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  • 特開-ハイブリッド車両の制御装置 図1
  • 特開-ハイブリッド車両の制御装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190203
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/00 20160101AFI20221219BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20221219BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20221219BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20221219BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20221219BHJP
   B60W 20/10 20160101ALI20221219BHJP
   B60W 20/12 20160101ALI20221219BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20221219BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20221219BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20221219BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20221219BHJP
   B60W 30/182 20200101ALI20221219BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B60W20/00 900
B60K6/442 ZHV
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W10/10 900
B60W20/10
B60W20/12
B60L15/20 J
B60L50/16
B60L50/60
G01C21/36
B60W30/182
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098402
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 陽平
(72)【発明者】
【氏名】鉾井 耕司
(72)【発明者】
【氏名】青木 一真
【テーマコード(参考)】
2F129
3D202
3D241
3D344
5H125
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB26
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD19
2F129DD20
2F129DD21
2F129DD27
2F129DD48
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE59
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE81
2F129EE96
2F129FF02
2F129FF32
2F129FF43
2F129FF59
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF65
2F129GG17
2F129GG18
3D202AA02
3D202BB00
3D202BB01
3D202BB11
3D202BB31
3D202CC24
3D202DD00
3D202DD50
3D241AC01
3D241AC23
3D241AC26
3D241AD03
3D241AD04
3D241AD41
3D241BA60
3D241CA06
3D241CC02
3D241CC03
3D241CC08
3D241CD05
3D241CE04
3D241DA15Z
3D241DA39Z
3D241DD12Z
3D344AD01
3D344AD05
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BD17
5H125CA02
5H125CA09
5H125CA10
5H125CA18
5H125EE49
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を向上させることが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】エンジンと、モータと、バッテリとを備え、走行モードとしてCD(Charge Depleting)モードとCS(Charge Sustaining)モードとCI(Charge Increasing)モードとを有するハイブリッド車両の制御装置であって、CDモードは第1モードと第2モードとを含み、第1モードは、第2モードに比べて駆動力が制限される走行モードであり、走行モードを切り替えるための切替部と、走行モードを制御する制御部と、を具備し、制御部は、走行予定経路の各走行区間に第2モードとCSモードを含む走行モードのいずれかを割り当てた走行計画に沿って走行する走行支援制御を実行し、走行支援制御の実行中に切替部が操作された場合、制御部は、走行支援制御を終了し、走行モードを第1モードまたはCIモードに切り替えるハイブリッド車両の制御装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、モータと、バッテリとを備え、走行モードとしてCD(Charge Depleting)モードとCS(Charge Sustaining)モードとCI(Charge Increasing)モードとを有するハイブリッド車両の制御装置であって、
前記CDモードは第1モードと第2モードとを含み、
前記第1モードは、前記第2モードに比べて駆動力が制限される走行モードであり、
前記走行モードを切り替えるための切替部と、
前記走行モードを制御する制御部と、を具備し、
前記制御部は、現在地から目的地までの走行予定経路の各走行区間に前記CDモードの前記第2モードと前記CSモードを含む走行モードのいずれかを割り当てた走行計画に沿って走行する走行支援制御を実行し、
前記走行支援制御の実行中に前記切替部が操作された場合、前記制御部は、前記走行支援制御を終了し、前記走行モードを前記第1モードまたは前記CIモードに切り替えるハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記切替部は前記CDモードと前記CSモードとを切り替えるための第1切替部を含み、
前記走行支援制御の実行中に前記第1切替部が操作された場合、前記制御部は前記走行モードを前記第1モードに切り替える請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
前記切替部は前記第1モードと前記第2モードとを切り替えるための第2切替部を含み、
前記走行支援制御の実行中に前記第2切替部が操作された場合、前記制御部は前記走行モードを前記第1モードに切り替える請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
前記切替部は、前記CIモードに切り替えるための第3切替部を含み、
前記走行支援制御の実行中に前記第3切替部が操作された場合、前記制御部は前記走行モードを前記CIモードに切り替える請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両においては、現在地から目的地までの走行予定経路の各走行区間にEV走行モードとハイブリッド走行モードとのいずれかを割り当てた走行計画に沿って走行する走行支援制御を実行することがある。走行支援制御中に、運転モードの切り替え操作を行うことで、走行支援制御を中断する技術が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-0066375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現行の走行モードに応じて、切り替え操作を実施した後の走行モードが決まる。このため、走行支援制御が終了したのか否か、ユーザにわかりにくい。そこで本発明は、ユーザの利便性を向上させることが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、エンジンと、モータと、バッテリとを備え、走行モードとしてCD(Charge Depleting)モードとCS(Charge Sustaining)モードとCI(Charge Increasing)モードとを有するハイブリッド車両の制御装置であって、前記CDモードは第1モードと第2モードとを含み、前記第1モードは、前記第2モードに比べて駆動力が制限される走行モードであり、前記走行モードを切り替えるための切替部と、前記走行モードを制御する制御部と、を具備し、前記制御部は、現在地から目的地までの走行予定経路の各走行区間に前記CDモードの前記第2モードと前記CSモードを含む走行モードのいずれかを割り当てた走行計画に沿って走行する走行支援制御を実行し、前記走行支援制御の実行中に前記切替部が操作された場合、前記制御部は、前記走行支援制御を終了し、前記走行モードを前記第1モードまたは前記CIモードに切り替えるハイブリッド車両の制御装置によって達成できる。
【0006】
前記切替部は前記CDモードと前記CSモードとを切り替えるための第1切替部を含み、前記走行支援制御の実行中に前記第1切替部が操作された場合、前記制御部は前記走行モードを前記第1モードに切り替えてもよい。
【0007】
前記切替部は前記第1モードと前記第2モードとを切り替えるための第2切替部を含み、前記走行支援制御の実行中に前記第2切替部が操作された場合、前記制御部は前記走行モードを前記第1モードに切り替えてもよい。
【0008】
前記切替部は、前記CIモードに切り替えるための第3切替部を含み、前記走行支援制御の実行中に前記第3切替部が操作された場合、前記制御部は前記走行モードを前記CIモードに切り替えてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの利便性を向上させることが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ハイブリッド車両の構成を例示するブロック図である。
図2図2は走行支援制御中に切替部が操作されたときに実行されるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[ハイブリッド車両の概略構成]
図1は、ハイブリッド車両20の構成を例示するブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るハイブリッド車両20は、動力源としてエンジンEGとモータMGとを備える。ハイブリッド車両20の走行モードとして、CDモード(Charge Depletingモード)と、CSモード(Charge Sustainingモード)と、CI(Charge Increasing)モードとがある。ハイブリッド車両20は、自動的に、またはユーザからの操作に応じて、走行モードを切り替えて走行する。
【0012】
CDモードにおいては、バッテリ40の蓄電割合SOC(State of Charge)を減少させるように、電動走行(EV走行)を優先させる。CDモードはEV優先モード(第1モード)とEVオートモード(第2モード)とを含み、これらを切り替えることもできる。EV優先モードでは、EVオートモードよりも駆動力を制限し、エンジンを極力運転させず、EV走行を優先的に行う。EVオートモードは、EV優先モードより大きな駆動力を出力するため、エンジンを運転する。
【0013】
一方、CSモードにおいては、バッテリ40の蓄電割合SOCを目標割合に維持するように電動走行とハイブリッド走行とを併用する。電動走行は、エンジンEGの運転を停止した状態でモータMGからの動力だけで走行するモードであり、ハイブリッド走行は、エンジンEGを運転してエンジンEGからの動力とモータMGからの動力とにより走行するモードである。
【0014】
CDモードでは、バッテリ40の蓄電割合SOCの維持よりも、蓄電割合SOCを消費してのEV走行を優先するようにハイブリッド車両20の走行制御が行われる。そのため、CDモードでは、ハイブリッド車両20の走行距離の増加と共に蓄電割合SOCは次第に低下する。これに対してCSモードでは、EV走行よりも、蓄電割合SOCの維持を優先するようにハイブリッド車両20の走行制御が行われる。
【0015】
CIモードは、バッテリ40を充電し、SOCを回復させる走行モードである。SOCの目標値を例えば満充電など所定値に設定する。エンジンで走行を行い、モータMGで電力を発生させ、バッテリ40を充電し、SOCを目標値まで増加させる。
【0016】
図1に示すハイブリッド車両20は、動力源の他に、ECU50、イグニッションスイッチ21、GPS(Global Positioning System, Global Positioning Satellite)22、車載カメラ24、ミリ波レーダー26、加速度センサ28、速度センサ30、アクセルセンサ32、ブレーキセンサ34、切替部31、電池アクチュエータ38、バッテリ40、ハイブリッド用電子制御装置(以下、ハイブリッドECUという。)52、アクセルアクチュエータ60、ブレーキアクチュエータ62、ブレーキ装置64、表示装置66、メーター68、通信装置70、ナビゲーションシステム80などを備える。
【0017】
ECU50は、例えばマイクロコンピュータとして構成されており、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ならびにRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリなどの記憶装置、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。ECU50は、走行支援制御、およびユーザによる切替部31の操作に応じて走行モードを切り替える制御部として機能する。
【0018】
ECU50は、機能ブロックとしての走行支援部51を備える。走行支援部51は、ナビゲーションシステム80により現在地から目的地までの経路が設定されたときに走行支援制御の実行が可能なときには、経路の各区間の走行モードにCDモードのEVオートモードとCSモードとのうちのいずれかを割り当てて走行する走行支援を行なう。
【0019】
走行支援制御では、走行モードがEVオートモードおよびCSモードのいずれかになる。一方、CDモードのEV優先モード、およびCIモードは、走行支援制御で設定される走行モード以外の走行モードである。言い換えれば、走行モードがEV優先モードまたはCIモードである場合、走行支援制御は行われていない。
【0020】
エンジンEGは、例えば内燃機関として構成されている。モータMGは、例えば同期発動電動機などの発電機としても機能する電動機として構成されている。モータMGは、不図示のインバータを介してバッテリ40に接続されており、バッテリ40から供給される電力を用いて駆動力を出力し、かつ発電した電力によりバッテリ40を充電することができる。
【0021】
GPS22は、複数のGPS衛星から送信される信号に基づいて車両の位置を検出する装置である。車載カメラ24は、車両の周囲を撮像するカメラであり、例えば、車両前方を撮像する前方用カメラや車両後方を撮像する後方用カメラなどを含む。ミリ波レーダー26は、自車両と前方の車両との車間距離および相対速度を検知し、さらに自車両と後方の車両との車間距離および相対速度を検知する。
【0022】
加速度センサ28は、例えば車両の前後方向の加速度、および車両の左右方向(横方向)の加速度を検出する。速度センサ30は、車輪速などに基づいて車両の車速を検出する。アクセルセンサ32は、運転者のアクセルペダルの踏み込み量に応じたアクセル開度などを検出する。ブレーキセンサ34は、運転者のブレーキペダルの踏み込み量としてのブレーキポジションなどを検出する。
【0023】
走行支援制御においては、走行モードが自動的に切り替わる。一方、ユーザが意図的に走行モードを切り替える場合には、切替部31を操作すればよい。走行支援制御中に切替部31が操作されると、走行支援制御は終了し、ユーザが切替部31を用いて走行モードを切り替えることになる。
【0024】
切替部31は、CD/CS切替スイッチ35(第1切替部)、EVオート/EV優先切替スイッチ36(第2切替部)、およびCI切替スイッチ37(第3切替部)を含む。CD/CS切替スイッチ35は、例えば運転席のハンドル近傍に配置されており、CDモードとCSモードとを切り替えるためのスイッチである。EVオート/EV優先切替スイッチ36は、例えば運転席のハンドル近傍に配置されており、CDモード実施中にEV優先モードとEVオートモードとを切り替えるためのスイッチである。
【0025】
CI切替スイッチ37は、走行モードをCIモードに切り替えるためのスイッチである。CI切替スイッチ37は、例えばCD/CS切替スイッチ35およびEVオート/EV優先切替スイッチ36とは独立したスイッチでもよいし、これらのスイッチと共通化されてもよい。例えば、CI切替スイッチ37がCD/CS切替スイッチ35と共通でもよい。CD/CS切替スイッチ35を押す時間が所定の時間未満の場合、CDモードとCSモードとの間で切り替えが行われる。CD/CS切替スイッチ35を押す時間が所定の時間以上の場合、CIモードとの間で切り替えが行われる。
【0026】
電池アクチュエータ38は、バッテリ40の状態、例えば端子間電圧、充放電電流、バッテリ温度に基づいてバッテリ40を管理する。電池アクチュエータ38は、バッテリ40の蓄電割合SOC、バッテリ40の許容最大出力電力および許容最大入力電力を演算する。許容最大出力電力とは、バッテリ40から出力される電力の上限(出力制限である。許容最大入力電力とは、バッテリ40に入力される電力の上限(入力制限)である。電池アクチュエータ38は、蓄電割合SOCを、充放電電流に基づいて、全蓄電容量に対する残存蓄電容量の割合として算出する。電池アクチュエータ38は、蓄電割合SOCやバッテリ温度などに基づいて許容最大出力電力および許容最大入力電力を算出する。バッテリ40は、充放電可能な二次電池として構成されており、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池、鉛蓄電池などを用いることができる。
【0027】
ハイブリッドECU52は、例えばマイクロコンピュータとして構成されており、CPUなどの演算装置、ならびにRAM、ROMおよびフラッシュメモリなどの記憶装置、入力ポート、出力ポート、通信ポートなどを備える。ハイブリッドECU52は、走行モードを設定し、走行モードや、アクセルセンサ32からのアクセル開度、ブレーキセンサ34からのブレーキポジション、電池アクチュエータ38からの出力制限および入力制限に基づいてエンジンEGの目標運転ポイント(目標回転数や目標トルク)やモータMGのトルク指令を設定する。
【0028】
ハイブリッドECU52はアクセルセンサ32からアクセル開度を取得し、速度センサ30から車速を取得する。ハイブリッド車両20が電動走行するとき、ハイブリッドECU52は、アクセル開度および車速に基づいて、要求駆動力や要求パワーを設定し、ハイブリッド車両20が要求駆動力や要求パワーを出力するようにモータMGのトルク指令を設定し、設定したトルク指令をアクセルアクチュエータ60に送信する。
【0029】
ハイブリッド車両20がハイブリッド走行するときには、ハイブリッドECU52は、ハイブリッド車両20が要求駆動力や要求パワーを出力するようにエンジンEGの目標運転ポイントとモータMGのトルク指令とを設定し、目標運転ポイントとトルク指令とをアクセルアクチュエータ60に送信する。また、ハイブリッドECU52は、ブレーキペダルが踏み込まれたときには、ブレーキセンサ34からのブレーキポジションや速度センサ30からの車速に基づいて要求制動力を設定し、要求制動力や車速に基づいてモータMGを回生制御するための回生用のトルク指令を設定すると共に、ブレーキ装置による目標制動力を設定する。ハイブリッドECU52は、トルク指令をアクセルアクチュエータ60に送信し、目標制動力をブレーキアクチュエータ62に送信する。
【0030】
アクセルアクチュエータ60は、ハイブリッドECU52により設定された目標運転ポイントやトルク指令によりエンジンEGやモータMGを駆動制御する。アクセルアクチュエータ60は、エンジンEGが目標運転ポイント(目標回転数や目標トルク)で運転されるように、吸入空気量制御、燃料噴射制御、点火制御、吸気バルブ開閉タイミング制御などを行なう。また、アクセルアクチュエータ60は、モータMGからトルク指令に相当するトルクが出力されるように、モータMGを駆動するためのインバータが有するスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
【0031】
ブレーキアクチュエータ62は、ハイブリッドECU52により設定された目標制動力がブレーキ装置64により車両に作用するようにブレーキ装置64を制御する。ブレーキ装置64は、例えば油圧駆動の摩擦ブレーキなどである。
【0032】
表示装置66は、例えば運転席前方のインストールパネルに組み込まれており、各種情報を表示する。表示装置66は例えば現在実施中の走行モードを表示する。メーター68は、例えば運転席前方のインストールパネルに組み込まれている。
【0033】
通信装置70は、自車両の情報を交通情報管理センター100に送信したり、交通情報管理センター100からの道路交通情報を受信したりする。自車両の情報は、例えば、自車両の位置や、車速、走行パワー、走行モードなどである。道路交通情報は、例えば、現在や将来の渋滞に関する情報や、走行経路状の区間における現在の平均車速や将来の平均車速の予測値に関する情報、交通規制に関する情報、天候に関する情報、路面状態に関する情報などである。通信装置70は、交通情報管理センター100と所定間隔毎(例えば、30秒毎や1分毎、2分毎など)に通信している。
【0034】
ナビゲーションシステム80は、自車両を所定の目的地に誘導するシステムであり、表示部82と地図情報データベース84とを備える。ナビゲーションシステム80は、交通情報管理センター100と通信可能であり、交通情報管理センター100との協調によるナビゲーションを実行する。この場合、目的地が設定されると、目的地の情報とGPS22により取得した現在地(現在の自車両の位置)の情報とを交通情報管理センター100に送信し、この送信に対して交通情報管理センター100により設定された経路を受信する。そして、ナビゲーションシステム80は、設定された経路に基づいて所定時間毎(例えば、3分毎や5分毎など)に交通情報管理センター100と通信して経路案内を行なう。また、ナビゲーションシステム80は、交通情報管理センター100との協調を行なうことなく経路設定および経路案内を行なうこともできる。この場合、目的地が設定されると、目的地の情報と現在地の情報と地図情報データベース84に記憶されている情報とに基づいて経路を設定する。
【0035】
走行支援制御中は、走行モードが自動的に切り替わる。一方、ユーザが切替部31を操作することで、走行支援部51は走行支援制御を終了する。走行モードはユーザの操作に応じて切り替わる。本実施形態では、走行支援制御の終了をわかりやすくする。
【0036】
図2は走行支援制御中に切替部31が操作されたときに実行されるフローチャートである。図2に示すように、ECU50は走行支援制御中であるか否かを判定する(ステップS10)。否定判定(No)の場合、処理は終了する。ECU50は、切替部31の各スイッチの操作に応じて走行モードを切り替える。
【0037】
肯定判定(Yes)の場合、ECU50は、CD/CS切替スイッチ35が操作されたか否か判定する(ステップS12)。否定判定の場合、ECU50は、EVオート/EV優先切替スイッチ36が操作されたか否か判定する(ステップS14)。
【0038】
CD/CS切替スイッチ35およびEVオート/EV優先切替スイッチ36のいずれか一方が操作された場合、ステップS12およびS14のうち一方は肯定判定となる。この場合、ECU50は、走行支援制御を終了し、走行モードをEV優先モードに切り替える(ステップS16)。ステップS16の後、処理は終了する。
【0039】
ステップS12およびステップS14で否定判定の場合、ECU50はCI切替スイッチ37が操作されたか否か判定する(ステップS18)。否定判定の場合、処理は終了する。肯定判定の場合、ECU50は、走行支援制御を終了し、走行モードをCIモードに切り替える(ステップS20)。ステップS20の後、処理は終了する。
【0040】
表1に比較例において走行支援制御中に切替部31が操作された際の走行モードを示す。走行支援制御中、走行モード(現行モード)はEVオートモードまたはCSモードである。
【表1】
【0041】
表1の例では、EVオートモードでの走行中にCD/CS切替スイッチ35が操作されることで、EVオートモードからCSモードへの切り替えが行われる。CSモードでの走行中にCD/CS切替スイッチ35が操作されることで、CSモードからEV優先モードへの切り替えが行われる。EVオートモードでの走行中にEVオート/EV優先切替スイッチ36が操作されることで、EVオートモードからEV優先モードへの切り替えが行われる。CSモードでの走行中にEVオート/EV優先切替スイッチ36が操作されることで、CSモードからEVオートモードへの切り替えが行われる。CI切替スイッチ37が操作されることで、EVオートモードおよびCSモードからCIモードへの切り替えが行われる。
【0042】
走行支援制御においては、CSモードとEVオートモードとの間の切り替えが自動的に行われる。表1の例では、EVオートモードでの走行中にCD/CS切替スイッチ35が操作されることで、CSモードへの切り替えが行われる。CSモードでの走行中にEVオート/EV優先切替スイッチ36が操作されることで、CSモードからEVオートモードへの切り替えが行われる。これらの切り替えは、走行支援制御における自動的な走行モードの切り替えと同じである。したがって、走行支援制御によって走行モードが切り替わったのか、ユーザの切替スイッチの操作によって走行モードが切り替わったのかがわかりにくく、走行支援制御が終了したのか否かもわかりにくくなる。
【0043】
表2に実施形態において走行支援制御中に切替部31が操作された際の走行モードを示す。
【表2】
【0044】
EVオートモードまたはCSモードでの走行中にCD/CS切替スイッチ35が操作されることで、EVオートモードおよびCSモードからEV優先モードへの切り替えが行われる。EVオートモードまたはCSモードでの走行中にEVオート/EV優先切替スイッチ36が操作されることで、EVオートモードおよびCSモードからEV優先モードへの切り替えが行われる。CI切替スイッチ37が操作されることで、EVオートモードおよびCSモードからCIモードへの切り替えが行われる。
【0045】
本実施形態によれば、表2に示すように、走行支援制御中にCD/CS切替スイッチ35またはEVオート/EV優先切替スイッチ36が操作されることで、走行モードはEV優先モードに切り替わる(図2のステップS16)。EV優先モードは、走行支援制御において設定される走行モードではない。すなわち、走行モードがEV優先モードになる場合、走行支援制御は行われていない。走行モードがEV優先モードに切り替わることで、走行支援制御が終了し、ユーザの切替部31の操作によって走行モードが切り替わったことがわかる。したがってユーザの利便性が向上する。
【0046】
走行支援制御では、走行モードがCSモードまたはEVオートモードのいずれかに定められる。図2のステップS12およびS14のように、CD/CS切替スイッチ35またはEVオート/EV優先切替スイッチ36が操作された場合、走行支援制御で割り当てられる走行モード以外の走行モードであるEV優先モードに切り替わる。走行モードがEV優先モードになることで、走行支援制御が終了し、ユーザの操作によって走行モードが切り替わったことがわかりやすくなり、利便性が向上する。
【0047】
走行支援制御の終了後、ユーザはCD/CS切替スイッチ35を操作することでEV優先モードからCSモードに切り替えることができる。ユーザは、EVオート/EV優先切替スイッチ36を操作することでEV優先モードからEVオートモードに切り替えることができる。ユーザの意図に応じて、走行モードを選択することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0048】
切替部31の操作時に定められる走行モードは、EV優先モードに限定されず、例えば以下のようにCIモードとしてもよい。CI切替スイッチ37が操作された場合、走行支援制御は終了し、走行モードはCIモードに切り替わる(図2のステップS20)。CIモードは、走行支援制御において設定される走行モードではない。走行モードがCIモードになることで、走行支援制御が終了し、ユーザの切替部31の操作によって走行モードが切り替わったことがわかりやすくなる。バッテリ40を充電したい場合、CI切替スイッチ37を操作することで、CIモードで走行し、バッテリ40を充電することができる。ユーザの意図に応じてCIモードを選択することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0049】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
20 ハイブリッド車両
21 イグニッションスイッチ
22 GPS
24 車載カメラ
26 ミリ波レーダー
28 加速度センサ
30 速度センサ
31 切替部
32 アクセルセンサ
34 ブレーキセンサ
35 CD/CS切替スイッチ
36 EVオート/EV優先切替スイッチ
37 CI切替スイッチ
38 電池アクチュエータ、
40 バッテリ
50 電子制御ユニット(ECU)
51 走行支援部
52 ハイブリッド用電子制御装置(ハイブリッドECU)
60 アクセルアクチュエータ
62 ブレーキアクチュエータ
64 ブレーキ装置
66 表示装置
68 メーター
70 通信装置
80 ナビゲーションシステム
82 表示部
84 地図情報データベース
100 交通情報管理センター
EG エンジン
MG モータ
図1
図2