(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019020
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】燃料油配送システムの被検出具
(51)【国際特許分類】
B67D 7/32 20100101AFI20220120BHJP
【FI】
B67D7/32 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122540
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100087974
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】藍勇太
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AD01
3E083AG40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】油種などのデータを確実に読み出すことができる混油防止装置用の被検出具を提供すること。
【解決手段】油槽所でのローディングアーム又はタンクローリの各ハッチに検出器と、タンクローリの各ハッチ又はローディングアームに被検出具とを設けて、前記検出器へ前記被検出具を挿入して誤荷積みを防止するとともに、ローリの荷卸しホースに検出器と、給油所の貯油タンクに連通する注油口に被検出具とを設けて、前記検出器へ前記被検出具を挿入して誤荷卸しを防止する混油防止装置の被検出具であって、被検出具は、金属製の本体ハウジング2に収納部4が形成されており、収納部4にICタグセンサーユニット3を樹脂封止により収容固定し、ICタグセンサーユニット3の上部には本体ハウジング2の表面以下となる樹脂製の蓋部7が固着されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油槽所でのローディングアーム又はタンクローリの各ハッチに検出器と、タンクローリの各ハッチ又はローディングアームに被検出具とを設けて、前記検出器へ前記被検出具を挿入して誤荷積みを防止するとともに、ローリの荷卸しホースに検出器と、給油所の貯油タンクに連通する注油口に被検出具とを設けて、前記検出器へ前記被検出具を挿入して誤荷卸しを防止する混油防止装置の被検出具において、
前記被検出具は、金属製の本体ハウジングに収納部が形成されており、該収納部にICタグセンサーユニットを樹脂封止により収容固定し、該ICタグセンサーユニットの上部には前記本体ハウジングの表面以下となる樹脂製の蓋部が設けられていることを特徴とする混油防止装置の被検出具。
【請求項2】
前記ICタグセンサーユニットと前記収容部との間には本体ハウジング側に樹脂カップが、また前記ICタグセンサーユニット側に磁性シートが介装されている請求項1に記載の混油防止装置の被検出具。
【請求項3】
前記樹脂カップの本体ハウジング側の面には凸部が形成され、該凸部は本体ハウジングの収容部に形成された凹部に嵌合している請求項1に記載の混油防止装置の被検出具。
【請求項4】
前記樹脂カバーの内面には複数の係止片が形成され、前記ICタグセンサーユニットが前記係止片に係合している請求項1に記載の混油防止装置の被検出具。
【請求項5】
前記収納部の内周面の側面に前記樹脂封止のための樹脂が流れ込む抜け穴が形成されている請求項1に記載の混油防止装置の被検出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油槽所でタンクローリに燃料油を荷積みしてこの荷積みした燃料油を給油所
の貯油タンクに荷卸しする作業に伴う混油を防止する燃料油配送システムに適した被検出具
に関する。
【背景技術】
【0002】
油槽所から給油所に配送を担うタンクローリは、油槽所では複数のハッチにガソリン、
軽油、灯油等の油種を取り違えることなく積み込み、また、給油所の地下タンクに荷卸し
する際は油種ごとに設けた地下タンクに各ハッチの燃料油を間違いなく荷卸しするために混
油を防止することが必要である。
【0003】
このため、油槽所におけるタンクローリへの荷積みに当たっては、タンクローリのそれぞれのハッチに所望とする油種と異なる油種の燃料油を荷積みしてしまったり、またオーバーフローが起きるのを防止するため、例えば特許文献1に記載されたタンクローリ車が提案されている。
また、給油所でのタンクローリから地下タンクへの荷卸しの際に混油又はオーバーフローが起きるのを防止するために、例えば特許文献2に記載されたタンクローリの制御装置が提案されている。
【0004】
これらの発明は有効であるが、油槽所での荷積みの際の被検出具はハッチ番号、給油所での荷卸しの際の被検出具は地下タンク番号と油種であるが、高度化しつつある燃料油配送システムでは更なる情報を照合する必要性も考えられ、従来の磁気式の被検出具だけでは情報量が不足する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開7-172493号公報
【特許文献2】特開1-226592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであってその目的とするところは、油槽所での荷積みや給油所での荷卸しの管理の効率化を図ることができる燃料油配送システムの被検出具、特に特願2019-088820号に見られる読み取り装置に適した被検出具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を達成するために本発明は、油槽所でのローディングアーム又はタンクローリの各ハッチに検出器と、タンクローリの各ハッチ又はローディングアームに被検出具とを設けて、前記検出器へ前記被検出具を挿入して誤荷積みを防止するとともに、ローリの荷卸しホースに検出器と、給油所の貯油タンクに連通する注油口に被検出具とを設けて、前記検出器へ前記被検出具を挿入して誤荷卸しを防止する混油防止装置の被検出具において、前記被検出具は、金属製の本体ハウジングに収納部が形成されており、該収納部にICタグセンサーユニットを樹脂封止により収容固定し、該ICタグセンサーユニットの上部には前記本体ハウジングの表面以下となる樹脂製の蓋部が固着されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、格納できる情報量を増大でき、また樹脂カバーにより電波を確実に透過させてICタグセンサーユニットに格納されている情報を出力でき、また樹脂封止により防水性と耐衝撃性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の被検出具の一実施例をICタグセンサーユニット収納領域を分解して示す図。
【
図2】本発明の被検出具の一実施例をICタグセンサーユニット収納部の蓋部を外した状態で示す図。
【
図3】本発明の被検出具の一実施例の外観を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
そこで以下に、本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、矢印1の方向に挿入可能な金属製の本体ハウジング2の挿入方向の先端側にはICタグセンサーユニット3を内蔵する収納凹部4が形成されている。収納凹部4には本体ハウジング2の図では下側から開口側に順番に樹脂カップ5、磁性シート6、ICタグセンサーユニット3を積層し、これらの上部から樹脂を流し込み、最後に本体ハウジング2の上面より同一面よりも低いくなる樹脂製の蓋部7を押し込み最後に複数のネジ8で本体ハウジング2に固定して全体が収容固定されている。
【0011】
完成した状態では蓋部7の上面が
図3に示したように本体ハウジング2の表面以下となっているためタグ読取り装置へのスムーズな挿入が保証される。
【0012】
ICタグセンサーユニット3は、その上面だけを露出させた状態で磁性シート6で包囲されて樹脂カップ5に収容されている。
【0013】
樹脂製の蓋部7の外周には複数の爪部7aが、また収容凹部4の内周面には、蓋部7が正規の位置、姿勢で装填されたとき爪部7aと勘合する受け部(図示せず)が形成されている。
【0014】
樹脂カップ5の裏面(収容凹部に対向する面)には突起5aが、また収納凹部4の底面には樹脂カップ5が正規に装填されたときに突起5aに噛み合う位置に凹部4bが形成されている。
【0015】
これにより樹脂カップ5、ひいてはこれに収容されているICタグセンサーユニット3を本体ハウジング4に相対的に正確に位置決め固定できる。なお、上述の実施例では樹脂カップに突起5aを、また収容凹部に凹部4bを設けているが、樹脂カップ5に凹部を、また収容に突起を設けてもよい。
【0016】
これら樹脂カップ5の凹凸、収容凹部4の凹凸、樹脂製の蓋部7の爪部7a、磁性シート6、蓋部7により本体ハウジング2の規定の位置にICタグセンサーユニット3を位置決めして収容することができる
【0017】
また収納凹部4の内面には充填された樹脂が流れ込んむ凹所4aが形成されていて、充填用の樹脂が凹部4aに流れ込んで固着される。これにより、ICタグセンサーユニット3を外部からの水の侵入を防ぐ防水構造として本体ハウジング2の凹部4に正確に位置決め固定できる。
【0018】
本体ハウジング2の側に磁性シート6を介装してICタグセンサーユニット3が金属製の本体ハウジング2の収納凹部4に収容固定されているため、磁性シート6によりICタグセンサーユニット3と本体ハウジング2を構成する金属との電波干渉を無くし、また磁束を安定させて金属製の本体ハウジングの影響を可及的に防止してICタグセンサーユニット3の情報を安定的に読み出すことができる。
【0019】
本体ハウジング2は、挿入方向後端の側面には滑り止め用の溝9、後端にタンクローリの各ハッチ又はローディングアームに取り付けるための紐を通す穴10、さらには挿入方向を示す矢印11が形成されている。溝9の存在により作業用手袋を装着している状態でもタグを容易、且つ簡単に読取り装置に装着することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0020】
なお、本体ハウジング2の表面に必要に応じて油種などを記載した銘鈑12を取り付けることができる。これにより現場作業員も装置を介することなく概略の情報を目視により簡単に得ることができる。
【符号の説明】
【0021】
2 本体ハウジング 3 ICタグセンサーユニット 5 樹脂カップ 6 磁性シート 7 樹脂製の蓋部