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特開2022-190151二軸一体型モータ及びアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190151
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】二軸一体型モータ及びアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/12 20060101AFI20221215BHJP
   H02K 16/02 20060101ALI20221215BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H02K21/12 M
H02K16/02
H02K7/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178024
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2018078191の分割
【原出願日】2018-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 和則
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 逸男
(57)【要約】
【課題】2つの検出部を個別に調整可能な二軸一体型モータ等を提供する。
【解決手段】二軸一体型モータ1は、内軸ロータ110の外周側に、一端側から順に、第1軸受部261、内軸ステータ120、磁気遮蔽部材283、第1検出部240が配置され、外軸ロータ10の内周側に、一端側から順に、第2検出部250、第2軸受部265、外軸ステータ20が配置され、内軸ステータ120及び外軸ステータ20は、電磁鋼板層を有し、電磁鋼板層は、2つのティースを有する電磁鋼板が環状に複数並べられて形成され、電磁鋼板同士は隙間をあけて配置され、外軸ステータ20が有する電磁鋼板層を形成する電磁鋼板同士の隙間の配置と、回転軸方向について当該電磁鋼板層と同じ位置にあって内軸ステータ120が有する他の1つの電磁鋼板層を形成する電磁鋼板同士の隙間の位置と、が異なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ回転可能に設けられて回転軸方向が同一である内軸ロータと外軸ロータを有し、前記内軸ロータの出力軸及び前記外軸ロータの出力軸が前記回転軸方向の一端側に位置する二軸一体型モータであって、
前記内軸ロータのステータコアである内軸ステータと、
前記外軸ロータのステータコアである外軸ステータと、
前記内軸ロータと連動して回転する第1軸受部と、
前記外軸ロータと連動して回転する第2軸受部と、
前記内軸ロータの回転角度を検出する第1検出部と、
前記外軸ロータの回転角度を検出する第2検出部と、
前記内軸ステータと前記第1検出部との間に配置される磁気遮蔽部材とを備え、
前記内軸ロータの外周側に、前記一端側から順に、前記第1軸受部、前記内軸ステータ、前記磁気遮蔽部材、前記第1検出部が配置され、
前記外軸ロータの内周側に、前記一端側から順に、前記第2検出部、前記第2軸受部、前記外軸ステータが配置されており、
前記内軸ステータ及び前記外軸ステータは、前記回転軸方向に複数積層された電磁鋼板層を有し、
前記電磁鋼板層は、2つのティースを有する電磁鋼板が環状に複数並べられて形成されており、
前記環状に並ぶ前記電磁鋼板同士は隙間をあけて配置され、
前記外軸ステータが有する1つの前記電磁鋼板層を形成する前記電磁鋼板同士の隙間の配置と、前記回転軸方向について当該1つの前記電磁鋼板層と同じ位置にあって前記内軸ステータが有する他の1つの前記電磁鋼板層を形成する前記電磁鋼板同士の隙間の位置と、が異なる、
二軸一体型モータ。
【請求項2】
前記第1軸受部及び前記第2軸受部は、予圧された軸受を有する
請求項1に記載の二軸一体型モータ。
【請求項3】
前記内軸ロータ及び前記外軸ロータは、ロータヨーク及び磁石を有し、
前記内軸ステータ及び前記外軸ステータは、コイルを有する
請求項1又は2に記載の二軸一体型モータ。
【請求項4】
回転軸から径方向に向かって、前記内軸ロータ、内軸ステータ、外軸ステータ、前記外軸ロータの順で配置されており、
前記内軸ステータと前記外軸ステータとの間に設けられて前記回転軸を中心とした円周方向に沿う前記内軸ステータと前記外軸ステータとの隣接位置に介在する非磁性体を備える
請求項1から3のいずれか一項に二軸一体型モータ。
【請求項5】
前記内軸ステータは、前記コイルが設けられた内軸モータコアを有し、
前記外軸ステータは、前記コイルが設けられた外軸モータコアを有し、
前記非磁性体は、前記内軸モータコアと前記外軸モータコアの間に位置する
請求項4に記載の二軸一体型モータ。
【請求項6】
前記内軸ステータは、前記内軸モータコアの外側に設けられた円筒状の内軸ステータバックヨークを有し、
前記外軸ステータは、前記外軸モータコアの内側に設けられた円筒状の外軸ステータバックヨークを有し、
前記非磁性体は、前記内軸ステータバックヨークと前記外軸ステータバックヨークの間に位置する
請求項5に記載の二軸一体型モータ。
【請求項7】
前記非磁性体は、前記回転軸に直交する方向の断面形状が前記回転軸を中心とする円弧状の部材である
請求項4から6のいずれか一項に記載の二軸一体型モータ。
【請求項8】
前記非磁性体は、非磁性の合金又は樹脂である
請求項4から7のいずれか一項に記載の二軸一体型モータ。
【請求項9】
前記内軸ロータに設けられた磁石及び前記内軸ステータは、前記回転軸方向の軸長が前記外軸ロータに設けられた磁石及び前記外軸ステータより長い
請求項1から8のいずれか一項に記載の二軸一体型モータ。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の二軸一体型モータと、
前記二軸一体型モータを内包するハウジングと、
前記回転軸方向に前記内軸ロータを貫通して配置され、前記内軸ロータから前記回転軸方向の一方に突出する第1部分にネジ部を有し、前記内軸ロータから前記回転軸方向の他方に突出する第2部分に前記回転軸方向に沿った溝部を有する軸部材と、
前記内軸ロータに対して前記回転軸方向の前記一方の外側に配置され、前記ネジ部に螺合され、前記内軸ロータと共に回転して前記軸部材を前記回転軸方向に移動させるナットと、
前記内軸ロータに対して前記回転軸方向の前記他方の外側に配置され、前記溝部に沿って前記軸部材を前記回転軸方向に案内し、かつ前記外軸ロータと共に回転して前記軸部材を軸回り方向に回転させるスプライン外筒と
を備える
アクチュエータ。
【請求項11】
前記内軸ロータの内径は、前記ナット及び前記スプライン外筒の外径よりも小さい
請求項10に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記第2部分の先端に連結され、アームを取り付けるアーム取り付け部材を更に備える
請求項10又は請求項11に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記ボールスプラインを収容し前記第2部分の一部を覆うスプライン外筒用ハウジングを有し、
前記アーム取り付け部材は、前記ボールスプライン側に延びて前記スプライン外筒用ハウジングの前記回転軸方向の先端を収容する筒状部を有し、
前記筒状部は、前記スプライン外筒用ハウジングとの間に隙間を有する
請求項12に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記ナットは、第3軸受部を介して前記ハウジングに支持され、
前記スプライン外筒は、第4軸受部を介して前記ハウジングに支持される
請求項10から13のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
前記ナットに接続された負作動電磁ブレーキを更に備える
請求項10から14のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
請求項1から8のいずれか一項に記載の二軸一体型モータと、
前記二軸一体型モータを内包するハウジングと、
前記回転軸方向に前記内軸ロータを貫通して配置され、前記内軸ロータから前記回転軸方向の一方に突出する第1部分にネジ部を有し、前記内軸ロータから前記回転軸方向の他方に突出する第2部分に前記回転軸方向に沿った溝部を有する軸部材と、
前記ネジ部に螺合され、前記内軸ロータと共に回転して前記軸部材を前記回転軸方向に移動させるナットと、
前記溝部に沿って前記軸部材を前記回転軸方向に案内し、かつ前記外軸ロータと共に回転して前記軸部材を軸回り方向に回転させるスプライン外筒と
を備えるアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸一体型モータ及びアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれ独立して回転可能に設けられた2つのロータと、2つのロータの回転角度を個別に検出する2つの検出部を備える二軸一体型モータが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-238234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つの検出部は、個別に調整できることが望ましい。すなわち、2つの検出部の一方に対する調整作業のためのアクセスが、他方に影響しないように2つの検出部が配置されていることが望ましい。しかしながら、従来の二軸一体型モータでは、そのような配置が困難であった。
【0005】
本発明は、2つの検出部を個別に調整可能な二軸一体型モータ及びアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明は、それぞれ回転可能に設けられて回転軸方向が同一である内軸ロータと外軸ロータを有し、前記内軸ロータの出力軸及び前記外軸ロータの出力軸が前記回転軸方向の一端側に位置する二軸一体型モータであって、前記内軸ロータのステータコアである内軸ステータと、前記外軸ロータのステータコアである外軸ステータと、前記内軸ロータと連動して回転する第1軸受部と、前記外軸ロータと連動して回転する第2軸受部と、前記内軸ロータの回転角度を検出する第1検出部と、前記外軸ロータの回転角度を検出する第2検出部と、前記内軸ステータと前記第1検出部との間に配置される磁気遮蔽部材とを備え、前記内軸ロータの外周側に、前記一端側から順に、前記第1軸受部、前記内軸ステータ、前記磁気遮蔽部材、前記第1検出部が配置され、前記外軸ロータの内周側に、前記一端側から順に、前記第2検出部、前記第2軸受部、前記外軸ステータが配置されており、前記内軸ステータ及び前記外軸ステータは、前記回転軸方向に複数積層された電磁鋼板層を有し、前記電磁鋼板層は、2つのティースを有する電磁鋼板が環状に複数並べられて形成されており、前記環状に並ぶ前記電磁鋼板同士は隙間をあけて配置され、前記外軸ステータが有する1つの前記電磁鋼板層を形成する前記電磁鋼板同士の隙間の配置と、前記回転軸方向について当該1つの前記電磁鋼板層と同じ位置にあって前記内軸ステータが有する他の1つの前記電磁鋼板層を形成する前記電磁鋼板同士の隙間の位置と、が異なる。
【0007】
従って、第2検出部の調整を一端側(モータの出力端側)から行うことができる。また、第1検出部の調整を他端側から行うことができる。このように、2つの検出部を個別に調整することができる。また、1層の電磁鋼板層が環状に完全に連続する完全な閉スロットである構造に比して軽量になる。
【0008】
本発明では、前記第1軸受部及び前記第2軸受部は、予圧された軸受を有する。
【0009】
従って、外部からの荷重による内軸ロータ、外軸ロータの変位をより小さくすることができる。すなわち、内軸ロータと内軸ステータとの位置関係の変位及び外軸ロータと外軸ステータとの位置関係の変位をより小さくすることができる。
【0010】
本発明では、前記内軸ロータ及び前記外軸ロータは、ロータヨーク及び磁石を有し、前記内軸ステータ及び前記外軸ステータは、コイルを有する。
【0011】
従って、回転する内軸ロータ及び外軸ロータの構成をより単純にすることができる。
【0012】
本発明では、回転軸から径方向に向かって、前記内軸ロータ、内軸ステータ、外軸ステータ、前記外軸ロータの順で配置されており、前記内軸ステータと前記外軸ステータとの間に設けられて前記回転軸を中心とした円周方向に沿う前記内軸ステータと前記外軸ステータとの隣接位置に介在する非磁性体を備える。
【0013】
従って、内軸ステータと外軸ステータとの隣接位置に非磁性体が介在しているので、非磁性体によって内軸ステータと外軸ステータの各々に生じる磁界の干渉を非磁性体によって抑制することができる。よって、磁界の干渉をより抑制することができる。
【0014】
本発明では、前記内軸ステータは、前記コイルが設けられた内軸モータコアを有し、前記外軸ステータは、前記コイルが設けられた外軸モータコアを有し、前記非磁性体は、前記内軸モータコアと前記外軸モータコアの間に位置する。
【0015】
従って、磁界を生じるコイルが設けられた内軸モータコアと外軸モータコアとの間に非磁性体が介在するので、より確実に磁界の干渉を抑制することができる。
【0016】
本発明では、前記内軸ステータは、前記内軸モータコアの外側に設けられた円筒状の内軸ステータバックヨークを有し、前記外軸ステータは、前記外軸モータコアの内側に設けられた円筒状の外軸ステータバックヨークを有し、前記非磁性体は、前記内軸ステータバックヨークと前記外軸ステータバックヨークの間に位置する。
【0017】
従って、非磁性体の形状は、係る円筒状の内軸ステータバックヨークと外軸ステータバックヨークの間に収まる形状であればよくなる。よって、より簡便に非磁性体を設けることができる。
【0018】
本発明では、前記非磁性体は、前記回転軸に直交する方向の断面形状が前記回転軸を中心とする円弧状の部材である。
【0019】
従って、回転軸を中心とした円筒状の形状に二軸一体型モータを収めやすくなる。
【0020】
本発明では、前記非磁性体は、非磁性の合金又は樹脂である。
【0021】
従って、より確実に磁界の干渉を非磁性体によって抑制することができる。また、入手が比較的容易な材料で非磁性体を設けることができ、より低コストで磁界の干渉を抑制することができる。
【0022】
本発明では、前記内軸ロータに設けられた磁石及び前記内軸ステータは、前記回転軸方向の軸長が前記外軸ロータに設けられた磁石及び前記外軸ステータより長い。
【0023】
従って、外軸ロータの出力トルクと内軸ロータの出力トルクとの差をより小さくしやすくなる。
【0024】
本発明のアクチュエータでは、上記のいずれかの二軸一体型モータと、前記二軸一体型モータを内包するハウジングと、前記回転軸方向に前記内軸ロータを貫通して配置され、前記内軸ロータから前記回転軸方向の一方に突出する第1部分にネジ部を有し、前記内軸ロータから前記回転軸方向の他方に突出する第2部分に前記回転軸方向に沿った溝部を有する軸部材と、前記内軸ロータに対して前記回転軸方向の前記一方の外側に配置され、前記ネジ部に螺合され、前記内軸ロータと共に回転して前記軸部材を前記回転軸方向に移動させるナットと、前記内軸ロータに対して前記回転軸方向の前記他方の外側に配置され、前記溝部に沿って前記軸部材を前記回転軸方向に案内し、かつ前記外軸ロータと共に回転して前記軸部材を軸回り方向に回転させるスプライン外筒とを備える。
【0025】
従って、ナット及びスプライン外筒が内軸ロータに対して回転軸方向の外側に配置されるため、内軸ロータ及び外軸ロータを径方向について小型化することができる。これにより、フットプリントを小さくすることができる。また、スプライン外筒により、外軸ロータを回転させる際の軸部材の連れ回りを抑制することが可能となる。
【0026】
本発明では、前記内軸ロータの内径は、前記ナット及び前記スプライン外筒の外径よりも小さい。
【0027】
従って、内軸ロータの内径がナット及びスプライン外筒の外径よりも小さくすることにより、内軸ロータ及び外軸ロータを径方向について小型化することができる。
【0028】
本発明では、前記第2部分の先端に連結され、アームを取り付けるアーム取り付け部材を更に備える。
【0029】
従って、アーム取り付け部材にアームを取り付けることで、搬送装置を構成することができる。
【0030】
本発明では、前記ハウジングは、前記ボールスプラインを収容し前記第2部分の一部を覆うスプライン外筒用ハウジングを有し、前記アーム取り付け部材は、前記ボールスプライン側に延びて前記スプライン外筒用ハウジングの前記回転軸方向の先端を収容する筒状部を有し、前記筒状部は、前記スプライン外筒用ハウジングとの間に隙間を有する。
【0031】
従って、隙間により、外部環境からのシール性を確保することができる。また、隙間においてスプライン外筒用ハウジングの回転方向に抵抗を受けるため、軸部材の回転を抑制できる。
【0032】
本発明では、前記ナットは、第3軸受部を介して前記ハウジングに支持され、前記スプライン外筒は、第4軸受部を介して前記ハウジングに支持される。
【0033】
従って、軸部材に対して回転軸方向に直交する方向に力が加えられる場合、転がり軸受を介してハウジングによりこの力を受けることができるため、ナット及びスプライン外筒の変位を抑制できる。
【0034】
本発明では、前記ナットに接続された負作動電磁ブレーキを更に備える。
【0035】
従って、軸部材の落下を抑制できる。
【0036】
本発明のアクチュエータでは、上記のいずれかの二軸一体型モータと、前記二軸一体型モータを内包するハウジングと、前記回転軸方向に前記内軸ロータを貫通して配置され、前記内軸ロータから前記回転軸方向の一方に突出する第1部分にネジ部を有し、前記内軸ロータから前記回転軸方向の他方に突出する第2部分に前記回転軸方向に沿った溝部を有する軸部材と、前記ネジ部に螺合され、前記内軸ロータと共に回転して前記軸部材を前記回転軸方向に移動させるナットと、前記溝部に沿って前記軸部材を前記回転軸方向に案内し、かつ前記外軸ロータと共に回転して前記軸部材を軸回り方向に回転させるスプライン外筒とを備える。
【0037】
従って、スプライン外筒により、外軸ロータを回転させる際の軸部材の連れ回りを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、2つの検出部を個別に調整可能な二軸一体型モータ及びアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、実施形態1に係る二軸一体型モータの具体的構成の一例を示す断面図である。
図2図2は、ステータコア部の一例を示す図である。
図3図3は、非磁性体の具体的形状の例であって図2とは異なる形状の例を示す図である。
図4図4は、非磁性体の具体的形状の例であって図2とは異なる形状の例を示す図である。
図5図5は、非磁性体の具体的形状の例であって図2とは異なる形状の例を示す図である。
図6図6は、実施形態1に係る固定子(ステータ)の具体的構造の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態1に係る外軸モータコアが有する電磁鋼板層の積層構造を示す図である。
図8図8は、実施形態1に係る1つの電磁鋼板を示す図である。
図9図9は、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板の配置の2通りの位相のうち一方を示す図である。
図10図10は、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板の配置の2通りの位相のうち他方を示す図である。
図11図11は、同一の位相の電磁鋼板層が連続して積層される場合の一例を示す図である。
図12図12は、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板の配置の2通りの位相のうち一方を示す図である。
図13図13は、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板の配置の2通りの位相のうち他方を示す図である。
図14図14は、実施形態2のアクチュエータの部分断面図である。
図15図15は、図14における要部を示す要部断面図である。
図16図16は、回転軸と直交する平面による二軸一体型モータの断面図である。
図17図17は、図14に示す状態からネジ軸を上昇させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0041】
(実施形態1)
図1は、二軸一体型モータ1の具体的構成の一例を示す断面図である。二軸一体型モータ1は、それぞれ個別に回転可能に設けられた回転子である内軸ロータ110と外軸ロータ10、固定子である内軸ステータ120と外軸ステータ20を備える。以下、図を参照した実施形態の説明に係り、二軸一体型モータ1の回転軸方向をZ方向と記載することがある。また、Z方向に直交する平面に沿って互いに直交する二方向をX方向、Y方向と記載することがある。
【0042】
内軸ロータ110と外軸ロータ10は、それぞれ回転可能に設けられて回転軸方向が同一である。具体的には、内軸ロータ110は、円筒状の内軸ロータヨーク111と、内軸ロータヨーク111の外周面に沿って環状に配置された磁石112とを有する。外軸ロータ10は、円筒状の外軸ロータヨーク11と、外軸ロータヨーク11の内周面に沿って環状に配置された磁石12とを有する。実施形態1の内軸ロータ110と外軸ロータ10は設計時の理想的な回転軸Pの軸線が共通しているが、内軸ロータ110と外軸ロータ10とで回転軸の位置が異なっていてもよい。
【0043】
内軸ステータ120は、コイル150が設けられた内軸モータコア130を有する。内軸ロータ110は、内軸モータコア130のコイル150に対する電力供給に応じて回転する。外軸ステータ20は、コイル50が設けられた外軸モータコア30を有する。外軸ロータ10は、外軸モータコア30のコイル50に対する電力供給に応じて回転する。
【0044】
実施形態1の内軸ステータ120は、内軸モータコア130の外側に設けられた円筒状の内軸ステータバックヨーク140を有する。また、実施形態1の外軸ステータ20は、外軸モータコア30の内側に設けられた円筒状の外軸ステータバックヨーク40を有する。実施形態1の内軸ステータバックヨーク140と外軸ステータバックヨーク40は、回転軸方向について一体の部材として設けられた円筒状の部材であり、例えば鉄又は圧粉磁心(ダストコア)からなる。
【0045】
実施形態1の二軸一体型モータ1は、回転軸Pを中心とした径の内側から外側に向かって、内軸ロータ110、内軸ステータ120、外軸ステータ20、外軸ロータ10の順にこれらの構成が配置されている。
【0046】
電動機の出力トルクの大小には回転軸Pから推力発生位置(磁石とコイルの間)までの距離の大小が関わる。このため、外軸ロータ10は相対的に内軸ロータ110よりもトルクが大きくなりやすい。実施形態1では、内軸ロータ110に設けられた磁石112及び内軸ステータ120の軸長を外軸ロータ10に設けられた磁石12及び外軸ステータ20より長くすることで、外軸ロータ10の推力に比して内軸ロータ110の推力をより大きくしている。これによって、実施形態1では外軸ロータ10の出力トルクと内軸ロータ110の出力トルクとの差をより小さくしている。また、このため、内軸ステータ120は、回転軸方向の軸長が外軸ステータ20より長い。
【0047】
内軸ロータヨーク111及び外軸ロータヨーク11の一端側に位置する内軸ロータ110及び外軸ロータ10の出力端部11a,111aには、それぞれ穴11b,111bが設けられている。係る穴11b,111bが設けられた内軸ロータ110及び外軸ロータ10のそれぞれに対して被駆動体を接続固定することで、被駆動体に回転駆動力が伝達される。穴11b,111bの具体的形状は、被駆動体を接続固定する部材の具体的形状に対応する。例えば、当該部材がねじである場合、当該穴は、ねじと螺合するねじ穴である。また、当該部材がねじ目を有しないピン状の部材である場合、当該穴は、ピン状の部材が嵌め込まれる穴である。なお、一端側は、図1における上側(二軸一体型モータ1の出力端側)である。他端側と記載した場合、一端側の反対側(図1における下側)をさす。
【0048】
外軸ステータバックヨーク40の他端側には、外周側に向かって延出する延出部270が設けられている。外周側とは、回転軸Pを中心とした径方向の外側をさす。あるものの内周側と記載した場合、あるものに対して回転軸Pを中心とした径方向の内側をさす。
【0049】
延出部270は、外周側に向かって突出する突出部270aと、突出部270aの外周側端部に比して内周側に外壁面が位置するよう切り欠かれている切欠部270bとを有する。また、延出部270の他端側には、ベース281が固定されている。延出部270とベース281は、留め具243によって接続固定されている。延出部270の他端側には、留め具243の先端が内側に入り込むための穴が設けられている。当該穴の具体的形状は、穴11b,111bと同様、留め具243の具体的形状に対応する。
【0050】
ベース281の外周側の端部は、外軸ロータヨーク11の他端側で外軸ロータヨーク11と非接触の位置に延出する。外軸ロータヨーク11と突出部270aと切欠部270bとベース281とに囲まれた溝状の空間には、緩衝部材271が設けられている。緩衝部材271は、外軸ロータヨーク11と突出部270aとを非接触の位置関係にするとともに延出部270と外軸ロータヨーク11との間の抵抗を最小限にしている。
【0051】
延出部281の外周面が形成する環の径は、外軸ロータヨーク11の径と同一である。また、実施形態1では、二軸一体型モータ1の取り付け対象に対して二軸一体型モータ1を固定する際に用いられる穴282がベース280の他端側に設けられている。
【0052】
ベース281の内周側には第1検出部240が配置されている。すなわち、第1検出部240は、内軸ステータ120の他端側に配置されている。第1検出部240は、内軸ロータ110の回転角度を検出する。具体的には、第1検出部240は、第1回転部241と、第1固定部242とを有する。第1回転部241は、内軸ロータ110に固定されて内軸ロータ110とともに回転する環状の被着磁体である。第1回転部241には、円周方向に沿ってN極とS極とが交互に着磁されている。第1回転部241は、内軸ロータ110と回転軸Pが同一になる位置で内軸ロータ110に固定されている。第1固定部242は、基板242aに設けられた磁気検出回路である。基板242aは、不図示の留め具でベース281に固定される。すなわち、第1固定部242は、外軸ステータバックヨーク40に固定された状態で、第1固定部242に対して相対的に位置変更可能に設けられた第1回転部241の回転角度を検出する。
【0053】
より具体的には、第1回転部241は、固定具241aを介して内軸ロータ110の外周側に固定されている。固定具241aは、回転軸Pに直交する平面状の面部と、面部に対して一端側に延出する円筒状部と、面部と円筒状部とを連続させるように湾曲又は屈曲する曲部とを含む。固定具241aの面部の他端側には第1回転部241が固定されている。また、固定具241aの円筒状部が内軸ロータヨーク111の外周面側に嵌め込まれて固定されている。これによって、第1回転部241は、内軸ロータヨーク111の外周側で、他端側に面するよう固定される。第1固定部242は、基板242aの一端側の面に設けられて第1回転部241と対向する。
【0054】
第1回転部241と第1固定部242は非接触である。このように、第1検出部240は、第1回転部241と第1固定部242がアキシャルギャップを有する位置関係で回転角度を検出する構成であるため、二軸一体型モータ1にモーメント荷重が加わって内軸ロータヨーク111にモーメント変位が生じたとしても、回転角度の検出精度に対する影響を抑制することができる。
【0055】
第1回転部241と内軸ステータ120との間には、磁気遮蔽部材283が配置されている。磁気遮蔽部材283は、ベース281から内周側に延出するよう設けられている。磁気遮蔽部材283は、ベース281と一体であるか、又はベース281に固定される。ベース281は、回転軸Pに直交する平面状の面部と、面部に対して一端側に延出する円筒状部と、面部と円筒状部とを連続させるように湾曲又は屈曲する曲部とを含む。ベース281の面部と第1回転部241の面部とが対向し、ベース281の円筒状部と第1回転部241の円筒状部とが対向する。ベース281と第1回転部241は非接触である。ベース281は例えば金属板を湾曲又は屈曲させたものであるが、ベース281の具体的な組成はこれに限られるものでなく、磁気を有効に遮断可能な構成であればよい。ベース281は金属網又は発泡金属であってもよいし、金属インクのように金属微粒子を含む材料を用いてめっき処理された樹脂等であってもよい。第1検出部240と内軸ステータ120との間に磁気遮蔽部材283が配置されているので、第1検出部240に対する内軸ステータ120からの磁気的影響をより低減することができる。また、磁気遮蔽部材283の配置は、第1回転部241と外軸ステータ20との間でもある。このため、第1検出部240に対する外軸ステータ20からの磁気的影響をより低減することができる。従って、第1検出部240は、より高い精度で内軸ロータヨーク111の回転角度を検出することができる。
【0056】
実施形態1では、第1検出部240の内周側及び他端側を覆うカバー295が設けられている。カバー295は、回転軸Pに直交する平面状の面部と、面部に対して一端側に延出する円筒状部と、面部と円筒状部とを連続させるように湾曲又は屈曲する曲部とを含む。カバー295の面部は、基板242aの他端側で基板242aと対向する。カバー295の円筒状部は、第1回転部241及び第1固定部242の内周面側に位置する。カバー295は、固定部材298によってベース281に対する位置を固定されることで、第1検出部240を他端側からカバーする。
【0057】
カバー295は、ベース281とは別体である。このため、カバー295を取り外すことで、他端側から容易に第1検出部240に対してアクセス可能になる。従って、内軸ロータヨーク111に対する第1回転部241の取り付け位置の調整、ベース281に対する第1固定部242の取り付け位置の調整等、第1検出部240の調整を容易に行うことができる。また、第1検出部240に対するアクセスが他端側から行われるので、一端側の構成(後述する第2検出部250)に不必要にアクセスせず第1検出部240にアクセスすることができる。
【0058】
外軸ステータバックヨーク40の一端側には、軸受部260が配置されている。軸受部260は、第1軸受部261及び第2軸受部265を有する。第1軸受部261は、内軸ロータ110と連動して回転する。第2軸受部265は、外軸ロータ10と連動して回転する。第1軸受部261は、外軸ステータバックヨーク40から一端側に延出する延出部299に対して内周側かつ内軸ロータ110に対して外周側である位置に設けられる。第1軸受部261が内軸ロータ110と延出部299との間に介在していることで、内軸ロータ110は回転可能に軸支される。第2軸受部265は、延出部299に対して外周側かつ外軸ロータ10に対して内周側に設けられる。第2軸受部265が外軸ロータ10と延出部299との間に介在していることで、外軸ロータ10は回転可能に軸支される。
【0059】
二軸一体型モータ1は、第1軸受部261の一端側の端部の回転軸方向の位置と第2軸受部265の一端側の端部の回転軸方向の位置が同一である。具体的には、例えば図1に示すように、2つの軸受262,263を具備する第1軸受部261及び2つの軸受266,267を具備する第2軸受部265のうち相対的に一端側に位置する軸受262と軸受266の各々の一端側の端部同士は、回転軸Pに直交する同一平面に沿う。
【0060】
第1軸受部261は、予圧された軸受262,263を有する。第2軸受部265は、予圧された軸受266,267を有する。実施形態1の軸受262,263,266,267は、定位置予圧を施されているが、定圧予圧その他の予圧であってもよい。軸受262,263,266,267が予圧されていることで、外部からの荷重による外軸ロータヨーク11、内軸ロータヨーク111の変位をより小さくすることができる。すなわち、外軸ロータ10と外軸ステータ20との位置関係の変位及び内軸ロータ110と内軸ステータ120との位置関係の変位をより小さくすることができる。
【0061】
また、図1に示すように、軸受262と軸受263は、外周側に対して背面組合せである。また、軸受266と軸受267は、外周側に対して背面組合せである。これによって、第1軸受部261及び第2軸受部265は、外軸ロータヨーク11及び内軸ロータヨーク111に対するラジアル荷重ならびに外周側からのアキシャル荷重及びモーメント荷重に対する変位をより小さくすることができる。
【0062】
実施形態1では、第1軸受部261及び第2軸受部265がそれぞれ2つの玉軸受である軸受262,263及び軸受266,267を具備する構成であるが、これは第1軸受部261及び第2軸受部265の具体的構成の一例であってこれに限られるものでない。第1軸受部261及び第2軸受部265は、それぞれ1つ以上の軸受を有していればよい。
【0063】
延出部299は、第1軸受部261と第2軸受部265との間に介在する。延出部299の内周面及び外周面には、軸受部260の各部構成に応じた段差、突起、陥没部、穴等が設けられている。また、延出部299の一端側には、支持部材231が固定されている。支持部材231と延出部299は、留め具232によって接続固定されている。延出部299の他端側には、留め具232の先端が内側に入り込むための穴が設けられている。当該穴の具体的形状は、穴11b,111bと同様、留め具232の具体的形状に対応する。
【0064】
軸受部260の一端側には、第2検出部250が配置されている。第2検出部250は、外軸ロータ10の回転角度を検出する。具体的には、第2検出部250は、第2回転部251と、第2固定部252とを有する。第2回転部251は、外軸ロータ10に固定されて外軸ロータ10とともに回転する環状の被着磁体である。第2回転部251には、円周方向に沿ってN極とS極とが交互に着磁されている。第2回転部251は、外軸ロータ10と回転軸Pが同一になる位置で外軸ロータ10に固定されている。第2固定部252は、基板252aに設けられた磁気検出回路である。基板252aは、留め具252bによって支持部材231に固定される。すなわち、第2固定部252は、基板252a、留め具252b、支持部材231及び留め具232を介して延出部299に固定された状態で、第2固定部252に対して相対的に位置変更可能に設けられた第2回転部251の回転角度を検出する。
【0065】
より具体的には、第2回転部251は、基部251aを介して外軸ロータ10の内周側に固定されている。基部251aは、回転軸Pに直交する平面状の面部と、面部に対して一端側に延出する円筒状部と、面部と円筒状部とを連続させるように湾曲又は屈曲する曲部とを含む。基部251aの面部の一端側には第2回転部251が固定されている。また、基部251aの面部は、外軸ロータヨーク11から内周側に突出する突出部11cに固定されている。基部251aと突出部11cは、留め具251bによって接続固定されている。突出部11cの一端側の面には、留め具251bの先端が内側に入り込むための穴が設けられている。当該穴の具体的形状は、穴11b,111bと同様、留め具251bの具体的形状に対応する。
【0066】
第2回転部251は、外軸ロータヨーク11の内周側で、一端側に面するよう固定される。第2固定部252は、基板252aの他端側の面に設けられて第2回転部251と対向する。第2回転部251と第2固定部252は非接触である。このように、第2検出部250は、第2回転部251と第2固定部252がアキシャルギャップを有する位置関係で回転角度を検出する構成であるため、二軸一体型モータ1にモーメント荷重が加わって外軸ロータヨーク11にモーメント変位が生じたとしても、回転角度の検出精度に対する影響を抑制することができる。また、第2検出部250と軸受部260との間には他の構成が配置されない。このため、モーメント荷重が働いたとしても軸受部260を支点とするモーメント変位が第2検出部250にもたらす影響の度合いをより小さく抑えることができる。また、第2検出部250とステータコア部70との間に軸受部260が配置されているので、第2検出部250に対するステータコア部70からの磁気的影響をより低減することができる。これらによって、第2検出部250は、より高い精度で外軸ロータヨーク11の回転角度を検出することができる。
【0067】
第2検出部250に対して一端側には、カバー291が設けられている。カバー291は、例えば出力端部11aが形成する環と出力端部111aが形成する環との間に配置される板状の環であり、回転軸Pに直交する平面に沿って配置されている。カバー291は、例えば留め具292を用いて第2検出部250の一端側に固定されている。留め具292は、例えば留め具252bの一端側に固定されるよう設けられている。留め具292は、留め具252bと異なる位置で支持部材231に接続固定される構成であってもよい。
【0068】
カバー291を取り外すことで、一端側から容易に第2検出部250に対してアクセス可能になる。従って、外軸ロータヨーク11に対する第2回転部251の取り付け位置の調整、支持部材231に対する第2固定部252の取り付け位置の調整等、第2検出部250の調整を容易に行うことができる。また、第2検出部250に対するアクセスが一端側から行われるので、他端側の第1検出部240に不必要にアクセスせず第2検出部250にアクセスすることができる。
【0069】
以上の説明及び図1が示すように、内軸ロータヨーク111の外周側に、一端側から順に、第1軸受部261、内軸ステータ120、磁気遮蔽部材283、第1検出部240が配置されている。また、外軸ロータヨーク11の内周側に、一端側から順に、第2検出部250、第2軸受部265、外軸ステータ20が配置されている。
【0070】
図2は、実施形態1に係るステータコア部70の一例を示す図である。内軸ステータ120が有するコイル150は、第1ドライバ421と電気的に接続されている。第1ドライバ421は、コイル150に第1駆動電流I1を供給することにより、第1ロータ20を駆動する。
【0071】
外軸ステータ20が有するコイル50は、第2ドライバ422と電気的に接続されている。第2ドライバ422は、コイル50に第2駆動電流I2を供給することにより、第2ロータ30を駆動する。
【0072】
第1ドライバ421と第2ドライバ422は、コントローラー420と電気的に接続されている。コントローラー420は、第1ドライバ421と第2ドライバ422とを独立して制御する。コントローラー420は、第1駆動電流I1の電流量と第2駆動電流I2の電流量とを独立に制御する。第1駆動電流I1の電流量によって、第1ロータ20の回転角度が制御される。第2駆動電流I2の電流量によって、第2ロータ30の回転角度が制御される。コントローラー420は、第1ロータ20の回転角度と第2ロータ30の回転角度とを独立に制御する。
【0073】
第1検出部240は、内軸ステータ120に対する内軸ロータヨーク111の回転角度を検出し、コントローラー420に供給する。コントローラー420は、内軸ロータ110が所望の回転角度を得られるように、第1検出部240の検出結果に基づいて第1駆動電流I1の電流量を調節する。
【0074】
第2検出部250は、外軸ステータ20に対する外軸ロータヨーク11の回転角度を検出し、コントローラー420(図2参照)に供給する。コントローラー420は、外軸ロータ10が所望の回転角度を得られるように、第2検出部250の検出結果に基づいて第2駆動電流I2の電流量を調節する。
【0075】
二軸一体型モータ1は、内軸ステータ120と外軸ステータ20との間に設けられた非磁性体45を有する。実施形態1の非磁性体45は、例えば、内軸モータコア130と外軸モータコア30の間に位置する。より具体的には、非磁性体45は、内軸ステータバックヨーク140と外軸ステータバックヨーク40の間に位置し、内軸ステータバックヨーク140及び外軸ステータバックヨーク40の少なくともいずれか一方に固定されている。このように、回転軸Pを中心とした円周方向に沿う内軸ステータ120と外軸ステータ20との隣接位置には非磁性体45が介在している。
【0076】
非磁性体45は、例えば非磁性の合金又は樹脂若しくはこれらの両方を用いた部材である。より具体的には、非磁性体45は、例えばアルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス(例えば、SUS316、SUS316、SUS305等)の非磁性ステンレス合金、合成樹脂のいずれか一つ以上の素材を用いて円筒状に形成された部材である。係る非磁性体45の円筒は、回転軸Pに直交する方向の断面形状が回転軸Pを中心とする。非磁性体45が合金である場合、例えば接着剤による接着又は焼き嵌め等の方法で固定される。非磁性体45が樹脂である場合、内軸ステータバックヨーク140と外軸ステータバックヨーク40の間に予め円筒状に形成された非磁性体45を嵌め込んで接着する方法で固定されてもよいし、内軸ステータバックヨーク140と外軸ステータバックヨーク40の間に樹脂を充填する方法で固着形成されてもよい。
【0077】
図3図4図5は、非磁性体の具体的形状の例であって図2とは異なる形状の例を示す図である。本発明に係る非磁性体は、回転軸Pに直交する方向の断面形状が環状に途切れることなく連続する円筒状でなくてもよく、円弧状の部材であってもよい。具体的には、非磁性体45aは、例えば図3に示すように、断面形状が描く環の1か所が途切れて非連続である形状であってもよい。この場合、例えば非磁性体45aが合金である場合、板状の合金を円弧状に湾曲させることで円筒状の非磁性体45aをより容易に形成することができる。また、非磁性体は、例えば図4図5に示すように、複数の円弧状の部材を組み合わせて全体として円筒状に形成されてもよい。図4では、非磁性体が2つの非磁性部材45b,45bを有する例を示し、図5では、非磁性体が3つの非磁性部材45c,45c,45cを有する例を示しているが、これは一例であってこれに限られるものでない。非磁性体は、4つ以上の部材によって構成されてもよい。また、非磁性体は、回転軸方向についても複数の部材が並べて設けられる構成であってもよい。図3図5における非連続箇所APは、空隙であってもよいし、非連続箇所APを挟んで対向する非磁性体同士が当接していてもよい。また、非連続箇所APに接着剤等が充填されてもよい。以下、非磁性体45,45a及び非磁性体を構成する非磁性部材45b,45cをまとめて非磁性体45等と記載することがある。
【0078】
図6は、実施形態1に係る固定子(ステータ)の具体的構造の一例を示す図である。二軸一体型モータ1が有する固定子(ステータ)の具体的構成例について、図2及び図6を参照して外軸ステータ20を例として説明する。外軸モータコア30は、外周側に位置する環状の縁部31と、縁部31から内側に向かって突出する4以上の芯部32とを有する。芯部32にはそれぞれコイル50が設けられている。外軸モータコア30は、後述する電磁鋼板60が環状に配置された電磁鋼板層が積層された積層構造を有する。縁部31は、係る積層構造によって全体として回転軸Pを中心軸とした円筒形に沿うよう位置している。また、4以上の芯部32及びコイル50は、縁部31の内側で回転軸Pを中心軸とした環状に配置されている。外軸ステータバックヨーク40は、芯部32に対して外軸ロータ10の反対側に位置する。
【0079】
図6では、外軸ステータ20及び内軸ステータ120をZ方向から見ている。また、図6では、芯部32を構成するティース61,161を明示することを目的として、図2で芯部32を取り巻いていたコイル50,150の巻線の一部の図示を省略している。図7は、実施形態1に係る外軸モータコア30が有する電磁鋼板層の積層構造を示す図である。図7では、外軸モータコア30をZ方向に直交する1方向(例えば、Y方向)から見ている。図8は、実施形態1に係る1つの電磁鋼板60を示す図である。
【0080】
外軸モータコア30は、例えば図7に示すように、電磁鋼板層がZ方向に複数積層された構造を有する。1つの電磁鋼板層には、図6及び図7に示すように、電磁鋼板60が環状に複数配置されている。電磁鋼板60は、図6及び図8に示すように、2つのティース61を有する。外軸モータコア30は、積層構造によって複数の電磁鋼板層の各々が有する電磁鋼板60のティース61が積層されることでコイル50の芯部32を形成している。すなわち、例えば図7に示すように、外軸ステータ20に設けられるコイル50の芯として機能する芯部32は、Z方向に積層されたティース61からなる。
【0081】
1つの電磁鋼板60は、例えば図8に示すように、2つのティース61を物理的に連続させている基部62を有する。具体的には、基部62は、例えば1つの電磁鋼板60が有する2つのティース61同士を所定の距離で位置させる円弧状の形状を有する。1つの電磁鋼板層において複数の電磁鋼板60が環状に配置され、かつ、複数の電磁鋼板層が積層されることで、基部62同士が当接して縁部31が形成される。実施形態1では、電磁鋼板60が有する2つのティース61同士は、外軸ロータ10の反対側が非連続である。具体的には、例えば図8に示すように、基部62の反対側において、ティース61の先端は隣接する他のティース61に対して隙間をあけて配置されている。このように、外軸モータコア30の径方向について基部62から突出するよう設けられたティース61同士の間には隙間(スロット)が設けられている。また、電磁鋼板層に配置された電磁鋼板60は、2つのティース61に対して回転子側に位置する基部62から外軸ロータ10の反対側に2つのティース61が突出している。
【0082】
より具体的には、外軸側のモータのような所謂アウタロータの電動機では、基部62が有する円弧の内側に向かうように突出する2つのティース61が電磁鋼板60に設けられている。基部62の形状は必ずしも円弧状でなくてよい。例えば図8等に示すように、基部62のティース61が突出する側はティース61の突出方向に直交する直線状であってもよい。図8に示す電磁鋼板60は、例えると、基部62から2つのティース61が突出することで2つのT字の上辺が連結されているような形状となっている。芯部32を構成するティース61に対してT字の上辺のように円周方向の両側が突出する基部62は、径方向についてコイル50を係止する。これによって、外軸ロータ10が位置する方向に対するコイル50の巻線の延出、飛び出し等を抑制することができる。また、基部62は、連結されたT字の上辺のうちティース61が突出していない側が円弧状になっている。
【0083】
基部62は、1つの電磁鋼板60が有する2つのティース61同士の中間点に対応する部分が他の部分よりも細くなっている。より具体的には、例えば、当該中間点に対応する部分である中間部63は、径方向について内側が凹レンズ断面の湾局形状のように湾曲しており、径方向についての基部62の太さが細まっている。ティース61は、回転軸方向に沿って複数が積層されることで芯部32を形成し、コイル50が設けられる構成であるが、隣接するコイル50同士の間で互いに磁気が回り込むことによる磁界の干渉が生じ得る。係る磁界の干渉は、二軸一体型モータ1の効率をより高める観点においてより低減されることが望ましい。磁気の回り込みは、ティース61同士が物理的に連結されていない開スロットKSよりもティース61同士が物理的に連結されている閉スロットHSで相対的に強く生じる傾向を示す。また、磁気の回り込みは、閉スロットHSにおける物理的な連続の度合いが大きい程相対的に強く生じる傾向を示す。そこで、実施形態1では、ティース61同士の中間点に対応する部分を他の部分よりも細くすることで、磁気の回り込みを抑制している。これによって磁界の干渉による効率の低下を抑制することができ、二軸一体型モータ1の効率をより高い効率とすることができる。なお、図6において括弧付きで符号が付されている中間部63は、符号に括弧が付されていない中間部63を有する電磁鋼板60が配置された電磁鋼板層と異なる電磁鋼板層に配置されている電磁鋼板60の中間部63である。
【0084】
図9は、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板60の配置の2通りの位相のうち一方を示す図である。図10は、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板60の配置の2通りの位相のうち他方を示す図である。図9図10の差異は、同一方向から見た位相の異なる電磁鋼板60の配置の差異を示している。以下、図9に示す一方の位相を第1位相と記載する。また、図10に示す他方の位相を第2位相と記載する。符号PS1は、第1位相の電磁鋼板層を示す。符号PS2は、第2位相の電磁鋼板層を示す。
【0085】
1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板60の配置の位相は、2通りある。外軸ステータ20は、係る2通りの位相の電磁鋼板層を有する。具体的には、2通りの位相同士は、電磁鋼板60の配置の位相が1ティース分ずれている。2つの位相同士で電磁鋼板60の配置の位相が1ティース分ずれていることで、1つの電磁鋼板60が有する2つのティース61の配置は2つの位相間で互い違いになる。具体的には、例えば第1位相において1つの電磁鋼板60が有する2つのティース61であるティース61a,61bのうち一方(ティース61a)が配置されている位置には、第2位相において他方(ティース61b)が位置している。また、第2位相において1つの電磁鋼板60が有するティース61a,61bのうち一方(ティース61a)が配置されている位置には、第1位相において他方(ティース61b)が位置している。図9及び図10では、位相を区別する目的で、2つのティース61のうち一方に符号61aを付し、他方に符号61bを付している。
【0086】
実施形態1では、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板60同士は、隙間をあけて配置されている。具体的には、1つの電磁鋼板層において環状に配置されている電磁鋼板60同士は非接触である。より具体的には、それぞれ異なる電磁鋼板60が有する2つのティース61であって非接触の状態で隣接するティース61同士の間隔と、1つの電磁鋼板60が有する2つのティース61同士の間隔と、が同一になるように1つの電磁鋼板層における環状の配置方向に沿って電磁鋼板60が配置されている。このように、2つのティース61同士の隙間(スロット)が1つの電磁鋼板60が有する2つのティース61同士の隙間(閉スロットHS)であるか異なる電磁鋼板60が有する2つのティース61同士の隙間(開スロットKS)であるかに関わらず、環状に配置されたティース61同士の間隔は同一である。
【0087】
実施形態1では、電磁鋼板60の形状は、それぞれ異なる電磁鋼板60が有する2つのティース61であって非接触の状態で隣接するティース61同士の間隔と1つの電磁鋼板60が有する2つのティース61同士の間隔とを同一にすることができる形状である。具体的には、基部62のうち1つの電磁鋼板60が有する2つのティース61同士を連結するよう延設されている部分の延設長は、ティース61からその延設方向の反対側に向かって突出する部分の延設長の2倍以上である。
【0088】
実施形態1では、隣接する電磁鋼板層同士の複数の電磁鋼板60の配置の位相が異なる。具体的には、外軸モータコア30は、例えば図7に示すように、第1位相の電磁鋼板層PS1と第2位相の電磁鋼板層PS2とが交互に積層されてなる。このため、軸方向について、開スロットKSと閉スロットHSとが交互に並ぶ。また、実施形態1では、例えば図7に示すように、2通りの位相の電磁鋼板層の各々の数が等しい。この場合、外軸モータコア30のスロットは、回転軸方向について2層の電磁鋼板層につき1層が開スロットKSであり1層が閉スロットHSであるスロット(半閉スロット)になる。係る構造によれば、1層の電磁鋼板層が環状に完全に連続する完全な閉スロットHSである構造に比して軽量になる。また、係る構造によれば、ティース61が積層されてなる芯部32に設けられるコイル50同士の間で互いに生じる磁気の回り込みを低減させることができるため、二軸一体型モータ1の効率をより高めることができる。
【0089】
図11は、同一の位相の電磁鋼板層が連続して積層される場合の一例を示す図である。図7に示す例では、回転軸方向に隣接する電磁鋼板層同士の複数の電磁鋼板60の配置の位相が異なっているが、これは積層されている電磁鋼板層同士の位相の関係の一例を示すものであってこれに限られるものでない。例えば図11に示すように、同一位相の連続数が2以上であってもよい。同一位相の連続数とは、同一の位相を有する電磁鋼板層が回転軸方向に沿って連続する数である。図11に示す例の場合、同一位相の連続数は5であるが、4以下又は6以上の任意の自然数であってもよい。
【0090】
なお、インロータの電動機とアウタロータの電動機との差異に係る特筆事項を除いて、外軸ステータ20に係る説明のうち、外軸ステータ20、外軸モータコア30、縁部31、芯部32、コイル50、電磁鋼板60、ティース61,61a,61b、基部62、中間部63、閉スロットHS、開スロットKS、第1位相の電磁鋼板層PS1、第2位相の電磁鋼板層PS2の各構成に係る説明は、各構成の符号をそれぞれ、内軸ステータ120、内軸モータコア130、縁部131、芯部132、コイル150、電磁鋼板160、ティース161,161a,161b、基部162、中間部163、閉スロットhs、開スロットks、第1位相の電磁鋼板層ps1、第2位相の電磁鋼板層ps2と置換することで、内軸ステータ120に係る説明として読み替えることができる。
【0091】
図12は、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板160の配置の2通りの位相のうち一方を示す図である。図13は、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板160の配置の2通りの位相のうち他方を示す図である。内軸側のモータのように所謂インロータの電動機が有する内軸ステータ120では、コイル150が内軸モータコア130の外側に設けられている。具体的には、基部162が有する円弧の外側に向かうように突出する2つのティース161が電磁鋼板160に設けられている。基部162の形状は必ずしも円弧状でなくてよい。例えば、基部162のティース161が突出する側はティース161の突出方向に直交する直線状であってもよい。また、内軸ステータバックヨーク140は、内軸モータコア130の外側に設けられている。
【0092】
以上説明したように、実施形態1によれば、第2検出部250の調整を一端側(二軸一体型モータ1の出力端側)から行うことができる。また、第1検出部240の調整を二軸一体型モータ1の他端側から行うことができる。このように、2つの検出部を個別に調整することができる。
【0093】
また、軸受262,263,266,267が予圧されることで、外部からの荷重による内軸ロータ110、外軸ロータ10の変位をより小さくすることができる。
【0094】
また、内軸ステータ120がコイル150を有し、外軸ステータ20がコイル50を有することで、回転する内軸ロータ110及び外軸ロータ10の構成をより単純にすることができる。
【0095】
また、回転軸Pから径方向に向かって、内軸ロータ110、内軸ステータ120、外軸ステータ20、外軸ロータ10の順で配置されており、内軸ステータ120と外軸ステータ20との隣接位置に非磁性体45等が介在しているので、非磁性体45等によって内軸ステータ120と外軸ステータ20の各々に生じる磁界の干渉を非磁性体45等によって抑制することができる。よって、磁界の干渉をより抑制することができる。
【0096】
また、内軸ステータ120は、コイル150が設けられた内軸モータコア130を有し、外軸ステータ20は、コイル50が設けられた外軸モータコア30を有し、非磁性体45等は、内軸モータコア130と外軸モータコア30の間に位置する。従って、磁界を生じるコイル50,150が設けられた内軸モータコア130と外軸モータコア30との間に非磁性体45等が介在するので、より確実に磁界の干渉を抑制することができる。
【0097】
また、内軸ステータ120は、内軸モータコア130の外側に設けられた円筒状の内軸ステータバックヨーク140を有し、外軸ステータ20は、外軸モータコア30の内側に設けられた円筒状の外軸ステータバックヨーク40を有し、非磁性体45等は、内軸ステータバックヨーク140と外軸ステータバックヨーク40の間に位置する。従って、非磁性体45等の形状は、係る円筒状の内軸ステータバックヨーク140と外軸ステータバックヨーク40の間に収まる形状であればよくなる。よって、より簡便に非磁性体45等を設けることができる。
【0098】
また、非磁性体45等は、回転軸Pに直交する方向の断面形状が回転軸Pを中心とする円弧状の部材である。従って、回転軸Pを中心とした円筒状の形状に二軸一体型モータ1を収めやすくなる。
【0099】
また、非磁性体45等は、非磁性の合金又は樹脂である。従って、より確実に磁界の干渉を非磁性体45等によって抑制することができる。また、入手が比較的容易な材料で非磁性体45等を設けることができ、より低コストで磁界の干渉を抑制することができる。
【0100】
さらに、第2検出部250が軸受部260及びステータコア部70よりも一端側、すなわち、内軸ロータ110及び外軸ロータ10の出力軸側に位置しているので、第1検出部240及び第2検出部250の芯出しならびに内軸ロータ110及び外軸ロータ10がそれぞれ0度として検出される回転角度のギャップ調整を二軸一体型モータ1の出力軸で行うことができる。よって、出力軸側で行われる芯出し及びギャップ調整における第2検出部250へのアクセスに際して軸受部260及びステータコア部70の配設による物理的な遮蔽の影響を抑制することができることから、2つのロータの回転角度を検出する第2検出部250の検出精度確保をより簡便に行うことができる。さらに、第2検出部250とステータコア部70の間に軸受部260が位置するので、第2検出部250とステータコア部70とを離すことができ、第2検出部250に対するステータコア部70からの磁気的影響をより低減することができる。
【0101】
さらに、電動機の出力トルクの大小には回転軸Pから推力発生位置(磁石とコイルの間)までの距離の大小が関わるために外軸ロータ10が相対的に内軸ロータ110よりも出力トルクが大きくなりやすいことを考慮し、内軸ロータ110に設けられた磁石112及び内軸ステータ120を、回転軸方向の軸長が外軸ロータ10に設けられた磁石12及び外軸ステータ20より長くしている。従って、外軸ロータ10の推力に比して内軸ロータ110の推力をより大きくすることができ、外軸ロータ10の出力トルクと内軸ロータ110の出力トルクとの差をより小さくしやすくなる。
【0102】
さらに、第1検出部240の回転軸方向の位置と第2検出部250の回転軸方向の位置が同一である。従って、二軸一体型モータ1の軸長をよりコンパクトにすることができる。また、第1検出部240と第2検出部250のうち一方が他方を回転軸方向について遮蔽することがないことから、2つのロータの回転角度を検出する第2検出部250の検出精度確保をより簡便に行うことができる。
【0103】
さらに、第1軸受部261の一端側の端部の回転軸方向の位置と第2軸受部265の一端側の端部の回転軸方向の位置が同一である。従って、二軸一体型モータ1の軸長をよりコンパクトにすることができる。
【0104】
さらに、回転軸Pから径方向の外側に向かって、内軸ロータ110、ステータコア部70、外軸ロータ10の順で配置されている。従って、内軸ステータ120及び外軸ステータ20を内軸ロータ110と外軸ロータ10との間に集約して配置することができることから、二軸一体型モータ1の径をよりコンパクトにすることができる。
【0105】
さらに、回転軸Pから径方向の外側に向かって、第1回転部241、第1固定部242、第2固定部252、第2回転部251の順で配置されている。従って、第1固定部242及び第2固定部252を第1回転部241と第2回転部251との間に集約して配置することができることから、二軸一体型モータ1の径をよりコンパクトにすることができる。
【0106】
さらに、第1検出部240及び第2検出部250に対して一端側に第1検出部240及び第2検出部250を被覆するカバー291が設けられている。従って、芯出し及びギャップ調整が完了した後にカバー291を設けることで第2検出部250を保護することができる。
【0107】
さらに、1つの電磁鋼板60が有するティース61を2つとして係る電磁鋼板60を環状に配置することでより1つの電磁鋼板層により多くのティース61が設けられるので、ティース61の形状のばらつきをより低減することができる。すなわち、一体的に形成されるティース61は1つの電磁鋼板60につき2つであるため、この2つのティース61の形状の整合性について精度を確保することで全てのティース61の形状の整合性について精度を確保することができる。また、1つの電磁鋼板層に複数の電磁鋼板60が環状に配置されることで、1つの電磁鋼板60が磁気的な方向性を有していたとしても1つの電磁鋼板層が1つの電磁鋼板60が有する磁気的な方向性に支配されにくくなり、各ティース61の磁気特性のばらつきをより低減することができる。また、2つのティース61を有する電磁鋼板60を環状に配置した電磁鋼板層を異なる2つの位相で積層するので、位相の異なる電磁鋼板層の積層による立体的な構造によって十分な剛性を確保することができる。
【0108】
さらに、2通りの位相同士は、電磁鋼板60の配置の位相が1ティース61分ずれている。従って、異なる位相の電磁鋼板層が積層される位置では2つのティース61を有する電磁鋼板60が互い違いになる。よって、位相の異なる電磁鋼板60同士が積層されることで環状に連続する構造を形成することができることから、環状の構造体として十分な剛性を確保することができる。
【0109】
さらに、電磁鋼板60が有する2つのティース61同士は、外軸ロータ10の反対側が非連続である。従って、ティース61が積層された芯に対してあらかじめ形成されたコイル50を嵌め込むことができ、コイル50を設けやすくなる。
【0110】
さらに、1つの電磁鋼板層における複数の電磁鋼板60同士は、隙間をあけて配置されている。従って、電磁鋼板層が環状に完全に連続している構造に比して軽量化することができる。また、コイル50同士の間で互いに生じる磁気の回り込みを低減させることができるため、二軸一体型モータ1の効率をより高めることができる。
【0111】
さらに、2通りの位相の電磁鋼板層の各々の数が等しい。従って、強度及び磁気特性について外軸ステータ20全体でバランスをとりやすくなる。
【0112】
さらに、回転軸方向に隣接する電磁鋼板層同士の複数の電磁鋼板60の配置の位相が異なる。従って、2つの層の電磁鋼板層が積層される位置では2つのティース61を有する電磁鋼板60が互い違いになる。よって、位相の異なる電磁鋼板60同士が積層されることで環状に連続する構造を形成することができることから、環状の構造体としてより確実に十分な剛性を確保することができる。
【0113】
さらに、1つの電磁鋼板60において2つのティース61を物理的に連続させている基部62は、当該2つのティース61同士の中間点に対応する部分が他の部分よりも細くなっている。従って、環状の方向に隣接するコイル50同士の間で互いに生じる磁気の回り込みを低減することができ、二軸一体型モータ1の効率をより高い効率とすることができる。
【0114】
さらに、外軸ステータ20は、ティース61に対して外軸ロータ10の反対側に設けられた円筒状のヨークを有し、ヨークは、回転軸方向について一体である。従って、電磁鋼板層の積層方向について一体であるヨークによって外軸ステータ20が支持されるので、より確実に十分な剛性を確保することができる。
【0115】
なお、上記の実施形態における第2検出部250は磁気エンコーダであるが、これは一例であってこれに限られるものでない。第2検出部250は、例えば光学式のエンコーダ等であってもよい。
【0116】
実施形態1に係る二軸一体型モータは、小型部品の搬送装置、電子部品検査装置、半導体検査装置など、各種産業機械のアクチュエータとしての使用が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
(実施形態2)
図14は、実施形態2のアクチュエータ301の部分断面図である。図14の断面は、回転軸Pを含む平面による断面であるが、後述するナット351の内部構成は、省略している。図14の断面において、固定部材の位置を示すため、適宜、他の断面がわかるように、部分断面が示されている。図15は、図14における要部(二軸一体型モータ1)を示す要部断面図である。図16は、図14における要部(後述するスプライン外筒用ハウジング)を示す要部断面図である。図17は、ネジ部を上昇させた状態を示す図である。
【0118】
図14に示すアクチュエータ301は、例えば、ピックアンドプレース装置として用いられる。アクチュエータ301は、ワークを移送するアーム部380と、アーム部380を駆動する二軸一体型モータ1と、二軸一体型モータ1に接続されたボールねじ350及びボールスプライン360と、を有する。以下、Z軸に平行な方向であって、二軸一体型モータ1からアーム部380に向けた方向を上方とし、アーム部380から二軸一体型モータ1に向けた方向を下方として説明する。
【0119】
アーム部380は、例えば、単一のアームのみを有する片持ちのアームである。アクチュエータ301は、例えば、アーム部380の回転軸PをZ方向に向けて図示略の支持台に固定されている。図14に示すように、アクチュエータ301は、アーム部380をZ方向(直動方向)に移動させてアーム部380をZ方向に上下させ、アーム部380をZ方向と直交する任意の平面内で、回転軸Pの軸回り方向に回転あるいは回動させてワークを所望の位置に移送する。
【0120】
アクチュエータ301は、後述のナット351に連結される連結ブラケット323,324を有する。内軸ロータヨーク111は、回転軸Pの周りに筒状に設けられている。内軸ロータヨーク111は、内径側の円筒出力軸とも言える。内軸ロータ110の内径は、後述のナット351及びスプライン外筒361の外形よりも小さくなっている。
【0121】
連結ブラケット323は、筒状に形成され、内軸ロータヨーク111の内周側に配置されている。実施形態2において、連結ブラケット323は、内軸ロータヨーク111の上端に固定され、内軸ロータヨーク111の内周に沿って下方に延びている構成である。連結ブラケット324は、連結ブラケット323の下端に固定され、連結ブラケット323から下方に延びている構成である。したがって、内軸ロータヨーク111から後述のナット351までの間は、内軸ロータヨーク111の上端から内側下方に折り返されるように連結ブラケット323,324が連結された構成となっている。
【0122】
ボールねじ350は、ナット351と、ネジ軸(第1部分)352と、不図示の転動体とを有する。ナット351は、内軸ロータヨーク111の下方に配置されている。つまり、ナット351は、内軸ロータ110に対して回転軸方向の下方の外側に配置されている。ナット351は、内軸ロータ110と同軸に配置され、内軸ロータ110の回転とともに回転する。ナット351は、フランジ部351aを有する。フランジ部351aは、固定部材351bにより連結ブラケット324に固定されている。ナット351は、当該連結ブラケット324と、連結ブラケット323とを介して内軸ロータヨーク111に連結されている。例えば、内軸ロータヨーク111と連結ブラケット323との間は、固定部材326で固定されている。また、連結ブラケット323と連結ブラケット324との間は、固定部材327で固定されている。固定部材326、27としては、例えばボルト等が用いられる。ナット351は、連結ブラケット323,324により、内軸ロータヨーク111と一体に設けられる。したがって、ナット351は、内軸ロータ110が回転する場合、内軸ロータ110と一体で回転軸Pの軸回り方向に回転する。
【0123】
ネジ軸352は、内軸ロータ110から下方に突出している。ネジ軸352は、ナット351の内径側に挿入されている。ネジ軸352は、ナット351と螺合している。ナット351が回転すると、回転に応じてネジ軸352が軸方向(Z方向)に移動する。ナット351の内部には、転動体が配置される。
【0124】
ボールねじ350には、負作動電磁ブレーキ353が設けられる。負作動電磁ブレーキ353は、フィールド353aと、サイドプレート353bと、アーマチュア353cと、ブレーキディスク353dと、電磁コイル353eとを有する。フィールド353a内には、不図示のコイルばねが配置されている。コイルばねは、アーマチュア353cをブレーキディスク353d側に押し付ける。電磁コイル353eの通電時には、コイルばねの弾性力よりも強い力でアーマチュア353bがフィールド353a側に引き付けられ、ブレーキディスク353dが開放される。また、電磁コイル353eの非通電時には、電磁コイル353eによる引き付け力が作用しなくなるため、コイルばねの弾性力によりアーマチュア353cがブレーキディスク353d側に急速に押し付けられる。ブレーキディスク353dは、連結ブラケット324の下方側の端部324aに連結されており、当該連結ブラケット324を介してナット351に連結される。ブレーキディスク353dが開放される場合には、ナット351が回転可能となる。また、ブレーキディスク353dにアーマチュア353cが押し付けられる場合には、ブレーキディスク353dの回転が規制され、これによりナット351の回転が規制される。したがって、電磁コイル353eの非通電時には、ネジ軸352の落下が抑制される。なお、負作動電磁ブレーキ353の構成については、上記構成に限定されず、他の構成であってもよい。
【0125】
ネジ軸352の下端部には、ストッパ354が取り付けられている。ストッパ354は、ネジ軸352の上昇を規制する。
【0126】
ボールスプライン360は、スプライン外筒361と、シャフト(第2部分)362と、不図示の転動体とを有する。スプライン外筒361は、外軸ロータヨーク11の上方に配置されている。つまり、スプライン外筒361は、内軸ロータ110に対して回転軸方向の上方の外側に配置されている。スプライン外筒361は、外軸ロータ10と同軸に配置され、外軸ロータ10の回転とともに回転する。スプライン外筒361は、連結ブラケット333を介して外軸ロータヨーク11に連結されている。例えば、外軸ロータヨーク11と連結ブラケット333との間は、固定部材36で固定されている。固定部材36としては、例えばボルト等が用いられる。スプライン外筒361は、連結ブラケット333により、外軸ロータヨーク11と一体に設けられる。したがって、スプライン外筒361は、外軸ロータ10が回転する場合、外軸ロータ10と一体で回転軸Pの軸回り方向に回転する。
【0127】
スプライン外筒361の上端には、連結ブラケット334が配置されている。連結ブラケット334は、固定部材337により連結ブラケット333に固定されている。固定部材337としては、例えばボルト等が用いられる。
【0128】
シャフト362は、内軸ロータ110から上方に突出している。シャフト362は、スプライン外筒361の内径側に挿入されている。シャフト362は、下端側が連結部356を介してネジ軸352と一体に連結されている。実施形態2においては、ネジ軸352とシャフト362とが連結部356において圧入され、一体となって軸部材SFを構成している。連結部356には、ネジ軸352とシャフト362とを圧入する際に空気を逃がす孔部356aが設けられる。シャフト362は、回転軸方向に平行な溝部362aが周方向に複数並んで設けられる。シャフト362は、上端に縮径部362bを有する。縮径部362bは、後述のアーム取り付け部材370に固定される。
【0129】
また、スプライン外筒361の内周面には、シャフト362の溝部362aに対応した突出部が周方向に複数並んで設けられる。シャフト362の溝部362aにスプライン外筒361の突出部が挿入されることにより、回転軸Pの軸回り方向におけるスプライン外筒361とシャフト362との相対移動が規制され、かつ、回転軸方向におけるスプライン外筒361とシャフト362との相対移動が許容される。このため、スプライン外筒361が回転する場合、回転に応じてシャフト362が軸方向(Z方向)に移動する。また、スプライン外筒361を回転させない状態でナット351の回転によりネジ軸352が回転軸方向に移動する場合、シャフト362がネジ軸352と共に回転軸方向に移動する。スプライン外筒361の内部には、転動体が配置される。
【0130】
ハウジング340は、モータ用ハウジング341と、ナット用ハウジング342と、スプライン外筒用ハウジング343とを有する。モータ用ハウジング341は、例えば円筒状に形成され、二軸一体型モータ1を収容する。
【0131】
ナット用ハウジング342は、フランジ部342aと、筒状部342bとを有する。フランジ部342aは、円環状に形成され、固定部材44によりモータ用ハウジング341の下端に固定される。フランジ部342aには、ステータコア固定ハウジング17を固定する固定部材45が取り付けられる。固定部材45により、ステータコア11がハウジング340に対して固定される。筒状部342bは、フランジ部342aの内周から下方に延びている。筒状部342bは、ボールねじ350のナット351を収容する。筒状部342bの下端には、負作動電磁ブレーキ353が固定される。
【0132】
また、ナット用ハウジング342は、連結ブラケット324との間で第3軸受部328を保持する。第3軸受部328は、1つ以上の転がり軸受を有する。第3軸受部328は、ナット351を回転自在に支持している。第3軸受部328は、例えば転がり軸受である。第3軸受部328は、ウェーブワッシャ329a及び押さえ部材329bを介してフランジ部342aに支持されている。第3軸受部328は、ウェーブワッシャ329a及び押さえ部材329により、筒状部342b側に押し付けられている。例えば、アーム部380により物体を支持し、アーム部380及び物体の荷重の重心が回転軸Pと一致しない場合又はアーム部380及び物体の回転モーメントを受ける場合には、軸部材SFが回転軸Pに対して傾く方向に力を受ける可能性がある。これに対して、第3軸受部328がウェーブワッシャ329a及び押さえ部材329bを介してナット用ハウジング342及び固定台STで径方向に支持されているので、回転軸方向に直交する方向へのナット351の変位又は振動が抑制される。
【0133】
スプライン外筒用ハウジング343は、フランジ部343aと、第1筒状部343bと、第2筒状部343cとを有する。フランジ部343aは、円環状に形成され、固定部材346によりモータ用ハウジング341の上端に固定される。また、フランジ部343aは、固定部材347により、固定台STに固定される。フランジ部343aが固定台STに固定されることにより、アクチュエータ301が固定台STに固定される。
【0134】
第1筒状部343bは、円筒状に形成され、フランジ部343aの内周から上方に延びている。第1筒状部343bは、ボールスプライン360のスプライン外筒361を収容する。第1筒状部343bは、第1段部343d及び第2段部343eを介して第2筒状部343cに接続される。
【0135】
第1筒状部343bは、第1段部343dにおいて、連結ブラケット334との間で第4軸受部338を保持する。第4軸受部338は、1つ以上の転がり軸受を有する。第4軸受部338は、スプライン外筒361を回転自在に支持している。第4軸受部338は、例えば転がり軸受である。第4軸受部338は、ウェーブワッシャ339a及び押さえ部材339bを介して第2段部343eに支持されている。第4軸受部338は、ウェーブワッシャ339a及び押さえ部材339bにより、連結ブラケット334側に押し付けられている。また、第4軸受部338は、スプライン外筒用ハウジング343及び固定台ST(図14参照)で径方向に支持されている。例えば、アーム部380により物体を支持し、アーム部380及び物体の荷重の重心が回転軸Pと一致しない場合又はアーム部380及び物体の回転モーメントを受ける場合には、軸部材SFが回転軸Pに対して傾く方向に力を受ける可能性がある。これに対して、第4軸受部338がウェーブワッシャ339a及び押さえ部材339bを介してスプライン外筒用ハウジング343及び固定台STで径方向に支持されているので、回転軸方向に直交する方向へのスプライン外筒361の変位又は振動が抑制される。
【0136】
第2段部343eには、エア供給部343fが設けられる。エア供給部343fは、エアパージ用のエア継手を取り付け可能である。エア供給部343fは、外部と、第2筒状部343cとシャフト362との間に形成される空間との間を連通する。エア供給部343fには、閉塞用のボルト343gが設けられている。ボルト343gは、エア供給部343fに着脱可能に取り付けられる。ボルト343gは、エア供給部343fに埃等の異物が入らないように閉塞する。
【0137】
第2筒状部343cは、円筒状に形成され、第1筒状部343bの上端から上方に延びている。第2筒状部343cは、第1筒状部343bよりも径が小さい。第2筒状部343cは、シャフト362の外周面の一部を覆うように配置される。例えば、図14に示すように、回転軸方向についての第2筒状部343cの寸法は、軸部材SFが最も下端に配置された状態で、第2筒状部343cの上端と軸部材SFの上端(シャフト362の上端)とが面一状態となるように設定される。
【0138】
アーム取り付け部材370は、シャフト362の先端(上端)に連結される。アーム取り付け部材370は、連結部371と、筒状部372と、蓋部373とを有する。連結部371は、シャフト362の縮径部362bに連結される。連結部371は、縮径部362bを貫通させる貫通部371aと、連結部材374を挿入する陥没部371bと、アーム380を取り付けるアーム取り付け面371cと、蓋部373を取り付ける蓋部取り付け面371dとを有する。
【0139】
貫通部371aは、縮径部362bの形状に対応して形成される。陥没部371bは、貫通部371aに縮径部362bを挿入した状態において、縮径部362bとの間に空間を形成する。この空間には、連結部材374が配置される。連結部材374は、対向する等しい傾斜のテーパ面が形成された凹状部材374a及び凸状部材374bを有する。凹状部材374aは、環状に形成され、陥没部371bの内周に接して配置される。凸状部材374bは、環状に形成され、陥没部371bの内側に挿入される。凸状部材374bの内周は、縮径部362bの外周に接して配置される。連結部材374は、固定部材75により凸状部材374bが凹状部材374aの内側に圧入されて固定される。これにより、陥没部371bの内周と凹状部材374aの外周との間、凹状部材374aのテーパ面と凸状部材374bのテーパ面との間、及び、凸状部材374bの内周と縮径部362bの外周との間が、互いに押し付け合った状態となる。そのため、陥没部371b、凹状部材374a、凸状部材374b及び縮径部362bの間にそれぞれ摩擦力が生じる。この摩擦力により、アーム取り付け部材370が縮径部362bに一体で連結される。
【0140】
アーム取り付け面371cは、アーム380が取り付けられる。アーム取り付け面371cには、アーム380を固定するための不図示の固定部材を挿入する挿入孔371eが設けられている。蓋部取り付け面371dは、後述の蓋部373が取り付けられる。
【0141】
筒状部372は、円筒状に形成され、連結部371からスプライン外筒361側(下方)に延びた状態で設けられる。筒状部372は、スプライン外筒用ハウジング343の第2筒状部343cよりも外側に配置され、第2筒状部343cの先端(上端)を収容する。筒状部372は、下端部に段部372aを有する。段部372aは、内周面の下端が拡径された構成である。段部372aには、シール部377が配置される。シール部377は、筒状部372とスプライン外筒用ハウジング343の第2筒状部343cとの間に形成される隙間を封止する。シール部377としては、例えば断面視でU字状又はコ字状の部材をリング状に形成した構造等が挙げられる。シール部377は、例えば弾性変形可能な材料を用いて形成される。シール部377は、段部372aの内周面と第2筒状部343cの外周面との間に当接されて弾性変形した状態で配置される。シール部377により、シャフト362が外部から保護された状態となる。なお、段部372aの下端部には、内側に突出する突起部が形成される。この突起部により、シール部377の落下が抑制される。また、電源遮断時においては、シール部377のシール抵抗により、シャフト362(軸部材SF)の回転が抑制される。
【0142】
また、図14及び図16に示すように、筒状部372と第2筒状部343cとの間に円筒状の隙間が形成される。この隙間により、シャフト362と外部との間にラビリンス構造が形成されるため、防塵性及び防水性が高められる。
【0143】
蓋部373は、ボルト等の固定部材376により連結部371の蓋部取り付け面371dに取り付けられる。蓋部373は、シャフト362の縮径部362bを外部環境から保護する。
【0144】
アクチュエータ301において、アーム380を回転軸方向(Z方向)に移動させる場合、コントローラー420は、外軸ロータ10を回転させることなく、内軸ロータ110を回転軸Pの軸回り方向の一方又は他方に回転させる。この場合、内軸ロータ110の回転に伴ってボールねじ350のナット351が一体となって回転する。ナット351の回転により、ナット351とネジ軸352とが回転軸Pの軸回り方向に相対的に回転するため、ネジ軸352がZ方向に移動する。ネジ軸352の移動により、ネジ軸352と一体に連結されたシャフト362、つまり軸部材SFがZ方向に移動する。軸部材SFの移動により、シャフト362の上端に連結されたアーム取り付け部材370及びアーム380がZ方向に移動する。軸部材SFを上方に移動させる場合、図17に示すように、ネジ軸352の下端のストッパ354が連結ブラケット324の下端に当接し、軸部材SFの上方への移動が規制される。また、軸部材SFを下方に移動させる場合、図14及び図16に示すように、連結部371がスプライン外筒用ブラケット343の第2筒状部343cの上端に当接し、軸部材SFの下方への移動が規制される。
【0145】
アクチュエータ301において、アーム380を回転軸Pの軸線周り方向に移動させる場合、コントローラー420は、内軸ロータ110及び外軸ロータ10を同期させて回転させる。この場合、内軸ロータ110の回転に伴ってボールねじ350のナット351が一体となって回転する。また、外軸ロータ10の回転に伴ってボールスプライン360のスプライン外筒361が一体となって回転する。スプライン外筒361の回転により、シャフト362がスプライン外筒361と一体で回転する。シャフト362の回転により、シャフト362と連結されたネジ軸362、つまり軸部材SFが回転する。したがって、ボールねじ350においては、ナット351とネジ軸352とが相対的に回転することが無く、ボールねじ350のネジ軸352はナット351に対してZ方向に移動しない。つまり、軸部材SFは、Z方向に移動することなく、回転軸Pの軸回り方向に回転する。この軸部材SFの回転により、アーム取り付け部材370及びアーム380が回転軸Pの軸回り方向に回転する。
【0146】
以上説明した実施形態2のアクチュエータ301は、ハウジング340と、内軸ロータ110と、外軸ロータ10と、軸部材SF(ネジ軸352及びシャフト362)と、ナット351と、スプライン外筒361と、を備える。内軸ロータ110は、ハウジング340に対して回転自在である。外軸ロータ10は、内軸ロータ110の径方向外側に配置され、ハウジング340に対して回転自在である。軸部材SFは、内軸ロータ110の回転軸方向に内軸ロータ110を貫通して配置され、内軸ロータ110から回転軸方向の一方に突出するネジ軸352を有し、内軸ロータ110から回転軸方向の他方に突出するシャフト362に回転軸方向に沿った溝部362aを有する。ナット351は、内軸ロータ110に対して回転軸方向の下方の外側に配置され、ネジ軸352に螺合され、内軸ロータ110と共に回転して軸部材SFを回転軸方向に移動させる。スプライン外筒361は、内軸ロータ110に対して回転軸方向の上方の外側に配置され、溝部362aに沿って軸部材SFを回転軸方向に案内し、かつ外軸ロータ10と共に回転して軸部材SFを外軸ロータ10の回転軸Pの軸回り方向に回転させる。
【0147】
この構成によれば、ナット351及びスプライン外筒361が内軸ロータ110に対して回転軸方向の外側に配置されるため、内軸ロータ110及び外軸ロータ10を径方向について小型化することができる。これにより、フットプリントを小さくすることができる。また、スプライン外筒361により、外軸ロータ10を回転させる際の軸部材SFの連れ回りを抑制することが可能となる。
【0148】
実施形態2のアクチュエータ301は、内軸ロータ110の内径は、ナット351及びスプライン外筒361の外径よりも小さい。この構成によれば、内軸ロータ110及び外軸ロータ10を径方向について小型化することができる。
【0149】
実施形態2のアクチュエータ301は、シャフト362の先端に連結され、アーム380を取り付けるアーム取り付け部材370を更に備える。この構成によれば、アーム取り付け部材370にアーム380を取り付けることで、搬送装置を構成することができる。
【0150】
実施形態2のアクチュエータ301において、ハウジング340は、スプライン外筒361を収容しシャフト362の一部を覆うスプライン外筒用ハウジング343を有し、アーム取り付け部材370は、スプライン外筒361側に延びてスプライン外筒用ハウジング343の回転軸方向の先端を収容する筒状部372を有し、筒状部372は、スプライン外筒用ハウジング343との間でシャフト362を封止する隙間72bを有する。この構成によれば、外部環境からのシール性を確保することができる。
【0151】
実施形態2のアクチュエータ301は、ナット351は、第3軸受部328を介してハウジング340に支持され、スプライン外筒361は、第4軸受部338を介してハウジング340に支持される。この構成によれば、ナット351及びスプライン外筒361の変位を抑制できる。
【0152】
実施形態2のアクチュエータ301は、ナット351に接続された負作動電磁ブレーキ353を更に備える。この構成によれば、軸部材SFの落下を抑制できる。
【0153】
また、実施形態2のアクチュエータ301は、ハウジング340と、内軸ロータ110と、外軸ロータ10と、軸部材SF(ネジ軸352及びシャフト362)と、ナット351と、スプライン外筒361と、を備える。内軸ロータ110は、ハウジング340に対して回転自在である。外軸ロータ10は、内軸ロータ110の径方向外側に配置され、ハウジング340に対して回転自在である。軸部材SFは、内軸ロータ110の回転軸方向に内軸ロータ110を貫通して配置され、内軸ロータ110から回転軸方向の一方に突出するネジ軸51を有し、内軸ロータ110から回転軸方向の他方に突出するシャフト362に回転軸方向に沿った溝部362aを有する。ナット351は、ネジ軸352に螺合され、内軸ロータ110と共に回転して軸部材SFを回転軸方向に移動させる。スプライン外筒361は、溝部362aに沿って軸部材SFを回転軸方向に案内し、かつ外軸ロータ10と共に回転して軸部材SFを外軸ロータ10の回転軸Pの軸回り方向に回転させる。
【0154】
この構成によれば、スプライン外筒361により、外軸ロータ10を回転させる際の軸部材SFの連れ回りを抑制することが可能となる。
【0155】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に記載されたものに限定されない。例えば、上記の実施形態では、内側の内軸ロータ110にボールねじ350のナット351を連結し、外側の外軸ロータ10にボールスプライン360のスプライン外筒361を連結する構成としたが、これに限定されない。例えば、内側の内軸ロータ110にボールスプライン360のスプライン外筒361を連結し、外側の外軸ロータ10にボールねじ350のナット351を連結する構成としてもよい。
【0156】
また、上記の実施形態では、二軸一体型モータ1に対して上側にボールスプライン360が配置され、下側にボールねじ350が配置された構成としたが、これに限定されない。例えば、二軸一体型モータ1に対して上側にボールねじ350が配置され、下側にボールスプライン360が配置された構成としてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1 二軸一体型モータ
10 外軸ロータ
11 外軸ロータヨーク
11a,111a 出力端部
12,112 磁石
20 外軸ステータ
30 外軸モータコア
40 外軸ステータバックヨーク
45,45a 非磁性体
45b,45c 非磁性部材
50,150 コイル
70 ステータコア部
110 内軸ロータ
111 内軸ロータヨーク
120 内軸ステータ
130 内軸モータコア
140 内軸ステータバックヨーク
240 第1検出部
250 第2検出部
261 第1軸受部
265 第2軸受部
283 磁気遮蔽部材
301 アクチュエータ
328 第3軸受
338 第4軸受
340 ハウジング
341 モータ用ハウジング
342 ナット用ハウジング
342a,343a フランジ部
342b,372 筒状部
343 スプライン外筒用ハウジング
343b 第1筒状部
343c 第2筒状部
350 ボールねじ
351 ナット
352 ネジ軸
353 負作動電磁ブレーキ
354 ストッパ
356,371 連結部
360 ボールスプライン
361 スプライン外筒
362 シャフト
362a 溝部
362b 縮径部
370 アーム取り付け部材
372a 段部
372b 隙間
374 連結部材
374a 凹状部材
374b 凸状部材
380 アーム部,アーム
P 回転軸
SF 軸部材
ST 固定台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17