(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190156
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】人形体の腕部および人形体
(51)【国際特許分類】
A63H 3/36 20060101AFI20221215BHJP
A63H 3/46 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A63H3/36 G
A63H3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178151
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2019233291の分割
【原出願日】2019-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 篤史
(72)【発明者】
【氏名】山中 信弘
(72)【発明者】
【氏名】林田 翔一
(72)【発明者】
【氏名】生頼 卓也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 稜介
(57)【要約】
【課題】人形体が形成可能な姿勢の多様化に有利な技術を提供する。
【解決手段】人形体の腕部であって、前記腕部は、前腕部と、前記前腕部に対して回動可能な手部と、を備え、前記前腕部は、前記前腕部に対する前記手部の回動と共に回動する回動部分を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形体の腕部であって、
前腕部と、
前記前腕部に対して回動可能な手部と、を備え、
前記前腕部は、前記前腕部に対する前記手部の回動と共に回動する回動部分を含む
腕部。
【請求項2】
前記前腕部は、
前記人形体の胴体部側に位置する前腕部内側部と、
前記前腕部内側部に対して外方に位置する前腕部外側部と、
を含み、
前記回動部分は前記前腕部外側部である
請求項1記載の腕部。
【請求項3】
上腕部と、前記上腕部と前記前腕部とを互いに回動可能に連結する肘部と、を更に備え、
前記手部は、前記前腕部側に位置する手首部を含み、
前記前腕部の延在する方向を第1方向とし、前記第1方向を軸とする周方向を第2方向としたとき、前記前腕部外側部は、一端部では前記手首部に対して保持されており、他端部では前記肘部に対して前記第2方向に回動可能に保持されている
請求項2記載の腕部。
【請求項4】
前記手部は、前記前腕部に対して少なくとも前記第2方向に回動可能に保持された手本体部を更に含む
請求項3記載の腕部。
【請求項5】
前記手部は、前記手本体部と前記手首部とが互いに回動可能に接続されて構成されている
請求項4記載の腕部。
【請求項6】
前記肘部は、
前記上腕部を支持する第1部分と、
前記前腕部を支持し且つ前記第1部分に対して回動可能な第2部分と、
を含み、
前記第2部分は、前記第1方向に延びる軸部を含んでおり、前記前腕部外側部は、該軸部に対して回動可能に保持されている
請求項3から請求項5の何れか1項記載の腕部。
【請求項7】
前記前腕部は、前記肘部の前記第2部分の前記軸部と前記前腕部外側部とを接続する接続部を更に含み、
前記接続部は、
前記第2方向に回動可能となるように前記軸部に周設されたリング部と、
前記リング部から延出して前記前腕部外側部を保持する保持部と、
を含む
請求項6記載の腕部。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1項記載の腕部を備える
人形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に人形体の腕部に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人形体の胴体部、腕部、脚部等の各部位に関節構造を設けることが記載されている。ユーザは、このような人形体を所望の姿勢にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人形体のなかには多様な姿勢を形成可能に構成されることが求められるものもあり、例えば人形体の姿勢の変更に際して更に人間らしい動きが求められる場合もある。
【0005】
本発明は、人形体が形成可能な姿勢の多様化に有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は人形体の腕部に係り、前記腕部は、前腕部と、前記前腕部に対して回動可能な手部と、を備え、前記前腕部は、前記前腕部に対する前記手部の回動と共に回動する回動部分を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人形体が形成可能な姿勢の多様化に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る人形体の全体構成を示す斜視図。
【
図3】大腿部パーツに対して下腿部パーツを回動させた場合の様子を示す図。
【
図4】脚部パーツを開閉させた場合の様子を示す図。
【
図6】手部パーツを回動させた場合の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(1.人形体の全体構成について)
図1は、実施形態に係る人形体1の全体構成を示す。人形体1は、個々の部位を呈する部位パーツとして、頭部パーツ11、胴体部パーツ12、腰部パーツ13、脚部パーツ14および腕部パーツ15を備える。これらのパーツ11~15は纏めて部位パーツと表現されてもよい。例えば、脚部パーツ14は、腰部パーツ13に対して回動可能に設けられ、また、腕部パーツ15は、胴体部パーツ12に対して回動可能に設けられる。
【0011】
上述の部位パーツ11~15は、更に詳細に分けられてもよい。詳細については後述とするが、脚部パーツ14は、膝部パーツ141、大腿部パーツ142、下腿部パーツ143および足部パーツ144を含む。また、腕部パーツ15は、肘部パーツ151、上腕部パーツ152、前腕部パーツ153および手部パーツ154を含む。
図1においては、左側方の脚部パーツ14および腕部パーツ15が図示されるが、右側方についても同様とする。
【0012】
尚、本明細書においては、各部位の位置関係を説明するのに際して、前(前方)、後(後方)、左(左側方)、右(右側方)、上(上方)、下(下方)、内(内方)、外(外方)等と記載する場合があるが、これらの表現は人形体1を基準とした相対的なものである。例えば、前は人形体1正面側に対応し、後は人形体1背面側に対応する。
【0013】
上述の部位パーツ11~15(パーツ141~144、151~154を含む。)のそれぞれは、1以上のパーツ(構成パーツ)が相互に接続されて構成されうる。例えば、脚部パーツ14(パーツ141~144)は、複数の構成パーツが直接的/間接的に接続されることにより、より詳細には、互いに隣り合う2つの構成パーツが固定的に又は回動(或いは揺動)可能に接続されることにより、構成される。同様に、例えば、腕部パーツ15(パーツ151~154)は、複数の構成パーツが直接的/間接的に接続されることにより構成される。
【0014】
尚、パーツ間の接続の概念には、一方のパーツを他方のパーツに対して取り付けること、連結すること、固定すること等、多様な接続態様が含まれうる。理解の容易化のため、本明細書では実施態様に則した表現が用いられるものとするが、本発明は、その表現に厳密に限定されるものではない(該表現は同様の表現に置換え可能とする。)。他の表現についても同様とする。
【0015】
また、本明細書では、人形体1の個々の構成要素を「パーツ」と表現するが、パーツの概念には、ユーザが分解可能な最小単位のものの他、それらを2以上組み合わせて成るものをも指す。よって、以下の説明における「パーツ」という表現は、「部品(component, piece)」、「部材(member)」、「構造体(structure)」、「組立体(assembly)」等に置換されてもよいし、或いは省略されてもよい。例えば、脚部パーツ14は、脚部品、脚部材、脚部構造体、脚部組立体等と表現されてもよいし、或いは単に脚部と表現されてもよい。同様に、腕部パーツ15は、腕部品、腕部材、腕部構造体、腕部組立体等と表現されてもよいし、或いは単に腕部と表現されてもよい。このことは、他のパーツについても同様とする。
【0016】
(2.脚部パーツについて)
図2は、脚部パーツ14を形成する複数のパーツのうち、膝部パーツ141、大腿部パーツ142および下腿部パーツ143の分解模式図を示す。膝部パーツ141は、パーツ141A~141Dを含む。大腿部パーツ142は、パーツ142A~142Lを含む。下腿部パーツ143は、パーツ143A~143Hを含む。理解の容易化のため、図中には、これらパーツ間の接続関係を破線で示す。
【0017】
(2-1.膝部パーツの構成)
パーツ141Aは、大腿部パーツ142を保持可能な大腿部保持パーツである。パーツ141Aは、大腿部パーツ142内まで延出して大腿部パーツ142を支持することから、大腿部支持パーツ、大腿部骨格パーツ等と称されてもよい。
【0018】
パーツ141Bは、下腿部パーツ143を保持可能な下腿部保持パーツである。パーツ141Bは、下腿部パーツ143内まで延出して下腿部パーツ143を支持することから、下腿部支持パーツ、下腿部骨格パーツ等と称されてもよい。
【0019】
パーツ141C及び141Dは、相互に接続されることによりパーツ141A及び141Bを回動可能に挟持する一対の挟持パーツである。このような構成において、パーツ141C及び141Dに対して、パーツ141Aが回動することにより大腿部パーツ142が回動し、パーツ141Bが回動することにより下腿部パーツ143が回動する。この観点で、パーツ141C及び141Dは、膝部本体パーツ等と称されてもよい。
【0020】
(2-2.大腿部パーツの構成)
パーツ142Aは、大腿部パーツ142の内部構造における内側の一部を構成する大腿部内部構造内側部パーツである。パーツ142Bは、大腿部パーツ142の内部構造における外側の一部を構成する大腿部内部構造外側部パーツである。パーツ142A及び142Bは、相互に接続される。詳細については後述とするが、パーツ142A及び142Bは、パーツ141C及び141Dに対して回動可能に、且つ、パーツ141Aを挿通することによって該回動による可動域(可動範囲)が制限されるように、保持される。
【0021】
パーツ142Cは、大腿部パーツ142の外装の一部を形成する大腿部外装パーツであり、パーツ142Aに対して取付け可能な大腿部内側外装パーツとも云える。パーツ142Dは、大腿部パーツ142の外装の他の一部を形成する大腿部外装パーツであり、パーツ142Bに対して取付け可能な大腿部外側外装パーツとも云える。パーツ142C及び142Dは、パーツ142A及び142Bにそれぞれ取り付けられることによって大腿部後方上部において実質的に連続面を形成するため、これらは纏めて大腿部後方上部パーツとも云える。
【0022】
パーツ142Eは、大腿部パーツ142の外装の他の一部を形成する大腿部外装パーツであり、パーツ142C及び142D下方において、それらと実質的に連続面を形成可能であることから、大腿部後方下部パーツとも云える。詳細については後述とするが、パーツ142Eは、パーツ142C及び142Dにより回動可能に挟持される。
【0023】
パーツ142Fは、大腿部パーツ142の外装の他の一部を形成する大腿部外装パーツであり、パーツ142A及び142Bの外壁上部に対して前方から取付け可能であることから、大腿部前方上部パーツとも云える。パーツ142Gは、大腿部パーツ142の外装の他の一部を形成する大腿部外装パーツであり、パーツ142F下方においてパーツ141Aに対して前方から取付け可能であることから、大腿部前方下部パーツとも云える。詳細については後述とするが、パーツ142F及び142Gは実質的に連続面を形成可能である。
【0024】
パーツ142Hは、大腿部パーツ142の外装の他の一部を形成する大腿部外装パーツであり、パーツ142C及び142Dにより係止可能に構成される。パーツ142Hは、人形体1後方におけるパーツ142C及び142D上方に位置することから、臀部パーツとも云える。
【0025】
パーツ142I~142Kは、人形体1の股関節構造を実現する。パーツ142Iは、パーツ142Bを上方から支持する。パーツ142Jは、パーツ142Iに対して左右方向(或いは内外方向)に回動可能に接続される。パーツ142Kは、パーツ142Jを前後方向に回動可能に接続する。また、パーツ142Kは、パーツ142J側とは反対側において腰部13に連結される。このような構造により、脚部パーツ14は、腰部13に対して前後方向及び/又は左右方向に回動可能に保持されることとなる。
【0026】
パーツ142Lは、大腿部パーツ142の外装の他の一部を形成する大腿部外装パーツであり、大腿部上部内側においてパーツ142Jに対して下方から回動可能に保持される。詳細については後述とするが、パーツ142Lは、パーツ142Aよりも内側に位置する大腿部内側上部パーツとも云え、また、その内部構造を封止して外部から視認不可とするための封止パーツとも云える。
【0027】
(2-3.下腿部パーツの構成)
パーツ143Aは、下腿部パーツ143の外装の一部を形成する下腿部外装パーツであり、パーツ141B上部内側に取り付けられることから、下腿部内側上部パーツとも云える。パーツ143Bは、下腿部パーツ143の外装の他の一部を形成する下腿部外装パーツであり、パーツ141B上部外側に取り付けられることから、下腿部外側上部パーツとも云える。パーツ143A及び143Bは、相互に連結され、それらの後方部において実質的に連続面を形成して脹脛相当の部位を呈する。
【0028】
パーツ143Cは、下腿部パーツ143の外装の他の一部を形成する下腿部外装パーツであり、パーツ141B下部に対して嵌合により係止されることから、下腿部下部パーツとも云える。パーツ143Dは、パーツ143Cに下方から連結され、ここでは説明を省略とするが、足部パーツ144(
図1参照)を回動可能に支持する。
【0029】
パーツ143Eは、下腿部パーツ143の外装の一部を形成する下腿部外装パーツであり、パーツ141B上部前方に取り付けられることから、下腿部上部前方パーツとも云える。
【0030】
パーツ143F~143Hは、パーツ143Eに対して取り付けられる装飾パーツである。パーツ143Fは、パーツ143Eに対して前方から取り付けられる。パーツ143Gは、パーツ143Fに対して上方から回動可能に取り付けられる。パーツ143Hは、パーツ143Gの内壁に対して取り付けられる。
【0031】
尚、ここでは脚部パーツ14を構成するパーツの個々を個別に説明したが、これらのうちの一部は一体に構成されてもよい。例えば、相互に固定的に接続され且つそれらの相対位置の変化を伴わない2つのパーツ(パーツ142B及び142I、パーツ143G及び143H等)は、一体成形されてもよい。
【0032】
(3.脚部パーツの回動態様について)
図3(A)は、脚部パーツ14を伸ばした状態(下腿部パーツ143をその可動域の前方位置とした状態)についての側面視における一部断面図を示す。
図3(B)は、脚部パーツ14を部分的に回動した状態(大腿部パーツ142に対して膝部パーツ141及び下腿部パーツ143を後方に回動させた状態)についての一部断面図を同様に示す。
図3(C)は、脚部パーツ14を曲げた状態(下腿部パーツ143をその可動域の後方位置とした状態)についての一部断面図を同様に示す。
【0033】
理解の容易化のため、図中には、下腿部パーツ143については実構造を示し、パーツ141C(又は141D)及び142については外形を破線で示し、パーツ141A、142E及び142Gについての断面構造を示す。
【0034】
図3(A)~
図3(C)に示されるように、パーツ141Aは、大腿部パーツ142内まで延出した第1の延出部141A1および第2の延出部141A2を含む。第1の延出部141A1は、パーツ142C及び142Dにより回動可能に挟持されたパーツ142Eと係合可能に設けられる。第2の延出部141A2は第1の延出部141A1前方に設けられ、第2の延出部141A2にはパーツ142Gが取り付けられる。また、パーツ141Aには、略楕円形状の開口142A3が設けられ、前述のパーツ142A及び142B(
図2参照)は、この開口パーツ141A3を挿通して保持される。パーツ142A及び142Bを連結し且つ開口パーツ141A3を挿通する部分は、図中において部分91として示される。
【0035】
このような構成によれば、パーツ142A及び142Bは、パーツ141C及び141Dに対して回動可能に、且つ、開口142A3を挿通することによって該回動による可動域が制限されるように、保持される。よって、大腿部パーツ142の膝部パーツ141に対する可動域は、下腿部パーツ143の膝部パーツ141に対する可動域よりも狭い。
【0036】
ここで、
図3(A)の状態から
図3(B)の状態にした場合、即ち、大腿部パーツ142を下腿部パーツ143に近接させる方向に膝部パーツ141に対して回動させた場合、について考える。この場合、第1の延出部141A1は、大腿部後方下部パーツとしてのパーツ142Eの内壁から離間する。そのため、パーツ142Eは、大腿部後方上部パーツとしてのパーツ142C及び142Dの外形に対して陥凹可能となる。一方、大腿部前方下部パーツとしてのパーツ142Gは、第2の延出部141A2に取り付けられている。そのため、この場合、パーツ142Gは、大腿部前方上部パーツとしてのパーツ142Fの外形に対して隆起することとなる。
【0037】
更に、
図3(B)の状態から
図3(C)の状態にした場合、即ち、下腿部パーツ143の後方部が大腿部後方下部パーツとしてのパーツ142Eと接触する位置まで下腿部パーツ143を回動させた場合、について考える。前述のとおり、
図3(B)の状態においては、パーツ142Eは、大腿部後方上部パーツとしてのパーツ142C及び142Dの外形に対して陥凹可能となっているため、下腿部パーツ143の後方部がパーツ142Eに接触した際、その接触に伴う押圧によってパーツ142Eは陥凹することなる。
【0038】
よって、このような構造によれば、下腿部パーツ143の可動域を広げ、下腿部パーツ143と大腿部パーツ142とを密着させた姿勢(例えばクラウチングポーズ等、スポーティな姿勢)を形成可能となる。
【0039】
次に、
図3(C)の状態から
図3(A)の状態に戻した場合、即ち、大腿部パーツ142を下腿部パーツ143から離間させる方向に膝部パーツ141に対して回動させた場合、について考える。この場合、第1の延出部141A1は、大腿部後方下部パーツとしてのパーツ142Eの内壁と接触して該内壁を押圧する。そのため、パーツ142Eは、外方に押し出される形となり、それにより、大腿部後方上部パーツとしてのパーツ142C及び142Dと連続面を形成することとなる。一方、大腿部前方下部パーツとしてのパーツ142Gは、第2の延出部141A2に取り付けられている。そのため、この場合、パーツ142Gは、大腿部前方上部パーツとしてのパーツ142Fと連続面を形成することとなる。
【0040】
図4(A)は、人形体1の股関節構造(パーツ142I~142K)および大腿部パーツ142の周辺部分について閉脚姿勢の様子を示す。
図4(B)は、
図4(A)の状態から大腿部パーツ142を矢印A11の方向に回動させた開脚姿勢の様子を示す。
【0041】
前述のとおり、パーツ142Lは、大腿部上部内側においてパーツ142Jに対して下方から回動可能に保持され、パーツ142Aよりも内側において内部構造を封止して外部から視認不可とする。ここで、閉脚姿勢においては(
図4(A)参照)、パーツ142Lの大部分は、パーツ142C及び142F内に収納される形となる。一方、開脚姿勢においては(
図4(B)参照)、パーツ142Lは、その先端部がパーツ142A(及び142C)において係合しながら摺動する(即ち、開脚姿勢においてもパーツ142Lの先端部はパーツ142A内側に位置する。)ことにより矢印A12の方向に回動して部分的に露出し、それに伴い外方に向かって隆起する形となる。
【0042】
一般に、相対的に相互に回動可能な2つのパーツ間には、それらの干渉が回避されるように、それらの間に間隙が生じうるため、該間隙から内部構造が視認可能となりうる。上述の構成によれば、パーツ142Lは、開脚姿勢においても、パーツ142Aよりも内側において内部構造を封止して外部から視認不可とするため、人形体1の意匠性の向上にも有利となりうる。
【0043】
(4.脚部パーツの構成について小括)
実施形態に係る人形体1を構成する部位パーツの一つは、脚部パーツ14であって、脚部パーツ14は、膝部パーツ141と、大腿部パーツ142と、下腿部パーツ143と、を備える。大腿部パーツ142は、膝部パーツ141に対して回動可能となっており、本実施形態においては、大腿部後方上部パーツ(パーツ142C及び142D)と、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)とを含む。下腿部パーツ143は、膝部パーツ141に対して回動可能となっており、下腿部パーツ143の後方部が大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)と接触する位置まで回動可能に膝部パーツ141に対して取り付けられている。本実施形態においては、大腿部パーツ142の膝部パーツ141に対する可動域は、下腿部パーツ143の膝部パーツ141に対する可動域よりも狭い。
【0044】
ここで、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)は、次のことが成立するように保持されている。即ち、大腿部パーツ142を下腿部パーツ143に近接させる方向に膝部パーツ141に対して回動させた場合、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)は、大腿部後方上部パーツ(パーツ142C及び142D)に対して陥凹可能となる。また、大腿部パーツ142を下腿部パーツ143から離間させる方向に膝部パーツ141に対して回動させた場合、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)は、大腿部後方上部パーツ(パーツ142C及び142D)と連続面を形成する。
【0045】
本実施形態では、膝部パーツ141は、大腿部パーツ142内まで延出した第1の延出部141A1を含む。大腿部パーツ142を下腿部パーツ143に近接させる方向に膝部パーツ141に対して回動させた場合、第1の延出部141A1は、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)の内壁から離間し、それにより、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)は、大腿部後方上部パーツ(パーツ142C及び142D)に対して陥凹可能となる。また、大腿部パーツ142を下腿部パーツ143から離間させる方向に膝部パーツ141に対して回動させた場合、第1の延出部141A1は、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)の内壁を押圧するように接触し、それにより、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)は、大腿部後方上部パーツ(パーツ142C及び142D)と連続面を形成する。このような構成によれば、大腿部パーツ142を回動させた際、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)の前述の態様(即ち、大腿部後方下部パーツ(パーツ142E)による大腿部後方上部パーツ(パーツ142C及び142D)に対する陥凹および大腿部後方上部パーツ(パーツ142C及び142D)との連続面の形成)が適切に実現可能となる。
【0046】
本実施形態によれば、下腿部パーツ143の可動域を広げ、下腿部パーツ143と大腿部パーツ142とを密着させた姿勢(例えばクラウチングポーズ等、スポーティな姿勢)を形成可能な人形体1を実現可能となる。よって、本実施形態によれば、人形体1が形成可能な姿勢の多様化に有利となる。
【0047】
また、本実施形態においては、大腿部パーツ142は、大腿部前方上部パーツ(パーツ142F)と、大腿部前方下部パーツ(パーツ142G)とを更に含む。大腿部前方下部パーツ(パーツ142G)は、次のことが成立するように保持されている。即ち、大腿部パーツ142を下腿部パーツ143に近接させる方向に膝部パーツ141に対して回動させた場合、大腿部前方下部パーツ(パーツ142G)は、大腿部前方上部パーツ(パーツ142F)に対して隆起する。また、大腿部パーツ142を下腿部パーツ143から離間させる方向に膝部パーツ141に対して回動させた場合、大腿部前方下部パーツ(パーツ142G)は、大腿部前方上部パーツ(パーツ142F)と連続面を形成する。
【0048】
本実施形態では、膝部パーツ141は、大腿部パーツ142内まで延出した第2の延出部141A2を更に含む。大腿部前方下部パーツ(パーツ142G)は、この第2の延出部141A2により保持されている。このような構成によれば、大腿部パーツ142を回動させた際、大腿部前方下部パーツ(パーツ142G)の前述の態様(即ち、大腿部前方下部パーツ(パーツ142G)による大腿部前方上部パーツ(パーツ142F)に対する隆起および大腿部前方上部パーツ(パーツ142F)との連続面の形成)が適切に実現可能となる。結果として、下腿部パーツ143および大腿部パーツ142を互いに近接させた場合の大腿部の張り具合(人体の筋肉の動きに近い態様)を表現可能となり、これらのことは、人形体1が形成可能な姿勢の多様化に更に有利となりうる。
【0049】
尚、パーツ141Aについて、本実施形態においては、延出部141A1及び141A2を個別に設けることにより他のパーツとの干渉を防止可能とした。他の実施形態として、延出部141A1及び141A2は単一の延出部として設けられてもよい。
【0050】
(5.腕部パーツについて)
図5は、腕部パーツ15を形成する複数のパーツのうち、肘部パーツ151、前腕部パーツ153および手部パーツ154の分解模式図を示す。肘部パーツ151は、パーツ151A~151Dを含む。前腕部パーツ153は、パーツ153A~153Hを含む。手部パーツ154は、パーツ154A~154Cを含む。理解の容易化のため、図中には、これらパーツ間の接続関係を破線で示す。
【0051】
(5-1.肘部パーツの構成)
パーツ151Aは、上腕部パーツ152を保持可能な上腕部保持パーツである。パーツ151Aは、上腕部パーツ152内まで延出して上腕部パーツ152を支持することから、上腕部支持パーツ、上腕部骨格パーツ等と称されてもよい。
【0052】
パーツ151Bは、前腕部パーツ153を保持可能な前腕部保持パーツであり、詳細については後述とするが、該保持を実現するための軸部151B1を含む。パーツ151Bは、前腕部パーツ153内まで延出して前腕部パーツ153を支持することから、前腕部支持パーツ、前腕部骨格パーツ等と称されてもよい。
【0053】
パーツ151C及び151Dは、相互に接続されることによりパーツ151A及び151Bを回動可能に挟持する一対の挟持パーツである。このような構成において、パーツ151C及び151Dに対して、パーツ151Aが回動することにより上腕部パーツ152が回動し、パーツ151Bが回動することにより前腕部パーツ153が回動する。この観点で、パーツ151C及び151Dは、肘部本体パーツ等と称されてもよい。
【0054】
(5-2.前腕部パーツの構成)
パーツ153Aは、前腕部パーツ153をパーツ151Bに対して下方から接続するための接続パーツであり、前腕部パーツ153の一部を回動可能とするためのリング部153A1および保持部(又は軸部)153A2を含む。詳細については後述とするが、パーツ153Aは、パーツ151Bの軸部151B1がリング部153A1を挿通することにより、回動可能に保持される。
【0055】
パーツ153Bは、その内壁にパーツ153Aのリング部153A1が嵌合可能に構成され、パーツ151Bに対して下方から接続される(軸部151B1がパーツ153Bをリング部153A1と共に挿通することにより接続される。)。パーツ153Cは、パーツ153Bに対して外方から取付け可能な装飾パーツである。パーツ153B及び153Cは、前腕部パーツ153の外装の一部を前腕部外装パーツとして形成し、また、胴体部12側(内側)に位置することから前腕部内側部パーツとも云える。
【0056】
パーツ153Dは、前腕部パーツ153の外装の他の一部を形成する前腕部外装パーツであり、パーツ153Bに接続される。詳細については後述とするが、パーツ153Dには、前腕部パーツ153の一部を回動可能とするための切欠き153D1が設けられ、パーツ153Aは、保持部153A2が切欠き153D1を挿通するように保持される。
【0057】
パーツ153Eは、パーツ153Dに対してパーツ153Aとは反対側において保持部153A2により保持される。パーツ153Fは、パーツ153Eに対して外方から取付け可能な装飾パーツである。パーツ153E及び153Fは、前腕部パーツ153の外装の他の一部を前腕部外装パーツとして形成し、また、胴体部12側とは反対側(外側)に位置することから前腕部外側部パーツとも云える。
【0058】
尚、前腕部そのものの外形はパーツ153B~153Dにより実質的に形成されており、パーツ153E及び153Fは付随的な装備品を形成しているとも云える。そのため、パーツ153Dを前腕部外側部パーツと表現し、パーツ153E及び153Fを装備パーツ(例えば、防具パーツ、盾パーツ、篭手パーツ等)或いは装飾パーツと表現することも可能である。
【0059】
パーツ153G及び153Hは、前腕部後方に付随的に設けられる装飾パーツである。パーツ153Gは、パーツ153B及び153Dに挟持され、また、パーツ153Hはパーツ153Gの先端部に取り付けられる。
【0060】
(5-3.手部パーツの構成)
パーツ154Aは、手本体部パーツである。パーツ154Bは、パーツ154Aに対して取り付けられる装飾パーツであり、手の甲の一部を装飾する。
【0061】
パーツ154C及び154Dは、人形体1の手首関節構造を実現する。パーツ154Cは、パーツ154Aを手首周方向(後述の方向d2)に回動可能に接続する。また、パーツ154Dは、パーツ154Cを前後方向に回動可能に接続すると共に、手首周方向に回動可能にパーツ153Bに対して下方から連結される。このような構成により、手本体部パーツであるパーツ154Aは、手首周方向及び/又は前後方向に回動可能に保持されることとなる。この観点で、パーツ154C及び154Dは、纏めて手首部パーツとも云える。
【0062】
尚、ここでは腕部パーツ15の構成パーツを個別に説明したが、これらのうちの一部は一体に構成されてもよい。例えば、相互に固定的に連結され且つそれらの相対位置の変化を伴わない2つのパーツ(パーツ153B及び153C、パーツ154A及び154B等)は一体成形されてもよい。
【0063】
(6.腕部パーツの回動態様について)
図6(A)及び
図6(B)は、前腕部パーツ153および手部パーツ154についての斜視図を示す。
図6(A)は、手本体部パーツであるパーツ154Aの掌相当の部位が内方(前腕部外装パーツとしてのパーツ153B及び153Cと同方向)を向いた姿勢の様子を示す。
図6(B)は、パーツ154Aを手首周方向に回動させて、掌相当の部位が後方を向いた姿勢の様子を示す。
【0064】
理解の容易化のため、図中には、前腕部パーツ153の延在する方向を第1方向d1として示し、第1方向d1を軸とする周方向(手首周方向)を第2方向d2として示す。
【0065】
図5を
図6(A)及び
図6(B)と共に参照すると、前腕部パーツ153において、パーツ151Bの軸部151B1がパーツ153Aのリング部153A1を挿通している。この状態は、軸部151B1にリング部153A1が周設されている、とも云え、これにより、パーツ153A(付随的に保持部153A2)は第2方向d2に回動可能となる。
【0066】
また、パーツ153Dには、保持部153A2を挿通させるための切欠き153D1が、パーツ153Aの回動に伴う保持部153A2の回動を許容するように設けられている。また、前腕部外側部パーツとしてのパーツ153E及び153Fは、一端部ではパーツ154Cに対して保持されており、他端部では保持部153A2により保持されている。
【0067】
ここで、
図6(A)の状態から
図6(B)の状態にした場合、即ち、手首部パーツとしてのパーツ154C及び154Dを用いて手部パーツ154を前腕部パーツ153に対して矢印A21の方向に回動させた場合、について考える。この場合、手部パーツ154と共にパーツ154Cが矢印A21の方向に回動することにより、パーツ154Cに接続されたパーツ153E及び153Fも矢印A21の方向に回動する。
【0068】
前述のとおり、パーツ153Dには、パーツ153Aの保持部153A2の回動を許容するように、切欠き153D1が設けられている。そのため、パーツ153E及び153Fの回動に伴い、それらを保持する保持部153A2も矢印A21の方向に回動することとなる。即ち、手首関節構造を実現するパーツ154C及び154Dにより手部パーツ154を前腕部パーツ153に対して矢印A21の方向に回動させた場合、この回動と共に前腕部外側部パーツとしてのパーツ153E及び153Fも矢印A22の方向に回動することとなる。換言すると、パーツ153E及び153Fは、前腕部パーツ153において、手部パーツ154の回動と共に回動する回動部分として作用する、とも云える。
【0069】
一般に人間が手首を回動させた場合には前腕も部分的に回動しうるが、上述の構成によれば、このような態様を人形体1においても表現可能となる。よって、本実施形態によれば、人形体1が形成可能な姿勢の多様化に有利となる。
【0070】
(7.腕部パーツの構成について小括)
実施形態に係る人形体1を構成する部位パーツの他の一つは、腕部パーツ15であって、腕部パーツ15は、上腕部パーツ152と、前腕部パーツ153と、手部パーツ154と、を備える。前腕部パーツ153は、上腕部パーツ152に対して回動可能である。手部パーツ154は、前腕部パーツ153に対して回動可能である。ここで、前腕部パーツ153は、手部パーツ154を前腕部パーツ153に対して回動させた場合に該回動と共に回動する回動部分を含む。本実施形態では、前腕部パーツ153は、前腕部内側部パーツ(パーツ153B及び153C)と、前腕部外側部パーツ(パーツ153E及び153F)と、を含み、前腕部外側部パーツ(パーツ153E及び153F)が上記回動部分として作用する。
【0071】
本実施形態においては、腕部パーツ15は、上腕部パーツ152と前腕部パーツ153とを互いに回動可能に連結する肘部パーツ151を更に備える。手部パーツ154は、手本体部パーツ(パーツ154A)と、前腕部パーツ153側に位置する手首部パーツ(パーツ154C及び154D)と、を含み、手本体部パーツ(パーツ154A)と手首部パーツ(パーツ154C及び154D)とが互いに回動可能に連結されて構成されている。
【0072】
ここで、前腕部パーツ153の延在する方向を第1方向d1とし、第1方向d1を軸とする周方向(手首周方向)を第2方向d2とする。手本体部パーツ(パーツ154A)は、前腕部パーツ153に対して少なくとも第2方向d2に回動可能に連結されている。前腕部外側部パーツ(パーツ153E及び153F)は、一端部では手首部パーツ(パーツ154C及び154D)に対して保持されており、他端部では肘部パーツ151に対して第2方向d2に回動可能に保持されている。
【0073】
本実施形態においては、肘部パーツ151は、上腕部パーツ152を支持する第1パーツ(パーツ151A)と、前腕部パーツ153を支持し且つ第1パーツ(パーツ151A)に対して回動可能な第2パーツ(パーツ151B)と、を含む。第2パーツ(パーツ151B)は、第1方向d1に延びる軸部151B1を含んでおり、前腕部外側パーツ(パーツ153E及び153F)は、軸部151B1に対して回動可能に保持されている。また、前腕部パーツ153は、軸部151B1と前腕部外側部パーツ(パーツ153E及び153F)とを接続する接続パーツ(パーツ153A)を更に含む。接続パーツ(パーツ153A)は、第2方向d2に回動可能となるように軸部151B1に周設されるリング部153A1と、リング部153A1から延出して前腕部外側部パーツ(パーツ153E及び153F)を保持する保持部153A2と、を含む。
【0074】
一般に人間が手首を回動させた場合には前腕も部分的に回動しうる。本実施形態によれば、このような態様を人形体1においても表現可能となるため、人形体1が形成可能な姿勢の多様化に有利となる。
【0075】
(8.総括)
以上の実施形態によれば、人形体1は、個々の部位パーツが直接的/間接的に相互に連結されて構成され、それら複数の部位パーツのうち少なくとも2つは相対的に相互に回動可能に連結される。このような構成において、一方の部位パーツは、他方の部位パーツを回動させた場合に、部分的に回動、揺動ないし変形するように構成される。このような構造によれば、本明細書で例示された脚部パーツ14及び腕部パーツ15からも分かるように、例えば、より人間らしい姿勢をとり或いは該姿勢の変更を行うことが可能となり、人形体1が形成可能な姿勢の多様化に有利となる。
【0076】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1:人形体、14:脚部パーツ(脚部)、15:腕部パーツ(腕部)。