(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190164
(43)【公開日】2022-12-22
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20221215BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20221215BHJP
F25D 27/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D23/00 301E
F25D27/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178287
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2018147729の分割
【原出願日】2018-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森脇 実
(57)【要約】
【課題】操作性に優れ、無駄な消費電力の増加を抑えることができ、冷蔵庫の美観を損ねることなく、タッチセンサの劣化を抑えることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本実施形態の冷蔵庫1は、扉8の前面に設けられた操作領域R1と、操作領域R1に設けられ、静電容量の変化を検出する検出部26b~30b、31b、47と、操作領域R1に設けられた操作部26~30と、操作領域R1における所定領域に設けられて所定操作を受け付ける操作部26~30と、操作に関する表示を行うための光源42aと、検出部26b~30b、31b、47と、操作部26~30、光源42aを制御する制御部23と、を備え、制御部23は、操作部26~30の外側の外側領域への操作を検出したことに応じて、当該操作を検出した位置とは異なる位置にある光源42aを点灯させる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有する本体と、
前記開口部を開閉する扉と、
前記扉の前面に設けられた操作領域と、
前記操作領域に設けられ、静電容量の変化を検出する検出部と、
前記操作領域に設けられた操作部と、
前記操作領域における所定領域に設けられて所定操作を受け付ける操作部と、
操作に関する表示を行うための光源と、
前記検出部、前記操作部、前記光源を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記操作部の外側にある外側領域への操作を検出したことに応じて、当該操作を検出した位置とは異なる位置にある前記光源を点灯させる、冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御部は、前記光源を消灯させた状態において、前記操作部への操作及び前記外側領域への操作の少なくとも一方への操作を前記検出部が検出すると前記光源を点灯させる、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記外側領域への操作を検出したことに応じて前記制御部が点灯させる前記光源は、前記操作部を表示する光源である、請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、前記光源を点灯させた状態に比べて前記光源を消灯させた状態において、前記検出部の検出感度を高く設定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記制御部は、前記光源を点灯させた状態に比べて前記光源を消灯させた状態において、前記検出部が静電容量の変化を検出する領域を広く設定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記操作部への操作を検出するための前記検出部の配線と、前記外側領域への操作を検出するための前記検出部の配線とを備える請求項1~5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記操作部が複数設けられ、複数の前記操作部の間に配置された前記外側領域への操作を検出したことに応じて前記光源を点灯させる請求項1~6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記制御部は、前記操作部への操作に応じて冷却運転の設定変更を受け付ける状態と、受け付けない状態とを切り替える制御を行い、
前記操作部への操作に応じて冷却運転の設定変更を受け付ける状態において、前記操作部への操作と前記外側領域への操作とが同時に行われたと判断される場合は、前記操作部への操作を受け付けない、請求項1~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、本体の前面開口部を開閉する扉の前面に、静電容量式のタッチセンサからなる操作部と表示部を備えた操作パネルを設け、操作部の操作によりモード等が設定されると、それに対応する表示が表示部に現れるようになっているものがある。
【0003】
このような冷蔵庫では、操作部の位置を分かりやすくするため、操作部を後方から照明する光源を設けることがあるが、操作部を常時照明すると消費電力が増加する。
【0004】
そこで、操作部とは別個に常時操作が可能な第2操作部と、第2操作部を後方から常時照明する第2光源を設け、第2操作部が操作されるまで、操作部を照明する光源を消灯するとともに操作部に対する操作を無効とし、第2操作部が操作されると、光源を点灯して操作部を照明するとともに操作部に対する操作を有効とする冷蔵庫が提案されている(例
えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第2操作部を常時照明する場合、不必要に第2操作部が扉前面に表示されることがあるため、第2操作部を照明する第2光源により無駄な電力を消費したり、冷蔵庫の美観を損ねたり、第2操作部を構成するタッチセンサが劣化しやすくなるおそれがある。
【0007】
そこで、静電容量式のタッチセンサからなる操作部を扉の前面に備える冷蔵庫において、操作部の位置が分かりやすく操作性に優れ、無駄な消費電力の増加を抑えることができ、冷蔵庫の美観を損ねることなく、第2操作部を構成するタッチセンサの劣化を抑えることができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の冷蔵庫は、前面に開口部を有する本体と、前記開口部を開閉する扉と、前記扉の前面に設けられた操作領域と、前記操作領域に設けられ、静電容量の変化を検出する検出部と、前記操作領域に設けられた操作部と、前記操作領域における所定領域に設けられて所定操作を受け付ける操作部と 、操作に関する表示を行うための光源と、前記検出部、前記操作部、前記光源を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記操作部の外側にある外側領域への操作を検出したことに応じて、当該操作を検出した位置とは異なる位置にある前記光源を点灯させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】操作パネル部の拡大正面図であって、全ての表示がなされた状態を示す。
【
図5】収納部に対する操作ユニットの挿入時の様子を示す分解斜視図
【
図6】収納部に対する操作ユニットの収納状態を扉前面板の除去状態で示す斜視図
【
図7】
図6のA-A線に沿う操作ユニットの縦断側面図
【
図8】
図6のB-B線に沿う操作ユニットの横断平面図
【
図10】操作制御部による操作パネル部の制御内容を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における冷蔵庫1の外観構成を概略的に示している。この冷蔵庫1は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体2内に、複数の貯蔵室を設けて構成されている。具体的には、断熱箱体2内には、上から順に冷蔵室3、野菜室4が設けられ、この野菜室4の下方に製氷室5と第2冷凍室(切替室)6とが左右に並べて設けられ、最下部に第1冷凍室7が設けられている。
【0012】
冷蔵室3及び野菜室4は、庫内温度が例えば1℃から5℃程度の冷蔵温度に制御される冷蔵温度帯の貯蔵室である。製氷室5、第2冷凍室6及び第1冷凍室7は、庫内温度が例えば-18℃以下の冷凍温度に制御される冷凍温度帯の貯蔵室である。冷蔵室3の前面には、断熱性を有する観音開き式の扉、即ち左右2枚のヒンジ開閉式の扉8、9が設けられている。後述するように、そのうち左側の扉8(以下、左扉8という)には、
図2等にも示すように、操作パネル部10が設けられる。野菜室4、製氷室5、第2冷凍室6、第1冷凍室7の前面は、背面部に貯蔵容器を連結した引出し式の断熱扉11、12、13、14によってそれぞれ開閉される。
【0013】
冷蔵庫1には、冷凍サイクルが組込まれている。
図3に一部示すように、この冷凍サイクルは、冷蔵室3及び野菜室4を冷却するための冷蔵室用冷却器と、製氷室5及び第1、第2冷凍室7、6を冷却するための冷凍室用冷却器との2つの冷却器を備えると共に、圧縮機15(
図3にのみ図示)、凝縮器、2つの冷却器に対する冷媒の流れを切替えるための切替弁16等を備えて構成される。
【0014】
また、
図3に示すように、冷蔵庫1内には、冷蔵室3及び野菜室4に冷蔵室用冷却器からの冷気を循環供給するための冷蔵用送風機17、製氷室5及び第1、第2冷凍室7、6に冷凍室用冷却器から冷気を循環供給するための冷凍用送風機18、前記冷凍室用冷却器の除霜を行うための除霜ヒータ19、冷蔵室温度センサ20、冷凍室温度センサ21等が設けられている。
【0015】
さらに、冷蔵庫1内には、コンピュータを主体として構成され、全体を制御する主制御装置22が設けられている。この主制御装置22は、後述する操作制御部23にも接続され、操作制御部23からの信号や、冷蔵室温度センサ20、冷凍室温度センサ21の信号などに基づいて、冷蔵用送風機17、冷凍用送風機18、圧縮機15、切替弁16、除霜ヒータ19を制御し、冷蔵庫1の冷却運転を実行するようになっている。
【0016】
次に、冷蔵室3の左扉8に設けられる操作パネル部10の構成について、
図2~
図9も参照して詳述する。
【0017】
左扉8は、前面側に配置されるガラス製の扉前面板24と、その裏面側に配置される前面が開放した前後に薄型のプラスチック製の箱体との間に、断熱材を配置して構成されている。
図5等に示すように、操作パネル部10は、扉前面板24の裏面側に、操作ユニット25を配設して構成されている。この操作パネル部10は、
図1に示すように、左扉8の前面のうち、ヒンジとは反対の開動側、つまり右側の辺部寄り部分の縦長な矩形状の領域に設けられている。
【0018】
操作パネル部10は、
図2に例示するように、右側に上下方向に長い操作領域R1が設けられ、操作領域R1の左側に上下方向に長い表示領域R2が設けられている。表示領域R2の下部は右側へ延び、操作領域R1の下方にも位置している。
【0019】
操作領域R1には、5個の第1操作部26~30が縦一列に並べて設けられ、その下方に1個の第2操作部31が設けられている。なお、以下、第1操作部26~30と第2操作部31とを総称して操作部26~31ということもある。
【0020】
表示領域R2には、第1操作部26~30に対応した表示部32~35が縦一列に並べて設けられ、表示部35及び第2操作部31の下方に第2操作部31に対応した表示部36が設けられている。
【0021】
第1操作部26~30は、静電容量式のタッチセンサから構成されており、扉前面板24の前面に仮想的に設定される第1操作ボタン26a~30aと、その裏面側に位置して静電容量の変化を検出する第1検出部26b~30b(
図9等参照)とを有している。また、第2操作部31も第1操作部26~30と同様、静電容量式のタッチセンサから構成されており、扉前面板24の前面に仮想的に設定される第2操作ボタン31aと、その裏面側に位置して静電容量の変化を検出する第2検出部31b(
図9等参照)とを有している。
【0022】
具体的には、
図2に示すように、上から順に、「冷蔵」の第1操作部26(操作ボタン26a)、「冷凍」の第1操作部27(操作ボタン27a)、「冷凍機能」の第1操作部28(操作ボタン28a)、「製氷」の第1操作部29(操作ボタン29a)、「節電」の第1操作部30(操作ボタン30a)が設けられ、更にその下方に、「ホーム」の第2操作部31(操作ボタン31a)が設けられている。そのうち、「冷蔵」、「冷凍」、「冷凍機能」、「製氷」、「節電」の第1操作ボタン26a~30aについては、円の中にそれらの文字を配置して構成される。「ホーム」の第2操作部31の操作ボタン31aは、円形のマークで設けられている。
【0023】
これに対し、最上段の表示部32は、「冷蔵」、「冷凍」の第1操作部26、27に対応してそれらの中間の高さに設けられ、「強」、「弱」の文字と、全体で円形に配置された5個の円弧ライン状のマークからなり、点灯の数が強度レベルを表すインジケータとなる。その一つ下の表示部33は、「冷凍機能」の操作部28に対応し、上から順に「一気冷凍」、「熱もの冷凍」、「野菜冷凍」、「ドライ」の文字が、選択的に表示される。
【0024】
その下の表示部34は、「製氷」の第1操作部29に対応し、「一気製氷」、「製氷オフ」の文字が、選択的に表示される。その下の表示部35は、「節電」の第1操作部30に対応し、上から順に「節電」、「おでかけ」、「ピークシフト」の文字が、選択的に表示される。最下段の表示部36は、「ホーム」の第2操作部31に対応し、操作領域R1の右側に「ecoモード」の文字と、「キー(鍵)」のマークと、が表示され、操作領域R1の下方に「キーロック」、「3秒押し」の文字が表示される。
【0025】
操作パネル部10を構成する操作ユニット25は、次のように構成される。即ち、
図4に示すように、操作ユニット25は、裏面側から順に、回路基板37、遮蔽板38、ばね部材39、可撓性スイッチプリント板40、銘板フィルム41を重ねるように配置して構成される。
【0026】
回路基板37は、やや縦長の矩形状に構成され、その表面(前面)にLEDからなる第1光源42a、第2光源42b及び第3光源42cが実装されている。第1光源42aは、各第1操作部26~30に対応して設けられ、後方から第1操作部26~30を照明する。第2光源42bは、第2操作部31に対応して設けられ、後方から第2操作部31を照明する。第3光源42cは、各表示部32~36に対応して設けられ、後方から表示部32~36を照明する。なお、以下、第1光源42a、第2光源42b及び第3光源42cを総称して光源42a、42b、42cということもある。
【0027】
また、回路基板37には、そられ光源42a、42b、42cに対する通電用回路や、第1検出部26b~30bや、第2検出部31bや、後述する第3検出部47の信号処理
回路(検出部)を含む操作制御部23(
図3にのみ図示)が設けられ、更に、外部との接続用の外部接続用コネクタ43等を備えている。この回路基板37には、後述する可撓性スイッチプリント板40の接続部が接続されるコネクタ部44も設けられている。
【0028】
遮蔽板38は、着色された(光が透過しない)リジッドなプラスチック成型品からなり、全体として縦長矩形状に構成されている。具体的には、
図4に示すように、遮蔽板38は、縦長矩形状の前板部38aと、その前板部38aの周囲(四辺部)から後方に立下がる周壁部38bと、前板部38aに設けられた複数の光透過部45とを一体に有している。また、遮蔽板38の右辺部の下端部には、後述する可撓性スイッチプリント板40を回路基板37に電気的に接続するための切欠き部38cが形成されている。更に、遮蔽板38の周壁部38bのうち左辺部には、左側方に突出する矩形枠状をなすばね性を有したストッパ部49が、上下方向に並んで3箇所に位置して一体に設けられている。
【0029】
遮蔽板38に設けられた各光透過部45は、回路基板37の各光源42a、42b、42cから放出された光が漏れ出ないようにしながら、前方の各操作部26~31及び各表示部32~36に向けてそれぞれ案内するためのものである。従って、
図6、
図7にも示すように、各操作部26~31に対応した光透過部45は、後方に向けてすぼまっていくようなテーパ状(すり鉢状)をなし、遮蔽板38の中央右寄りに位置して全体で6個が縦に並んで形成されている。また、各表示部32~36(各文字やマーク)に対応した光透過部45は、前後に深さをもった枠状(例えば文字に対応する部分は横長な枠状)をなし、遮蔽板38の左側に位置して縦に並んで形成されている。この遮蔽板38は、回路基板37の表面側に、位置決め状態で被せられようにして結合される。
【0030】
ばね部材39は、柔軟性(弾性)を有する透明なプラスチック材料からなり、各操作部26~31(操作ボタン26a~31a)に対応した(一回り大きい)円形状をなす肉厚な円形部39aと、ほぼ「く」の字型をなすようにしてそれらを順に上下につなげる連結部39bとを一体的に有して構成されている。このばね部材39は、遮蔽板38の前板部38aの前面右寄り部分に形成された凹所に嵌り込むように取付けられる。これにより、ばね部材39は、可撓性スイッチプリント板40の第1検出部26b~30b及び第2検出部31bの裏面側に配置されるばね性を有したクッション材として機能し、第1検出部26b~30b及び第2検出部31bを、銘板フィルム41を介して扉前面板24の裏面に対して押当てる機能を果たす。
【0031】
可撓性スイッチプリント板40は、
図9にも示すように、全体として遮蔽板38の前板部38aの右半部を覆うような縦長矩形状の薄型シート状をなしている。この可撓性スイッチプリント板40は、PET等の可撓性を有する透明なフィルムからなるベースフィルム40aの表面に、第1検出部26b~30b、第2検出部31b、配線46及び第3検出部47等を印刷形成し、その表面をPETからなる透明なカバーフィルムで覆った構成を備える。
【0032】
具体的には、第1操作部26~30の一部を構成する第1検出部26b~30bは、ベースフィルム40aの表面に、例えば一定の透明性を有する導電性ポリマーを、それぞれ円形に印刷塗布して構成されている。第2操作部31の一部を構成する第2検出部31bも第1検出部26b~30bと同様、ベースフィルム40aの表面に、例えば一定の透明性を有する導電性ポリマーを、それぞれ円形に印刷塗布して構成されている。
【0033】
配線46は、ベースフィルム40aの表面に対する銀ペーストの印刷により形成され、第1検出部26b~30b及び第2検出部31bから、右側に延びた後、直角に折曲がって下方に延びている。
【0034】
第3検出部47は、複数のランド部47aと連結部47bを備え、ベースフィルム40aの表面に対する銀ペーストの印刷により配線46と共に(同時に)印刷形成される。ランド部47aは、配線46において各第1検出部26b~30b及び第2検出部31bから右方に延びている部分に近接させて設けられている。連結部47bは、複数のランド部47aを連結する配線からなり、第1検出部26b~30bを取り囲むように配置されるとともに、複数本の配線46と併せてまとまった状態で、可撓性スイッチプリント板40の右辺部(第1検出部26b~30b及び第2検出部31bの右側)において、左右に狭い間隔で並ぶようにして上下方向に延びて配置されている。
【0035】
このような第3検出部47は、操作領域R1内であって、第1検出部26b~30bの外側における静電容量の変化を検出して、ユーザが意図せずに操作部26~31に触れた場合等、操作部26~31が正しく操作されなかった場合にこれを検出(誤検出防止)する。
【0036】
具体的には、ユーザが操作部26~31だけでなくその周辺も同時にタッチ操作すると、操作制御部23は、第1検出部26b~30bや第2検出部31bと共に、第3検出部47も静電容量の変化を検出する。このような場合、操作制御部23は、操作部26~31へのタッチ操作を無効する。
【0037】
第1検出部26b~30b、第2検出部31b及び第3検出部47は、操作領域R1に設けられた検出部であって、それぞれ操作領域R1の異なる位置において静電容量の変化を検出することで、第1検出部26b~30bは第1操作部26~30へのタッチ操作を検出し、第2検出部31bは第2操作部31へのタッチ操作を検出し、第3検出部47は第1操作部26~30の外側へのタッチ操作を検出する。これにより、操作領域R1のほぼ全域において、ユーザによるタッチ操作が検出可能となっている。
【0038】
可撓性スイッチプリント板40は、右辺部の下端部に位置して、細幅に下方に延び、前記複数本の配線46が設けられた延長部40bを有し、その延長部40bの先端に、左に折れ曲がるように接続部48が設けられている。この接続部48の先端(左辺部)には、前記各配線46が接続された複数個のカーボン製の接点が設けられている。このとき、
図4に示すように、可撓性スイッチプリント板40は、遮蔽板38の前板部38a(ばね部材39)の前面に配置されるのであるが、延長部40bが、折り返されることなく、遮蔽板38の切欠き部38cを通って回路基板37の表面側に落ち込み、接続部48が前記コネクタ部44に接続されるようになっている。
【0039】
銘板フィルム41は、縦長矩形状の透明フィルムの表面に、遮光部及び表示用透光部を設けて構成されている。そのうち表示用透光部は、第1操作ボタン26a~30a及び第2操作ボタン31aを表示するためのマークや文字、並びに、各表示部32~36を構成する各文字やマークに対応して(透明に抜かれた状態で)形成されている。
【0040】
そして、第1光源42aが点灯されると、銘板フィルム41の表示用透光部を光が通って、文字やマークからなる第1操作ボタン26a~30aを扉前面板24に映し出し、第1操作部26~30を表示する。第1光源42aが消灯されると、扉前面板24に映し出された第1操作ボタン26a~30aが消え、第1操作部26~30が表示されなくなる。
【0041】
第2光源42bが点灯されると、銘板フィルム41の表示用透光部を光が通って、マークからなる第2操作ボタン31aを扉前面板24(操作パネル部10)に映し出し、第2操作部31を表示する。第2光源42bが消灯されると、扉前面板24に映し出された第2操作ボタン31aが消え、第2操作部31が表示されなくなる。
【0042】
第3光源42cが点灯されると、銘板フィルム41の表示用透光部を光が通って、文字やマークを扉前面板24に映し出し、表示部32~36を表示する。第3光源42cが消灯されると、扉前面板24に映し出された表示部32~36が表示されなくなる。
【0043】
上記のように光源42a、42b、42cが消灯され、第1操作部26~30、第2操作部31及び表示部32~36が表示されなくなると、操作領域R1や表示領域R2は、扉前面板24の他の領域と同様の外観を呈するようになる。
【0044】
可撓性スイッチプリント板40及び銘板フィルム41は、遮蔽板38の前面に位置決め状態で重ね合わせられるように取付けられ、以て、ユニット化された操作ユニット25が構成される。
【0045】
上記のように構成された操作ユニット25は、
図5、
図6等に示すように、左扉8のうち、右下寄り部分に設けられた収納部50に出し入れ可能に収納される。左扉8のうち右側の側壁部8aには、操作ユニット25を出し入れするための縦長な開口部50aが設けられている。収納部50は、左扉8の内部に設けられたプラスチック製の収納ケース51によって区画された空間からなる。
【0046】
収納ケース51は、
図7及び
図8にも一部示すように、前面が開口し、前記操作ユニット25が収納可能な前後方向に薄型の矩形箱状をなしている。この場合、収納ケース51は、縦長矩形板状の背板部51aと、その上辺、左辺、下辺から前方に立上る周壁部51bと、それら周壁部の前端に位置するフランジ部51cとを一体に有している。このとき、フランジ部51cの前面が扉前面板24の裏面に当接するように設けられる。
【0047】
操作ユニット25は、
図5に示すように、開口部50aから、収納ケース51(収納部50)内にスライドして収納される。そして、
図6に示すように、開口部50a部分には、蓋部材52が着脱可能に取付けられる。この蓋部材52は、開口部50aを塞ぐと共に、上下2個の腕部52aによって、操作ユニット25を収納ケース51にがたつきなく押える機能を果たす。このとき、
図8にも示すように、操作ユニット25(遮蔽板38)から左方に突出するばね性を有した3個のストッパ部49が、収納ケース51に押付けられるようになっている。
【0048】
収納部50には、前記回路基板37の外部接続用コネクタ43に接続されるコネクタが、リード線に接続された状態で設けられており、そのリード線は、開口部50aから外部に引き出しできる程度の余裕を持って設けられている。これにて、操作ユニット25の外部接続用コネクタ43に対するコネクタの接続作業を、左扉8の外部で行った後に、収納部50内への収納作業が行われる。前記コネクタの接続によって、
図3に示す主制御装置22と操作制御部23(操作ユニット25)との電気的接続がなされる。
【0049】
次の、上記構成の冷蔵庫1における、操作パネル部10の動作について、
図10を参照して説明する。
【0050】
第1操作部26~30及び第2操作部31に対する操作が所定時間ない場合、操作制御部23は、全ての光源42a、42b、42cを消灯させ、扉前面板24に第1操作部26~30、第2操作部31及び表示部32~36がいずれも表示されない第1状態に操作パネル部10を設定する(ステップS1)。
【0051】
この第1状態では、操作領域R1に設けられた全ての検出部、つまり、第1検出部26b~30b、第2検出部31b及び第3検出部47が、静電容量の変化を検出し、操作領
域R1のほぼ全域において、ユーザによるタッチ操作を検出する。
【0052】
そして、第1状態において、ユーザが、操作領域R1をタッチ操作すると、第1検出部26b~30b、第2検出部31b及び第3検出部47の少なくともいずれか1つの検出部が静電容量の変化を検出し(ステップS2のYes)、これにより、操作制御部23は、操作パネル部10を第2状態に設定する(ステップS3)。
【0053】
操作制御部23は、第2状態において、第2光源42bを点灯させて第2操作ボタン31aを扉前面板24に表示するとともに、第2検出部31b及び第3検出部47において静電容量の変化を検出し続け、第2操作部31に対するタッチ操作を有効(受け付ける)とする。また、操作制御部23は、第2状態において、第1光源42a及び第3光源42cを消灯させて第1操作部26~30及び表示部32~36が表示されないようにするとともに、第1検出部26b~30bにおいて静電容量の検出を中断し、第1操作部26~30に対するタッチ操作を無効(受け付けない)とする。
【0054】
そして、第2状態において、ユーザが、第2操作部31をタッチ操作すると、第2検出部31bが静電容量の変化を検出し(ステップS4のYes)、これにより、操作制御部23は、操作パネル部10を第3状態に設定する(ステップS5)。
【0055】
操作制御部23は、第3状態において、第2光源42bと第1光源42aを点灯させて第1操作ボタン26a~30a及び第2操作ボタン31aを扉前面板24に表示するとともに、第1検出部26b~30b、第2検出部31b及び第3検出部47において静電容量の変化を検出し、第1操作部26~30、第2操作部31及び第3検出部47に対するタッチ操作を有効(受け付ける)とする。また、操作制御部23は、第3状態において、第3光源42cを点灯して現状の冷蔵庫1の設定状況を表示部32~36に表示する。
【0056】
そして、第3状態において、ユーザが、第1操作部26~30あるいは第2操作部31をタッチ操作すると、第1検出部26b~30bや第2検出部31bが静電容量の変化を検出する(ステップS6のYes)。これにより、操作制御部23は、タッチ操作を受け付けた操作部26~31に対応する設定を変更するとともに、対応する表示部32~36の表示内容を変更する(ステップS7)。そして、ステップS6に戻り第1操作部26~30及び第2操作部31においてタッチ操作を検出する。
【0057】
また、第2状態において、ユーザが、第2操作部31をタッチ操作することなく(ステップS4のNo)、第2状態が所定時間継続したり(ステップS8のNo)、あるいは、第3状態において、ユーザが、第1操作部26~30や第2操作部31をタッチ操作することなく(ステップS6のNo)、第3状態が所定時間継続すると(ステップS8のNo)、操作制御部23は、点灯中の全ての光源42a,42b,42cを消灯して、操作パネル部10を第1状態に設定する(ステップS1)。
【0058】
上記した実施形態によれば次のような作用効果を得ることができる。
【0059】
操作制御部23は、操作部26~31に対する操作が所定時間ない場合、操作領域R1に設けられた全ての検出部26b~31b、47において静電容量の変化を検出可能としつつ、全ての光源42a、42b、42cを消灯させる第1状態に操作パネル部10を設定する。これにより、不必要に操作部26~31が扉前面板24に照明されることがなくなるため、無駄な消費電力の増加を抑えつつ、冷蔵庫1の美観を損ねることなく、操作部26~31を構成する第1検出部26b~30b及び第2検出部31bの劣化を抑えることができる。
【0060】
しかも、第1状態では、操作領域R1に設けられた検出部26b~31b、47において静電容量の変化を検出可能としているため、ユーザは、操作領域R1がありそうな位置をタッチ操作するだけで、この操作を検出して、第2操作ボタン31aを扉前面板24に表示しつつ第2操作部31に対するタッチ操作を有効とする第2状態へ移行する。そのため、第1状態において全ての光源42a、42b、42cが消灯していても、ユーザからの操作を受け付け可能な状態へ簡単に移行することができる。
【0061】
特に、本実施形態では、第1状態において、第1検出部26b~30bや第2検出部31bだけでなく、これらの外側への操作を検出する第3検出部47もタッチ操作を検出するため、操作領域R1の広い範囲においてタッチ操作を検出することができ、より簡単に第1状態から第2状態へ移行することができる。
【0062】
なお、上記した実施形態では、第1状態において第1操作部26~30及び第2操作部31が操作されると、第2状態へ移行する場合について説明したが、例えば、第1状態において第2操作部31が操作されると、第2状態を経ることなく第1状態から第3状態へ移行してもよい。これにより、ユーザは第2状態を経ることなく冷蔵庫1の各種設定が可能な第3状態へ移行することができ、簡便な操作が可能となる。
【0063】
また、上記した実施形態において、第1検出部26b~30bや第2検出部31bの検出感度を、第1状態、第2状態及び第3状態で全て一定に設定してもよく、また、第2状態や第3状態に比べて第1状態において検出感度を高く設定してもよい。第1状態において検出感度を高く設定することにより、第1状態において操作領域R1へのタッチ操作が検出されやすくなり、より簡単に第1状態から第2状態へ移行することができる。
【0064】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
1…冷蔵庫、2…断熱箱体、8…左扉、9…右扉、10…操作パネル部、22…主制御装置、23…操作制御部、24…前面板、25…操作ユニット、26~30…第1操作部、31…第2操作部、26a~30a…第1操作ボタン、31a…第2操作ボタン、26b~30b…第1検出部、31b…第2検出部、32~36…表示部、42a…第1光源、42b…第2光源、42c…第3光源、47…第3検出部