(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190237
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法、プログラム、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20221219BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221219BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20221219BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221219BHJP
【FI】
H04N5/232 127
H04N5/232 120
H04N5/232 190
H04N5/232 290
G03B15/00 Q
G03B17/18 Z
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098472
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】船津 慶大
【テーマコード(参考)】
2H100
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H100AA11
2H100CC07
2H100FF01
2H102AA02
2H102AA03
2H102AA71
2H102BA06
2H102BB06
2H102BB08
2H102CA03
2H102CA04
2H102CA11
5C122EA42
5C122FD01
5C122FD13
5C122FH11
5C122FK08
5C122FK37
5C122GA01
5C122GA23
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】 設定変更の即時性を実現する。
【解決手段】 ユーザーの特定の操作によって記憶工程で記憶しておいたAFエリアに関する設定および検出対象の種別の設定を呼び出し、呼び出し後の設定に応じて被写体検出処理と焦点検出処理を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の種別に関する第1の項目を設定する第1設定手段と、
AFエリアに関する第2の項目を設定する第2設定手段と、
前記第1設定手段で設定した種別の被写体を対象として被写体検出処理を実行する被写体検出手段と、
前記第2設定手段で設定したAFエリアに関する情報に基づいて焦点検出処理を実行する焦点検出手段と、
前記設定された第1、第2の項目を組み合わせて当該設定を記憶する記憶手段と、を備え、
ユーザーの特定の操作によって前記記憶手段で記憶した設定を呼び出し、呼び出し後の設定に応じて前記被写体検出処理と前記焦点検出処理を実行することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1設定手段は、検出対象の種別として人物、動物、乗物の少なくともいずれかを設定することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1設定手段は、さらに検出対象の種別の特定の部位を設定することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記検出対象の種別が人物の場合、特定の部位は、瞳、顔、頭部、胴体の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記検出対象の種別が動物の場合、特定の部位は、瞳、顔、全身の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記検出対象の種別が車の場合、特定の部位は、局所、全体の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項7】
前記ユーザーの特定の操作によって前記記憶手段で記憶した設定を呼び出した際、前記被写体検出手段は、前記第1設定手段により設定された検出対象の種別を優先させて前記被写体検出処理を実行することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1設定手段は、前記検出対象の種別をなしと設定できることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第2設定手段は、AFエリアのサイズを設定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2設定手段は、AFエリアの位置を設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記記憶手段は前記第1、第2の項目の組み合わせを複数記憶し、
複数の操作部材に前記複数の組み合わせがそれぞれ割り当てられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
露出に関する第3の項目を設定する第3設定手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項13】
前記特定の操作は、撮影準備指示後または連写中であっても操作可能であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項14】
前記特定の操作時は、変更される設定値を画面に一定期間表示してユーザーに通知することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項15】
前記被写体検出処理は、前記第2設定手段で設定したAFエリア内で行われることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項16】
前記第2設定手段は、検出対象の種別として、犬、猫、鳥、車、バイク、鉄道、飛行機の少なくともいずれかを検出可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項17】
前記電子機器は、前記撮像手段を有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項18】
検出対象の種別に関する第1の項目を設定する第1設定工程と、
AFエリアに関する第2の項目を設定する第2設定工程と、
前記第1設定工程で設定した種別の被写体を対象として被写体検出処理を実行する被写体検出工程と、
前記第2設定工程で設定したAFエリアに関する情報に基づいて焦点検出処理を実行する焦点検出工程と、
前記設定された第1、第2の項目を組み合わせて前記設定を記憶する記憶工程と、を備え、
ユーザーの特定の操作によって前記記憶工程で記憶した設定を呼び出し、呼び出し後の設定に応じて前記被写体検出処理と前記焦点検出処理を実行することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項19】
コンピュータを、請求項1から17のいずれか1項に記載された電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1から17のいずれか1項に記載された電子機器の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器、電子機器の制御方法、プログラム、記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の撮像装置は自動露出やAF性能、被写体検出性能が向上しており、自動モードでほとんどの撮影が可能になってきている。しかし、撮影シーンによっては、撮影条件を個別に設定したほうがよい場面もあり、その場合には設定変更の即時性が求められる。
【0003】
特許文献1では、複数の設定項目をそれぞれ設定する設定手段と、複数の設定項目のうち登録対象とする登録対象項目を指定する指定手段と、登録撮影条件として登録させる登録制御手段、使用者による呼び出し操作に応じて、登録撮影条件を呼び出して、反映した新たな撮影条件を生成することを特徴とする撮像装置が提案されている。これによって、ユーザーが撮影設定を事前に登録して、呼び出すことで設定変更の即時性を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、被写体検出に関する設定を登録することに関する開示はなく、検出性能の進化を十分に活かす方法については示されていない。
【0006】
このように従来の撮影機能の呼出では、露出やAFの設定に限ったものが多く、被写体検出の条件を考慮したものがない。
【0007】
そこで、本発明は、被写体検出を考慮した設定変更の即時性を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術的特徴として、検出対象の種別に関する第1の項目を設定する第1設定工程と、AFエリアに関する第2の項目を設定する第2設定工程と、前記第1設定工程で設定した種別の被写体を対象として被写体検出処理を実行する被写体検出工程と、前記第2設定工程で設定したAFエリアに関する情報に基づいて焦点検出処理を実行する焦点検出工程と、前記設定された第1、第2の項目を組み合わせて前記設定を記憶する記憶工程と、を備え、ユーザーの特定の操作によって前記記憶工程で記憶した設定を呼び出し、呼び出し後の設定に応じて前記被写体検出処理と前記焦点検出処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被写体検出を考慮した設定変更の即時性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】デジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【
図3】設定値を変更するメニューに関する図である。
【
図4】追尾の発動と機能呼び出しのボタンカスタマイズ機能を設定するメニューに関する図である。
【
図5】撮影情報表示と設定値を示すアイコンを示す図である。
【
図6】AF(操作)発動前後の枠表示を示した図である。
【
図7】AFエリアとトラッキング設定の組み合わせによる枠表示を示す図である。
【
図8】機能呼び出しの画面遷移と操作を説明するための図である。
【
図9】機能呼び出しの実施パターンを示す図である。
【
図10A】被写体検出種別とAFエリアを組み合わせて呼び出す制御を示すフローチャートである。
【
図10B】機能呼び出しの詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
●デジタルカメラの構成
図1(a)、(b)に本発明を適用可能な装置(電子機器)の一例としてのデジタルカメラ100の外観図を示す。
図1(a)はデジタルカメラ100の前面斜視図であり、
図1(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。
図1において、表示部28は画像や各種情報を表示する、カメラ背面に設けられた表示部である。タッチパネル70aは、表示部28の表示面(操作面)に対するタッチ操作を検出することができる。ファインダー外表示部43は、カメラ上面に設けられた表示部であり、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。シャッターボタン61は撮影指示を行うための操作部である。モード切替スイッチ60は各種モードを切り替えるための操作部である。端子カバー40は外部機器との接続ケーブルとデジタルカメラ100とを接続するコネクタ(不図示)を保護するカバーである。
【0013】
メイン電子ダイヤル71は回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル71を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値の変更等が行える。電源スイッチ72はデジタルカメラ100の電源のON及びOFFを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル73は回転操作部材であり、選択枠の移動や画像送りなどを行える。十字キー74は、上、下、左、右部分をそれぞれ押し込み可能な4方向に押し込み可能な押しボタンを有する十字キー操作部材(4方向キー)である。十字キー74の押下した方向に押した部分に応じた操作が可能である。SETボタン75は押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。動画ボタン76は、動画撮影(記録)の開始、停止の指示に用いられる。AEロックボタン77は撮影待機状態で押下することにより、露出状態を固定することができる。拡大ボタン78は撮影モードのライブビュー表示において拡大モードのON、OFFを行うための操作ボタンである。拡大モードをONとしてからメイン電子ダイヤル71を操作することにより、ライブビュー画像の拡大、縮小を行える。再生モードにおいては再生画像を拡大し、拡大率を増加させるための拡大ボタンとして機能する。再生ボタン79は撮影モードと再生モードとを切り替える操作ボタンである。撮影モード中に再生ボタン79を押下することで再生モードに移行し、記録媒体200に記録された画像のうち最新の画像を表示部28に表示させることができる。メニューボタン81は、押下することにより各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。ユーザーは、表示部28に表示されたメニュー画面と、十字キー74やSETボタン75、またはマルチコントローラー(以下、MC)65を用いて直感的に各種設定を行うことができる。MC65は、八方向への方向指示と、中央部分の押し込み操作を受け付け可能である。
【0014】
通信端子10はデジタルカメラ100が後述するレンズユニット150(着脱可能)と通信を行う為の通信端子である。接眼部16は、接眼ファインダー(覗き込み型のファインダー)の接眼部であり、ユーザーは、接眼部16を介して内部のEVF(Electric View Finder)29に表示された映像を視認することができる。接眼検知部57は接眼部16にユーザーが接眼しているか否かを検知する接眼検知センサーである。蓋202は記録媒体200を格納したスロットの蓋である。
【0015】
グリップ部90は、ユーザーがデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状とした保持部である。グリップ部90を右手の小指、薬指、中指で握ってデジタルカメラを保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン61、メイン電子ダイヤル71が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル73が配置されている。
【0016】
図2は、本実施形態によるデジタルカメラ100の構成例を示すブロック図である。
図2において、レンズユニット150は、交換可能な撮影レンズを搭載するレンズユニットである。レンズ103は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略して一枚のレンズのみで示している。通信端子6はレンズユニット150がデジタルカメラ100と通信を行う為の通信端子である。レンズユニット150は、この通信端子6と前述の通信端子10を介してシステム制御部50と通信し、内部のレンズシステム制御回路4によって絞り駆動回路2を介して絞り1の制御を行う。その後、AF駆動回路3を介して、レンズ103を変位させることで焦点を合わせる。
【0017】
シャッター101は、システム制御部50の制御で撮像部22の露光時間を自由に制御できるフォーカルプレーンシャッターである。
【0018】
撮像部22は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子である。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するために用いられる。
【0019】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、または、後述するメモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部24では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行う。画像処理部24により得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御、焦点調節制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0020】
メモリ制御部15は、A/D変換器23、画像処理部24、メモリ32間のデータ送受を制御する。A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24およびメモリ制御部15を介して、あるいは、メモリ制御部15を介してメモリ32に直接書き込まれる。
【0021】
メモリ32は、撮像部22によって得られA/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ32は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはメモリ制御部15を介して表示部28、EVF29により表示される。表示部28、EVF29は、LCDや有機EL等の表示器上に、メモリ制御部15からの信号に応じた表示を行う。A/D変換器23によってA/D変換されメモリ32に蓄積されたデータを、表示部28またはEVF29に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示(LV表示)を行える。以下、ライブビューで表示される画像をライブビュー画像(LV画像)と称する。
【0022】
赤外発光ダイオード166は、ファインダー画面内におけるユーザーの視線位置を検出するための発光素子であり、接眼部16に接眼したユーザーの眼球(目)161に赤外光を照射する。赤外発光ダイオード166から発した赤外光は眼球(目)161で反射し、その赤外反射光はダイクロイックミラー162に到達する。ダイクロイックミラー162は赤外光だけを反射して可視光を透過させる。光路を変更された赤外反射光は、結像レンズ163を介して視線検知センサー164の撮像面に結像する。結像レンズ163は視線検知光学系を構成する光学部材である。視線検知センサー164は、CCD型イメージセンサ等の撮像デバイスから成る。
【0023】
視線検知センサー164は、入射された赤外反射光を電気信号に光電変換して視線検出回路165へ出力する。視線検出回路165は少なくとも1つのプロセッサーを含み、視線検知センサー164の出力信号に基づき、ユーザーの眼球(目)161の画像または動きからユーザーの視線位置を検出し、検出情報をシステム制御部50に出力する。このようにダイクロイックミラー162、結像レンズ163、視線検知センサー164、赤外発光ダイオード166、視線検出回路165により視線検出ブロック160が構成される。
【0024】
本実施形態では視線検出ブロック160を用いて、角膜反射法と呼ばれる方式で視線を検出する。角膜反射法とは、赤外発光ダイオード166から発した赤外光が眼球(目)161の特に角膜で反射した反射光と、眼球(目)161の瞳孔との位置関係から、視線の向き・位置を検出する方式である。この他にも黒目と白目での光の反射率が異なることを利用する強膜反射法と呼ばれる方式など、様々な視線の向き・位置を検出する方式がある。なお、視線の向き・位置を検出できる方式であれば、上記以外の視線検出手段の方式を用いてもよい。
【0025】
ファインダー外液晶表示部43には、ファインダー外表示部駆動回路44を介して、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
【0026】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばFlash-ROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのコンピュータープログラムのことである。
【0027】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサーまたは回路からなる制御部であり、デジタルカメラ100全体を制御する。前述した不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する本実施形態の各処理を実現する。システムメモリ52には、例えばRAMが用いられ、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等が展開される。また、システム制御部50はメモリ32、表示部28等を制御することにより表示制御も行う。
【0028】
システムタイマー53は各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。
【0029】
ユーザーからの操作を受け付ける入力部としての各種操作部材には、少なくとも以下の操作部が含まれる。操作部70としての、シャッターボタン61、MC65、タッチパネル70a、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73、十字キー74、SETボタン75、動画ボタン76、AEロックボタン77、拡大ボタン78、再生ボタン79、メニューボタン81。また、モード切替スイッチ60、電源スイッチ72もユーザーからの操作を受け付ける操作部材である。
【0030】
操作部70、モード切替スイッチ60、電源スイッチ72は、システム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段として機能する。
【0031】
モード切替スイッチ60は、システム制御部50の動作モードを静止画撮影モード、動画撮影モード等のいずれかに切り替える。静止画撮影モードに含まれるモードとして、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)、がある。また、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモード等がある。モード切替スイッチ60により、ユーザーは、これらのモードのいずれかに直接切り替えることができる。あるいは、モード切替スイッチ60で撮影モードの一覧画面に一旦切り換えた後に、表示された複数のモードのいずれかを選択し、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画撮影モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0032】
また、シャッターボタン61は、第1シャッタースイッチ62と第2シャッタースイッチ64の2段スイッチとなっている。
【0033】
第1シャッタースイッチ62は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備動作を開始する。
【0034】
第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体200に書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0035】
電源制御部80は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0036】
記録媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0037】
通信部54は、無線または有線ケーブルによって接続し、映像信号や音声信号の送受信を行う。通信部54は無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。また、通信部54は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyでも外部機器と通信可能である。通信部54は撮像部22で撮像した画像(ライブビュー画像を含む)や、記録媒体200に記録された画像を送信可能であり、また、外部機器から画像やその他の各種情報を受信することができる。
【0038】
姿勢検知部55は重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部55で検知された姿勢に基づいて、撮像部22で撮影された画像が、デジタルカメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像であるかを判別可能である。システム制御部50は、姿勢検知部55で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部22で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることが可能である。姿勢検知部55としては、加速度センサーやジャイロセンサーなどを用いることができる。姿勢検知部55である、加速度センサーやジャイロセンサーを用いて、デジタルカメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否か等)を検知することも可能である。
【0039】
接眼検知部57はファインダーの接眼部16に対する目(物体)161の接近(接眼)および離脱(離眼)を検知する(接近検知)、接眼検知センサーである。システム制御部50は、接眼検知部57で検知された状態に応じて、表示部28とEVF29の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。より具体的には、少なくともデジタルカメラ100が撮影待機状態、かつ、撮像部22で撮像されたライブビュー画像の表示先の切替設定が自動切替設定である場合において、非接眼中は表示先を表示部28として表示をオンとし、EVF29は非表示とする。また、接眼中は表示先をEVF29として表示をオンとし、表示部28は非表示とする。接眼検知部57は、例えば赤外線近接センサーを用いることができ、EVF29を内蔵するファインダーの接眼部16への何らかの物体の接近を検知することができる。物体が接近した場合は、接眼検知部57の投光部(不図示せず)から投光した赤外線が反射して赤外線近接センサーの受光部(不図示せず)に受光される。受光された赤外線の量によって、物体が接眼部16からどの距離まで近づいているか(接眼距離)も判別することができる。このように、接眼検知部57は、接眼部16への物体の近接距離を検知する接眼検知を行う。なお、本実施形態では接眼検知部57の投光部および受光部は前述の赤外発光ダイオード166および視線検知センサー164とは別体のデバイスであるものとする。ただし、接眼検知部57の投光部を赤外発光ダイオード166で兼ねてもよい。また、受光部を視線検知センサー164で兼ねてもよい。非接眼状態(非接近状態)から、接眼部16に対して所定距離以内に近づく物体が検出された場合に、接眼されたと検出するものとする。接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に、離眼されたと検出するものとする。接眼を検出する閾値と、離眼を検出する閾値は例えばヒステリシスを設けるなどして異なっていてもよい。また、接眼を検出した後は、離眼を検出するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検出した後は、接眼を検出するまでは非接眼状態であるものとする。なお、赤外線近接センサーは一例であって、接眼検知部57には、接眼とみなせる目や物体の接近を検知できるものであれば他のセンサーを採用してもよい。
【0040】
システム制御部50は視線検出ブロック160からの出力に基づいて以下の操作、あるいは状態を検知できる。
・接眼部16に接眼したユーザーの視線が新たに入力(検出)されたこと。すなわち、視線入力の開始。
・接眼部16に接眼したユーザーの視線入力がある状態であること。
・接眼部16に接眼したユーザーが注視している状態であること。
・接眼部16に接眼したユーザーが入力していた視線を外したこと。すなわち、視線入力の終了。
・接眼部16に接眼したユーザーが何も視線入力していない状態。
【0041】
ここで述べた注視とは、ユーザーの視線位置が所定時間内に所定の移動量を超えなかった場合のことを指す。
【0042】
タッチパネル70aと表示部28とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル70aは光の透過率が表示部28の表示を妨げないように構成され、表示部28の表示面の上層に取り付けられる。そして、タッチパネル70aにおける入力座標と、表示部28の表示画面上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザーが表示部28上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を提供できる。システム制御部50はタッチパネル70aへの以下の操作、あるいは状態を検出できる。
・タッチパネル70aにタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル70aにタッチしたこと。すなわち、タッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)と称する)。
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしている状態であること(以下、タッチオン(Touch-On)と称する)。
・タッチパネル70aを指やペンでタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)と称する)。
・タッチパネル70aへタッチしていた指やペンを離したこと。すなわち、タッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)と称する)。
・タッチパネル70aに何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)と称する)。
【0043】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンであることも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出されるのもタッチオンが検出されている状態である。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0044】
これらの操作・状態や、タッチパネル70a上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部50に通知される。システム制御部50は通知された情報に基づいてタッチパネル70a上にどのような操作(タッチ操作)が行なわれたかを判定する。タッチムーブについてはタッチパネル70a上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル70a上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作が行なわれたと判定するものとする。タッチパネル上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックと呼ぶ。フリックは、言い換えればタッチパネル70a上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行なわれたと判定できる(スライド操作に続いてフリックがあったものと判定できる)。更に、複数箇所(例えば2点)を同時にタッチして、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトと称する。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)と称する。タッチパネル70aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサー方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いても良い。方式によって、タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネルに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれの方式でもよい。
【0045】
接眼状態でタッチムーブ操作が行われると、ユーザーはタッチムーブ操作に応じた位置指標の位置の指定方法を、絶対位置指定と相対位置指定のいずれかに設定することができる。例えば位置指標がAF枠とすると、絶対位置指定の場合、タッチパネル70aがタッチされると、タッチされた位置(座標入力された位置)に対応付けられたAF位置が設定される。つまり、タッチ操作が行われた位置座標と、表示部28の位置座標とが対応づけられる。一方相対位置指定の場合は、タッチ操作が行われた位置座標と表示部28の位置座標とは対応付けられない。相対位置指定では、タッチパネル70aに対するタッチダウン位置に関わらず、現在設定されているAF位置からタッチムーブの移動方向にタッチムーブの移動量に応じた距離だけ、タッチ位置を移動させる。
【0046】
●設定画面
図3は表示部28またはEVF29に表示される設定値を変更するためのメニューに関する図である。
【0047】
図3(a)はメニューでの設定画面であり、301~305は各設定項目と設定値を示す。
【0048】
301の設定項目はAF動作で、AF発動後(撮影準備指示後)にフォーカスをロックする「ワンショットAF」、フォーカスを追従させる「サーボAF」を設定することができる。
【0049】
302の設定項目はAFエリアで、AFを行う領域の大きさを設定することができる。設定値が多い場合はさらに深い階層に潜って専用画面(
図3(b))で設定する。
図3(b)のように、設定値が並んでいる中からユーザーが設定値を選択する(306)。
【0050】
303の設定項目はトラッキング設定で、AF発動後(撮影準備指示後)に追尾を行うか否かを設定することができる。AF発動前(撮影準備指示前)のAFエリアから追尾する被写体を決定し、AF発動後(撮影準備指示後)はAFエリアの大きさを全域に広げて画面全体で追尾を行う。またこの設定によって、主被写体を検出している場合は主被写体に検出枠を表示してユーザーに通知する。主被写体決めについては304の検出する被写体の設定によって判断する。
【0051】
304の設定項目は検出する被写体設定で、主被写体を決定するために優先する検出対象となる種別を選択する。本実施形態では
図3(d)のように、「人物」「動物優先」「乗物優先」「しない」から設定することが可能である(310)。311のように設定値によってはさらに詳細設定を行うこともできる。ここで、画像処理部24は、撮像した画像データを用いて特定の被写体を検知する被写体検出処理を実行することができる。本実施形態では特定の被写体として、人物や犬、野鳥などの動物、乗物さらにその被写体内における主要領域である部位を検出する(スポット検出する)ものとする。例えば人物におけるスポット検出とは、胴体、頭部、瞳、顔の検出である。また、例えば動物におけるスポット検出とは、瞳、顔、体の検出である。また、例えばスポット検出は、乗物優先が選択されているときに局所を設定することができ、車のドライバー、電車(鉄道)の先頭車両、飛行機のコックピットが優先して検出される。これらの検出方法は機械学習による学習手法や画像処理による認識処理などが用いられる。
【0052】
例えば、機械学習の種類としては、以下がある。
【0053】
(1)サポートベクターマシーン(Support Vector Machine)
(2)畳み込みニューラルネットワーク(Covolutional Neural Network)
(3)再起型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)
【0054】
また、認識処理の例としては、例えば顔を検知する場合、画像データで表される各画素の階調色から肌色領域を抽出し、予め用意する顔の輪郭プレートとのマッチング度で顔を検出する方法がある。また、周知のパターン認識技術を用いて、目、鼻、口等の顔の特徴点を抽出することで顔検出を行う方法などもある。さらに、本発明に適用可能な主要領域の検出手法については、これらの手法に限るものではなく、他の手法を用いてもよい。
【0055】
図3(c)ように、AFエリア(309)とトラッキング(308)設定を同時に設定する画面もあり、ここでは背景にライブビューのスルー画が表示されており、AFエリア307の表示を見ながら設定を変更することができる。
【0056】
●ボタンカスタマイズ機能
図4は表示部28またはEVF29に表示される追尾の発動と機能の呼び出しのボタンカスタマイズ機能を設定するメニューに関する図である。
【0057】
追尾の発動のボタンカスタマイズとしては、例えば
図4(a)の401のように、ユーザーにより、画面上の割り当てたい操作部材(例えばボタン)に現在の処理対象となる位置を示すカーソル(指標)が合わせられると、
図4(b)の402のように、割り当てられる機能を選択可能に表示する。この図ではSETボタンに「トラッキング開始停止」を割り当てている。トラッキング開始停止は、トラッキング設定に関わらず、AFエリアの位置を基準に追尾を開始する機能、および開始された追尾を停止する機能である。撮影待機中(SW0)から、AF発動中(第1シャッタースイッチ保持中SW1ON)、サーボAF連写中(SW2ON)にも、本機能を発動することができる。
【0058】
また、例えば、
図4(c)の403のように、ユーザーにより、画面上の割り当てたいボタンに、カーソルが合わせられると、
図4(d)の404のように、割り当てられる機能を選択可能に表示する。この図ではAEL(AEロック)ボタンに「登録機能の呼出」を割り当てる。
【0059】
登録機能の呼び出しは、事前にユーザーが登録した機能を呼び出す機能である。
図4(d)の405がユーザーにより押下されると、
図4(e)の詳細設定画面が開く。
図4(e)の406はチェックボックスになっており、ユーザーが呼び出したい設定項目407と設定値408を設定し、406にチェックをすることで呼び出す機能を登録できる。図ではAF動作は「ワンショット」、呼び出し位置は「HP(ホームポジション)」が登録される。なお、各項目を設定しているときに他の項目が登録できないことを示すグレーアウト表示をしてもよい。例えば、
図4(e)ではAFエリアは登録できないことを示すグレーアウト表示となっている。また、例えば
図4(e)のトラッキング設定やスポット検出のように、ユーザーによりチェックが付けられない場合には、現在の設定値からの変更は行われない。
【0060】
●撮影情報表示と設定値を示すアイコン
図5は表示部28またはEVF29に表示される撮影情報表示と設定値を示すアイコンを説明するための図である。
【0061】
図5(a)は表示部28の表示画面の例である。501はAFエリアとトラッキング設定、502はAF動作の設定、503は検出する被写体の設定、504は瞳検出の設定を示すアイコンである。505はトラッキング発動状態を示すアイコンである。501~505を確認することで現在の設定や状態が分かるようになっている。
【0062】
図5(b)はアイコン表示のリストの一例である。506のようにAFエリアとトラッキング設定の組み合わせによって表現されたアイコンを501に表示する。507、508、509のように設定値に応じて準備されたアイコンを502~504に表示する。510のようにトラッキングの制御状態を示すアイコンを505に表示する。
【0063】
●AF発動前後の枠表示
図6は表示部28またはEVF29に表示されるAF発動前後の枠表示を示した図である。
【0064】
図6(a)では、AF発動前後で枠表示をそれぞれ異なる表現にしているが、同一の場合もありうる。またAF動作がワンショットの場合は緑色、サーボAFの場合は青色のように色で区別してもよい。
【0065】
601はスポットや1点、領域拡大といった狭い領域を表すAFエリア枠である。AF発動前は矩形であり、AF発動後は602のように太い矩形となる。
【0066】
603はゾーンや全域といった広い領域を表すAFエリア枠である。AF発動前は括弧[]で囲まれた領域603を示し、AF発動後は603の領域内でピントが合っている部分のみ604のように小さな矩形枠を表示する。また領域内で複数の矩形枠604を表示することもできる。また全域のように画面の全体の領域を表す場合はAF発動前に括弧603の表示をしないこともある。
【0067】
605は検出枠を示す。これは検出する特定の被写体の設定によって自動的に検出された特定の被写体に対して枠の表示を行う。図では「人物」の設定になっており、人の顔に枠が表示されている。瞳検出の設定によっては瞳の領域に検出枠605を表示することも可能である。また「動物」「乗物」に設定されている場合は、動物の全身や顔、乗物に対して検出枠を表示する。AF発動後は検出枠605に合わせて矩形で枠表示606を行う。なお本実施例では602と区別するため、点線で表現する。検出枠はフレームごとに更新して、被写体を追尾することができるが、ワンショットのAF発動後のみ合焦した位置で枠位置が固定される。
【0068】
607は追尾枠(トラッキング枠)を示す。これはユーザーが検出枠605を選択した場合や、ユーザー操作によって追尾対象を選択した場合に表示する。ユーザーの選択操作としては、タッチパネル70aへの操作位置を基準とした選択、トラッキングの開始操作による選択、十字ボタンによる検出枠の選択など複数の操作がある。AF発動後は点線の二重矩形(608)で表現する。追尾枠も検出枠同様に、フレームごとに更新して、被写体を追尾することができるが、ワンショットのAF発動後のみ合焦した位置で枠位置が固定される。
【0069】
609はHP枠(ホームポジション枠)を示す。これはユーザーが601や603のAFエリア枠を登録させたい位置に設定し、登録操作をすることによって記憶されたものである。ボタンカスタマイズの「HPの呼出」や「撮影機能の呼出」で呼び出すことができる。呼び出し期間は操作中のみと、再度呼び出しが行われるまで呼び出しを継続などがある。AF発動後はAFエリア同様に、矩形の太線(610)で表現される。
【0070】
●AFエリアとトラッキング設定の組み合わせに応じた枠表現
図7はAFエリアとトラッキング設定の組み合わせに応じた枠表現を示す図である。
【0071】
トラッキング『しない』の場合のAFエリアとの組み合わせが状態7-A~I、トラッキング『する』の場合のAFエリアとの組み合わせが状態7-J~Rであり、それぞれ「AFエリア枠」「検出枠」「追尾枠」がアクティブの条件を図示する。
【0072】
まず、状態7-A~Iのトラッキング『しない』の場合について説明する。
【0073】
AFエリア枠がアクティブになる場合は、1点のAFエリア枠701やゾーンのAFエリア枠702などそれぞれの設定に応じたAFエリア枠が表示される(7-A、7-B、7-C)。
【0074】
トラッキング『しない』の場合は被写体検出を行わないため、検出枠がアクティブになることはない。このため状態7-D、7-E、7-Fでは枠表示は行われない。説明の都合上、
図7の状態7-D、7-E、7-Fは、画面がグレーになっているが、ライブビュー表示は行われる。
【0075】
また、ユーザーの選択によって追尾を行う場合は、追尾枠703が表示される(7-G、7-H、7-I)。ここでの追尾枠は、タッチパネル70aへの操作位置を基準に追尾を開始した際の追尾枠や、トラッキング開始の操作位置を基準に追尾を開始した際の追尾枠などが該当する。
【0076】
次に、状態7-J~Rのトラッキング『する』の場合について説明する。
【0077】
状態7-J~Oでは、トラッキング『する』の場合は主被写体が検出されている場合はAFエリア枠と検出枠が両方表示され、AF発動時に実際にピントを合わせる枠をアクティブとする。また主被写体が検出されていない場合は、AFエリア枠のみ表示され、トラッキング『しない』のパターンと同じである。
【0078】
主被写体が検出されている場合のAF発動時に実際にピントを合わせる枠の選択は次のように行う。
【0079】
まずAFエリア枠内に検出枠が重なっていない条件ではAFエリア枠がアクティブとなる(7-J、7-K、7-L)。なお、AFエリアが画面全域の場合にAFエリア内に被写体が検出されていない場合もAFエリア枠内に検出枠が重なっていない条件として、AFエリア全域がアクティブとなる(7-L)が、AFエリアが画面全域のため枠表示が行われない。このため、説明の都合上、画面がグレーになっているが、ライブビュー表示は行われる。AFエリア枠がアクティブとなる場合は(704)や(706)のAFエリア枠が実線で表示され、検出枠が透過の線(705)で表現される。AF発動時にはAFエリア枠のほうでピント調整を行う。
【0080】
次にAFエリア枠内に検出枠が重なる条件では検出枠がアクティブとなる(7-M、7-N、7-O)。なお瞳検出やスポット検出などの場合は、瞳やスポット部分がAFエリアに重なっていなくても、顔や被写体を構成する全身がAFエリア枠に重なっている場合であれば、検出枠がアクティブになることがある。検出枠がアクティブの場合は、検出枠が実線(707)で表現され、AFエリア枠が透過の線(708)で表現される。
【0081】
ユーザーの選択によって追尾を行う場合であって、トラッキング『する』の場合、主被写体が検出されているときは、追尾実行中(7-P、7-Q、7-R)は追尾枠がアクティブであり追尾枠のみ表示される(709)。また主被写体が検出されていないときは、トラッキング『しない』のパターンと同じように、追尾枠が表示される。
【0082】
●撮影待機状態、撮影準備状態、撮影状態間の状態遷移
図8(a)は、撮影待機状態(8-A、8-D)、撮影準備状態(8-B、8-E)、撮影状態(8-C、8-F)間の状態遷移を示したものである。
【0083】
801はAFエリア×トラッキング設定の設定値を示すアイコンである。802はAF動作の設定値を示すアイコンである。803は検出する被写体の設定値を示すアイコンである。804は瞳検出の設定値を示すアイコンである。805はトラッキング状態を示すアイコンである。806はゾーンAFのAFエリアを示す枠表示である。
【0084】
807は検出被写体の検出枠を示す枠表示である。
図8(a)の例では、AFエリア内に被写体が検出されているため、検出枠がアクティブとなり、AFエリアは非アクティブとなる。(
図7参照)
8-Aの状態で、操作8aであるAF開始(SW1)が行われると8-Bへ遷移する。このとき、アクティブ枠の領域でAF動作を実行する。
【0085】
8-Bの状態では、808の枠で合焦表示を行う。AF動作はワンショットに設定されているため枠位置をロックする。合焦時は緑色、非合焦時は赤色と、色を変えてユーザーに合焦状態を通知する。操作8bである撮影開始(SW2)が行われると8-Cへ遷移する。
【0086】
8-Cの状態では、撮影が行われる。809は撮影中であることを示す。実施例では撮影音によって判断できるため表示されないこともあるが、サイレント撮影時は表示することが多い。なおワンショットAF撮影時の連写中はフォーカスをロックしていることからもSW1時に表示した合焦表示808の表示は行わない。
【0087】
以上が基本的な撮影での遷移となり、続いて機能呼び出しのパターンを説明する。
【0088】
8-Aの状態で、操作8cである撮影機能の呼出が行われると8-Dへ遷移する。このとき、801のアイコンが、「全域×トラッキングする」に変更となり、802のアイコンが「サーボAF」に変更となり、803のアイコンが「動物優先」に変更となり、804のアイコンが「瞳検出しない」に変更となる。呼び出し後は全域で動物検出を行うため、右下の小鳥が主被写体として検出され、検出枠810が表示される。AFエリアが全域の為、810がアクティブ枠となる。
【0089】
8-Aの状態で、操作8dである撮影機能の呼出が行われると8-Eへ遷移する。表示などは操作8cと同じになるが、違いは同時にAF動作を実行している点であり、AF実行後に合焦枠811が表示される。なお、8-Bや8-Cの状態でも操作8dは実行可能であり、それぞれ図のような遷移となる。
【0090】
8-Dの状態で、操作8aによりAF動作の実行が行われた場合は8-Eへ遷移する。トラッキング設定『する』で、AF動作がサーボAFの場合に限り、AF動作保持中はAFエリアを全域に広げて被写体を追尾する。被写体追尾を中止したい場合は、AF動作を止めるかボタンカスタマイズの「トラッキングの停止」の操作を行う。
【0091】
8-Eの状態で、操作8bにより撮影開始が行われた場合は8-Fへ遷移する。サーボ連写では被写体を追尾しながらピントを合わせ続け撮影を繰り返す。
【0092】
図8(b)は、
図4を用いて前述したボタンカスタマイズ機能により設定されたメニューを示している。左側が操作8cにより呼び出されるメニューであり、右側が操作8dにより呼び出されるメニューである。
【0093】
●呼出パターン
図9は、本実施例の呼出パターンを示した図であり、
図9(a)~
図9(c)と3パターン紹介する。
【0094】
図9(a)は「全域×人物検出」から「ゾーン×トラッキングしない×検出OFF」を呼び出すパターンである。呼び出し前は全体で人物を優先して撮影を行い、被写体の動きも大きいのでサーボで撮影する。ここから、人物ではなくモノを主として撮影したい場合に検出設定をOFFにして、特定の領域内で自動選択を行う。同時にAF開始することも可能であり、ワンショット呼び出し後すぐに撮影といった手順での撮影もできる。
図9(a)のようにエリア内で最も手前の花にピントを合わせたいときに有効である。また結婚式のブーケトスで新婦から舞い上がったブーケに切り換えるときなどにも有効である。
【0095】
図9(b)は「全域×人物検出」から「1点(HP)×トラッキングする×動物検出」を呼び出すパターンである。呼び出し前は全体で人物を優先して撮影を行う。被写体の動きが大きいものが現れたときのために、サーボAFを開始する点として1点を中央付近にHPとして登録しておく。ここから、動物のように動きが大きい被写体が現れたときに、本機能を呼び出すことで中央付近から被写体をつかみ追尾を開始する。
図9(a)のように動きの速い犬が現れたときでも、中央でつかみを行い、被写体を追尾することが可能になる。HPはサイズ(1点、ゾーン)と位置を記憶できるため、検出設定と同時に呼び出すことで撮影の幅が広がる。
【0096】
図9(c)は「ゾーン×人物検出」から「全域×乗物検出」を呼び出すパターンである。呼び出し前は全体で人物を優先して撮影を行い、乗物に主被写体を移して撮影するときに有効である。自動車だけでなく、バイクや電車、飛行機なども乗物として検出可能で、記念撮影やサーキット撮影、イベント撮影でも有効である。
図3で説明したスポット検出の設定も使用することで乗物内でもピンポイントで焦点を合わせることも可能である。
【0097】
今回紹介したパターン以外でも有効なシーンはいくつもあり、AFエリアと検出設定を組み合わせて呼び出すことで、ユーザーのカスタマイズ性が上がりシャッターチャンスを逃さない撮影が可能となる。
【0098】
●被写体検出種別とAFエリアを組み合わせて呼び出す際の制御フロー
図10Aは本実施形態の制御を示すフローチャートである。各処理はシステム制御部50が不揮発メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0099】
以下のフローチャートについて、処理や制御についてはシステム制御部50によって行われる。
【0100】
S1001では、機能呼び出しが行われたかを判定する。機能呼び出しが行われた場合はS1002へ進み、そうでない場合はS1003へ進む。
【0101】
S1002では、機能呼び出しの制御を発動する。
【0102】
S1003では、AF動作(SW1)が行われたかを判定する。AF動作が行われた場合はS1004へ進み、そうでない場合はS1001まで戻る。この間に通常の撮影準備の設定(露出変更、AFエリアの移動、その他設定)が行われると、設定変更を行う。
【0103】
S1004では、AF動作を実行する。ワンショットAF設定時はAF完了後にピント位置を固定し、サーボAF設定時はAF完了後もピントを追従する。
【0104】
S1005では、機能呼び出しが行われたかを判定する。機能呼び出しが行われた場合はS1006へ進み、そうでない場合はS1008へ進む。
【0105】
S1006では、機能呼び出しの制御を発動する。
【0106】
S1007では、AF動作を実行する。なおS1006で設定値の変更がなければS1007ではAF動作は行わずスキップする。
【0107】
S1008では、撮影操作(SW2)があったかを判定する。撮影操作があればS1010へ進み、なければS1009へ進む。
【0108】
S1009ではAF動作(SW1)が保持されているかを判定する。保持されている場合は、S1005へ戻り、保持されていない場合は、S1001まで戻る。
【0109】
S1010では、撮影動作を実行する。
【0110】
S1011では、機能呼び出しが行われたかを判定する。機能呼び出しが行われた場合はS1012へ進み、そうでない場合はS1017へ進む。
【0111】
S1012では、サーボAF動作中であるかを判定する。サーボAF動作中である場合はS1014へ進み、そうでない場合はS1013へ進む。
【0112】
S1013では、機能呼び出しでのAF動作の変更があるかを事前に判定する。変更がある場合はS1015へ進み、そうでない場合はS1017へ進む。
【0113】
S1014とS1015では、機能呼び出しの制御を発動する。
【0114】
S1016では、AF動作を実行する。なおS1014、S1015で設定値の変更がなければS1016ではAF動作は行わずスキップする。
【0115】
S1017では、連続撮影を行うかを判定する。連続撮影を行う場合はS1018へ進み、行わない場合はS1019へ進む。
【0116】
S1018では、撮影動作を実行する。ここでは連続撮影なので、設定されているドライブ設定に応じて撮影を行う。
【0117】
S1019では、撮影が終了したかを判定する。終了した場合は処理を本フローの処理を終え、終了していない場合はS1011へ戻る。
【0118】
●機能読み出しの制御フロー
図10Bは、
図10のS1002、S1006、S1014、S1015の機能読み出しの詳細を示すフローチャートである。各処理はシステム制御部50が不揮発メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0119】
以下のフローチャートについて、処理や制御についてはシステム制御部50によって行われる。
【0120】
S1020では、設定値の変更があるかを判定する。変更がある場合はS1021へ進み、変更がない場合は機能呼び出しのサブフローを終了する。
【0121】
S1021では、ホームポジション(HP)の呼出があるかを判定する。HPの呼出がある場合はS1024へ進み、ない場合はS1022へ進む。
【0122】
S1022では、AFエリアの変更があるかを判定する。AFエリアの変更がある場合はS1023へ進み、ない場合はS1025へ進む。
【0123】
S1023では、AFエリアの変更を行う。
【0124】
S1024では、AF位置をHPの位置に設定する。
【0125】
S1025では、AF動作の変更があるかを判定する。AF動作の変更がある場合はS1026へ進み、ない場合はS1027へ進む。
【0126】
S1026では、AF動作の変更を行う。
【0127】
S1027では、トラッキング設定の変更があるかを判定する。トラッキング設定の変更がある場合はS1028へ進み、ない場合はS1029へ進む。
【0128】
S1028では、トラッキング設定の変更を行う。
【0129】
S1029では、検出する被写体設定の変更があるかを判定する。検出する被写体設定の変更がある場合はS1030へ進み、ない場合はS1033へ進む。
【0130】
S1030では、検出する被写体設定の詳細設定の変更があるかを判定する。詳細設定の変更がある場合はS1032へ進み、ない場合はS1031へ進む。
【0131】
S1031では、検出する被写体設定の変更を行う。
【0132】
S1032では、検出する被写体設定と詳細設定の変更を行う。
【0133】
S1033では、瞳検出設定の変更があるかを判定する。瞳検出設定の変更がある場合はS1034へ進み、ない場合はS1035へ進む。
【0134】
S1034では、瞳検出設定の変更を行う。
【0135】
S1035では、トラッキング動作を行うかを判定する。動作を行う場合はS1036へ進み、ない場合は機能呼び出しのサブフローを終了する。
【0136】
S1036では、
図7に基づいてアクティブ判定を行い、呼び出し後のAF設定と検出設定によって主被写体を決定する。
【0137】
以上、実施形態に基づく状態遷移やフローチャートにより、様々な撮影設定と検出設定を組み合わせて呼び出すことで、快適な撮影が可能となり操作性の向上を図る。
【0138】
特にデジタルカメラにおいて撮影条件を決定する手段として有効であり、これによりシャッターチャンスを逃さない快適な撮影が可能になる。
【0139】
なお、本実施形態では、画面上の位置や大きさを示す指標として表示枠を矩形で表す例を説明したが、必ずしも矩形である必要はなく、例えば、円形、六角形など任意の形状であってよい。また、位置だけを示す十字のクロスといった照準のような表示であってもよい。
【0140】
また、システム制御部50は、撮影設定と検出設定を組み合わせた撮影条件に基づいてメタデータを生成し、撮像部22で撮像された画像データに付加して記録媒体200に記録することが可能である。記録された画像の表示の際には、画像データに関連して記録されているメタデータの表示を行うようにしてもよい。記録される画像データやメタデータ等は、例えば、Exif(Exchangeable Image File Format)等の規格に従って記録される。
【0141】
また、システム制御部50が行うものとして説明した上述の各種の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0142】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0143】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラ100に適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、画像処理に関する制御を行うことができるような表示制御装置であれば適用可能である。すなわち、本発明は携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、PC、ファインダーを備えるプリンタ装置、表示部を有する家電、デジタルフォトフレーム、プロジェクター、タブレットPC、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダーなどに適用可能である。
【0144】
(その他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0145】
100 デジタルカメラ
150 レンズユニット
50 システム制御部
28 表示部
70a タッチパネル
22 撮像部
32 メモリ
70 操作部
77 AEロックボタン
78 拡大ボタン
75 SETボタン
79 再生ボタン