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  • 特開-システム、及び、方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022019028
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】システム、及び、方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220120BHJP
   G01H 3/00 20060101ALI20220120BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01H3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122558
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】河村 文昭
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】村田 稔
(72)【発明者】
【氏名】多根 康行
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2G024AD16
2G024AD34
2G024AD50
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA01
2G064AB13
2G064AB22
2G064BA02
2G064CC29
2G064CC58
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】簡易な処理で、対象物の変化を検出可能な手段を提供すること。
【解決手段】システムは、対象物の音である対象音を採取するためのセンサーと、制御部と、を備える。制御部は、センサーにより採取された対象音と、特定状態の対象物の音であるリファレンス音と、を比較する。制御部は、比較結果に基づいて、対象物の状態を判断する。制御部は、判断した対象物の状態を報知する。リファレンス音は、正常状態の対象物の音である第1リファレンス音と、異常状態の対象物の音である第2リファレンス音と、を含む。制御部は、対象音と、第1リファレンス音、第2リファレンス音の両方と、を比較する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の音である対象音を採取するためのセンサーと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記センサーにより採取された対象音と、特定状態の対象物の音であるリファレンス音と、を比較し、
比較結果に基づいて、対象物の状態を判断することを特徴とするシステム。
【請求項2】
特定状態は、対象物の正常状態であり、
リファレンス音は、正常状態の対象物の音であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
特定状態は、対象物の異常状態であり、
リファレンス音は、異常状態の対象物の音であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
特定状態は、対象物の正常状態、及び、異常状態であり、
リファレンス音は、正常状態の対象物の音である第1リファレンス音と、異常状態の対象物の音である第2リファレンス音と、を含み、
前記制御部は、対象音と、第1リファレンス音、第2リファレンス音の両方と、を比較し、
比較結果に基づいて、対象物の状態を判断することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、判断した対象物の状態を報知することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
リファレンス音は、機械学習により学習モデルが作成され、作成された学習モデルに基づいて取得されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
対象物は、人工構造物であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
対象物は、人体であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
対象物は、山、河川、森林、海のいずれか1つであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
対象物は、車両であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
対象物は、車両が通行する被車両通行物であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記センサーは、車両が被車両通行物を通行したときに、被車両通行物から発せられる音を採取することを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
2つの前記センサーを備え、
前記制御部は、前記2つのセンサーによって採取された音データの差分データを算出し、算出した差分データに基づいて、車両の移動方向を特定することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
リファレンス音は、被車両通行物を、車両が、一方向から他方向、他方向から一方向へ移動するときの音を含むことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御部は、前記センサーによって採取された対象音に基づいて、車両の通行台数を検出することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
センサーにより採取された対象物の音である対象音と、特定状態の対象物の音であるリファレンス音と、を比較し、
比較結果に基づいて、対象物の状態を判断することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の変化を検出するシステム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高速道路の橋梁を連結するジョイント部分等に生じる異常を診断するための発明が開示されている。特許文献1に記載の発明は、診断対象から発せられる音響信号から非定常区間を検出し、検出した非定常区間の音響信号に基づいて、診断対象の異常の有無を判断する。これにより、診断対象の状態が、診断対象から発せられた音響信号の非定常な区間によく表れる場合でも、比較的精度のよい診断を自動的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-257625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、診断対象から発せられる音響信号から非定常区間を検出し、検出した非定常区間の音響信号に基づいて、診断対象の異常の有無を判断しているため、複雑な処理が必要であるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、簡易な処理で、対象物の変化を検出可能な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のシステムは、対象物の音を採取するためのセンサーと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサーにより採取された対象物の音である対象音と、特定状態の対象物の音であるリファレンス音と、を比較し、比較結果に基づいて、対象物の状態を判断することを特徴とする。
【0007】
本発明では、制御部は、センサーにより採取された対象物の音である対象音と、特定状態の対象物の音であるリファレンス音と、を比較し、比較結果に基づいて、対象物の状態を判断する。例えば、「リファレンス音」として、音が採取される対象物の正常状態の音を用いれば、正常状態の対象物の音との比較を行うことができるため、正常状態に対する現在の状態を判断することができる。これにより、正常状態に対する現在の対象物の状態が判断されるため、判断結果に基づいて、オペレーター等は、容易に、現在の状態を判断することができる。
【0008】
また、対象音とリファレンス音との比較のみで、対象物の状態を判断するため、簡易な処理で、対象物の変化を検出することができる。
【0009】
第2の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、特定状態は、対象物の正常状態であり、リファレンス音は、正常状態の対象物の音であることを特徴とする。
【0010】
本発明では、リファレンス音は、正常状態の対象物の音であるため、正常状態に対する現在の状態を判断することができる。すなわち、現在の状態が、正常状態であるか否かを判断することができる。
【0011】
第3の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、特定状態は、対象物の異常状態であり、リファレンス音は、異常状態の対象物の音であることを特徴とする。
【0012】
本発明では、リファレンス音は、異常状態の対象物の音であるため、異常状態に対する現在の状態を判断することができる。すなわち、現在の状態が、異常状態であるか否かを判断することができる。
【0013】
第4の発明のシステムは、第1の発明のシステムにおいて、特定状態は、対象物の正常状態、及び、異常状態であり、リファレンス音は、正常状態の対象物の音である第1リファレンス音と、異常状態の対象物の音である第2リファレンス音と、を含み、前記制御部は、対象音と、第1リファレンス音、第2リファレンス音の両方と、を比較し、比較結果に基づいて、対象物の状態を判断することを特徴とする。
【0014】
第5の発明のシステムは、第1~第4のいずれかの発明のシステムにおいて、前記制御部は、判断した対象物の状態を報知することを特徴とする。
【0015】
本発明では、制御部は、判断した対象物の状態を報知する。これにより、オペレーター等は、現在の状態を判断することができる。
【0016】
第6の発明のシステムは、第1~第5のいずれかの発明のシステムにおいて、リファレンス音は、機械学習により学習モデルが作成され、作成された学習モデルに基づいて取得されていることを特徴とする。
【0017】
第7の発明のシステムは、第1~第6のいずれかの発明のシステムにおいて、対象物は、人工構造物であることを特徴とする。
【0018】
「人口構造物」とは、例えば、橋梁、建築物、ダム等である。
【0019】
第8の発明のシステムは、第1~第6のいずれかの発明のシステムにおいて、対象物は、人体であることを特徴とする。
【0020】
第9の発明のシステムは、第1~第6のいずれかの発明のシステムにおいて、対象物は、山、河川、森林、海のいずれか1つであることを特徴とする。
【0021】
第10の発明のシステムは、第1~第6のいずれかの発明のシステムにおいて、対象物は、車両であることを特徴とする。
【0022】
「車両」とは、例えば、自動四輪車、自動二輪車、鉄道車両等である。
【0023】
第11の発明のシステムは、第1~第6のいずれかの発明のシステムにおいて、対象物は、車両が通行する被車両通行物であることを特徴とする。
【0024】
車両が通行する「被車両通行物」とは、例えば、自動四輪車、自動二輪車が通行する道路、橋梁等である。
【0025】
第12の発明のシステムは、第11の発明のシステムにおいて、前記センサーは、車両が被車両通行物を通行したときに、被車両通行物から発せられる音を採取することを特徴とする。
【0026】
第13の発明のシステムは、第12の発明のシステムにおいて、2つの前記センサーを備え、前記制御部は、前記2つのセンサーによって採取された音データの差分データを算出し、算出した差分データに基づいて、車両の移動方向を特定することを特徴とする。
【0027】
例えば、被車両通行物に異常がある場合、車両が通行したときに、被車両通行物から発せられる音は、車両の移動方向によって異なるはずである。本発明では、制御部は、前記2つのセンサーによって採取された音データの差分データを算出し、算出した差分データに基づいて、車両の移動方向を特定する。このため、車両の移動方向を考慮した、被車両通行物の通常/異常状態を判断することができる。
【0028】
第14の発明のシステムは、第13の発明のシステムにおいて、リファレンス音は、被車両通行物を、車両が、一方向から他方向、他方向から一方向へ移動するときの音を含むことを特徴とする。
【0029】
第15の発明のシステムは、第12の発明のシステムにおいて、前記制御部は、前記センサーによって採取された対象音に基づいて、車両の通行台数を検出することを特徴とする。
【0030】
本発明では、制御部は、センサーによって採取された対象音に基づいて、車両の通行台数を検出する。これにより、システムを、対象物の状態判断以外にも利用することができる。
【0031】
第16の発明の方法は、センサーにより採取された対象物の音である対象音と、特定状態の対象物の音であるリファレンス音と、を比較し、比較結果に基づいて、対象物の状態を判断することを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、簡易な処理で、対象物の変化を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態に係るシステムによる処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るシステムは、例えば、センサーと、サーバーと、から構成される。本実施形態に係るシステムでは、センサーにより採取される対象物の音である対象音が、サーバーに送信され、サーバーにおいて、対象音の解析等が行われる。サーバーは、CPU(Central Processing Unit)等の制御部を備える。制御部は、サーバーを構成する各部を制御し、サーバーで行われる処理を実行する。なお、システムは、センサーとサーバーとにより構成される態様に限られず、例えば、センサーとスマートフォン等とにより構成されていてもよい。
【0035】
ここで、上述した対象物は、例えば、人口構造物、人体、車両、山、河川、森林、海等である。人口構造物は、例えば、橋梁、建築物等である。対象物が橋梁である場合、車両が通過したときの橋梁から発せれる音が、「対象音」となる。この場合、対象音を採取するためのセンサーは、橋梁の所定位置(例えば、ジョイント付近等)に取り付けられる。
【0036】
また、対象物が、人体である場合、心音、呼吸音等の生体音が、「対象音」となる。この場合、センサーは、人体の所定位置(例えば、肺、心臓の付近等)に取り付けられる。また、車両は、例えば、自動四輪車、自動二輪車、鉄道車両、建機車両等である。対象物が自動四輪車である場合、例えば、自動四輪車のエンジン音が、対象音となる。この場合、センサーは、自動四輪車の所定位置(例えば、エンジンの付近等)に取り付けられる。なお、音を採取する対象物は、これらに限られず、家電製品(例えば、洗濯機、ドライヤー等)等であってもよい。なお、「音」は、「振動」を含む概念である。
【0037】
図1は、本発明の実施形態に係るシステムによる処理を示す図である。システムは、「センシング」プロセス、「比較」プロセス、「報知」プロセスを実行する。「センシング」プロセスは、センサーにより対象音を採取するプロセスである。「センシング」プロセスの後、サーバーが備える制御部は、「比較」プロセスを実行する。「比較」プロセスは、センサーにより採取された対象音と、特定状態の対象物の音であるリファレンス音と、を比較し、比較結果に基づいて、対象物の状態(正常状態、異常状態)を判断するプロセスである。
【0038】
ここで、「特定状態」とは、「対象物の正常状態」、「対象物の異常状態」をいう。また、「リファレンス音」は、正常状態の対象物の音である「第1リファレンス音」と、異常状態の対象物の音である「第2リファレンス音」と、を含む。対象物が、橋梁である場合、例えば、対象物の異常状態とは、老朽化した状態であり、正常状態とは、老朽化していない状態である。この場合、第2リファレンス音は、老朽化した状態の橋梁を車両が通過した場合に橋梁から発せられる音である。第1リファレンス音は、老朽化していない状態の橋梁を車両が通過した場合に橋梁から発せられる音である。
【0039】
対象物が、人体である場合、例えば、対象物の異常状態とは、人体が疾病している状態であり、正常状態とは、人体が疾病していない状態である。この場合、第2リファレンス音は、疾病している状態の生体音である。第1リファレンス音は、疾病していない状態の生体音である。また、対象物が、車両である場合、例えば、対象物の異常状態とは、エンジンが正常に燃焼していない状態(燃焼不良状態)であり、正常状態とは、エンジンが正常に燃焼している状態である。この場合、第2リファレンス音は、正常に燃焼していないエンジン音である。第1リファレンス音は、正常に燃焼しているエンジン音である。また、対象物が、山である場合、対象物の異常状態とは、地滑りが起こる直前の状態であり、正常状態とは、これ以外の状態である。第2リファレンス音は、雨が降っているときの、地滑りが起こる直前の音であり、第1リファレンス音は、これ以外の状態の音である。
【0040】
第1リファレンス音は、対象物が正常状態である場合に、予め採取されており、サーバーに記憶されている。また、第2リファレンス音は、対象物が異常状態である場合に、予め採取されており、サーバーに記憶されている。第1リファレンス音、第2リファレンス音を含むリファレンス音は、機械学習により学習モデルが作成され、作成された学習モデルに基づいて取得される。
【0041】
「比較」プロセスにおいて、例えば、制御部は、まず、対象音と、第1リファレンス音と、を比較する。制御部は、対象音と第1リファレンス音とが類似していると判断した場合、対象物が正常状態であると判断し、対象音と第2リファレンス音とを比較しない。一方で、制御部は、対象音と第1リファレンス音とが類似していないと判断した場合、対象音と第2リファレンス音とを比較する。制御部は、対象音と第2リファレンス音とが類似していると判断した場合、対象物が異常状態であると判断する。一方で、制御部は、対象音と第2リファレンス音とが類似していないと判断した場合、センサー等に不具合があると判断する。
【0042】
このように、対象音と、第1リファレンス音、第2リファレンス音の両方と、が比較されることで、対象物の状態の判断精度を上げることができる。なお、対象音とリファレンス音との比較の順序は、第1リファレンス音、第2リファレンス音の順に限られず、反対の第2リファレンス音、第1リファレンス音であってもよい。また、対象音と、先に比較された第1リファレンス音、第2リファレンス音のいずれかと、が類似していると判断される場合であっても、対象音と、残りの第1リファレンス音、第2リファレンス音のいずれかと、が比較されてもよい。また、対象音と、第1リファレンス音、第2リファレンス音のいずれか一方のみとが、が比較されるようになっていてもよい。
【0043】
「比較」プロセスの後、サーバーが備える制御部は、「報知」プロセスを実行する。「報知」プロセスは、判断した対象物の状態(正常状態、異常状態)を報知するプロセスである。例えば、制御部は、ディスプレイに対象物の状態を表示することで、報知プロセスを実行する。上述のディスプレイは、サーバーに接続されたディスプレイであってもよいし、ユーザー等が所有するスマートフォン等であってもよい。また、例えば、制御部は、対象物の状態を音で出力することで、報知プロセスを実行する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、制御部は、センサーにより採取された対象物の音である対象音と、特定状態の対象物の音であるリファレンス音と、を比較し、比較結果に基づいて、対象物の状態を判断する。例えば、「リファレンス音」として、音が採取される対象物の正常状態の音を用いれば、正常状態の対象物の音との比較を行うことができるため、正常状態に対する現在の状態を判断することができる。これにより、正常状態に対する現在の対象物の状態が判断されるため、判断結果に基づいて、オペレーター等は、容易に、現在の状態を判断することができる。
【0045】
また、対象音とリファレンス音との比較のみで、対象物の状態を判断するため、簡易な処理で、対象物の変化を検出することができる。
【0046】
また、本実施形態では、第1リファレンス音は、正常状態の対象物の音であるため、正常状態に対する現在の状態を判断することができる。すなわち、現在の状態が、正常状態であるか否かを判断することができる。
【0047】
また、本実施形態では、第2リファレンス音は、異常状態の対象物の音であるため、異常状態に対する現在の状態を判断することができる。すなわち、現在の状態が、異常状態であるか否かを判断することができる。
【0048】
また、本実施形態では、制御部は、判断した対象物の状態を報知する。これにより、オペレーター等は、現在の状態を判断することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0050】
音を採取する対象物が、車両通行物が通行する被車両通行物(例えば、道路、橋梁、線路等)である場合、センサーは、車両が被車両通行物を通行したときに、被車両通行物から発せられる音を採取する。対象物が、被車両通行物の場合、センサーは、2つ設けられる。制御部は、2つのセンサーによって採取された音データの差分データを算出し、算出した差分データに基づいて、車両の移動方向を特定する。センサーを2つ設けることにより、車両通行時に、2つのセンサーによって採取される音は、異なるため、これに基づいて、車両の移動方向を特定可能である。
【0051】
例えば、被車両通行物に異常がある場合、車両が通行したときに、被車両通行物から発せられる音は、車両の移動方向によって異なるはずである。このため、上述のとおり、制御部は、2つのセンサーによって採取された音データの差分データを算出し、算出した差分データに基づいて、車両の移動方向を特定する。これにより、車両の移動方向を考慮した、被車両通行物の通常/異常状態を判断することができる。
【0052】
この場合、リファレンス音は、被車両通行物を、車両が、一方向から他方向、他方向から一方向へ移動するときの音を含む。なお、センサーの数は、2つ以上であってもよい。
【0053】
また、制御部は、センサーによって採取された対象音に基づいて、車両の通行台数を検出する。これにより、システムを、対象物の状態判断以外にも利用することができる。なお、音(振動)による通行台数の検出は、周知の手法で行われればよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、対象物の変化を検出するシステム、及び、方法に好適に採用され得る。
図1