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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190218
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20221219BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098436
(22)【出願日】2021-06-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 聡
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA07
5E322AA11
5E322DA01
5F136CB06
5F136CB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発熱部材を含むモジュールを複数搭載する筐体において、収容性を向上させることが可能な冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置は、発熱部材を搭載する電子回路基板と、発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュール40を複数搭載する筐体200の内部に、筐体200の外部から熱媒体を供給する供給配管20と、筐体200の内部に設けられ、供給配管20から流入した熱媒体を、複数の方向に送出する第1の流路を含む部材であって、第1の流路を介して複数の冷却部材のそれぞれに熱媒体を分配する中継部材10と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部材を搭載する電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールを複数搭載する筐体の内部に、前記筐体の外部から前記熱媒体を供給する供給配管と、
前記筐体の内部に設けられ、前記供給配管から流入した前記熱媒体を、複数の方向に送出する第1の流路を含む部材であって、前記第1の流路を介して複数の前記冷却部材のそれぞれに前記熱媒体を分配する中継部材と、を備える
冷却装置。
【請求項2】
前記筐体の内部から前記筐体の外部へ前記熱媒体を排出する排出配管を備え、
前記中継部材は、複数の前記モジュールのそれぞれに含まれる前記冷却部材のそれぞれから排出される前記熱媒体を合流させる第2の流路を含み、合流させた当該熱媒体を、前記排出配管に送出する、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第1の流路は、前記供給配管から流入した前記熱媒体が流れる主流路と、主流路から前記熱媒体が分岐する複数の枝流路と、を含み、
複数の前記枝流路のそれぞれは、互いに異なる方向に前記熱媒体を送出し、当該熱媒体をそれぞれ異なる前記冷却部材に供給する、
請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記主流路は、前記中継部材の外周に沿って設けられ、
複数の前記枝流路から送出される前記熱媒体は、それぞれ異なる前記冷却部材に供給される、
請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記中継部材は、複数の前記モジュールと異なる他モジュールに含まれる前記冷却部材であり、当該他モジュールに含まれる前記発熱部材を冷却する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記中継部材は、前記熱媒体の流路である第3の流路と、前記熱媒体の流路であって、前記他モジュールの前記発熱部材から前記熱媒体に受熱させる冷却流路と、をさらに含み
前記第3の流路は、前記第1の流路と前記冷却流路とを接続する流路である、
請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記中継部材は、前記冷却流路から排出される前記熱媒体が流入する第4の流路をさらに含み、前記第4の流路から流入する前記熱媒体と、複数の前記モジュールのそれぞれに含まれる前記冷却部材のそれぞれから排出される前記熱媒体と、を合流させる、
請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記中継部材は、複数の前記モジュールのうち、少なくともいずれかのモジュール間に配置される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発熱部材を冷却する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発熱部材を含むモジュールに対して熱媒体を供給することにより、発熱部材を冷却する技術が開示されている。具体的には特許文献1には、熱媒体を分配するアウトレットヘッダを用いて、複数のモジュールのそれぞれに熱媒体を供給することで、発熱部材の各々を冷却する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-228216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーバ等、複数のモジュールが1つの筐体に搭載される装置がある。このような場合、モジュールのそれぞれに熱媒体を供給するために、筐体の外部から配管が接続される。筐体を出入りする配管が増加すると、例えば、筐体の内部が配管で圧迫される。筐体の内部が圧迫されると、筐体の内部の温度が上昇する虞がある。また、筐体の内部が圧迫されないように装置を構成しようとすると、装置が大型化してしまう虞もある。そのため、配管やモジュール等、筐体内の機器の収容に工夫が必要となる。
【0005】
特許文献1には、複数のモジュールが搭載される筐体の収容性に関して開示も示唆もされていない。仮に、特許文献1に開示されるモジュールと、熱媒体を分配するアウトレットヘッダとを筐体の内部に搭載した装置があるとする。ここで、特許文献1のアウトレットヘッダは、複数のモジュールに熱媒体を供給する配管が、平行に並んでいる。すなわち、アウトレットヘッダから各モジュールへの熱媒体の流路がすべて同じ方向となっている。そのため、筐体内のモジュールの数に応じてアウトレットヘッダが大型化し、それにともない装置全体が大型化する虞がある。
【0006】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、発熱部材を含むモジュールを複数搭載する筐体において、収容性を向上させることが可能な冷却装置等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様にかかる冷却装置は、発熱部材を搭載する電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールを複数搭載する筐体の内部に、前記筐体の外部から前記熱媒体を供給する供給配管と、前記筐体の内部に設けられ、前記供給配管から流入した前記熱媒体を、複数の方向に送出する第1の流路を含む部材であって、前記第1の流路を介して複数の前記冷却部材のそれぞれに前記熱媒体を分配する中継部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、発熱部材を含むモジュールを複数搭載する筐体において、収容性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1の実施形態の冷却装置の構成の一例を示す平面図である。
図2】本開示の第1の実施形態のモジュールの構造の一例を示す図である。
図3】本開示の第2の実施形態の冷却装置の構成の一例を示す平面図である。
図4】本開示の第2の実施形態の冷却装置の構成の一例を示す側面図である。
図5A】本開示の第2の実施形態の第1プレートの構造の一例を示す平面図である。
図5B】本開示の第2の実施形態の第2プレートの構造の一例を示す平面図である。
図6A】本開示の変形例3の第1プレートの構造の一例を示す平面図である。
図6B】本開示の変形例3の第2プレートの構造の一例を示す平面図である。
図7】本開示の変形例4の中継部材の構造の一例を示す平面図である。
図8】本開示の第3の実施形態の冷却装置の構成の一例を示す側面図である。
図9A】本開示の第3の実施形態の第1プレートの構造の一例を示す平面図である。
図9B】本開示の第3の実施形態の第3プレートの構造の一例を示す平面図である。
図9C】本開示の第3の実施形態の第2プレートの構造の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の冷却装置の概要について説明する。
【0012】
図1は、冷却装置100の構成の一例を示す平面図である。図1に示すように、冷却装置100は、中継部材10と供給配管20とを備える。中継部材10は、複数の供給枝管30と接続される。
【0013】
中継部材10、供給配管20、供給枝管30の内部は、熱媒体が通過する。熱媒体は、例えば液体であり、冷却水と称することもある。供給配管20の一端は、中継部材10と接続され、供給配管20の他端は、例えば、熱媒体を供給するポンプまたはラジエータ等と接続される。ポンプまたはラジエータ等は、例えば、筐体200の外部に設置されるが、図1では、その記載を省略している。供給配管20を流れる熱媒体は、中継部材10に流入する。
【0014】
中継部材10には、複数の方向に熱媒体を送出する流路が含まれる。中継部材10の、熱媒体を送出する流路のそれぞれは、供給枝管30と接続される。すなわち、熱媒体は、中継部材10から、複数の方向に接続される供給枝管30のそれぞれに分配される。図1の例では、複数の方向に熱媒体を送出する流路が、中継部材10に左右対称に形成されているが、左右対称でなくともよい。中継部材10における、供給枝管30のそれぞれに熱媒体を送出する流路を、第1の流路とも称する。なお本開示において、枝管を含む配管は、例えば、EPDM(Ethyleme Propylene Diene Monomer)ゴム等の可撓性の高い材質の配管であるが、この例に限らない。配管は、ホースまたはチューブと呼ばれるものであってよい。
【0015】
筐体200には、複数のモジュールが配置される。モジュール40のそれぞれは、供給枝管30と接続される。すなわち、モジュール40のそれぞれは、供給枝管30を介して中継部材10と接続される。図1の例では、筐体200の内部を一部省略している。筐体200に搭載されるモジュール40の数は、特定の数に限定されない。中継部材10は、筐体200に搭載されるモジュールの数だけ供給枝管30と接続されてもよい。
【0016】
供給枝管30を流れる熱媒体は、モジュール40に供給される。図2は、筐体200に配置されるモジュール40の構造の一例を示す図である。図2に示すように、モジュール40は、例えば、発熱部材43を搭載する電子回路基板44と、冷却部材42とを有する。冷却部材42は、発熱部材43の上に配置される。冷却部材42は、供給枝管30と接続するための接続接手41が設けられる。冷却部材42は、発熱部材43から受熱する部材である。図2に示す矢印は、熱媒体が通過する方向を示す。すなわち、供給枝管30を流れる熱媒体は、接続接手41を介して、冷却部材42に供給される。冷却部材42は、発熱部材43から受け取った熱を熱媒体に受熱させる。冷却部材42は、このように熱媒体を利用することにより発熱部材43を冷却する。なお、モジュール40は、熱媒体を利用して発熱部材43を冷却する構造であればよく、図2の例に限らない。筐体200に搭載されるモジュール40のそれぞれは、異なる構造を有していてもよい。
【0017】
このように、第1の実施形態の冷却装置100は、発熱部材を搭載する電子回路基板と、発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールを複数搭載する筐体の内部に、筐体の外部から熱媒体を供給する供給配管と、筐体の内部に設けられ、供給配管から流入した熱媒体を、複数の方向に送出する第1の流路を含む部材であって、第1の流路を介して複数の冷却部材のそれぞれに前記熱媒体を分配する中継部材と、を備える。このように、筐体内の中継部材からモジュールのそれぞれに熱媒体を供給することにより、筐体を出入りする配管の数を減らすことができる。また、中継部材に含まれる流路が、複数の方向に熱媒体を送出する流路となっているので、各モジュールへの熱媒体の流路がすべて同じ方向となっている場合と比べて、中継部材の大型化を抑制することができる。すなわち、第1の実施形態の冷却装置100は、発熱部材を含むモジュールを複数搭載する筐体において、収容性を向上させることができる。
【0018】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の冷却装置について説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明した内容と重複する内容については、一部説明を省略する。
【0019】
図3は、第2の実施形態の冷却装置101を含む電子機器1の構成の一例を示す平面図である。電子機器1は例えばサーバであるが、この例にかぎらない。図3の例では、筐体200にモジュール140、240、340、440が搭載されている。モジュール140は、発熱部材143を搭載する電子回路基板144と、冷却部材142とを有する。モジュール240は、発熱部材243を搭載する電子回路基板244と、冷却部材242とを有する。同様にモジュール340は、発熱部材343を搭載する電子回路基板344と、冷却部材342とを有し、モジュール440は、発熱部材443を搭載する電子回路基板444と、冷却部材442とを有する。発熱部材143、243、343、443は、例えば、CPU(Control Processing Unit)及びメモリ等であるが、この例に限らない。冷却部材142、242、342、442は、第1の実施形態で説明した冷却部材42と同様に、それぞれ、発熱部材143、243、343、443を冷却する部材である。例えば、冷却部材142は、発熱部材143の上に配置され、発熱部材143から受け取った熱を熱媒体に受熱させることにより発熱部材143を冷却する。冷却部材142、242、342、442は、コールドプレートと呼ばれることもある。モジュール140、240、340、440のそれぞれは、冷却部材による冷却方法は同様であるが、異なる装置であってよい。また、モジュール140、240、340、440は、図3に示す部材に加え、さらに別の部材が搭載されてもよい。
【0020】
冷却部材には、接続接手が設けられている。例えば、冷却部材142には、接続接手141、145が設けられている。接続接手141、145と、冷却部材142と、は流路がつながっている。接続接手141は、供給枝管32と接続され、接続接手145は、排出枝管31と接続される。供給枝管32を流れる熱媒体は、接続接手141を介して冷却部材142に流入する。そして、冷却部材142を通過した熱媒体は、接続接手145を介して排出枝管31に流入する。同様に、冷却部材242には、接続接手241、245が設けられ、冷却部材342には、接続接手341、345が設けられ、冷却部材442には、接続接手441、445が設けられる。そして、接続接手241、341、441のそれぞれは、供給枝管34、38、36のそれぞれと接続され、接続接手245、345、445のそれぞれは、排出枝管33、37、35のそれぞれと接続される。
【0021】
[冷却装置101の詳細]
冷却装置101は、中継部材11と、供給配管20と、排出配管50と、を有する第1の実施形態で説明したように供給配管20の一端は、中継部材11と接続され、供給配管20の他端は、筐体200外のポンプまたはラジエータ等(図示せず)と接続される。排出配管50は、筐体200の内部から筐体200の外部へ熱媒体を排出する管である。排出配管50の一端は、中継部材11と接続され、排出配管50の他端は、筐体200外のポンプまたはラジエータ等に接続される。また、中継部材は、排出枝管31、33、35、37と、供給枝管32、34、36、38と接続される。供給配管20から供給される熱媒体は、中継部材11を介して供給枝管32、34、36、38のそれぞれ分配される。排出枝管31、33、35、37には、各モジュールから排出された熱媒体が流入する。そして、熱媒体は、中継部材11からを介して排出配管50に流入する。
【0022】
図4は、冷却装置101の構成の一例を示す側面図である。具体的には、図4は、図3のAの視点からみた冷却装置101の側面図である。なお、図4では、筐体200と、排出枝管31、33、35、37と、供給枝管32、34、36、38と、モジュール140、240、340、440との記載を省略している。図4に示すように、中継部材11には、第1プレート111と第2プレート113とが含まれる。第1プレート111は、供給流路112を有する。第2プレート113は、排出流路114を有する。
【0023】
図5Aは、第1プレートの構造の一例を示す平面図である。図5Aに示すように、第1プレート111には、供給流路112が設けられている。図5Aのハッチングされている箇所は、発熱部材から受熱する前の熱媒体が流れることを示す。供給流路112は、第1プレート内に設置された配管であってもよいし、第1プレートに形成された管であってもよい。供給流路112は、中継部材11の外周に沿って設けられた主流路と主流路から分岐する複数の枝流路とで構成される。主流路は、図5Aに示すように、例えば環状であってよい。枝流路は、それぞれ、互いに異なる方向に熱媒体が流れるように設けられている。例えば、供給枝管32と接続する枝流路と、供給枝管34と接続する枝流路のなす角が一定値以上であってよい。また、隣り合う枝流路間のなす角はそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。枝流路のそれぞれは、供給配管20と、供給枝管32、34、36、38と、に接続される。このように、供給流路112の枝流路は、複数の方向に熱媒体を送出する流路である。図5Aに記載される矢印は、熱媒体が流れる方向を示す。すなわち、熱媒体は、供給配管20から供給流路112の主流路を通過する。そして、熱媒体は、主流路から分岐する枝流路を介して供給枝管32、34、36、38のそれぞれに流入する。すなわち、供給流路112は、中継部材11の外周に沿って設けられた主流路と、主流路から分岐する複数の枝流路と、を含み、複数の枝流路から送出される熱媒体は、それぞれ異なる冷却部材に供給される。なお、供給流路112は、第1の流路の一例である。
【0024】
図5Bは、第2プレートの構造の一例を示す平面図である。図5Bに示すように、第2プレート113には、排出流路114が設けられている。図5Bのハッチングされている箇所は、発熱部材から受熱した後の熱媒体が流れることを示す。排出流路114は、第2プレート内に設置された配管であってもよいし、第2プレートに形成された管であってもよい。排出流路114は、中継部材11の外周に沿って設けられた主流路と主流路から分岐する複数の枝流路とで構成される。主流路は、図5Bに示すように、例えば環状であってよい。枝流路は、それぞれ、互いに異なる方向に熱媒体が流れるように設けられている。例えば、排出枝管31と接続する枝流路と、排出枝管33と接続する枝流路のなす角が一定値以上であってよい。また、隣り合う枝流路間のなす角はそれぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。枝流路のそれぞれは、排出配管50と、排出枝管31、33、35、37と、に接続される。図5Bに記載される矢印は、熱媒体が流れる方向を示す。すなわち、排出枝管31、33、35、37のそれぞれを流れる熱媒体は、排出流路114の枝流路を通過し、排出流路114の主流路にて合流する。このように、排出流路114は、複数の方向から送出される熱媒体が合流する流路である。そして、熱媒体は、主流路から枝流路を通り排出配管50に流入する。中継部材11は、複数のモジュールのそれぞれに含まれる冷却部材のそれぞれから排出される熱媒体を合流させる排出流路114を含み、合流させた当該熱媒体を排出配管50に送出する。なお、排出流路114は、第2の流路の一例である。
【0025】
なお、本実施形態では、中継部材11は、4方向に熱媒体を分配しているが、分配する方向の数はこの例に限らない。同様に、中継部材11は、4方向から流入する熱媒体を合流させているが、当該方向の数もこの例に限らない。
【0026】
[熱媒体の経路]
次に、第2の実施形態における熱媒体が流れる経路を説明する。まず、筐体200の外部のポンプまたはラジエータ等から供給される熱媒体は、供給配管20を介して中継部材11に流入する。そして、熱媒体は、中継部材11の第1プレート111の供給流路112を流れ、供給枝管32、34、36、38のそれぞれに分配される。例えば、供給枝管32を通過する熱媒体は、接続接手141を通過し、冷却部材142に供給される。熱媒体は、冷却部材142と接続接手145を通過し、排出枝管31に排出される。モジュール240、340、440においても同様に熱媒体が通過する。すなわち、モジュール240に対しては、熱媒体は、供給枝管34、接続接手241、冷却部材242、接続接手245、及び排出枝管33を順に通過する。モジュール340に対しては、熱媒体は、供給枝管38、接続接手341、冷却部材342、接続接手345、及び排出枝管37を順に通過する。モジュール440に対しては、熱媒体は、供給枝管36、接続接手441、冷却部材442、接続接手445、及び排出枝管35を順に通過する。
【0027】
排出枝管31、33、35、37のそれぞれを流れる熱媒体は、中継部材11の排出流路114で合流する。熱媒体は、排出流路114から排出配管50に送出され、ポンプまたはラジエータ等に流入する。そして、ラジエータ等によって冷却された熱媒体は、再度、供給配管20に供給される。このように熱媒体を循環させることにより、筐体200内の発熱部材143、243、343、443のそれぞれを冷却する。
【0028】
このように、第2の実施形態の冷却装置101は、発熱部材を搭載する電子回路基板と、発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールを複数搭載する筐体の内部に、筐体の外部から熱媒体を供給する供給配管と、筐体の内部に設けられ、供給配管から流入した熱媒体を、複数の方向に送出する第1の流路を含む部材であって、第1の流路を介して複数の冷却部材のそれぞれに前記熱媒体を分配する中継部材と、を備える。この構成により、第1の実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、第2の実施形態の冷却装置101は、発熱部材を含むモジュールを複数搭載する筐体において、収容性を向上させることができる。
【0029】
また、第2の実施形態の冷却装置101は、筐体の内部から筐体の外部へ熱媒体を排出する排出配管を備える。そして、中継部材は、複数のモジュールのそれぞれに含まれる冷却部材のそれぞれから排出される熱媒体を合流させる第2の流路を含み、合流させた当該熱媒体を、排出配管に送出する。このように、各モジュールから排出される熱媒体を、筐体内の中継部材で合流させることにより、筐体を出入りする配管の数を減らすことができる。
【0030】
[変形例1]
中継部材11は、モジュールに含まれる冷却部材であってもよい。例えば、中継部材11の第1プレート111の下に、発熱部材を搭載する電子回路基板があるとする。熱媒体が供給流路112を通過する際に、熱媒体は、第1プレート111の下の発熱部材から受熱する。この場合、例えば、供給流路112は、第1プレート111に形成された流路であり、第1プレートは金属である。
【0031】
このように、中継部材11は、複数のモジュール140、240、340、440と異なる他モジュールに含まれる冷却部材であって、他モジュールに含まれる発熱部材を冷却する冷却部材であってよい。これにより、中継部材11のみを配置する空間を筐体200内で考慮する必要がなくなる。
【0032】
[変形例2]
第2の実施形態において、中継部材11は、筐体200の中央に配置されているが、この例に限らない。例えば、モジュール140とモジュール340との間に配置されてよい。すなわち、中継部材11は、筐体200内の複数のモジュールのうち、少なくともいずれかのモジュール間に配置されてもよい。
【0033】
[変形例3]
供給流路及び排出流路は、図5A及び図5Bの例に限らない。例えば、図6Aに示すように、中継部材11は、供給流路112に代わり、供給流路122を有していてもよい。図6Aは、変形例3の第1プレートの構造の一例を示す平面図である。図6Aに示すように、供給配管20から流入する熱媒体は、例えば、供給流路122の円状の主流路に流れる。そして、円状の主流路から各枝流路に熱媒体が分配される。
【0034】
同様に、中継部材11は、排出流路114に代わり、排出流路124を有していてもよい。図6Bは、変形例3の第2プレートの構造の一例を示す平面図である。図6Bに示すように、排出枝管31、33、35、37のそれぞれから流入する熱媒体は、例えば、排出流路124の円状の主流路に流れる。そして、熱媒体は、円状の主流路から排出配管50方向の枝流路に送出される。
【0035】
なお、供給流路112、122、及び排出流路114、124は、それぞれ一例であり。図示した例に限らない。供給流路は、供給配管20から流入した熱媒体を供給枝管32、34、36、38のそれぞれに分配する構造であればよい。排出流路は、排出枝管31、33、35、37のそれぞれから流入する熱媒体を、排出配管50に送出する構造であればよい。
【0036】
[変形例4]
第2の実施形態では、中継部材11において、供給流路112と排出流路114とが、それぞれ第1プレート111と第2プレート113とに設けられていたが、供給流路112と排出流路114とは、1つのプレートに設けられていてもよい。図7は、変形例4の中継部材11の構造の一例を示す平面図である。図7の例では、供給流路112の主流路は環状に設けられている。そして、供給流路112の主流路の内側に排出流路114の主流路が設けられている。供給流路112と排出流路114とは接続されず、例えば、排出流路114の枝流路は、供給流路112の上に設けられる。
【0037】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の冷却装置について説明する。本実施形態では、中継部材が冷却部材の役割を有する場合の、更なる例について説明する。なお、第3の実施形態において、第2の実施形態で説明した内容と重複する内容については、一部説明を省略する。
【0038】
第3の実施形態では、図3に示す電子機器1において、冷却装置101に代わり冷却装置102が搭載される。図8は。冷却装置102の構成の一例を示す側面図である。具体的には、図8は、図3のAの視点からみた冷却装置102の側面図である。なお、図4と同様に、図8では、筐体200と、排出枝管31、33、35、37と、供給枝管32、34、36、38と、モジュール140、240、340、440と、の記載を省略している。
【0039】
図8に示すように、冷却装置102は、冷却装置101の中継部材11に代わり中継部材12を備える。すなわち、冷却装置102は、中継部材12と、供給配管20と、排出配管50と、を備える。中継部材12は、第1プレート111と第2プレート113と第3プレート115とを有する。第1プレート111には、供給流路132が含まれ、第2プレートには排出流路134が含まれる。なお、本実施形態では、発熱部材の上に中継部材12が設置されているとする。すなわち、第3プレートの下に発熱部材が存在する。
【0040】
図9Aは、第3の実施形態の第1プレート111の構造の一例を示す平面図である。第1プレート111には、供給流路132と下降流路116と上昇流路117とが含まれる。下降流路116は、第1プレート111と第3プレート115とを接続する流路である。上昇流路117は、第2プレート113と第1プレート111と第3プレート115とを接続する流路である。供給流路132は、下降流路116と接続されること以外は、供給流路112と同様である。
【0041】
供給配管20から供給される熱媒体は、供給流路132の主流路に流入する。そして、熱媒体は、供給流路132の主流路から供給枝管32、34、36、38に加え、下降流路116にも流入する。そして、熱媒体は、下降流路116を介して第3プレート115の冷却流路118に流入する。上昇流路117は、供給流路132とは接続されない。なお、下降流路116は、第3の流路の一例であり、上昇流路117は、第4の流路の一例である。
【0042】
図9Bは、第3の実施形態の第3プレート115の構造の一例を示す平面図である。第3プレート115には、下降流路116と上昇流路117と冷却流路118とが含まれる。冷却流路118は、例えば第3プレート内に形成されている。下降流路116を流れる熱媒体は、冷却流路118を矢印の方向に流れる。このとき、冷却流路118を流れる熱媒体は、第3プレートの下の発熱部材から受熱する。そして、受熱した熱媒体は、上昇流路117に排出される。
【0043】
図9Cは、第3の実施形態の第2プレート113の構造の一例を示す平面図である。第2プレート113には、排出流路134と上昇流路117とが含まれる。排出流路134は、上昇流路117と接続されること以外は、排出流路114と同様である。すなわち、排出流路134は、排出枝管31、33、35、37のそれぞれから流入する熱媒体と、上昇流路117から流入する熱媒体と、を合流させる。すなわち、中継部材12は、第4の流路から流入する熱媒体と、複数のモジュールのそれぞれに含まれる冷却部材のそれぞれから排出される熱媒体と、を合流させる。
【0044】
このように、第3の実施形態の冷却装置102の中継部材は、熱媒体の流路である第3の流路と、熱媒体の流路であって、複数のモジュール140、240、340、440と異なる他モジュールの発熱部材から熱媒体に受熱させる冷却流路と、をさらに含む。そして、第3の流路は、第1の流路と冷却流路とを接続する。この構成により、中継部材が冷却部材として使用される場合に、中継部材と接する発熱部材を、効率よく冷却することができる。また、第1の流路には、発熱部材から受熱した後の熱媒体が流れないので、周囲のモジュールに対する冷却効率の低下を抑制することができる。
【0045】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 電子機器
10、11、12 中継部材
20 供給配管
30、32、34、36、38 供給枝管
31、33、35、37 排出枝管
40,140、240、340、440 モジュール
41、141、145、241、245、341、345、441、445 接続接手
42、142、242、342、442 冷却部材
43、143、243、343、443 発熱部材
44、144、244、344、444 電子回路基板
50 排出配管
100、101、102 冷却装置
111 第1プレート
112、122、132 供給流路
113 第2プレート
114、124、134 排出流路
115 第3プレート
116 下降流路
117 上昇流路
118 冷却流路
200 筐体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
【手続補正書】
【提出日】2022-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部材を搭載する電子回路基板と、前記発熱部材から受熱する部材であって、熱媒体を利用することによって前記発熱部材を冷却する冷却部材と、を含むモジュールを複数搭載する筐体の内部に、前記筐体の外部から前記熱媒体を供給する供給配管と、
前記筐体の内部に設けられ、前記供給配管から流入した前記熱媒体を、複数の方向に送出する第1の流路を含む部材であって、前記第1の流路を介して複数の前記冷却部材のそれぞれに前記熱媒体を分配する中継部材と、を備え
前記中継部材は、複数の前記モジュールと異なる他モジュールに含まれる前記冷却部材であり、当該他モジュールに含まれる前記発熱部材を冷却する、
冷却装置。
【請求項2】
前記筐体の内部から前記筐体の外部へ前記熱媒体を排出する排出配管を備え、
前記中継部材は、複数の前記モジュールのそれぞれに含まれる前記冷却部材のそれぞれから排出される前記熱媒体を合流させる第2の流路を含み、合流させた当該熱媒体を、前記排出配管に送出する、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第1の流路は、前記供給配管から流入した前記熱媒体が流れる主流路と、主流路から前記熱媒体が分岐する複数の枝流路と、を含み、
複数の前記枝流路のそれぞれは、互いに異なる方向に前記熱媒体を送出し、当該熱媒体をそれぞれ異なる前記冷却部材に供給する、
請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記主流路は、前記中継部材の外周に沿って設けられ、
複数の前記枝流路から送出される前記熱媒体は、それぞれ異なる前記冷却部材に供給される、
請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記中継部材は、前記熱媒体の流路である第3の流路と、前記熱媒体の流路であって、前記他モジュールの前記発熱部材から前記熱媒体に受熱させる冷却流路と、をさらに含み
前記第3の流路は、前記第1の流路と前記冷却流路とを接続する流路である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記中継部材は、前記冷却流路から排出される前記熱媒体が流入する第4の流路をさらに含み、前記第4の流路から流入する前記熱媒体と、複数の前記モジュールのそれぞれに含まれる前記冷却部材のそれぞれから排出される前記熱媒体と、を合流させる、
請求項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記中継部材は、複数の前記モジュールのうち、少なくともいずれかのモジュール間に配置される、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の冷却装置。