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  • 特開-内燃機関の制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190202
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/108 20060101AFI20221219BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20221219BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20221219BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F02M35/10 301A
F02M35/10 101L
F02D45/00 364D
F02D45/00 366
F02D45/00 345
F02B37/00 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098400
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】辻 智之
【テーマコード(参考)】
3G005
3G384
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005GB15
3G384BA04
3G384CA12
3G384DA47
3G384ED05
3G384ED07
3G384FA01B
3G384FA08B
(57)【要約】
【課題】弁の異常を検出することが可能な内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】内燃機関に空気を導入し、第1経路と、前記第1経路の上流側において前記第1経路から分岐する第2経路および第3経路とを有する吸気経路と、前記第3経路に設けられ、開閉可能な弁と、前記第1経路に設けられ、前記第1経路内の圧力を検出する圧力検出部と、前記弁を開閉させる動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出する制御部と、を具備する内燃機関の制御装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に空気を導入し、第1経路と、前記第1経路の上流側において前記第1経路から分岐する第2経路および第3経路とを有する吸気経路と、
前記第3経路に設けられ、開閉可能な弁と、
前記第1経路に設けられ、前記第1経路内の圧力を検出する圧力検出部と、
前記弁を開閉させる動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出する制御部と、を具備する内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記弁が閉じているときの前記第1経路内の圧力と、前記弁が開いているときの前記第1経路内の圧力との差が前記閾値未満である場合に、前記弁の異常を検出する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記弁を全閉から全開に切り替える動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出する請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁が固着していることを検出する請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記吸気経路に導入される空気の量を検出する空気量検出部を具備し、
前記空気の量が所定量以上のときに、前記制御部は前記弁を開閉させる動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出する請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記吸気経路内の空気を過給する過給機を具備し、
前記圧力検出部は前記過給機のコンプレッサよりも上流側に位置し、
前記内燃機関の過給運転中に、前記制御部は前記弁を開閉させる動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出する請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記吸気経路に設けられたエアクリーナを具備し、
前記第2経路および前記第3経路は前記エアクリーナに接続され、かつ前記エアクリーナよりも上流側に位置し、
前記第1経路は前記エアクリーナと前記内燃機関との間に接続されている請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気経路を複数設け、経路を切り替えるための弁を設ける技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-170251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弁が開いた状態または閉じた状態で固着するなど、弁に異常が発生する恐れがある。弁が異常になると弁の切り替えが困難になり、内燃機関の出力が不安定になってしまう。そこで、弁の異常を検出することが可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、内燃機関に空気を導入し、第1経路と、前記第1経路の上流側において前記第1経路から分岐する第2経路および第3経路とを有する吸気経路と、前記第3経路に設けられ、開閉可能な弁と、前記第1経路に設けられ、前記第1経路内の圧力を検出する圧力検出部と、前記弁を開閉させる動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出する制御部と、を具備する内燃機関の制御装置によって達成できる。
【0006】
前記制御部は、前記弁が閉じているときの前記第1経路内の圧力と、前記弁が開いているときの前記第1経路内の圧力との差が前記閾値未満である場合に、前記弁の異常を検出してもよい。
【0007】
前記制御部は、前記弁を全閉から全開に切り替える動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出してもよい。
【0008】
前記制御部は、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁が固着していることを検出してもよい。
【0009】
前記吸気経路に導入される空気の量を検出する空気量検出部を具備し、前記空気の量が所定量以上のときに、前記制御部は前記弁を開閉させる動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出してもよい。
【0010】
前記吸気経路内の空気を過給する過給機を具備し、前記圧力検出部は前記過給機のコンプレッサよりも上流側に位置し、前記内燃機関の過給運転中に、前記制御部は前記弁を開閉させる動作を行った際の、前記第1経路内の圧力の変化量が閾値未満である場合、前記弁の異常を検出してもよい。
【0011】
前記吸気経路に設けられたエアクリーナを具備し、前記第2経路および前記第3経路は前記エアクリーナに接続され、かつ前記エアクリーナよりも上流側に位置し、前記第1経路は前記エアクリーナと前記内燃機関との間に接続されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
弁の異常を検出することが可能な内燃機関の制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1はエンジンシステムを例示する模式図である。
図2図2はECUが実行する処理を例示するフローチャートである。
図3図3はタイムチャートを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本実施形態の内燃機関の制御装置について説明する。図1はエンジンシステム100を例示する模式図である。エンジンシステム100は、内燃機関10、吸気経路12、排気経路16、過給機30、弁40、およびECU(Electronic Control Unit)50を有する。
【0015】
内燃機関10はガソリンエンジンでもよいし、ディーゼルエンジンでもよい。内燃機関10のシリンダヘッドに、吸気経路12および排気経路16が接続されている。吸気経路12は、内燃機関10の燃焼室に空気を導入するための経路である。吸気経路12は、経路13(第2経路)、経路14(第3経路)、および経路15(第1経路)を有する。排気経路16は、内燃機関10で発生する排気を車両の外部に排出するための経路である。
【0016】
過給機30はタービン32およびコンプレッサ34を有する。タービン32は排気経路16に設けられている。コンプレッサ34はタービン32に連結され、吸気経路12の経路15に設けられている。経路15には、コンプレッサ34を迂回するバイパス経路が設けられてもよい。排気経路16には、タービン32を迂回するバイパス経路が設けられてもよい。
【0017】
経路13の一端および経路14の一端は、車両の外側の大気に開放されている。経路13の他端および経路14の他端は、エアクリーナ20のうち上流側に接続されている。経路14には弁40が設けられている。経路15は、経路13および14よりも下流側に位置し、エアクリーナ20と内燃機関10との間に接続されている。経路15の一端は、エアクリーナ20のうち下流側に接続されている。経路15の他端は内燃機関10のシリンダヘッドに接続されている。
【0018】
エアフローメータ22(空気量検出部)、圧力センサ24(圧力検出部)、コンプレッサ34、インタークーラ26(I/C)、およびスロットルバルブ28は経路15に設けられ、上流側から下流側に向けてこの順に位置している。PCV(Positive crankcase ventilation)経路29の一端は内燃機関10に接続され、他端は経路15のコンプレッサ34よりも上流側に接続されている。
【0019】
空気は経路13および14から導入される。エアクリーナ20は空気を浄化する。エアクリーナ20で浄化された空気は、経路15を流れる。エアフローメータ22は経路15における空気の流量を検出する。圧力センサ24は経路15内の圧力を検出する。圧力センサ24は絶対圧センサでもよいし、相対圧センサでもよい。インタークーラ26は空気を冷却する。スロットルバルブ28は空気の流量を調節する。スロットルバルブ28の開度が大きくなると空気の流量は増加する。開度が小さくなると流量は減少する。
【0020】
空気は経路15から内燃機関10の燃焼室に導入される。不図示の燃料噴射弁から噴射される燃料と空気とは混合気を生成する。内燃機関10の燃焼室において混合気が燃焼することで、駆動力が発生する。燃焼によって発生する排気は、排気経路16から排出される。排気経路16には、排気を浄化するための触媒などを設けてもよい。ブローバイガスはPCV経路29を通じて経路15に還流する。
【0021】
排気経路16に設けられたタービン32に排気が吹き付けられることで、タービン32およびコンプレッサ34が回転する。コンプレッサ34によって空気が過給され、コンプレッサ34より下流側の空気の圧力は上流側よりも高くなる。高圧の空気が内燃機関10に導入されることで、内燃機関10の出力が高くなる。
【0022】
吸気経路12は2つの経路13および14から空気を導入する。2系統の経路を用いることで、1系統の場合に比べて空気の量を増加させることができ、内燃機関10の出力を高めることができる。
【0023】
経路14には弁40が設けられている。弁40は例えば電磁弁などである。弁40は図1の矢印の方向に開閉可能でもよいし、図1の水平方向にスライドすることで開閉してもよい。弁40が開くことで経路14から空気が導入される。弁40が閉じることで、経路14からの空気の流入は停止する。ECU50は、例えば車両の外の温度(外気温)および圧力などに応じて、弁40の開度を制御する。
【0024】
弁40に異常が発生すると、弁40の開閉が困難となる。弁40が固着することで、ECU50からの開閉の指示があっても、弁40は開状態または閉状態を維持し、切り替わらない。空気の量の制御が困難となり、内燃機関10の出力が不安定になる恐れがある。本実施形態では、弁40の異常を検出する。
【0025】
ECU50はCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ならびにRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリなどの記憶装置を備え、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより各種制御を行う。
【0026】
ECU50は、エアフローメータ22が検出する空気の流量、圧力センサ24が検出する圧力を取得する。ECU50はスロットルバルブ28の開度および弁40の開度を制御する。ECU50は、弁40の異常を検出する制御部として機能する。
【0027】
図2はECU50が実行する処理を例示するフローチャートである。エアフローメータ22および圧力センサ24が正常に機能していることが、図2の処理を実施するための前提条件となる。ECU50はOBD(On Board Diagnosis)によりこれらの機器が正常であることを確認し、図2の処理を行う。図2に示すように、ECU50は、エアフローメータ22が検出する空気の流量Aを取得し、流量Aが閾値Ath以上であるか否か判定する(ステップS10)。否定判定(No)の場合、処理は終了する。
【0028】
肯定判定の場合、ECU50は弁40の開閉の切り替えを指示する(ステップS12)。ECU50は、圧力センサ24から、弁40の開閉の切り替え前における圧力、および切り替え後における圧力を取得し、切り替え前後における圧力の変化量ΔPを算出する(ステップS14)。
【0029】
ECU50は、圧力の変化量ΔPが閾値ΔPth以上であるか否かを判定する(ステップS16)。肯定判定の場合、ECU50は弁40が正常な状態にあると判定する(ステップS18)。否定判定の場合、ECU50は弁40が異常な状態にあると判定する(ステップS20)。ステップS18またはS20の後、処理は終了する。
【0030】
図3はタイムチャートを例示する図である。図3は上から順に車速、吸気経路12に吸入される空気の流量、弁40の開フラグ、吸気経路12内の圧力、圧力の変化量を表す。圧力は、経路15のコンプレッサ34よりも上流側の圧力であり、圧力センサ24によって検出される。圧力の瞬間的な変化による判定への影響を抑制するために、ECU50は圧力をなまし処理する。図3の例では、車両は加速運転中である。タイムチャートの開始時点において弁40は閉弁している。
【0031】
車速が上昇する加速状態では、出力を高めるため内燃機関10が過給運転を行う。過給運転中では、自然吸気運転中に比べて、吸気経路12への空気の導入量が増加する。図3に示す時間t1において、空気の流量Aは閾値Ath以上になる(図2のステップS10で肯定判定)。時間t2において弁40の開フラグがオンになる。弁40が例えば全閉状態から全開状態に切り替わる(図2のステップS12)。
【0032】
図3の圧力のチャートにおいて、実線は弁40が正常な例を示す。破線は弁40が開いた状態で固着した状態(異常状態の一例)を示す。内燃機関10が過給運転していると、吸気経路12のうちコンプレッサ34よりも上流側に負圧が発生する。ここでの負圧とは車両の外部の圧力(大気圧)よりも低い圧力を意味する。
【0033】
図3に実線で示すように、吸気経路12内の圧力は大気圧P0よりも低下する。時間t2において弁40が開弁すると、経路13とともに経路14からも空気が導入される。開弁前に比べて開弁後の圧力は上昇し、大気圧P0に近づく。ECU50は圧力差ΔPを算出する(図2のステップS14)。圧力差ΔPとは、開弁後の圧力と開弁前の圧力との差である。実線の例では、開弁後の大気圧付近の圧力と、開弁前の負圧との差がΔPになる。ΔPは閾値ΔPth以上になる。弁40は正常であり、開弁指示によって開弁したことがわかる(図2のステップS18)。
【0034】
図3の破線の例では、弁40が全開状態で固着している。弁40の開弁指示前においても開弁指示後においても、2つの経路13および14から空気が導入される。このため圧力Pは大気圧P0付近を維持する。実線の例に比べて、破線の例における圧力差ΔPは小さく、閾値ΔPth未満である。ΔP<ΔPthであることから、弁40に異常があり、開弁指示があっても閉弁していたことがわかる(図2のステップS20)。ECU50は、例えば不図示の警告灯の点灯、ディスプレイへの表示、および音声などで、弁40の異常をユーザに通知してもよい。図2の処理を複数回繰り返すことで、弁40の状態をモニタし続けることが可能である。
【0035】
本実施形態によれば、吸気経路12は経路13および14を有する。経路14に弁40が設けられている。ECU50は弁40の開閉を切り替え、切り替え前後における圧力の変化量ΔPを算出する。変化量ΔPが閾値ΔPth以上ならば、ECU50は弁40が正常であると判定する。変化量ΔPが閾値ΔPth未満ならば、ECU50は弁40が異常であると判定する。この結果、弁40の異常を検出することができる。
【0036】
ECU50は、圧力変化量ΔPとして、弁40が閉じているときの圧力と弁40が開いているときの圧力との差を算出する。ECU50は、開弁中の所定期間(例えばt1からt2)の平均値を開弁中の圧力としてもよい。ECU50は、閉弁中の所定期間(例えばt2からt3)の平均値を閉弁中の圧力としてもよい。ECU50は、開弁中のある瞬間(t1からt2までのうちの一点)の圧力を、開弁中の圧力としてもよい。ECU50は、閉弁中のある瞬間(t2からt3までのうちの一点)の圧力を、閉弁中の圧力としてもよい。
【0037】
図3の破線の例では、弁40が全開状態で固着している。開弁指示の後でも、弁40は開いたままである。圧力Pが大気圧P0付近を維持するため、圧力の変化量ΔPが閾値ΔPth未満になる。例えば弁40が全閉状態で固着すると、弁40の開弁指示があっても、弁40は閉じたままである。圧力Pは大気圧P0付近まで上昇せず、負圧のままである。圧力の変化量ΔPが閾値ΔPth未満になる。弁40が閉状態で固着することも、開状態で固着することも、本実施形態によって検出することができる。弁40が全開または全閉以外の開度で固着する場合でも、開閉指示によって弁40の開度が変化しにくい。圧力変化量ΔPは閾値ΔPth未満となる。したがって、本実施形態により、弁40の固着を検出することができる。
【0038】
ECU50は、弁40を全閉から全開に切り替える指示を出力する(図2のステップS12、図3の開フラグ)。弁40が正常ならば、弁40は全閉から全開に切り替わる。圧力の変化量ΔPが、負圧から大気圧付近に対応した大きさになる。弁40が異常ならば、弁40が全閉から全開に切り替わらない。圧力の変化量ΔPは正常時より小さくなる。正常時に圧力の変化量ΔPが大きく、異常時に変化量ΔPが小さいため、異常検出の精度が向上する。
【0039】
図1に示すように、エアフローメータ22は、吸気経路12に設けられ、吸気経路12に導入される空気の量を検出する。空気の量が多いほど、経路15に負圧が発生しやすい。弁40の開閉に伴う圧力の変化量ΔPが増加する。すなわち、弁40が正常ならば圧力の変化量ΔPが大きくなり、閾値ΔPth以上になる。一方、弁40が異常ならば圧力の変化量ΔPが正常に比べて小さくなり、閾値ΔPth未満になる。したがって圧力の変化量ΔPを用いた弁40の異常検出の精度が向上する。閾値ΔPthは、例えば吸入される空気量Aに応じたマップなどから定められる。
【0040】
例えば、内燃機関10の過給運転中に、弁40の異常判定を行うことが好ましい。過給機30が動作すると、図3の実線の例のように、コンプレッサ34よりも上流側に負圧が発生する。圧力センサ24をコンプレッサ34よりも上流側に設けることで、コンプレッサ34よりも上流側における圧力を検出することができる。弁40が正常ならば圧力の変化量ΔPが大きくなり、閾値ΔPth以上になる。一方、弁40が異常ならば圧力の変化量ΔPが正常に比べて小さくなり、閾値ΔPth未満になる。したがって圧力の変化量ΔPを用いた弁40の異常検出の精度が向上する。
【0041】
吸気経路12は、経路13、14および15を有する。経路13および14はエアクリーナ20に接続され、エアクリーナ20より上流側に位置する。経路15はエアクリーナ20に接続され、エアクリーナ20より下流側に位置する。吸気経路12は、エアクリーナ20よりも上流側で2系統であり、下流側で1系統である。弁40は経路14に設けられている。弁40を開閉することで、経路15内の圧力が変化する。圧力の変化量ΔPに基づいて、弁40の異常を検出することができる。エアクリーナ20よりも上流側に2つ以上の経路が接続され、複数の経路のうち少なくとも1つに弁が設けられてもよい。当該弁を開閉したときの圧力の変化量ΔPに基づいて、弁の異常を検出することができる。
【0042】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 内燃機関
12 吸気経路
13、14、15 経路
16 排気経路
20 エアクリーナ
22 エアフローメータ
24 圧力センサ
26 インタークーラ
28 スロットルバルブ
29 PCV経路
30 過給機
32 タービン
34 コンプレッサ
40 弁
50 ECU
100 エンジンシステム

図1
図2
図3