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特開2022-190305情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190305
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20221219BHJP
   G06F 8/65 20180101ALI20221219BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098570
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊洋
【テーマコード(参考)】
2F129
5B376
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA20
2F129DD20
2F129DD45
2F129DD80
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE67
2F129FF02
2F129FF09
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF80
2F129GG16
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH22
5B376AB01
5B376AB22
5B376CA28
5B376CA33
5B376CA43
5B376CA64
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】車両の更新用データのダウンロードを当該車両の走行中に安定的に実施する。
【解決手段】情報処理装置は、通信速度に基づいて、第1の経路を取得することと、第1の車両について、第1の経路を走行中に第1のデータのダウンロードを行う第1の計画を作成することと、を実行する制御部を備える。制御部は、第1の車両に採用されている第1の通信キャリアの通信速度の分布が示された第1の地図に基づいて、所定の2地点間について、第1の経路を取得する。第1の経路は、第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される経路である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信速度に基づいて、第1の経路を取得することと、
第1の車両について、前記第1の経路を走行中に第1のデータのダウンロードを行う第1の計画を作成することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の車両に採用されている第1の通信キャリアの通信速度の分布が示された第1の地図に基づいて、所定の2地点間について、前記第1の経路を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1の経路として、前記第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される経路を取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の地図は、通信速度に基づいてエリア分けされた地図であり、
前記制御部は、
前記所定の2地点間に存在する前記1又は複数のエリアのうち、より速い通信速度が得られるエリアを通過するように前記第1の経路を取得する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の通信キャリアが複数である場合には、各第1の通信キャリアに対応する各第1の地図に基づいて、前記第1の計画を作成する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記所定の2地点間における複数の経路のそれぞれを走行した場合について、前記第1のデータのデータサイズと、経路が通過する1又は複数のエリアの通信速度とに基づいて、前記第1のデータのダウンロードにかかる時間長を取得し、
前記時間長が最も短い経路を前記第1の経路として取得する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1の通信キャリアが複数である場合には、前記第1のデータのサイズと、各第1の通信キャリアに対応する前記第1の地図とに基づいて、前記所定の2地点間の複数の経路のうち、経路上の各地点で前記複数の第1の通信キャリアについて得られる通信速度の中で最も速い通信速度によって区別される1又は複数の区間それぞれにおいて、前記最も速い通信速度を得られる第2の通信キャリアを用いる場合に、前記第1のデータのダウンロードにかかる第1の時間長が最も短くなる経路を前記第1の経路として取得し、
前記第1の経路上の1又は複数の前記区間それぞれにおいて、前記第2の通信キャリアを用いることを含む前記第1の計画を作成する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1の時間長が最も短くなる経路である第2の経路が複数存在する場合には、前記複数の第2の経路のうち、1又は複数の前記区間それぞれの、前記第2の通信キャリアの
通信速度を前記第2の通信キャリアの契約ユーザ数で割った第1の値の合計値が最も大きくなる第2の経路を前記第1の経路として取得する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記第1の通信キャリアが複数である場合に、各第1の通信キャリアの、通信速度と契約ユーザ数との関係に基づいて、前記第1の経路を取得する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の地図は、通信速度に基づいてエリア分けされた地図であり、
前記制御部は、
前記所定の2地点間に含まれる各第1の通信キャリアの前記1又は複数の前記エリアから、第1の通信キャリアの通信速度を前記所定の2地点間を含む第1の範囲における前記第1の通信キャリアの契約ユーザ数で割った第1の値がより大きいエリアを選択して形成される経路を前記第1の経路として取得し、
前記第1の値が最も大きい第3の通信キャリアの種類で区切られる、前記第1の経路上の1又は複数の区間それぞれについて、前記第3の通信キャリアを前記第1のデータのダウンロードに用いることを含む前記第1の計画を作成する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記所定の2地点間に含まれる複数の経路のうち、前記複数の第1の通信キャリアについての、通信速度を前記所定の2地点間を含む第1の範囲における契約ユーザ数で割った第1の値のうち最も大きい第1の値で区切られる、経路上の1又は複数の区間それぞれの、最大の前記第1の値の合計値が最も大きい経路を前記第1の経路として取得し、
前記第1の経路上の前記1又は複数の区間それぞれについて、前記複数の第1の通信キャリアのうち前記第1の値が最も大きくなる第3の通信キャリアを前記第1のデータのダウンロードに用いることを含む前記第1の計画を作成する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
1又は複数の前記区間それぞれの最大の前記第1の値の合計値が最も大きい経路が複数存在する場合には、前記第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短い経路を前記第1の経路として取得する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1の地図は、通信速度に基づいてエリア分けされた地図であり、
前記第1の通信キャリアは複数であり、
前記制御部は、
各第1の通信キャリアの前記第1の地図を参照し、各第1の通信キャリアの通信速度と、各第1の通信キャリアの通信速度と契約ユーザ数との関係と、に基づいて、前記第1の経路を取得する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1のデータは、前記第1の車両に搭載されるECU(Electronical Control Unit)に関する第1のプログラムの更新用データであり、
前記制御部は、
少なくとも前記更新用データの配信開始日時を含む第1のデータに関する情報を取得し、
前記第1のプログラムの更新の重要度が高い場合に、前記更新用データの配信開始日時以降の最も早い時間に前記第1の計画を作成する、
請求項1から13のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第1のデータは、前記第1の車両に搭載されるECU(Electronical Control Unit)に関する第1のプログラムの更新用データであり、
前記制御部は、前記第1の車両が走行をしていない時間帯に、前記第1のプログラムの前記更新用データによる更新を実行するように、前記第1の計画を作成する、
請求項1から14のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
通信速度に基づいて、第1の車両について、第1の経路を取得することと、
前記第1の車両について、前記第1の経路を走行中に第1のデータのダウンロードを行う第1の計画を作成することと、
を含む情報処理方法。
【請求項17】
前記第1の車両に採用されている第1の通信キャリアの通信速度の分布が示された第1の地図に基づいて、前記第1の経路を取得する、
請求項16に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記第1の経路として、前記第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される経路を取得する、
請求項17に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記第1の通信キャリアが複数である場合に、各第1の通信キャリアの1又は複数のエリアについての、第1の通信キャリアの通信速度と契約ユーザ数との関係に基づいて、前記第1の経路を取得する、
請求項18に記載の情報処理方法。
【請求項20】
第1の車両と、
通信速度に基づいて、前記第1の車両について、第1の経路を取得することと、
前記第1の車両について、前記第1の経路を走行中に第1のデータのダウンロードを行う第1の計画を作成することと、
を実行する制御部を情報処理装置と、
を含む情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ECUの更新プログラムの配信を制御する制御装置が、ダウンロード開始前の所定時点における車両の通信状態と、当該所定時点からダウンロード完了までの車両の通信状態と、が良好である場合に、更新プログラムのダウンロードを開始することが開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-228103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示の態様の一つは、車両の更新用データのダウンロードを当該車両の走行中に安定的に実施可能な情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
通信速度に基づいて、第1の経路を取得することと、
第1の車両について、前記第1の経路を走行中に第1のデータのダウンロードを行う第1の計画を作成することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置である。
【0006】
本開示の他の態様の一つは、
通信速度に基づいて、第1の経路を取得することと、
第1の車両について、前記第1の経路を走行中に第1のデータのダウンロードを行う第1の計画を作成することと、
を含む情報処理方法である。
【0007】
本開示の他の態様の一つは、
第1の車両と、
通信速度に基づいて、第1の経路を取得することと、
前記第1の車両について、前記第1の経路を走行中に第1のデータのダウンロードを行う第1の計画を作成することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置と、
を含む情報処理システムである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様の一つによれば、車両の更新用データのダウンロードを当該車両の走行中に安定的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、リリースNOTEの一例である。
図3図3は、通信速度地図の一例である。
図4図4は、管制センタのコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図5図5は、管制センタのコンピュータの機能構成の一例を示す図である。
図6図6は、管制センタのスケジュール情報データベースに保持されるスケジュールに関する情報の一例である。
図7図7は、管制センタの車両情報データベースに保持される車両情報の一例である。
図8図8は、管制センタのリリースNOTE受信による更新スケジュールの作成処理のフローチャートの一例である。
図9図9は、第1の経路の取得処理のフローチャートの一例である。
図10図10は、第1の経路の取得処理のフローチャートの一例である。
図11図11は、2つの通信キャリアの同じ範囲内の通信速度地図を重ね合わせた図の一例である。
図12図12は、第2実施形態に係る第1の経路の取得処理のフローチャートの一例である。
図13図13は、第2実施形態に係る第1の経路の取得処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の態様の一つは、制御部を備える情報処理装置である。制御部は、通信速度に基づいて、第1の経路を取得する。制御部は、第1の車両に採用されている第1の通信キャリアの通信速度の分布が示された第1の地図に基づいて、所定の2地点間について、第1の経路を取得してもよい。制御部は、第1の車両について、第1の経路を走行中に第1のデータのダウンロードを行う第1の計画を作成する。
【0011】
第1の車両は、例えば、自律走行車両又は自動走行車両である。情報処理装置は、例えば、第1の車両の走行を管理するコンピュータであり、サーバ、又は、第1の車両に搭載されるコンピュータである。制御部は、例えば、CPU(Control Processing Unit)等
のプロセッサである。第1の地図は、例えば、通信速度地図と呼ばれる。第1の地図は、例えば、各地点における通信速度の測定結果に基づいて、エリア分けされている。第1の地図は、通信キャリアごとにインターネット上に公開されている。ただし、これに限られず、第1の地図は、例えば、地図上の、通信キャリアによって提供される、所定の移動体無線通信方式における理論上の受信時の最大速度の複数のレベルによるエリア分けを示すものであってもよい。所定の移動体無線通信方式は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、及び、5G等である。第1の地図は、通信キャリアと移動体無線通信方式ごとに
存在する。
【0012】
本開示の態様の一つによれば、通信速度に基づいて、第1の車両の走行中に第1の車両が第1のデータのダウンロードを行う第1の計画が作成される。例えば、第1の地図に基づいて、第1の経路が取得されることによって、第1の経路が安定的に通信可能なエリアを通過する経路となる可能性が高まり、第1の車両の走行中に第1のデータのダウンロードを安定的に行うことができる。
【0013】
本開示の態様の一つでは、制御部は、第1の経路として、第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される経路を取得てもよい。これによって、第1
の車両が所定の2地点間の第1の経路を走行中に、第1のデータのダウンロードを完了できる可能性が高くなる。
【0014】
第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される経路の一例は、当該所定の2地点間において、より速い通信速度が得られるより速いエリアを通過する経路であってもよい。エリアは、例えば、第1の地図において、通信速度に基づいて分けられたエリアである。
【0015】
通信速度が速いほどダウンロードにかかる時間が短くなる。そのため、通信速度がより速いエリアを通過するように経路を作成することによって、第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される経路を取得することができる。
【0016】
第1の車両に採用されている第1の通信キャリアが複数である場合には、制御部は、各第1の通信キャリアに対応する各第1の地図に基づいて、第1の経路を取得してもよい。具体的には、制御部は、所定の2地点間に存在する各第1の通信キャリアの1又は複数のエリアのうち、複数の第1の通信キャリアの中でより速い通信速度を得られる第2の通信キャリアのエリアを通過するように第1の経路を取得してもよい。制御部は、第1の経路上の第2の通信キャリアの種類で区別される1又は複数の区間それぞれについて、第1の通信キャリアを用いることを含む第1の計画を作成してもよい。これによって、第1の車両が第1の経路を走行する場合には、走行位置において最も速い通信速度を得られる第1の通信キャリアを用いることになる。したがって、第1の車両の走行中に第1のデータのダウンロードを安定的に行うことができる。
【0017】
第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される第1の経路の一例は、所定の2地点間において、第1のデータのダウンロードにかかる時間長が最も短い経路であってもよい。第1のデータのダウンロードにかかる時間長は、第1のデータのサイズと、経路が通過する1又は複数のエリアの通信速度とに基づいて、取得されてもよい。これによって、より精度良く、第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなると予測される経路を取得することができる。
【0018】
第1の車両に採用されている第1の通信キャリアが複数である場合には、制御部は、第1のデータのサイズと、各第1の通信キャリアに対応する第1の地図とに基づいて、第1の経路を取得してもよい。具体的には、制御部は、所定の2地点間の複数の経路のうち、1又は複数の区間それぞれにおいて、第2の通信キャリアを用いる場合に第1のデータのダウンロードにかかる第1の時間長が最も短くなる経路を第1の経路として取得する。第2の通信キャリアは、第1の車両に採用されている第1の通信キャリアのうち、ある地点において最も速い通信速度が得られる通信キャリアである。経路上の区間は、各地点において、第1の車両に採用されている複数の第1の通信キャリアそれぞれについて得られる通信速度のうち最も速い通信速度によって区別される区間である。制御部は、第1の経路上の1又は複数の区間それぞれにおいて、第2の通信キャリアを用いることを含む第1の計画を作成してもよい。これによって、所定の2地点間において、第1のデータのダウンロードにかかる第1の時間が最も短くなる経路を、どの通信キャリアを用いるかという観点を考慮して、取得することができる。
【0019】
また、制御部は、第1の時間長が最も短くなる経路である第2の経路が複数存在する場合には、複数の第2の経路のうち、第1の値の合計値が最も大きくなる第2の経路を第1の経路として取得する。第1の値は、1又は複数の区間それぞれの、各区間において複数の第1の通信キャリアのうち最も速い通信速度を得られる第2の通信キャリアの通信速度を当該第2の通信キャリアの契約ユーザ数で割った値である。これによって、第1のデータのダウンロードにかかる第1の時間が最も短くなる経路が複数存在する場合でも、各第
1の通信キャリアの契約ユーザ数を考慮して、第1の経路を取得することができる。
【0020】
本開示の態様の一つでは、制御部は、第1の車両に採用されている第1の通信キャリアが複数である場合に、各第1の通信キャリアの、通信速度と契約ユーザ数との関係に基づいて、第1の経路を取得してもよい。例えば、第1の地図によって公開されている通信速度が実際に得られるかは保証されておらず、実際に得られる通信速度は、経験的に、所定の地理的範囲内において契約ユーザ数が多いほど低くなる傾向がある。例えば、2つの通信キャリアについて、所定の地点において第1の地図では同じ通信速度が得られるとあっても、契約ユーザ数が少ない方の通信キャリアの方が実際の通信速度が速くなる傾向がある。
【0021】
すなわち、第1の通信キャリアの契約ユーザ数と通信速度とには、所定の関係が存在する。したがって、通信キャリアの契約ユーザ数と通信速度との関係に基づいて、第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短くなると予測される第1の経路を取得することができる。なお、通信キャリアの契約ユーザ数は、例えば、地方単位、都道府県単位、又は、市区町村単位で、通信キャリアによって公開されている。
【0022】
通信キャリアの契約ユーザ数と通信速度との関係は、例えば、通信速度を当該所定の2地点間を含む第1の範囲における第1の通信キャリアの契約ユーザ数で割った第1の値で表されてもよい。制御部は、所定の2地点間に含まれる各第1の通信キャリアの1又は複数のエリアから、第1の値がより大きいエリアを選択して形成される経路を第1の経路として取得してもよい。または、制御部は、所定の2地点間に含まれる複数の経路のうち、1又は複数の区間それぞれの最大の第1の値の合計値が最も大きい経路を第1の経路として取得してもよい。経路上の区間は、各地点における最も大きい値となる第1の値によって区切られた区間である。制御部は、第1の経路上の1又は複数の区間それぞれについて、第1の車両に採用されている第1の通信キャリアのうち第1の値が最も大きくなる第3の通信キャリアを第1のデータのダウンロードに用いることを含む第1の計画を作成してもよい。
【0023】
通信速度を通信キャリアの契約ユーザ数で割った第1の値は、当該通信キャリアにおいて1契約ユーザ当たりの通信速度を示すこととなり、通信キャリア間で契約ユーザが実際に得られる通信速度の大小を比較する指標となり得る。通信速度を通信キャリアの契約ユーザ数で割った第1の値が大きいほど、実際の通信速度が高い傾向がある。したがって、通信速度を通信キャリアの契約ユーザ数で割った第1の値を用いて取得された第1の経路を走行した場合には、各区間で最も実際の通信速度が速くなる可能性がある第3の通信キャリアを用いることになる。
【0024】
本開示の態様の一つでは、制御部は、第1の車両に採用されている複数の第1の通信キャリアそれぞれの第1の地図を参照し、各第1の通信キャリアの通信速度と、各第1の通信キャリアの通信速度と契約ユーザ数との関係と、に基づいて、第1の経路を取得してもよい。例えば、制御部は、1又は複数の区間それぞれの最大の第1の値の合計値が最も大きい経路が複数存在する場合には、第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短い経路を第1の経路として取得してもよい。これによって、精度良く、第1のデータのダウンロードにかかる時間が最も短いと予測される第1の経路を取得することができる。
【0025】
本開示の態様の一つでは、第1のデータは、第1の車両に搭載されるECU(Electronical Control Unit)に関する第1のプログラムの更新用データであってもよい。この場
合に、制御部は、少なくとも更新用データの配信開始日時を含む第1のデータに関する情報を取得してもよい。制御部は、第1のプログラムの更新の重要度が高い場合に、更新用データの配信開始日時以降の最も早い時間に第1の計画を作成してもよい。また、制御部
は、第1の車両が走行をしていない時間帯に、第1のプログラムの更新用データによる更新を実行するように、第1の計画を作成してもよい。これによって、第1の車両は、重要度が高い第1のプログラムの更新用データを配信開始日時以降のより早い時間にダウンロードすることができる。また、第1の車両の走行中に第1のプログラムの更新用データをダウンロードすることによって、第1の車両が走行していない状態になってすぐに第1のプログラムの更新を実行することができる。例えば、第1の車両が走行をしていない状態の時間が短い場合でも第1のプログラムの更新を完了させることができる。
【0026】
本開示の他の態様は、上述の情報処理装置の処理を含む情報処理方法、コンピュータに上述の情報処理装置の処理を実行させるためのプログラム、及び、当該プログラムを記録する非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、本開示の他の態様は、第1の車両と、上述の情報処理装置とを含む情報処理システムとしても特定することができる。
【0027】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0028】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の情報処理システム100のシステム構成の一例を示す図である。情報処理システム100は、車両2と、車両センタ3のコンピュータと、管制センタ4のコンピュータとを有する。以下、車両センタ3のコンピュータ、及び、管制センタ4のコンピュータを単に車両センタ3、及び、管制センタ4とも呼ぶ。車両2と、車両センタ3と、管制センタ4とはネットワークN1で接続される。
【0029】
ネットワークN1は、有線ネットワーク、及び、無線ネットワークを含む。有線ネットワークは、例えば、コアネットワーク、バックボーン等とも呼ばれ、光ファイバ網等で例示されるブロードバンドネットワークである。無線ネットワークは、例えば、Long Term Evolution(LTE)、第5世代移動通信システム(5G)、第6世代移動通信システム
(6G)等の携帯電話網を含む。
【0030】
車両2は、例えば、車両である。車両は4輪でも、3輪でも、2輪でもよい。車両はエンジンで駆動されるものでもよいし、モータで駆動されるものでもよい。車両は自律走行可能または自動走行可能な自動運転システムを搭載した車両でもよい。車両2は、「第1の車両」の一例である。
【0031】
図1のように、車両2は、Data Communication Module(DCM)21と、Central Electrical Control Unit(Central ECU)22と、User Interface (UIF)装置23と、予防安全装置24と、Advanced Drive System(ADS)25と、音・映像・NAV
I装置26とを有する。
【0032】
DCM 21は、ネットワークN1にアクセスし、他の移動体、車両センタ3、または、管制センタ4等と通信する。DCM 21は、移動体通信網を介した無線通信が可能である。
【0033】
Central ECU 22は、車両2内の各機器を管理する。Central ECU22は、例えば、プロセッサとメモリを有する。プロセッサはメモリ上のコンピュータプログラムを実行し、Central ECU 22としての処理を実行する。Central ECU 22は、例えば、車両2内の各機器に搭載されたECUで実行されるコンピュータプログラムを更新し、更新の進捗を管理する。また、Central ECU 22は、コンピュータプログラム
を更新したときのエラーを検出し、エラー発生時の処理を実行する。Central ECU
22とDCM 21の組み合わせは車両に搭載されたコンピュータの一例である。
【0034】
UIF装置23は、例えば、車両2内の各機器に搭載されたECUで実行されるコンピュータプログラムを更新するときに、ユーザインターフェースを提供する。ユーザインターフェースは、リプログラミングHuman Machine Interface(リプロHMI)とも呼ばれる
。UIF装置23も、Central ECU 22と同様のECUを有する。Central ECU
22、UIF装置23内のECU等は、共通ECU群と呼ぶことができる。
【0035】
予防安全装置24は、ECUを内蔵し、コンピュータプログラムの処理により衝突回避支援処理を実行する。予防安全装置24は、レーダ、及び、カメラ等のセンサからの信号を基に、例えば、衝突の回避のサポート、車線逸脱の報知、オートマチックハイビーム、レーダークルーズコントロール等を実行する。
【0036】
ADS 25には、Spatial Information Service(SIS)27、及び、Advanced Drive Extension(ADX)28等が接続される。ADS 25、SIS 27、及び、A
DX 28は、それぞれECUを内蔵し、コンピュータプログラムの処理により高度で先進的な運転支援処理を実行する。ADS 25は、例えば、Light Detection and Ranging(LiDAR)からの検出信号により車両2の周辺の車両または立体物等を検知し、車
両2自身の位置を推定し、運動制御を実行する。
【0037】
SIS 27は、車両2自身の姿勢、及び、地図上の位置等をADS 25に提供する。すなわち、SIS 27は、global navigation satellite system(GNSS)またはglobal positioning system(GPS)からの位置情報、ジャイロセンサからの6軸の加
速度信号、ナビゲーションシステムからの経路情報または地図情報等を取得する。SIS
27は、取得した情報を基に車両2自身の姿勢、及び、地図上の位置等を計算する。ADX 28は、Artificial Intelligence(AI)システムを適用し、上記の様々なセンサ
等からの情報を認識し、処理し、処理結果をADS 25に通知する。
【0038】
音・映像・NAVI装置26には、Automated Mapping Platform(AMP)29、MET 2A、及び、Rear Seat Entertainment(RSE)2Bが接続される。音・映像・N
AVI装置26、AMP 29、MET 2A、及び、RSE 2BはそれぞれECUを内蔵し、コンピュータプログラムの処理により、車両2の利用者に音、映像、及び、地図情報等による様々な機能を提供する。
【0039】
AMP 29は、車両2に搭載したカメラ等のセンサで収集した画像などのデータから地図情報を生成する。RSE 2Bは、車両2が後部座席を有する車両の場合に、車室内の後席で、独立してテレビジョン放送、及び、Digital Versatile Disc(DVD)映像などを後席に着座する利用者に提供する。
【0040】
以上の予防安全装置24、ADS25、及び、音・映像・NAVI装置26のECUと、これらに接続される各装置のECUは、個別ECU群と呼ぶことができる。Central ECU 22は、個別ECU群に搭載されるコンピュータプログラムの更新の進捗と更新時のエラーを管理する。
【0041】
車両センタ3は、車両2を販売し、または、車両2を保守する会社等の組織またはその会社等から委託を受けた会社等により運用される。車両センタ3は、これらの会社等が販売し、または、保守するすべての移動体に搭載されるECU等の部品を管理する。また、車両センタ3は、これらのECUそれぞれで実行されるコンピュータプログラムの種類とバージョンを管理する。車両センタ3は車両2等にコンピュータプログラムを更新するための更新用データを配信する。更新用データは単に更新プログラムということもできる。
【0042】
管制センタ4は、それぞれの車両2の走行、及び、保守等を管理する。管制センタ4は、例えば、フリートマネジメントサービス(FMS)を提供するFMS会社のコンピュータである。管制センタ4は、非定期で利用されるサービス、例えば、ライドシェアサービスにおける車両2の走行開始日時、走行終了日時、及び、保守日時を含むシェアリングでの利用のスケジュールを管理する。また、管制センタ4は、レンタルで利用される車両2の貸し出しのスケジュールを管理する。管制センタ4は、スケジュールを適時更新し、車両2に配布し、車両2の運行を管理する。以下、スケジュールと称する場合には、例えば、一日、一週間、及び、一カ月等の全体的な予定を指す場合、及び、所定の2地点間の移動、及び、プログラムの更新等の1又は複数のイベントを実行する1つのアイテムを示す場合がある。例えば、「スケジュールを作成する」、「スケジュールを計画する」という場合には、スケジュールの一つのアイテムについて言及している。
【0043】
上記の通り、車両2は、ECUを内蔵する様々な部品を搭載する。各部品内のECUで実行されるコンピュータプログラムは、改良または不具合対策に伴う更新を受ける。ところで、車両2は安全性が要求される。そのため、車両2に搭載されたECU用のコンピュータプログラムの更新は、車両2が走行を停止した保守期間中に実行される。
【0044】
車両センタ3は、各ECUのコンピュータプログラムについての最新の更新内容と更新用データの配信のスケジュールをリリースNOTEの形式で、管制センタ4に通知する。管制センタ4は、リリースNOTEを受信すると、それぞれの車両2のスケジュールに、各ECUのコンピュータプログラムの更新を組み込む。すなわち、管制センタ4は、各車両2が走行していない保守期間中に各ECUのコンピュータプログラムの更新が完了するように車両2のスケジュールを計画する。管制センタ4は、確定したスケジュールを車両2に通知し(図1の計画配信)、それぞれのECUのコンピュータプログラムの更新を実行させる。
【0045】
車両2のDCM 21は、ネットワークN1を介して、車両センタ3、及び、管制センタ4と通信する。DCM 21は、管制センタ4からコンピュータプログラムの更新を含むスケジュールを受信する(図1の計画配信)。Central ECU 22は、DCM 21と例えば、Ethernet(登録商標)によって例示される移動体内のネットワークで接続される。
【0046】
DCM 21は、受信したスケジュールにしたがって、車両センタ3にアクセスし、コンピュータプログラムを更新するための更新用データを取得し、Central ECU 22に転送する。Central ECU 22は、車両2が停止中の保守期間中に共通ECU群、及び、個別ECU群を含む各ECUのコンピュータプログラムを更新する。DCM 21は、Central ECU 22による各ECUの更新が完了すると、完了報告を管制センタ4に通知する。
【0047】
UIF装置23は、例えば、Controller Area Network(CAN(登録商標))で例示される移動体内のネットワークによってCentral ECU 22と接続される。UIF装置23は、リプロHMIを介して、利用者の操作による確認の入力を受け付けてもよい。すなわち、Central ECU 22は、UIF装置23でユーザにコンピュータプログラムの更新開始の確認を求め、確認が得られた後に、更新を開始してもよい。なお、UIF装置23自身も、Central ECU 22から更新用データを取得し、UIF装置23のコンピュータプログラムを更新する。
【0048】
予防安全装置24は、例えば、Controller Area Network with Flexible Data rate (
CAN-FD(CANは登録商標))で例示される車両2内のネットワークによってCentr
al ECU 22と接続される。予防安全装置24は、Central ECU 22からコンピ
ュータプログラムの更新用データを受け、更新を実行する。そして、予防安全装置24は、更新に伴うステータスをCentral ECU 22に報告する。
【0049】
ADS 25と音・映像・NAVI装置26は、例えば、Ethernet(登録商標)で例示される移動体内のネットワークでCentral ECU 22と接続される。ADS 25と音・映像・NAVI装置26は、それぞれ、Central ECU 22からコンピュータプログラムの更新用データを受ける。そして、ADS25と音・映像・NAVI装置26は、それぞれ、自身、及び、配下のECUのコンピュータプログラムの更新を実行する。ADS 25と音・映像・NAVI装置26は、更新に伴うステータスをCentral ECU 22に報告する。
【0050】
第1実施形態では、管制センタ4は、車両センタ3からのリリースNOTEに含まれる更新が重要度の高いものである場合に、更新用データの配信開始日時後できるだけ早く車両2に当該更新を行わせるためのスケジュールを作成する。重要度の高い更新は、例えば、走行及び安全に係る予防安全装置24及びADS 25に係る更新、及び、障害の復旧に係る更新等である。具体的には、管制センタ4は、更新用データの配信開始日時後において、車両2に走行中に更新用データをダウンロードさせ、その後の走行していない保守期間中に更新を行わせるスケジュールを作成させる。なお、プログラムの更新処理には、更新用データのダウンロードと、更新用データによるデータの書き換えの処理とが含まれる。ただし、第1実施形態では、「更新のスケジュール」と表記する場合には、更新用データによるデータの書き換えの処理のスケジュールを示すこととする。なお、プログラムの更新処理は、新たなプログラムのインストールである場合もあり、この場合には、プログラムの書き換えの代わりにプログラムのインストール処理が行われることとなる。
【0051】
車両2に走行中に更新用データをダウンロードさせる場合には、ダウンロードの途中で通信が途絶したりしないように、車両2には安定して通信可能な経路を走行させた方がよい。第1実施形態では、安定して通信可能な経路を、更新用データをより短い時間でダウンロードできる経路とする。管制センタ4は、更新用データをより短い時間でダウンロードできる経路を取得し、当該経路を走行中に更新用データをダウンロードさせるスケジュールを作成し、車両2へ通知する。
【0052】
第1実施形態では、管制センタ4は、更新用データをより短い時間でダウンロードできる経路を通信速度に基づいて取得する。通信速度は、例えば、インターネット上で公開されている通信速度地図から取得される。通信速度地図は、例えば、通信キャリアが提供する所定の移動体通信方式において得られる、各地点での下り通信速度の測定結果を地図上にプロットしたものであってもよい。ただし、これに限定されず、通信速度地図は、理論上の下りの通信速度を示すものであってもよい。なお、下りの通信速度とは、基地局から端末の方向への通信の速度であって、受信通信速度とも呼ばれる。
【0053】
図2は、リリースNOTEの一例である。リリースNOTEは、車両センタ3から管制センタ4に送信される。図2に示される例では、リリースNOTEは、“キーワード:値”の形式で、キーワードに対する値が指定されている。また、図2に示される例では、“キーワード:値”の組が中括弧“{}”で閉じられて、階層的に記述されている。
【0054】
図2に示される例では、リリースNOTEには、キーワードとして、車両の種別(vehicle type)、リリースされるシステムのバージョン(System Version)、配信開始日時(release date)、ECUの種別(ECU type)、リリースされるプログラムの種類(Program type)、リリースされるプログラムのバージョン(Version)、及び、更新用データ
のサイズ(Volume)が含まれている。
【0055】
すなわち、図2に示される例では、E-palette G0という種別の車両2の、V07-01のバージョンのシステムについて、ddmmmyyyyという日時に更新用データの配信が開始されるこ
とを示すリリースNOTEである。ここで、システムのバージョン(System Version)は、車両2にインストールされるコンピュータプログラム群全体に付与されるバージョンである。また、このリリースNOTEには、ECUの種別(ECU type)ごとに、プログラムの種類、バージョン、更新用データのデータサイズ(データ量、Volume)等が記述さている。例えば、Central ECUのプログラムであるPC1のバージョンはV07-01-1であり、デ
ータサイズがV1 MBであることが分かる。
【0056】
なお、リリースNOTEの形式は、図2に示される例に限定される訳ではない。例えば、リリースNOTEは、HyperText Markup Language(HTML)、または、Extensible Markup Language(XML)等の規定のフォーマットで記述されてもよい。また、リリー
スNOTEは、複数の要素を含むレコードを配列した表形式で記述されてもよい。
【0057】
図3は、通信速度地図の一例である。図3は、ある通信キャリアの所定の移動体通信方式における通信速度地図である。通信速度地図は、通信キャリアによって得られる通信速度の範囲によってエリア分けされた地図である。図3に示される例では、X1MbpsからX2Mbps(X1<X2)の範囲と、Y1KbpsからY2Kbps(Y1<Y2)の範囲との2つの範囲でエリア分けされている。
【0058】
図3に示される例では、X1MbpskからX2Mbps(X1<X2)の範囲の通信速度が得られるエリアがエリア81、エリア82、及び、エリア83である。図3に示される範囲のうち、エリア81、エリア82、及び、エリア83以外の範囲は、Y1KbpsからY2Kbps(Y1<Y2)の範囲の通信速度が得られるエリアである。
【0059】
図3に示される例のように、通信速度地図が所定の通信速度の範囲複数でエリア分けされている場合には、各エリアにおいて得られる通信速度として、対応する通信速度の範囲のうち、例えば、最小値、最大値、中央値、又は、平均値のいずれかが代表値として用いられる。以降、エリアで得られる通信速度、又は、エリアの通信速度と称する場合には、該当するエリアの通信速度の範囲の代表値を示すこととする。エリアの通信速度の代表値は、情報処理システム100において、各通信キャリア及び各移動体通信方式について、共通していることとする。なお、図3に示される通信速度地図は一例であって、通信速度地図は図3に示されるものに限定されない。通信速度地図は、「第1の地図」の一例である。
【0060】
図4は、管制センタ4のハードウェア構成の一例を示す図である。管制センタ4は、例えば、サーバである。管制センタ4は、ハードウェア構成として、CPU 401、メモリ 402、補助記憶装置403、及び、通信部404を備える。管制センタ4のコンピュータは、「情報処理装置」の一例である。
【0061】
CPU 401は、インタフェース(I/F)を通じて、外部機器と接続し、プログラムを実行して所定の処理を実行する。CPU 401は、プロセッサの一つである。CPU 401は、単一のプロセッサに限定されず、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、CPU 401は、Graphics Processing Unit(GPU)、及び、Digital Signal
Processor(DSP)等を含むものであってもよい。また、CPU 401は、Field Programmable Gate Array(FPGA)等のハードウェア回路と連携するものでもよい。イ
ンタフェース(I/F)を通じてCPU 401と接続する外部機器としては、補助記憶装置403、及び、通信部404がある。その他に、インタフェース(I/F)を通じて、例えば、ディスプレイ等の出力装置、及び、キーボード及びマウス等の入力装置がCP
U 401に接続されてもよい。CPU 401は、「制御部」の一例である。
【0062】
CPU 401は、メモリ402に実行可能に展開されたコンピュータプログラムを実行し、管制センタ4の機能を提供する。メモリ402は、CPU 401が実行するコンピュータプログラム、及び、CPU 401が処理するデータ等を記憶する。メモリ402は、Dynamic Random Access Memory(DRAM)、Static Random Access Memory(S
RAM)、及び、Read Only Memory(ROM)等である。補助記憶装置403は、例えば、メモリ402を補助する記憶領域として使用される。補助記憶装置403は、CPU 401が実行するコンピュータプログラム、及び、CPU 401が処理するデータ等を記憶する。外部記憶装置403は、ハードディスクドライブ、及び、Solid State Disk(SSD)等である。管制センタ4には、着脱可能記憶媒体の駆動装置が設けられてもよい。着脱可能記憶媒体は、例えば、ブルーレイディスク、Digital Versatile Disk(DVD)、Compact Disc(CD)、及び、フラッシュメモリカード等である。
【0063】
通信部404は、ネットワーク上の他の装置とデータを授受する。例えば、通信部404は、ネットワークN1を介して、DCM 21と通信する。通信部404は、例えば、LAN(Local Area Network)や専用線等の有線のネットワークカードであり、当該LAN等のアクセスネットワークを通じてネットワークN1に接続する。管制センタ4のハードウェア構成は、図4に示されるものに限定されない。
【0064】
車両センタ3も管制センタ4と同様に、CPU、メモリ、補助記憶装置、及び、通信部を備える。DCM 21は、CPU、メモリ、補助記憶装置、及び、無線通信部を備える。DCM 21が備える無線通信部は、例えば、5G、LTE、LTE-Advanced、及び、3G等の移動体通信方式、又は、WiFi等の無線通信方式に対応する無線通信回路である。無線通信部は、無線通信によってアクセスネットワークに接続し、当該アクセスネットワークを通じてネットワークN1に接続する。
【0065】
図5は、管制センタ4の機能構成の一例を示す図である。管制センタ4は、機能構成として、制御部41、車両情報データベース(DB)42、及び、スケジュール情報DB 43を備える。これらの機能構成要素は、例えば、管制センタ4のCPU 404が所定のプログラムを実行することによって達成される。
【0066】
制御部41は、車両2の走行を管理する。制御部41は、通信部404を通じて、車両センタ3からリリースNOTEを受信する。車両2は、リリースNOTEを受信すると、プログラムの更新の対象となる車両2を抽出し、それぞれについて更新のスケジュールを作成する。第1実施形態では、制御部41は、重要度が高い更新については、当該更新をできるだけ早く実施させるように制御部41のスケジュールを作成する。それ以外の更新については、制御部41は、例えば、リリースNOTEの配信開始日時以降の最初の保守のスケジュールにおいて、リリースNOTEが示す更新用データのダウンロードと更新とを組み込む。
【0067】
制御部41は、リリースNOTEが示す更新が重要度の高いものであるかを判定する。制御部41は、リリースNOTEが示す更新が重要度の高いものであるか否かは、例えば、リリースNOTEの内容から判定する。リリースNOTEが示す更新が重要度の高いものであるか否かは、例えば、リリースNOTEに含まれる、更新対象のECUの種別、及び、更新対象のプログラムの種別等に基づいて判定されてもよい。更新の重要度が高いと判定されるECUは、例えば、Central ECU 22、予防安全装置24、及び、ADS
25等である。ただし、これらに限定されない。また、リリースNOTE自体に、更新の重要度の高さを示す情報が含まれており、これに基づいて、制御部41が、リリースNOTEによって示される更新が重要度の高いものであるか否かを判定してもよい。リリー
スNOTEに含まれる更新の重要度の高さを示す情報は、例えば、重要度が高い場合にはONになるフラグ、及び、重要度を示すコード等である。
【0068】
制御部41は、リリースNOTEが示す更新が重要度の高いものである場合には、リリースNOTEに含まれる配信開始日時の車両2のスケジュールをスケジュール情報DB 43を参照して取得する。配信開始日時における車両2のスケジュールが、走行に関するものでない場合には、制御部41は、配信開始日時にリリースNOTEが示す更新用データのダウンロードを開始し、その後更新を行うスケジュールを作成する。制御部41は、作成したスケジュールを車両2へ通知し、スケジュール情報DB 43に登録する。
【0069】
配信開始日時における車両2のスケジュールが、走行を含むスケジュールである場合には、制御部41は、配信開始日時以降の当該スケジュールにおいて、走行中にリリースNOTEが示す更新用データのダウンロードを組み込んで、スケジュールを作成し直す。また、制御部41は、例えば、リリースNOTEの配信開始日時以降の最初の保守のスケジュールにおいて、ダウンロードした更新用データを用いて、リリースNOTEが示す更新を組み込む。また、制御部41は、作成し直したスケジュールを車両2へ通知し、スケジュール情報DB 43に登録する。
【0070】
配信開始日時における車両2のスケジュールが走行を含む場合の、配信開始日時以降の当該スケジュールに、走行中にリリースNOTEが示す更新用データのダウンロードを組み込んで、スケジュールを作成し直す処理は、具体的には以下の通りである。以下、単に、配信開始日時、更新用データと称する場合には、それぞれ、受信したリリースNOTEに示される配信開始日時、受信したリリースNOTEに示される更新用データを示すこととする。
【0071】
制御部41は、例えば、配信開始日時における車両2の走行予測位置と配信開始日時におけるスケジュールの目的地との間の第1の経路を取得する。制御部41は、第1の経路として、更新用データのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される経路を取得する。第1実施形態では、制御部41は、車両2が得られる通信速度に基づいて、更新用データのダウンロードにかかる時間を取得し、第1の経路を取得する。以下、車両2に採用されている通信キャリアは1つであることを前提として説明する。
【0072】
まず、制御部41は、配信開始日時における車両2の走行予測位置を、例えば、スケジュール情報DB 43を参照して、車両2の配信開始日時におけるスケジュールのスケジュール情報に基づいて取得する。スケジュール情報には、スケジュールの内容が移動である場合には、例えば、出発地、目的地、出発予定時刻、到着予定時刻、及び、出発地から目的地までの経路情報が含まれている。経路情報には、例えば、通過する道路、及び、経由地点等の情報が含まれている。制御部41は、例えば、車両2の該当するスケジュール情報に含まれる経路情報に基づいて、配信開始日時における車両2の走行予測位置を推定する。車両2の走行予測位置の推定方法は、周知の技術のいずれであってもよく、特定の方法に限定されない。
【0073】
次に、制御部41は、車両2に採用されている通信キャリアの通信速度地図を取得して、配信開始日時における車両2の走行予測位置と目的地との間の通信速度に基づいて、第1の経路を取得する。第1の経路の取得方法には、例えば、以下の2つがある。以下において、エリアは、通信速度地図において通信速度の範囲の種類で区切られるエリアである。また、2地点間は、車両2の走行予測位置と目的地とを示すこととし、走行予測位置は第1の経路の出発地点とする。
【0074】
(1)2地点間に存在する1又は複数のエリアのうち、より速い通信速度が得られるエ
リアを通過する経路を第1の経路として取得する。より具体的には、例えば、制御部41は、出発地点から目的地点へ向かう方向において、現在位置から最も近くに存在する、より通信速度が得られるエリアを選択するようにして、経路を取得する。図3に示される通信速度地図を例とすると、出発地から目的地側に最も近く、より速い通信速度(図3では、X1Mbps-X2Mbps)を得られるエリア82を通過し、さらにエリア82から目的地側に最も近く、より速い通信速度を得られる(図3では、X1Mbps-X2Mbps)を得られるエリア81を通過し、目的地へ到着する経路が作成される。
【0075】
(2)2地点間の経路を複数取得し、各経路について更新用データのダウンロードにかかる時間長を算出し、ダウンロードにかかる時間長が最も短い経路を第1の経路として取得する。2地点間の経路の取得方法は、例えば、周知の経路探索方法のいずれであってもよい。例えば、出発地から目的地まで時間又は距離がより短くなるような経路が複数取得される。制御部は、各経路について、更新用データのサイズと通信速度とから更新用データのダウンロードにかかる時間長を算出する。通信速度は通信速度地図から得られる。更新用データのダウンロードにかかる時間長の算出には、エリアの通信速度の範囲の代表値が用いられる。
【0076】
まず、制御部41は、各経路について、各地点で得られる通信速度で区切られる区間を取得する。次に、制御部41は、各区間について、走行する時間を求め、走行する時間と得られる通信速度とから、ダウンロードできるデータサイズを求める。制御部41は、各区間においてダウンロードできるデータサイズと更新用データのサイズとから、当該経路を走行する場合に、更新用データにかかる時間長を求める。例えば、経路上に通信速度の代表値10MbpsのエリアAを通過する区間#1と、通信速度の代表値5MbpsのエリアBを通過する区間#2との2つの区間が存在する場合を例に説明する。更新用データのサイズを、1Gバイトとする。
【0077】
区間#1を車両2が走行する時間長が10分である場合には、区間#1において10Mbpsの通信速度でダウンロードされるデータサイズは、10Mbps×60秒×10分÷8ビット=750Mバイトである。更新用データ1Gバイトのうちの750Mバイトは、区間#1でダウンロードされ、残りの274Mバイトが区間#2でダウンロードされる。
【0078】
区間#2において通信速度5Mbpsで274Mバイトをダウンロードするのにかかる時間は、274Mバイト×8ビット÷5Mbps÷60秒=約7.3分である。区間#2を走行する時間が7.3分以上である場合には、理論上は、当該経路を走行中に更新用データ1Gバイトのダウンロードが完了し、ダウンロードにかかる時間は、約18分となる。
【0079】
なお、各区間を車両2が走行する時間長は、各区間の距離を車両2の速度で割ることによって取得される。当該計算に用いられる車両2の速度は、例えば、40km/hとする。ただし、これに限定されない。
【0080】
制御部41は、上記(1)又は(2)のいずれかの方法によって、第1の経路を取得する。いずれの方法を用いるかは、例えば、情報処理システム100の設計者の選択による。制御部41は、第1の経路を取得すると、配信開始日時になると、第1の経路の走行と更新用データのダウンロードとを開始するスケジュールを作成し、車両2のスケジュールとしてスケジュール情報DB 43に登録する。また、制御部41は、作成したスケジュールを車両2へ送信する。これによって、車両2は、配信開始日時になると、第1の経路の走行と更新用データのダウンロードとを開始する。
【0081】
なお、更新用データのダウンロードは、第1の経路を走行中に完了しなくてもよい。例えば、(2)の方法において、走行中に更新用データのダウンロードを完了できる経路を取得できない場合には、最も多くのデータをダウンロード可能な経路を第1の経路として選択してもよい。第1の経路の走行中に更新用データのダウンロードが完了しない場合には、例えば、制御部41は、車両2の走行が終わった後も車両2に更新用データのダウンロードを継続して行わせるスケジュールを作成し、車両2へ送信してもよい。
【0082】
車両情報DB 42及びスケジュール情報DB 43は、管制センタ4の補助記憶装置403内の記憶領域に作成される。車両情報DB 42は、車両2に関する情報を保持する。スケジュール情報DB 43は、車両2のスケジュールに関する情報を保持する。
【0083】
図6は、管制センタ4のスケジュール情報DB 43に保持されるスケジュールに関する情報の一例である。スケジュールは、車両2ごとに作成される。図6に示されるスケジュールに関する情報には、車両ID、年月日、時間帯、及び、アイテムの項目が含まれる。車両IDの項目には、車両2の識別情報が格納されている。年月日の項目には、該当のスケジュールの年月日が格納されている。すなわち、図6の例では、スケジュールは、1日単位で作成されている。時間帯の項目には、各時間帯を示す情報が格納されている。
【0084】
アイテムの項目には、アイテムに関する情報が格納されている。当該アイテムに関する情報をスケジュール情報と称する。スケジュール情報には、例えば、アイテムの種類を示す情報が格納されている。アイテムの種類には、例えば、走行、ダウンロード、及び、更新等がある。ただし、アイテムの種類はこれらに限定されない。
【0085】
アイテムの種類が走行である場合には、スケジュール情報には、例えば、移動のための走行であるのかサービス提供のための走行であるのかを示す情報、出発地、目的地、及び、経路情報が含まれる。スケジュール情報には、当該アイテムの開始時刻及び終了時刻も含まれる。アイテムの開始時刻及び終了時刻は、それぞれ、出発予定時刻及び到着予定時刻ともいう。走行を提供するサービスは、例えば、配車サービス、及び、ライドシェアサービス等である。サービスの提供ための走行である場合には、スケジュール情報にサービスに関する情報が含まれてもよい。サービスに関する情報は、例えば、ユーザの識別情報、及び予約情報等である。予約情報には、例えば、ユーザによって指定された乗車希望時刻、到着予定時刻、乗車地、及び、降車地等が含まれる。なお、図6に示される例では、アイテムが開始時刻から終了時刻の期間に合わせて配置されている。
【0086】
アイテムの種類がダウンロードである場合には、スケジュール情報には、例えば、開始時刻、及び、ダウンロード対象のファイル名等が含まれる。スケジュール情報には、ダウンロードの終了予定時刻が含まれてもよい。アイテムの種類が更新である場合には、スケジュール情報には、例えば、開始時刻、及び、更新用データの識別情報等が含まれる。1つのアイテムにおいて、複数の種類が含まれることもある。例えば、走行中にダウンロードする場合には、アイテムの種類は、走行中とダウンロードとになる。
【0087】
例えば、図6には、車両ID:E-PALETTE EV1の年月日DDMMMYYYYにおけるス
ケジュールが示されている。車両ID:E-PALETTE EV1の車両2は、0:00から9:0
0までの間は、アイテムが設定されておらず、待機状態となっている。車両ID:E-PALETTE EV1の車両2は、9:00から走行を開始する。9:00からの走行は、ユーザを載
せておらず、次のスケジュールのための移動である。車両ID:E-PALETTE EV1の車両2
は、9:45から11:00まで、サービスの提供ための走行を行う。
【0088】
車両ID:E-PALETTE EV1の車両2は、11:00から12:00まで、移動のための
走行と、走行中にダウンロードを行う。12:00には、車両ID:E-PALETTE EV1の車
両2は、走行を停止し、更新を行う。以降、車両ID:E-PALETTE EV1の車両2は、13
:00から23:00まで走行し、23時以降運行を停止し、待機状態となる。なお、図6の例では、13:00から22:00までの間のスケジュールの詳細は省略されている。
【0089】
制御部41は、例えば、スケジュールに変更が発生した場合には、車両2へ、1日単位の全体のスケジュールを送信してもよいし、変更が生じたアイテムのスケジュール情報を抽出して送信してもよい。例えば、リリースNOTEの受信によって、図6に示される車両ID:E-PALETTE EV1の車両2の11:00から12:00までの、移動のための走行
と、走行中にダウンロードとを行うアイテムと、12:00から13:00までの更新のアイテムとが、追加された場合には、制御部41は、当該2つのアイテムのスケジュール情報を含む年月日DDMMMYYYYにおけるスケジュール全体を車両2へ送信してもよい。または、制御部41は、追加された2つのアイテムのスケジュール情報のみを車両2へ送信してもよい。なお、追加された2つのアイテムによって他のアイテムに変更が生じる場合には、当該アイテムのスケジュール情報も車両2へ送信される。
【0090】
なお、図6に示されるスケジュールは一例であり、管制センタ4が作成するスケジュールが図6に限定される訳ではない。例えば、運行スケジュールは1日ごとに作成されなくもよく、例えば、1週間単位で作成されてもよい。また、運行スケジュールは1ヶ月単位で作成されてもよい。また、スケジュールは、平日(月~金)、土曜日、及び、休祝日ごとに作成されてもよい。
【0091】
図7は、管制センタ4の車両情報DB 42に保持される車両情報の一例である。車両情報は、車両2に関する情報である。車両情報に、管制センタ4の車両情報DB 42に保持される。図7に示される例では、車両情報は、車両ID、最終更新日、コンピュータプログラム群全体のシステムバージョン、及び、採用キャリアの項目を有する。
【0092】
車両IDの項目には、車両2の識別情報が格納される。最終更新日の項目には、車両2が、最後に、各部のECUのコンピュータプログラム群を更新した更新日が格納される。コンピュータプログラム群のシステムバージョンの項目には、車両2における更新後のコンピュータプログラム群全体のバージョンが格納される。
【0093】
採用キャリアの項目には、車両2に採用されている通信キャリアを示す情報が格納される。通信キャリアを示す情報は、例えば、コード、又は、通信キャリア名である。車両2に採用されている通信キャリアが複数である場合には、採用キャリアの項目には、車両2に採用されている複数の通信キャリアを示す情報が格納される。なお、図7に示される車両情報は一例であって、車両情報に含まれる情報は図7に示されるものに限定されない。
【0094】
(処理の流れ)
図8は、管制センタ4のリリースNOTE受信による更新スケジュールの作成処理のフローチャートの一例である。図8に示される処理は、車両2の1台ずつに対して実行される。図8に示される処理は、管制センタ4が車両センタ3から、車両2に該当するリリースNOTEを受信すると開始される。図8に示される処理の実行主体は、管制センタ4のコンピュータのCPU 401であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。以下の他のフローチャートについても同様である。
【0095】
OP101では、制御部41は、重要度の高いリリースNOTEを受信したか否かを判定する。重要度の高いリリースNOTEが受信された場合には(OP101:YES)、処理がOP102へ進む。重要度の高いリリースNOTEが受信された場合には(OP101:YES)、処理がOP102へ進む。重要度の高いリリースNOTEが受信されて
いない場合には(OP101:NO)、処理がOP107へ進む。
【0096】
OP102では、制御部41は、スケジュール情報DB 43を参照して、配信開始日時に車両2は走行しているか、否か、すなわち、配信開始日時の車両2のスケジュールは走行のスケジュールであるかを判定する。配信開始日時に車両2が走行している場合には(OP102:YES)、処理がOP103へ進む。配信開始日時に車両2が走行していない場合には(OP102:NO)、処理がOP107へ進む。
【0097】
OP103では、制御部41は、車両2に採用されている通信キャリアの通信速度地図を取得する。OP104では、制御部41は、走行中に更新用データをダウンロードする場合の第1の経路の取得処理を実行する。第1の経路の取得処理詳細は、上記(1)又は(2)の通りであり、後述される。
【0098】
OP105では、制御部41は、OP104において取得された第1の経路によって走行する場合に更新用データのダウンロードが完了するか否かを判定する。第1の経路によって走行する場合に更新用データのダウンロードが完了する場合には(OP105:YES)、処理がOP106へ進む。OP106では、制御部41は、第1の経路での走行とダウンロードとを含むスケジュールを作成し、車両2へ送信する。また、制御部41は、作成したスケジュールをスケジュール情報DB 43へ登録する。その後、図8に示される処理が終了する。
【0099】
第1の経路によって走行する場合に更新用データのダウンロードが完了しない場合には(OP105:NO)、処理がOP107へ進む。OP107では、制御部41は、配信開始日時以後、最初の待機状態となる時間帯に、更新用データのダウンロードと更新のスケジュールを作成し、車両2へ送信する。また、制御部41は、作成したスケジュールをスケジュール情報DB 43へ登録する。その後、図8に示される処理が終了する。
【0100】
なお、図8に示される処理は一例であって、リリースNOTE受信による更新スケジュールの作成処理は図8に示されるものに限定されない。例えば、図8では、取得した第1の経路の走行中に更新用データのダウンロードが完了しないと判定される場合には、第1の経路を走行するスケジュールは作成されない。これに代えて、更新用データのダウンロードが完了するか否かにかかわらず、第1の経路を走行中に更新用データをダウンロードするスケジュールが作成されてもよい。
【0101】
図9は、第1の経路の取得処理のフローチャートの一例である。第1の経路の取得処理は、図8のOP104において実行される処理である。図9に示される処理は、上述の(1)の第1の経路の取得方法に関する処理である。
【0102】
OP201では、制御部41は、出発地点を第1の地点の初期値に設定する。なお、出発地点は、配信開始日時における走行予測位置である。OP202では、制御部41は、第1の地点から目的地までの間に、周辺のエリアより速い通信速度を得られるエリアが存在するか否かを判定する。第1の地点から目的地までの間に、周辺のエリアより速い通信速度を得られるエリアが存在する場合には(OP202:YES)、処理がOP203へ進む。第1の地点から目的地までの間に、周辺のエリアより速い通信速度を得られるエリアが存在しない場合には(OP202:NO)、処理がOP205へ進む。
【0103】
OP203では、制御部41は、通信速度地図において、第1の地点から目的地側に最も近くに位置し、周辺のエリアより速い通信速度を得られるエリアを選択する。OP204では、制御部41は、第1の地点を、OP203で選択したエリア内において目的地に最も近い地点に設定する。その後、処理がOP202に進む。
【0104】
OP205では、制御部41は、選択されたエリアを通過する出発地点から目的地までの経路を第1の経路として取得する。なお、エリアが選択されない場合には(例えば、出発地点と目的地との間に周辺より通信速度の速いエリアが存在しない場合)、通常通り、出発地点から目的地までの経路を求め、第1の経路として取得する。その後、処理が図8のOP105へ進む。
【0105】
図10は、第1の経路の取得処理のフローチャートの一例である。第1の経路の取得処理は、図8のOP104において実行される処理である。図10に示される処理は、上述の(2)の第1の経路の取得方法に関する処理である。
【0106】
OP301では、制御部41は、出発地点と目的地との2地点間の経路を所定数取得する。2地点間の経路は、例えば、移動距離又は移動時間が短くなるようにして求められる。所定数の経路は、例えば、移動時間又は移動距離が短い上位所定数の経路である。
【0107】
OP302では、制御部41は、OP301で取得した所定数の経路それぞれについて、更新用データのダウンロード時間を算出する。具体的には、まず、制御部41は、各経路について、各地点で得られる通信速度で区切られる区間を取得する。例えば、経路が通信速度の異なる2つのエリアA及びエリアBをエリアA→エリアB→エリアAのような順で通過する場合には、当該経路には3つの区間が含まれることになる。
【0108】
次に、制御部41は、各区間について、走行する時間を求め、走行する時間と得られる通信速度とから、ダウンロードできるデータサイズを求める。制御部41は、各区間においてダウンロードできるデータサイズと更新用データのサイズとから、当該経路を走行する場合に、更新用データにかかる時間長を求める。
【0109】
OP303では、制御部41は、OP301で取得した所定数の経路から、更新用データのダウンロード時間が最も短い経路を第1の経路として取得する。その後、その後、処理が図8のOP105へ進む。
【0110】
(複数の通信キャリアが車両2に採用されている場合)
例えば、車両2のDCM 21に、複数の通信キャリアのSIMカードが挿入されている場合には、車両2は、複数の通信キャリアの電波を用いて無線通信を行うことができる。この場合には、第1の経路を取得する際に、どの通信キャリアを用いるかについても考慮する。
【0111】
車両2に採用されている通信キャリアが複数である場合には、第1の経路を取得する際に参照する通信速度地図も複数になる。同じ地点でも、通信キャリアAを用いて得られる通信速度と通信キャリアBを用いて得られる通信速度は異なる可能性が高い。
【0112】
そこで、上記の第1の経路の取得方法(1)では、車両2に採用されている通信キャリアが複数である場合には、2地点間に存在する、車両2に採用されている各通信キャリアの1又は複数のエリアのうち、より速い通信速度が得られるエリアを通過する経路を第1の経路として取得する。具体的には、例えば、図9に示されるフローチャートに従って、制御部41は、出発地点から目的地点側において、現在位置から最も近くに存在する、より速い通信速度が得られる通信キャリアのエリアを選択するようにして、経路を取得すればよい。
【0113】
図11は、2つの通信キャリアの同じ範囲内の通信速度地図を重ね合わせた図の一例である。図11では、通信キャリアAと通信キャリアBとの2つの通信キャリアの通信地図
が重ね合わされている。通信キャリアAの通信速度地図では、X1Mbps-X2Mbpsの通信速度の範囲と、Y1Kbps-Y2Kbpsの通信速度の範囲と、でエリア分けされている。通信キャリアBの通信速度地図では、Z1Mbps-Z2Mbps(X1<X2<Z1<Z2)の通信速度の範囲と、Z3Kbps-Z4Kbps(Y1<Y2<Z3<Z4)の通信速度の範囲と、でエリア分けされている。
【0114】
出発地点と目的地との間に、周囲より通信速度が速いエリアとして、通信キャリアAのエリア81、エリア82、及び、エリア83と、通信キャリアBのエリア91とが存在する(図9、OP202:YES)。出発地点から最も近く、且つ、より速い通信速度が得られる通信キャリアAのエリア82が選択される(図9、OP203)。
【0115】
次に、エリア82内の目的地に最も近い地点P1から目的地までの間には、通信キャリアAのエリア81と、通信キャリアBのエリア91とが存在する(図9、OP202:YES)。地点P1から最も近く、且つ、より速い通信速度が得られる通信キャリアBのエリア91が選択される(図9、OP203)。
【0116】
次に、エリア91内の目的地に最も近い地点P2から目的地までの間には、通信キャリアAのエリア81が存在する(図9、OP202:YES)。地点P2から最も近く、且つ、より速い通信速度が得られる通信キャリアAのエリア81が選択される(図9、OP203)。エリア81内の目的地に最も近い地点P3から目的地までの間には、周辺より通信速度が速いエリアは存在しない(図9、OP202:NO)。
【0117】
したがって、出発地点から目的地の間で、エリア81、エリア82、及び、エリア91が選択されることになる。制御部41は、エリア81、エリア82、及び、エリア91を通過するように2地点間の経路を取得し、第1の経路とする。なお、このとき、各地点P1-P3を経由地点として経路が取得されてもよい。
【0118】
このようにして得られた第1の経路は、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリア、通信キャリアAのエリア82、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリア、通信キャリアBのエリア91、通信キャリアAのエリア81、及び、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリアの順に通過する経路となる。
【0119】
このような経路が第1の経路として取得された場合には、制御部41は、最も速い通信速度が得られる通信キャリアの種類によって第1の経路を区切った区間を取得する。例えば、図11に示される例において、上述の通りに取得された第1の経路では、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリアを通過する区間、通信キャリアAのエリア82を通過する区間、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリアと通信キャリアBのエリア91とを通過する区間、通信キャリアAのエリア81を通過する区間、及び、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリアを通過する区間の、5つの区間が取得される。なお、通信キャリア間でエリアが重複する範囲については、より通信速度が速い通信キャリアを通過する区間として分類される。制御部41は、第1の経路を走行すること、更新用データをダウンロードすること、及び、第1の経路上の各区間において対応する通信キャリアを用いることを含むスケジュール情報を作成する(図8、OP106)。
【0120】
次に、上記第1の経路の取得方法(2)では、車両2に採用されている通信キャリアが複数である場合には、例えば、図10に示されるフローチャートに従って、第1の経路が取得される。2地点間の複数の経路それぞれについて更新用データのダウンロードにかかる時間長は、例えば、以下のようにして算出される。まず、車両2に採用されている各通
信キャリアの通信速度地図を用いて、1つの経路について、経路上の各地点で得られる最も速い通信速度で区切って区間を取得する。すなわち、最も速い通信速度が異なることで区間が区切られる。例えば、図11に示される例において、エリア91とエリア81とを通過する経路では、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリアを通過する区間、通信キャリアBのエリア91を通過する区間、通信キャリアAのエリア81を通過する区間、及び、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリアを通過する区間の、5つの区間が取得される。なお、エリア81とエリア91とが重複する範囲については、より通信速度が速い通信キャリアBのエリア91を通過する区間として分類される。なお、同じ地点で、同じ通信速度の通信キャリアが複数ある場合には、予め高い優先度を付与されている通信キャリアが優先して選択される。通信速度には、各地点で得られる通信速度の範囲の代表値が用いられる。
【0121】
制御部は、経路上の各区間について、走行する時間長、及び、得られる最も速い通信速度の通信キャリアを用いた場合のダウンロード可能なデータサイズを算出し、当該経路を走行した場合に更新用データのダウンロードにかかる時間長を上記(2)と同様にして算出する。車両情報DB 42は、当該時間長が最も短くなる経路を第1の経路として取得する。この場合には、制御部41は、第1の経路を走行すること、更新用データをダウンロードすること、及び、第1の経路上の各区間において最も速い通信速度が得られる通信キャリアを用いることを含むスケジュール情報を作成する(図8、OP106)。
【0122】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態によれば、車両2が走行中に更新用データをダウンロードするようにスケジュールを作成することができる。第1実施形態では、通信速度地図を用いて、より速い通信速度が得られるように走行経路が取得されるので、車両2は、走行中に安定して通信を行うことができる。
【0123】
<第2実施形態>
第1実施形態では、更新用データのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される第1の経路を、各地点で得られる通信速度に基づいて取得した。これに代えて、第2実施形態では、車両2に複数の通信キャリアが採用されている場合に、通信速度と通信キャリアの契約ユーザ数との関係に基づいて、第1の経路を取得する。なお、第2実施形態では、情報処理システム100のシステム構成、及び、管制センタ4のハードウェア構成及び機能構成等は第1実施形態と同様である。第1実施形態と共通する説明は、第2実施形態では省略される。
【0124】
通信速度と通信キャリアの契約ユーザ数との関係に、通信速度を通信キャリアの契約ユーザ数で割った値が大きいほど実際に得られる通信速度が速い、という関係があることが、経験的に得られている。これは、通信キャリアの契約ユーザが多いほど同時にアクセスしている端末数も増える可能性があり、同時にアクセスする端末数が多いほど基地局等の処理負荷が高くなったり、無線帯域の使用率が向上したりすることに起因すると考えられる。
【0125】
すなわち、例えば、通信速度地図によって公開されている通信速度と、実際に得られる通信速度とには乖離がある場合が多く、その要因の一つとして、その地域での通信キャリアの契約ユーザ数が考えられる。したがって、第2実施形態では、制御部41は、更新用データのダウンロードにかかる時間が最も短くなることが予測される第1の経路を、通信速度と通信キャリアの契約ユーザ数との関係に基づいて、第1の経路を取得する。
【0126】
第1の経路の算出に用いられる通信速度は、通信速度地図から得られる通信速度の範囲の代表値が用いられる。通信キャリアの契約ユーザ数は、例えば、各通信キャリアによっ
て地方単位、都道府県単位、又は、市区町村単位で公開されており、インターネットを通じて取得される。通信キャリアの契約ユーザ数が集計されている範囲は、「第1の範囲」の一例である。第2実施形態において、第1の経路の取得方法は、例えば、以下の2つが挙げられる。以下、通信速度を通信キャリアの契約ユーザ数で割った値を、第1の値と称する。第1の値は、ある地点において通信速度地図から得られる通信速度を、当該地点を含む範囲における通信キャリアの契約ユーザ数で求められる。当該地点を含む範囲は、通信キャリアの契約ユーザ数が集計されている範囲である。
【0127】
(3)車両2に採用されている通信キャリアが複数である場合には、2地点間に存在する、車両2に採用されている各通信キャリアの1又は複数のエリアのうち、より大きい第1の値が得られるエリアを通過する経路を第1の経路として取得する。具体的には、例えば、制御部41は、出発地点から目的地点側において、現在位置から最も近くに存在する、より大きい第1の値が得られる通信キャリアのエリアを選択するようにして、経路を取得する。この場合には、制御部41は、第1の経路を、車両2に採用されている通信キャリアのうち第1の値が最も大きい通信キャリアの種類で区切った1又は複数の区間を取得する。制御部41は、第1の経路を走行すること、更新用データをダウンロードすること、及び、第1の経路上の各区間において対応する通信キャリアを用いることを含むスケジュール情報を作成する。
【0128】
(4)車両2に採用されている通信キャリアが複数である場合には、2地点間の複数の経路それぞれについて、各区間の第1の値の合計値が最も大きい経路を第1の経路として取得する。まず、制御部41は、2地点間の複数の経路を、所定の経路探索方法によって取得する。例えば、2地点間の移動時間又は移動距離が短くなる上位所定数の経路が取得される。制御部41は、取得した各経路について、車両2に採用されている通信キャリアそれぞれについての第1の値のうち最大となる第1の値によって区切られる区間を取得する。第1の値は通信速度と通信キャリアの契約ユーザ数とによって求められるので、区間は、通信速度と通信キャリアとの組み合わせが異なると区切られ、別の区間となる。
【0129】
制御部41は、各経路について、各区間において最大となる第1の値の合計値を取得し、第1の値の合計値が最も大きい経路を第1の経路として取得する。この場合には、制御部41は、第1の経路を走行すること、更新用データをダウンロードすること、及び、第1の経路上の各区間において最も大きい第1の値が得られる通信キャリアを用いることを含むスケジュール情報を作成する。
【0130】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、図8のフローチャートに従って管制センタ4のリリースNOTE受信による更新スケジュールの作成処理が実行される。図8のOP104においては、第2実施形態では、上記(3)又は(4)の処理が実行され、第1の経路が取得される。
【0131】
図12は、第2実施形態に係る第1の経路の取得処理のフローチャートの一例である。第1の経路の取得処理は、図8のOP104において実行される処理である。図12に示される処理は、上述の(3)の第1の経路の取得方法に関する処理である。
【0132】
OP401では、制御部41は、車両2に採用されている各通信キャリアの通信速度地図において、各エリアにおいて得られる通信速度を契約ユーザ数で割った第1の値を取得する。OP402では、制御部41は、出発地点を第1の地点の初期値に設定する。なお、出発地点は、配信開始日時における走行予測位置である。
【0133】
OP403は、制御部41は、第1の地点から目的地までの間に、周辺のエリアより大きい第1の値を得られるエリアが存在するか否かを判定する。第1の地点から目的地まで
の間に、周辺のエリアより大きい第1の値を得られるエリアが存在する場合には(OP403:YES)、処理がOP404へ進む。第1の地点から目的地までの間に、周辺のエリアより大きい第1の値を得られるエリアが存在しない場合には(OP403:NO)、処理がOP406へ進む。
【0134】
OP404では、制御部41は、通信速度地図において、第1の地点から目的地側に最も近くに位置し、周辺のエリアより大きい第1の値を得られるエリアを選択する。OP405では、制御部41は、第1の地点を、OP404で選択したエリア内において目的地に最も近い地点に設定する。その後、処理がOP403に進む。
【0135】
OP406では、制御部41は、選択されたエリアを通過する出発地点から目的地までの経路を第1の経路として取得する。なお、エリアが選択されない場合には(例えば、出発地点と目的地との間に周辺より大きい第1の値を得られるエリアが存在しない場合)、通常通り、出発地点から目的地までの経路を求め、第1の経路として取得する。その後、図12に示される処理が終了し、処理が図8のOP105へ進む。この場合には、制御部41は、第1の経路を走行すること、更新用データをダウンロードすること、及び、第1の経路上の各区間において対応する通信キャリアを用いることを含むスケジュール情報を作成する。
【0136】
図13は、第2実施形態に係る第1の経路の取得処理のフローチャートの一例である。第1の経路の取得処理は、図8のOP104において実行される処理である。図10に示される処理は、上述の(4)の第1の経路の取得方法に関する処理である。
【0137】
OP501では、制御部41は、車両2に採用されている各通信キャリアの通信速度地図において、各エリアにおいて得られる通信速度を契約ユーザ数で割った第1の値を取得する。OP502では、制御部41は、出発地点と目的地との2地点間の経路を所定数取得する。2地点間の経路は、例えば、移動距離又は移動時間が短くなるようにして求められる。所定数の経路は、例えば、移動時間又は移動距離が短い上位所定数の経路である。
【0138】
OP503では、制御部41は、OP502で取得した所定数の経路それぞれについて、各区間の第1の値の合計値を算出する。具体的には、まず、制御部41は、各経路について、各地点において複数の通信キャリアについて得られる第1の値のうち最大の第1の値によって区切られる区間を取得する。例えば、図11に示される例において、各エリアの第1の値は異なっており、エリア91とエリア81とを通過する経路では、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリアを通過する区間、通信キャリアBのエリア91を通過する区間、通信キャリアAのエリア81を通過する区間、及び、通信キャリアBのZ3Kbps-Z4Kbpsの通信範囲のエリアを通過する区間の、5つの区間が取得される。なお、エリア81とエリア91とが重複する範囲については、より第1の値が大きい方のエリアを通過する区間として分類される。
【0139】
次に、制御部41は、各区間について、各通信キャリアについて得られる第1の値のうち最大の第1の値を取得する。制御部41は、各区間における最大の第1の合計値を求める。
【0140】
OP504では、制御部41は、OP502で取得した所定数の経路から、各区間の最大の第1の値の合計値が最も大きい経路を第1の経路として取得する。その後、図13に示される処理が終了し、処理が図8のOP105へ進む。この場合には、制御部41は、第1の経路を走行すること、更新用データをダウンロードすること、及び、第1の経路上の各区間において最も大きい第1の値が得られる通信キャリアを用いることを含むスケジュール情報を作成する。
【0141】
なお、第2実施形態では、通信速度を通信キャリアの契約ユーザ数で割った第1の値が用いられるが、通信速度と通信キャリアの契約ユーザ数の関係を表す値として用いられる値は第1の値に限定されない。例えば、通信キャリアの契約ユーザ数を通信速度で割った値が用いられてもよい。この場合には、通信キャリの契約ユーザ数を通信速度で割った第2の値が小さいほど実際に得られる通信速度が速くなることになる。上記(3)の第1の経路の取得方法では、2地点間に存在する、車両2に採用されている各通信キャリアの1又は複数のエリアのうち、より小さい第2の値が得られるエリアを通過する経路を第1の経路として取得することになる。上記(4)の第1の経路の取得方法では、2地点間の複数の経路それぞれについて、各区間の第2の値の合計値が最も小さい経路を第1の経路として取得することになる。なお、通信速度と通信キャリアの契約ユーザ数との関係を示す値は、第1の値、及び、第2の値に限定されない。
【0142】
第2の実施形態によれば、通信速度と通信キャリアの契約ユーザ数との関係を考慮して、更新用データをダウンロードする際に走行する第1の経路を取得することができる。これによって、実際に得られる通信速度がより速いエリアを通過する第1の経路を取得することができ、第1の経路の走行中に安定的に更新用データのダウンロードを行うことができる。
【0143】
<第3実施形態>
第3実施形態では、車両2に複数の通信キャリアが採用されている場合に、通信速度と、通信速度と通信キャリアの契約ユーザ数との関係と、に基づいて、第1の経路を取得する。なお、第3実施形態では、第1実施形態及び第2の実施形態と共通する説明は、第3実施形態では省略される。
【0144】
例えば、車両2に複数の通信キャリアが採用されている場合の上記(2)の第1の経路の取得方法において、2地点間における複数の経路のうち、更新用データのダウンロードにかかる時間長が最も短くなる経路が複数存在する場合が発生することがある。このような場合に、制御部41は、例えば、各区間における通信速度を通信キャリアの契約ユーザ数で割った第1の値の合計値が最も大きくなる経路を第1の経路として取得する。なお、この場合の区間は、経路上の各地点で得られる最も速い通信速度で区切って得られる区間である。
【0145】
また、例えば、車両2に複数の通信キャリアが採用されている場合の上記(4)の第1の経路の取得方法において、2地点間における複数の経路のうち、各区間の第1の値の合計値が最も大きい経路が複数存在する場合が発生することがある。このような場合には、制御部41は、例えば、各経路について、更新用データのダウンロードにかかる時間長が最も短くなる経路を第1の経路として取得する。なお、この場合の区間は、車両2に採用されている通信キャリアそれぞれについての第1の値のうち最大となる第1の値によって区切られる区間である。
【0146】
第3実施形態によれば、精度良く、更新用データのダウンロードにかかる時間が最も短いと予測される第1の経路を取得することができる。
【0147】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
【0148】
第1実施形態から第3実施形態では、管制センタ4がリリースNOTEを受信して、車両2のスケジュールを作成するが、これに限られず、例えば、車両2のDCM 21がリ
リースNOTEを受信して更新のスケジュールを作成するようにしてもよい。この場合には、管制センタ4は、車両センタ3からリリースNOTEを受信し、車両2が対象となるリリースNOTEであることを判定した場合に、車両2へリリースNOTEを転送するようにしてもよい。
【0149】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0150】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0151】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0152】
2・・車両
3・・車両センタ
4・・管制センタ
41・・制御部
42・・車両情報データベース
43・・スケジュール情報データベース
100・・情報処理システム
401・・CPU
402・・メモリ
403・・補助記憶装置
404・・通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13