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特開2022-190309オートフォーカスの方法、分光カメラ、及びコンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190309
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】オートフォーカスの方法、分光カメラ、及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20210101AFI20221219BHJP
   G01J 3/36 20060101ALI20221219BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20221219BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20221219BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20221219BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221219BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G02B7/28 N
G01J3/36
G01J3/26
G03B11/00
G03B13/36
H04N5/225 400
H04N5/232 127
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098574
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】野澤 武史
【テーマコード(参考)】
2G020
2H011
2H083
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2G020CC23
2G020CC26
2G020CC27
2G020CC55
2G020CC63
2G020CD03
2G020CD06
2G020CD24
2G020CD37
2H011BA34
2H011BB01
2H011BB03
2H083AA02
2H083AA11
2H083AA32
2H083AA52
2H151BA47
2H151CB13
2H151DA04
2H151DA10
2H151DC00
5C122DA13
5C122EA37
5C122FB17
5C122FD01
5C122FD06
5C122FD13
5C122HA88
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】オートフォーカスの方法、分光カメラ、及びコンピュータープログラムを提供する。
【解決手段】互いに異なるn個の波長の光を分光フィルターに順次透過させ、前記n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、前記n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する前記画像フレームに対応する波長を選定することであって、前記統計値はそれぞれの前記画像フレームにおける全測定画素のうち第1領域に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、前記選定された波長の光を前記分光フィルターに透過させながら前記全測定画素のうち前記第1領域よりも広い第2領域において合焦点を求めることと、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なるn個の波長の光を分光フィルターに順次透過させ、前記n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、
前記n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する前記画像フレームに対応する波長を選定することであって、前記統計値はそれぞれの前記画像フレームにおける全測定画素のうち第1領域に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、
前記選定された波長の光を前記分光フィルターに透過させながら前記全測定画素のうち前記第1領域よりも広い第2領域において合焦点を求めることと、
を含む、オートフォーカスの方法。
【請求項2】
請求項1に記載のオートフォーカスの方法であって、
前記最大となる波長の選定は、2個以上、n-1個以下、の前記画像フレームの中から選定する、オートフォーカスの方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のオートフォーカスの方法であって、
前記第1領域は、2画素以上、前記全測定画素の1/2以下、の領域である、オートフォーカスの方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のオートフォーカスの方法であって、
前記第2領域は、前記第1領域を含み、前記全測定画素の1/2以上、3/4以下、の領域である、オートフォーカスの方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のオートフォーカスの方法であって、
前記第2領域において前記合焦点が求まらない場合、前記第2領域から前記全測定画素に領域を広げて前記合焦点を求める、オートフォーカスの方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のオートフォーカスの方法であって、
前記合焦点を求めるタイミングは、前記第1領域を定めたときに開始する、オートフォーカスの方法。
【請求項7】
分光フィルターと、
制御部と、
を備えた分光カメラであって、
前記制御部は、
互いに異なるn個の波長の光を分光フィルターに順次透過させ、前記n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、
前記n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する前記画像フレームに対応する波長を選定することであって、前記統計値はそれぞれの前記画像フレームにおける全測定画素のうち第1領域に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、
前記選定された波長の光を前記分光フィルターに透過させながら前記全測定画素のうち前記第1領域よりも広い第2領域において合焦点を求めることと、
を含む処理を行う、分光カメラ。
【請求項8】
オートフォーカスを行うコンピュータープログラムであって、
互いに異なるn個の波長の光を分光フィルターに順次透過させ、前記n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、
前記n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する前記画像フレームに対応する波長を選定することであって、前記統計値はそれぞれの前記画像フレームにおける全測定画素のうち第1領域に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、
前記選定された波長の光を前記分光フィルターに透過させながら前記全測定画素のうち前記第1領域よりも広い第2領域において合焦点を求めることと、
前記合焦点を記憶装置に格納すること、
を含む、コンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカスの方法、分光カメラ、及びコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、被写体画像のコントラストの高低が最大となるようにフォーカスを制御してピント調整し、被写体画像を撮影するコントラスト方式のカメラ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-280048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のカメラ装置では、R(赤)・G(緑)・B(青)の測光データを1フレームで得ることができるが、可変フィルター方式の分光カメラでは、1フレーム毎に単一の波長を設定して測定し、必要とする波長数の数だけ繰り返すため、ピント調整に時間がかかるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
オートフォーカスの方法は、互いに異なるn個の波長の光を分光フィルターに順次透過させ、前記n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、前記n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する前記画像フレームに対応する波長を選定することであって、前記統計値はそれぞれの前記画像フレームにおける全測定画素のうち第1領域に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、前記選定された波長の光を前記分光フィルターに透過させながら前記全測定画素のうち前記第1領域よりも広い第2領域において合焦点を求めることと、を含む。
【0006】
分光カメラは、分光フィルターと、制御部と、を備えた分光カメラであって、前記制御部は、互いに異なるn個の波長の光を分光フィルターに順次透過させ、前記n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、前記n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する前記画像フレームに対応する波長を選定することであって、前記統計値はそれぞれの前記画像フレームにおける全測定画素のうち第1領域に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、前記選定された波長の光を前記分光フィルターに透過させながら前記全測定画素のうち前記第1領域よりも広い第2領域において合焦点を求めることと、を含む処理を行う。
【0007】
コンピュータープログラムは、互いに異なるn個の波長の光を分光フィルターに順次透過させ、前記n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、前記n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する前記画像フレームに対応する波長を選定することであって、前記統計値はそれぞれの前記画像フレームにおける全測定画素のうち第1領域に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、前記選定された波長の光を前記分光フィルターに透過させながら前記全測定画素のうち前記第1領域よりも広い第2領域において合焦点を求めることと、前記合焦点を記憶装置に格納すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スマートフォンの表面の構成を示す平面図。
図2】スマートフォンの裏面の構成を示す平面図。
図3】スマートフォンの構成を示すブロック図。
図4】分光カメラの構成を示す図。
図5】オートフォーカスの方法を示すフローチャート。
図6】オートフォーカスの方法のうち一部を説明する図。
図7】オートフォーカスの方法を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、図1及び図2を参照しながら、分光カメラ10を備えたスマートフォン100の構成について説明する。
【0010】
図1に示すように、スマートフォン100の表面100aには、筐体101に表示部23が設けられている。表示部23は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどであり、表示機能と入力機能との双方の機能を備えている。表示部23は、特定された測定対象Tの情報を含む画像を表示する。
【0011】
入力機能は、後述する入力部24(図3参照)の機能であり、例えば、表示部23の表面に設けられ、タッチ感知面と、タッチ感知面との接触の強度を検出するためのセンサーと、を備えるタッチパネルで構成される。
【0012】
図2に示すように、スマートフォン100の裏面100bには、筐体101に分光カメラ10が設けられている。分光カメラ10は、透過波長域を順に変更する分光素子12(図3及び図4参照)を備え、複数の波長帯域の感度で、測定対象Tの撮像を行う。
【0013】
次に、図3を参照しながら、スマートフォン100の構成について説明する。
【0014】
図3に示すように、スマートフォン100は、分光カメラ10と、コンピューターとして機能する制御部21と、記憶装置としての記憶部22と、表示部23と、入力部24と、を備えている。
【0015】
分光カメラ10は、入射光学系11と、分光フィルターとしての分光素子12と、撮像素子13と、光源ユニット14と、を備えている。入射光学系11は、例えば、オートフォーカス機構を備えている。分光素子12は、例えば、波長選択フィルターであり、透過波長帯域を変更可能なファブリペロー型のフィルターが用いられている。
【0016】
撮像素子13は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)であり、分光素子12を透過した光を光電変換して測定対象Tを表す電気信号を得たあとデジタル化する撮像デバイスである。光源ユニット14は、測定対象Tを照射するためのものである。
【0017】
制御部21は、1つ又は複数のプロセッサーを備えて構成され、例えば、記憶部22に記憶されているコンピュータープログラムとしての制御プログラムに従って動作することにより、分光カメラ10の動作を統括制御する。
【0018】
記憶部22は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリーを備えて構成される。RAMは、各種データ等の一時記憶に用いられ、ROMは、分光カメラ10の動作を制御するための制御プログラムや制御データ等を記憶する。
【0019】
表示部23は、上記したように、画面に各種情報を表示するためのものであり、例えば、液晶ディスプレイなどを備えている。
【0020】
入力部24は、上記したように、表示部23の表面に設けられており、ユーザー(操作者)による操作指示、即ち、測定対象Tが有する固有の分光情報を取得するための条件、更には、この分光情報の取得の際に、スマートフォン100による取得の開始を指示する開始信号等の入力を受け付ける。
【0021】
次に、図4を参照しながら、分光カメラ10の構成を説明する。
【0022】
分光カメラ10は、外界光が入射される入射光学系11、入射光を分光する分光素子12、及び分光素子12により分光された光を撮像する撮像素子13を備える。入射光学系11は、例えば、テレセントリック光学系等により構成され、光軸と主光線とが平行又は略平行となるように入射光を分光素子12及び撮像素子13に導く。
【0023】
分光素子12には、一対の基板14a,14bと、互いに対向する一対の反射膜15、16と、これらの反射膜15、16のギャップ寸法を変更可能なギャップ変更部17とを備える、波長可変干渉フィルターが使用される。ギャップ変更部17は、例えば、静電アクチュエーターにより構成される。波長可変干渉フィルターは、エタロンとも呼ばれる。この分光素子12は、撮像素子13へ入射される光の光路上に配置される。
【0024】
分光素子12は、制御部21の制御によりギャップ変更部17に印加される電圧を変更することで、反射膜15、16のギャップ寸法を変更し、反射膜15、16を透過する光の波長である出力波長λi(i=1,2,・・,N)を変更する。
【0025】
撮像素子13は、分光素子12を透過した光を撮像する装置であり、例えば、CCDやCMOS等によって構成される。分光カメラ10は、制御部21の制御に従って分光素子12が分光する光の波長を順次切り替え、分光素子12を透過した光を撮像素子13により撮像して撮像データ、言い換えれば、画像フレームを出力する。
【0026】
撮像データは、撮像素子13を構成する画素ごとに出力されるデータであり、当該画素が受光した光の強度、すなわち、光量を示すデータである。分光カメラ10が出力した撮像データは、記憶部22に記憶される。分光カメラ10は、波長走査型であるので、波長分散型の場合と比べ、高い解像度の撮像データを得ることができる。
【0027】
次に、図5図7を参照しながら、分光カメラ10のオートフォーカスの方法を説明する。図5は、分光カメラ10のオートフォーカスの方法を示すフローチャートである。図6は、オートフォーカスの方法における、表示部23の表示の一例を示す図である。図7は、オートフォーカス期間及び測定期間における、測定フレーム、言い換えれば、画像フレームの関係を示すタイミングチャートである。なお、フローチャートの各ステップは、制御部21により実施される。
【0028】
まず、図5に示すように、ステップS11では、スマートフォン100に入力の動作があったか否かを判断する。具体的には、入力の動作は、例えば、分光カメラ10が起動された場合や、分光カメラ10が起動された状態で、表示部23の中央に示される第1領域としての小領域210を指やタッチペンなどでタッチする場合などである。このように、小領域210を定めるような入力の動作があった場合には、ステップS12に処理を移行し、フローを開始する。入力の動作が無かった場合には、ステップS11の処理を繰り返す。
【0029】
ここで、図6を参照しながら、表示部23に表示される領域について説明する。図6に示すように、表示部23に表示される領域は、小領域210と、小領域210よりも広い第2領域としての中領域220と、表示部23の全面を示す全測定画素としての全領域230と、の3種類の領域を有する。
【0030】
具体的には、小領域210は、2画素以上、全領域230の1/2以下、の領域である。中領域220は、小領域210を含み、全領域230の1/2以上、3/4以下、の領域である。
【0031】
また、小領域210の範囲や中領域220の範囲は、スマートフォン100など機器側で設定してもよいし、ユーザーが小領域210の位置や範囲を指示するようにしてもよい。なお、小領域210や中領域220は、ユーザーに判別がつくように、枠線や色などを表示するようにしてもよい。
【0032】
次に、図5に示すように、ステップS12では、小領域210において全波長による仮測定を行う。具体的には、小領域210に限定された撮像素子13の画素で、図7に示す波長選定用データ取得期間において仮測定を開始する。仮測定は、図7に示すように、波長1、波長2、・・・、波長nのように、小領域210において、分光素子12の最大分光数のn回まで順次測定される。つまり、全領域230のうち小領域210において、2より多い波長で、1つの波長ずつ分光素子12の最大分光数のn回まで順次測定し、n個の画像フレームを取得する。
【0033】
次に、ステップS13では、オートフォーカス、即ち、ピント調整に用いる波長を選定する。具体的には、仮測定によって取得したn個の画像フレームの中から、ユーザーが予め指定した、平均値、中央値、最頻値、のいずれかが最大となる波長を選定する。言い換えれば、コントラストが最大となる波長を選定する。選定は、2個以上、n-1個以下、の画像フレームの中から選定する。本実施形態では、図7に示すように、例えば、波長5が選定されたものとする。
【0034】
なお、コントラスト比は、イメージセンサー、即ち、撮像素子13の最大出力値と最小出力値との比であると定義する。選定する波長は、波長間のコントラスト比の差が小さい場合(概ね、コントラスト比の差が±10の範囲内)に、各波長における画像データ、言い換えれば、画像フレームにおいて、対象領域の画像データのヒストグラム(横軸:0~255などのイメージセンサーの出力範囲、縦軸:度数)を算出し、その平均値や中央値、及び最頻値のいずれかが最も高いものとする。平均値や中央値、及び最頻値とするかは、ユーザーが指定する。
【0035】
平均値は、(階級値×度数)/(度数の合計)である。なお、階級値は、画素値のことであり、イメージセンサーの出力する1つの画像フレームに含まれる画素値を、例えば、5/255の幅で区切るなどして決める。中央値は、イメージセンサーの出力する1つの画像フレームに含まれる画素値を順に並べたときの中央の値とする。最頻値は、イメージセンサーの出力する1つの画像フレームに含まれる画素の中で、最も多くの画素で現れる画素値とする。
【0036】
次に、ステップS14では、小領域210よりも広い中領域220において、オートフォーカスを行う。具体的には、選定された波長5を用いて、図7示すピント調整期間にてコントラスト方式のオートフォーカスを行う。つまり、選定された波長(具体的には、波長5)の光を分光フィルターに透過させ、当該透過した光をイメージセンサーで受光しながら合焦点を求める。
【0037】
分光カメラ10に組み込まれている、例えば、VCM(Voice Coil Motor)等にて光軸方向にレンズを移動させ、各位置でのコントラストを求め、最もコントラストが高い位置を合焦点として求める。このときのコントラストは、中領域220で算出する。理由としては、全領域230で行うと、データ量が大きく、時間がかかるため、中領域220に領域を狭め、オートフォーカスにかかる時間を抑える。
【0038】
次に、ステップS15では、合焦点が求まったか、言い換えれば、定まったか否かを判断する。合焦点が定まった場合には、合焦点の情報を記憶部22に格納し、ステップS16に処理を移行する。合焦点が定まっていない場合には、ステップS18に処理を移行する。
【0039】
ステップS18では、中領域220から全領域230に領域を広げ、コントラストを算出する、言い換えれば、オートフォーカスを行う、又は、合焦点を求める。具体的には、測定対象Tによっては、中領域220でコントラストが正しく得られない場合があるため、全領域230に領域を広げてコントラストを算出する。
【0040】
ステップS19では、合焦点が求まったか、言い換えれば、定まったか否かを判断する。合焦点が定まった場合には、ステップS16に処理を移行する。合焦点が定まっていない場合には、ステップS20に処理を移行し、ユーザーにその旨を通知して終了する。
【0041】
ここで、ユーザーは、例えば、スマートフォン100に組み込まれたライトを測定対象Tに照射したり、測定角度などを調整したりして、最適なコントラストが得られるようにする。その後、再度、オートフォーカスの方法の処理を実行するなどしてもよい。
【0042】
ステップS16では、合焦点が定まった場合、全領域230において本測定を行う。具体的には、図7に示すように、測定期間において、波長1から波長nまで走査する本測定を行う。
【0043】
ステップS17では、本測定の結果を表示する。具体的には、例えば、測定対象Tが果実であれば、色合いや糖度、異物の混入などの分析結果が、表示部23に表示される。以上により、フローを終了する。
【0044】
以上述べたように、本実施形態のオートフォーカスの方法は、互いに異なるn個の波長の光を分光素子12に順次透過させ、n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する画像フレームに対応する波長を選定することであって、統計値はそれぞれの画像フレームにおける全領域230のうち小領域210に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、選定された波長の光を分光素子12に透過させながら全領域230のうち小領域210よりも広い中領域220において合焦点を求めることと、を含む。
【0045】
この方法によれば、全領域230のうち小領域210において、平均値、中央値、最頻値のいずれかが最大となる波長、即ち、コントラストが最大となる波長を選定し、小領域210よりも広い中領域220において合焦点を求めるので、従来のように、全領域230においてコントラストが最大となる波長を選定する方法と比較して、短い時間で合焦点を求めることができる。
【0046】
また、本実施形態のオートフォーカスの方法において、最大となる波長の選定は、2個以上、n-1個以下、の画像フレームの中から選定することが好ましい。
【0047】
この方法によれば、上記個数の画像フレームの中からコントラストが最大となる画像フレームを選定するので、被写体の色に影響されることなく、最適な合焦点を求めることができる。
【0048】
また、本実施形態のオートフォーカスの方法において、小領域210は、2画素以上、全領域230の1/2以下、の領域であることが好ましい。
【0049】
この方法によれば、小領域210が上記した範囲の領域なので、従来のように、全領域230を用いる場合と比較して、短い時間で最適な波長を選択することができる。
【0050】
また、本実施形態のオートフォーカスの方法において、中領域220は、小領域210を含み、全領域230の1/2以上、3/4以下、の領域であることが好ましい。
【0051】
この方法によれば、中領域220が上記した範囲の領域なので、従来のように、全領域230を用いて合焦点を求める場合と比較して、短い時間で合焦点を求めることができる。
【0052】
また、本実施形態のオートフォーカスの方法は、中領域220において合焦点が求まらない場合、中領域220から全領域230に領域を広げて合焦点を求めることが好ましい。
【0053】
この方法によれば、全領域230において合焦点を求めるので、使用状況に応じて、最適な合焦点を求めることができる。
【0054】
また、本実施形態のオートフォーカスの方法において、合焦点を求めるタイミングは、小領域210を定めたときに開始することが好ましい。
【0055】
この方法によれば、小領域210を定めたときにオートフォーカス処理のフローが開始するので、適切なタイミングで合焦点を求めることができる。
【0056】
また、本実施形態の分光カメラ10は、分光素子12と、制御部21と、を備え、制御部21は、互いに異なるn個の波長の光を分光素子12に順次透過させ、n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する画像フレームに対応する波長を選定することであって、統計値はそれぞれの画像フレームにおける全領域230のうち小領域210に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、選定された波長の光を分光素子12に透過させながら全領域230のうち小領域210よりも広い中領域220において合焦点を求めることと、を含む処理を行う。
【0057】
この構成によれば、全領域230のうち小領域210において、平均値、中央値、最頻値のいずれかが最大となる波長、即ち、コントラストが最大となる波長を選定し、小領域210よりも広い中領域220において合焦点を求めるので、従来のように、全領域230においてコントラストが最大となる波長を選定する方法と比較して、短い時間で合焦点を求めることができる。
【0058】
また、本実施形態のコンピュータープログラムは、オートフォーカスを行うコンピュータープログラムであって、互いに異なるn個の波長の光を分光素子12に順次透過させ、n個の波長に対応したn個の画像フレームを取得することであって、nは2以上の整数である、ことと、n個の画像フレームのうちから最大の統計値を有する画像フレームに対応する波長を選定することであって、統計値はそれぞれの画像フレームにおける全領域230のうち小領域210に含まれる画素の階級値の平均値、中央値および最頻値のいずか一つである、ことと、選定された波長の光を分光素子12に透過させながら全領域230のうち小領域210よりも広い中領域220において合焦点を求めることと、合焦点を記憶部22に格納すること、を含む。
【0059】
このコンピュータープログラムによれば、全領域230のうち小領域210において、平均値、中央値、最頻値のいずれかが最大となる波長、即ち、コントラストが最大となる波長を選定し、小領域210よりも広い中領域220において合焦点を求めるので、従来のように、全領域230においてコントラストが最大となる波長を選定する方法と比較して、短い時間で合焦点を求めることができる。
【0060】
以下、上記実施形態の変形例を説明する。
【0061】
なお、上記実施形態のオートフォーカスの方法は、分光カメラ10を備えたスマートフォン100に適用することに限定されず、例えば、測色器、分光器、測色器内蔵画像形成装置、光センサー医療機器、及びモバイル機器に適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10…分光カメラ、11…入射光学系、12…分光フィルターとしての分光素子、13…撮像素子、14…光源ユニット、14a,14b…一対の基板、15,16…反射膜、17…ギャップ変更部、21…制御部、22…記憶装置としての記憶部、23…表示部、24…入力部、100…スマートフォン、100a…表面、100b…裏面、101…筐体、210…第1領域としての小領域、220…第2領域としての中領域、230…全測定画素としての全領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7