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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190211
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】表示装置、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20221219BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20221219BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20221219BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20221219BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1343
G02F1/1333 505
G02F1/167
G09F9/30 349D
G09F9/30 338
G09F9/30 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098425
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】保苅 一志
【テーマコード(参考)】
2H092
2H190
2H192
2K101
5C094
【Fターム(参考)】
2H092GA29
2H092HA04
2H092JA26
2H092JA46
2H092JA47
2H092JB69
2H092KA24
2H092KB04
2H092MA18
2H092MA19
2H092MA20
2H092NA27
2H092QA07
2H092QA09
2H092QA10
2H092QA15
2H190HA03
2H190HA04
2H190HB03
2H190HB04
2H190HB06
2H190HC12
2H190KA05
2H190KA07
2H190KA08
2H190KA11
2H190LA08
2H190LA09
2H190LA22
2H192AA24
2H192BC35
2H192BC74
2H192CB05
2H192CC73
2H192DA23
2H192DA82
2H192EA22
2H192EA32
2H192EA66
2H192HA47
2H192HA64
2H192HA66
2H192JA06
2H192JA07
2H192JA13
2H192JA53
2K101AA04
2K101BB11
2K101BC02
2K101BD61
2K101BE32
2K101EA11
2K101EE02
5C094AA21
5C094AA44
5C094BA03
5C094BA43
5C094BA52
5C094DB01
5C094EA10
5C094ED11
5C094FB12
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】 電気的特性を向上させつつ、製造コストを低減することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、第1基板10上に設けられ、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するスイッチング素子13と、スイッチング素子13上に設けられた第1絶縁層21と、第1絶縁層21上に設けられ、表示領域を覆う面積を有する接続電極22と、接続電極22上に設けられ、接続電極22との外形が略同じである反射層23と、反射層23上に設けられた第2絶縁層24と、第2絶縁層24上に設けられ、画素に対応して設けられた画素電極25と、ドレイン電極と画素電極25とを電気的に接続する第1コンタクト26と、表示領域に隣接する周辺領域における第2絶縁層24上に設けられた端子33と、接続電極22と端子33とを電気的に接続する第2コンタクト34とを含む。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板上に設けられ、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子上に設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に設けられ、表示領域を覆う面積を有する接続電極と、
前記接続電極上に設けられ、前記接続電極との外形が略同じである反射層と、
前記反射層上に設けられた第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に設けられ、画素に対応して設けられた画素電極と、
前記ドレイン電極と前記画素電極とを電気的に接続する第1コンタクトと、
前記表示領域に隣接する周辺領域における前記2絶縁層上に設けられた端子と、
前記接続電極と前記端子とを電気的に接続する第2コンタクトと、
を具備する表示装置。
【請求項2】
前記反射層は、アルミニウムを含む
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記反射層の膜厚は、10nm以上かつ100nm以下である
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記反射層の膜厚は、30nm以上である
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ドレイン電極は、アルミニウムを含まない
請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記接続電極は、モリブデンを含む
請求項1乃至5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記端子は、前記画素電極と同じ材料で構成される
請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1及び第2コンタクトは、前記画素電極と同じ材料で構成される
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板間に設けられた光変調層と、
をさらに具備する
請求項1乃至8の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記光変調層は、液晶層で構成される
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記光変調層は、電気泳動型である
請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
基板上に、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するスイッチング素子を形成する工程と、
前記スイッチング素子上に、第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層上に、接続電極を形成する工程と、
前記接続電極上に、反射層を形成する工程と、
前記反射層上に、前記ドレイン電極に電気的に接続される第1コンタクトを通す第1開口部の形成予定領域を露出する第1マスク層を形成する工程と、
前記第1マスク層を用いて、前記反射層及び前記接続電極を加工する工程と、
前記反射層上に、第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層上に、前記第1コンタクトの形成予定領域と、前記接続電極に電気的に接続される第2コンタクトの形成予定領域とを露出する第2マスク層を形成する工程と、
前記第2マスク層を用いてエッチングを行い、前記ドレイン電極の一部を露出する第2開口部と、前記反射層の一部を露出する第3開口部とを形成する工程と、
前記第2マスク層を用いて、前記反射層を部分的にエッチングする工程と、
前記第2絶縁層上かつ前記第2及び第3開口部内に、導電層を形成する工程と、
前記導電層を加工し、画素電極と、前記ドレイン電極と前記画素電極とを電気的に接続する前記第1コンタクトと、端子と、前記接続電極と前記端子とを電気的に接続する第2コンタクトとを形成する工程と、
を具備する表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及びその製造方法に係り、特に反射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外光の反射を利用して表示を行う反射型液晶表示装置が知られている。反射型液晶表示装置は、バックライトを必要としないため、低消費電力化、薄型化が可能である。最も単純には、公知である透過型液晶表示装置の画素電極を、透明な材料から反射率の高い材料に変更することで、反射表示を行えるようにすることができる。しかしこの構成を採ると、液晶層を挟んで対向する電極の材料が互いに異なるので、液晶層との接触電位差も夫々異なることとなり、液晶の焼き付き、フリッカの増大、電極の腐食などを引き起こしやすい。
【0003】
そこで特許文献1では、外光の反射を担う反射電極と、液晶層に電圧を印加する画素電極とを、層間絶縁膜を介して別層とし、画素電極と対向電極との材料を従来通りITO同士に揃えることができる構成が例示されている。
【0004】
例えば、反射電極、層間絶縁膜、及び画素電極がこの順に積層されて平行平板コンデンサが形成され、この平行平板コンデンサを保持容量として機能させる。この構成の場合、反射電極には、所定の電圧が印加される。
【0005】
反射電極の材料候補としては、アルミニウム、銀など光の反射率が高い金属が好適なことは自明であり、現実的には、耐ヒロック性、耐マイグレーション性等から、アルミニウムを主成分とした合金が好適に用いられる。
【0006】
反射電極に電圧を印加するための端子を形成する場合、反射電極の一部を露出する開口部が形成される。反射電極をアルミニウム系薄膜で構成した場合、開口部の底部に露出するアルミニウム系薄膜は、その表面に絶縁性の酸化膜が形成されやすい。この場合、開口部内のコンタクト材料と反射電極(アルミニウム系薄膜)との間で接触不良が起こりやすい。
【0007】
特許文献2では、開口部の底部に露出される部材を、アルミニウム系薄膜ではなく、表面に絶縁性の酸化膜が形成されにくい材料からなる層間接続用電極とすることで、電気的に安定な接続が得られる。ただし、層間接続用電極と反射電極とを、異なるフォトマスクパターンで加工する必要があるため、フォトリソグラフィ工程などが増えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-116215号公報
【特許文献2】特開2017-125894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、電気的特性を向上させつつ、製造コストを低減することが可能な表示装置、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様によると、第1基板上に設けられ、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するスイッチング素子と、前記スイッチング素子上に設けられた第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられ、表示領域を覆う面積を有する接続電極と、前記接続電極上に設けられ、前記接続電極との外形が略同じである反射層と、前記反射層上に設けられた第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に設けられ、画素に対応して設けられた画素電極と、前記ドレイン電極と前記画素電極とを電気的に接続する第1コンタクトと、前記表示領域に隣接する周辺領域における前記2絶縁層上に設けられた端子と、前記接続電極と前記端子とを電気的に接続する第2コンタクトとを具備する表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第2態様によると、前記反射層は、アルミニウムを含む、第1態様に係る表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第3態様によると、前記反射層の膜厚は、10nm以上かつ100nm以下である、第1又は第2態様に係る表示装置が提供される。
【0013】
本発明の第4態様によると、前記反射層の膜厚は、30nm以上である、第3態様に係る表示装置が提供される。
【0014】
本発明の第5態様によると、前記ドレイン電極は、アルミニウムを含まない、第1乃至第4態様の何れかに係る表示装置が提供される。
【0015】
本発明の第6態様によると、前記接続電極は、モリブデンを含む、第1乃至第5態様の何れかに係る表示装置が提供される。
【0016】
本発明の第7態様によると、前記端子は、前記画素電極と同じ材料で構成される、第1乃至第6態様の何れかに係る表示装置が提供される。
【0017】
本発明の第8態様によると、前記第1及び第2コンタクトは、前記画素電極と同じ材料で構成される、第7態様に係る表示装置が提供される。
【0018】
本発明の第9態様によると、第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板間に設けられた光変調層とをさらに具備する、第1乃至第8態様の何れかに係る表示装置が提供される。
【0019】
本発明の第10態様によると、前記光変調層は、液晶層で構成される、第9態様に係る表示装置が提供される。
【0020】
本発明の第11態様によると、前記光変調層は、電気泳動型である、第9態様に係る表示装置が提供される。
【0021】
本発明の第12態様によると、基板上に、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有するスイッチング素子を形成する工程と、前記スイッチング素子上に、第1絶縁層を形成する工程と、前記第1絶縁層上に、接続電極を形成する工程と、前記接続電極上に、反射層を形成する工程と、前記反射層上に、前記ドレイン電極に電気的に接続される第1コンタクトを通す第1開口部の形成予定領域を露出する第1マスク層を形成する工程と、前記第1マスク層を用いて、前記反射層及び前記接続電極を加工する工程と、前記反射層上に、第2絶縁層を形成する工程と、前記第2絶縁層上に、前記第1コンタクトの形成予定領域と、前記接続電極に電気的に接続される第2コンタクトの形成予定領域とを露出する第2マスク層を形成する工程と、前記第2マスク層を用いてエッチングを行い、前記ドレイン電極の一部を露出する第2開口部と、前記反射層の一部を露出する第3開口部とを形成する工程と、前記第2マスク層を用いて、前記反射層を部分的にエッチングする工程と、前記第2絶縁層上かつ前記第2及び第3開口部内に、導電層を形成する工程と、前記導電層を加工し、画素電極と、前記ドレイン電極と前記画素電極とを電気的に接続する前記第1コンタクトと、端子と、前記接続電極と前記端子とを電気的に接続する第2コンタクトとを形成する工程とを具備する表示装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電気的特性を向上させつつ、製造コストを低減することが可能な表示装置、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の平面図である。
図2図2は、図1に示したA-A´線に沿った液晶表示装置の断面図である。
図3図3は、図1に示したB-B´線に沿った液晶表示装置の断面図である。
図4図4は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図5図5は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図6図6は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図7図7は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図8図8は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図9図9は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図10図10は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図11図11は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図12図12は、TMAH溶液によるアルミニウム系薄膜のエッチング量を説明するグラフである。
図13図13は、液晶表示装置における製造方法の一工程を説明する図である。
図14図14は、アルミニウム系薄膜の膜厚と反射率との関係を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
本発明の実施形態に係る表示装置は、外光を反射した反射光を用いて表示を行う反射型表示装置である。本実施形態では、表示装置として液晶表示装置を例に挙げて説明する。
【0026】
[1] 液晶表示装置1の構成
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置1の平面図である。図1のX方向は、走査線GLが延びるロウ方向であり、X方向に直交するY方向は、信号線SLが延びるカラム方向である。図2は、図1に示したA-A´線に沿った液晶表示装置1の断面図である。図3は、図1に示したB-B´線に沿った液晶表示装置1の断面図である。図3の断面図では、領域ごとの積層膜の対応関係が明確になるように、A-A´線に沿った断面図の一部も図示している。
【0027】
液晶表示装置1は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲の周辺領域PAとを有する。表示領域DAは、画像が表示される領域である。周辺領域PAは、画素を駆動するための周辺回路が配置される領域である。周辺領域PAは、黒の遮光層を用いて遮光される。表示領域DAには、マトリクス状に配置された複数の画素PXが設けられる。図1では、表示領域DAに含まれる6個の画素PXと、これら画素PXに隣接する周辺領域PAの一部とを抽出して示している。
【0028】
液晶表示装置1は、スイッチング素子(TFT)及び画素電極などが形成されるTFT基板10と、TFT基板10に対向配置されかつカラーフィルタなどが形成されるカラーフィルタ基板(CF基板という)11とを備える。画像表示に利用される外光は、CF基板11側から液晶表示装置1に入射する。
【0029】
TFT基板10は、透明な材料であってもよいし、不透明な材料であってもよい。透明な材料としては、ガラス、超薄(曲げられる)ガラス、クォーツ、サファイア、又は樹脂などが挙げられる。本実施形態の液晶表示装置1は反射型であるので、TFT基板10の透明性は要求されない。不透明な材料としては、着色されたポリイミドを含む不透明な樹脂などが挙げられる。TFT基板10は、表面に絶縁膜を有するシリコン基板であってもよい。加えて、これらの材料にガスバリア性の付与などを目的としたコーティングを施したものであってもよい。
【0030】
CF基板11は、透明かつ絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。CF基板11は、外光を透過することが可能である。
【0031】
液晶層12は、TFT基板10及びCF基板11間に挟持及び充填される。具体的には、液晶層12は、TFT基板10、CF基板11、及びシール材(図示せず)によって包囲された表示領域内に封入される。シール材は、例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFT基板10又はCF基板11に塗布された後、紫外線照射、又は加熱等により硬化させられる。
【0032】
液晶層12を構成する液晶材料は、印加された電界に応じて液晶分子の配向が操作されて光学特性が変化する。本実施形態の液晶表示装置1は、例えば、垂直配向(VA:Vertical Alignment)型液晶を用いたVAモードである。液晶層12としては、負の誘電率異方性を有するネガ型(N型)のネマティック液晶が用いられる。液晶層12は、初期状態において、垂直配向となる。液晶分子は、無電圧(無電界)時には基板の主面に対してほぼ垂直に配向する。電圧印加(電界印加)時には、液晶分子のダイレクタが水平方向(基板の主面に平行な方向)に向かって傾く。
【0033】
まず、TFT基板10側の構成について説明する。TFT基板10上には、スイッチング素子13が設けられる。スイッチング素子13は、TFT(Thin Film Transistor)で構成される。TFT13は、ゲート電極がソース電極及びドレイン電極よりも下方(基板側)に設けられた逆スタガ型(ボトムゲート型ともいう)である。TFT13は、例えば、ソース電極及びドレイン電極を加工する際に、半導体層も多少エッチングするような製法で製造されたチャネルエッチ型である。TFT13は、半導体層上に形成されたエッチングストッパー層を用いてソース電極及びドレイン電極を加工するような製法で製造されたエッチングストッパー型であってもよい。TFT13は、ゲート電極14、ゲート絶縁膜(絶縁層ともいう)15、半導体層16、オーミックコンタクト層17、18、ソース電極19、及びドレイン電極20を備える。
【0034】
TFT基板10上には、ゲート電極14が設けられる。ゲート電極14は、X方向に延びる。ゲート電極14は、走査線GLとして機能する。X方向に並んだ1行分の複数の画素は、1本の走査線GLに共通接続される。ゲート電極14としては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はこれらの1つを含む合金が用いられ、加工性向上等の都合から、これらのうち2層以上を積層して用いてもよい。
【0035】
ゲート電極14上かつTFT基板10上には、ゲート絶縁膜15が設けられる。ゲート絶縁膜15としては、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)、又は酸化窒化シリコン(SiON)が用いられ、これらのうち2層以上を積層して用いてもよい。
【0036】
ゲート絶縁膜15上には、半導体層16が設けられる。半導体層16としては、例えばアモルファスシリコン(a-Si)が用いられる。半導体層16は、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)であってもよい。
【0037】
半導体層16上及びゲート絶縁膜15上には、半導体層16に部分的に重なりかつ互いに離間して配置されたオーミックコンタクト層17、18が設けられる。オーミックコンタクト層17、18は、例えば、n型不純物が導入されたアモルファスシリコンで構成される。なお、オーミックコンタクト層17、18は、省略してもよい。
【0038】
オーミックコンタクト層17上には、ソース電極19が設けられる。ソース電極19は、半導体層16に部分的に重なるように配置される。ソース電極19は、Y方向に延びる信号線SLに接続される。信号線SLは、X方向に隣接する2個の画素の境界部分に配置される。Y方向に並んだ1列分の複数の画素は、1本の信号線SLに共通接続される。
【0039】
オーミックコンタクト層18上には、ドレイン電極20が設けられる。ドレイン電極20は、半導体層16に部分的に重なるように配置される。ドレイン電極20は、Y方向に延びる延在部を有する。
【0040】
なお、トランジスタのソース及びドレインは、トランジスタに流れる電流の向きによって変化するが、本実施形態では、トランジスタの接続状態の一例を説明する。しかし、ソース及びドレインが名称通りに固定されるものでないことは勿論である。
【0041】
ソース電極19及びドレイン電極20としては、例えば、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、又はこれらの1つを含む合金が用いられ、加工性向上等の都合から、これらのうち2層以上を積層して用いてもよい。ソース電極19及びドレイン電極20は、アルミニウムを含まない材料で構成される。ソース電極19及びドレイン電極20は、その一部に、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金からなる層を含んでいてもよい。ただし、ソース電極19及びドレイン電極20としてアルミニウム、又はアルミニウムを含む合金を用いる場合は、最上層には使用しないものとする。電気的接触を向上させる観点から、ソース電極19及びドレイン電極20は、アルミニウムを含まない材料で構成してもよい。
【0042】
TFT13上及びゲート絶縁膜15上には、層間絶縁層21が設けられる。層間絶縁層21としては、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)、又は酸化窒化シリコン(SiON)が用いられ、また、これらのうち2層以上を積層して用いてもよい。
【0043】
層間絶縁層21上には、接続電極22が設けられる。接続電極22は、表示領域DA及び周辺領域PAを覆う面積を有する。接続電極22は、反射層23と、保持容量端子33とを電気的に接続する機能を有する。接続電極22としては、例えば、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、これらの少なくとも1つを含む合金、又は透明導電材料などが用いられる。透明導電材料としては、ITO(酸化インジウムスズ:indium tin oxide)、IZO(インジウム(In)がドープされた酸化亜鉛(ZnO))、AZO(アルミニウム(Al)がドープされた酸化亜鉛(ZnO))、又はGZO(ガリウム(Ga)がドープされた酸化亜鉛(ZnO))などが挙げられる。後述するように、反射層23が薄く形成されるので、反射層23が透けないように、接続電極22は、不透明な材料であることが望ましく、さらには、TFTアレイ製造に一般的に用いられるモリブデン、又はモリブデンを含む合金が好ましい。
【0044】
接続電極22上には、反射層23が設けられる。反射層23は、表示領域DA及び周辺領域PAを覆う面積を有するとともに、接続電極22と略同じ面積を有する。すなわち、接続電極22及び反射層23の外形は略同じである。反射層23は、高い反射率を有する材料で構成される。反射層23としては、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金が用いられる。
【0045】
接続電極22及び反射層23には、後述するコンタクト26を通すための開口部が設けられる。接続電極22及び反射層23の開口部の平面形状は、例えば円である。この開口部の面積は、コンタクト26の面積より若干大きく設定される。
【0046】
反射層23上及び層間絶縁層21上には、層間絶縁層24が設けられる。層間絶縁層24としては、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、又は酸化窒化シリコンが用いられ、また、これらのうち2層以上を積層して用いてもよい。層間絶縁層24は、保持容量を構成する絶縁層としても機能する。保持容量は、2個の電極(反射層23及び画素電極25)と、これらに挟まれた絶縁層(層間絶縁層24)とで構成される。保持容量を増加させたい場合には、層間絶縁層24として、酸化ハフニウムなどに代表される高誘電率材料を用いてもよく、高誘電率材料と低誘電率材料(窒化シリコン、酸化シリコン、又は酸化窒化シリコン)とを積層して用いてもよい。
【0047】
層間絶縁層24上には、画素電極25が設けられる。画素電極25は、画素の面積と略同じ面積を有する。画素電極25は、透明導電材料で構成される。透明導電材料としては、ITO、IZO、AZO、及びGZOなどが用いられる。
【0048】
画素電極25は、コンタクト26を用いて、ドレイン電極20(具体的には、前述したドレイン電極20の延在部)に電気的に接続される。層間絶縁層21及び層間絶縁層24内には、ドレイン電極20の一部を露出する開口部27が設けられる。開口部27の平面形状は、例えば円である。開口部27の平面形状は、四角形などであってもよい。コンタクト26は、画素電極25と同じ透明導電材料が開口部27の側部及び底部を覆うようにして構成される。
【0049】
画素電極25上には、液晶層12の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。配向膜は、液晶層12の初期状態(電界が印加されていない状態)において、液晶分子を垂直配向させる。
【0050】
次に、CF基板11側の構成について説明する。CF基板11の液晶層12側には、遮光層(ブラックマトリクス、ブラックマスクともいう)28が設けられる。ブラックマトリクス28は、光を遮光可能な材料で構成される。ブラックマトリクス28は、表示領域DAを囲むようにして周辺領域PAに配置される。ブラックマトリクス28は、X方向に隣接する画素の境界部分かつ信号線SLに沿ってさらに配置してもよい。
【0051】
CF基板11及びブラックマトリクス28上には、カラーフィルタ29が設けられる。カラーフィルタ29は、赤色フィルタ、緑色フィルタ、及び青色フィルタを含む。カラーフィルタ29は、例えばストライプ配列を有する。カラーフィルタの配列方式は任意に設計可能である。
【0052】
カラーフィルタ29上には、オーバーコート層30が設けられる。オーバーコート層30は、透明な絶縁材料で構成される。オーバーコート層30は、カラーフィルタ29の上面を平坦化する機能を有する。
【0053】
オーバーコート層30上には、共通電極31が設けられる。共通電極31は、表示領域DA全体に平面状に形成される。共通電極31は、透明電極から構成され、例えばITOが用いられる。
【0054】
共通電極31上には、液晶層12の配向を制御する配向膜(図示せず)が設けられる。配向膜は、液晶層12の初期状態において、液晶分子を垂直配向させる。
【0055】
CF基板11の液晶層12と反対側には、円偏光板32が設けられる。円偏光板32は、位相差板及び偏光板(直線偏光子)が積層されて構成される。位相差板は、1/4波長板(λ/4板)から構成される。λは、光の波長である。
【0056】
(周辺領域PA)
図3に示すように、周辺領域PAにおいて、ゲート絶縁膜15上には、例えばX方向に延びる保持容量線CSが設けられる。保持容量線CSには、図示せぬ制御回路により保持容量電圧が印加される。保持容量電圧は、共通電極31に印加される共通電圧と同じ電圧であってもよいし、共通電圧と異なる電圧であってもよい。
【0057】
層間絶縁層24上には、X方向に延びる保持容量端子33が設けられる。保持容量端子33は、画素電極25と同じ材料で構成され、画素電極25と同じレベルの配線層で構成される。保持容量端子33は、コンタクト34を用いて、接続電極22に電気的に接続される。層間絶縁層24及び反射層23内には、接続電極22の一部を露出する開口部35が設けられる。開口部35の平面形状は、例えば円である。開口部35の平面形状は、四角形などであってもよい。コンタクト34は、画素電極25と同じ透明導電材料が開口部35の側部及び底部を覆うようにして構成される。
【0058】
反射層23より外側の領域において、保持容量端子33は、コンタクト36を介して、保持容量線CSに電気的に接続される。
【0059】
[2] 製造方法
次に、液晶表示装置1の製造方法について説明する。以下の製造方法では、図3の断面図で示した領域の構成を図示しながら説明する。製造方法を説明する図面において、A-A´線の部分が表示領域DAの構成であり、B-B´線の部分が周辺領域PAの構成である。
【0060】
まず、TFT基板10を用意する。続いて、図4に示すように、TFT基板10上に、TFT13を形成する。TFT13は、ゲート電極14、ゲート絶縁膜15、半導体層16、オーミックコンタクト層17、18、ソース電極19、及びドレイン電極20を備える。TFT13の製造方法は、公知の製造方法を用いることができる。また、周辺領域PAにおいて、ゲート絶縁膜15上に、保持容量線CSを形成する。
【0061】
続いて、図5に示すように、TFT13、保持容量線CS、及びゲート絶縁膜15上に、層間絶縁層21を形成する。
【0062】
続いて、図6に示すように、層間絶縁層21上に、接続電極22を成膜する。接続電極22は、表示領域DA及び周辺領域PAに形成される。接続電極22は、不透明な材料であることが望ましく、さらには、TFTアレイ製造に一般的に使用されるモリブデン、又はモリブデンを含む合金が好ましい。接続電極22は、アルミニウムを含まない材料で構成される。
【0063】
続いて、接続電極22上に、反射層23を成膜する。反射層23は、高い反射率を有する材料で構成され、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金が用いられる。反射層23の膜厚は、より薄く設定され、10以上100nm以下の範囲に設定される。また、反射層23の膜厚は、30nmを下限として、できる限り薄いことが好ましい。本実施形態では、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金で構成される膜をアルミニウム系膜(Al系膜)と呼ぶ。また、膜厚がより薄いアルミニウム系膜をアルミニウム系薄膜(Al系薄膜)と呼ぶ。
【0064】
続いて、フォトリソグラフィ工程を用いて、反射層23上にマスク層40を形成する。マスク層40は、反射層23の形成予定面積を有し、かつコンタクト26を通すための開口部の形成予定領域を露出する。マスク層40は、フォトレジストで構成される。
【0065】
続いて、図7に示すように、マスク層40を用いて、例えばウェットエッチングにより、反射層23及び接続電極22を同時にエッチングする。これにより、接続電極22及び反射層23の外形は略同じになる。また、接続電極22及び反射層23には、コンタクト26を通すための開口部41が形成される。その後、マスク層40を除去する。
【0066】
なお、接続電極22及び反射層23は材料が異なるため、互いのエッチング速度が異なる。よって、エッチング速度の差に起因して、接続電極22及び反射層23の外形が完全に同じになるとは限らない。前述した「外形が略同じ」とは、2層を同一のマスク層を用いて同時にウェットエッチングした場合に、2層のエッチング速度が異なることに起因して互いの外形に多少の差が生じる場合も含む意味である。
【0067】
続いて、図8に示すように、反射層23上に、層間絶縁層24を形成する。
【0068】
続いて、図9に示すように、フォトリソグラフィ工程を用いて、層間絶縁層24上にマスク層42を形成する。マスク層42は、コンタクト26及びコンタクト34の形成予定領域以外を覆う。マスク層42は、フォトレジストで構成される。
【0069】
続いて、図10に示すように、マスク層42を用いて、ドレイン電極20を露出する開口部27を形成するエッチング工程と、反射層23を露出する開口部35を形成するエッチング工程とを同時に行う。図10のエッチング工程は、ドライエッチングが用いられる。開口部27用のエッチング工程では、層間絶縁層24及び層間絶縁層21が部分的にエッチングされる。開口部35用のエッチング工程では、層間絶縁層24が部分的にエッチングされる。
【0070】
続いて、図11に示すように、開口部35の底部に露出している反射層23をウェットエッチングする。これにより、開口部35は、接続電極22を部分的に露出する。その後、マスク層42を除去する。
【0071】
図11のエッチング工程におけるエッチング液では、TFTアレイ製造のフォトレジスト現像液、一般的にはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム:tetramethylammonium hydroxide)2.38%水溶液(以下、TMAH溶液という)が用いられる。よって、このエッチング工程では、新たな種類のエッチング液を用意する必要がない。
【0072】
TMAH溶液は、緩やかではあるがアルミニウム系薄膜をエッチングすることが分かっている。図12は、TMAH溶液によるアルミニウム系薄膜(Al系薄膜)のエッチング量を説明するグラフである。図12の横軸が時間(秒)、縦軸が平均エッチング量(nm)である。図12には、2種類の装置(装置A、装置B)、及び2種類の液温(23℃、30℃)に関する実験結果を載せている。図12から理解できるように、液温や装置の違いにもよるが、おおよそ30~50nm/分でのエッチングが可能である。反射層23の膜厚が厚すぎると、所定時間内にTMAH溶液を用いて反射層23をエッチングするのが難しくなる。よって、反射層23の膜厚は、100nm以下であることが望ましい。
【0073】
図11に示すように、TMAH溶液でのエッチングにより、開口部35底部のアルミニウム系薄膜(反射層23)は除去されるが、開口部27底部(すなわちドレイン電極20)はアルミニウム系膜ではないのでTMAH溶液に浸されてもエッチングされない。
【0074】
アルミニウム膜のエッチングには、一般的に、PAN(リン硝酢酸=PAN:Phosphoric Acetic and Nitric acid)エッチャントが用いられる。PANエッチャントは、リン酸、硝酸、及び酢酸を含む混合エッチャントである。反射層23のエッチングにPANエッチャントを用いた場合、ドレイン電極20もPANエッチャントに浸される。よって、ドレイン電極20の材料として、PANエッチャントによってエッチングされない材料を選択する必要がある。接続電極22についても、同様の制約がある。これにより、プロセスの制約が増えてしまう。本実施形態では、反射層23のエッチングに、アルミニウム膜をエッチング可能であり、かつアルミニウムを含まない膜のエッチングが促進されないエッチング液、例えばTMAH溶液を用いている。これにより、反射層23のエッチング工程において、ドレイン電極20及び接続電極22への影響を低減できる。
【0075】
続いて、図13に示すように、開口部27及び開口部35内かつ層間絶縁層24上に、透明導電材料(ITO、IZO、AZO、及びGZOなど)を成膜する。続いて、この透明導電材料をパターニングして、画素電極25、コンタクト26、保持容量端子33、及びコンタクト34を形成する。すなわち、画素電極25、コンタクト26、保持容量端子33、及びコンタクト34は、同一の透明導電材料で構成される。コンタクト26は、開口部27の側部及び底部に形成され、画素電極25に電気的に接続される。コンタクト34は、開口部35の側部及び底部に形成され、保持容量端子33に電気的に接続される。
【0076】
ここで、アルミニウムを含む膜は、その表面に絶縁性の酸化膜が形成されやすいので、接触不良が起こりやすい。しかし、本実施形態では、図11に示すように、開口部35の底部は、反射層23(アルミニウム系薄膜)が除去されて接続電極22が露出している。このため、開口部35の底部において、接続電極22とコンタクト34との安定な電気的接触が得られる。
【0077】
また、開口部27の底部においても、露出したドレイン電極20は、その最上層にアルミニウム、又はアルミニウムを含む合金を用いていない。よって、ドレイン電極20とコンタクト26との安定な電気的接触が得られる。
【0078】
以上で、TFT基板10の積層構造が製造される。その後、公知の製造方法を用いて、CF基板11の積層構造を形成する。そして、TFT基板10とCF基板11とが液晶層12及びシール材を介して貼り合わされる。このようにして、図1乃至図3に示す液晶表示装置1が製造される。
【0079】
[3] 反射層23の膜厚について
次に、反射層23の膜厚の条件について説明する。反射層23は、アルミニウム系薄膜で構成される。
【0080】
図14は、アルミニウム系薄膜の膜厚と反射率との関係を説明するグラフである。図14の横軸がアルミニウム系薄膜の膜厚(nm)、縦軸が反射率(%)である。この実験では、絶縁性の基材上に、モリブデン系膜、アルミニウム系薄膜をこの順に積層した積層膜を含む装置を用いた。モリブデン系膜は、モリブデン、又はモリブデンを含む合金を含む膜を意味する。モリブデン系膜は、接続電極22に対応する。アルミニウム系薄膜は、反射層23に対応する。
【0081】
モリブデン系膜の膜厚は一定とし、アルミニウム系薄膜の膜厚を変化させ、この積層膜の反射率を測定した。図14から理解できるように、アルミニウム系薄膜の膜厚が30nm以上220nm以下の範囲で可変しても、この積層膜の反射率は約85%とほぼ一定であった。すなわち、アルミニウム系薄膜の膜厚を30nmまで薄くしても、反射率を低下させず、本実施形態の構成を実現できることが示される。
【0082】
また、アルミニウム系薄膜の膜厚を30nm未満にすると、均一な膜厚を有する薄膜が形成されにくくなる。結果として、アルミニウム系薄膜の膜厚を30nm未満にすると、積層膜の反射率が85%付近から急激に低くなる。よって、反射層23は、反射層23の膜厚は、30nmを下限として、できる限り薄いことが好ましい。
【0083】
[4] 実施形態の効果
本実施形態によれば、画素電極25の下方に反射層23を設けることで、画素電極25に反射機能を担わせることなく、反射型液晶表示装置1を実現することができる。
【0084】
また、反射層23として、アルミニウム、又はアルミニウムを含む合金を用いている。これにより、反射特性を向上させることができるため、より明るい表示を実現できる。
【0085】
また、接続電極22、反射層23、層間絶縁層24、及び画素電極25は、保持容量を構成することができる。
【0086】
また、保持容量端子33に接続されたコンタクト34は、開口部35の底部において、接続電極22と接触する。接続電極22は、アルミニウムを含まない材料で構成される。これにより、接続電極22とコンタクト34との安定な電気的接触が得られる。結果として、液晶表示装置1の電気的特性を向上させることができる。
【0087】
また、画素電極25に接続されたコンタクト26は、開口部27の底部において、ドレイン電極20と接触する。ドレイン電極20は、アルミニウムを含まない材料で構成される。これにより、ドレイン電極20とコンタクト26との安定な電気的接触が得られる。結果として、液晶表示装置1の電気的特性を向上させることができる。
【0088】
また、接続電極22及び反射層23は、同一のマスク層40を用いて、同時に加工される。これにより、反射部材を接続電極22及び反射層23の2層で構成した場合でも、フォトリソグラフィ工程の回数を増加させずに、所望の形状を有する接続電極22及び反射層23を形成することができる。これにより、製造コストを低減することができる。
【0089】
また、コンタクト26用の開口部27と、コンタクト34用の開口部35とを同一のマスク層42を用いて同時に形成するようにしている。これにより、フォトリソグラフィ工程の回数を増加させずに、保持容量端子33を形成することができる。結果として、製造コストを低減することができる。
【0090】
また、反射層23の膜厚を薄くしている。これにより、反射層23に開口部35を形成するためのエッチングが容易となる。すなわち、特別なエッチング液を使用する必要がなく、例えば、TFTアレイ製造のフォトレジスト現像液として一般的なTMAH溶液をエッチング液として用いることができる。結果として、製造コストを低減することができる。
【0091】
また、液晶層12を挟む画素電極25及び共通電極31を接触電位の近い材料同士に揃えることができるので、液晶の焼き付き、フリッカの増大、電極の腐食などを抑制することができる。
【0092】
なお、上記実施形態では、液晶モードとしてVAモードを例に挙げて説明している。液晶モードは、TN(Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、又はSTN(Super Twisted Nematic)モードなどでもよい。
【0093】
上記実施形態では、液晶層としては、高分子分散型液層を用いてもよい。
【0094】
上記実施形態では、反射型表示装置としては、液晶表示装置を例に挙げて説明したが、これに限定されず、電気泳動方式を用いた表示装置(電子ペーパーとも呼ばれる)などに適用してもよい。電気泳動方式では、溶媒中に分散された帯電粒子が、電界によって電極間を移動する。電子ペーパーは、例えば、透明樹脂のマイクロカプセル内に透明な絶縁性液体が満たされ、プラスに帯電した白色粒子と、マイナスに帯電した黒色粒子とが封入される。そして、2つの電極間に電圧を印加することで、耐電した粒子がそれぞれ逆の電圧の方向に移動して白黒表示を行う。
【0095】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0096】
1…液晶表示装置、10…TFT基板、11…CF基板、12…液晶層、13…スイッチング素子、14…ゲート電極、15…ゲート絶縁膜、16…半導体層、17,18…オーミックコンタクト層、19…ソース電極、20…ドレイン電極、21…層間絶縁層、22…接続電極、23…反射層、24…層間絶縁層、25…画素電極、26…コンタクト、27…開口部、28…ブラックマトリクス、29…カラーフィルタ、30…オーバーコート層、31…共通電極、32…円偏光板、33…保持容量端子、34…コンタクト、35…開口部、36…コンタクト、40…マスク層、41…開口部、42…マスク層、GL…走査線、SL…信号線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14