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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190190
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】参拝設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
E04H13/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098381
(22)【出願日】2021-06-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】519152571
【氏名又は名称】公益社団法人緑山空海
(74)【代理人】
【識別番号】100198498
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 靖
(72)【発明者】
【氏名】鬼沢 正光
(57)【要約】
【課題】参拝設備10において保管されている所望の厨子(参拝対象物)20を厳かな雰囲気を維持したまま、参拝者の前に届け、参拝セレモニーの好適な演出を図る。
【解決手段】
保管部100の収納ラック110には多数の厨子20が保管されている。参拝に際しては、所望の厨子20が参拝台220に搬送されて参拝者の前に届けられる。厨子20は、コンベア310によって参拝位置220Aに届けられる。参拝台220と保管部100との間の参拝壁210にはコンベア310を挿通するための開口部210Aが設けられている。開口部210Aには開閉扉240が取り付けられて開閉される。開閉扉240の開閉動作は、厨子20の搬送位置に応じて自動的に行われる。一方、厨子20の開口20Bを覆うスライド蓋21の開閉動作は、アクチュエータ340を用いることで厨子20の搬送位置に応じて自動的に行われる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
参拝対象物を保管する保管部と、
参拝壁と参拝台とを有する参拝部と、
前記保管部から前記参拝台まで延設された搬送路を有し、前記保管部と前記参拝台との間で前記参拝対象物の搬出・搬入を行う搬送手段と、
前記参拝部の使用状態を検知し、検知した使用状態に応じて前記搬送手段による前記参拝対象物の搬出・搬入の制御を行う搬送制御手段とを備えた参拝設備であって、
前記参拝壁には、前記保管部から前記参拝台まで延設された前記搬送路を挿通するための開口部が形成されると共に該開口部の開閉を行う開閉扉が設けられ、
該開閉扉は、前記搬送路における前記参拝対象物の位置に応じて開閉することを特徴とする参拝設備。
【請求項2】
前記搬送路には、前記参拝対象物の搬送位置を検出する検出手段が配置され、
前記搬送制御手段は、該検出手段からの前記参拝対象物の搬送位置を示す信号に基づいて前記開閉扉の開閉動作の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の参拝設備。
【請求項3】
前記参拝対象物には開放部と該開放部を開閉するためのスライド蓋が設けられ、
前記搬送制御手段は、前記検出手段からの信号に基づく前記参拝対象物の搬送位置に応じて前記スライド蓋の開閉動作の制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の参拝設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参拝対象物を保管庫に多数収納する保管庫を備え、参拝に訪れた者に係る所望の参拝対象物を保管庫から適宜参拝の場所に搬送する搬送装置を有する参拝設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遺骨や遺灰が収納された収納容器(例えば、厨子)等の参拝対象物を多数集めて保管庫に一括保管し、併設する参拝室に参拝者が訪れた際、これら参拝対象物の中から参拝に用いる所望の参拝対象物を適宜参拝室に搬送する搬送装置を備えた参拝設備が提案されている(例えば、特開2002-235459号公報:特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1では、骨壺(1)が収納された収納容器(2)を収納装置(A)に複数保管し、参拝者が参拝に訪れた際に、搬送装置(C)によって所望の収納容器(2)を収納装置(A)から取り出して参拝者が待つ参拝部(B)に搬送する納骨システムが開示されている。
【0004】
この特許文献1の収納容器(2)の外側面には、故人の名前等が記載された銘盤(5)が取り付けられており、参拝者は、参拝部(B)に搬送された収納容器(2)の銘盤(5)を見ながら参拝を行う。このように、特許文献1の構成では、骨壺(1)が収納された収納容器(2)が参拝対象物として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-235459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の参拝設備では、参拝対象物は、祭壇等の参拝台に運ばれて参拝者の前に置かれるだけであった。
従来の参拝設備では、このように参拝対象物を参拝台に載せてこれを取り囲むように複数の参拝者が拝む程度であるが、本件発明者は、訪れた参拝者に故人の人柄、思い出等を引き起こさせるための新たな参拝の様式、特に参拝者にとって故人と参拝者とのつながりを思い起こさせて、故人に対する思慕を強めることができる新たな参拝の様式、参拝時のより良い演出ができないかを考えた。
参拝に当たって、当該参拝対象物をどのような態様で参拝者の前に持ってくれば参拝者の心により響く優れた雰囲気を醸し出して、参拝等の厳かなセレモニーに付加価値をつける演出となるかを検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、本願の第1の発明は、参拝対象物を保管する保管部と、参拝壁と参拝台とを有する参拝部と、前記保管部から前記参拝台に延設された搬送路を有し、前記保管部と前記参拝台との間で前記参拝対象物の搬出・搬入を行う搬送手段と、前記参拝部の使用状態を検知し、検知した使用状態に応じて前記搬送手段による前記参拝対象物の搬出・搬入の制御を行う搬送制御手段とを備えた参拝設備であって、前記参拝壁には、前記保管部から延設された前記搬送路を挿通するための開口部が形成されると共に該開口部の開閉を行う開閉扉が設けられ、該開閉扉は、前記搬送路における前記参拝対象物の位置に応じて開閉するようにしたものである。
【0008】
また、本願の第2の発明は、前記第1の発明において、前記搬送路には、前記参拝対象物の搬送位置を検出する検出手段が配置され、前記搬送制御手段は、該検出手段からの前記参拝対象物の搬送位置を示す信号に基づいて前記開閉扉の開閉動作の制御を行うようにしたものである。
【0009】
また、本願の第3の発明は、前記第2の発明において、前記参拝対象物には開放部と該開放部を開閉するためのスライド蓋が設けられ、前記搬送制御手段は、前記検出手段からの信号に基づく前記参拝対象物の搬送位置に応じて前記スライド蓋の開閉動作の制御を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本願の第1の発明によれば、参拝部の開閉扉が参拝対象物の搬出・搬入の状態、特に参拝対象物の搬出時の移動状態(搬送位置)に応じて開閉されるので、参拝対象物を参拝者の前に置く作業を人出を不要とすることで、より厳かな雰囲気を醸し出すことができ、参拝での演出効果を高めることができる。
【0011】
また、本願の第2の発明によれば、前記開閉扉の動作が、前記参拝対象物の搬送位置に応じて自動的に開閉されるので、参拝設備に設けられた参拝対象物の搬出・搬入の制御装置を用いて最適なタイミングで参拝対象物を参拝者の前に置くことができ、より一層の演出効果を実現することができる。
【0012】
また、本願の第3の発明によれば、前記参拝対象物のスライド蓋が、参拝対象物の搬送位置に応じて自動的に開閉されるので、参拝時に参拝者自らが参拝対象物の蓋を開ける必要がなく、厳かな雰囲気のまま、最適なタイミングで参拝対象物の内部に予め収納された記念品等を参拝者に見せることができ、参拝の演出効果を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願の実施形態に係る参拝設備10が備えられた参拝施設1の全体構成を示す説明図である。
図2】本願の参拝設備10の参拝部200を示す斜視図である。
図3】本願の参拝設備10の保管部100と参拝部200との位置関係を示す説明図である。
図4】本願の参拝設備10の保管庫100と搬送装置300との位置関係を示す説明図である。
図5】本願の厨子(参拝対象物)20の外観及びその使用の態様を示す斜視図である。
図6】本願の参拝台200の開閉扉240が厨子20の搬送位置に応じて開閉する様子を示す説明図である。
図7】駆動ユニット250による開閉扉240の開閉動作の制御とアクチュエータ340によるスライド蓋21の開閉動作の制御の様子を示す説明図である。
図8】駆動ユニット250による開閉扉240の開閉動作の制御とアクチュエータ340によるスライド蓋21の開閉動作の制御の様子を示す説明図である。
図9】本願の搬送装置300及びアクチュエータ340の動作を制御する制御装置400の構成を示すブロック図である。
図10】制御装置400のCPU410で実行される開閉制御プログラムを示すフローチャートである。
図11】開閉扉240に代えて開閉扉270を設置した参拝部200を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願の実施の形態に係る参拝設備10の構成について、図1図4を参照して説明する。
参拝設備10は、図1示すように参拝施設1の建屋1A内に配置された保管部(保管庫)100、参拝部200、搬送装置(搬送手段)300、及び地下室(制御室)1Bに配置された制御装置400を備える。
【0015】
参拝施設1の建屋1Aは、分離壁1Cによって、保管部100と参拝部200とが仕切られており、建屋1Aの前面側(参拝者用の出入口1D側)に参拝部200が配置されている。また、分離壁1Cによって分離された背面側に保管部100が配置されている。
保管部100は厨子(参拝対象物)20、20、…を多数収納して保管・管理するもので、2つの収納ラック110、110を有する(図1図3図4)。
【0016】
また、参拝部200は、仕切壁1E、1Eによって3つの参拝室200A、200B、200Cに区画されており(図1)、各参拝室200A、200B、200Cには、参拝壁210、厨子20が設置される参拝台220、参拝者用のモニタパネル230が設けられている(図2図3)。
このうち参拝壁210は、参拝室(200A、200B、200C)の奥側の壁を構成するもので、その前面に参拝台220が備えられている。また、参拝壁210には開口部210Aが形成されており、保管部100から搬出された厨子20は、この開口部210Aからせり出されるようになっている。開口部210Aには開閉扉240が取り付けられており、開口部210Aの開閉は開閉扉240の開閉によって行われる。
また、モニタパネル230は、故人の戒名等を表示する表示装置として機能するとともに、タッチパネルとしての機能も果たす。参拝者は、このモニタパネル230を操作することで、参拝の終了の情報等を入力することができる。
【0017】
搬送装置300は、図4に示すように、コンベア310、駆動ユニット320、トレイ330、アクチュエータ340、昇降装置350、案内レール360を有する。
このうちコンベア310、トレイ330、昇降装置350、案内レール360によって搬送装置300の搬送路が構成される。なお、本実施の形態では、コンベア310が主たる搬送路となる。これは、本発明が、コンベア(主たる搬送路)310上の厨子20の搬送位置に応じて、開閉扉240の開閉動作の制御、スライド蓋21の開閉動作の制御を行うことを主たる目的としているからである。
【0018】
コンベア310は、昇降装置350から参拝台220までの搬送路の要部を構成するもので、コンベア310は、参拝壁210に設けられた開口部210A内を通って(挿通されて)参拝台220の参拝位置220A(図2(a))まで設けられ、厨子20を参拝位置220Aまで届けることができる。
【0019】
参拝者に係る所望の厨子20を参拝台220まで搬送するに当たっては、先ず、図3に示すように、搬送装置300のトレイ330が所望の厨子20が収納された収納ラック110の所定位置まで移動する。所望の厨子20を載せたトレイ330は昇降装置350に載せられたまま案内レール360に沿って移動し、所望の厨子20をコンベア310上に載せる。コンベア310上に載せられた厨子20は、参拝壁210の開口部210Aを通って参拝台220の参拝位置220Aまで搬送される。
なお、コンベア310近傍には、少なくとも4つの位置センサS1~S4が設置されており(図7図8の△S1~△4で示す位置)、これら位置センサS1~S4の検出信号は、地下室1Bに設置された制御装置400に送られる。
【0020】
制御装置400は、これらコンベア310近傍の位置センサS1~S4からの検出信号、更には、参拝部200に設置された開閉センサS5からの開閉信号に基づいて、詳細は後述する手順に従って、駆動ユニット250による開閉扉240の開閉動作の制御、アクチュエータ340による厨子20のスライド蓋21の開閉動作の制御を行う。
一方で、制御装置400は、駆動ユニット320に指令信号を出力して、上記した搬送装置300による所望の厨子20を参拝位置220Aまで搬送する制御を行う。
【0021】
なお、制御装置400により、搬送装置300を駆動して所望の厨子20を収納ラック110からコンベア310上に載せるには、従来より公知の駆動機構(例えば、特開2018-159189号公報)を用いればよく、厨子20を収納ラック110からコンベア310に載せるための駆動機構の詳細な説明は省略する。
【0022】
また、制御装置400は、モニタパネル230から送られてくる各種の操作信号や、各種センサからの検出信号、更には、オペレータによる制御室1Bのコンピュータ(図示省略)入力情報等に基づいて参拝に係る情報(参拝部200の使用状態等)を認識し、前記駆動ユニット320の駆動制御、詳細は後述する開閉扉240の開閉動作、更には参拝壁210の開口部210A近傍に設けられたアクチュエータ340の動作制御を総合的に行う。本実施の形態では、この制御装置400が搬送制御手段としても機能する。
【0023】
図5には、本実施の形態で用いられる厨子(参拝対象物)20を示す。
厨子20は、例えばステンレス等の金属からなる箱状(直方体)のケースであり、上面20Aは2分割され、一方が参拝壁210スライド蓋21で覆われた開口20Bとなっている。
スライド蓋21は、開口20Bの開閉を行うために取り付けられており、スライド蓋21が上面20A長手方向(コンベア310の進行方向と平行)に往復でスライドすることで開口20Bの開閉が行われる。
【0024】
スライド蓋21には開閉用凸部21aが設けられており、この開閉用凸部21aが後述するアクチュエータ340のロッド341と当接することで、厨子20の移動に応じてスライド蓋21が上面20Aでスライドするようになっている。
【0025】
厨子20の内部空間は、仕切板22によって2つの室23A、23Bに分割されており、厨子20の背面側の室23Bに骨壺(遺灰/遺骨)40が収納される。
室23A側はその上方が開いており(開口20B)、スライド蓋21をスライドさせて上方を開き、室23Aに故人の「思い出の品」や故人が記した「文章」、更には、写真/動画が記録された「記憶媒体」等、故人にゆかりの品々が収納される。これらの品々は、スライド蓋21が後方にスライドされたときに室23Aから取り出すことができる(図5(b))。
【0026】
厨子20が参拝台220の参拝位置220Aに搬送されてきた時点で、厨子20のスライド蓋21が開いているため、収納されている故人にゆかりの品々をすぐに見ることができ、厳かな雰囲気のまま故人を偲ぶことができる。また、厨子20に収納された「記憶媒体」を容易に取り出せるため、この「記憶媒体」に記録された画像/動画をモニター260に表示/再生する等、参拝の際の演出効果をより高めることができる。
尚、厨子20の前面20Dには、家紋が表記されたプレートや、故人の遺影等の写真がプリントされたプレート等を自由に組み込むことができる。
【0027】
次に、制御装置400による開閉扉240の開閉動作の制御、及び、厨子20のスライド蓋21の開閉動作の制御について、図6図10を用いて説明する。
開閉扉240は、参拝壁210に形成された開口部210Aに取り付けられて該開口部210Aの開閉を行うもので、通常は閉じた状態となっている(図6(a)、図7(a))。
【0028】
制御装置400は、位置センサS1~S4からの信号に基づいて、コンベア310上の実際の厨子20の搬送位置(移動位置)を検出して検出信号を駆動ユニット250に出力し、駆動ユニット250の駆動モータ(図示省略)が開閉扉240の開閉動作を行う。
【0029】
図7(a)~(e)、図8(f)~(i)は、コンベア310上での厨子20の実際の搬送位置に応じて開閉扉240が開閉動作する様子を示す図である。
コンベア310上の厨子20が、開閉扉240から離れた位置にある場合には、未だ、開閉扉240は閉じたままである(図7(a))。このときアクチュエータ340のロッド341は伸びた状態(オフ)にある。
【0030】
厨子20がコンベア310上で移動し、その前面がコンベア310近傍の位置センサS1の位置(図7(a)のS1の△の位置)に至ると、位置センサS1から検出信号が制御装置400に送られ、制御装置400は、この位置センサS1からの信号に基づいて開閉扉240の開き動作を開始させる。この開き動作は、開閉センサS5が開閉扉240の全開を検知するまで行われる。
【0031】
更に、コンベア310上の厨子20が移動すると、スライド蓋21の開閉用凸部21aがアクチュエータ340のロッド341に当接する(図7(b))。この状態のまま厨子20が参拝台220の参拝位置に向かって移動すると、この移動に伴ってスライド蓋21は開き始める。
【0032】
厨子20の前面20Dが位置センサS3の位置(図7(c)のS3の△の位置)に達すると位置センサS3からの信号に基づいてアクチュエータ340のロッド341が一定時間だけ縮む(オン)。このときスライド蓋21は、既に最大に開かれており、ロッド341が縮んでいる間に、開閉用凸部21aがロッド341の位置を通過するため、ロッド341が厨子20の移動を妨げることはない(図7(c))。
【0033】
更に、コンベア310上の厨子20が移動し、参拝位置220A(図中、一点鎖線で囲む位置)に達すると、その旨が位置センサS4によって検出され、この検出信号が制御装置400に送られる(図7(d))。
制御装置400はこの検出信号に基づいて、駆動ユニット250に開閉扉240を閉じる動作を開始させる。この閉じる動作は、開閉扉240が全閉したことが開閉センサS5によって検知されるまで行われる。なお、駆動ユニット250(図4)は、例えば、公知のラック・アンド・ピニオンで構成可能であり、単にピニオンを駆動モータ(図示省略)で回動するだけ開閉扉240、240の開閉動作を行うことができる。ここでは詳細は説明は省略する。
【0034】
参拝が終了し、参拝者がその旨をモニタパネル230のタッチ操作によって入力すると、制御装置400は、モニタパネル230からの操作信号に基づいて参拝が終了したことを認識し、駆動ユニット320に駆動信号を送信して、厨子20の保管部100への搬入制御を開始する。なお、コンベア310から保管部100(収納ラック110、110)までの厨子20の収納の手法は従来公知であり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0035】
タッチパネル230からの操作信号に基づいて、参拝の終了を認識した制御装置400は、駆動ユニット250による開閉扉240の開き動作の制御を開始する。
この開き動作の制御は駆動ユニット250内の駆動モータ(図示省略)を回動させることにより行われる。この開閉扉240の開き動作は、開閉センサS5によって全開が検知されるまで行われる。
【0036】
制御装置400は、開閉センサS5からの、開閉扉240が全開したことを示す検出信号を認識して、厨子20の収納ラック110、110への搬入制御の動作を開始する。
このように制御装置400は、開閉扉240が開いていることを前提条件に、駆動ユニット320に駆動信号を送信し、コンベア310による厨子20の移動を開始させる。
【0037】
コンベア310上の厨子20が保管部100側に移動し始めると、スライド蓋21の開閉用凸部21aがアクチュエータ340のロッド341と当接したまま厨子20が移動する。このときロッド341によってスライド蓋21がスライドして開口20Aを閉じさせる(図8(f))。
【0038】
更なる厨子20の移動に伴い、ロッド341が開閉用凸部21aに当接してスライド蓋21を閉じる方向にスライドさせる。
スライド蓋21が完全に閉じる位置に至ると(図8(g))、そのときの厨子20の位置が位置センサS2(厨子20が離れたことを示すオフ信号)によって検出されて、検出信号が制御装置400に送られる。
【0039】
制御装置400は、このオフ信号を受けてアクチュエータ340のロッド341を一定時間縮ませる(オン)。この間、開閉用凸部21aは、縮んだ状態のロッド341から離れて通過する。アクチュエータ340をオンさせることで、ロッド341が、厨子20の保管部100方向への移動の妨げないようにできる。
【0040】
厨子20がコンベア310上を移動し前面が位置センサS1の取り付け位置を過ぎると、その旨が位置センサS1によって検出され(オフ信号)、この検出信号が制御装置400に送られる。このとき厨子20は開閉扉240から離れた位置まで移動しているため、開閉扉240を閉じる動作をしてもよい。
よって制御装置400は、この検出信号(オフ信号)を受けて、駆動ユニット250に開閉扉240を閉じるための駆動信号を出力する。開閉扉240が完全に閉じるとその旨が開閉センサS5によって検出され、検出信号が制御装置400に送られる。制御装置400は、この検出信号を受けて、駆動ユニット250に指令信号を出力し開閉扉240の閉じる動作を終了させる。
【0041】
その後も厨子20のコンベア310上での位置情報は、複数の位置センサ(図示省略)によって適宜検出され、制御装置400は、この検出信号に基づいて駆動ユニット320に指令信号を出力して、コンベア310、昇降装置350、トレイ330の動作制御を行い、参拝に用いた厨子20を収納ラック110の所定の位置に収納する。
【0042】
ここで制御装置400の概略構成を図9のブロック図を用いて説明する。
制御装置400は、外部装置との間で信号のやりとりを行うI/O回路410と、このI/O回路410で適宜変換された信号が入力される中央演算処理装置(CPU)420と、CPU420に接続された内部メモリ430と、同じくCPU420に接続された外部記憶装置440とを備えている。
【0043】
I/O回路410には、モニタパネル230からの入力信号、位置センサS1~S4、開閉センサS5からの検出信号、他のセンサからの検出信号が入力される。
また、I/O回路410は、CPU420での演算処理によって生成された制御信号を駆動信号に変換し、駆動ユニット250、駆動ユニット320、アクチュエータ340、参拝設備の他の駆動手段に送信する。
【0044】
CPU420は、位置センサS1~S4、開閉センサS5、他のセンサからの各種検出信号や、モニタパネル230からの指令信号に基づいて、参拝設備10の制御を行うもので、入力された各種の検出信号と内部メモリ430及び外部記憶装置440に記憶されているデータに基づいて駆動ユニット250、駆動ユニット320、アクチュエータ340、他の駆動手段の動作制御を行う。
【0045】
モニタパネル230は、実際に訪れた参拝者が直接データを入力することが可能となっており、CPU420は、モニタパネル230からの信号に基づいて、参拝制御対象となる所望の厨子20の収納位置と、今回の参拝に用いられる参拝部200を認識し、参拝に用いる所望の厨子20を収納ラック110から選び出し、参拝者が使用する参拝台220の参拝位置220A(図2図7(a)~(c))まで搬送する。
【0046】
図10は、制御装置400のCPU420で実行される開閉扉240とアクチュエータ340の開閉動作の制御を行う開閉制御プログラムを示すフローチャートである。
このプログラムは、参拝設備10全体を制御するメインプログラム(図示省略)とは別のサブルーチンプログラムである。
このサブルーチンでは、メインルーチンで読み込まれている位置センサ(例えば、S1~S5)、モニタパネル230の操作による操作信号等に基づいてコンベア310上の厨子20の搬送位置(移動位置)を検知する。
【0047】
このプログラムが開始すると、まずステップS01で制御装置400に入力された各種センサからの検出信号のうち、このサブルーチンで必要となる検出信号及びモニタパネル230からの指令信号が読み込まれ、制御装置400のCPU420は、これら検出信号に基づいてコンベア310上の厨子20の搬送位置(移動位置)を認識する。
【0048】
次のステップS02では、モニタパネル230からの操作信号に基づいて現時点で参拝者が未だ参拝中であるか否かが判別される。この判別結果が“Yes”のときは、次のステップS03でコンベア310が駆動中であるか否かが判別される。
ステップS03の判別結果が“Yes”のときには、厨子20が未だ参拝台220側に搬送中であると判断し、ステップS04で位置センサS1が今回初めてオン信号(厨子20の先端が位置センサS1の位置に達した旨を示す信号)が生じたか否かが判別される。
ステップS04が“Yes”のときは(図7(a)参照)、ステップS05で開閉扉240を全開にする開閉動作の制御が行われる。なお、このステップS05の開閉動作によって開閉扉240が全開となったか否かは、開閉センサS5(図2)からの検出信号によって検知され、全開になった時点でこのステップS05の処理を終了する。
【0049】
ステップS04の判別結果が“No”のときには(既に開閉扉240が全開となっているとき)、ステップS06にて位置センサS4が今回初めてオン信号(厨子20の先端が位置センサS4の位置に達した旨を示す検出信号)が生じたか否かが判別される。
【0050】
このステップS06の判別結果が“No”のとき、すなわち、厨子20が未だ参拝位置220Aに達していない場合には、ステップS07に進み、位置センサS1からオン信号が生じた後、初めて位置センサS3からオン信号が生じたか否かが判別される。
ステップS07の判別結果が“Yes”のとき、すなわち厨子20が図7(c)の位置に至ったときには、ロッド341と当接していたことでスライド蓋21が既に全開にされたと判断し、ステップS08に進んで、アクチュエータ340を一定時間だけ駆動(オン状態)にしてロッド341を縮める。
一定期間だけロッド341を縮めることによって、スライド蓋21が全開された状態のままの厨子20が、該ロッド341に妨げられることなく、参拝位置220Aに向かって搬送される。
【0051】
厨子20が参拝台220の参拝位置220Aまで搬送されると(位置センサS4からオン信号が生じる)、ステップS06の判別結果が“Yes”に転じ、次のステップS09で開閉扉240を閉じる動作が全閉になるまで行われる。開閉扉240が全閉になったか否かは開閉センサS5からの検出信号によって検知される。
【0052】
以上のように、参拝時の厨子20の搬送位置が、位置センサS1~S4からの検出信号によって検出され、検出された位置に応じた開閉扉240の開閉動作、アクチュエータ340によるスライド蓋21の開閉動作の制御が行われる。
【0053】
参拝が終了した旨を、参拝者がモニタパネル230の操作で入力すると、ステップS02の判別結果が“No”に転じ、ステップS10以降の処理が行われる。
先ず、ステップS10では、コンベア310が駆動中であるか否かが判別される。この判別結果が“No”であるうちにステップS11に進み、開閉扉240を開く動作が全開になるまで行われる。開閉扉240が全開となったか否かは、開閉センサS5からの検出信号によって検知される。
【0054】
開閉扉240が全開になった後、ステップS12に進んで、コンベア310の駆動制御が開始され、その後、本プログラムを終了する。
一端、コンベア310の駆動が開始されると、ステップS10の判別結果が“Yes”に転じ、次のステップS13で位置センサS4から初めてオフ信号(厨子20が参拝位置220Aから離れたことを示す信号)が生じたか否かが判別される。この判別結果が“No”であるうちは、そのまま本プログラムを終了する。
【0055】
次回以降のループでステップS13の判別結果が“Yes”に転じると、ステップS14に進み、位置センサS4がオフとなった後、初めて位置センサS2からオフ信号が生じたか否かが判別される。
位置センサS4がオフになった後、位置センサS2が未だオフになっていなときには、そのまま本プログラムを終了する。このときアクチュエータ340はオフでロッド341は伸びたままとなって開閉用凸部21aと接合したまま、厨子20が移動する。この結果、厨子20のスライド蓋21が閉じる方向にスライドする。
【0056】
保管部100側に厨子20が搬送されはじめた後、厨子20の先端側が位置センサS2の取付位置に達すると、ステップS14の判別結果が“Yes”となる。この時点までにロッド341の作用によってスライド蓋21が全閉とされている。よって、次のステップS15ではアクチュエータ340が一定時間だけオン状態にされてロッド341が一定時間縮まる。
【0057】
一定時間ロッド341が縮むことで、この間、ロッド341とスライド蓋21の開閉用凸部21aとが当接しないようになり、スライド蓋21が全閉になった厨子20は、ロッド341の位置を過ぎて、その移動が継続される。
次のステップS16では、ステップS09と同様に、開閉扉240を閉じる開閉動作が全閉になるまで行われる。開閉扉240が全閉になったか否かは、開閉センサS5からの信号によって確認される。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態の参拝設備10では、厨子20の搬送状態(搬送位置)に応じて開閉扉240が自動的に開閉し、参拝時の演出効果を高めることができる。
また、本実施の形態の厨子(参拝対象物)20は、単に遺灰/遺骨を収納するのみならず、故人の「思い出の品」や故人が記した「文章」、更には、写真/動画が記録された「記憶媒体」等、故人にゆかりの品々が収納され、スライド蓋21が後方に自動的にスライドされて室20Aが開かれるので、参拝者がこれらの品を容易に取り出すことができ、参拝者の故人に対する思慕を深めることもできる。
【0059】
そして、このような新たな発想の厨子(参拝対象物)20の搬送時の開閉扉240の自動的な開閉や、スライド蓋21の自動的な開閉により、参拝時の演出効果を高める自由度が増し、厳かなセレモニーの演出効果を高めることができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、厨子20の搬送位置(移動位置)に応じて開閉扉240の開閉、スライド蓋21の開閉を自動的に行うようにしているが、検知した厨子20の搬送位置(移動位置)に応じてモニタ260の表示(静止画/動画)を行うなど、参拝時の演出効果を更に高めることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、開口部210Aの開閉を行う開閉扉240は、左右方向に開く2つの扉で構成したが、図11に示すように、1つの開閉扉270としてもよい。
この場合、開閉扉270にモニタ機能を持たせることで、参拝の演出を高めることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 参拝設備
10 参拝設備
20 厨子(参拝対象物)
21 スライド蓋
21a 開閉用凸部
100 保管部(保管庫)
110 収納ラック
200 参拝部
210 参拝壁
210A 開口部
220 参拝台
220A 参拝位置
230 モニタパネル
240,270 開閉扉
250 駆動ユニット
260 モニタ
300 搬送装置
310 コンベア(搬送路)
320 駆動ユニット
330 ラック
340 アクチュエータ
341 ロッド
350 昇降装置
360 案内レール
400 制御装置(搬送制御手段)
420 CPU
S1~S4 位置センサ(検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
参拝対象物を保管する保管部と、
参拝壁と参拝台とを有する参拝部と、
前記保管部から前記参拝台まで延設された搬送路を有し、前記保管部と前記参拝台との間で前記参拝対象物の搬出・搬入を行う搬送手段と、
前記参拝部の使用状態を検知し、検知した使用状態に応じて前記搬送手段による前記参拝対象物の搬出・搬入の制御を行う搬送制御手段とを備えた参拝設備であって、
前記参拝壁は、前記保管部と前記参拝台とを隔てると共に、前記保管部から前記参拝台まで延設された前記搬送路を挿通するための開口部が形成され
前記参拝壁には、前記開口部の開閉を行う開閉扉が設けられ、
前記搬送路には、少なくとも前記参拝対象物が前記開閉扉に接近したこと及び前記対象物が参拝位置に到達したことを検知する検出手段が設けられ、
前記搬送制御手段は、前記検出手段からの信号に基づいて前記開閉扉の開閉動作の制御を行うことを特徴とする参拝設備。
【請求項2】
前記参拝対象物には開放部と該開放部を開閉するためのスライド蓋が設けられ、
前記搬送制御手段は、前記検出手段からの信号に基づいて前記参拝対象物の搬送位置に応じた前記スライド蓋の開閉動作の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の参拝設備。