(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190290
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】生産管理システム、稼働状態検出装置、生産管理装置、生産管理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098553
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】517012534
【氏名又は名称】i Smart Technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】市古 信二
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA56
3C100BB12
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100CC14
(57)【要約】
【課題】生産管理システムにおいて、早期にサイクルタイムの異常を検出することができる技術を提供する。
【解決手段】生産管理システムは、生産設備による処理の開始に対応する第一信号を生成し、生産設備による処理の完了に対応する第二信号を生成する稼働状態検出装置と、第一信号および第二信号を取得する生産管理装置であって、連続する第一信号の取得間隔をサイクルタイムとして取得する生産管理装置と、を備える。生産管理装置は、第一信号および第二信号を用いてサイクルタイムの異常を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産管理システムであって、
生産設備による処理の開始に対応する第一信号を生成し、前記処理の完了に対応する第二信号を生成する稼働状態検出装置と、
前記第一信号および前記第二信号を取得する生産管理装置であって、連続する第一信号の取得間隔をサイクルタイムとして取得する生産管理装置と、を備え、
前記生産管理装置は、前記第一信号および前記第二信号を用いて前記サイクルタイムの異常を判定する、
生産管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産管理システムであって、
前記生産管理装置は、
前記第一信号を取得した時点から前記第二信号を取得した時点までの期間を処理期間として取得し、
前記処理期間が、予め定められた基準期間とは異なる場合に、前記サイクルタイムに異常ありと判定する、
生産管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生産管理システムであって、
前記生産管理装置は、前記処理期間が、前記予め定められた基準期間よりも長いと判定した時点で、前記サイクルタイムに異常ありと判定する、
生産管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の生産管理システムであって、
前記生産管理装置は、前記第一信号を検出した時点から前記予め定められた基準期間を経過した時点で、前記第二信号を取得していない場合には、前記サイクルタイムに異常ありと判定する、
生産管理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記稼働状態検出装置は、前記第一信号を前記生産管理装置に出力するための第一送信部と、前記第二信号を前記生産管理装置に出力するための第二送信部とを備える、
生産管理システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記稼働状態検出装置は、前記生産設備に対して後付けにて装着または前記生産設備の近傍に後付けにて配置される、
生産管理システム。
【請求項7】
生産設備に用いられる稼働状態検出装置であって、
前記生産設備が処理を開始したことを検出して第一信号を生成し、前記生産設備が処理を停止したことを検出して第二信号を生成する、
稼働状態検出装置。
【請求項8】
生産設備の稼働状態を管理するための生産管理装置であって、
前記生産設備が処理を開始したことにより生成される第一信号と、前記生産設備が処理を停止したことにより生成される第二信号とを検出し、
前記第一信号を検出する時点から前記第二信号を検出する時点までの期間である処理期間が、予め定められた基準期間とは異なる場合に、前記生産設備のサイクルタイムに異常ありと判定する、
生産管理装置。
【請求項9】
生産設備の生産状況を管理するための生産管理方法であって、
前記生産設備に対して装着または前記生産設備の近傍に配置される検出装置から、前記生産設備による処理の開始に対応する第一信号と、前記処理の完了に対応する第二信号とを取得し、
前記第一信号および前記第二信号を用いて、連続する第一信号の取得間隔であるサイクルタイムの異常を判定する、
生産管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生産管理システム、稼働状態検出装置、生産管理装置、ならびに生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備から部品の払い出しごとに出力されるパルス信号を検出し、パルス信号のHighポジションから、次のパルス信号のHighポジションまでをサイクルタイムとして計測する生産管理システムが知られている(例えば、特許文献1)。生産管理システムでは、パルス信号のHighポジションを検出してから次のパルス信号のHighポジションを検出するまでの時間が一定の時間を超えたときにサイクルタイムオーバーと判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、一のパルス信号を検出してから、次のパルス信号を検出するまでは、サイクルタイムの異常を検出することができないといった問題がある。このような問題は、サイクルタイムが長い製品を生産する生産設備であるほど顕著になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、生産管理システムが提供される。この生産管理システムは、生産設備による処理の開始に対応する第一信号を生成し、前記処理の完了に対応する第二信号を生成する稼働状態検出装置と、前記第一信号および前記第二信号を取得する生産管理装置であって、連続する第一信号の取得間隔をサイクルタイムとして取得する生産管理装置と、を備える。前記生産管理装置は、前記第一信号および前記第二信号を用いて前記サイクルタイムの異常を判定する。
この形態の生産管理システムによれば、サイクルタイムの異常判定に第一信号および第二信号を用いることにより、第二信号を取得した時点でサイクルタイムの異常の有無を判定できる。したがって、第一信号のみを用いてサイクルタイムの異常を判定する形態に比較して、早期にサイクルタイムの異常を検出することができる。
(2)上記形態の生産管理システムにおいて、前記生産管理装置は、前記第一信号を取得した時点から前記第二信号を取得した時点までの期間を処理期間として取得し、前記処理期間が、予め定められた基準期間とは異なる場合に、前記サイクルタイムに異常ありと判定してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、生産管理装置は、処理期間が予め定められた基準期間とは異なる場合に、サイクルタイムに異常ありと判定する。したがって、生産管理装置は、処理期間を用いた異常判定により、サイクルタイムを取得する前にサイクルタイムの異常を検出することができる。
(3)上記形態の生産管理システムにおいて、前記生産管理装置は、前記処理期間が、前記予め定められた基準期間よりも長いと判定した時点で、前記サイクルタイムに異常ありと判定してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、第二信号を検出した時点でサイクルタイムの異常を検出することができる。
(4)上記形態の生産管理システムにおいて、前記生産管理装置は、前記第一信号を検出した時点から前記予め定められた基準期間を経過した時点で、前記第二信号を取得していない場合には、前記サイクルタイムに異常ありと判定してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、第二信号の検出を待つことなくサイクルタイムの異常を判定することができ、より早期にサイクルタイムの異常を検出することができる。
(5)上記形態の生産管理システムにおいて、前記稼働状態検出装置は、前記第一信号を前記生産管理装置に出力するための第一送信部と、前記第二信号を前記生産管理装置に出力するための第二送信部とを備えてもよい。
この形態の生産管理システムによれば、第一信号と、第二信号との異なる検出信号を、第一送信部および第二送信部との2つの送信部で送信することができる。したがって、生産管理装置は、生産設備の処理の開始と処理の完了とを容易に識別することができる。
(6)上記形態の生産管理システムにおいて、前記稼働状態検出装置は、前記生産設備に対して後付けにて装着または前記生産設備の近傍に後付けにて配置されてもよい。
この形態の生産管理システムによれば、既設の製造設備における生産状況やサイクルタイムを簡易な装置によって管理することができる。
(7)本開示の他の形態によれば、生産設備に用いられる稼働状態検出装置が提供される。この稼働状態検出装置は、前記生産設備が処理を開始したことを検出して第一信号を生成し、前記生産設備が処理を停止したことを検出して第二信号を生成する。
この形態の稼働状態検出装置によれば、既設の製造設備における処理期間やサイクルタイムを検出するための検出信号を簡易な装置によって取得することができる。
(8)本開示の他の形態によれば、生産設備の稼働状態を管理するための生産管理装置が提供される。この生産管理装置は、前記生産設備が処理を開始したことにより生成される第一信号と、前記生産設備が処理を停止したことにより生成される第二信号とを検出する。前記第一信号を検出する時点から前記第二信号を検出する時点までの期間である処理期間が、予め定められた基準期間とは異なる場合に、前記生産設備のサイクルタイムに異常ありと判定する。
この形態の生産管理装置によれば、既設の製造設備における処理期間やサイクルタイムを簡易な装置によって管理することができる。
本開示は、生産管理システム、稼働状態検出装置、生産管理装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、生産管理方法、製造ラインや生産設備、生産管理システムの制御方法、稼働状態検出装置の制御方法、生産管理装置の制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る生産管理システムを示す概略構成図。
【
図2】第1実施形態における生産管理装置の内部機能構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態における稼働状態検出装置の内部機能構成を示すブロック図。
【
図4】検出部として光センサを備える稼働状態検出装置の配置例を示す説明図。
【
図5】稼働状態検出装置が生産設備の近傍に配置されて用いられる場合の説明図。
【
図6】稼働状態検出装置が生産設備に装着して用いられる場合の説明図。
【
図7】第1実施形態の稼働状態検出装置によって実行される処理を示すフローチャート。
【
図8】第1実施形態における生産管理装置によって実行される処理を示すフローチャート。
【
図9】表示装置に表示される生産状況情報の例を示す説明図。
【
図10】表示装置に表示される詳細表示の例を示す説明図。
【
図11】第2実施形態における生産管理装置によって実行される処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の第1実施形態に係る生産管理システム100を示す概略構成図である。生産管理システム100は、生産管理装置10と、稼働状態検出装置20a~20fとを備えている。生産管理装置10は、稼働状態検出装置20a~20fと協働して、第一製造ラインL1および第二製造ラインL2の生産状況を管理する。なお、製造ラインは、2つには限定されず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0009】
製造ラインL1,L2は、生産設備31~36と、搬送機構41とを備えている。搬送機構41は、例えば、加工部品やワークなどの加工対象品を搬送する。搬送機構41には、たとえば、ベルトコンベア、予め定められた軌道上を移動する搬送機などが含まれる。搬送機構41上には生産設備31~36が配置されている。
【0010】
生産設備31~36は、たとえば、金属加工機、溶接機、樹脂成形機、塗装機、熱間鍛造機、完成品回収機、加工部品供給機などの設備である。生産設備31~36には、加工対象品に対する生産処理や加工処理を実行するためのプログラマブルロジックコントローラ(PLC)と、光電センサやエリアセンサなどのPLCに接続されている各種センサとが備えられている。各種センサは、製造ラインL1,L2および生産設備31~36を作動させるために、製造ラインL1,L2および生産設備31~36を設置・配置する際に予め配置されている。
【0011】
図1に示すように、第一製造ラインL1には、第一生産設備31、第二生産設備32、ならびに第三生産設備33が配置されている。第二製造ラインL2には、第四生産設備34、第五生産設備35、ならびに第六生産設備36が配置されている。
【0012】
稼働状態検出装置20a~20fは、生産設備31~36に後付けにより装着されている、または生産設備31~36の近傍に後付けにより配置されている。本開示において、後付けとは、生産設備の設置・配置時において生産設備に装着もしくは組み込まれておらず、生産設備の動作を制御するPLCに接続されておらず、生産設備の稼働・制御とは無関係に生産設備に装着・配置されることを意味する。
図1の例では、第一生産設備31に第一稼働状態検出装置20aが装着され、第二生産設備32に対して第二稼働状態検出装置20bが装着され、第四生産設備34に対して第四稼働状態検出装置20dが装着されている。第五生産設備35の排出側に第五稼働状態検出装置20eが装着され、第三生産設備33および第六生産設備36の搬送方向の下流側の近傍には第三稼働状態検出装置20cおよび第六稼働状態検出装置20fがそれぞれ配置されている。
【0013】
図1に示すように、生産管理装置10と、稼働状態検出装置20a~20fとは、無線通信によって相互にデータを送受信することが可能である。例えば、生産管理装置10は、端末装置PD1,PD2からの要求に応じて、生成した生産状況情報を、無線通信により端末装置PD1,PD2に送信する。生産状況情報とは、生産設備の稼働状態に関わる情報を意味する。生産状況情報には、例えば、生産設備の稼働時間、生産数、単位時間あたりの出来高、可動率(%)、サイクルタイム、処理期間、停止期間、遅延期間などが含まれる。稼働時間とは、生産設備の始動後における生産設備が稼働している時間の累積時間を意味する。生産数は、生産設備によって生産された加工対象品の総数を意味する。単位時間当たりの出来高は、例えば1時間当たりに処理される加工対象品の個数を意味する。可動率は、計画数に対する生産数の割合を意味する。生産管理装置10は、ローカルサーバとして工場内に配置されていてもよく、リモートサーバとして工場以外の場所に配置されていてもよい。生産管理装置10がリモートサーバとして設置される場合には、後付けの稼働状態検出装置20a~20fからの検出信号、端末装置PD1,PD2およびローカルコンピュータへの生産状況情報は、工場内の無線アクセスポイントおよびイントラネットまたはインターネットといったネットワークを介して生産管理装置10によって送受信される。稼働状態検出装置20a~20fからの検出信号には、生産設備31~36による加工対象品に対する処理の開始に対応する第一信号と、生産設備31~36による加工対象品に対する処理の完了に対応する第二信号とが含まれる。
【0014】
図2は、第1実施形態における生産管理装置10の内部機能構成を示すブロック図である。生産管理装置10は、中央演算処理装置であるCPU11と、記憶装置12と、送信・受信部13と、表示装置14と、入力装置15と、時間計測のためのタイマ16とを備えており、これらは、バス17を介して相互に通信可能に接続されている。CPU11、記憶装置12、送信・受信部13は、互いに双方向に通信可能である。生産管理装置10は、生産設備31~36の動作を制御するPLCとは異なる装置であり、生産設備31~36は、生産管理装置10が用いられなくてもPLCによって動作制御される。
【0015】
CPU11は、記憶装置12に格納されている各種プログラムを実行することによってサイクルタイム生成部111および生産状況情報生成部113として機能する。記憶装置12は、たとえば、RAM、ROM、ハードディスクドライブ(HDD)である。HDDまたはROMには、本実施形態において提供される機能を実現するための各種プログラムが格納されている。HDDまたはROMから読み出された各種プログラムは、RAM上に展開されて、CPU11によって実行される。記憶装置12の読み書き可能な領域には、生成されたサイクルタイム(CT)を格納するサイクルタイム記憶部121と、生成された生産状況情報を格納する生産状況情報記憶部123とが備えられている。なお、記憶装置12には、稼働状態検出装置20a~20fから受信した第一信号および第二信号が一時的に格納される。
【0016】
送信・受信部13は、製造ラインL1,L2上の生産設備31~36に装着されている、もしくは生産設備31~36近傍に配置されている稼働状態検出装置20a~20fから、無線通信を介して、第一信号および第二信号を受信する。送信・受信部13は、稼働状態検出装置20a~20fに対して各種の実行命令を送信する。送信・受信部13は、さらに、端末装置PD1,PD2に対して生産状況情報を送信してもよく、端末装置PD1,PD2からの各種処理の実行を要求する指令信号を受信してもよい。
【0017】
送信・受信部13は、稼働状態検出装置20a~20fに対して有線接続されることなく、稼働状態検出装置20a~20fからの第一信号および第二信号を取得することができる。このように構成することによって、生産設備31~36に対して稼働状態検出装置20a~20fを後付けで装着または配置するという簡易な方法を用いて、本実施形態の生産管理システム100を既存の工場に導入することができる。例えば、送信・受信部13が無線通信機能を有する入出力I/Fである場合には、送信・受信部13は工場内に設置されている図示しない無線中継器(アクセスポイント)を介して、稼働状態検出装置20a~20fからの無線電波を受信してもよく、あるいは、送信・受信部13自身が無線アクセスポイントとして稼働状態検出装置20a~20fから無線電波を受信可能な場所に配置されていてもよい。また、送信・受信部13は、無線中継器に対して有線接続されていてもよい。無線通信は、たとえば、IEEE802.11規格に準拠した無線ローカルネットワーク(LAN)を通じた無線接続やBluetooth(登録商標)を用いた無線通信などによって実現され得る。
【0018】
表示装置14は、生産管理システム100を操作する際の処理内容、サイクルタイム、生産状況情報を表示するためのディスプレイである。表示装置14は、生産管理装置10とは別体で備えられていてもよい。例えば、生産管理装置10がリモートサーバであり、生産状況情報を生成するために備えられている場合には、表示装置14は備えられなくてもよい。入力装置15は、生産管理システム100に対して入力を行うために用いられる装置である。入力装置15は、たとえば、キーボード、マウスである。入力装置15は、表示装置14の画面上に備えられるタッチパネルであってもよい。
【0019】
図3は、第1実施形態における稼働状態検出装置20a~20fの機能構成を示すブロック図である。
図3においては、第一稼働状態検出装置20aを用いて例示的に説明するが、第二稼働状態検出装置20bから第六稼働状態検出装置20fも同様の構成を有している。稼働状態検出装置20a~20fは、後付けにて製造ラインL1,L2または生産設備に装着または配置される。第一稼働状態検出装置20aは、検出部25aと、第一送受信部21aと、第二送受信部22aと、コントローラ23aとを備えている。検出部25aと、第一送受信部21aと、第二送受信部22aとは、コントローラ23aに対して通信可能に接続されている。
【0020】
検出部25aは、後付けにて生産設備31~36に対して装着あるいは生産設備31~36の近傍に配置される各種センサである。検出部25aは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)に接続されている既存のセンサとは異なるセンサである。なお、検出部25aは、第一稼働状態検出装置20aと一体に備えられていてもよく、第一稼働状態検出装置20aとは別体であってもよい。検出部25aは、第一稼働状態検出装置20aとは別体である場合には、第一稼働状態検出装置20aと信号線を介して接続される。検出部25aは、検出用の素子のみを備えアナログ信号を出力する検出部であってもよく、あるいは、検出用の素子に加え、検出用の素子から出力される信号をデジタル信号に変換して出力する回路を備える検出部であってもよい。
【0021】
検出部25aとして用いられるセンサとしては、光センサ、音センサ、熱センサ、電流センサ、距離センサ、気圧センサ、加速度センサ、回転速度センサ、湿度センサ、ならびに圧力センサなどが用いられる。各センサはいずれも生産設備の稼働状態を検出するためのセンサである。なお、本実施形態において、稼働状態とは、製造ラインおよび生産設備における加工対象品に対する処理の開始および処理の停止を意味する。稼働状態には、そのほか、加工、処理に関わる動作・操作、当該動作・操作の開始、実行中、停止、完了といった状態が含まれてもよい。
【0022】
検出部25aは、生産設備31による加工対象品に対する処理の開始と、生産設備31による加工対象品に対する処理の完了とを検出し、パルス信号を生成する。生成されたパルス信号は、コントローラ23aに出力される。検出部25aは、1つの検出部であり、生産設備31による処理の開始を検出すると、基準状態から立ち上がり(オン)、生産設備31による処理の完了を検出すると、オン状態から立ち下がる(オフ)パルス信号を生成する。検出部25aは、生産設備31による処理の開始を検出すると、オン状態から基準状態へ立ち下がり(オフ)、生産設備31による処理の完了を検出すると、基準状態からの立ち上がる(オン)パルス信号を生成してもよい。また、検出部25aは、生産設備31による処理の開始に対応するパルス信号を生成する検出部と、生産設備31による処理の完了に対応するパルス信号を生成する検出部との2つの検出部であってもよい。
【0023】
コントローラ23aは、図示しない中央演算処理装置(CPU)と記憶装置とを備えている。コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号を用いて、生産管理装置10が識別可能な識別子を付した第一信号および第二信号を生成し、第一送受信部21aおよび第二送受信部22aにそれぞれ出力する。具体的には、コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号の立ち上がり(オン)を検出して、第一信号を生成して第一送受信部21aに出力し、検出部25aから受信したパルス信号の立ち下がり(オフ)を検出すると、第二信号を生成して第二送受信部22aに出力する。なお、検出部25aが第一信号および第二信号を生成してコントローラ23aに出力してもよい。コントローラ23aは、検出部25aから入力される信号がアナログ信号である場合には、信号値が既定値以上、規定値未満、または任意の範囲にある場合に、アクティブHighロジックにおいてはHigh(1)、アクティブLowロジックにおいてはLow(1)を採るデジタル信号に変換し、第一信号および第二信号を生産管理装置10に対して送信する。本実施形態では、検出部25aのみが検出部として機能する例を示したが、検出部25aとコントローラ23aとによって検出部が実現されてもよい。コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号を記憶装置に格納しておき、生産管理装置10から受信した実行命令に応じて、第一信号および第二信号を生産管理装置10に対して送信する処理を実行してもよい。
【0024】
第一送受信部21aおよび第二送受信部22aは、任意の通信プロトコルに従い無線通信によって生産管理装置10に対して第一信号および第二信号を送信する。より具体的には、第一送受信部21aは、第一信号を生産管理装置10に送信する第一送信部として機能し、第二送受信部22aは、第二信号を生産管理装置10に送信する第二送信部として機能する。なお、検出部25aからのパルス信号を受信したコントローラ23aからの指令に従って、第一送受信部21aおよび第二送受信部22aが第一信号および第二信号を生成してもよい。また、第一送受信部21aおよび第二送受信部22aは、生産管理装置10からの実行命令を受信してもよい。
【0025】
図4は、検出部25bとして光センサを備える稼働状態検出装置20bの配置例を示す説明図である。第二稼働状態検出装置20bは、
図1に示すように、第二生産設備32に備えられている。より具体的には、第二生産設備32には、PLCを収容する筐体32bが隣接して配置されている。筐体32bには第二生産設備32の稼働状態を三色の信号灯で示すシグナルタワー40が備えられている。シグナルタワー40によって示される稼働状態は、例えば、緑色が処理中、黄色が処理完了、赤色が異常停止である。
【0026】
検出部25bである光センサとしては、信号灯の点灯または消灯を検出することができる光電変換素子、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタを用いることができる。検出部25bは、例えば、緑色の信号灯の発光面に装着される。第二稼働状態検出装置20bをシグナルタワー40に装着することによって、シグナルタワー40によって示される第二生産設備32による加工対象品の処理の開始もしくは処理の完了を容易に検出することができる。具体的には、検出部25bは、緑色の信号灯が点灯した場合には、生産設備32による処理の開始を検出し、緑色の信号灯が消灯した場合には、生産設備32による処理の完了を検出する。コントローラ23bは、検出部25bからのパルス波形を用いて生産設備32による処理の開始を検出した場合には、第一信号を生成して第一送受信部21bに出力し、検出部25bからのパルス波形を用いて生産設備32による処理の完了を検出した場合には、第二信号を生成して第二送受信部22bに出力する。検出部25bが第一信号および第二信号を生成してコントローラ23bに出力してもよい。検出部25bは、受光した光量に応じた電流をコントローラ23bに出力してもよい。この場合には、受光した光量が所定の光量以上となると第一信号としてのパルス波形がコントローラ23bによって生成され、受光した光量が所定の光量未満となると第二信号としてのパルス波形がコントローラ23bによって生成される。
【0027】
図5は、稼働状態検出装置が生産設備の近傍に配置されて用いられる場合の説明図である。
図5に示すように、第三稼働状態検出装置20cは、第三生産設備33の近傍に配置されている。第三稼働状態検出装置20cは、2つの検出部25c1,25c2を備えている。検出部25c1,25c2は、第三稼働状態検出装置20cのうち送受信部22cと、コントローラ23cとを格納する本体とは異なる位置に備えられており、信号線によって第三稼働状態検出装置20cと接続されている。
【0028】
検出部25c1,25c2は、搬送機構41を支持する支持部の上端に配置されている。検出部25c1は、第三生産設備33に対する加工対象品WPの投入位置の近傍に配置され、検出部25c2は、第三生産設備33からの加工対象品WPの排出位置の近傍に配置されている。
【0029】
検出部25c1,25c2としては、例えば、光電式の光センサが用いられ得る。光電式の光センサによれば、搬送機構41によって搬送される加工対象品WPの通過を光の遮断によって検出することができる。遮断時に出力される第一信号および第二信号は、1または0のパルス信号である。光電式センサは、可視光、赤外光、紫外光といった光を出力する光源と、光源からの光を受光する受光部とによって構成される。後付けの第三稼働状態検出装置20cを第三生産設備33の近傍に配置することによって、第三生産設備33による処理の開始および完了を加工対象品WPの搬送の有無を利用して検出することができる。具体的には、第三稼働状態検出装置20cの検出部25c1が第三生産設備33に対する加工対象品WPの投入を検出することによって、第三生産設備33による処理の開始を検出し、検出部25c2が第三生産設備33からの加工対象品WPの排出を検出することによって、第三生産設備33による処理の完了を検出する。コントローラ23cは、検出部25c1からのパルス波形を用いて生産設備33による処理の開始を検出すると、第一信号を生成して第一送受信部21cに出力し、検出部25c2からのパルス波形を用いて生産設備33による処理の完了を検出した場合には、第二信号を生成して第二送受信部22cに出力する。生成された第一信号および第二信号は、第一送受信部21cおよび第二送受信部22cによって生産管理装置10に提供される。
【0030】
図6は、稼働状態検出装置が生産設備に装着して用いられる場合の説明図である。
図6に示すように、第五稼働状態検出装置20eは、第五生産設備35における加工対象品WPの排出口近傍となる位置に装着されている。検出部25e1,25e2は、第五稼働状態検出装置20eのうち送受信部22eと、コントローラ23eとを格納する本体とは異なる位置に備えられており、信号線によって第五稼働状態検出装置20eと接続されている。
【0031】
検出部25e1は、第五生産設備35における加工対象品WPの投入口に備えられ、検出部25e2は、第五生産設備35における加工対象品WPの排出口近傍に備えられている。検出部25e1,25e2としては、例えば、光センサ、音センサ、熱センサ、電流センサ、距離センサ、気圧センサ、加速度センサ、回転速度センサ、湿度センサおよび圧力センサが用いられる。本実施形態において、検出部25e1は、第五生産設備35における加工対象品WPに対する処理の開始を検出し、検出部25e2は、第五生産設備35における加工対象品WPに対する処理の完了を検出する。
【0032】
図7を用いて、稼働状態検出装置20aの動作について説明する。
図7は、第1実施形態の稼働状態検出装置20aによって実行される処理を示すフローチャートである。本フローは、稼働状態検出装置20aの起動時から、稼働状態検出装置20aが稼働終了されるまでの間、繰り返し実行され得る。なお、他の稼働状態検出装置20b~20fにおいても同様の処理が実行され得る。
【0033】
ステップS200では、稼働状態検出装置20aは、検出部25aからのパルス信号の入力を確認する。コントローラ23aは、検出部25aからパルス信号が入力されない場合には(S200:NO)、パルス信号の入力を待機する。
【0034】
コントローラ23aは、検出部25aからのパルス信号が入力されると(ステップS200:Yes)、検出したパルス信号の立ち上がり(オン)、または立ち下がり(オフ)を検出する(ステップS210)。コントローラ23aは、パルス信号の立ち上がり(オン)を検出した場合には(S210:YES)、生産設備31による加工対象品に対する処理の開始を示す第一信号を生成して第一送受信部21aに出力し、第一送受信部21aは、取得した第一信号を生産管理装置10に送信する(ステップS211)。コントローラ23aは、パルス信号の立ち下がり(オフ)を検出した場合には(S210:NO)、生産設備による加工対象品に対する処理の完了に対応する第二信号を第二送受信部22aに出力し、第二送受信部22aは、取得した第二信号を生産管理装置10に送信する(ステップS212)。
【0035】
図8を用いて、生産管理装置10の動作について説明する。
図8は、第1実施形態の生産管理装置10によって実行される処理を示すフローチャートである。本フローは、例えば、生産管理装置10の起動により開始される。生産管理装置10は、起動とともに検出信号の受信を待機する。生産管理装置10は、稼働状態検出装置20aから、生産設備31による処理の開始に対応する第一信号を、無線通信を介して、送信・受信部13で受信する(ステップS10)。受信された第一信号は、記憶装置12に格納される。生産管理装置10は、第一信号を受信した時点から計時を開始する(ステップS20)。
【0036】
生産管理装置10は、稼働状態検出装置20aから、生産設備31による処理の完了に対応する第二信号を、無線通信を介して、送信・受信部13で受信する(ステップS30)。受信された第二信号は、記憶装置12に格納される。生産管理装置10は、第二信号を受信した時点で計時を完了し、処理期間を取得する(ステップS40)。処理期間とは、第一信号の受信時点から第二信号の受信時点までの期間である。処理期間は、生産設備に加工対象品が投入されてから加工対象品が排出されるまでの期間、すなわち生産設備が加工対象品に対する加工等の処理を実行している期間に相当する。
【0037】
生産管理装置10は、取得した処理期間が予め定められた基準期間以内であるか否かを確認する(ステップS50)。予め定められた基準期間は、処理期間に異常があるか否かを判定するための閾値である。基準期間は、例えば、生産設備の平均処理期間、最短処理期間などを用いて任意に設定することができる。処理期間が基準期間以内である場合には(S50:YES)、生産管理装置10は、サイクルタイムに異常なしと判定し、判定結果を記憶装置12に格納する。処理期間が基準期間よりも長い場合には(S50:NO)、生産管理装置10は、サイクルタイムに異常ありと判定し、判定結果を記憶装置12に格納する。
【0038】
生産管理装置10は、サイクルタイムの異常を判定すると、新たに第一信号を検出するまで待機する(ステップS60)。第一信号を検出した場合には(S60:YES)、次の加工対象品WPの処理に係るサイクルタイムを計測するための計時を開始する(ステップS70)。ステップS80では、生産管理装置10は、サイクルタイムを算出する。具体的には、CPU11がプログラムを実行することによって、サイクルタイム生成部111として機能する。サイクルタイム生成部111は、ステップS10における第一信号の検出時点から、その次の第一信号、すなわちステップS60における第一信号の検出時点までの期間をサイクルタイムとして取得する。ステップS60で新たに第一信号が検出された場合のサイクルタイムは、ステップS60における第一信号の検出時点から、再びステップS60において、次の第一信号を検出した時点までの期間である。取得したサイクルタイムは、サイクルタイム記憶部121に格納される。
【0039】
ステップS90では、生産管理装置10は、後述するように、取得した検出信号を用いて生産状況情報を生成する。具体的には、CPU11がプログラムを実行することによって、生産状況情報生成部113として機能する。生成された生産状況情報は、生産状況情報記憶部123に格納される。ステップS100では、生産管理装置10は、表示装置14に、サイクルタイムと、生産状況情報とを表示させて、処理をステップS30に移行する。
【0040】
ステップS60において、所定期間内に第一信号を検出できない場合には(S60:NO)、処理を終了するか否かを確認する(ステップS110)。処理を終了しない場合には(S110:NO)、ステップS10に戻る。処理を終了する場合(S110:YES)、生産管理装置10は、本フローを終了する。
【0041】
図9は、表示装置14に表示される生産状況情報の例を示す説明図である。
図9の例では、製造ライン起動後、最初に第一信号が入力された時刻T0、製造ラインL1,L2の生産効率(%)、製造ラインL1,L2に配置されている生産設備31~36それぞれのサイクルタイム(CT)の異常の発生回数が表示されている。本実施形態では、サイクルタイム異常の項目について、更に詳細な内容を表示させるための詳細表示ボタンB1が配置されている。なお、これらの情報は、生産管理装置10が備える表示装置14に代えて、端末装置PD1,PD2の表示部に表示するようにしてもよい。
【0042】
詳細表示ボタンB1が操作されると、表示装置14の画面が切り替わり、サイクルタイムの詳細が表示される。
図10は、表示装置14に表示されるサイクルタイムの詳細表示の例を示す説明図である。
図10に示すように、詳細表示ボタンB1が操作された後の詳細表示では、所定回数(図の例では10回)にわたって受信順にサイクルタイム(CT)と、サイクルタイムの内訳、具体的には処理期間および停止期間とが表示されている。停止期間とは、生産設備による加工対象品に対する処理が行われていない期間である。停止期間には、例えば、いわゆる段取り替え期間や、次の加工対象品の処理を開始するための準備を実行している期間などが含まれる。
【0043】
本実施形態では、生産管理装置10は、処理期間が予め定められた基準期間(
図10の例において20秒)を超える場合には、サイクルタイム異常(CT異常)として判定する。生産管理装置10は、サイクルタイム異常と判定する場合には、
図10の遅延期間として示すように、処理期間に対して遅延した期間を遅延期間として表示するとともに、「CT異常」との表示を付して表示装置14に表示することにより生産設備の作業員もしくは生産管理システム100の管理者に報知する。表示装置14に代えて、またはそれとともに、端末装置PD1,PD2の表示部、生産設備の表示装置、アンドンなどを介して報知してもよい。本実施形態における生産管理装置10および稼働状態検出装置20a~20fによれば、製造ラインL1,L2、および生産設備31~36のそれぞれにおけるサイクルタイムの異常の有無を詳細に把握することが可能となり、可動率が低い原因の解明に資することができる。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態の生産管理システム100は、生産設備31~36による処理の開始に対応する第一信号を生成し、処理の完了に対応する第二信号を生成する稼働状態検出装置20a~20fと、連続する第一信号の取得期間をサイクルタイムとして取得する生産管理装置10と、を備えている。生産管理装置10は、サイクルタイムの異常判定に第一信号および第二信号を用いることにより、第二信号を取得した時点、すなわち処理期間を取得した時点で処理期間の異常を判定し、サイクルタイムの異常の有無を判定できる。したがって、第一信号のみを用いてサイクルタイムの異常を判定する形態に比較して、早期にサイクルタイムの異常を検出することができる。
【0045】
本実施形態の生産管理システム100によれば、生産管理装置10は、処理期間が予め定められた基準期間とは異なる場合に、サイクルタイムに異常ありと判定する。したがって、生産管理装置10は、処理期間を用いた異常判定により、サイクルタイムを取得する前にサイクルタイムの異常を検出することができる。
【0046】
本実施形態の生産管理システム100によれば、生産管理装置10は、処理期間が、予め定められた基準期間よりも長いと判定した時点で、サイクルタイムに異常ありと判定する。したがって、処理期間を取得した時点でサイクルタイムの異常の判定を行うことにより、次の第一信号の検出を待つことなく、第二信号を検出した時点でサイクルタイムの異常を検出することができる。
【0047】
本実施形態の生産管理システム100によれば、稼働状態検出装置20a~20fは、第一信号を生産管理装置10に出力するための第一送信部と、第二信号を生産管理装置10に出力するための第二送信部とを備えている。第一信号と、第二信号との異なる検出信号を、第一送受信部および第二送受信部との2つの送受信部で送信することができる。したがって、生産管理装置10は、生産設備31~36の処理の開始と処理の完了とを容易に識別することができる。
【0048】
本実施形態の生産管理システム100によれば、稼働状態検出装置20a~20fは、生産設備31~36に対して後付けにて装着または生産設備31~36の近傍に後付けにて配置される。したがって、既設の製造ラインL1,L2における生産状況やサイクルタイムを簡易な装置によって管理することができる。
【0049】
B.第2実施形態:
図11は、第2実施形態の生産管理装置10によって実行される処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、本実施形態では、サイクルタイムの異常をより早期に判定する観点から、第二信号が受信される前に、サイクルタイムの異常が判定される点において第1実施形態の生産管理システム100とは相違する。具体的には、本フローは、ステップS40とステップS60との間にステップS50からステップS54が備えられず、ステップS20とステップS30との間にステップS56からステップS59が備えられる点において、第1実施形態における処理とは相違し、それ以外の点は、第1実施形態における処理と同様である。
【0050】
図11に示すように、ステップS10からステップS20において、第一信号が検出され、計時が開始されると、生産管理装置10は、ステップS56において、計時を開始してからの経過期間が予め定められた基準期間を超えているか否かを判定する。経過期間が基準期間を超えていなければ(S56:YES)、サイクルタイムに異常なしと判定し、第二信号の検出を待機する(ステップS59)。第二信号が検出されなければ(S59:NO)、処理は、ステップS56に戻る。第二信号が検出されると(S59:YES)、処理は、ステップS30へ移行する。ステップS56において、経過期間が基準期間を超えている場合には(S56:NO)、その時点でサイクルタイムに異常ありと判定し(ステップS58)、処理をステップS30へ移行し、第二信号の検出を待機する。
【0051】
本実施形態の生産管理システム100によれば、生産管理装置10は、第一信号を検出した時点からの経過期間が予め定められた基準期間を超えた時点で、第二信号を取得していない場合には、サイクルタイムに異常ありと判定する。したがって、第二信号の検出を待つことなくサイクルタイムの異常を判定することができ、より早期にサイクルタイムの異常を検出することができる。
【0052】
C.他の実施形態:
(C1)上記第1実施形態においては、製造ラインL1,L2にそれぞれ3つの生産設備31~36が配置されているが、生産設備は、製造ラインL1,L2につき1つまたは2つであってもよく、また、4つ以上備えられていてもよい。製造ラインの数は、1および2ラインでも良く、3ライン以上であってもよい。
【0053】
(C2)上記第1実施形態においては、生産管理装置10および各稼働状態検出装置20a~20fは無線通信にて通信を行っているが、有線通信によって行われてもよい。例えば、生産設備31~36の近傍に有線ローカルエリアネットワーク(LAN)接続ポートが備えられている場合には、接続ポートを利用することによって新たな配線の手間を省くことができ、無線通信と同様にして簡易に第1の実施形態に係る生産管理システム100を導入することができる。
【0054】
(C3)上記第1実施形態では、検出部25aとして用いられるセンサとして、光センサ、音センサ、熱センサ、電流センサ、距離センサ、気圧センサ、加速度センサ、回転速度センサ、湿度センサ、ならびに圧力センサなどが用いられる例を示した。これに対して、検出部には、磁気センサが用いられてもよい。磁気センサとしての検出部は、例えば、生産設備に備えられた開閉ドアに取り付けられることができる。開閉ドアは、例えば、生産設備による加工対象品に対する処理が開始される際、および生産設備による加工が終了する際に開く。検出部は、磁気センサと、生産設備に装着された磁石との距離の変化による磁力の変化を用いて、開閉ドアの開閉を検出し、開閉ドアの開閉から加工対象品に対する処理の開始と処理の完了とを検出することができる。
【0055】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0056】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
10…生産管理装置、11…CPU、12…記憶装置、13…送信・受信部、14…表示装置、15…入力装置、16…タイマ、17…バス、20a~20f…稼働状態検出装置、21a~21c…第一送受信部、22a~22e…第二送受信部、23a~23e…コントローラ、25a,25b,25c1,25c2,25e1,25e2…検出部、31~36…生産設備、32b…筐体、40…シグナルタワー、41…搬送機構、100…生産管理システム、111…サイクルタイム生成部、113…生産状況情報生成部、121…サイクルタイム記憶部、123…生産状況情報記憶部、B1…詳細表示ボタン、L1,L2…製造ライン、PD1,PD2…端末装置、T0…時刻、WP…加工対象品