IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図1
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図2
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図3
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図4
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図5
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図6
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図7
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図8
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図9
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図10
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図11
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図12
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図13
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図14
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190312
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20221219BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20221219BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20221219BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20221219BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G02F1/1343
G03B21/00 E
G09G3/36
G09G3/20 670J
G09G3/20 624B
G09G3/20 680H
G09G3/20 680C
G09G3/20 641P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098577
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】清水 広晃
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 達也
【テーマコード(参考)】
2H092
2K203
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H092GA11
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA24
2K203FA34
2K203FA43
2K203FA44
2K203FA62
2K203FB03
2K203GA33
2K203GB15
2K203GB27
2K203GB64
2K203GB69
2K203HA14
2K203HA35
2K203HA52
2K203HA99
2K203HB30
2K203KA22
2K203KA30
2K203KA59
2K203KA80
2K203MA14
5C006AA01
5C006AA16
5C006AA22
5C006AC26
5C006AF27
5C006AF46
5C006AF53
5C006AF63
5C006AF71
5C006BB16
5C006BB28
5C006BC03
5C006BC11
5C006BC16
5C006BC20
5C006BD01
5C006BF15
5C006BF39
5C006BF49
5C006EA01
5C006EC11
5C006EC13
5C006FA18
5C006FA33
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD16
5C080DD29
5C080EE29
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK02
5C080KK43
5C080KK52
(57)【要約】
【課題】液晶パネルの劣化を適正に監視することができる表示装置、及び表示装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】投射型の表示装置200において、青色(B)の光が第1液晶パネル110Bに入射した際に、第1液晶パネル110Bから放射される放射光Zには、液晶材料の劣化に起因して、青色(B)の光より波長域が長い赤色(R)の燐光が含まれる。従って、表示装置200において、ダイクロイックミラーからなるミラー2106の背後に光センサー装置1を設け、光センサー装置1での600nmから650nmの帯域の受光結果に基づいて、第1液晶パネル110Bの寿命の監視等を行い、その結果を画像や音声によって報知する。また、光センサー装置1の結果に基づいて、第1液晶パネル110Bに設けた不純物吸引用の電極を駆動し、イオン性不純物を表示領域から掃き出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液晶パネルと、
前記第1液晶パネルに第1波長域の光が入射した際に前記第1液晶パネルから放射される、前記第1波長域より長波長域の放射光を検出する光センサー装置と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記第1波長域と異なる第2波長域の光が入射する第2液晶パネルと、
前記第1波長域及び前記第2波長域より長波長の第3波長域の光が入射する第3液晶パネルと、
を有し、
前記第1液晶パネルによって変調された前記第1波長域の光、前記第2液晶パネルによって変調された前記第2波長域の光、及び前記第3液晶パネルによって変調された前記第3波長域の光を合成して出射する合成光学系と、
前記合成光学系から出射された光を投射する投射光学系と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記第1波長域は、前記第2波長域より低波長域であることを特徴する表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記放射光は、前記第3波長域の光であることを特徴する表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置において、
前記第3液晶パネルに入射する前記第3波長域の光、及び前記第3液晶パネルから出射される前記第3波長域の光が前記光センサー装置に入射することを妨げる遮光部材を有することを特徴する表示装置。
【請求項6】
請求項2から5までの何れか一項に記載の表示装置において、
前記第1液晶パネルは、透過型の液晶パネルであり、
前記光センサー装置は、前記第1液晶パネルの光入射側の面から出射された前記放射光を検出することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置において、
光源から出射された光のうち、前記第1波長域の光を前記第1液晶パネルに導くダイクロイックミラーを備え、
前記光センサー装置は、前記ダイクロイックミラーに対して前記第1液晶パネルとは反対側に配置され、前記ダイクロイックミラーを介して前記放射光を検出することを特徴する表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置において、
前記光センサー装置と前記ダイクロイックミラーの間には、集光レンズを備えることを特徴する表示装置。
【請求項9】
請求項2から5までの何れか一項に記載の表示装置において、
前記第1液晶パネルは、反射型の液晶パネルであり、
前記光センサー装置は、前記第1液晶パネルの出射側の面から出射された前記放射光を検出することを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示装置において、
前記第1液晶パネルへの光源光の入射光路と前記第1液晶パネルからの変調光の出射光路とを合成する偏光ビームスプリッタとを備え、
前記光センサー装置は、前記偏光ビームスプリッタを介して前記放射光を検出することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の表示装置において、
前記光センサー装置による前記放射光の強度の検出結果に基づいて前記第1液晶パネルの寿命を判定する判定部を有することを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項1から10までの何れか一項に記載の表示装置において、
前記光センサー装置が前記放射光の強度が設定値を超えたことを報知する報知手段を有することを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項1から10までの何れか一項に記載の表示装置において、
前記第1液晶パネルは、表示領域の液晶層に存在する不純物を前記表示領域の外側に引き寄せる不純物吸引用の電極を備え、
前記光センサー装置による前記放射光の強度の検出結果に基づいて前記電極を駆動することを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項1から13までの何れか一項に記載の表示装置において、
前記光センサー装置は、前記第1液晶パネルが表示動作を行っている期間中、前記放射光の検出を行うことを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項1から13までの何れか一項に記載の表示装置において、
前記光センサー装置は、前記第1液晶パネルが表示動作を停止している期間中、前記放射光の検出を行うことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
液晶パネルを備えた表示装置の制御方法であって、
前記液晶パネルに第1波長域の光を入射させ、
前記液晶パネルから放射される、前記第1波長域より長波長域の放射光を検出することを特徴とする表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルを備えた表示装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投射型の表示装置では、透過型の液晶パネルや反射型の液晶パネルに光源部から出射された光を照射し、液晶パネルにより変調された透過光や反射光をスクリーン上に投射する。かかる表示装置においては、光源部から液晶パネルに高強度の光が出射される等の理由から、表示装置の劣化が発生しやすい。そこで、表示装置に光学センサーを設け、光学センサーの検出結果に基づいて、表示装置の駆動条件の変更等を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008?40016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、液晶パネルによって変調された光の色度または照度を光学センサーによって検出し、その検出結果に基づいて、画像の品位を判定することにより、冷却ファンを制御する。しかしながら、特許文献1の技術では、劣化の原因が液晶パネルあるいは光源部のいずれにあるかを検出できず、液晶パネルの劣化を適正に監視することが困難であるという課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶装置の一態様は、第1液晶パネルと、前記第1液晶パネルに第1波長域の光が入射した際に前記第1液晶パネルから放射される、前記第1波長域より長波長域の放射光を検出する光センサー装置と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明において、液晶パネルを備えた表示装置の制御方法の一態様では、前記液晶パネルに第1波長域の光を入射させ、前記液晶パネルから放射される、前記第1波長域より長波長域の放射光を検出することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態に係る投射型の表示装置の説明図。
図2図1に示す液晶装置のH-H′断面図。
図3図1に示す液晶パネルの平面構成を示す説明図。
図4図3に示す液晶パネルの断面図。
図5】液晶に光を照射したときのフォトルミネッセンスの経時変化の説明図。
図6】液晶パネルの加速劣化試験におけるフォトルミネッセンス(燐光)の経時変化の説明図。
図7】液晶パネルの加速劣化試験におけるフォトルミネッセンス(燐光)の経時変化の説明図。
図8】液晶パネルの電気光学特性(V-T特性)を示す説明図。
図9】液晶パネルの寿命判定フローを示す説明図。
図10】液晶パネルの補正フローを示す説明図。
図11】本発明の第1実施形態の変形例1に係る投射型の表示装置の説明図。
図12】本発明の第1実施形態の変形例2に係る投射型の表示装置の説明図。
図13】本発明の第2実施形態に係る投射型の表示装置の説明図。
図14】本発明の第2実施形態の変形例に係る投射型の表示装置の説明図。
図15】本発明の第3実施形態に係る表示装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。なお、以下の説明では、液晶パネルに符号110を付すとともに、対応する色を示す符号R、G、Bを付す。但し、対応する色を特定する必要がない場合、単に液晶パネル110として説明する。
【0009】
1.第1実施形態
1-1.投射型の表示装置
図1は、本発明の第1実施形態に係る投射型の表示装置200の説明図である。図2は、図1に示す投射型の表示装置200の制御系の説明図である。
【0010】
図1に示す投射型の表示装置200には、半導体レーザーを有するアレイ光源やハロゲンランプを有するランプユニット等からなる白色光源部2102が設けられている。白色光源部2102から出射された光源光は、内部に配置された3枚のミラー2104、2105、2106と、2枚のダイクロイックミラー2108、2109とによって赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色に分離される。分離された投射光は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応するライトバルブ100R、100G、100Bにそれぞれ導かれ、変調される。なお、図1では、青色(B)の光は、他の赤色(R)や緑色(G)の光と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、不図示のリレーレンズを含む青色(B)光学系2121を介して導かれる。
【0011】
ライトバルブ100R、100G、100Bは各々、液晶パネル110の両側に入射側偏光分離素子111、及び出射側偏光分離素子112を有している。ここで、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光の波長は、以下の関係を有する。
B<G<R
【0012】
従って、表示装置200は、液晶パネル110として、第1波長域の光が入射する第1液晶パネルと、第1波長域と異なる第2波長域の光が入射する第2液晶パネルと、第1波長域及び第2波長域より長波長の第3波長域の光が入射する第3液晶パネルとを有する。ここで、第1波長域が第2波長域より低波長域であるとすると、各波長の光、及び液晶パネル110は各々、以下のように定義される。
第1波長域の光=青色(B)の光
第2波長域の光=緑色(G)の光
第3波長域の光=赤色(R)の光
青色(B)の光が入射する液晶パネル110=第1液晶パネル110B
緑色(G)の光が入射する液晶パネル110=第2液晶パネル110G
赤色(R)の光が入射する液晶パネル110=第3液晶パネル110R
【0013】
ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズムからなる合成光学系2112に3方向から入射する。そして、合成光学系2112において、赤色及び青色の光は90度に反射し、緑色の光は透過する。従って、各原色の画像が合成された後、スクリーン等の被投射部材2120には、投射光学系2114によってカラー画像が投射される。
【0014】
さらに、表示装置200は、液晶パネル110の光入射側には、光センサー装置1を有している。光センサー装置1は、液晶パネル110に入射する光と異なる波長域の光を検出するよう構成される。後述するように、光センサー装置1は、液晶パネル110に光が入射した際に液晶パネル110から放射される放射光Zを検出する。この放射光Zは、液晶パネル110の液晶のフォトルミネッセンスであり、液晶パネル110に入射する光とは異なる。
【0015】
本実施形態の光センサー装置1は、第1波長域の光である青色の光を第1液晶パネル110Bに導くミラー2106に対して第1液晶パネル110Bとは反対側に配置され、第1波長域と異なる波長領域の放射光Zを検出する。光センサー装置1は、第1液晶パネル110Bに第1波長域の光が入射した際に第1液晶パネル110Bから放射される放射光Zを検出する。ミラー2106は、第1波長域の光である青色Bの光を反射させ、それ以外の波長域の光を透過させる。従って、光センサー装置1は、第1液晶パネル110Bの光入射側の面から放射される放射光Zをミラー2106を介して検出することができる。
【0016】
光センサー装置1については、カメラや分光測定器を採用できる。本実施形態の光センサー装置1は、フィルター等によって受光素子への入射光の波長が600nmから650nmに制限されている態様の他、受光素子が受光した結果から600nmから650nmの帯域の光の強度を抽出する態様が採用することができる。また、光センサー装置1は、感度を上げるため、ミラー2106との間に集光レンズ11を設けてもよい。
【0017】
本実施形態の表示装置200は、ダイクロイックミラー2109によって、ダイクロイックミラー2109から第1液晶パネル110Bまでの光学系には、赤色光及び緑色の光は入射されない構成である。第1液晶パネル110Bを観察する光センサー装置1が、青色の光と異なる色の光の変化を検出した場合、第1液晶パネル110Bに変化が生じたことが推定される。また、表示装置200は、ダイクロイックミラー2108によって、ダイクロイックミラー2108から第2液晶パネル110Gまでの光学系には、赤色の光は入射されない構成である。また、表示装置200は、ダイクロイックミラー2108によって、ダイクロイックミラー2108から第3液晶パネル110Rまでの光学系には、青色及び緑色の光は入射されない構成である。従って、光センサー装置1は、ダイクロイックミラー2109に対して第2液晶パネル110Gとは反対側に配置し、緑色の光及び青色の光と異なる光を観察する構成としてもよい。また、光センサー装置1は、ミラー2104に対して第3液晶パネル110Rとは反対側に配置し、赤色の光と異なる光を観察する構成としてもよい。
【0018】
図2に示すように、投射型の表示装置200は、第1液晶パネル110B、第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Rからなる3つの液晶パネル110と、制御部70とを備える。液晶パネル110は、複数の画素Pが配列された画素領域Eと、複数の画素Pを駆動する駆動回路105とを備える。液晶パネル110の画素領域Eには、第1方向Xに延在するs本の走査線32と、第2方向Yに延在するt本のデータ線34とが形成される。s、tは各々、2以上の整数である。複数の画素Pは、走査線32とデータ線34との交差点に対応して縦s行×横t列に配列される。複数の画素Pは各々、液晶素子CLを備える。また、図示を省略するが、複数の画素Pは各々、画素スイッチング素子及び蓄積容量を含む。
【0019】
駆動回路105は、データ線駆動回路101と走査線駆動回路102とを備えており、複数の画素Pの各々が表示する階調レベルを指定する画像信号VD[j]を複数の画素Pの各々に供給する。jは、1≦j≦tを満たす整数である。走査線駆動回路102は、第i行の走査線32に走査信号GS[i]を供給する。iは、1≦i≦sを満たす整数である。データ線駆動回路101は、走査線駆動回路102による走査線32の選択に同期して、第1行~第t行のデータ線34に画像信号VD[1]~VD[t]を供給する。液晶素子CLは、画像信号VD[j]に対応した電圧で駆動され、電気光学特性(V-T特性)に応じて光変調を行う(図8参照)。
【0020】
制御部70は、画像処理部71と、タイミング信号生成部72と、判定部2とを備える。タイミング信号生成部72は、上位装置(図示せず)から供給された同期信号に基づいて、駆動回路105及び画像処理部71を制御するための制御信号CLTを生成し、生成した制御信号CLTを駆動回路105及び画像処理部71に供給する。タイミング信号生成部72は、画像信号VD[n]の極性を規定する極性信号PLを生成し、データ線駆動回路101に供給する。データ線駆動回路101は、極性信号PLに従って画像信号VD[n]の極性を設定する。画像処理部71は、表示装置200により表示されるべき画像を表す入力映像信号Vinが上位装置から供給されると、入力映像信号Vinと制御信号CLTとに基づいて画素Pの階調レベルを示す階調信号VLを生成し、データ線駆動回路101に出力する。判定部2は、光センサー装置1からの情報に基づき、放射光Zの強度が所定値を超えたか否かを判定する。画像処理部71、タイミング信号生成部72及び判定部2は、電子回路により実現される。制御部70は、プロセッサーとして構成される。画像処理部71、タイミング信号生成部72及び判定部2は、プロセッサーが実行するモジュールとして構成されてもよい。
【0021】
1-2.液晶パネル110の全体構成
図3は、図1に示す液晶パネル110の平面構成を示す説明図である。図4は、図3に示す液晶パネル110の断面図である。図3及び図4において、液晶パネル110は、第1基板10と、第1基板10に対向する第2基板20とを有しており、第1基板10と第2基板20とは、枠状のシール材40を介して貼り合わされている。第1基板10と第2基板20との間には、シール材40の内側に液晶層50が配置されている。第1基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性基板からなる基板本体10wを有しており、基板本体10wから第1配向膜18までが第1基板10に相当する。第2基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性基板からなる基板本体20wを有しており、基板本体20wから第2配向膜28までが第2基板20に相当する。
【0022】
第1基板10は第2基板20よりも大きく、シール材40は、第2基板20の外縁に沿って配置されている。液晶層50は、正または負の誘電異方性を有する液晶材料からなる。シール材40は、例えば、熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂等の接着剤からなり、第1基板10と第2基板20との間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示せず)を含んでいる。
【0023】
液晶パネル110には、シール材40で囲まれた領域内に画素領域Eが設けられており、第2基板20には、シール材40と画素領域Eとの間の周辺領域Fに画素領域Eの周りを囲む見切り部21が設けられている。見切り部21は、金属あるいは金属酸化物等からなる遮光層によって構成されている。遮光層は、第2基板20に対して、隣り合う画素Pの境界部分に平面視で重なるブラックマトリックスとして構成されることもある。
【0024】
第1基板10において、第2基板20と対向する一方面10sの側には、シール材40の外側に複数の端子104が1つの辺に沿って配列されており、端子104と画素領域Eとの間にデータ線駆動回路101が設けられている。第1基板10の一方面10sの側において、画素領域Eの外側には、端子104が配列された辺と隣り合う2辺の各々に沿って走査線駆動回路102が設けられ、端子104が配列された辺と対向する辺に沿って検査回路103、及び配線108が設けられている。データ線駆動回路101及び走査線駆動回路102に繋がる複数の配線は各々、複数の端子104に接続されている。以下、端子104が配列されている方向をX軸方向とし、X軸方向に直交する方向をY軸方向として説明する。
【0025】
第1基板10の一方面10sの側では、画素領域EにおいてX軸方向及びY軸方向に配置された複数の画素Pの各々に配置された画素電極15と、画素電極15を覆う第1配向膜18とが設けられている。また、図示を省略するが、第1基板10の一方面10sの側には、画素スイッチング素子や配線等が設けられている。画素電極15は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電膜からなる。
【0026】
第2基板20において第1基板10と対向する一方面20sの側には、見切り部21と、見切り部21を覆う平坦化膜22と、平坦化膜22を覆う共通電極23と、共通電極23を覆う第2配向膜28とが設けられている。見切り部21は、走査線駆動回路102及び検査回路103と平面視で重っている。平坦化膜22は、例えば酸化シリコン等の無機材料からなる。共通電極23は、ITO等からなり、第1基板10と第2基板20との間に設けられた上下導通部106、及び第1基板10に設けられた配線を介して端子104に電気的に接続されている。
【0027】
第1配向膜18及び第2配向膜28は、液晶パネル110の光学設計に基づいて選定される。第1配向膜18及び第2配向膜28は、例えば、蒸着等の気相成長法によって成膜されたSiOx(酸化シリコン)等の無機材料を含む無機配向膜からなる。この場合、第1配向膜18及び第2配向膜28は、負の誘電異方性を有する液晶分子を略垂直配向させる。第1配向膜18及び第2配向膜28は、表面がラビングされたポリイミド等の有機配向膜からなる場合もある。この場合、有機配向膜は、正の誘電異方性を有する液晶分子を略水平配向させる。
【0028】
このように構成された液晶パネル110は透過型である。従って、液晶パネル110に対する光の入射側及び出射側の各々に配置される偏光素子の光学設計に応じて、電圧無印加状態で画素Pの透過率が最大となるノーマリーホワイトモードや、電圧無印加状態で画素Pの透過率が最小となるノーマリーブラックモードの液晶装置として構成される。以下の説明では、第1配向膜18及び第2配向膜28として無機配向膜を用い、液晶層50に負の誘電異方性を有する液晶材料を用いることによって、ノーマリーブラックモードの光学設計が適用されている。
【0029】
第1配向膜18及び第2配向膜28は、無機配向膜であって、酸化シリコン等の無機材料を斜め蒸着して柱状に成長させた柱状のカラムの集合体からなる。従って、液晶層50において、液晶分子は、第1基板10及び第2基板20に対する法線方向に対して、3°~5°のプレチルト角度を有して略垂直配向(VA;Vertical Alignment)する。液晶分子は、画素電極15と共通電極23との間に駆動信号が印加された際、画素電極15と共通電極23との間に生ずる電界方向によって傾きが変化する。
【0030】
第1基板10に第1配向膜18を形成する際の斜め蒸着方向は、例えば、図1において矢印C1で示す方位であり、Y軸方向に角度θaの角度を成す方向である。第2基板20に第2配向膜28を形成する際の斜め蒸着方向は、例えば、図1において矢印C2で示す方位であり、Y軸方向に角度θbの角度を成す方向である。かかる蒸着方向によって、液晶分子の配向方向が規定される。角度θa、θbは、例えば45度である。第1基板10に第1配向膜18を形成する際の斜め蒸着の方位と、第2基板20に第2配向膜28を形成する際の斜め蒸着の方位とは逆向きである。
【0031】
画素領域Eは、複数の画素Pのうち、画像の表示に直接寄与する表示画素P1が配置された表示領域E1を有し、表示領域E1の周りには、複数の画素Pのうち、画像の表示に直接寄与しない複数のダミー画素P2を有するダミー画素領域E2を有している。従って、複数の画素電極15のうち、表示画素P1に設けられた画素電極15は、有効画素電極等と称せられる第1画素電極151であり、ダミー画素P2に設けられた画素電極15は、ダミー画素電極等と称せられる第2画素電極152である。
【0032】
本実施形態においては、液晶パネル110がノーマリーブラックモードであることから、表示画素P1での表示状態に関わらず、第2画素電極152には、ダミー画素P2を黒表示とする固定電位あるいは交流電位が印加される。但し、本実施形態において、見切り部21は、周辺領域F及びダミー画素領域E2と平面視で重なる領域に形成されており、ダミー画素P2が視認されないようになっている。なお、見切り部21は、周辺領域Fと平面視で重なっているが、ダミー画素領域E2と平面視で重なっていないように設けられる場合があり、この場合、ダミー画素領域E2は、見切り部21とともに見切りを構成する電子見切りとして機能する。
【0033】
1-3.液晶パネルの経時変化とフォトルミネッセンス
液晶パネル110は、長時間の使用により表示品位が変化する場合がある。特に、レーザーなどの高輝度な光源を有する投射型の表示装置200に採用される液晶パネル110では、光束密度の高い光が入射するため、経時変化により表示品位が低下する傾向にある。液晶パネル110の表示品位の低下の要因の一つは、液晶自体の劣化が考えられ、液晶分子の組成や配向特性が、光の照射により変化することが推定される。
【0034】
本願の発明者は、液晶パネル110の経時変化を観察するための加速劣化試験の過程で、液晶のフォトルミネッセンスと推定される発光を検出できるという知見を得た。具体的には、青色の光を照射し続けた液晶パネル110において赤色の光が強く観察された。この赤色の光は、劣化した液晶に起因するフォトルミネッセンスと推定される。図1に示す放射光Zは、液晶パネル110によるフォトルミネッセンス(燐光)である。
【0035】
図5は、液晶に光を照射したときのフォトルミネッセンスの経時変化の説明図である。横軸は、測定波長であり、縦軸は、青色の光を照射した液晶において観察される光強度である。青色の光を照射し始めた初期のスペクトラムを実線L0で示し、青色の光を一定期間、照射した段階のスペクトラムを破線L1で示してある。入射光に対応するスペクトラム以外は、液晶分子または劣化した液晶分子のフォトルミネッセンスに基づくものと推定される。
【0036】
図5に示すように、液晶に対し、450nm近辺に強度ピークを有する青色の光を一定時間、照射し続けると、液晶から出射される放射光のスペクトラムの強度が上昇することがわかる。特に、波長が550nmから650nmの帯域Wの強度が上昇し、赤色成分の割合が増加した光として観察される。液晶分子間で電子が遷移する際、所定の光が放射されるが、光化学反応等によって劣化した液晶分子が介在すると、波長が550nmから650nmの燐光を含む放射光が出射されるものと推定される。
【0037】
図6及び図7は、液晶パネル110の加速劣化試験におけるフォトルミネッセンス(燐光)の経時変化の説明図である。図6は、試験時間T0、T1、T2、T3、T4のスペクトラムをそれぞれ示す図であり、横軸は、測定波長であり、縦軸は、液晶パネル110において観察される光強度である。図7は、帯域Wが500nmから650nmにおける光強度の経時変化を示す図である。図7の横軸は、試験時間であり、縦軸は、液晶パネル110において観察される光強度である。図7には、図6に示す試験時間T0、T1、T2、T3、T4の対応点を示してある。図6及び図7に示す加速劣化試験では、光束密度の高い青色の光を液晶パネル110に照射し、光センサー装置1と同等な装置により、光の入射側から液晶パネル110を観察した。
【0038】
図8は、液晶パネル110の電気光学特性(V-T特性)を示す説明図であり、縦軸は透過率を示し、横軸は液晶素子LCの印加電圧を示す。試験時間T0、T3及びT4に対応する液晶パネル110のV-T曲線をそれぞれ示す。
【0039】
液晶パネル110で観察される光強度の経時変化の主な要因は、液晶パネル110のフォトルミネッセンス強度の経時変化である。時試験間T0は、初期状態を示し、T0<T1<T2<T3<T4である。青色の光の照射により、液晶のフォトルミネッセンスによる放射光のスペクトラムの強度が上昇する。試験時間T1及びT2では、帯域Wが500nmから650nmにおいて、液晶パネル110からのフォトルミネッセンスの強度が上昇する。試験時間T3及びT4において、さらに全測定波長域のフォトルミネッセンスの強度が上昇し、帯域Wが500nmから650nmのフォトルミネッセンスの強度が顕著に上昇する。試験時間T3及びT4は各々、試験時間T2の1.1倍及び1.2倍の時間であり、それらのフォトルミネッセンスの強度は各々、試験時間T2のフォトルミネッセンスの強度の1.5倍及び3倍以上である。試験時間T3の液晶パネル110のV-T曲線は、暗い方向に変化し、試験時間T4の液晶パネル110のV-T曲線は、明るい方向に変化し、液晶パネル110の表示品位が低下する。試験時間T3から急激に液晶パネル110の劣化が進むことを把握できる。従って、液晶パネル110のフォトルミネッセンスの強度の変化により液晶パネル110の劣化を把握することができる。なお、液晶パネル110のフォトルミネッセンスの強度の増大の要因は、劣化した液晶分子の濃度が増大することが推定される。試験時間T4以降では、さらに液晶分子が劣化し、液晶パネル110は、補正等でも表示品位を回復することができなくなり、液晶パネル110の寿命が尽きることになる。寿命の判断としては、例えば、図7に示すように、試験時間T2と試験時間T3の間で観察されるフォトルミネッセンスの強度I0を検出した時点を液晶パネル110の寿命であると判断する。フォトルミネッセンスの強度I0は、液晶パネル110に対応する限界値I0に設定することができる。
【0040】
従って、液晶パネル110から放出されるフォトルミネッセンスの強度を検出すれば、液晶の劣化、及び液晶の劣化を要因とする液晶パネル110の劣化を監視できる。なお、液晶に青色の光を一定時間、照射し続けると、液晶パネル110から放射される放射光Zには、波長が600nmから650nmの蛍光も含まれる。また、液晶に照射される光の波長が短い方が光化学反応等による劣化が進行しやすい。
【0041】
1-4.液晶パネル110の劣化の監視
本実施形態では、図1及び図2に示すように、第1液晶パネル110B、第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Rのうち、第1液晶パネル110Bには、第1液晶パネル110Bに第1波長域の光が入射した際に第1液晶パネル110Bから放射される放射光Zを検出する光センサー装置1が設けられており、光センサー装置1は、第1波長域より長波長域の放射光Zを検出する。より具体的には、光センサー装置1は、波長が600nmから650nmの燐光を検出する。ここで、光センサー装置1については、フィルター等によって受光素子への入射光の波長が600nmから650nmに制限されている態様の他、受光素子が受光した結果から600nmから650nmの帯域の光の強度を抽出する態様が採用することができる。
【0042】
本実施形態においては、図1に示すように、白色光源部2102から出射された光のうち、第1波長域の光である青色の光を第1液晶パネル110Bに導く最下流のミラー2106に、第1波長域の光である青色の光を反射して第3波長域の光である赤色の光を透過するダイクロイックミラーが用いられており、ミラー2106に対して第1液晶パネル110Bとは反対側に光センサー装置1が配置されている。従って、光センサー装置1は、第1液晶パネル110Bの光入射側の面から放射される放射光Zを、ミラー2106を介して検出することができる。
【0043】
さらに本実施形態では、図2に示すように、波長が600nmから650nmの放射光Zを光センサー装置1が検出した結果に基づいて第1液晶パネル110Bの寿命を判定する判定部2が設けられている。また、判定部2は、フォトルミネセンスである放射光Zの強度が限界値I0を超えたか否かを判定し、放射光Zの強度が限界値I0を超えたときにその旨を報知する。
【0044】
より具体的には、判定部2には、波長が600nmから650nmの放射光Zの強度に対して、第1液晶パネル110Bの寿命に対応する限界値I0(図7参照)が設定されている。判定部2は、検出した放射光Zの強度に基づいて、液晶パネル110の寿命までの期間を画像等によって報知する。また、判定部2は、放射光Zの強度が限界値I0を超えたときには、画像や音声等によって、第1液晶パネル110Bは寿命である旨を報知させる。画像は、画像処理部71が生成する画像信号に重畳し、液晶パネル110に表示し、投射してもよい。また、画像や音声等によってその旨を報知する報知手段を備えてもよい。放射光Zの強度が限界値I0を超えたときに、第1液晶パネル110Bの寿命を報知するフローを図9に示す。判定部2は、光センサー装置1を介して、第1液晶パネル110Bのフォトルミネッセンスを監視し(ステップS1)、フォトルミネッセンスの強度が限界値I0を超えたと判断すると(ステップS2:YES)、第1液晶パネル110Bが寿命であること、または寿命までの期間を報知する(ステップS3)。
【0045】
また、判定部2は、第1液晶パネル110Bの寿命の通知だけでなく、表示品位の低下を抑制するため、第1液晶パネル110Bの駆動を補正させてもよい。判定部2は、図7に示す試験時間T0に対応するV-T曲線に近づけるように、画像処理部71に階調信号VLの補正指示を行う。駆動回路105は、補正された階調信号VLに基づいて、補正された画像信号VD[j]を複数の画素Pの各々に供給する。図10に示すように、判定部2は、光センサー装置1を介して、第1液晶パネル110Bのフォトルミネッセンスである放射光Zを監視し(ステップS11)、放射光Zの強度が閾値I1を超えたと判断すると(ステップS12:YES)、第1液晶パネル110Bの駆動が補正できるかを判定する(ステップS13)。判定部2は、第1液晶パネル110Bの駆動が補正可能であれば、第1液晶パネル110Bの駆動を補正し(ステップS15)、第1液晶パネル110Bの駆動が補正不可能であれば、第1液晶パネル110Bが寿命である旨を報知する(ステップS14)。例えば、実験等により、判定部2は、図7に示す試験時間T2及びT3に対応するV-T曲線を試験時間T0のV-T曲線に近づける補正量を算出し、算出した補正量をそれぞれ試験時間T2及びT3に対応する放射光Zの光強度に対応づけて保持する。判定部2は、光センサー装置1が閾値I1を検出し、それに対応する補正量に基づいて、画像処理部71が行う階調信号VLの補正が可能であれば、階調信号VLの補正を指示する。例えば、閾値I1は、図7の試験時間T2またはT3に対応する放射光Zの光強度であり、第1液晶パネル110Bの駆動の補正は可能である。図7の試験時間T4に対応する放射光Zの光強度が閾値I1の場合は、第1液晶パネル110の駆動の補正は不可能である。
【0046】
かかる第1液晶パネル110Bから出射される放射光Zの監視は、表示装置200において、第1液晶パネル110Bが表示動作を行っている期間中、実行される。また、第1液晶パネル110Bに白色光源部2102からの第1波長域の青色の光が照射される期間中であれば、第1液晶パネル110Bが表示動作を停止している期間中、第1液晶パネル110Bから出射される放射光Zの監視が行われる態様であってもよい。また、第1液晶パネル110Bに第1波長域の青色の光を照射させる機構を別機構として備えてもよい。
【0047】
このように本実施形態では、第1液晶パネル110Bに第1波長域の光が入射した際に放射される第3波長域の放射光Zを検出する光センサー装置1が設けられており、放射光Zは、液晶分子の劣化に対応する燐光である。従って、光センサー装置1での検出結果に基づいて、第1液晶パネル110Bでの液晶の劣化を監視することができる。
【0048】
また、本実施形態では、第1液晶パネル110B、第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Rのうち、入射光の波長が最も短い第1液晶パネル110Bに対して光センサー装置1が設けられている。このため、他の第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Rに光センサー装置1を設けなくても、表示装置200における液晶パネル110の劣化を監視することができる。
【0049】
1-5.第1実施形態の変形例1
図11は、本発明の第1実施形態の変形例1に係る投射型の表示装置200の説明図であり、光センサー装置1は、ミラー2105に対して第1液晶パネル110Bとは反対側に配置される。なお、本形態の基本的な構成は、第1実施形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示するとともに、それらの説明を省略する。
【0050】
図1に示す態様では、最下流のミラー2106をダイクロイックミラーとしたが、図11に示すように、第1液晶パネル110Bから放射される第3波長域の放射光Zを合成光学系2112、ミラー2106、2105を介して検出してもよい。ミラー2106に、青色及び赤色の光を反射するダイクロイックミラーを用い、ミラー2105に、青色の光を反射し、赤色の光を透過するダイクロイックミラーを用いる。
【0051】
1-6.第1実施形態の変形例2
図12は、本発明の第1実施形態の変形例2に係る投射型の表示装置200の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、第1実施形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示するとともに、それらの説明を省略する。本形態の表示装置200では、第3液晶パネル110Rに向かう赤色の光路には、赤色の光が光センサー装置1に向けて漏れることを防止する遮光部材4が設けられている。従って、光センサー装置1は、第1液晶パネル110Bから放射される第3波長域の燐光を精度よく検出することができる。
【0052】
2.第2実施形態
図13は、本発明の第2実施形態に係る投射型の表示装置300の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、第2実施形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示するとともに、それらの説明を省略する。
【0053】
第1実施形態に係る投射型の表示装置200には透過型の液晶パネル110が用いられていたが、本形態の投射型の表示装置300において、液晶パネル110は反射型である。より具体的には、図4に示す液晶パネル110において、画素電極15は、アルミニウム等の反射性金属からなる。
【0054】
かかる表示装置300では、白色光源部3102から出射された光源光は、内部に配置された2枚のダイクロイックミラー3107、3108と、ミラー3109によって赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色に分離して所定の方向に進行させる。具体的には、ダイクロイックミラー3107は、入射した光のうち、赤色(R)の光を反射し、その他の色の光を透過させることにより、入射光を赤色(R)の光とその他の色の光とに分離する。ミラー3109は、ダイクロイックミラー3107によって分離された他の色の光の光路上に配置される。ダイクロイックミラー3108は、入射した光のうち、緑色(G)の光を反射し、青色(B)の光を透過させることにより、入射光を緑色(G)の光と青色Bの光とに分離する。
【0055】
ここで、表示装置300は、第1液晶パネル110B、第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Rと、ダイクロイックプリズムからなる合成光学系3112との間に液晶パネル110への光源光の入射光路と液晶パネル110からの変調光の出射光路とを合成する偏光ビームスプリッタ、3086B、3086GB3086Rが設けられている。従って、ダイクロイックミラー3107、3108を透過した青色の光は、偏光ビームスプリッタ3086Bに入射して偏光光に変換され、第1液晶パネル110Bに照射される。ダイクロイックミラー3107を透過してダイクロイックミラー3108により反射した緑色の光は、偏光ビームスプリッタ3086Gに入射して偏光光に変換され、第2液晶パネル110Gに照射される。ダイクロイックミラー3107を反射した赤色の光は、偏光ビームスプリッタ3086Rに入射して偏光光に変換され、第3液晶パネル110Rに照射される。
【0056】
第1液晶パネル110B、第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Rは各々、入射した光を変調して反射させ、各色に対応する偏光ビームスプリッタ3086R、3086G、3086Bに向けて変調光として出射する。偏光ビームスプリッタ3086R、3086G、3086Bは、第1液晶パネル110B、第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Rから入射した変調光を合成光学系3112に入射させる。合成光学系3112は、3色の変調光を合成し、投射光学系3114に向けて出射し、投射光学系3114は、カラー画像をスクリーン等の被投射部材3120に拡大投射する。
【0057】
本実施形態において、偏光ビームスプリッタ3086Bに対して第1液晶パネル110Bとは反対側に光センサー装置1が配置されている。従って、光センサー装置1は、第1液晶パネル110Bに第1波長域の青色の光が入射した際、第1液晶パネル110Bが放射する第3波長域の赤色の放射光Zを検出することができる。なお、図示を省略するが、第1実施形態の変形例2と同様、第3液晶パネル110Rに向かう赤色の光路には、赤色の光が光センサー装置1に向けて漏れることを防止する遮光部材が設けられていることが好ましい。
【0058】
2-1.第2実施形態の変形例
図14は、本発明の第2実施形態の変形例に係る投射型の表示装置300の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、第2実施形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示するとともに、それらの説明を省略する。図13に示す表示装置300において、偏光ビームスプリッタ3086Bに対して第1液晶パネル110Bとは反対側に光センサー装置1が配置されていたが、図14に示すように、偏光ビームスプリッタ3086Bの側方に光センサー装置1が配置されている態様であってもよい。また、感度を上げるため、光センサー装置1と偏光ビームスプリッタ3086Bとの間に集光レンズ11を設けてもよい。
【0059】
3.第3実施形態
図15は、本発明の第3実施形態に係る表示装置の説明図であり、第1液晶パネル110Bの端部の構成を拡大して示す断面図である。図2等を参照して説明した液晶パネル110において、画素電極15に画像信号を供給して液晶層50を駆動すると、液晶分子が振動し、図2に示す矢印C1、C2で示した斜め蒸着方向に液晶分子のフローが生ずる。従って、光化学反応等によって液晶材料が劣化した際にイオン性不純物が発生すると、イオン性不純物は、液晶分子のフローに沿って画素領域Eの隅部Ea、Ebに向かって移動し、隅部Ea、Ebに偏在しようとする。かかるイオン性不純物の偏在が発生した領域では、液晶層50に印加される電圧が低下し、光変調特性が低下する。また、第1液晶パネル110B、第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Rのうち、最も波長域が低い光入射する第1液晶パネル110Bでは、光化学反応等による液晶材料の劣化が著しい。
【0060】
そこで、本実施形態では、第1基板10においてシール材40と画素領域Eとの間の周辺領域Fに、表示領域E1の液晶層50に存在する不純物を表示領域E1の外側に引き寄せる不純物吸引用の電極130が設けられており、第1液晶パネル110Bでは、図1等に示す光センサー装置1による放射光Zの強度の検出結果に基づいて電極130を駆動する。例えば、共通電極23に印加される共通電位Vcomを基準電位としたときの電位が正極性と負極性とに交互に切り換わる交流信号Vtが電極130に印加される。
【0061】
より具体的には、光センサー装置1による放射光Zの強度の検出結果において、放射光Zの強度が設定値より高くなった際、電極130を駆動する。従って、電極130が正極性の期間、液晶材料の劣化によって発生したイオン性不純物のうち、アニオン性の不純物が電極130に吸引される。また、電極130が負極性の期間、液晶材料の劣化によって発生したイオン性不純物のうち、カチニオン性の不純物が電極130に吸引される。その結果、表示領域E1の液晶層50に存在する不純物は、表示領域E1から周辺領域Fに掃き出されるので、イオン性不純物が表示領域E1の隅等に偏在しにくい。
【0062】
ここで、電極130は、少なくともイオン性不純物が偏在しようとする画素領域Eの隅部とシール材40の隅部との間に設けられている。本実施形態において、図2に示す矢印C1、C2で示した斜め蒸着方向(液晶分子の配向方向)に対応して、電極130は、少なくとも、画素領域Eの対角方向における2つの隅部Ea、Ebとシール材40の前記対角方向における2つの隅部40a、40bとの間の各々に設けられている。但し、電極130は、画素領域Eとシール材40のとの間で画素領域Eを囲むように枠状に設けてもよい。また、電極130を複数、並列するように配置し、隣り合う電極130に交流電位を印加してもよい。また、電極130に直流電位を印加してもよい。また、電極130は、第1液晶パネル110Bに限らず、第2液晶パネル110G、及び第3液晶パネル110Bにも設けてもよい。
【0063】
4.他の実施形態
上記実施形態では、第1波長域に対応する第1液晶パネルを青色(B)に対応する液晶パネル110としたが、第1波長域に対応する第1液晶パネルを緑色(G)に対応する液晶パネル110としてもよい。この場合、各波長の光、及び液晶パネル110は各々、以下のように定義される。この場合、緑色(G)に対応する液晶パネル110に光センサー装置1が設けられる。
第1波長域の光=緑色(G)の光
第2波長域の光=青色(B)の光
第3波長域の光=赤色(R)の光
緑色(G)の光が入射する液晶パネル110=第1液晶パネル
青色(B)の光が入射する液晶パネル110=第2液晶パネル
赤色(R)の光が入射する液晶パネル110=第3液晶パネル
【0064】
また、青色の光に対応する液晶パネル110、及び緑色の光に対応する液晶パネル110の双方に光センサー装置1が設けられた態様であってもよい。
【0065】
5.他の電子機器
光源部として、各色の光を出射するLEDやレーザーダイオード等の発光素子等を用い、かかる発光素子から出射された色光を光源光として用いてもよい。また、本発明を適用した液晶パネル110を備えた電子機器は、上記実施形態の投射型の表示装置200、300に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ等の電子機器に本発明を適用した液晶パネル110を用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…光センサー装置、2…判定部、4…遮光部材、10…第1基板、15…画素電極、18…第1配向膜、20…第2基板、21…見切り部、23…共通電極、28…第2配向膜、40…シール材、50…液晶層、70…制御部、100B、100G、100R…ライトバルブ、110…液晶パネル、110B…第1液晶パネル、110G…第2液晶パネル、110R…第3液晶パネル、111…入射側偏光分離素子、112…出射側偏光分離素子、130…電極、200、300…表示装置、2102、3102…白色光源部、3107、3108…ダイクロイックミラー、2112、3112…合成光学系、2114、3114…投射光学系、E…画素領域、E1…表示領域、E2…ダミー画素領域、F…周辺領域、P…画素、X…第1方向、Y…第2方向、Z…放射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15