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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190207
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】固定具及びこれを用いた固定構造
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A63F7/02 326C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098412
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】591150270
【氏名又は名称】日本ぱちんこ部品株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592155854
【氏名又は名称】株式会社サンキョー
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】田窪 尚史
(72)【発明者】
【氏名】足立 義一
(72)【発明者】
【氏名】大脇 栄作
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA07
2C088DA09
2C088EA24
2C088EA32
2C088EA41
(57)【要約】
【課題】簡単な押圧操作により確実に取付部材を被取付部材に取り外し可能に固定できる固定具を提供する。
【解決手段】係止孔3cと連通する貫通孔18aを有し遊技盤5に重ねて装着される取付ベース18Aと、取付ベース18Aに一端側が支持され他端側が貫通孔18aを通じて係止孔3cに挿入されて遊技盤取付枠3bと係止可能な係止片18Bと、取付ベース18Aの貫通孔18aに挿入されて係止片18Bを遊技盤取付枠3bの係止孔3cの縁部と係止させる係止位置と係止孔3cの縁部より係止解除された係止解除位置とで変位させる操作部材18Dと、を備えた。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材に被取付部材を重ねて互いに連通する開口を通じて着脱可能に固定される固定構造に用いられる固定具であって、
前記開口と連通する貫通孔を有し前記被取付部材に装着される取付ベースと、
前記取付ベースに一端側が支持され他端側が前記開口内に延設されて前記取付部材と係止可能な係止片と、
前記取付ベースの貫通孔に挿入され前記係止片を前記取付部材の開口縁部と係止させる係止位置と前記開口縁部より係止解除された係止解除位置との間を変位させる操作部材と、を備えたことを特徴とする固定具。
【請求項2】
前記取付ベースの貫通孔には、前記操作部材の進退動をガイドするガイド部が設けられている請求項1記載の固定具。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記取付ベースの貫通孔内壁に囲まれたガイド枠と、前記操作部材の進退方向に沿って貫通孔内壁に対向して突設された突条とを備え、前記操作部材を前記ガイド枠に嵌め合わせかつ前記突条に前記操作部材に設けられた凹溝を嵌め合わせた状態で進退動させる請求項2記載の固定具。
【請求項4】
前記取付ベースには、前記操作部材を貫通孔の挿入方向手前側及び挿入方向奥側で各々移動規制する移動規制部が設けられ、前記操作部材には前記移動規制部が嵌まり込む複数の凹部が設けられている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の固定具。
【請求項5】
前記係止片の他端は前記取付ベースに対して変位可能に設けられ、該他端には前記取付ベースより背面側に配置される開口に進入して前記取付部材と係止可能な係止爪が形成されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の固定具。
【請求項6】
前記取付ベースの貫通孔に挿入された前記操作部材は前記係止片と当接し、前記貫通孔の奥側に前記操作部材を挿入することで前記係止片が押動されて前記取付部材の開口縁部に前記係止爪を係止させる請求項5記載の固定具。
【請求項7】
前記操作部材には前記係止片が係止位置で変位するのを規制する第一変位規制部と、前記係止片が係止解除された係止解除位置で変位するのを規制する第二変位規制部が設けられている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の固定具。
【請求項8】
前記操作部材の挿入方向先端に前記係止片と常時当接しながら摺動するくさび状傾斜部を有し、前記くさび状傾斜部より挿入方向手前側に設けられた押当て部に前記係止片を押し当ててて係止位置で保持し、前記くさび状傾斜部の傾斜面を前記係止片と当接させて前記係止片を係止解除位置で保持する請求項7記載の固定具。
【請求項9】
前記操作部材は、前記貫通孔の挿入方向手前側の位置から挿入方向奥側の位置へ移動すると前記取付ベースの開口端部と面一となる請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の固定具。
【請求項10】
前記操作部材は、作業者が把持する把持部が前記係止片より手前側に設けられている請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の固定具。
【請求項11】
前記係止片は、一端側に設けられた揺動軸を中心として前記取付ベースに対して揺動可能に組み付けられている請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の固定具。
【請求項12】
前記取付ベースは、被取付部材に固定されるベース部と、貫通孔の周囲に重ねて組み付けられた筒状のガイド枠とで構成され、前記係止片は前記揺動軸が前記ベース部と前記ガイド枠とで挟み込まれて揺動可能に組み付けられる請求項11記載の固定具。
【請求項13】
前記取付ベースは、上下に分割可能に組み付けられており、少なくとも上取付ベース若しくは下取付ベースのいずれかの分割面に前記係止片に設けられた揺動軸を揺動可能に保持する軸凹溝が複数箇所に設けられている請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の固定具。
【請求項14】
前記係止片は、一端側が前記取付ベースの背面側に一体に形成され他端側は被取付部材及び取付部材に設けられた開口の奥側へ延設されている請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の固定具。
【請求項15】
被取付部材を取付部材に重ねた状態で請求項1乃至請求項14記載のいずれかの固定具が取付ベースを前記被取付部材と位置合わせして重ねられ、操作部材が貫通孔を通じて開口の奥側に押し込まれて前記被取付部材が前記取付部材に着脱可能に固定されることを特徴とする固定構造。
【請求項16】
前記取付部材の開口縁部に一対の切り込みが形成されて前記固定具の係止片が係止する被係止片が形成されている請求項15記載の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定具及びこれを用いた固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパチンコ機などの遊技機は、球受け皿に貯留された遊技球を球発射装置の発射位置へ誘導し、前枠又は内枠に設けた発射ハンドルの操作により球発射装置を作動させて遊技盤の遊技領域に向かって遊技球を発射させる。
内枠の背面側には、賞球や貸し球を払い出す球払出装置を搭載した機構盤が設けられている。この機構盤の裏面側には球払出装置により払い出される多量の球を貯留する球タンクなどが配設されている。また、機構盤の前面側には、遊技盤などが組み付けられる。遊技盤には、識別情報を可変表示する可変表示装置や風車、チャッカー、賞球が払い出される普通入賞口や図柄表示装置で抽選が開始される始動入賞口、大当たりが発生した場合に開口するアタッカー(大入賞口)などの役物が設けられている。
【0003】
このような、遊技盤や球タンクなどの取付部材を被取付部材である機構盤に組み付ける場合には、機構盤のメンテナンス等を考慮して、例えばナイラッチ(登録商標)等のパネルファスナ(固定具)を用いて、遊技盤や球タンク等を機構盤や前面枠に着脱可能に組み付ける必要がある。上記パネルファスナは、円筒状のロック部材の筒孔にボタン部材が同軸状に挿入されている。機構盤や前面枠に設けられた係合ボスの挿嵌孔に円筒状のロック部材が挿嵌されし、ロック部材の筒孔にボタン部材が押し込まれるとロック部材の先端が径方向外側に広がるように変形して、遊技盤などの取付部材が機構盤などの被取付部材に着脱可能に組み付けられるようになっている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-190788号公報
【特許文献2】特開2016-14811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1,2に示す固定具は、ボタン部材をロック部材の挿嵌孔に押し込んで、ロック部材の先端が径方向外側へ変形することにより、取付部材を被取付部材に固定しているため、係合部分に過負荷が作用すると固定具や係合ボスが破損したり挿嵌孔が摩耗したりしてボタン部材が抜け落ちてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡単な押圧操作により確実に取付部材を被取付部材に着脱可能に固定される固定構造に用いられる固定具及びこれを用いて繰り返し使用にも耐え得る汎用性の高い固定構造を提供することにある。
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備えることを特徴とする。
取付部材に被取付部材を重ねて互いに連通する開口を通じて着脱可能に固定される固定構造に用いられる固定具であって、前記開口と連通する貫通孔を有し前記被取付部材に装着される取付ベースと、前記取付ベースに一端側が支持され他端側が前記開口内に延設されて前記取付部材と係止可能な係止片と、前記取付ベースの貫通孔に挿入され前記係止片を前記取付部材の開口縁部と係止させる係止位置と前記開口縁部より係止解除された係止解除位置との間を変位させる操作部材と、を備えたことを特徴とする。
これにより、被取付部材に重ねて装着された取付ベースの貫通孔を通じて操作部材を挿入する操作で係止片の他端側を係止解除位置から係止位置まで変位させて被取付部材を取付部材に固定することができる。また、操作部材を引き抜く操作で係止片の他端側を係止位置から係止解除位置まで変位させて取付部材から被取付部材を取り外すことができる。
【0008】
前記取付ベースの貫通孔には、前記操作部材の進退動をガイドするガイド部が設けられていると、ガイド部材にガイドされたまま操作部材を押し込むことができ、操作部材の姿勢が安定し、操作も簡単に行える。
【0009】
前記ガイド部は、前記取付ベースの貫通孔内壁に囲まれたガイド枠と、前記操作部材の進退方向に沿って貫通孔内壁に対向して突設された突条とを備え、前記操作部材を前記ガイド枠に嵌め合わせかつ前記突条に前記操作部材に設けられた凹溝を嵌め合わせた状態で進退動させるようにしてもよい。
この場合,操作部材を取付ベースのガイド枠に嵌め合わせ凹溝を突条に嵌め合させたまま進退動させるので、取付ベースに対する操作部材の姿勢が安定し操作性が向上する。
【0010】
前記取付ベースには、前記操作部材を貫通孔の挿入方向手前側及び挿入方向奥側で各々移動規制する移動規制部が設けられ、前記操作部材には前記移動規制部が嵌まり込む複数の凹部が設けられていてもよい。
この場合には、移動規制部が操作部材の挿入方向奥側の凹部に嵌り込んで移動規制されることで操作部材が取付ベースの手前側に抜け落ちてしまうのを防ぐことができる。また、操作部材が取付ベースの貫通孔に挿入され移動規制部が操作部材の挿入方向手前側の凹部に嵌り込んで移動規制されることで、係止片が取付部材に係止した係止状態を維持することができる。
【0011】
前記係止片の他端は前記取付ベースに対して変位可能に設けられ、該他端には前記取付ベースより背面側に配置される開口に進入して前記取付部材と係止可能な係止爪が形成されていることが好ましい。
これにより、係止爪が開口に進入して開口縁部と係止することで、被取付部材を取付部材に強固に固定することができる。
【0012】
前記取付ベースの貫通孔に挿入された前記操作部材は前記係止片と当接し、前記貫通孔の奥側に前記操作部材を挿入することで前記係止片が押動されて前記取付部材の開口縁部に前記係止爪を係止させるようにしてもよい。
これにより、操作部材の貫通孔の奥側への挿入操作にしたがって係止片を押動しながら係止爪を開口縁部に係止させて被取付部材を取付部材に固定することができ、操作部材の貫通孔の手前側への引き抜き操作にしたがって係止爪の開口縁部への係止を解除して被取付部材を取付部材から取り外すことができる。
【0013】
前記操作部材には前記係止片が係止位置で変位するのを規制する第一変位規制部と、前記係止片が係止解除された係止解除位置で変位するのを規制する第二変位規制部が設けられていてもよい。
これにより、係止片が係止位置で操作部材の第一変位規制部により変位が規制されるので、係止片の係止状態を強固に維持することができる。また、係止片が係止解除位置で第二変位規制部により変位が規制されるので、係止片が取付ベースより抜け落ちてしまうことがなくなる。
【0014】
具体的には、前記操作部材の挿入方向先端に前記係止片と常時当接しながら摺動するくさび状傾斜部を有し、前記くさび状傾斜部より挿入方向手前側に設けられた押当て部に前記係止片を押し当ててて係止位置で保持し、前記くさび状傾斜部の傾斜面を前記係止片と当接させて前記係止片を係止解除位置で保持するようにしてもよい。
これにより、操作部材の挿入方向先端に設けたくさび状傾斜部と係止片が摺動しながら当接位置が変わることで係止片を係止位置と係止解除位置で保持することができる。
【0015】
前記操作部材は、前記貫通孔の挿入方向手前側の位置から挿入方向奥側の位置へ移動すると前記取付ベースの開口端部と面一となるようにしてもよい。
これにより、操作部材を挿入操作して係止片が係止解除位置から係止位置へ移動したことが目視により視認し易くなるため、被取付部材を取付部材に対して複数箇所で固定具を用いて固定する場合には固定具の止め忘れを防ぐことができる。
【0016】
前記操作部材は、作業者が把持する把持部が前記係止片より手前側に設けられていてもよい。これにより、作業者が操作部材の把持部を把持して取付ベースの貫通孔に対しいて挿抜操作し易くなり、操作性が向上する。
【0017】
前記係止片は、一端側に設けられた揺動軸を中心として前記取付ベースに対して揺動可能に組み付けられていてもよい。
これにより、操作部材の取付ベースに対する挿入位置により係止片を係止解除位置と係止位置との間で揺動変位させて取付部材を被取付部材に固定することができる。
【0018】
前記取付ベースは、被取付部材に固定されるベース部と、貫通孔の周囲に重ねて組み付けられた筒状のガイド枠とで構成され、前記係止片は前記揺動軸が前記ベース部と前記ガイド枠とで挟み込まれて揺動可能に組み付けられるようにしてもよい。
これにより、ベース部にガイド枠を位置合わせするだけで係止片を容易に取付ベースに組み付けることができる。
【0019】
前記取付ベースは、上下に分割可能に組み付けられており、少なくとも上取付ベース若しくは下取付ベースのいずれかの分割面に前記係止片に設けられた揺動軸を揺動可能に保持する軸凹溝が複数箇所に設けられていてもよい。
これにより、取付部材に重ねる被取付部材の厚さによって揺動軸が嵌合する軸凹溝を選択することで、係止片を最適な係止位置で取付部材に係止させることができる。
【0020】
前記係止片は、一端側が前記取付ベースの背面側に一体に形成され他端側は被取付部材及び取付部材に設けられた開口の奥側へ延設されていてもよい。
これにより、固定具の構成を簡素化して少ない構成部品で取付部材を被取付部材に固定することができる。
【0021】
固定構造においては、被取付部材を取付部材に重ねた状態で上述したいずれかの固定具が取付ベースを前記被取付部材と位置合わせして重ねられ、操作部材が貫通孔を通じて開口の奥側に押し込まれて前記被取付部材が前記取付部材に着脱可能に固定されることを特徴とする。
これにより、操作部材を貫通孔に向かって挿入操作することで係止片を変位させて取付部材に穿孔された開口に係止させ、操作部材を貫通孔より手前側に引き抜く操作することで係止片の取付部材への係止を解除して被取付部材を取り外すことができ、繰り返し使用にも耐え得る汎用性の高い取付部材と被取付部材の固定構造を提供することができる。
【0022】
前記取付部材の開口縁部に一対の切り込みが形成されて前記固定具の係止片が係止する被係止片が形成されていると、被係止片に弾性が付与され係止片の係止状態が強固になるので、過負荷や繰り返し使用にも耐え得る固定構造を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
上述したように、簡単な押圧操作により確実に取付部材を被取付部材に着脱可能に固定される固定構造に用いられる固定具及びこれを用いて繰り返し使用にも耐え得る汎用性の高い固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】パチンコ機の前面枠を開放し遊技盤を取り外した状態の斜視図である。
図2図1のパチンコ機の背面図である。
図3】(a)は固定具の正面側斜視図、(b)は固定具の背面側斜視図、(c)固定具の正面図、(d)は固定具の背面図、(e)は(c)の矢印Y-Y方向断面図、(f)は(d)の矢印X-X方向断面図である。
図4】固定具の正面側分解斜視図である。
図5図4の背面側分解斜視図である。
図6】固定具と被取付部材の正面側分解斜視図である。
図7図6の背面側分解斜視図である。
図8】固定具を装着した被取付部材と取付部材の正面側斜視図である。
図9図8の背面側斜視図である。
図10】取付部材の分解斜視図である。
図11】固定具を用いて被取付部材を取付部材に固定した状態を示す正面側斜視図及び背面側斜視図である。
図12】固定具を装着した被取付部材を取付部材に重ねて固定前及び固定後の状態を示す断面図である。
図13】他例にかかる固定具を用いた固定構造の取付部材の背面側斜視図である。
図14図13の固定具を装着した被取付部材を取付部材に重ねて固定前及び固定後の状態を示す断面図である。
図15】第2実施例にかかる固定具の背面側斜視図及び正面側から見た一部切欠き断面斜視図である。
図16】第3実施例にかかる固定具を装着した被取付部材を取付部材に重ねて固定前の状態、仮止め状態及び固定後の状態を示す断面図である。
図17】第4実施例にかかる固定具の背面側分解斜視図である。
図18図17の固定具を装着した被取付部材を取付部材に重ねて固定前及び固定後の状態を示す断面図である。
図19】(a)は第5実施例にかかる固定具の分解状態の断面図、(b)(c)は係止片の揺動軸の位置を変更して固定具を組み付けた状態を示す断面図、(d)(e)及び(f)(g)は、固定具を装着した被取付部材を取付部材に重ねて固定前及び固定後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら固定具及びこれを用いた固定構造について具体的に説明する。以下では、一例としてパチンコ機に用いる被取付部品を取付部品に着脱可能に取り付ける際に用いられる固定具について説明するものとする。
【0026】
先ず図1及び図2を参照して本実施形態に係るパチンコ機の概略構成について説明する。図1においてパチンコ機1の外形をなす矩形状の外枠2の側部に対して一対の内枠ヒンジ3aにより内枠3が開閉可能に取り付けられ、該内枠3の側部に対して一対の前枠ヒンジ4aにより前面枠4が開閉可能に取り付けられている。
【0027】
前面枠4の中央部には遊技者が遊技盤5を視認できる窓部(ガラス枠)6が設けられている。該窓部6の上方には装飾ランプ7などが設けられている。また、窓部6の下方には、貸球や賞球を貯留し球発射装置9へ球を誘導する球受け皿8が設けられている。球受け皿8には、必要に応じて貯留されている遊技球を排出させる球抜きボタン(図示せず)が設けられている。球受け皿8の近傍には、内枠3に設けられた球発射装置9を作動し、遊技球の発射力を調整するための発射ハンドル10が設けられている。
【0028】
遊技盤5の盤面上にガイドレール11等によって略円形に形成される遊技領域内には、センター役物12として液晶表示装置13が設けられている。センター役物12の周囲には図示しない釘、風車14a、スルーチャッカー14b、始動入賞口としての電動チューリップ15、アタッカー(大入賞口)16などの盤面部品が設けられ、遊技領域の最下端にはやアウト球(電動チューリップ15,アタッカー16に入賞しなかった遊技球)を回収するアウト口17が設けられている。遊技盤5は、例えば四隅に装着された固定具18を通じて内枠3の一部である遊技盤取付枠3b(取付部材)に対して着脱自在に組み付けられる。遊技盤取付枠3bの固定具18による固定箇所には係止孔3cとしての開口が各々穿孔されている。
【0029】
また、前面枠4にはシリンダ錠(図示せず)が設けられている。図示しないキーをシリンダ錠の鍵穴に挿入して回転操作することで、スライド錠の開錠施錠が行われる。シリンダ錠はキーを差し込んで一方向へ回転させると外枠2と内枠3の施錠が開錠され、他方向へ回転させると前面枠4と内枠3の施錠が開錠するようになっている。
【0030】
図2において、パチンコ機1の背面側上部には、遊技球の貯留タンク20及びこれに接続する球樋20aが設けられている。貯留タンク20は、機構板19(取付部材)に対して左右に設けられた取付片20bに装着された固定具18によって着脱可能に組み付けられている。球樋20aは、図2のヒンジ側の機構板19に沿って設けられた球払出装置21と接続されている。球払出装置21は、遊技盤5に設けられた遊技球の入賞口への入球に応じて所定数の遊技球を球受け皿8へ払い出す。
【0031】
パチンコ機1の背面側中央部には、主制御基板22が設けられている(一点鎖線参照)。主制御基板22は、パチンコ機1の動作を制御するCPUや、各種制御プログラムが格納されたROM、入力データの一時保存や制御プログラムの読み出しなどCPUのワークエリアとして使用されるRAMなどの制御基板や乱数発生装置などを有する。主制御基板22の下方に位置する機構板19には、商用電源から電圧変換して電源を供給する電源ボックス23や球払出装置21の動作を制御する払出制御基板24が設けられている。電源ボックス23及び払出制御基板24は、基板取付ベース25(被取付部材)上に設けられており、基板取付ベース25の左右両側に設けられた取付片25aに装着された固定具18を通じて機構板19に着脱可能に組み付けられている。
【0032】
[第1実施例]
ここで、第1実施例にかかる固定具18の構成について、図3乃至図12を参照して説明する。以下では、図8に示すように、遊技盤5(被取付部材)を遊技盤取付枠3b(取付部材)に重ねて組み付ける場合に用いられる固定具18を例示して説明するものとする。尚、以下の説明では、遊技盤5及び遊技盤取付枠3bは全体を図示することなく固定部のみを図示して説明するものとする。
【0033】
固定具18は、図4及び図5に示すように、遊技盤取付枠3b(取付部材)に重ねて装着される取付ベース18Aと、取付ベース18Aに一端側が支持され他端側が遊技盤取付枠3bに設けられる係止孔3c内に延設されて遊技盤取付枠3bと係止可能な係止片18Bと、取付ベース18Aに設けられる貫通孔に挿抜され係止片18Bを遊技盤取付枠3bの係止孔3cの縁部と係止させる係止位置と係止孔3cより係止解除された係止解除位置との間を変位させる操作部材18Dとを備えている。
固定具18は、図1に示すように、遊技盤5の正面側に予め装着されており、遊技盤取付枠3bの係止孔3cと遊技盤5の開口5aが互いに連通するように遊技盤5が遊技盤取付枠3bに重ねられる。
【0034】
取付ベース18Aは、図3(a)に示すように、中央部に貫通孔18aを有する平板状のベース部18A1と、貫通孔18aの周囲に設けられる筒状のガイド枠18Cを有している。ベース部18A1は、裏面側に位置決めボス18bが対角配置で2か所に突設されている(図3(b)参照)。図6図7に示すように、遊技盤5には、貫通孔18aと連通する開口5a及び位置決めボス18bが嵌合するボス孔5bが設けられている。また、遊技盤5の開口5aには、後述する操作部材18Dの進退動作をガイドするガイド溝5cが設けられていてもよい。ベース部18A1に設けられた貫通孔18aの周囲に嵌め込まれるガイド枠18Cには、操作部材18Dが進退可能に挿入されている。
【0035】
取付ベース18Aは、上述したように例えば遊技盤5等の被取付部材に固定される平板状のベース部18A1に設けられた貫通孔18aの周囲に筒状のガイド枠18Cを重ねて組み付けられている。ガイド枠18Cの貫通孔18iは、図3(c)に示すように、操作部材18Dの把持部18tの外形と略同形状をしており、ガイド枠18Cの貫通孔8iの左右内壁及び底部で構成されるガイド部18j(ガイド枠)で貫通孔18iを通じて進退動する操作部材18Dの下部をガイドする。
また、貫通孔18iの上部左右側壁には操作部材18Dの上部をガイドする突条18kが操作部材18Dの進退方向に沿って対向して突設されており(図4参照)、貫通孔18iの正面側開口端に操作部材18Dを貫通孔18iの挿入方向手前側及び挿入方向奥側で移動規制する突片状の移動規制部18nが内壁天面より下向きに突設されている。
【0036】
係止片18Bは、図4及び図5に示すようにアーム状に形成され、一端側に揺動軸18cが設けられ、他端側はL字状に上方に向かって略直角に折り曲げられた係止爪18dが設けられている。また、係止片18Bの揺動軸側端部18c1には、係止突起18c2が係止爪18dと反対向き(下向き)に突設されている。
図3(e)に示すように、係止片18Bは取付ベース18Aに揺動軸18cを中心に揺動自在に組み付けられ、係止爪18dが貫通孔18aを通じて取付ベース18Aの背面側に延設され、遊技盤取付枠3bの係止孔3cに挿入されて縁部に係止可能に組み付けられる(図12参照)。これにより、係止爪18dが係止孔3cに進入して開口縁部に係止することで、遊技盤5を遊技盤取付枠3bに強固に固定することができる。
【0037】
係止片18Bは、図5に示すように、ベース部18A1と貫通孔18aの周囲で重ねて組み付けられる筒状のガイド枠18Cとで揺動軸18cが揺動可能に挟み込まれて組み付けられていてもよい。ガイド枠18Cの背面側には揺動軸18cを収容可能な軸収容部18eが凹設されている(図5参照)。この軸収容部18eに揺動軸18cを嵌め込んで、ガイド枠18Cをベース部18A1に重ねて貫通孔18iと貫通孔18aが連通するように組み付けることで、係止片18Bが揺動軸18cを中心に揺動可能に挟み込まれる。ガイド枠18Cは背面側に2か所に突設された位置決めボス18fを対向するベース部18A1のボス孔18g(図3(d),図5参照)に嵌め込み、背面側に上下3カ所に突設されたフック部18hを取付ベース18Aの貫通孔18aに挿入してベース部18A1の背面側と係止させることで取付ベース18Aとしてベース部18A1とガイド枠18Cが一体に組み付けられる(図3(e),(f)参照)。
このように、取付ベース18Aの貫通孔18aの周囲にガイド枠18Cを貫通孔18iが貫通孔18aと連通するように重ねて組み付けることで、揺動軸18cを挟み込んだまま係止片18Bを揺動可能に容易に組み付けることができる。尚、ガイド枠18Cはベース部18A1と別体としたが、これらが予め取付ベース18Aとして一体に形成されていてもよい。
【0038】
また、図3(a)において、操作部材18Dがガイド枠18Cの貫通孔18iに挿抜可能に嵌め込まれている。操作部材18Dは、後述するように、ガイド枠18Cの貫通孔18i及びこれに連通する遊技盤5の開口5aに挿入され(図9参照)、係止片18Bの係止爪18dを遊技盤取付枠3bの係止孔3cの縁部と係止させる係止位置と係止解除された係止解除位置とで変位させる(図12(a)(b)参照)。
操作部材18Dは、図4及び図5に示すように、作業者が把持する把持部18tと、係止片18Bが係止位置より変位するのを規制する押当て部18r(第一変位規制部)と、操作部材18Dの挿入方向先端側に係止片18Bが係止解除された所定の係止解除位置から変位するのを規制するくさび状傾斜部18s(第二変位規制部)が設けられている。把持部18tは、作業者が摘まみ易いように、孔周縁部が薄肉状に形成された環状孔に形成されており、作業者が操作部材18Dをガイド枠18Cの貫通孔18iに挿抜する際に、操作性が向上し、容易に遊技盤5を遊技盤取付枠3bに固定或いは固定解除することができる。
また、操作部材18Dの上面部には挿入方向手前側と奥側において、所定の間隔をもってガイド枠18Cの移動規制部18nが嵌まり込む第一凹部18p及び第二凹部18qが各々設けられている。また、操作部材18Dの側面上部にはガイド枠18Cの突条18kに嵌め合わせる凹溝18mが設けられる。
【0039】
操作部材18Dは、くさび状傾斜部18sが係止片18Bと当接しながら摺動し、くさび状傾斜部18sの厚肉端部18s1が係止片18Bの揺動軸側端部18c1に突設された係止突起18c2と係止し、係止片18Bが傾斜面18s2に当接して係止片18Bを係止解除位置で保持する(図12(a)参照)。このとき、ガイド枠18Cの移動規制部18nが把持部18tの第二凹部18qに嵌まり込んで、操作部材18Dの係止解除位置を保持している。また、操作部材18Dの挿入操作によりくさび状傾斜部18sの厚肉端部18s1が係止片18Bの下面に当接して係止片18Bを揺動させ、くさび状傾斜部18sより挿入方向手前側に設けられた押当て部18rを 係止片18Bの揺動軸側端部18c1に押し当てて係止片18Bを係止位置で保持する(図12(b)参照)。このとき、ガイド枠18Cの移動規制部18nは把持部18tの第一凹部18pに嵌まり込んで、操作部材18Dの係止位置を保持している。
これにより、遊技盤5を遊技盤取付枠3bに開口5aと係止孔3cが連通するように重ねて装着された状態で、操作部材18Dを貫通孔18iを通じて係止解除位置から係止位置まで挿入操作するだけで係止片18Bを変位させて係止爪18dを遊技盤取付枠3bの係止孔3cの縁部に係止させ、遊技盤5を遊技盤取付枠3bに組み付け固定することができる。
【0040】
また、操作部材18Dの進退動にしたがって揺動軸18cを中心として係止片18Bを係止位置と係止解除位置との間で揺動させることができるので、操作性がよい。また、係止片18Bが係止位置で操作部材18Dの押当て部18rに係止片18Bの揺動軸側端部18c1を押し当てて揺動変位が規制されるので、係止片18Bの係止状態を強固に維持することができる。また、操作部材18Dが係止解除位置でくさび状傾斜部18sの厚肉端部18s1が係止片18Bの係止突起18c2と係止して移動が規制されるので、操作部材18Dがガイド枠18Cより抜け落ちてしまうことがなくなる。
【0041】
また、操作部材18Dは、ガイド枠18Cのガイド部18jに沿って嵌め合わせ、かつ突条18kを凹溝18mに嵌め合わせ、貫通孔18i内で進退動可能に挿入されている。これにより、操作部材18Dをガイド枠18Cの貫通孔18i内で進退動させても、操作部材18Dの姿勢が安定し、操作性が向上する。
【0042】
また、操作部材18Dが貫通孔18iの挿入方向奥側の第二凹部18qに移動規制部18nが嵌まり込んで移動規制されることで、操作部材18Dが係止解除位置でガイド枠18Cより脱落してしまうのを防ぐことができる(図12(a)参照)。また、操作部材18Dが貫通孔18iの挿入方向手前側の第一凹部18pに移動規制部18nが嵌まり込んで移動規制されることで、係止片18Bを揺動軸18cを中心に揺動させて遊技盤取付枠3bに係止した係止位置を維持することができる(図12(b)参照)。
【0043】
図12(a)(b)に示すように、本実施例では操作部材18Dは係止片18Bと常時当接しており、取付ベース18Aの貫通孔18iに対して操作部材18Dを挿入することで、係止片18Bを押動して揺動軸18cを中心に揺動させ、係止爪18dを係止孔3cの背面側の開口縁部と係止させる。尚、操作部材18Dは係止片18Bと常時当接する必要はなく、一定の挿入位置で係止片18Bを押動するようになっていてもよい。
これにより、操作部材18Dの貫通孔18iに対する挿入操作にしたがって係止片18Bを押動しながら変位させ、厚肉端部18s1が揺動軸18cを通過した時点でアーム部が略水平となり、係止爪18dを遊技盤取付枠3bの係止孔3cの開口縁部に係止させて遊技盤5を遊技盤取付枠3bに取付固定することができる。また、操作部材18Dの貫通孔18iより引き抜く操作にしたがって係止爪18dの係止孔3cとの係止を解除して遊技盤5を遊技盤取付枠3bから取り外すことができる。
【0044】
図9及び図10に示すように、遊技盤取付枠3bの背面側に、板金3d、被係止部材3eをこの順に重ね合わせて一体に組み付けられていてもよい。例えば図10において、板金3dの背面側に被係止部材3eを重ね合わせてビス止めされ、遊技盤取付枠3bの背面側に板金3cを重ね合わされてビス止め固定されて組み付けられる。図9において、板金3dの係止孔3fと被係止部材3eの係止孔3gは遊技盤取付枠3bの係止孔3c(図10参照)と連通するように組み付けられる。
【0045】
これにより、図11(a)に示すように、操作部材18Dがガイド枠18Cの貫通孔18iに押し込まれると、係止片18Bが揺動して図11(b)に示すように係止爪18dが係止孔3c,3f,3g(図12(b)参照)に進入して係止孔3gの開口上縁部に係止する。よって、係止片18Bの係止爪18dが係止する被係止部材3eが板金3dにより補強されているので、遊技盤5を遊技盤取付枠3bに着脱を繰り返しても、係止孔3gが破損することがなく耐久性を向上させることができる。
【0046】
このように操作部材18Dを貫通孔18iに向かって挿入操作することで係止片18Bを変位させて遊技盤取付枠3bに設けられた係止孔3gに係止させて遊技盤5を取付固定することができる。また、操作部材18Dを貫通孔18iより手前側に引き抜き操作することで係止片18Bの遊技盤取付枠3bへの係止を解除して遊技盤5を取り外すことができ、繰り返し使用にも耐え得る汎用性の高い遊技盤取付枠3bと遊技盤5の固定構造を提供することができる。
【0047】
尚、操作部材18Dは、図11(a),図12(b)に示すように、ガイド枠18Cの貫通孔18iの挿入方向手前側の係止解除位置から挿入方向奥側の係止位置へ移動すると、把持部18tはガイド枠18Cと開口端と面一となることが好ましい。
これにより、操作部材18Dを係止解除位置から係止位置へ移動操作したことが目視により視認し易いため、遊技盤5を複数箇所で固定具18を用いて遊技盤取付枠3bに固定する場合にも固定具18の止め忘れを防ぐことができる。
【0048】
また、図13において、被係止部材3eの係止孔3gの縁部に一対の切り込み3hが形成されて、被係止部材3eの上縁部3iに弾性が付与されていてもよい。図14(a)(b)に示すように、操作部材18Dをガイド枠18Cの貫通孔18iに向かって押し込むと、固定具18の係止片18Bが揺動して係止孔3gの上縁部3iに係止爪18dが係止する。このとき、図14(b)に示すように、上縁部3iは弾性変形して係止爪18dの係止状態が強固になるので、過負荷や繰り返し使用にも耐え得る固定構造を提供することができる。
【0049】
[第2実施例]
図15(a)(b)は第2実施例にかかる固定具18を示す。
第1実施例の取付ベース18Aは、平板状のベース部18A1の正面側に、別体であるガイド枠18Cを組み付けて構成されていたが、これらが一体に形成されていてもよい。
例えば、図15(a)に示すように、取付ベース18Aとして、ベース部18A1とガイド枠18Cを一体化し、背面側の軸収容部18eに係止片18Bの揺動軸18cを収容するようにしてもよい。この場合、取付べース18Aの背面側には、遊技盤5に対して位置決めする複数の位置決めボス18bが突設されている。また、取付べース18Aの背面側に遊技盤5の盤面に重ねてビス止めする一対の取付片18uが設けられている。操作部材18Dは、取付ベース18Aの貫通孔18aにくさび状傾斜部18sを先頭にして挿入されている。図15(b)に示すように、くさび状傾斜部18sの厚肉端部18s1が係止片18Bの係止突起18c2と係止して後方への変位が規制されるので、係止片18Bが取付ベース18Aより抜け落ちてしまうことがなくなる。
【0050】
[第3実施例]
図16(a)~(c)は、第3実施例にかかる固定具18の断面図である。本実施例にかかる固定具18は、図15に示す第2実施例にかかる固定具と同様に取付ベース18Aがベース部18A1とガイド枠18Cが一体化された構成となっている。また、係止片18Bは取付ベース18Aに一体に固定された揺動軸18cを中心に揺動可能に組み付けられている。第1及び第2実施例にかかる固定具18と異なるのは、係止片18Bや操作部材18Dの形態が若干異なっている。図12(a)(b)では係止片18Bの係止爪18dが上方に向かって略直角に折り曲げられていたが、本実施例の係止爪18dは揺動軸18c側に鋭角状に形成されている。また、操作部材18Dが、ガイド枠18Cの貫通孔18iの挿入方向手前側の係止解除位置と挿入方向奥側の係止位置の2つの位置で移動規制部18nによって移動が規制されていたが、3つ以上の位置で移動規制部18nによって移動規制されるようにしてもよい。
【0051】
具体的には、図16(a)に示すように、取付ベース18Aの貫通孔18aの正面側開口端に内壁天面より突片状の移動規制部18nが突設されている。また、操作部材18Dの上面部には、挿入方向手前側において移動規制部18nが係合する第一凹部18p、挿入方向奥側において移動規制部18nが係合する第二凹部18qが設けられ、これらの間に移動規制部18nが係合する中間凹部18vが各々設けられている。3カ所以上の位置で移動規制する場合には、更に操作部材18Dに移動規制部18nが係合する凹部を設ければよい。
【0052】
また、操作部材18Dには、係止片18Bが係止位置より変位するのを規制する押当て部18rと、係止片18Bが係止解除された係止解除位置で変位するのを規制するくさび状傾斜部18sが設けられている。また、係止片18Bの揺動軸側端部18c1には、係止突起18c2が係止爪18dと反対向き(下向き)に突設されている点は第1実施例と同様である。更には、遊技盤取付枠3bの係止孔3cの背面側上縁部には、係止爪18dが係止する係止部3jが背面側に突設されている。
【0053】
図16(a)において、操作部材18Dが取付ベース18Aの貫通孔18aの挿入方向奥側の第二凹部18qに移動規制部18nが嵌まり込んで移動規制されることで、操作部材18Dの係止解除位置を保持すると共に操作部材18Dが取付ベース18Aより脱落してしまうのを防ぐことができる。
【0054】
また、図16(b)において、操作部材18Dを取付ベース18Aの貫通孔18aの挿入方向奥側へ若干挿入操作すると、係止片18Bはくさび状傾斜部18sに押動されて揺動軸18cを中心に係止方向に揺動する。このとき係止片18Bの係止爪18dが係止部3jと当接し、移動規制部18nが中間凹部18vに嵌まり込んで移動規制されることで、遊技盤5は遊技盤取付枠3bに仮止め状態となる。
【0055】
更に、図16(c)において、操作部材18Dを取付ベース18Aの貫通孔18aの挿入方向奥側へ挿入操作し取付ベース18Aの正面開口端面と把持部18tの前面が面一となると、挿入方向手前側の第一凹部18Pに移動規制部18nが嵌まり込んで移動規制される。このとき、操作部材18Dの押当て部18rが揺動軸18cより下方に位置する係止片18Bの揺動軸側端部18c1を押圧することで、係止片18Bが更に揺動されてアーム部が上向きに傾斜して係止爪18dが係止部3jを乗り越えて係止部3iを抱え込むように係止する。
【0056】
上記構成によれば、係止片18Bが固定軸である揺動軸18cの周りを揺動し、操作部材18Dを取付ベース18Aの貫通孔18aに段階的に押し込むことで、移動規制部18nが第二凹部18q,中間凹部18v,第一凹部18pに順次嵌まり込んで係止片18Bを係止解除位置、仮止め位置、係止位置と順次揺動軸18cを中心として回転させて、最終的に係止爪18dを遊技盤取付枠3bの係止孔3cの背面側の係止部3jに強固に係止固定することができる。
【0057】
[第4実施例]
次に第4実施例にかかる固定具18について、図17及び図18を参照して説明する。図17に示すように、固定具18の概略構成は、第1実施例の図5と同様である。即ち、取付ベース18Aはベース部18A1の貫通孔18aの周囲にガイド枠18Cを重ねて組み付けられ、貫通孔18iに操作部材18Dを挿入して組み付けられる。異なる構成は、係止片18Bの一端側がベース部18A1に一体に設けられ、他端側がベース部18A1の背面側、即ち遊技盤5の開口5aや遊技盤取付枠3bの係止孔3cの奥側へ進入可能に延設されている。遊技盤取付枠3bの背面側には板金3d、被係止部材3eが重ねて組み付けられている構成は、図13と同様である(図18(a)(b)参照)。
【0058】
図18(a)は、操作部材18Dが挿入方向奥側の第二凹部18qにガイド枠18Cの移動規制部18nが嵌まり込んで移動規制された状態を示す。このとき、操作部材18Dがガイド枠18Cより脱落してしまうのを防ぐことができる。また、係止片18Bは、操作部材18Dのくさび状傾斜部18sの傾斜面18s2に当接した状態で保持される。尚、係止爪18dは被係止部材3eの係止孔3gを貫通しているが、上縁部3iとは係止していない。
【0059】
図18(b)は、操作部材18Dを貫通孔18iに挿入操作して挿入方向手前側の第一凹部18pにガイド枠18Cの移動規制部18nが嵌まり込んで、操作部材18Dがガイド枠18Cの開口端と面一となる位置で移動規制された状態を示す。このとき、係止片18Bは、くさび状傾斜部18sの厚肉端部18s1によって押圧が強まり係止爪18dが遊技盤取付枠3bの背面側に設けられた被係止部材3eの係止孔3gの上縁部3iと係止した状態で保持される。これにより、固定具18の構成を簡素化して少ない構成部品で遊技盤5を遊技盤取付枠3bに着脱可能に取付固定することができる。
【0060】
[第5実施例]
次に第5実施例にかかる固定具18について、図19(a)~図19(g)を参照して説明する。図19(a)は固定具18の分解状態の断面図、図19(b)(c)は係止片18Bの揺動軸18cの位置を変更して固定具18に組み付けた状態を示す断面図、図18(d)(e)及び図19(f)(g)は、固定具18を装着した遊技盤5を遊技盤取付枠3bに重ねて固定前及び固定後の状態を示す断面図である。
【0061】
図19(a)に示すように、筒状に形成された取付ベース18Aはベース部18A1とガイド枠18Cを一体化している点は図15と同様であるが、上取付ベース18A11と下取付ベース18A12で上下に分割可能に組み付けられている。下取付ベース18A12の分割面には揺動軸18cを揺動可能に保持する軸凹溝18wが複数箇所(例えば3か所)に設けられている。また操作部材18Dの上面部に挿入方向手前側にも移動規制部18nが嵌まり込む第一凹部18pが複数箇所(例えば3か所)に設けられている。上取付ベース18A11の開口端には移動規制部18nが下方に突設されている。尚、軸凹溝18wの数は3か所より多くでも少なくてもよく、軸凹溝18wは上取付ベース18A11又は上取付ベース18A11と下取付ベース18A12の双方に設けられていてもよい。
【0062】
図19(b)は係止片18Bの揺動軸18cを下取付ベース18A12の挿入方向奥側の軸凹溝18wに嵌め込んで上取付ベース18A11を組み付けて揺動可能に保持した状態を示す。取付ベース18Aから突出する係止爪18dまでの距離が長く取れるため、被取付部材(例えば遊技盤5)や取付部材(例えば遊技盤取付枠3b)の板厚が厚い場合に好適に用いられる。
図19(c)は係止片18Bの揺動軸18cを下取付ベース18A12の挿入方向手前側の軸凹溝18wに嵌め込んで上取付ベース18A11を組み付けで揺動可能に保持した状態を示す。取付ベース18Aから突出する係止爪18dまでの距離が図19(b)より短くなるため、被取付部材(例えば遊技盤5)や取付部材(例えば遊技盤取付枠3b)の板厚が薄い場合に好適に用いられる。
【0063】
図19(d)(e)は、遊技盤取付枠3bに図19(b)に示す固定具18を装着した遊技盤5を位置合わせして重ねた断面図を示す。遊技盤取付枠3bの背面側には、図13に示す板金3d及び被係止部材3eが重ねて設けられている。図19(d)は固定具18の操作部材18Dを取付ベース18Aに押し込む操作前(遊技盤5を遊技盤取付枠3bに固定前)の状態を示す。このとき、上取付ベース18A11の移動規制部18nは操作部材18Dの複数の第一凹部18pのうち、挿入方向奥側の第一凹部18pに嵌まり込んで操作部材18Dが移動規制されている。また、係止片18Bは操作部材18Dのくさび状傾斜部18sの傾斜面18s2に当接した状態で保持される。
【0064】
図19(e)は、固定具18の操作部材18Dを操作して取付ベース18Aに押し込んだ後(遊技盤5を遊技盤取付枠3bに固定後)の状態を示す。このとき、上取付ベース18A11の移動規制部18nは操作部材18Dの複数の第一凹部18pのうち、挿入方向手前の第一凹部18pに嵌まり込んで操作部材18Dが取付べース18Aの開口端と面一となる位置で移動規制されている。また、係止片18Bは、操作部材18Dのくさび状傾斜部18sの厚肉端部18s1によって押圧が強まり係止爪18dが遊技盤取付枠3bの背面側に設けられた被係止部材3eの係止孔3gの上縁部3iと係止する。このとき、係止片18Bは揺動軸側端部18c1が操作部材18Dの押当て部18rに押し当てられて係止状態が保持される。
【0065】
図19(f)は、遊技盤取付枠3bに図19(c)に示す固定具18を装着した遊技盤5を位置合わせして重ねた断面図を示す。なお、遊技盤取付枠3bの背面側には、図19(d)とは異なり、補強用の板金3dは重ねて設けられているが被係止部材3eは設けられていない。図19(f)は固定具18の操作部材18Dを取付ベース18Aに押し込む操作前(遊技盤5を遊技盤取付枠3bに固定前)の状態を示す。このとき、上取付ベース18A11の移動規制部18nは操作部材18Dの挿入方向奥側の第二凹部18qに嵌まり込んで操作部材18Dが移動規制されている。また、係止片18Bは操作部材18Dのくさび状傾斜部18sの傾斜面18s2に当接した状態で保持される。
【0066】
図19(g)は、固定具18の操作部材18Dを操作して取付ベース18Aに押し込んだ後(遊技盤5を遊技盤取付枠3bに固定後)の状態を示す。このとき、上取付ベース18Aの移動規制部18nは、操作部材18Dの複数の第一凹部18pのうち、挿入方向奥前の第一凹部18pに嵌まり込んで移動規制されている。また、係止片18Bは、操作部材18Dのくさび状傾斜部18sの厚肉端部18s1によって押圧が強まり係止爪18dが遊技盤取付枠3bの係止孔3cに挿入されて開口端に直接係止する。このとき、係止片18Bは揺動軸側端部18c1が操作部材18Dの押当て部18rに押し当てられて係止状態が保持される。
【0067】
図19(d)に示す遊技盤5の厚さは図19(f)に示す遊技盤5の厚さより厚いものが用いられている。これにより、遊技盤取付枠3bに取り付けられる遊技盤5の厚さによって取付ベース18Aに複数設けられた軸凹溝18wのうちから最適な軸凹溝18wを選択して揺動軸18cを嵌合させることで、係止片18Bの係止爪18dを最適な位置で遊技盤取付枠3bに係止固定することができる。
【0068】
上述した実施例は、遊技盤取付枠3bに遊技盤5を重ねて固定具18を用いて固定する固定構造について説明したが、これに限定されない。
例えば図2に示すように、貯留タンク20を機構板19に重ねて取付片20bに固定具18を用いて固定する固定構造や、基板取付ベース25を機構板19に重ねて取付片25aに固定具18を用いて固定する固定構造などに適用してもよい。
また、上述した実施例では、固定具18を被取付部材に予め装着した後に、被取付部材と取付部材を固定するようにしたが、被取付部材と取付部材を重ね合わせた後に、固定具18を使用して被取付部材と取付部材を固定するようにしてもよい。
【0069】
また、遊技機の一例としてパチンコ機について説明したが、他に例えば雀球遊技機やアレンジボール遊技機などの遊技球を使用する弾球遊技機やコイン等を使用するスロットマシンなどに適用してもよい。
【0070】
また、上述した固定具18はパチンコ機1の遊技盤取付枠3bや機構板19に構成部品を着脱可能に固定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、建築部材どうしを重ね合わせて着脱可能に固定する場合や、壁や柱などの取付部材に機能部品や装飾部品などの被取付部材を重ねて合わせて着脱可能に固定する場合などに用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 パチンコ機 2 外枠 3 内枠 3a 内枠ヒンジ 3b 遊技盤取付枠(取付部材) 3c,3f,3g 係止孔(開口) 3d 板金 3e 被係止部材 3h 切り込み 3i 上縁部 3j 係止部 4 前面枠 4a 前枠ヒンジ 5 遊技盤(被取付部材) 5a 開口 5b,18g ボス孔 5c ガイド溝 6 窓部 7 装飾ランプ 8 球受け皿 9 球発射装置 10 発射ハンドル 11 ガイドレール 12 センター役物 13 液晶表示装置 14 スルーチャッカー 15 電動チューリップ 16 アタッカー 17 アウト口 18 固定具 18A 取付ベース 18A11 上取付ベース 18A12 下取付ベース 18A1 ベース部 18B 係止片 18C ガイド枠 18D 操作部材 18a,18i 貫通孔 18b,18f 位置決めボス 18c 揺動軸 18c1 揺動軸側端部 18c2 係止突起 18d 係止爪 18e 軸収容部 18h フック部 18j ガイド部 18k 突条 18m 凹溝 18n 移動規制部 18p 第一凹部 18q 第二凹部 18r 押当て部(第一変位規制部) 18s くさび状傾斜部(第二変位規制部) 18s1 厚肉端部 18s2 傾斜面 18t 把持部 18u 取付片 18v 中間凹部 18w 軸凹溝 19 機構板(取付部材) 20 貯留タンク(被取付部材) 20a 球樋 20b,25a 取付片 21 球払出装置 22 主制御基板 23 電源ボックス 24 払出制御基板 25 基板取付ベース(被取付部材)
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