上方に向けて延び、第2傾斜部116は、第2延在部112の後端から上斜め後方に向けて延びている。
第1フック部115は、第1傾斜部114の前端から延び出て上に向けて凸となる略円弧状に形成され、第2フック部117は、第2傾斜部116の上端から延び出て略円弧状に形成されている。
【0043】
第2縦ワイヤ120は、左右の第1縦ワイヤ110の間に配置され、延在部121と、第1傾斜部124と、第1フック部125と、第2傾斜部126と、第2フック部127とを有している。
延在部121は、前後に延び、左右の第1縦ワイヤ110の延在部111,112に対し略平行に配置されている。また、第1傾斜部124および第1フック部125は、第1縦ワイヤ110の第1傾斜部114および第1フック部115と略同じ形状に形成され、第2傾斜部126および第2フック部127は、第1縦ワイヤ110の第2傾斜部116および第2フック部117と略同じ形状に形成されている。
【0044】
補強線材200は、上側から見て少なくとも第2縦ワイヤ120と交差して配置されている。補強線材200は、前後に並んで複数設けられている。具体的に、補強線材200は、第1横ワイヤ210と、第2横ワイヤ220と、第3横ワイヤ230を含む。
第1横ワイヤ210は、1本の線材を環状に屈曲させて形成され、第1補強部211と、第2補強部212と、接続部213と、第1端部215と、第2端部216とを有している。
【0045】
第1補強部211は、左右方向に延びる第1延在部211Aと、第1延在部211Aの左右両端から前後方向の一方である前方に屈曲して延びる一対の第2延在部211Bとを有している。第2延在部211Bは、第1延在部211Aの端から左右方向外側の斜め前方に向けて延び、接続部213または第1端部215の前端につながっている。第1補強部211は、第2縦ワイヤ120の延在部121の前後方向中央部と交差した状態で延在部121の上側に配置されている。
【0046】
第2補強部212は、左右方向に延び、前後方向において第1補強部211と並んで配置されている。具体的には、第2補強部212は、第1補強部211の後方に配置されている。第2補強部212は、第2縦ワイヤ120の延在部121と交差した状態で延在部121の上側に配置されている。
【0047】
接続部213は、前後に延び、第1補強部211と第2補強部212の右端同士を接続している。
第1端部215は、第1補強部211の左端から屈曲して後側に向けて延び、第2端部216は、第2補強部212の左端から屈曲して前側に向けて延びている。第1端部215および第2端部216は、前後に並んで配置され、第1端部215の後端面と第2端部216の前端面とが近接した状態で前後に対向している。
【0048】
接続部213は、前後の端部が延在部111,112の下側に配置されている。また、第1端部215は、前端部が左の第1縦ワイヤ110の第1延在部111の下側に配置され、第2端部216は、後端部が左の第1縦ワイヤ110の第2延在部112の下側に配置されている。これにより、第1横ワイヤ210は、樹脂部材300を構成する樹脂を介して第1縦ワイヤ110の延在部111,112および屈曲部113を下側から支持している。
【0049】
第2横ワイヤ220は、第1横ワイヤ210の前側に配置され、交差部221と、端部222とを有している。
交差部221は、左右に延びている。交差部221は、左右方向中央部が第2縦ワイヤ120の第1傾斜部124と交差した状態で第1傾斜部124の上側に配置され、端部が第1縦ワイヤ110の第1延在部111と交差した状態で第1延在部111の上側に配置されている。
端部222は、交差部221の左右の端から屈曲して後側に向けて延びている。
【0050】
第3横ワイヤ230は、第2横ワイヤ220の前側に配置され、中央部231と、第1中間部232と、第2中間部233と、端部234とを有している。
中央部231は、左右に延び、第2縦ワイヤ120の第1傾斜部124と交差した状態で第1傾斜部124の上側に配置されている。
第1中間部232は、中央部231の左右の端から屈曲して後側に向けて延びている。
第2中間部233は、第1中間部232の後端から屈曲して左右方向外側に向けて延びている。第2中間部233の左右方向外側の端部は、第1縦ワイヤ110の第1傾斜部114と交差した状態で第1傾斜部114の上側に配置されている。
端部234は、第2中間部233の左右方向外側の端から屈曲して前側に向けて延びている。
【0051】
図2に示すように、樹脂部材300は、第1樹脂部材310と、第2樹脂部材320とを含む。第1樹脂部材310は、第1縦ワイヤ110の一部と補強線材200の一部を覆った状態で第1縦ワイヤ110と補強線材200を連結している。また、第2樹脂部材320は、第2縦ワイヤ120の一部と補強線材200の一部を覆った状態で第2縦ワイヤ120と補強線材200を連結している。架設線材100と補強線材200は、上側から見て重なる部分同士が互いに接触しないように所定の間隔をあけた状態で配置され、樹脂部材300は、この状態の架設線材100と補強線材200を覆って連結している。このため、樹脂部材300、詳しくは、樹脂部材300を構成する樹脂は、架設線材100の補強線材200と重なる部分と、補強線材200の架設線材100と重なる部分との間の隙間に入り込んで介在している。
【0052】
図4に示すように、第1樹脂部材310は、第1縦ワイヤ110とともに、左右方向において第2縦ワイヤ120および第2樹脂部材320の両側に1つずつ設けられている。左右の第1樹脂部材310は、それぞれ、第1部分としての本体部311と、第2部分としての延出部312と、掛止部315とを有している。
【0053】
図5に示すように、本体部311は、前後方向に延びている。本体部311は、第1縦ワイヤ110の延在部111,112、屈曲部113、第1傾斜部114および第2傾斜部116の下端部と、第1横ワイヤ210の接続部213または端部215,216と、第2横ワイヤ220の端部222と、第3横ワイヤ230の第2中間部233の一部および端部234とを覆っている。また、本体部311は、支持部313を有している。支持部313は、屈曲部113を覆って左右方向外側の斜め上方に向けて延びる板状の部分であり、本体部311の後部に設けられている。支持部313は、上側の面が、左右方向外側にいくにつれて上側に位置するように傾斜する支持面313Aとなっている(図4も参照)。
【0054】
延出部312は、本体部311の第2縦ワイヤ120側の端の一部から第2縦ワイヤ120に向けて延びている。具体的には、延出部312は、本体部311の後部から左右方向内側に延びている。さらに説明すると、延出部312は、支持部313の後側部分から左右方向内側に延びている。延出部312は、第1補強部211の第1延在部211Aの左右の端部、第2延在部211Bの後端部、および、第2補強部212の左右の端部を覆っている。
【0055】
図6に拡大して示すように、第1樹脂部材310は、延出部312の前端と、本体部311(支持部313)の左右方向内側の端との間に隅部314を有している。
第1横ワイヤ210は、第2延在部211Bの前端部が隅部314に配置されている。また、第1横ワイヤ210は、第2延在部211Bの隅部314に配置された部分、つまり、第2延在部211Bの前端部の両側部分が本体部311と延出部312により覆われて保持されている。具体的には、第1横ワイヤ210は、第2延在部211Bの前端部の一方側である接続部213または第1端部215が本体部311により覆われ、第2延在部211Bの前端部の他方側である第2延在部211Bの後端部が延出部312により覆われている。また、第1横ワイヤ210の第2補強部212は、左右方向の端部が第1樹脂部材310の延出部312により覆われて保持されている。
【0056】
図5に戻って、第2樹脂部材320は、縦ワイヤ110,120の前後の幅内、詳しくは、前後方向において縦ワイヤ110,120の前端と後端の間に設けられている。また、第2樹脂部材320は、前後に並んで複数設けられている。具体的に、第2樹脂部材320は、第3樹脂部材330と、第4樹脂部材340と、第5樹脂部材350とを含む。
【0057】
第4樹脂部材340は、第2縦ワイヤ120の延在部121の一部および第2傾斜部126の下端部と、第1横ワイヤ210の第1補強部211(第1延在部211A)および第2補強部212の左右方向中央部とを覆っている。
第4樹脂部材340と左右の第1樹脂部材310は、互いに離間して配置されている。詳しくは、第4樹脂部材340は、上側から見て、左右の第1樹脂部材310の間、より詳しくは、左右の延出部312の間に配置されており、延出部312との間にスリット状の隙間を形成するように延出部312から左右方向内側に離間して設けられている。左右の第1樹脂部材310と第4樹脂部材340は、第1横ワイヤ210により連結されている。第1横ワイヤ210は、前後の補強部211,212の一部が第1樹脂部材310と第4樹脂部材340の間において露出している。
【0058】
図6に示すように、第3樹脂部材330は、第4樹脂部材340の前側に配置され、本体部331と、左右一対の連結部332とを有している。
本体部331は、左右に延びている。本体部331の左右方向中央部は、第2縦ワイヤ120の延在部121の一部を覆っている。
連結部332は、第1横ワイヤ210に連結された部分である。具体的には、連結部332は、第1横ワイヤ210の第2延在部211Bの前端部を覆った状態で第1横ワイヤ210に連結されている。第3樹脂部材330は、略左右対称に形成されており、一対の連結部332は、前後方向において互いに同じ位置に配置されている。また、第3樹脂部材330は、上側から見て一対の第2延在部211Bの間に配置されており、一対の連結部332は、一方が一対の第2延在部211Bの一方に連結され、他方が一対の第2延在部211Bの他方に連結されている。具体的には、右の連結部332が右の第2延在部211Bに連結され、左の連結部332が左の第2延在部211Bに連結されている。
【0059】
第3樹脂部材330と左右の第1樹脂部材310は、互いに離間して配置されている。詳しくは、第3樹脂部材330は、上側から見て、左右の第1樹脂部材310の間、より詳しくは、左右の支持部313の間に配置されており、支持部313から左右方向内側に離間して設けられている。また、第3樹脂部材330は、連結部332を含む左右の端部が上側から見て延出部312の前に配置されており、延出部312から前側に離間して設けられている。左右の第1樹脂部材310と第3樹脂部材330は、第1横ワイヤ210により連結されている。第1横ワイヤ210は、第1補強部211の一部が第1樹脂部材310と第3樹脂部材330の間において露出している。また、第3樹脂部材330と第4樹脂部材340は、前後方向において互いに離間して配置されており、第2縦ワイヤ120は、延在部121の一部が第3樹脂部材330と第4樹脂部材340の間において露出している。
【0060】
図5に示すように、第5樹脂部材350は、第3樹脂部材330の前側に配置され、本体部351と、掛止部355とを有している。
本体部351は、第2縦ワイヤ120の第1傾斜部124の一部と、第3横ワイヤ230の主に中央部231および左右の第1中間部232とを覆っている。
第5樹脂部材350と左右の第1樹脂部材310は、互いに離間して配置されている。詳しくは、第5樹脂部材350は、上側から見て、左右の第1樹脂部材310の間、より詳しくは、本体部311の前部の間に配置されており、本体部311から左右方向内側に離間して設けられている。左右の第1樹脂部材310と第5樹脂部材350は、第3横ワイヤ230により連結されている。第3横ワイヤ230は、第2中間部233の一部が第1樹脂部材310と第5樹脂部材350の間において露出している。また、第5樹脂部材350と第3樹脂部材330は、前後方向において互いに離間して配置されており、第2縦ワイヤ120は、第1傾斜部124の一部が第3樹脂部材330と第5樹脂部材350の間において露出している。
【0061】
図4に示すように、掛止部355および第1樹脂部材310の掛止部315は、支持部材20のフロントフレーム12(図2参照)に掛止される部分であり、パイプ材からなるフロントフレーム12の外周面の形状に沿った断面視略円弧状に形成されている。掛止部315は、第1縦ワイヤ110のフロントフレーム12に掛止される部分である第1フック部115を覆っており、掛止部355は、第2縦ワイヤ120のフロントフレーム12に掛止される部分である第1フック部125を覆っている。
【0062】
図4および図7に示すように、第1樹脂部材310、第3樹脂部材330、第4樹脂部材340および第5樹脂部材350は、補強部の一例としてのリブ316,317A,317B,336,346,357A,357Bを有している。第1樹脂部材310、第3樹脂部材330、第4樹脂部材340および第5樹脂部材350は、リブ316,317A,317B,336,346,357A,357Bが設けられた部分が他の部分(リブが設けられていない部分)と比較して肉厚となっている。
【0063】
図6に示すように、リブ316,346は、第1横ワイヤ210の第2補強部212の前後の位置で、第1樹脂部材310の延出部312または第4樹脂部材340の上側の面から上側に凸となるように形成されている(図4も参照)。リブ316,346は、前後に延び、左右に並んで複数設けられている。
【0064】
また、リブ336は、第3樹脂部材330の本体部331の上側の面から上側に凸となるように形成されている(図4参照)。リブ336は、本体部331の前後の端から突出して左右に延びる一対のリブ336Aと、前後方向において一対のリブ336Aの間に配置されたリブ336B,336C,336Dとを含む。リブ336Bは、前後に延び、本体部331の左右の端部に1つずつ設けられている。リブ336C,336Dは、左右方向において一対のリブ336Bの間に配置されている。リブ336Cは、前にいくにつれて第2縦ワイヤ120(支持部材20の中心)から離れるように斜めに延びている。また、リブ336Dは、前にいくにつれて第2縦ワイヤ120に近づくように斜めに延び、対応する一のリブ336Cと十字状に交差している。
【0065】
図7に示すように、リブ317A,317Bは、第1樹脂部材310の支持部313の下側の面から下側に凸となるように設けられている。また、リブ357A,357Bは、第5樹脂部材350の本体部351の下側の面から下側に凸となるように設けられている。リブ317A,357Aは、前後に延び、左右に並んで複数設けられている。また、リブ317B,357Bは、左右に延び、前後に並んで複数設けられている。リブ317A,317Bは、互いに交差している。また、リブ357A,357Bは、互いに交差している。
【0066】
図4に示すように、被覆部材400は、第1被覆部材410と、第2被覆部材420とを含む。
第1被覆部材410および第2被覆部材420は、支持部材20のリアフレーム13(図2参照)に掛止される部分であり、パイプ材からなるリアフレーム13の外周面の形状に沿った断面視略円弧状に形成されている。第1被覆部材410は、第1縦ワイヤ110のリアフレーム13に掛止される部分である第2フック部117を覆っており、第2被覆部材420は、第2縦ワイヤ120のリアフレーム13に掛止される部分である第2フック部127を覆っている。本実施形態において、縦ワイヤ110,120の前後のフック部115,117,125,127は、樹脂(樹脂部材300または被覆部材400)により覆われているので、金属製の部材同士が直接接触する場合と比較して、音の発生を抑制することができるようになっている。
【0067】
第1樹脂部材310と第1被覆部材410は、互いに離間して配置されており、直接つながっていない。これにより、第1縦ワイヤ110の一部、具体的には、第2傾斜部116の上端部は、第1樹脂部材310と第1被覆部材410の間で露出している。同様に、第2樹脂部材320と第2被覆部材420は、互いに離間して配置されており、直接つながっていない。これにより、第2縦ワイヤ120の一部、具体的には、第2傾斜部126の上端部は、第2樹脂部材320と第2被覆部材420の間で露出している。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、着座者からの荷重を受ける支持部材20を、架設線材100、補強線材200、第1樹脂部材310および第2樹脂部材320によって構成することができる。そして、第1樹脂部材310と第2樹脂部材320が板状であることで、着座者からの荷重を面で受けることができる。また、第1樹脂部材310と第2樹脂部材320が互いに離間して配置され、直接つながっていないことで、例えば、架設線材100と補強線材200の全体が板状の樹脂で覆われる場合と比較して、支持部材20に適度な可撓性を持たせることができる。これにより、車両用シートSの座り心地を向上させることができる。
【0069】
また、第1縦ワイヤ110および第1樹脂部材310が左右方向において第2縦ワイヤ120および第2樹脂部材320の両側に設けられ、第3樹脂部材330の一対の連結部332が前後方向において同じ位置に配置されているので、第3樹脂部材330を含む第2樹脂部材320と、左右の第1樹脂部材310とによって着座者を安定して支持することができる。これにより、車両用シートSの座り心地をより向上させることができる。
【0070】
また、第3樹脂部材330が第1補強部211の左右一対の第2延在部211Bの間に配置され、右の連結部332が右の第2延在部211Bに連結され、左の連結部332が左の第2延在部211Bに連結されているので、第3樹脂部材330によって着座者をしっかりと支えることができる。これにより、支持部材20によって着座者をより安定して支持することができるので、車両用シートSの座り心地をより向上させることができる。
【0071】
また、第1横ワイヤ210は、第2延在部211Bの前端部が第1樹脂部材310の隅部314に配置され、第2延在部211Bの前端部の両側部分が本体部311と延出部312により覆われて保持されているので、第3樹脂部材330の取付剛性を向上させることができる。これにより、第3樹脂部材330によって着座者を一層しっかりと支えることができるので、支持部材20によって着座者を一層安定して支持することができ、車両用シートSの座り心地をより向上させることができる。
【0072】
また、第1横ワイヤ210が、第1補強部211とともに、第1補強部211の後方に並んで配置された第2補強部212を有し、第2補強部212の左右の端部が第1樹脂部材310の延出部312により覆われて保持されているので、第1補強部211と第2補強部212とによって支持部材20を強固に補強することができる。これにより、支持部材20によって着座者をより一層安定して支持することができるので、車両用シートSの座り心地をより向上させることができる。
【0073】
また、第1補強部211および第2補強部212が1本の線材からなるので、第1補強部211と第2補強部212とによって支持部材20をより強固に補強することができる。これにより、支持部材20によって着座者をさらに安定して支持することができるので、車両用シートSの座り心地をより向上させることができる。
【0074】
また、第3樹脂部材330が左右の支持部313の間に配置されているので、支持部材20における着座者を支持する面を人体の形状に沿わせることができ、支持部材20によって着座者をバランス良く支持することができる。これにより、車両用シートSの座り心地をより向上させることができる。
【0075】
また、第1樹脂部材310および第2樹脂部材320が肉厚の補強部としてリブ316,317A,317B,336,346,357A,357Bを有するので、第1樹脂部材310や第2樹脂部材320の剛性を向上させることができる。これにより、第1樹脂部材310や第2樹脂部材320によって着座者を安定して支持することができるので、車両用シートSの座り心地をより向上させることができる。
【0076】
また、リブ317A,317B,357A,357Bが下側に凸となっているので、リブ317A,317B,357A,357Bのエッジが第1樹脂部材310や第2樹脂部材320の上側に配置される図示しないパッド材に接触しないため、パッド材が傷むのを抑制することができる。
【0077】
以上、発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。なお、以下では、前記実施形態と同様の構成については同一符号を付して適宜説明を省略し、前記実施形態と異なる点について詳細に説明する。
【0078】
例えば、図8に示すように、第3樹脂部材330の一対の連結部332の一方および他方は、それぞれ、第1横ワイヤ210に連結された部分を複数有していてもよい。具体的には、一対の連結部332の一方である右の連結部332は、第1横ワイヤ210の右の第2延在部211Bに連結された2つの連結部332A,332Bを有し、一対の連結部332の他方である左の連結部332は、第1横ワイヤ210の左の第2延在部211Bに連結された2つの連結部332C,332Dを有している。なお、左右の連結部332は、それぞれ、3つ以上の連結する部分を有する構成であってもよい。
【0079】
また、例えば、図9に示すように、第3樹脂部材330は、一対の連結部(第1の連結部)332のほかに、一対の第2の連結部333を有していてもよい。第2の連結部333は、それぞれ、第1樹脂部材310の延出部312と第4樹脂部材340の間の隙間に入り込むように、本体部331の後端から後方に向けて延びている。第1横ワイヤ210は、延出部312と第4樹脂部材340の間において、延出部312と第4樹脂部材340を連結するように左右に延びる連結延在部211Cを有している。連結延在部211Cは、第1延在部211Aの一部である。第2の連結部333の後端部は、連結延在部211Cを覆った状態で連結延在部211Cに連結されている。
【0080】
なお、連結部332や第2の連結部333は、第1横ワイヤ210を覆った状態で連結される構成に限定されない。例えば、図10(a),(b)に示すように、連結部332は、その先端部が第1横ワイヤ210の外周面の形状に沿った断面視略円弧状に形成され、第1横ワイヤ210に係合して連結される構成であってもよい。なお、図8に示した各連結部332A~332Dに、図10に示した連結の構成を適用すると、連結部1つ当たりの第1横ワイヤ210への取付荷重を小さくすることができる。
【0081】
また、第1樹脂部材310や第2樹脂部材320の構成は、前記した構成に限定されない。例えば、前記実施形態では、肉厚の補強部としてリブを例示したが、これに限定されず、補強部は、ボスなどであってもよい。また、補強部は、リブ状やボス状ではなく、他の部分よりも板厚が厚い部分として構成されていてもよい。また、前記実施形態では、第1樹脂部材310および第2樹脂部材320の両方が補強部を有していたが、これに限定されず、第1樹脂部材および第2樹脂部材の一方だけが補強部を有する構成であってもよい。また、第1樹脂部材や第2樹脂部材が十分な剛性を有するのであれば、補強部を設けない構成としてもよい。また、第1樹脂部材は、例えば、支持部313を備えない構成であってもよい。また、第2樹脂部材は、例えば、前記実施形態の第3樹脂部材330と第4樹脂部材340が前後に直接つながったような部材を含む構成であってもよい。また、第2樹脂部材は、第3樹脂部材330、第4樹脂部材340および第5樹脂部材350が前後に直接つながったような1つの部材からなる構成であってもよい。
【0082】
また、前記実施形態では、第1樹脂部材310と第1被覆部材410が直接つながっていない構成であったが、これに限定されない。例えば、図4を参考にして説明すると、第1被覆部材410は、第1樹脂部材310の一部として第1樹脂部材310と一体に形成され、第1樹脂部材310と直接つながった構成であってもよい。言い換えると、第1縦ワイヤ110の第2傾斜部116(第1架設線材の一部)は、露出しておらず、樹脂で覆われていてもよい。第2樹脂部材と第2被覆部材、第2架設線材についても同様である。
【0083】
また、前記実施形態では、第1横ワイヤ210は、第2延在部211Bの前端部(一部)だけが本体部311と延出部312の間の隅部314に配置されていたが、これに限定されず、例えば、第2延在部211Bの全体が隅部314に配置されていてもよい。
【0084】
また、前記実施形態で説明した架設線材100および補強線材200の構成は一例であり、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、架設線材および補強線材の数は、前記実施形態で説明した構成よりも多くてもよいし、少なくてもよい。また、架設線材は、例えば、Sバネなどであってもよい。また、図3を参考にして説明すると、第1横ワイヤ210は、例えば、右側部分(213)が、左側部分と同様に、前後(215と216)に分かれているような構成、つまり、第1補強部211と第2補強部212が2本の線材からなる構成であってもよい。
【0085】
また、前記実施形態では、架設線材が架設される一対の連結フレームが、フロントフレーム12とリアフレーム13であったが、これに限定されない。例えば、一対の連結フレームは、パンフレーム14とリアフレーム13であってもよい。
【0086】
また、前記実施形態では、一対の対向フレームとしてシートクッションS1の左右のサイドフレーム11を例示し、一対の連結フレームとしてシートクッションS1のフロントフレーム12およびリアフレーム13を例示したが、これに限定されない。例えば、一対の対向フレームが、シートバックS2の左右のフレームであり、一対の連結フレームが、シートバックS2の上下のフレームである構成としてもよい。この場合には、上下方向が「第1方向に直交する第2方向」に相当し、前側が「着座者側」に相当し、後側が「着座者側とは反対側」に相当する。
【0087】
また、一対の対向フレームが、シートクッションS1のフロントフレーム12およびリアフレーム13であり、一対の連結フレームが、左右のサイドフレーム11である構成としてもよい。この場合には、前後方向が「第1方向」に相当し、左右方向が「第1方向に直交する第2方向」に相当する。また、一対の対向フレームが、シートバックS2の上下のフレームであり、一対の連結フレームが、シートバックS2の左右のフレームである構成としてもよい。この場合には、上下方向が「第1方向」に相当する。
【0088】
また、前記実施形態では、第1架設線材および第1樹脂部材が、第1方向において第2架設線材および第2樹脂部材の両側に設けられていたが、これに限定されず、例えば、第1方向において第2架設線材および第2樹脂部材の一方側だけに設けられる構成であってもよい。
【0089】
また、前記実施形態では、乗物用シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載されるシートであってもよい。
【0090】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0091】
11 サイドフレーム
12 フロントフレーム
13 リアフレーム
110 第1縦ワイヤ
120 第2縦ワイヤ
200 補強線材
210 第1横ワイヤ
211 第1補強部
211A 第1延在部
211B 第2延在部
212 第2補強部
310 第1樹脂部材
311 本体部
312 延出部
313 支持部
313A 支持面
314 隅部
316,317A,317B,336,346,357A,357B リブ
320 第2樹脂部材
330 第3樹脂部材
332 連結部
410 第1被覆部材
420 第2被覆部材
S 車両用シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10