IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両制御装置 図1
  • 特開-車両制御装置 図2
  • 特開-車両制御装置 図3
  • 特開-車両制御装置 図4
  • 特開-車両制御装置 図5
  • 特開-車両制御装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190303
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
B60S1/62 110B
B60S1/62 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098567
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆佑
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC02
3D225AD22
3D225AG52
3D225AG55
(57)【要約】      (修正有)
【課題】歩行者に洗浄液をかけないようにして、検出面部に付着した軽度汚れを除去した状態で歩行者の近くを通過できる車両制御装置を提供する。
【解決手段】検出面部を通過する電磁波を用いて車両の周辺に存在する物体に関する物体情報を取得する車載センサと、洗浄液を用いて検出面部の洗浄動作を実行する洗浄ユニットと、洗浄ユニットに洗浄動作を実行させる制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、検出面部の汚れ指標値が第1閾値以上であり且つ第2閾値未満である場合に、第1条件、第2条件及び第3条件が成立したときに、洗浄ユニットに洗浄動作を実行させる。第1条件は、車両の進行方向の領域に歩行者が存在すると見做すことができる歩行者地点を検出している条件であり、第2条件は、車両が歩行者地点に到達するまでにかかる到達時間が第1許可時間相関値以上である条件であり、第3条件は、到達時間が第2許可時間以下である条件である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に露出した検出面部を通過する電磁波を用いて前記車両の周辺に存在する物体に関する物体情報を取得するように構成された車載センサと、
洗浄液を用いて前記検出面部を洗浄する洗浄動作を実行可能に構成された洗浄ユニットと、
前記洗浄ユニットに前記洗浄動作を実行させる制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、
前記検出面部の汚れの程度を表す汚れ指標値が第1閾値以上であり且つ前記第1閾値より大きな第2閾値未満である場合において、第1条件、第2条件及び第3条件の総てが成立したときに成立する所定の許可条件が成立すれば、前記洗浄ユニットに前記洗浄動作を実行させ、前記許可条件が成立しなければ、前記洗浄ユニットに前記洗浄動作を実行させず、
前記汚れ指標値が前記第2閾値以上である場合、前記許可条件が成立するか否かにかかわらず、前記洗浄ユニットに前記洗浄動作を実行させる、
ように構成され、
前記第1条件は、前記制御ユニットが前記車両の進行方向の領域に歩行者が存在すると見做すことができる地点である歩行者地点を検出しているとの条件であり、
前記第2条件は、前記車両が前記歩行者地点に到達するまでにかかる時間又は前記車両が前記歩行者地点に到達するまでに前記車両が走行する距離に相関を有する到達相関値が、前記洗浄動作に要する所定の洗浄時間又は前記車両が前記洗浄時間に走行する距離に相関を有する洗浄相関値と、所定の第1余裕時間又は所定の第1余裕距離に相関を有する第1余裕相関値と、を加算した第1許可相関値以上であるとの条件であり、
前記第3条件は、前記到達相関値が、前記洗浄相関値と、前記第1余裕時間よりも長い所定の第2余裕時間又は前記第1余裕距離よりも長い第2余裕距離に相関を有する所定の第2余裕相関値と、を加算した第2許可相関値以下であるとの条件である、ことを特徴とする、
車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液を用いて車載センサの検出面部を洗浄する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の外部に露出した検出面部を通過する電磁波を用いて物体に関する物体情報を取得する車載センサを備え、検出面部を自動で洗浄する車両制御装置が知られている。このような車載センサとしては、ライダ(LiDAR:Light Detection and Ranging)及びカメラ等がある。例えば、特許文献1に記載された車両制御装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、検出面部の汚れを検出したときに、検出面部に向かって洗浄液を噴射することにより検出面部を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-104365号公報
【発明の概要】
【0004】
検出面部の汚れには、車載センサが物体情報を取得できなくなる程度の汚れ(以下、「重度汚れ」と称呼する。)と、車載センサが物体情報を取得できる程度の汚れ(以下、「軽度汚れ」と称呼する。)と、がある。車両が歩行者の近くを走行する際には歩行者を正確に認識するためにも、検出面部の汚れが軽度汚れであっても検出面部を洗浄しておきたいという要望がある。しかしながら、車両の近くに歩行者が存在するときに検出面部が洗浄されると、飛散した洗浄液が歩行者にかかってしまう可能性がある。検出面部に軽度汚れが付着していると判定する度に検出面部の洗浄が行われると、洗浄液の消費量が増加し、車両の貯留タンクに貯留されている洗浄液が空になるタイミングを早めてしまう。
【0005】
本発明は前述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、歩行者に洗浄液をかけないようにして、検出面部に付着した軽度汚れを除去した状態で車両が歩行者の近くを通過でき、更に、洗浄液の消費量を低減させる車両制御装置を提供することにある。
【0006】
本発明の車両制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、
車両の外部に露出した検出面部(12S、17S)を通過する電磁波を用いて前記車両の周辺に存在する物体に関する物体情報を取得するように構成された車載センサ(12、17乃至21)と、
洗浄液を用いて前記検出面部を洗浄する洗浄動作を実行可能に構成された洗浄ユニット(70、71、72、75、76、82乃至88)と、
前記洗浄ユニットに前記洗浄動作を実行させる制御ユニット(10)と、
を備える。
【0007】
前記制御ユニットは、
前記検出面部の汚れの程度を表す汚れ指標値(Id)が第1閾値(Id1th)以上であり且つ前記第1閾値より大きな第2閾値(Id2th)未満である場合において(ステップ315「Yes」)、第1条件、第2条件及び第3条件の総てが成立したときに成立する所定の許可条件が成立すれば(ステップ330「Yes」)、前記洗浄ユニットに前記洗浄動作を実行させ(ステップ350)、前記許可条件が成立しなければ(ステップ330「No」)、前記洗浄ユニットに前記洗浄動作を実行させず、
前記汚れ指標値が前記第2閾値以上である場合(ステップ320「Yes」)、前記許可条件が成立するか否かにかかわらず、前記洗浄ユニットに前記洗浄動作を実行させる(ステップ350)、
ように構成され、
前記第1条件は、前記制御ユニットが前記車両の進行方向の領域に歩行者が存在すると見做すことができる地点である歩行者地点を検出しているとの条件であり(ステップ410「Yes」)、
前記第2条件は、前記車両が前記歩行者地点に到達するまでにかかる時間(Tr)又は前記車両が前記歩行者地点に到達するまでに前記車両が走行する距離(Lr)に相関を有する到達相関値が、前記洗浄動作に要する所定の洗浄時間(Tw)又は前記車両が前記洗浄時間に走行する距離(Lw)に相関を有する洗浄相関値と、所定の第1余裕時間(Tdmin)又は所定の第1余裕距離(Ldmin)に相関を有する第1余裕相関値と、を加算した第1許可相関値以上であるとの条件であり(ステップ430:Tpe1≦Tr)、
前記第3条件は、前記到達相関値が、前記洗浄相関値と、前記第1余裕時間よりも長い所定の第2余裕時間(Tdmax)又は前記第1余裕距離よりも長い第2余裕距離(Ldmax)に相関を有する所定の第2余裕相関値と、を加算した第2許可相関値以下であるとの条件である(ステップ430:Tr≦Tpe2)。
【0008】
本発明装置によれば、汚れ指標値が第1閾値以上であり且つ第2閾値未満であるとき、歩行者地点が検出されている状態(第1条件成立)で、到達相関値が第1許可相関値以上であり(第2条件成立)且つ第2許可相関値以下である場合(第3条件成立)、洗浄動作が行われる。到達相関値が第1許可相関値以上である場合に洗浄動作が行われると、車両が歩行者に到達する時点よりも第1余裕時間前の時点にて洗浄動作が確実に完了する。これにより、車両が歩行者に到達するまでに当該歩行者に洗浄液がかからないように「汚れ指標値が第1閾値以上であり且つ第2閾値未満の検出面部の汚れ(軽度汚れ)」を洗浄できる。よって、検出面部に付着した軽度汚れを除去した状態で車両が歩行者の近くを通過できる。
【0009】
更に、到達相関値が第2許可相関値よりも大きい場合には洗浄動作が行われないので、洗浄液の消費量を低減することができる。
【0010】
なお、上記説明においては、発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置の概略システム構成図である。
図2図2は、車両制御装置の作動例の説明図である。
図3図3は、図1に示した運転支援ECUのCPUが実行する開始判定ルーチンを示したフローチャートである。
図4図4は、図1に示した運転支援ECUのCPUが実行する許可条件判定ルーチンを示したフローチャートである。
図5図5は、図1に示した運転支援ECUのCPUが実行する洗浄動作ルーチンを示したフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態の第2変形例の洗浄ユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<構成>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両制御装置(以下、「本制御装置」と称呼される。)CDは、車両VAに搭載される。
【0013】
車両制御装置CDは、運転支援ECU10、エンジンECU25及びブレーキECU30を備えている。以下、運転支援ECU10は「DSECU10」と称呼される。
【0014】
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える制御ユニット(Electronic Control Unit)であり、コントローラとも称呼される。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM及びインターフェース(I/F)等を含む。これらのECUは、CAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。これらのECUは、幾つか又は全部が一つのECUに統合されてもよい。
【0015】
更に、車両制御装置CDは、フロントライダ12、物体認識カメラ13、車輪速センサ14、ヨーレートセンサ16、フロントカメラ17、リアカメラ18、左カメラ19、右カメラ20、GNSS受信機21及び車外通信機22を備える。これらは、DSECU10にデータ交換可能に接続されている。
【0016】
フロントライダ12は、車両VAの前方のフロントグリルFGの車幅方向の中央に配設されている。フロントライダ12は、車載センサの一つであり、車両VAの外部に露出した検出面部12Sを備える。フロントライダ12は、車両VAの前方の検出領域に電磁波の一種であるレーザ光を、検出面部12Sを通して照射し、その検出領域に存在する立体物によって反射された反射光を、検出面部12Sを通して受光することにより、その立体物に関する情報を取得する。この立体物に関する情報は「ライダ物体情報」と称呼される。ライダ物体情報は、車両VAと立体物との車両前後方向の縦距離、車両VAに対する立体物の相対速度及び車両VAに対する立体物の方向等を含む。フロントライダ12は、取得した物標情報をDSECU10に送信する。
【0017】
物体認識カメラ13は、車両VAの車室内のフロントウィンドウFWの中央上部に配設されている。物体認識カメラ13は、車両VAの前方の所定の撮影領域からの光(電磁波の一種)を、フロントウィンドウFWを通して図示しない受光素子に導き、この受光素子により上記撮影領域を表す画像(以下、「前方画像」とも称呼される。)を取得する。そして、物体認識カメラ13は、前方画像に基いて、上記撮影領域に存在する物体に関する情報を取得する。この物体に関する情報は「カメラ物体情報」と称呼される。カメラ物体情報は、車両VAと物体との縦距離、その物体が歩行者であるか否かを示す物体の種別、車両VAに対する物体の方向等を含む。
【0018】
車輪速センサ14は車両VAの車輪毎に設けられる。各車輪速センサ14は、対応する車輪が所定角度回転する毎に一つの車輪パルス信号を発生させる。DSECU10は、各車輪速センサ14から受け取った車輪パルス信号の単位時間におけるパルス数をカウントし、そのパルス数に基いて各車輪の回転速度を取得する。そして、DSECU10は、各車輪の車輪速度に基いて車両VAの速度を示す車速Vsを取得する。一例として、DSECU10は、四つの車輪の車輪速度の平均値を車速Vsとして取得する。
【0019】
ヨーレートセンサ16は、車両VAのヨーレートYrを検出し、ヨーレートYrを表す検出信号を発生させる。DSECU10は、ヨーレートセンサ16から検出信号を受け取る。
【0020】
フロントカメラ17、リアカメラ18、左カメラ19及び右カメラ20は、本実施形態の第2変形例で用いられるので、第2変形例で詳細を説明する。
【0021】
GNSS受信機21及び車外通信機22は、本実施形態の第3変形例で用いられるので、第3変形例で詳細を説明する。
【0022】
エンジンECU25は、エンジンアクチュエータ(エンジンAct)26に接続されている。エンジンアクチュエータ26は、エンジン27のスロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU25は、エンジンアクチュエータ26を駆動することによって、エンジン(内燃機関)27が発生するトルクを変更することができる。エンジン27が発生するトルクは、トランスミッション(不図示)を介して駆動輪に伝達されるようになっている。
【0023】
エンジンECU25は、エンジンアクチュエータ26を制御することによって、車両VAの駆動力を制御し加速状態(前後加速度)を変更することができる。なお、車両VAが、ハイブリッド車両である場合、エンジンECU25は、車両駆動源としての「エンジン及び電動機」の何れか一方又は両方によって発生する車両VAの駆動力を制御することができる。更に、車両VAが電気自動車である場合、エンジンECU25は、車両駆動源としての電動機によって発生する車両VAの駆動力を制御することができる。
【0024】
ブレーキECU30は、ブレーキアクチュエータ(ブレーキAct)31に接続されている。ブレーキアクチュエータ31は、車両VAの図示しないブレーキペダルの踏力によって作動油を加圧する図示しないマスタシリンダと、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構32との間の油圧回路に設けられる。摩擦ブレーキ機構32は、車輪に固定されるブレーキディスク32aと、車体に固定されるブレーキキャリパ32bとを備える。
【0025】
ブレーキアクチュエータ31は、ブレーキECU30からの指令に応じてブレーキキャリパ32bに内蔵されたホイールシリンダに供給する油圧を調整し、その油圧によりホイールシリンダを作動させる。これにより、ブレーキアクチュエータ31は、ブレーキパッドをブレーキディスク32aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。従って、ブレーキECU30は、ブレーキアクチュエータ31を制御することによって車両VAの制動力を制御し加速状態(減速度(負の前後加速度))を変更することができる。
【0026】
DSECU10は表示装置40に接続されている。表示装置40は、車両VAの図示しないインストルメントパネルの中央付近に配設される。表示装置40は、DSECU10からの表示指令を受信し、その表示指令に応じた画面を表示する。
【0027】
本制御装置CDは、洗浄ユニット70を備える。洗浄ユニット70は、ライダポンプ71、ライダノズル72、ウィンドウポンプ73、ウィンドウノズル74、及びタンク75を含む。
【0028】
ライダポンプ71は、液管CL1を介して「洗浄液を貯留する容器であるタンク75」と連通しており、液管CL2を介してライダノズル72と連通している。ライダノズル72は、洗浄液を検出面部12Sに向かって噴射可能な位置に配設されている。
【0029】
ウィンドウポンプ73は、液管CL3を介してタンク75と連通しており、液管CL4を介してウィンドウノズル74と連通している。ウィンドウノズル74は、洗浄液をフロントウィンドウFWに向かって噴射可能な位置に配設されている。
【0030】
ライダポンプ71及びウィンドウポンプ73のそれぞれは、DSECU10に接続されており、DSECU10によりその駆動状態が制御される。DSECU10によってライダポンプ71が駆動されると、ライダポンプ71はタンク75から液管CL1を介して洗浄液を取り込み、その洗浄液は液管CL2を介してライダノズル72に供給する。ライダノズル72は、その洗浄液を検出面部12Sに向かって噴射する。同様に、ウィンドウポンプ73が駆動されると洗浄液はウィンドウノズル74に供給され、ウィンドウノズル74は洗浄液をフロントウィンドウFWに向かって噴射する。
【0031】
DSECU10は、検出面部12Sに汚れが付着していると判定したとき、ライダポンプ71を駆動させることにより、検出面部12Sを自動で洗浄する。運転者は、フロントウィンドウFWに汚れが付着していると判断したとき、図示しない洗浄スイッチを操作する。洗浄スイッチが操作されると、DSECU10は、ウィンドウポンプ73を駆動させてフロントウィンドウFWに洗浄液を噴射し、その後、図示しないワイパーを駆動させることにより、フロントウィンドウFWを洗浄する。物体認識カメラ13へと光を透過させる(導く)フロントウィンドウFWの領域に汚れが付着している場合であっても、上記フロントウィンドウFWの洗浄により、当該汚れが除去される。
【0032】
本制御装置CDにおいては、DSECU10は、ライダ物体情報及びカメラ物体情報に基いて、車両VAに衝突する可能性がある物体が存在し且つ所定の衝突条件が成立する場合、衝突前制御を実行する。
衝突条件は、車両VAが物体と衝突するまでにかかる時間が閾値時間以下であるときに成立する。
衝突前制御は、例えば、車両VAが物体と衝突する前に減速させる制御である。DSECU10は、所定の目標減速度(即ち、負の値の前後加速度)を含む減速指令をエンジンECU25及びブレーキECU30に送信する。エンジンECU25は、減速指令を受信した場合、車両VAの前後加速度が上記目標減速度と一致するように、エンジンアクチュエータ26を制御する。ブレーキECU30は、減速指令を受信すると、車両VAの前後加速度が上記目標減速度と一致するように、ブレーキアクチュエータ31を制御する。
【0033】
なお、上記衝突前制御はカメラ物体情報を使用せずにライダ物体情報を用いて実行されてもよい。
更に、DSECU10は、ライダ物体情報及びカメラ物体情報に基いて、周知の車両制御(車線維持制御及びACC(Adaptive Cruise Control)等)を実行可能である。車線維持制御は、車両VAが走行する車線の車幅方向の所定位置に車両VAを位置させたまま車両VAを走行させる制御である。この車線維持制御は、例えば、特開2008-195402号公報、特開2009-190464号公報、特開2010-6279号公報、及び、特許第4349210号明細書等に記載されている。
ACCは、定速走行制御と先行車追従制御の2種類の制御を含む。定速走行制御は、アクセルペダル及びブレーキペダルの操作を要することなく、車両VAの走行速度を目標速度(設定速度)と一致させるように車両VAの加速度を調整する制御である。先行車追従制御は、車両VAの直前を走行している先行車と車両VAとの車間距離を目標車間距離に維持しながら先行車に対して車両VAを追従させる制御である。ACCは、例えば、特開2014-148293号公報、特開2006-315491号公報、及び、特許第4172434号明細書等に記載されている。
【0034】
<作動の概要>
本制御装置CDは、検出面部12Sの汚れの程度を表す汚れ指標値Idを取得している。検出面部12Sの汚れがひどい(激しい、重度である)ほど、汚れ指標値Idは大きくなる。汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であり且つ「第1閾値Id1thよりも大きな第2閾値Id2th」未満である場合、フロントライダ12が立体物を検出できるものの検出面部12Sに軽度の汚れが付着している。汚れ指標値Idが第2閾値Id2th以上である場合、フロントライダ12が立体物を検出できなくなるほどの重度の汚れが検出面部12Sに付着している。
【0035】
本支援装置CDのDSECU10は、汚れ指標値Idが第2閾値Id2th以上である場合、ライダポンプ71を所定の洗浄時間Twにわたって駆動することにより、検出面部12Sを洗浄する。DSECU10が洗浄ユニット(ライダポンプ)に検出面部12Sを洗浄させる動作を「洗浄動作」と称呼する場合もある。
【0036】
DSECU10は、汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であり且つ第2閾値Id2th未満である場合、所定の許可条件が成立すれば上記洗浄動作を実行し、許可条件が成立しなければ上記洗浄動作を実行しない。
【0037】
許可条件は、以下の第1条件、第2条件及び第3条件の何れもが成立するときに成立する。
第1条件:車両VAの前方領域に後述の歩行者地点PPを検出していること。
第2条件:車両VAが歩行者地点PPに到達するまでにかかる到達時間Trが後述する第1許可時間Tpe1以上であること。
第3条件:到達時間Trが後述する第2許可時間Tpe2以下であること。
【0038】
歩行者地点PPについて説明する。
本実施形態では、DSECU10は、ライダ物体情報及びカメラ物体情報に基いて車両VAに対する物体の位置を認識し、カメラ物体情報に基いてその物体が歩行者Pであるか否かを判定している。歩行者地点PPは、DSECU10が認識している歩行者Pのうち車両VAに最も近い歩行者Pの車両VAに対する位置である。DSECU10が認識している歩行者Pが一人である場合、その歩行者Pの車両VAに対する位置が歩行者地点PPとなる。
【0039】
図2に示したように、第1許可時間Tpe1は、洗浄時間Twと所定の最小余裕時間Tdminとを加算した時間であり、第2許可時間Tpe2は、洗浄時間Twと「最小余裕時間Tdminよりも大きな所定の最大余裕時間Tdmax」とを加算した時間である。第2許可時間Tpe2は、第1許可時間Tpe1よりも大きくなる。なお、以下では、最小余裕時間Tdminを「第1余裕時間」と称呼する場合もあり、最大余裕時間Tdmaxを「第2余裕時間」と称呼する場合もある。
最小余裕時間Tdminは、洗浄の終了時点からフロントライダ12の検出精度が回復する時点までの所定の回復時間(洗浄の終了からフロントライダ12の検出精度の回復に必要な時間)よりも長い時間に予め設定されている。
【0040】
検出面部12Sに軽度汚れが付着している場合には、許可条件が成立していることを条件に洗浄動作が実行されるので、遅くとも車両VAが歩行者Pに到達する最小余裕時間Tdmin前には洗浄動作が完了している。これにより、歩行者Pに洗浄液がかかってしまうことを防止することができ、検出面部12Sに付着した軽度汚れを除去した状態で車両VAが歩行者Pの近くを走行することができる。
検出面部12Sに軽度汚れが付着している場合であっても、到達時間Trが第2許可時間Tpe2以下にならなければ、許可条件が成立せず洗浄動作が実行されない。これにより、軽度汚れのための洗浄動作の実行回数を低減することができ、洗浄液の消費量を低減できる。
【0041】
(作動例)
図2を参照しながら、本制御装置CDの作動例を説明する。
本例では、説明を簡略にするために、時点t1乃至時点t3にて車両VAは一定の車速Vsで走行し且つ歩行者Pは移動せず立ち止まっているもの(即ち、歩行者Pの車両VAに対する相対速度は一定である。)、と仮定する。
【0042】
<時点t1>
時点t1にて、DSECU10は、汚れ指標値Id及び到達時間Tr1を取得する。時点t1にて取得される汚れ指標値Idは第1閾値Id1th以上であって且つ第2閾値Id2th未満であり、到達時間Tr1は第2許可時間Tpe2よりも大きい、と仮定する。このため、上記許可条件が成立しないので、DSECU10は、洗浄動作を実行しない。
【0043】
汚れ指標値Idの取得処理を説明する。
フロントライダ12は、フロントライダ12の光源から放出されるレーザ光が検出面部12Sを通って放出されるときに、検出面部12Sによって反射されるレーザ光の反射光の光量を検出する。検出面部12Sが汚れているほど反射光の光量は大きくなる傾向がある。このため、DSECU10は、所定時間が経過する毎にフロントライダ12から反射光の光量を取得し、反射光の光量に基いて汚れ指標値Idを取得する。検出面部12Sの汚れがひどいほど、汚れ指標値Idは大きくなる。
なお、DSECU10は、「検出面部12Sを撮像可能な位置に配設された図示しない汚れ検出用カメラ」から撮像画像を取得し、撮像画像に基いて汚れ指標値Idを取得してもよい。
【0044】
到達時間Tr1の取得処理を説明する。
時点t1にて、DSECU10は、ライダ物体情報及びカメラ物体情報に基いて歩行者Pが存在すると判定している、即ち、歩行者地点PPが存在すると判定している、と仮定する。
この場合、DSECU10は、時点t1における車速Vs及びヨーレートYrに基いて車両VAがこれから走行する経路(走行経路)を推定する。DSECU10は、「時点t1における歩行者Pの相対速度が維持されるとの仮定」下において車両VAが歩行者地点PPに最接近するまでにかかる時間である到達時間Trを、歩行者Pの相対速度に基いて取得する。なお、歩行者Pの相対速度はライダ物体情報に基き特定される。
【0045】
<時点t2>
時点t2にて取得される汚れ指標値Idは第1閾値Id1th以上であって且つ第2閾値Id2th未満であり、到達時間Tr2は第1許可時間Tpe1以上であって且つ第2許可時間Tpe2以下である、と仮定する。この仮定により、上記許可条件が成立するため、DSECU10は、洗浄動作を開始する。
【0046】
時点t3にて、「洗浄動作を開始した時点t2」から洗浄時間Twが経過するので、DSECU10は洗浄動作を終了する。時点t3は、車両VAが歩行者Pに最接近する時点よりも最小余裕時間Tdmin以上前の時点である。このため、歩行者Pに洗浄液がかかってしまうことを防止でき、検出面部12Sに付着した軽度汚れを除去した状態で車両VAが歩行者Pの近くを走行できる。
【0047】
(具体的作動)
<開始判定ルーチン>
DSECU10のCPU(以下、「CPU」と表記した場合、特に断りがない限り、DSECU10のCPUを指す。)は、所定時間が経過する毎に図3にフローチャートにより示した開始判定ルーチンを実行する。
【0048】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図3のステップ300から処理を開始し、ステップ305に進む。ステップ305にて、CPUは、洗浄フラグXwaの値が「0」であるか否かを判定する。
【0049】
洗浄フラグXwaの値は、洗浄動作が実行されていない場合には「0」に設定され、洗浄動作が実行されている場合には「1」に設定される。なお、洗浄フラグXwaの値は、初期化ルーチンにて「0」に設定される。初期化ルーチンは、車両VAの図示しないイグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置へと変更されたときにCPUにより実行される。
【0050】
洗浄フラグXwaの値が「0」である場合、CPUは、ステップ305にて「Yes」と判定し、ステップ310及びステップ315を順に実行する。
【0051】
ステップ310:CPUは、検出面部11Sの反射光の光量に基いて汚れ指標値Idを取得する。
ステップ315:CPUは、汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であって且つ第2閾値Id2th未満であるか否かを判定する。
【0052】
汚れ指標値Idが第1閾値Id1th未満であると仮定すると、CPUは、ステップ315にて「No」と判定し、ステップ320に進む。ステップ320にて、CPUは、汚れ指標値Idが第2閾値Id2th以上であるか否かを判定する。上記仮定では、CPUは、ステップ320にて「No」と判定し、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。従って、汚れ指標値Idが第1閾値Id1th未満である場合には洗浄動作は実行されない。
【0053】
CPUがステップ315に進んだときに汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であって且つ第2閾値Id2th未満である場合、CPUは、ステップ315にて「Yes」と判定し、ステップ325及びステップ330を順に実行する。
【0054】
ステップ325:CPUは、許可条件判定サブルーチンを実行する。実際には、CPUは、ステップ325に進むと、図4にフローチャートにより示したサブルーチンを実行する。このサブルーチンでは、CPUは、許可条件が成立したか否かを判定し、許可条件が成立した場合、許可フラグXpeの値を「1」に設定する。なお、許可フラグXpeの値は、上記初期化ルーチンにて「0」に設定され、洗浄動作の実行が開始された場合にも「0」に設定される。
【0055】
ステップ330:CPUは、許可フラグXpeの値が「1」であるか否かを判定する。
許可フラグXpeの値が「0」である場合、CPUは、ステップ330にて「No」と判定し、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。従って、汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であって且つ第2閾値Id2th未満である場合、許可条件が成立しないとき、洗浄動作は実行されない。
【0056】
CPUがステップ330に進んだときに許可フラグXpeの値が「1」である場合、CPUは、ステップ330にて「Yes」と判定し、ステップ335乃至ステップ355を順に実行する。
【0057】
ステップ335:CPUは、洗浄フラグXwaの値を「1」に設定する。
ステップ340:CPUは、許可フラグXpeの値を「0」に設定する。
【0058】
ステップ345:CPUは、タイマTMの値を「0」に設定する。
タイマTMは、洗浄動作の開始時点から経過した時間をカウントするためのタイマである。
【0059】
ステップ350:CPUは、駆動指令をライダポンプ71に送信する。
ライダポンプ71は駆動指令を受け取ると、タンク75から洗浄液を取り込み、ライダノズル72から洗浄液が噴射される。
【0060】
ステップ355:CPUは、表示指令を表示装置40に送信する。
表示装置40は、表示指令を受け取ると、洗浄動作が実行されていることを表す洗浄中画像を表示する。
【0061】
その後、CPUは、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。従って、汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であって且つ第2閾値Id2th未満である場合、許可条件が成立しているとき、洗浄動作は実行される。
【0062】
洗浄フラグXwaが「1」に設定された後に本ルーチンが開始されると、CPUは、ステップ305にて「No」と判定し、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0063】
汚れ指標値Idが第2閾値Id2th以上である場合、CPUは、ステップ315にて「No」と判定し、ステップ320にて「Yes」と判定し、ステップ335乃至ステップ355を実行する。その後、CPUは、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。従って、汚れ指標値Idが第2閾値Id2th以上である場合、CPUは、許可条件が成立するか否かにかかわらず、洗浄動作を実行する。
【0064】
<許可条件判定サブルーチン>
CPUは、図3に示したステップ325に進むと、図4に示したステップ400から処理を開始し、ステップ405及びステップ410を順に実行する。
ステップ405:CPUは、ライダ物体情報をフロントライダ12から取得し、カメラ物体情報を物体認識カメラ13から取得する。
ステップ410:CPUは、ライダ物体情報及びカメラ物体情報に基いて歩行者地点PPが存在するか否かを判定する。
【0065】
歩行者地点PPが存在しない場合、CPUは、ステップ410にて「No」と判定してステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。その後、CPUは、図3に示したステップ330に進む。歩行者地点PPが存在しない場合には許可条件の第1条件が成立しないため、許可フラグXpeの値は「1」に設定されない。
【0066】
一方、歩行者地点PPが存在する場合、CPUは、ステップ410にて「Yes」と判定し、ステップ415乃至ステップ430を順に実行する。
【0067】
ステップ415:CPUは、車輪速センサ14からの車輪パルス信号に基いて車速Vsを取得し、ヨーレートセンサ16からの検出信号に基いてヨーレートYrを取得する。
ステップ420:CPUは、車速Vs及びヨーレートYrに基いて車両VAの走行経路を推定する。
ステップ425:CPUは、ライダ物体情報に含まれる歩行者Pの相対速度に基いて到達時間Trを取得する。
ステップ430:CPUは、到達時間Trが第1許可時間Tpe1以上であって且つ第2許可時間Tpe2以下であるか否かを判定する。
【0068】
到達時間Trが第1許可時間Tpe1未満である場合、又は、到達時間Trが第2許可時間Tpe2よりも大きい場合、CPUは、ステップ430にて「No」と判定してステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。その後、CPUは、図3に示したステップ330に進む。到達時間Trが第1許可時間Tpe1未満である場合には許可条件の第2条件が成立せず、到達時間Trが第2許可時間Tpe2よりも大きい場合には許可条件の第3条件が成立しないため、許可フラグXpeの値は「1」に設定されない。
【0069】
一方、CPUがステップ430に進んだときに到達時間Trが第1許可時間Tpe1以上であって且つ第2許可時間Tpe2以下である場合、CPUは、ステップ430にて「Yes」と判定し、ステップ435に進む。ステップ435にて、CPUは、許可フラグXpeの値を「1」に設定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。その後、CPUは、図3に示したステップ330に進む。歩行者地点PPが存在し、到達時間Trが第1許可時間Tpe1以上であって且つ第2許可時間Tpe2以下である場合、許可条件の第1条件乃至第3条件の総てが成立するので、許可フラグXpeの値は「1」に設定される。
【0070】
<洗浄動作ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図5にフローチャートにより示した洗浄動作ルーチンを実行する。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図5のステップ500から処理を開始し、ステップ505に進む。ステップ505にて、CPUは、洗浄フラグXwaの値が「1」であるか否かを判定する。
【0071】
洗浄フラグXwaの値が「0」である場合、CPUは、ステップ505にて「No」と判定し、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
洗浄フラグXwaの値が「1」である場合、CPUは、ステップ505にて「Yes」と判定し、ステップ510及びステップ515を順に実行する。
【0072】
ステップ510:CPUは、タイマTMの値に「1」を加算する。
ステップ515:CPUは、タイマTMの値が閾値TMth未満であるか否かを判定する。なお、閾値TMthは、タイマTMの値が閾値TMthと等しくなった場合に洗浄動作の開始時点からの経過時間が洗浄時間Twと等しくなるように、予め設定されている。
【0073】
タイマTMの値が閾値TMth未満である場合、CPUは、ステップ515にて「Yes」と判定し、ステップ520に進む。ステップ520にて、CPUは、駆動指令をライダポンプ71に送信する。その後、CPUは、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0074】
CPUがステップ515に進んだときにタイマTMの値が閾値TMth以上である場合、CPUは、ステップ515にて「No」と判定し、ステップ525乃至ステップ535を順に実行する。
【0075】
ステップ525:CPUは、洗浄フラグXwaの値を「0」に設定する。
ステップ530:CPUは、タイマTMの値を「0」に設定する。
ステップ535:CPUは、完了表示指令を表示装置40に送信する。
表示装置40は、完了表示指令を受け取ると、洗浄動作が終了(完了)したことを表す完了画面を表示する。
その後、CPUは、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0076】
以上により、本制御装置CDは、汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であって且つ第2閾値Id2th未満である場合、許可条件が成立すれば、洗浄動作を実行し、許可条件が成立していなければ、洗浄動作を実行しない。これにより、洗浄液が歩行者にかかることを防止しつつ、車両VAが歩行者の近くを走行するときには検出面部12Sに付着した軽度汚れを除去することができる。
【0077】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。
【0078】
(第1変形例)
上記実施形態では、CPUは、到達時間Trと第1許可時間Tpe1及び第2許可時間Tpe2とを比較することにより、第2条件及び第3条件が成立するか否かを判定した。本変形例に係るDSECU20のCPUは、到達距離Lrと第1許可距離Lpe1及び第2許可距離Lpe2とを比較することにより、第2条件及び第3条件が成立するか否かを判定する。
【0079】
到達距離Lrは、車両VAが歩行者地点PPに到達するまでに走行する距離である。CPUは、「歩行者Pの車両VAに対する位置」、「歩行者Pの相対速度」及び「車両VAの走行経路」に基いて到達距離Lrを取得する。
第1許可距離Lpe1は、車両VAが洗浄時間Twに走行する距離である洗浄距離Lwと所定の最小余裕距離Ldminとを加算した距離である。洗浄距離Lwは、車速Vsに基いて取得される。
第2許可距離Lpe2は、洗浄距離Lwと「最小余裕距離Ldminよりも大きな所定の最大余裕距離Ldmax」とを加算した距離である。
なお、以下では、最小余裕距離Ldminを「第1余裕距離」と称呼し、最大余裕距離Ldmaxを「第2余裕距離」と称呼する場合もある。
【0080】
第2条件は、到達時間Tr又は到達距離Lrに相関を有する到達相関値が第1許可時間Tpe1又は第1許可距離Lpe1に相関を有する第1許可相関値以上であるときに成立する、と表現できる。同様に、第2条件は、到達相関値が第2許可時間Tpe2又は第2許可距離Lpe2に相関を有する第2許可相関値以下であるときに成立する、と表現できる。
【0081】
(第2変形例)
上記実施形態では、フロントライダ12の検出面部12Sに汚れが付着している場合に検出面部12Sが洗浄された。本変形例では、フロントカメラ17の検出面部17S(図6を参照。)に汚れが付着している場合、フロントカメラ17、リアカメラ18、左カメラ19及び右カメラ20のそれぞれの検出面部が洗浄される。
【0082】
フロントカメラ17は、フロントグリルFGの車幅方向の中央のフロントライダ12の下方に配設され、車両VAの前方の所定の撮影領域を撮影する。リアカメラ18は、車両VAのリアグリル(不図示)の車幅方向の中央に配設され、車両VAの後方の所定の撮影領域を撮影する。左カメラ19は、車両VAの左サイドミラー(不図示)に配設され、車両VAの左側の所定の撮影領域を撮影する。右カメラ20は、車両VAの右サイドミラー(不図示)に配設され、車両VAの右側の所定の撮影領域を撮影する。
【0083】
DSECU20は、フロントカメラ17、リアカメラ18、左カメラ19及び右カメラ20が撮影した画像を合成し、車両VAの周囲の任意の仮想視点から車両VAの周囲を視たときの画像(PVM画像)を生成する。PVMは、Panoramic Viewing Monitorの略である。DSECU20は、PVM画像を表示装置40に表示させる。運転者は、PVM画像を見ることにより、車両VAの周囲の状況を容易に把握できる。
【0084】
フロントカメラ17は、車両VAの外部に露出した検出面部17Sを備える。フロントカメラ17は、上記撮影領域からの光(電磁波の一種)を、検出面部17Sを通して図示しない受光素子に導き、この受光素子により上記撮影領域を表す画像情報を取得する。
なお、リアカメラ18、左カメラ19及び右カメラ20も、フロントカメラ17と同様に、検出面部(不図示)を備え、検出面部を通して光を受光素子に導くことにより画像情報を取得する。
【0085】
図6に示したように、本変形例の洗浄ユニット70は、ライダポンプ71の代わりにカメラポンプ76を、ライダノズル72の代わりにフロントカメラノズル82、リアカメラノズル84、左カメラノズル86及び右カメラノズル88を含む。
カメラポンプ76は、液管CL5を介してタンク75と連通している。更に、カメラポンプ76は、液管CL6と、液管CL6の所定位置から液管CL6が分岐した液管CL7、CL8、CL9及びCL10と、を介して、フロントカメラノズル82、リアカメラノズル84、左カメラノズル86及び右カメラノズル88とそれぞれ連通している。カメラノズル82乃至88は、それぞれ、洗浄液をカメラ17乃至20の検出面部に向かって噴射可能な位置に配設されている。カメラポンプ76が駆動すると、カメラノズル82乃至88から洗浄液が噴射され、カメラ17乃至20の検出面部が洗浄される。
【0086】
CPUは、フロントカメラ17が撮影した画像に基いて、検出面部17Sの汚れ指標値Idを取得する。この汚れ指標値Idは、検出面部17Sの全体に対して汚れが占める割合が大きくなるほど大きくなる。なお、検出面部17Sを撮像する汚れ検出用カメラを別途設置して、CPUは、汚れ検出用カメラが撮影した画像に基いて上記汚れ指標値を取得してもよい。
【0087】
CPUは、検出面部17Sの汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であり且つ第2閾値Id2th未満である場合、上記許可条件が成立すれば、カメラポンプ76を駆動させることにより洗浄動作を実行し、上記許可条件が成立しなければ、洗浄動作を実行しない。更に、CPUは、検出面部17Sの汚れ指標値Idが第2閾値Id2th以上であれば、許可条件が成立するか否かにかかわらず、洗浄動作を実行する。
なお、本変形例で用いる第1閾値Id1th及び第2閾値Id2thは、それぞれ、上記実施形態で用いる第1閾値Id1th及び第2閾値Id2thと同じ値であってもよいし、異なる値でもよい。
【0088】
カメラ17乃至20の少なくとも一つの検出面部の汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上であり且つ第2閾値Id2th未満であって更に許可条件が成立するとの条件、及び、当該汚れ指標値Idが第2閾値Id2th以上である条件の少なくとも一方が成立したときに成立する洗浄条件が成立した場合、洗浄動作が実行されてもよい。
更に、カメラ17乃至20の検出面部毎に洗浄動作が実行可能な構成であれば、洗浄条件が成立した検出面部にのみ洗浄動作が実行されてもよい。
更に、上記実施形態と本変形例とを組み合わせることも可能である。
【0089】
(第3変形例)
上記実施形態では、ライダ物体情報及びカメラ物体情報に基いて歩行者地点PPを取得したが、他の情報に基いて歩行者地点PPを取得してもよい。以下に5つの例を説明する。
【0090】
・第1の例
第1の例に係る車両制御装置CDは、道路に設けられた路側装置90(図1を参照。)が有するカメラ91が撮影した画像に基いて歩行者地点PPを特定する。
路側装置90は、所定領域を撮影するカメラ91を有している。更に、路側装置90の位置(緯度、経度)を表す位置情報が路側装置90に予め設定されている。路側装置90は、所定時間が経過する毎に、カメラ91が撮影した画像及び位置情報を含む画像情報を送信する。
【0091】
図1に示したGNSS受信機21は、車両VAの現在位置(緯度、経度)を検出するための「人工衛星からの信号(GNSS信号)」を受信する。DSECU10は、GNSS信号に基いて車両VAの現在位置を特定する。
図1に示した車外通信機22は、車両VAと路側装置90との間の距離が所定距離未満になると、路側装置90からの画像情報を受信する。
【0092】
DSECU10は、車外通信機22が受信した画像情報に含まれる画像に基いて、歩行者が存在するか否かを判定する。DSECU10は、歩行者が存在する場合、路側装置90(即ち、カメラ91)に対する歩行者の位置を特定し、画像情報に含まれる位置情報(路側装置90の位置)及び車両VAの現在位置に基いて、その歩行者の車両VAに対する位置を歩行者地点PPとして特定する。
DSECU10は、上記歩行者Pの車両VAに対する位置の履歴と車速Vsとに基いて歩行者Pの相対速度を取得し、上記相対速度に基いて到達時間Trを取得する。
【0093】
・第2の例
第2の例に係る車両制御装置CDは、路側装置90から送信される「道路の種別を表す種別情報」に基いて歩行者地点PPを特定する。
【0094】
路側装置90は、位置情報及び「路側装置90が設置された道路の種別を表す種別情報」が予め設定されている。道路の種別には、歩行者Pの通行が許可されていない車両専用道路と、歩行者Pの通行が許可されている一般道路とがある。路側装置90は、所定時間が経過する毎に、位置情報及び種別情報を含む路側装置情報を送信する。なお、本例における路側装置90はカメラ91を有さなくてもよい。
【0095】
DSECU10は、車外通信機22が受信した路側装置情報に含まれる種別情報をRAMに記憶している。DSECU10は、RAMに記憶された最新の種別情報が車両専用道路を表している場合、新たに受信した路側装置情報に含まれる種別情報が一般道路を表すとき、この新たに受信した路側装置情報に含まれる位置情報が表す位置を歩行者地点PPとして特定する。
DSECU10は、歩行者地点PPの位置、車両VAの現在位置及び車速Vsに基いて到達時間Trを取得する。
【0096】
・第3の例
第3の例に係る車両制御装置CDは、管理サーバ92から送信される歩行者位置情報に基いて歩行者地点PPを特定する。
管理サーバ92は、ユーザが携帯している携帯端末の現在位置を収集し、その現在位置に関する情報を管理している。
車外通信機22は、ネットワークを介して管理サーバ92にデータ交換可能に接続される。
【0097】
車両制御装置CDは、所定時間が経過する毎に、車両VAの現在位置を含む取得要求を管理サーバ92に送信する。
管理サーバ92は、取得要求を受信すると、取得要求に含まれる現在位置から所定距離以内に存在するユーザの現在位置を特定し、現時点から所定時間前までの期間における各ユーザの移動速度の大きさが閾値以下であるユーザを歩行者Pとして特定する。そして、管理サーバ92は、歩行者Pとして特定したユーザの現在位置を歩行者位置情報として車両制御装置CDへ送信する。
【0098】
車両制御装置CDは、歩行者位置情報を受信すると、車両VAに最も近い歩行者Pの現在位置を歩行者地点PPとして特定する。
なお、車両制御装置CDは、車両VAに最も近い歩行者の位置の履歴と車速Vsとに基いて歩行者Pの相対速度を取得し、上記相対速度に基いて到達時間Trを取得する。
【0099】
・第4の例
第4の例では、管理サーバ92は、所定領域の地図を所定の大きさを有する複数のブロックに区分けし、各ブロックに存在する時間帯毎(例えば1時間)の歩行者の人数を記憶している。車両制御装置CDは、車両VAの現在位置から所定距離以内の各ブロックの現在時刻が含まれる時間の歩行者の人数を含む歩行者情報を管理サーバ92から取得する。そして、車両制御装置CDは、歩行者の人数が「1」以上であるブロックがあるとき、車両VAに最も近いブロックを歩行者地点PPとして特定する。
車両制御装置CDは、歩行者地点PPとして特定されたブロックの位置、車両VAの現在位置及び車速Vsに基いて到達時間Trを取得する。
【0100】
・第5の例
第5の例に係る車両制御装置CDは、車車間通信により他車両93に関する他車両情報を取得し、他車両情報に基き渋滞が発生しているか否かを判定する。車両制御装置CDは、渋滞が発生していると判定した場合、車両VAの現在位置から所定距離以内でイベントが開催されているか否かを判定する。車両制御装置CDは、イベントが開催されている場合、車両VAに最も近く且つ車速が閾値以下の他車両93の位置を歩行者地点PPとして特定する。
【0101】
本例の車外通信機22は、車両VAと他車両93との間の距離が所定距離未満になると、他車両93から他車両情報を受信する。他車両情報は、他車両93の現在位置及び他車両93の車速を含む。
更に、車外通信機22は、ネットワークを介してイベントサーバ(不図示)とデータ交換可能に接続されている。イベントサーバは、イベントの開催地点の位置を管理している。
【0102】
車両制御装置CDは、受信した他車両情報に基いて車速が閾値以下である他車両93が所定台数以上存在する場合、渋滞が発生していると判定する。そして、車両制御装置CDは、イベントサーバから車両VAの現在地から所定距離以内で開催されているイベントの情報を取得することにより、イベントが開催されているか否かを判定する。車両制御装置CDは、上記歩行者地点PPとして特定された他車両93の位置、車両VAの現在位置及び車速Vsに基いて到達時間Trを取得する。
【0103】
(第4変形例)
汚れ指標値Idが第1閾値Id1th以上且つ第2閾値Id2th以上である場合に実行される洗浄動作の洗浄時間Twは、汚れ指標値Idが第2閾値Id2th以上である場合に実行される洗浄動作の洗浄時間Twと同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。
【符号の説明】
【0104】
10…運転支援ECU、12…フロントライダ、12S…検出面部、17…フロントカメラ、17S…検出面部、18…リアカメラ、19…左カメラ、20…右カメラ、70…洗浄ユニット、71…ライダポンプ、72…ライダノズル、75…タンク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6