(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190215
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098430
(22)【出願日】2021-06-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、「戦略的イノベーション創造プログラム/SIP第2期/IoE社会のエネルギーシステム/高パワー密度、高温動作可能なWBGチップ搭載パワーモジュール/ユニバーサル対応コア・パワーモジュールの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 元人
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
(72)【発明者】
【氏名】平尾 章
(57)【要約】
【課題】スイッチング動作時の制御性の低下を抑制する。
【解決手段】制御電極をおもて面に備えた半導体チップ20a,20bと、平面視でストライプ状であって、一端部が制御電極に対向すると共に電気的に接続された上面配線層33c,33aと、を備える。この際、上面配線層33c,33aは、互いの他端部が反対方向を向いてそれぞれ延伸し、上面配線層33c,33aの延伸方向の長さは互いに等しい。このため、上面配線層33a,33cのインダクタンス、電気抵抗が略等しくなり、スイッチング動作時の制御の遅延等が防止されて制御性の低下を防止することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御電極をおもて面に備えた第1半導体チップと、
第2制御電極をおもて面に備えた第2半導体チップと、
平面視でストライプ状であって、一端部が前記第1制御電極に対向すると共に電気的に接続された第1制御配線層と、
平面視でストライプ状であって、一端部が前記第2制御電極に対向すると主に電気的に接続された第2制御配線層と、
を備え、
前記第1制御配線層及び前記第2制御配線層は、互いの他端部が反対方向を向いてそれぞれ延伸し、前記第1制御配線層及び前記第2制御配線層の延伸方向の長さは互いに等しい、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップに対向し、前記第1制御配線層及び前記第2制御配線層が第1主面に形成された絶縁層を含むプリント基板、
をさらに備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体チップのおもて面に、さらに、第1主電極を備え、
前記第2半導体チップのおもて面に、さらに、第2主電極を備え、
前記プリント基板は前記絶縁層の前記第1主面の反対面の第2主面に、第1検出配線層及び第2検出配線層がさらに形成され、
前記第1検出配線層は、平面視でストライプ状であって、一端部が前記第1主電極に対向すると共に電気的に接続され、
前記第2検出配線層は、平面視でストライプ状であって、一端部が前記第2主電極に対向すると共に電気的に接続され、
前記第1検出配線層及び前記第2検出配線層は、互いの他端部が反対方向を向いてそれぞれ延伸し、前記第1検出配線層及び前記第2検出配線層の延伸方向の長さは互いに等しい、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1検出配線層及び前記第2検出配線層の延伸方向の長さは、前記第1制御配線層及び前記第2制御配線層の延伸方向の長さと同一であり、
前記第1検出配線層及び前記第2検出配線層は、前記第1制御配線層及び前記第2制御配線層に対向して前記絶縁層の前記第2主面に形成されている、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1制御電極は、前記第1半導体チップのおもて面の第1側辺に設けられ、
前記第2制御電極は、前記第2半導体チップのおもて面の第2側辺に設けられ、
前記第1半導体チップ及び前記第2半導体チップは、前記第1側辺と前記第2側辺とが平行を成して、配置されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体チップの前記第1側辺が、前記第2半導体チップの前記第2側辺の延長線上に直列に配置されている、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1半導体チップの前記第1側辺及び前記第2半導体チップの前記第2側辺は、前記半導体装置の長手方向の各端部に互いに近くなるよう配置されている、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体チップが搭載される第1絶縁回路基板と、
前記第2半導体チップが搭載される第2絶縁回路基板と、
をさらに有し、
前記第1絶縁回路基板は、第1絶縁板と、前記第1絶縁板のおもて面に形成され前記第1半導体チップが接合される第1回路パターンとを含み、
前記第2絶縁回路基板は、第2絶縁板と、前記第2絶縁板のおもて面に形成され前記第2半導体チップが接合される第2回路パターンとを含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、パワー半導体チップを含み、電力変換装置として機能する。パワー半導体チップは、スイッチング素子、ダイオード素子を含む。スイッチング素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。また、半導体装置では、複数の半導体チップの制御電極ごとにピン状のポスト電極で接続されているプリント基板または接続ユニットを含んでいる。このようなプリント基板または接続ユニットでは、外部から制御信号が入力される外部端子と、半導体チップの制御電極に接続される接続端子とを備えている。したがって、半導体装置では、プリント基板または接続ユニットを経由して半導体チップの制御電極にそれぞれ制御信号が入力される(例えば、特許文献1,2を参照)。また、半導体チップの制御電極と一方向に配列された複数のリードフレームとが制御用配線層により接続されて、制御信号が入力される(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-047658号公報
【特許文献2】特開2017-098421号公報
【特許文献3】国際公開第2019/171684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の半導体チップの制御電極に対してプリント基板を経由して制御信号を入力する場合、プリント基板に含まれる配線パターン(配線層)によっては、外部端子から各半導体チップの制御電極までの配線長さが異なる場合がある。この場合、スイッチング動作を行うと、配線長さが異なるために、制御のタイミングに差が生じてしまうおそれがある。このため、スイッチング動作時の制御性が低下してしまう。これにより半導体装置の動作の信頼性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、スイッチング動作時の制御性の低下が抑制された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、第1制御電極をおもて面に備えた第1半導体チップと、第2制御電極をおもて面に備えた第2半導体チップと、平面視でストライプ状であって、一端部が前記第1制御電極に対向すると共に電気的に接続された第1制御配線層と、平面視でストライプ状であって、一端部が前記第2制御電極に対向すると主に電気的に接続された第2制御配線層と、を備え、前記第1制御配線層及び前記第2制御配線層は、互いの他端部が反対方向を向いてそれぞれ延伸し、前記第1制御配線層及び前記第2制御配線層の延伸方向の長さは互いに等しい、半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、スイッチング動作時の制御性の低下を抑制して、半導体装置の信頼性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態の半導体装置の平面図である。
【
図2】第1の実施の形態の半導体装置の側断面図である。
【
図3】第1の実施の形態の半導体装置の内部の平面図である。
【
図4】第1の実施の形態の半導体装置に含まれるプリント基板のおもて面の平面図である。
【
図5】第1の実施の形態の半導体装置に含まれるプリント基板の裏面の平面図である。
【
図6】第2の実施の形態の半導体装置の平面図である。
【
図7】第2の実施の形態の半導体装置の側断面図である。
【
図8】第2の実施の形態の半導体装置の内部の平面図である。
【
図9】第2の実施の形態の半導体装置に含まれるプリント基板のおもて面の平面図である。
【
図10】第2の実施の形態の半導体装置に含まれるプリント基板の裏面の平面図である。
【
図11】第3の実施の形態の電力変換装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、「おもて面」及び「上面」とは、図の半導体装置において、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図の半導体装置において、上側(+Z方向)の方向を表す。「裏面」及び「下面」とは、図の半導体装置において、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図の半導体装置において、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。「おもて面」、「上面」、「上」、「裏面」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。また、以下の説明において「主成分」とは、80vol%以上含む場合を表す。
【0010】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の半導体装置について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図2は、第1の実施の形態の半導体装置の側断面図である。なお、
図2は、
図1の一点鎖線X-Xにおける断面図である。なお、一点鎖線X-Xは、半導体装置1の短辺の中心を通り、半導体装置1の長辺に平行な中心線でもある。
【0011】
半導体装置1は、直方体状の封止本体部2を備え、封止本体部2のおもて面2eから外部接続端子3,4,5と制御端子6a,6bとセンス端子7a,7bとがおもて面2eに対して鉛直上方(+Z方向)に延伸している。
【0012】
封止本体部2は、平面視で、略矩形状のおもて面2eの四方が側壁部2a~2dで囲まれている。また、側壁部2a,2cは、封止本体部2の長手方向(長辺)、側壁部2b,2dは、封止本体部2の短手方向(短辺)にそれぞれ対応している。なお、側壁部2a~2dの四隅の接続箇所は、必ずしも、直角でなくてもよく、R形状を成しても、面取りされていてもよい。おもて面2eと側壁部2a~2dとの繋ぎ目も、必ずしも、直角でなくてもよく、R形状を成しても、面取りされていてもよい。
【0013】
外部接続端子3,4,5と制御端子6a,6bとセンス端子7a,7bとは、円柱状または角柱状を成している。いわゆる、ピン状を成している。外部接続端子3,4,5と制御端子6a,6bとセンス端子7a,7bとは、導電性に優れた材質により構成されている。このような材質として、例えば、銀、銅、ニッケル、または、少なくともこれらの一種を含む合金等により構成されている。
【0014】
外部接続端子3,4,5は、一点鎖線X-Xを挟んで一本ずつ、一点鎖線X-Xに線対称を成して、おもて面2eに対して鉛直上方(+Z方向)にそれぞれ延伸している。なお、外部接続端子3,4,5は、一点鎖線X-Xを挟んで一本ずつ延伸している場合を記載している。この場合に限らず、外部接続端子3,4,5は、一点鎖線X-Xを挟んで二本ずつ以上、延伸していてもよい。また、外部接続端子3,4,5の上端部は、おもて面2eに一体的に形成された端子台2f~2hのおもて面から延伸している。外部接続端子3,4,5の下端部は、封止本体部2の内部に-Z方向に延伸している。
【0015】
制御端子6a,6bは、一点鎖線X-X上であって、側壁部2b,2d側であって、おもて面2eに対して鉛直上方にそれぞれ延伸している。また、制御端子6a,6bの上端部は、おもて面2eに一体的に形成された端子台2i,2jのおもて面から延伸している。制御端子6a,6bの下端部は、封止本体部2の内部に鉛直下方(-Z方向)に延伸している。
【0016】
センス端子7a,7bは、一点鎖線X-X上であって、制御端子6a,6bよりもさらに側壁部2b,2d側であって、おもて面2eに対して鉛直上方(+Z方向)にそれぞれ延伸している。また、センス端子7a,7bの上端部は、おもて面2eに一体的に形成された端子台2i,2jのおもて面から延伸している。センス端子7a,7bの下端部は、封止本体部2の内部に鉛直下方(-Z方向)に延伸している。
【0017】
また、外部接続端子3,4,5は、主電流が入出力する主端子である。外部接続端子3は、外部電源の正極に接続される入力端子(P端子)である。外部接続端子3は、後述する半導体チップ20bの主電極(コレクタ電極)と電気的に接続される。
【0018】
外部接続端子4は、外部電源の負極に接続される入力端子(N端子)である。外部接続端子4は、後述する半導体チップ20aの主電極(エミッタ電極)と電気的に接続される。外部接続端子5は、出力電流が流れる出力端子(O端子)である。外部接続端子5は、半導体チップ20bの主電極(エミッタ電極)及び半導体チップ20aの主電極(コレクタ電極)と電気的に接続される。
【0019】
制御端子6a,6b(G1,G2端子)は、後述するプリント基板30を経由して、半導体チップ20b,20aの制御電極と電気的に接続されている。センス端子7a,7b(E1s,E2s端子)は、プリント基板30を経由して、半導体チップ20b,20aのエミッタ電極と電気的に接続されている。
【0020】
外部接続端子3,4,5と制御端子6a,6bとセンス端子7a,7bとが一体的に成形された封止本体部2は、所定の金型内に後述する半導体チップ20a,20b等を含んで樹脂で封止することで構成されている。このような樹脂は、熱可塑性樹脂を主成分として構成されている。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリイミド樹脂、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂である。
【0021】
このような半導体装置1は、封止本体部2により、絶縁回路基板10a,10bと半導体チップ20a,20bとプリント基板30とが封止されている。絶縁回路基板10a,10bは、絶縁板11a,11bと絶縁板11a,11bの裏面に設けられた金属板12a,12bと絶縁板11a,11bのおもて面に設けられた回路パターン13a1,13a2,13bとを含んでいる。絶縁板11a,11b及び金属板12a,12bは、平面視で矩形状である。また、絶縁板11a,11b及び金属板12a,12bは、角部がR形状や、C形状に面取りされていてもよい。金属板12a,12bのサイズは、平面視で、絶縁板11a,11bのサイズより小さく、絶縁板11a,11bの内側に形成されている。絶縁板11a,11bは、絶縁性を備え、熱伝導性に優れた材質により構成されている。このような絶縁板11a,11bは、セラミックスまたは絶縁樹脂により構成されている。セラミックスは、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素である。絶縁樹脂は、例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板である。絶縁板11a,11bの厚さは、0.2mm以上、2.5mm以下である。
【0022】
金属板12a,12bは、絶縁板11a,11bよりも面積が小さく、回路パターン13a1,13a2,13bが形成されている領域の面積よりも広く、絶縁板11a,11bと同様に矩形状を成している。また、角部がR形状や、C形状に面取りされていてもよい。金属板12a,12bは、絶縁板11a,11bのサイズより小さく、絶縁板11a,11bの縁部を除いた全面に形成されている。金属板12a,12bは、熱伝導性に優れた金属を主成分として構成されている。金属は、例えば、銅、アルミニウムまたは、少なくともこれらの一種を含む合金である。また、金属板12a,12bの厚さは、0.1mm以上、2.5mm以下である。金属板12a,12bの耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。
【0023】
回路パターン13a1,13a2,13bは、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。また、回路パターン13a1,13a2,13bの厚さは、0.1mm以上、2.0mm以下である。回路パターン13a1,13a2,13bの表面に対して、耐食性を向上させるために、めっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金である。なお、
図2に示す回路パターン13a1,13a2,13bは一例である。必要に応じて、回路パターン13a1,13a2,13bの個数、形状、大きさ等を適宜選択してもよい。
このような構成を有する絶縁回路基板10a,10bは、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板、AMB(Active Metal Brazed)基板、樹脂絶縁基板が挙げられる。
【0024】
半導体装置1では、絶縁回路基板10a,10bの金属板12a,12bの裏面が表出されている。このような半導体装置1の裏面に接合部材を介して冷却ユニットを取り付けてもよい。
【0025】
ここで用いられる接合部材は、はんだ、ろう材、または、金属焼結体である。はんだは、鉛フリーはんだが用いられる。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてもよい。添加物は、例えば、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコンである。はんだは、添加物が含まれることで、濡れ性、光沢、結合強度が向上し、信頼性の向上を図ることができる。ろう材は、例えば、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金、ジルコニウム合金、シリコン合金の少なくともいずれかを主成分とする。絶縁回路基板10a,10bは、このような接合部材を用いたろう付け加工で接合することができる。金属焼結体は、例えば、銀及び銀合金を主成分とする。または、接合部材は、サーマルインターフェースマテリアルであってよい。サーマルインターフェースマテリアルは、例えば、エラストマーシート、RTV(Room Temperature Vulcanization)ゴム、ゲル、フェイズチェンジ材を含む接着材である。このようなろう材またはサーマルインターフェースマテリアルを介して冷却ユニットに取り付けることで、半導体装置1の放熱性を向上させることができる。
【0026】
冷却ユニットは、例えば、複数のフィンから構成されるヒートシンク並びに冷媒により冷却する冷却装置を適用してもよい。ヒートシンクは、熱伝導性に優れた材料を主成分とする。このような材料は、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金が挙げられる。そして、耐食性を向上させるために、ヒートシンクの表面にめっき処理を行ってもよい。この際、用いられるめっき材は、例えば、ニッケル、ニッケル-リン合金、ニッケル-ボロン合金がある。
【0027】
半導体チップ20a,20bは、シリコンまたは炭化シリコンから構成されるパワーデバイス素子を含んでいる。また、半導体チップ20a,20bの厚さは、例えば、40μm以上、250μm以下である。パワーデバイス素子は、スイッチング素子及びダイオード素子のそれぞれの機能を合わせもつ。このようなパワーデバイス素子は、RC(Reverse-Conducting)-IGBT、IGBT、パワーMOSFETであってよい。但し、IGBT及びパワーMOSFETは、寄生ダイオードを含む。半導体チップ20a,20bがRC-IGBT,IGBTの場合には、裏面に主電極としてコレクタ電極を、おもて面に、制御電極としてゲート電極及び主電極としてエミッタ電極をそれぞれ備えている。半導体チップ20a,20bがパワーMOSFETの場合には、裏面に主電極としてドレイン電極を、おもて面に、制御電極としてゲート電極及び主電極としてソース電極をそれぞれ備えている。なお、半導体チップ20a,20bの詳細については後述する。
【0028】
このような半導体チップ20a,20bの裏面が回路パターン13a1,13b上に接合部材により機械的、かつ、電気的に接合される。ここで用いられる接合部材は、はんだ、または、金属焼結体である。はんだは、鉛フリーはんだが用いられる。鉛フリーはんだは、例えば、錫、銀、銅、亜鉛、アンチモン、インジウム、ビスマスの少なくとも2つを含む合金を主成分とする。さらに、はんだには、添加物が含まれてもよい。添加物は、例えば、ニッケル、ゲルマニウム、コバルトまたはシリコンである。はんだは、添加物が含まれることで、濡れ性、光沢、結合強度が向上し、信頼性の向上を図ることができる。金属焼結体で用いられる金属は、例えば、銀及び銀合金である。
【0029】
プリント基板30は、絶縁層31と当該絶縁層31の裏面に形成された下面配線層32と当該絶縁層31のおもて面に形成された上面配線層33とを含んでいる。絶縁層31は、基材と当該基材に含浸させた樹脂とを含んでいる。基材は、例えば、紙またはガラス布、または、これらを含んでいるものである。樹脂は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂である。具体例としては、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、複合基材エポキシ基板、ガラスポリイミド基板である。
【0030】
下面配線層32及び上面配線層33は、導電性に優れた金属により構成されている。このような金属は、例えば、銅、アルミニウム、または、少なくともこれらの一種を主成分とする合金である。このようなプリント基板30が絶縁回路基板10a,10bのおもて面に所定の間隔を空けて対向配置されている。なお、下面配線層32及び上面配線層33は、それぞれ、複数含んでいる。それぞれを区別しない場合には、下面配線層32及び上面配線層33とする。下面配線層32及び上面配線層33の詳細については後述する。
【0031】
また、半導体装置1は、さらに、主電流ポスト電極8a~8dと制御ポスト電極9a,9bと検出ポスト電極9c,9d(
図3を参照)とを備える。主電流ポスト電極8a~8dと制御ポスト電極9a,9bと検出ポスト電極9c,9dとは、例えば、円筒、角柱のポスト状を成している。主電流ポスト電極8a~8dと制御ポスト電極9a,9bと検出ポスト電極9c,9dとは、導電性に優れた材質により構成されている。このような材質として、例えば、銀、銅、ニッケル、または、少なくともこれらの一種を含む合金により構成されている。
【0032】
主電流ポスト電極8a~8dは、プリント基板30と、半導体チップ20a,20bの主電極並びに絶縁回路基板10a,10bとの間を機械的、かつ、電気的に接続する。制御ポスト電極9a,9bは、プリント基板30と、半導体チップ20a,20bの制御電極との間を機械的、かつ、電気的に接続する。検出ポスト電極9c,9dは、プリント基板30と、半導体チップ20a,20bの主電極との間を機械的、かつ、電気的に接続する。
【0033】
次に、半導体チップ20a,20b、絶縁回路基板10a,10b、プリント基板30の詳細について説明する。まず、半導体チップ20a,20b及び絶縁回路基板10a,10bについて、
図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施の形態の半導体装置の内部の平面図である。なお、
図3は、半導体装置1において、半導体チップ20a,20bが接合された絶縁回路基板10a,10bの平面図である。半導体装置1の封止本体部2、主電流ポスト電極8a~8d、制御ポスト電極9a,9b、検出ポスト電極9c,9dの位置については破線で示している。
【0034】
半導体チップ20a,20bは、
図3に示されるように、おもて面の側辺(第1,第2側辺)の中央部に制御電極21a,21bが設けられている。半導体チップ20a,20bのおもて面の制御電極21a,21bを除いた領域は、主電極22a,22bが設けられている。
【0035】
半導体チップ20a,20bは、平面視で、回路パターン13a1,13bに対して、制御電極21a,21bが形成された側辺が平行を成すように配置されている。
図3の場合は、半導体チップ20a,20bは、平面視で、回路パターン13a1,13bに対して、制御電極21a,21bが形成された側辺が同一平面を成して配置されている。言い換えれば、半導体チップ20a,20bは、回路パターン13a1,13bに対して、制御電極21a,21bが封止本体部2の側壁部2aを向いて配置されている。すなわち、制御電極21a,21bが同方向を向いた状態である。
【0036】
また、半導体チップ20aは、回路パターン13a1のほぼ中央部に配置されている。半導体チップ20bは、回路パターン13bのX方向では中央部であって、Y方向では側壁部2b側に配置されている。
【0037】
半導体チップ20a,20bの制御電極21a,21bには、制御ポスト電極9b,9aが、主電極22a,22bには、主電流ポスト電極8d,8aがそれぞれ電気的、かつ、機械的に接続されている。また、半導体チップ20a,20bの制御電極21a,21bに隣接する主電極22a,22bの領域には、検出ポスト電極9d,9cがそれぞれ電気的、かつ、機械的に接続されている。なお、検出ポスト電極9dは、制御電極21aに対して側壁部2d側に、検出ポスト電極9cは、制御電極21bに対して側壁部2d側にそれぞれ隣接して設けられている。
【0038】
絶縁回路基板10aは、絶縁板11aのおもて面に回路パターン13a1,13a2が形成されている。回路パターン13a1,13a2は、いずれも、平面視で矩形状を成している。回路パターン13a1,13a2は、絶縁板11aのX方向の幅に渡って形成されている。回路パターン13a1は、絶縁板11aのおもて面のY方向の幅の3分の2程度を占めて、絶縁板11aのおもて面に対して側壁部2d側に形成されている。回路パターン13a1の中央部には、既述の通り、半導体チップ20aが配置されている。回路パターン13a1の半導体チップ20aの側壁部2b側であって、やや側壁部2c側に複数の主電流ポスト電極8cがX方向に沿って電気的、かつ、機械的に接続されている。また、回路パターン13a1の側壁部2d側の角部に、外部接続端子5がそれぞれ電気的、かつ、機械的に接続されている。
【0039】
回路パターン13a2は、絶縁板11aのおもて面のY方向の幅の3分の1程度を占めて、絶縁板11aのおもて面に対して側壁部2b側に形成されている。回路パターン13a2の側壁部2d側であって、主電流ポスト電極8cに対向して複数の主電流ポスト電極8bがX方向に沿って電気的、かつ、機械的に接続されている。また、回路パターン13a2の側壁部2b側の角部に、外部接続端子4がそれぞれ電気的、かつ、機械的に接続されている。
【0040】
回路パターン13bは、絶縁板11bのおもて面の全体に形成されている。回路パターン13bの側壁部2b側の中央部には、既述の通り、半導体チップ20bが配置されている。外部接続端子3が、回路パターン13bの側壁部2a,2c側であって、半導体チップ20bと回路パターン13bの側壁部2d側の側辺との間にそれぞれ電気的、かつ、機械的に接続されている。
【0041】
次いで、プリント基板30について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれるプリント基板のおもて面の平面図であり、
図5は、第1の実施の形態の半導体装置に含まれるプリント基板の裏面の平面図である。
図4は、上面配線層33をプリント基板30のおもて面から見た場合であり、
図5は、下面配線層32をプリント基板30のおもて面から見た場合である。また、
図4及び
図5は、封止本体部2と半導体チップ20a,20bと絶縁回路基板10a,10bに含まれる構成部品とについては破線で示している。
【0042】
プリント基板30は、
図4に示されるように、絶縁層31と絶縁層31のおもて面に形成された上面配線層33a,33b,33cとを含んでいる。絶縁層31は、平面視で矩形状を成す。絶縁層31のY方向の長さ(長辺)は、上面配線層33及び下面配線層32の形成が許容される長さであり、封止本体部2の長辺よりも短い。また、絶縁層31のX方向の幅(短辺)は、絶縁回路基板10a,10bに形成されている外部接続端子3,4,5のX方向の間隔よりも短くてよい。なお、絶縁層31のX方向の幅が絶縁回路基板10a,10bの同方向の幅または当該幅よりも長い場合には、絶縁層31(プリント基板30)は、外部接続端子3,4,5が挿通される開口(スルーホール)が形成されてもよい。但し、スルーホールを挿通する外部接続端子3,4,5は、上面配線層33及び下面配線層32に対して電気的に絶縁される必要がある。
【0043】
上面配線層33a(第1制御配線層)は、平面視で、長さが長さL2のストライプ状(短冊状)を成している。なお、上面配線層33aのX方向の幅(短辺)は、少なくとも検出ポスト電極9c並びにセンス端子7aが貫通する貫通孔が形成できる程度であればよい。上面配線層33aの一端部(図中、左端部)は制御ポスト電極9aに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、上面配線層33aの一端部は、半導体チップ20bの制御電極21bに対向すると共に制御ポスト電極9aを介して電気的に接続されている。また、上面配線層33aの一端部に対して、制御ポスト電極9aの側壁部2b側に検出ポスト電極9cが電気的に接続することなく貫通している。
【0044】
上面配線層33aの他端部(図中、右端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2bに延伸している。また、上面配線層33aの他端部は、制御端子6aに電気的、かつ、機械的に接続されている。また、上面配線層33aの他端部に対して、制御端子6aの側壁部2b側にセンス端子7aが電気的に接続することなく貫通している。この際、制御ポスト電極9aから制御端子6aまでの長さLc2と検出ポスト電極9cからセンス端子7aまでの長さLs2とは同じ長さである。
【0045】
上面配線層33bは、平面視で、ストライプ状を成している。なお、上面配線層33bのX方向の幅(短辺)は、少なくとも3本の主電流ポスト電極8cの直径を合わせた長さ程度であればよい。上面配線層33bの一端部(図中、左端部)は主電流ポスト電極8cに電気的、かつ、機械的に接続されている。なお、上面配線層33bの一端部は、主電流ポスト電極8dの手前まで延伸してもよい。
図4では、上面配線層33bの一端部は、平面視で、Y方向において半導体チップ20aの手前まで延伸している。
【0046】
上面配線層33bの他端部(図中、右端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2bに延伸している。また、上面配線層33bの他端部は、主電流ポスト電極8aに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、上面配線層33bは、半導体チップ20bの主電極22bに対向すると共に主電流ポスト電極8aを介して電気的に接続されている。上面配線層33bの他端部は、半導体チップ20bを超えない程度まで延伸している。また、上面配線層33bの主電流ポスト電極8cの側壁部2b側に主電流ポスト電極8bが電気的に接続することなく貫通している。
【0047】
上面配線層33c(第2制御配線層)は、平面視で、長さが長さL1のストライプ状を成している。また、長さL1と長さL2は同じ長さである。なお、上面配線層33cのX方向の幅は、少なくとも検出ポスト電極9d並びにセンス端子7bが貫通する貫通孔が形成できる程度であればよい。上面配線層33cの一端部(図中、右端部)は制御ポスト電極9bに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、上面配線層33cの一端部は半導体チップ20aの制御電極21aに対向すると共に制御ポスト電極9bを介して電気的に接続されている。また、上面配線層33cの一端部に対して、制御ポスト電極9bの側壁部2d側に検出ポスト電極9dが電気的に接続することなく貫通している。
【0048】
上面配線層33cの他端部(図中、左端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2dに延伸している。また、上面配線層33cの他端部は、制御端子6bに電気的、かつ、機械的に接続されている。上面配線層33cの他端部に対して、制御端子6bの側壁部2d側にセンス端子7bが電気的に接続することなく貫通している。この際、制御ポスト電極9bから制御端子6bまでの長さLc1と検出ポスト電極9dからセンス端子7bまでの長さLs1とは同じ長さである。
【0049】
さらに、プリント基板30は、
図5に示されるように、絶縁層31の裏面に形成された下面配線層32a,32b,32cを含んでいる。下面配線層32aは、平面視で、長さが長さL4のストライプ状を成している。なお、長さL4は、上面配線層33aの長さL2と略同一の長さである。下面配線層32aのX方向の幅は、少なくとも制御ポスト電極9a並びに制御端子6aが貫通する貫通孔が形成できる程度であればよい。すなわち、下面配線層32aは、上面配線層33aと同様の形状及びサイズを成している。また、下面配線層32aは、絶縁層31を挟んで上面配線層33aと同じ個所の裏面に形成されている。
【0050】
下面配線層32aの一端部(図中、左端部)は検出ポスト電極9cに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、下面配線層32aの一端部は、半導体チップ20bの制御電極21bの隣の主電極22bの領域に対向すると共に検出ポスト電極9cを介して電気的に接続されている。また、下面配線層32aの一端部に対して、検出ポスト電極9cの側壁部2d側に制御ポスト電極9aが電気的に接続することなく貫通している。
【0051】
下面配線層32aの他端部(図中、右端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2bに延伸している。また、下面配線層32aの他端部は、センス端子7aに電気的、かつ、機械的に接続されている。また、下面配線層32aの他端部に対して、センス端子7aの側壁部2d側に制御端子6aが電気的に接続することなく貫通している。この際、上面配線層33aで説明したように、制御ポスト電極9aから制御端子6aまでの長さLc2と検出ポスト電極9cからセンス端子7aまでの長さLs2とは同じ長さである。
【0052】
下面配線層32bは、平面視で、ストライプ状を成している。なお、下面配線層32bのX方向の幅は、少なくとも3本の主電流ポスト電極8cの直径を合わせた長さ程度であればよい。下面配線層32bは、一端部(図中、左端部)が主電流ポスト電極8dに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、下面配線層32bの一端部は、半導体チップ20aの主電極22aに対向すると共に主電流ポスト電極8dを介して電気的に接続されている。
【0053】
下面配線層32bの他端部(図中、右端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2bに、主電流ポスト電極8bまで延伸している。下面配線層32bの他端部は、主電流ポスト電極8bに電気的、かつ、機械的に接続されている。また、下面配線層32bの一端部及び他端部の間に、主電流ポスト電極8cが電気的に接続することなく貫通している。また、下面配線層32bは、絶縁層31を挟んで上面配線層33bに対して一列になるように上面配線層33bの裏面に形成されている。また、下面配線層32bは、上面配線層33bに一部が重複している。
【0054】
下面配線層32cは、平面視で、長さが長さL3のストライプ状を成している。なお、長さL3は、上面配線層33cの長さL1と略同一の長さである。下面配線層32cのX方向の幅は、少なくとも制御ポスト電極9b並びに制御端子6bが貫通する貫通孔が形成できる程度であればよい。すなわち、下面配線層32cは、上面配線層33cと同様の形状及びサイズを成している。また、下面配線層32cは、絶縁層31を挟んで上面配線層33cと同じ個所の裏面に形成されている。
【0055】
下面配線層32cの一端部(図中、右端部)は検出ポスト電極9dに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、下面配線層32cの一端部は、制御電極21aの隣の主電極22aの領域に対向すると共に検出ポスト電極9dを介して電気的に接続されている。下面配線層32cの一端部に対して、検出ポスト電極9dの側壁部2b側に制御ポスト電極9bが電気的に接続することなく貫通している。
【0056】
下面配線層32cの他端部(図中、左端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2dに延伸している。また、下面配線層32cの他端部は、センス端子7bに電気的、かつ、機械的に接続されている。また、下面配線層32cの他端部に対して、センス端子7bの側壁部2b側に制御端子6bが電気的に接続することなく貫通している。この際、上面配線層33cで説明したように、制御ポスト電極9bから制御端子6bまでの長さLc1と検出ポスト電極9dからセンス端子7bまでの長さLs1とは同じ長さである。
【0057】
したがって、半導体チップ20a,20bの制御電極21a,21bは、制御ポスト電極9b,9aと上面配線層33c,33aを経由して、制御端子6b,6aに電気的に接続されている。
【0058】
半導体チップ20bの主電極22bは、主電流ポスト電極8aと上面配線層33bと主電流ポスト電極8cと回路パターン13a1を経由して、外部接続端子5に電気的に接続されている。
【0059】
また、半導体チップ20aの主電極22aは、主電流ポスト電極8dと下面配線層32bと主電流ポスト電極8bと回路パターン13a2を経由して、外部接続端子4に電気的に接続されている。
【0060】
また、半導体チップ20aの主電極(裏面)は、回路パターン13a1と主電流ポスト電極8cと上面配線層33bと主電流ポスト電極8aとを経由して、半導体チップ20bの主電極22bに電気的に接続されている。
【0061】
半導体チップ20a,20bの主電極22a,22bは、検出ポスト電極9c,9dと下面配線層32c,32aを経由して、センス端子7b,7aに電気的に接続されている。
【0062】
次に、このような半導体装置1の動作について説明する。なお、以下では、半導体チップ20a,20bは、RC-IGBTとする。半導体装置1の外部接続端子3には外部電源の正極が、外部接続端子4には外部電源の負極がそれぞれ接続されている。所定のタイミングで制御端子6a,6bに制御信号が入力される。
【0063】
まず、半導体チップ20bの裏面の主電極(コレクタ電極)には、外部接続端子3から回路パターン13bを経由して入力電流が入力されている。この際、制御端子6aに対して制御信号がオン、制御端子6bに対する制御信号がオフである場合、制御信号は制御端子6aから上面配線層33a及び制御ポスト電極9aを経由して、半導体チップ20bの制御電極21bに入力される。そして、半導体チップ20bのおもて面の主電極22b(エミッタ電極)は出力電流を出力する。出力電流は、主電流ポスト電極8aから上面配線層33bを経由して主電流ポスト電極8cに入力される。出力電流は、主電流ポスト電極8cから回路パターン13a1を経由して外部接続端子5から出力される。また、半導体チップ20bの主電極22b(エミッタ電極)から出力された出力電流は、検出ポスト電極9cから下面配線層32aを経由して、センス端子7aから出力される。
【0064】
また、制御端子6aに対する制御信号がオフとなり、制御信号6bに対する制御信号がオンとなってしばらく経つと、半導体チップ20aの裏面の主電極(コレクタ電極)に、外部接続端子5から回路パターン13a1を経由して電流が入力されている。そして、半導体チップ20aのおもて面の主電極22a(エミッタ電極)が出力電流を出力する。出力電流は、主電流ポスト電極8dから下面配線層32bを経由して主電流ポスト電極8bcに入力される。出力電流は、主電流ポスト電極8bから回路パターン13a2を経由して外部接続端子4から出力される。また、半導体チップ20aの主電極22a(エミッタ電極)から出力された出力電流は、検出ポスト電極9dから下面配線層32cを経由して、センス端子7bから出力される。
【0065】
このように半導体装置1では、制御端子6a,6bに対して制御信号を所定のタイミングで入力することで外部接続端子5から所定の波形の出力電流が得られる。この際、制御端子6aから半導体チップ20bの制御電極21bまでの距離Lc2と、制御端子6bから半導体チップ20aの制御電極21aまでの距離Lc1と、が略等しい。このため、上面配線層33a,33cのインダクタンス、電気抵抗が略等しくなり、スイッチング動作時の制御の遅延等が防止されて制御性の低下を防止することができる。
【0066】
また、センス端子7aから半導体チップ20bの主電極22bまでの距離Ls2と、センス端子7bから半導体チップ20aの主電極22aまでの距離Ls1と、の距離は、略等しい。センス電流が通電する下面配線層32a,32cは制御信号が通電する上面配線層33a,33cと同じ長さである。下面配線層32a,32cは、絶縁層31を挟んで上面配線層33a,33cの裏面に一致して形成されている。そして、下面配線層32a,32cに対するセンス電流の通電方向と上面配線層33a,33cに対する制御信号の通電方向とは反対方向である。このため、制御信号及びセンス電流により生じる相互インダクタンスは相殺される。したがって、上面配線層33a,33cの近傍に対する電気的影響を抑制することができる。
【0067】
上記の半導体装置1は、制御電極21a,21bをおもて面に備えた半導体チップ20a,20bと、平面視でストライプ状であって、一端部が制御電極21a,21bに対向すると共に電気的に接続された上面配線層33c,33aと、を備える。この際、上面配線層33c,33aは、互いの他端部が反対方向を向いてそれぞれ延伸し、上面配線層33c,33aの延伸方向の長さは互いに等しい。このため、上面配線層33a,33cのインダクタンス、電気抵抗が略等しくなり、スイッチング動作時の制御の遅延等が防止されて制御性の低下を防止することができる。
【0068】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態において、半導体チップ20a,20bを絶縁回路基板10a,10bに対して回転させて配置させている。第2の実施の形態の半導体装置について、
図6及び
図7を用いて説明する。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態の半導体装置に対する変更箇所を中心に説明する。
【0069】
図6は、第2の実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図7は、第2の実施の形態の半導体装置の側断面図である。なお、
図7は、
図6の一点鎖線X-Xにおける断面図である。なお、一点鎖線X-Xは、半導体装置1aを短辺の中心を通り、長辺に平行な中心線でもある。
【0070】
半導体装置1aは、直方体状の封止本体部2を備え、封止本体部2のおもて面2eから外部接続端子3,4,5と制御端子6a,6bとセンス端子7a,7bとがおもて面2eに対して鉛直上方(+Z方向)に延伸している。
【0071】
半導体装置1aは、半導体装置1において、制御端子6a,6b及びセンス端子7a,7bが中心線から側壁部2c側に位置ずれして線対称に設けられている。制御端子6a,6bが側壁部2a側に、センス端子7a,7bが側壁部2c側にそれぞれ設けられている。これに伴い、端子台2i,2jも中心線に対して側壁部2c側に位置ずれして線対称となるようにおもて面2eに一体的に形成されている。よって、制御端子6a,6b及びセンス端子7a,7bの上端部は、端子台2i,2jのおもて面から延伸している。制御端子6a,6b及びセンス端子7a,7bの下端部は、封止本体部2の内部に鉛直下方(-Z方向)に延伸している。
【0072】
次に、半導体チップ20a,20b、絶縁回路基板10a,10b、プリント基板30の詳細について説明する。まず、半導体チップ20a,20b及び絶縁回路基板10a,10bについて、
図8を用いて説明する。
図8は、第2の実施の形態の半導体装置の内部の平面図である。なお、
図8は、半導体装置1aにおいて、半導体チップ20a,20bが接合された絶縁回路基板10a,10bの平面図である。半導体装置1aの封止本体部2、主電流ポスト電極8a~8d、制御ポスト電極9a,9b、検出ポスト電極9c,9dの位置については破線で示している。
【0073】
半導体チップ20a,20bは、回路パターン13a1,13bに対して、制御電極21a,21bが互いに反対方向を向いて配置されている。すなわち、半導体チップ20a,20bの制御電極21a,21bが設けられている側辺が封止本体部2の長手方向の対向する端部に互いに近くなるように配置されている。より具体的には、半導体チップ20a,20bは、制御電極21a,21bが封止本体部2の側壁部2d,2bをそれぞれ向いて配置されている。半導体チップ20a,20bのこのような配置に伴って、主電流ポスト電極8c,8bもまた半導体チップ20a,20bに対して直線状に配置されている。
【0074】
次いで、プリント基板30について、
図9及び
図10を用いて説明する。
図9は、第2の実施の形態の半導体装置に含まれるプリント基板のおもて面の平面図であり、
図10は、第2の実施の形態の半導体装置に含まれるプリント基板の裏面の平面図である。なお、
図9は、プリント基板30の上面配線層33をプリント基板30のおもて面から見た場合であり、
図10は、プリント基板30の下面配線層32をプリント基板30のおもて面から見た場合である。また、
図9及び
図10は、封止本体部2と半導体チップ20a,20bと絶縁回路基板10a,10bに含まれる構成部品とについては破線で示している。
【0075】
プリント基板30は、
図9に示されるように、絶縁層31と絶縁層31のおもて面に形成された上面配線層33a,33b,33cとを含んでいる。上面配線層33aは、平面視で、長さが長さL2のストライプ状(短冊状)を成している。なお、上面配線層33aのX方向の幅は、少なくとも検出ポスト電極9c(または、センス端子7a)が貫通する貫通孔及び制御ポスト電極9a(または制御端子6a)がX方向に沿って形成できる程度であればよい。
【0076】
上面配線層33aの一端部(図中、左端部)は制御ポスト電極9aに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、上面配線層33aの一端部は、半導体チップ20bの制御電極21bに対向すると共に制御ポスト電極9aを介して電気的に接続されている。また、上面配線層33aの一端部に対して、制御ポスト電極9aの側壁部2c側に検出ポスト電極9cが電気的に接続することなく貫通している。
【0077】
上面配線層33aの他端部(図中、右端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2bに延伸している。また、上面配線層33aの他端部は、制御端子6aに電気的、かつ、機械的に接続されている。制御端子6aは制御ポスト電極9aに対して直線状を成すように配置されている。また、上面配線層33aの他端部に対して、制御端子6aの側壁部2c側にセンス端子7aが電気的に接続することなく貫通している。この際、制御ポスト電極9aから制御端子6aまでの長さLc2と検出ポスト電極9cからセンス端子7aまでの長さLs2とは同じ長さである。
【0078】
上面配線層33bは、平面視で、ストライプ状を成している。なお、上面配線層33bのX方向の幅は、少なくとも3本の主電流ポスト電極8cの直径を合わせた長さ程度であればよい。上面配線層33bの一端部(図中、左端部)は主電流ポスト電極8cに電気的、かつ、機械的に接続されている。なお、上面配線層33bの一端部は、主電流ポスト電極8dの手前まで延伸してもよい。
図9では、上面配線層33bの一端部は、平面視で、半導体チップ20aの手前まで延伸している。
【0079】
上面配線層33bの他端部(図中、右端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2bに延伸している。また、上面配線層33bの他端部は、主電流ポスト電極8aに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、上面配線層33bは、半導体チップ20bの主電極22bに対向すると共に主電流ポスト電極8aを介して電気的に接続されている。上面配線層33bの他端部は、半導体チップ20bの制御電極21bの手前まで延伸している。また、上面配線層33bの主電流ポスト電極8cの側壁部2b側に主電流ポスト電極8bが電気的に接続することなく貫通している。
【0080】
上面配線層33cは、平面視で、長さが長さL1のストライプ状を成している。また、長さL1と長さL2は同じ長さである。なお、上面配線層33cのX方向の幅は、少なくとも検出ポスト電極9d(または、センス端子7b)が貫通する貫通孔及び制御ポスト電極9b(または、制御端子6b)がX方向に沿って形成できる程度であればよい。
【0081】
上面配線層33cの一端部(図中、右端部)は制御ポスト電極9bに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、上面配線層33cの一端部は、半導体チップ20aの制御電極21aに対向すると共に制御ポスト電極9bを介して電気的に接続されている。また、上面配線層33cの一端部に対して、制御ポスト電極9bの側壁部2c側に検出ポスト電極9dが電気的に接続することなく貫通している。
【0082】
上面配線層33cの他端部(図中、左端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2dに延伸している。また、上面配線層33cの他端部は、制御端子6bに電気的、かつ、機械的に接続されている。上面配線層33cの他端部に対して、制御端子6bの側壁部2c側にセンス端子7bが電気的に接続することなく貫通している。この際、制御ポスト電極9bから制御端子6bまでの長さLc1と検出ポスト電極9dからセンス端子7bまでの長さLs1とは同じ長さである。
【0083】
さらに、プリント基板30は、
図10に示されるように、絶縁層31の裏面に形成された下面配線層32a,32b,32cを含んでいる。下面配線層32aは、平面視で、長さが長さL4のストライプ状を成している。なお、長さL4は、上面配線層33aの長さL2と略同一の長さである。下面配線層32aのX方向の幅は、少なくとも制御ポスト電極9a(または、制御端子6a)が貫通する貫通孔及び検出ポスト電極9c(または、センス端子7a)がX方向に沿って形成できる程度であればよい。すなわち、下面配線層32aは、上面配線層33aと同様の形状及びサイズを成している。また、下面配線層32aは、絶縁層31を挟んで上面配線層33aと同じ個所の裏面に形成されている。
【0084】
下面配線層32aの一端部(図中、左端部)は検出ポスト電極9cに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、下面配線層32aの一端部は、半導体チップ20bの制御電極21bの隣の主電極22bの領域に対向すると共に検出ポスト電極9cを介して電気的に接続されている。また、下面配線層32aの一端部に対して、検出ポスト電極9cの側壁部2a側に制御ポスト電極9aが電気的に接続することなく貫通している。
【0085】
下面配線層32aの他端部(図中、右端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2bに延伸している。また、下面配線層32aの他端部は、センス端子7aに電気的、かつ、機械的に接続されている。また、下面配線層32aの他端部に対して、センス端子7aの側壁部2d側に制御端子6aが電気的に接続することなく貫通している。この際、上面配線層33aで説明したように、制御ポスト電極9aから制御端子6aまでの長さLc2と検出ポスト電極9cからセンス端子7aまでの長さLs2とは同じ長さである。
【0086】
下面配線層32bは、平面視で、ストライプ状を成している。なお、下面配線層32bのX方向の幅は、少なくとも3本の主電流ポスト電極8dの直径を合わせた長さ程度であればよい。下面配線層32bは、一端部(図中、左端部)が主電流ポスト電極8dに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、下面配線層32bの一端部は、半導体チップ20aの主電極22aに対向すると共に主電流ポスト電極8dを介して電気的に接続されている。
【0087】
下面配線層32bの他端部(図中、右端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2bに、主電流ポスト電極8bまで延伸している。下面配線層32bの他端部は、主電流ポスト電極8bに電気的、かつ、機械的に接続されている。また、下面配線層32bの一端部及び他端部の間に、主電流ポスト電極8cが電気的に接続することなく貫通している。また、下面配線層32bは、絶縁層31を挟んで上面配線層33bに対して一列になるように上面配線層33bの裏面に形成されている。また、下面配線層32bは、上面配線層33bに一部が重複している。
【0088】
下面配線層32cは、平面視で、長さが長さL3のストライプ状を成している。なお、長さL3は、上面配線層33cの長さL1と略同一の長さである。また、長さL3と長さL4は同じ長さである。なお、下面配線層32cのX方向の幅は、少なくとも制御ポスト電極9b(または、制御端子6b)が貫通する貫通孔及び検出ポスト電極9d(または、センス端子7b)がX方向に沿って形成できる程度であればよい。すなわち、下面配線層32cは、上面配線層33cと同様の形状及びサイズを成している。また、下面配線層32cは、絶縁層31を挟んで上面配線層33cと同じ個所の裏面に形成されている。
【0089】
下面配線層32cの一端部(図中、右端部)は検出ポスト電極9dに電気的、かつ、機械的に接続されている。したがって、下面配線層32cの一端部は、制御電極21aの隣の主電極22aの領域に対向すると共に検出ポスト電極9dを介して電気的に接続されている。下面配線層32cの一端部に対して、検出ポスト電極9dの側壁部2a側に制御ポスト電極9bが電気的に接続することなく貫通している。
【0090】
下面配線層32cの他端部(図中、左端部)は、側壁部2a,2cに沿って、側壁部2dに延伸している。また、下面配線層32cの他端部は、センス端子7bに電気的、かつ、機械的に接続されている。また、下面配線層32cの他端部に対して、センス端子7bの側壁部2a側に制御端子6bが電気的に接続することなく貫通している。この際、上面配線層33cで説明したように、制御ポスト電極9bから制御端子6bまでの長さLc1と検出ポスト電極9dからセンス端子7bまでの長さLs1とは同じ長さである。
【0091】
したがって、半導体チップ20a,20bの制御電極21a,21bは、制御ポスト電極9b,9aと上面配線層33c,33aを経由して、制御端子6b,6aに電気的に接続されている。
【0092】
このような半導体装置1aでも、制御端子6a,6bに対して制御信号を所定のタイミングで入力することで外部接続端子5から所定の波形の出力電流が得られる。この際、制御端子6aから半導体チップ20bの制御電極21bまでの距離Lc2と、制御端子6bから半導体チップ20aの制御電極21aまでの距離Lc1と、が略等しい。このため、上面配線層33a,33cのインダクタンス、電気抵抗が略等しくなり、スイッチング動作時の制御の遅延等が防止されて制御性の低下を防止することができる。
【0093】
また、センス端子7aから半導体チップ20bの主電極22bまでの距離Ls2と、センス端子7bから半導体チップ20aの主電極22aまでの距離Ls1と、の距離は、略等しい。センス電流が通電する下面配線層32a,32cは制御信号が通電する上面配線層33a,33cと同じ長さである。下面配線層32a,32cは、絶縁層31を挟んで上面配線層33a,33cの裏面に一致して形成されている。そして、下面配線層32a,32cに対するセンス電流の通電方向と上面配線層33a,33cに対する制御信号の通電方向とは反対方向である。このため、制御信号及びセンス電流により生じる相互インダクタンスは相殺される。したがって、上面配線層33a,33cの近傍に対する電気的影響を抑制することができる。
【0094】
また、半導体装置1aでは、上面配線層33a,33b及び下面配線層32a,32cの長さを短くすることができる。また、半導体装置1の場合であれば、例えば、上面配線層33aと上面配線層33bとは側面視で半導体チップ20b上にて重複する領域がある。このため、半導体装置1はX方向の幅を小さくするには限界がある。半導体装置1aでは、上面配線層33及び下面配線層32は直線状に配置されているため、X方向の幅を小さくすることができる。このため、半導体装置1aは、半導体装置1よりも小型化を図ることができる。
【0095】
なお、半導体装置1aでは、制御端子6a,6bが中心線(一点鎖線X-X)上に配置されて、センス端子7a,7bが中心線から側壁部2c側に位置ずれして設けられている場合について説明している。この場合に限らず、センス端子7a,7bが制御端子6a,6bに対して側壁部2aに位置ずれして設けられてもよい。この場合は、
図9及び
図10に対して、センス端子7a,7bが制御端子6a,6bに対して側壁部2a側に設けられ、検出ポスト電極9c,9dが制御ポスト電極9a,9bに対して、側壁部2a側に設けられる。
【0096】
また、半導体装置1aのおもて面2eに対して、制御端子6a,6b及びセンス端子7a,7bが中心線(一点鎖線X-X)に対して線対称に配置されるようにしてもよい。この場合、例えば、
図8~
図10の半導体チップ20a,20bを側壁部2a側に位置ずれさせる。
【0097】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、第1の実施の形態の半導体装置1を複数含む電力変換装置について、
図11並びに
図1及び
図2を用いて説明する。
図11は、第3の実施の形態の電力変換装置を示す図である。なお、
図11(A)は、電力変換装置の平面図を示している。
図11(B)は、
図11(A)の一点鎖線X-Xにおける断面図を表している。また、電力変換装置40は、第1の実施の形態の半導体装置1を含んでいる。なお、半導体装置1の符号は省略している。半導体装置1の構成は、
図1及び
図2を参照することができる。なお、電力変換装置40は、第1の実施の形態の半導体装置1に限らず、第2の実施の形態の半導体装置1aを同様に用いてもよい。
【0098】
電力変換装置40は、複数の半導体装置1と当該複数の半導体装置1に対して電気的に接続された導通基板41~44,45a,45b,45cとを備えている。複数の半導体装置1は、短辺の側壁部2d,2bが同一平面(平行)を成し、長辺の側壁部2a,2cが対向するようにX方向に配列されている。
図11では、半導体装置1が3列配列されている場合を示している。
【0099】
導通基板41~44,45a,45b,45cは、導電体を含む板である。導通基板41~44,45a,45b,45cは、例えば、バスバー、プリント回路基板である。導通基板41~44,45a,45b,45cは、ドライバ回路、電源や出力設備の外部機器と半導体装置1の外部接続端子3,4,5、制御端子6a,6b、センス端子7a,7bとを電気的に接続し、各半導体装置1の制御及び半導体装置1に対する電圧等の入出力を行うことができるものである。
【0100】
導通基板41,42は、半導体装置1の制御端子6a,6b及びセンス端子7a,7bに電気的、かつ、機械的に接続されている。導通基板41,42により所定のタイミングで制御端子6a,6bに制御信号を入力する。また、導通基板41,42は、センス端子7a,7bからセンス電流が入力される。
【0101】
導通基板43,44は、半導体装置1の外部接続端子3,4に電気的、かつ、機械的に接続されている。導通基板43,44は、それぞれ、正極、負極の外部電源が接続されている。
【0102】
導通基板45a,45b,45cは、複数の半導体装置1の外部接続端子5にそれぞれ電気的、かつ、機械的に接続されている。導通基板45a,45b,45cは、複数の半導体装置1の外部接続端子5から出力される出力電流を負荷に対して入力する。
【0103】
半導体装置1は、上面配線層33a,33cが互いに反対方向を向いて配置されている。このため、電力変換装置40では、このような半導体装置1を短辺の側壁部2d,2bが平行であって、長辺の側壁部2a,2cが対向するように、必要な個数、配列することができる。
【符号の説明】
【0104】
1,1a 半導体装置
2 封止本体部
2a~2d 側壁部
2e おもて面
2f~2j 端子台
3~5 外部接続端子
6a,6b 制御端子
7a,7b センス端子
8a~8d 主電流ポスト電極
9a,9b 制御ポスト電極
9c,9d 検出ポスト電極
10a,10b 絶縁回路基板
11a,11b 絶縁板
12a,12b 金属板
13a1,13a2,13b 回路パターン
20a,20b 半導体チップ
21a,21b 制御電極
22a,22b 主電極
30 プリント基板
31 絶縁層
32,32a~32c 下面配線層
33,33a~33c 上面配線層
40 電力変換装置
41~44,45a,45b,45c 導通基板