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  • 特開-天井構造及び天井構造の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190148
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】天井構造及び天井構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/00 20060101AFI20221215BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
E04B9/00 F
E04B9/00 H
E04B9/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177962
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2018135566の分割
【原出願日】2018-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】酒井 久治
(72)【発明者】
【氏名】榊原 智子
(72)【発明者】
【氏名】宮島 麻実
(72)【発明者】
【氏名】北原 達朗
(72)【発明者】
【氏名】内山 光太
(72)【発明者】
【氏名】大平 基史
(72)【発明者】
【氏名】堀居 令奈
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 哲生
(57)【要約】
【課題】効率的に施工が可能で、納まりがよい天井構造及び天井構造の施工方法を提供する。
【解決手段】天井構造は、床スラブ10の下方に設けられる天井材60と、一端を床スラブ10に接続され、他端を天井材60に接続される一対のステイ20と、各ステイ20の中間部において一対のステイ20を連結し、設備材を支持するバー221やラダー222とを備える。そして、ステイ20に天井材60を支持させ、ラダー222には、空調装置U5を、吊下具227により吊り下げる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造材と、
前記構造材の下方に設けられる天井材と、
一端を前記構造材に接続され、他端を前記天井材に接続される一対の鉛直材と、
各前記鉛直材の中間部において前記一対の鉛直材を連結する水平材と、
前記水平材に支持される設備材と、を備えた天井構造であって、
前記天井材は、前記他端において前記鉛直材に固定されたTバーを備え、
前記Tバーにより、所定の大きさのグリッドが形成され、
所定数の前記グリッドをまとめて1つのスパンが構成され、
前記鉛直材は、前記スパン毎に設けられ、
前記1つのスパンを構成する前記所定数の前記グリッドに設けられる前記天井材の1つとして、換気孔又は照明器具が配置される天井構造。
【請求項2】
前記スパンは、3つの前記グリッドをまとめて構成されており、
前記スパンを構成する中央のグリッドに換気孔が配置される請求項1に記載の天井構造。
【請求項3】
天井構造の施工方法であって、
一対の鉛直材の一端を構造材に接続する工程と、
水平材を前記一対の鉛直材に連結する工程と、
設備材を前記水平材に支持又は載置させる工程と、
天井材を前記一対の鉛直材の他端に接続する工程と、
を有し、
前記天井材は、前記他端において前記鉛直材に固定されたTバーを備え、
前記Tバーにより、所定の大きさのグリッドが形成され、
所定数の前記グリッドをまとめて1つのスパンが構成され、
前記鉛直材は、前記スパン毎に設けられ、
前記1つのスパンを構成する前記所定数の前記グリッドに設けられる前記天井材の1つとして、換気孔又は照明器具が配置される天井構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井構造及び天井構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建築物においては、空調装置や照明器具等の設備材を天井裏に配設することがある。天井裏にて設備材を支持する方法の1つとして、吊りボルトにより上方の構造材から設備材を吊り下げて支持する場合がある(例えば、特許文献1~3参照)。この特許文献1に記載された技術では、天井スラブから複数の照明器具を所要間隔置に吊下して各照明器具によって天井板を支持させている。また、特許文献2に記載された技術では、吊下げ用取付具により枠体を吊り下げて、枠体に天井設備を配置する長尺器具枠や、天井仕上材を載置する。また、特許文献3に記載された天井ユニットでは、天井と照明器具の構造材を一体化させる。
【0003】
また、配管を増設するための増設配管の支持方法も検討されている(例えば、特許文献4参照)。この特許文献4に記載された技術では、既存建物の天井裏に設けられた既存の吊りボルトに、その側方から配管支持部材を取り付け、その配管支持部材に増設配管を取り付ける。配管支持部材は吊りボルトに側方から螺合されるナットで固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08-284304号公報
【特許文献2】実公昭51-22501号公報
【特許文献3】特開平10-152935号公報
【特許文献4】特開2001-336674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、天井内設備吊込み用の吊りボルトと、天井材を吊るための吊りボルトを別々に施工する場合、それぞれのアンカー打設工事において騒音や振動が生じるという課題がある。また、別々に施工作業を行なった場合、それぞれの時間がかかり、作業効率が悪い。更に、それぞれの吊りボルトを設置することで、下地や支持材の干渉が増加することにより、納まりが悪くなることもある。特に、天井改修工事に応じては、作業日程に余裕がなく、工程が圧迫されることが多い。また、設備材の大きさや、設備材を設ける位置は、天井構造の設計に応じて様々である。従って、予め設備材の支持部材を天井に設けておくと、使われない支持部材が生じ、無駄になる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための天井構造は、構造材と、前記構造材の下方に設けられる天井材と、一端を前記構造材に接続され、他端を前記天井材に接続される一対の鉛直材と、各前記鉛直材の中間部において前記一対の鉛直材を連結する水平材と、前記水平材に支持される設備材とを備える。
【0007】
上記課題を解決するための支持支柱は、構造材の下方において、設備材を支持する水平材と天井材とを支持する支持支柱であって、前記構造材に固定する構造材固定部と、前記構造材固定部に連結された支柱部と、前記支柱部の下端で、前記天井材を支持する吊材を長さ調節可能に支持する吊り材固定部と、前記支柱部において前記水平材を支持する支持部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、納まりがよい天井構造を実現することができる。更に、天井構造の施工を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の天井構造の側面図。
図2】本実施形態のシステム天井の平面図。
図3】本実施形態のステイの説明図。
図4】本実施形態のステイの配置の説明図。
図5】本実施形態のバーの設置の説明図。
図6】本実施形態のラダーの設置の説明図。
図7】本実施形態の空調装置の設置の説明図。
図8】本実施形態の天井材の設置の説明図。
図9】変形例のステイの説明図であって、(a)は部分的に支持具を用いたステイ、(b)は丸パイプのステイの説明図。
図10】変形例のステイの説明図であって、(a)はステイのスリット孔及びフック、(b)はバーの接続の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図8を用いて、天井構造、天井構造の施工方法及び支持支柱の一実施形態を説明する。本実施形態では、グリッド構造のシステム天井において、天井構造の施工を行なう場合を想定する。
【0011】
図1は天井構造の側面図、図2はシステム天井の平面図である。
図1に示すように、床スラブ10(構造材)に、ステイ20(支持支柱)をアンカーにより打設して垂設する。そして、ステイ20の下端に吊りボルト30(吊り材)を接続することにより鉛直材を構成する。更に、吊りボルト30の下端にハンガー40を吊り下げる。このハンガー40には、Tバー50を固定する。このTバー50は、メインTバーとクロスTバーとから構成され、格子状に配置される。そして、Tバー50の下端のフランジ部に天井材60等が載置されてシステム天井を構成する。
【0012】
図2を用いて、本実施形態のシステム天井を説明する。このシステム天井は、上述したように、Tバー50により、所定の大きさ(例えば、600mm角)のグリッドGR1からなる。各グリッドには、天井材60として、天井ボード61の他に、照明器具62、換気孔63が配置される。そして、所定数(本実施形態では3個)のグリッドGR1をまとめて1つのスパンSP1(吊りピッチ)として、スパンSP1毎にステイ20を設ける。このステイ20に囲まれた領域の天井裏に、後述するように、設備材を配置する。
【0013】
図3に示すように、ステイ20の支柱部21は、天井材や設備材を支持可能な強度を備えた金属製の角パイプを用いる。支柱部21の上端には、床スラブ10にアンカー止めするためのフランジ211(構造材固定部)が設けられている。そして、支柱部21の周囲側面には、異なる高さで複数の受金物からなる支持具22(支持部)が設けられている。支持具22は金属製であり、支柱部21に溶接されている。支持具22は、例えば、支柱部21の下端から500mm、700mmの位置に設けるが、この距離は設備材の大きさに応じて決定すればよい。例えば、床スラブ10から天井材60までが「700mm~1300mm」の場合、床スラブ10から上段の支持具22までは「200mm~400mm」、上段の支持具22から下段の支持具22までは「100mm~300mm」、下段の支持具22から天井材60までは「400mm~600mm」の範囲とする。
支柱部21の下端には、雌ネジ212(吊り材固定部)が固定されている。そして、こ
の雌ネジ212には、ハンガー40を固定した吊りボルト30を螺合させる。
【0014】
図1に示すように、ステイ20の支持具22は、水平材としてのバー221やラダー222の端部を支持する。このバー221やラダー222は、隣接する他のステイ20の支持具22との間で、架け渡して固定される。
【0015】
バー221は、1つのスパンSP1に応じた長さである。バー221は、例えば、金属製の角パイプを用いて構成され、各種設備材を支持する。具体的には、バー221に固定されたバンドB1を用いて、ケーブルU1を載置するケーブルラック225、保温材226で覆った冷却管U2を固定する。更に、バンドB1に、空調設備のドレイン管U3を吊り下げるようにしてもよい。
【0016】
また、ラダー222は、1つのスパンSP1の長さの正方形のフレームに、中間バーを設けた梯子形状で構成される。ラダー222は、例えば、金属製の角パイプを用いて構成する。このラダー222には、例えば、設備材としての空調装置U5を、吊下具227により吊り下げることができる。
【0017】
(施工方法)
まず、図4に示すように、床スラブ10にステイ20を垂設する。この場合、システム天井におけるスパンSP1分の距離を離間させて配置する。
【0018】
次に、天井設備を配置する必要がある場所に、バー221やラダー222を配置する。
図5に示すように、配管等を配置する場所には、隣接するステイ20の支持具22にバー221を掛け渡す。そして、バー221に、ケーブルラック225、ケーブルU1、冷却管U2等を載置する。また、ドレイン管U3は、排水方向に向けて、複数のバー221に吊り下げられる。この場合、排水方向に向けて、ドレイン管を下方に傾斜(例えば、1/100勾配)させるように吊り下げ高さを調節する。
【0019】
また、図6に示すように、空調装置等の大型機器を配置する場所には、ラダー222を設ける。この場合、隣接するステイ20の支持具22に、ラダー222の頂角を掛け渡して配置する。なお、図6図8では、バー221に載置又は吊り下げられた設備材は省略している。また、バー221、ラダー222の何れか一方のみを配置してもよい。
【0020】
図7に示すように、ラダー222の中間バーに空調装置U5を吊り下げる。
そして、図8に示すように、設備材の設置を終了した場合、ハンガー40にTバー50を固定し、グリッドを構成する。そして、各グリッドに天井材60を載置する。
【0021】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、スパンSP1毎にステイ20を設ける。このステイ20には、支持具22や吊りボルト30が固定される。これにより、ステイ20は、天井材60を支持するとともに、設備材の固定にも用いることができる。従って、設備材や天井材のために、アンカーを個別に床スラブ10に設ける必要がなく、打設時の騒音、振動の抑制、工期の短縮を図ることができる。
【0022】
(2)本実施形態では、支柱部21の周囲側面には、異なる高さで複数の支持具22が設けられている。これにより、設備材を配置する所望の位置に、バー221やラダー222等の水平材を架け渡して設備材を配置することができる。
【0023】
(3)本実施形態では、支柱部21の下端の雌ネジ212に、吊りボルト30を螺合させる。これにより、吊りボルト30により、天井材60の吊り下げ位置を調節することが
できる。
(4)本実施形態では、支持具22により、ラダー222を支持する。これにより、重い設備材やサイズが大きい設備材を支持させることができる。
【0024】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0025】
・上記実施形態では、支柱部21に支持具22を設けた。バー221やラダー222の支持部は、支柱部21の周囲に連続して設けられた支持具に限定されるのではなく、水平材を支持する可能性がある位置に設けておけばよい。
例えば、図9(a)に示すように、支柱部21aにおいて、四方に向けて配置した支持具22aを備えたステイ20aとしてもよい。
【0026】
・上記実施形態では、支柱部21、バー221、ラダー222を金属製の角パイプで構成したが、形状や材料はこれに限定されるものではない。例えば、丸パイプ、L型鋼、断面コ字状やC字状のチャンネル材を用いてもよい。
図9(b)に示すように、支柱部21bに丸パイプを用いたステイ20bの場合には、半円筒状の支持具22bを備えたステイ20bを用いてもよい。
【0027】
・上記実施形態では、支柱部21に水平材を支持する支持具22を溶接した。支持具の固定方法は溶接に限定されるものではない。
【0028】
例えば、図10(a)に示すように、支柱部において異なる高さで、複数のスリット孔22cを設けた支持支柱20cを用いてもよい。この場合には、スリット孔22cに挿入可能なフック22d1を備えた支持具22dを用いる。図10(b)に示すように、フック22d1をスリット孔22cに挿入することにより、支持具22dを任意の高さ位置で設けることができる。そして、支持具22dに取り付けるバー221やラダー222の高さの自由度を効率的に確保することができる。
【0029】
・上記実施形態では、ステイ20の支持具22により掛け渡しされたラダー222で、設備材を支持させる。設備材を支持する水平材はラダー222に限定されるものではない。例えば、一対のステイ20に掛け渡しされた一対のバー221の中間位置に複数のバーを掛け渡して、ラダー形状を構成するようにしてもよい。また、ラダー222に代えて板部材を掛け渡してもよい。
【0030】
・上記実施形態では、スパンSP1に、バー221やラダー222等の水平材を掛け渡す。掛け渡す方向は、スパンSP1の辺方向に限定されるものではない。例えば、四角形状のスパンSP1の対角線上にバー221を掛け渡してもよい。
【0031】
・上記実施形態では、スパンSP1毎に、床スラブ10にステイ20を吊り下げる。すべての場所に、ステイ20を用いる必要はなく、設備を設けない場所では、床スラブ10に直接、吊りボルトを垂設するようにしてもよい。
【0032】
・上記実施形態では、床スラブ10からステイ20を垂設する。ステイの固定先はスラブに限定されるものではなく、天井材の上方に存在する構造材であればよい。例えば、梁等の構造材に固定するようにしてもよい。
【0033】
・上記実施形態では、設備材として、空調装置、各種配管、ダクト、ケーブルラックを用いたが、天井裏に配置されるものであれば、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
10…構造材としての床スラブ、20…鉛直材としてのステイ、21…支柱部、211…フランジ、212…雌ネジ、22,22a,22b,22d…支持部としての支持具、22c…スリット孔、22d1…フック、221…水平材としてのバー、222…水平材としてのラダー、B1…バンド、225…ケーブルラック、226…保温材、227…吊下具、30…吊りボルト、40…ハンガー、50…Tバー、60…天井材、61…天井ボード、62…照明器具、63…換気孔、GR1…グリッド、SP1…スパン、U1…ケーブル、U2…冷却管、U3…ドレイン管、U5…空調装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10