(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190313
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】積層構造体および熱伝導構造体
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G03B21/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098578
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 正寛
(72)【発明者】
【氏名】茅野 祐治
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA54
2K203FA62
2K203FB03
2K203GA20
2K203LA12
2K203LA36
2K203LA37
2K203MA12
(57)【要約】
【課題】グラファイトシート内の結晶界面が熱の伝達方向に沿って劈開し、破壊し難い積層構造体を提供する。
【解決手段】積層構造体は銅で表面修飾されたグラファイト層69を複数積層してなる第1積層体65を有し、第1積層体65は、グラファイト層69の積層方向である第1方向67に延設された銅で構成される第1柱状部71を具備する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料で表面修飾されたグラファイト層を複数積層してなる第1積層体を有し、前記第1積層体は、前記グラファイト層の積層方向に延設された前記金属材料で構成される柱状部を具備することを特徴とする積層構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の積層構造体であって、
前記柱状部は、前記第1積層体の端面の角部に配置されることを特徴とする積層構造体。
【請求項3】
請求項1に記載の積層構造体であって、
前記柱状部は、前記グラファイト層を挿通して構成されることを特徴とする積層構造体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の積層構造体を備え、
熱源が前記積層構造体の一主面に接合されることを特徴とする熱伝導構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の熱伝導構造体であって、
前記第1積層体と同じ構造の第2積層体を更に備え、
前記第1積層体の積層方向である第1方向と、前記第2積層体の積層方向である第2方向と、が交差した関係となるように、前記第1積層体と前記第2積層体とが重ねられていることを特徴とする熱伝導構造体。
【請求項6】
請求項4または5に記載の熱伝導構造体であって、
前記積層構造体に対し前記熱源の反対側に熱伝導基板が接合され、
前記熱伝導基板に対し前記積層構造体と反対側に、ヒートシンクが接合されていることを特徴とする熱伝導構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層構造体および熱伝導構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
青色レーザーを照射して黄色の光を反射する波長変換部材がプロジェクターに用いられる。波長変換部材は温度が高くなると変換効率が低下する。波長変換部材の昇温を抑制するために放熱する熱伝導構造体が用いられる。
【0003】
熱伝導構造体の部品として利用される放熱接合体が特許文献1に開示されている。特許文献1によると、放熱接合体の構造はグラファイトシートを複数枚積層し、各グラファイトシートの積層面間に金属または酸化物よりなる薄膜の接合材を介在させた構造になっている。この構造にすることにより放熱接合体は高い熱伝導性と強度とを確保していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の放熱接合体の母材となるグラファイトシートの内部は強度が弱い。熱伝導部材の急速な温度の上昇と降下により発生する繰り返し応力で、グラファイトシート内の結晶界面が熱の伝達方向に沿って劈開し、破壊するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
積層構造体は、金属材料で表面修飾されたグラファイト層を複数積層してなる第1積層体を有し、前記第1積層体は、前記グラファイト層の積層方向に延設された前記金属材料で構成される柱状部を具備する。
【0007】
熱伝導構造体は、上記に記載の積層構造体を備え、熱源が前記積層構造体の一主面に接合される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態にかかわるプロジェクターの光学系を示す構成図。
【
図10】熱伝導構造体の製造方法を示すフローチャート。
【
図11】第2実施形態にかかわる積層構造体の構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1実施形態
本実施形態では、プロジェクターと、このプロジェクターに用いられる熱伝導構造体との特徴的な例について、図に従って説明する。プロジェクターはスクリーン上にカラー映像を表示する投写型画像表示装置である。
【0010】
図1は、プロジェクターの光学系を示す構成図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、発光装置としての第1照明装置2、第2照明装置3、色分離導光光学系4、赤色光変調装置5、緑色光変調装置6、青色光変調装置7、クロスダイクロイックプリズム8及び投写光学装置9を備える。赤色光変調装置5、緑色光変調装置6、青色光変調装置7はそれぞれ赤色光、緑色光、青色光の各色光に対応する光変調装置である。
【0011】
第1照明装置2は、第1光源11、コリメート光学系14、第1ダイクロイックミラー17、集光光学系18、熱伝導構造体22、第1レンズアレイ39、第2レンズアレイ41、偏光変換素子42及び重畳レンズ43を備える。
【0012】
第1光源11は半導体レーザーを備える。第1光源11は第1青色光12を射出する。第1青色光12は青色光のレーザー光であり、第1の波長を示す発光強度のピークの波長は約445nmである。尚、第1青色光12の波長は445nmに限らず、例えば、460nmでも良い。
【0013】
第1光源11の光軸を第1光軸11aとする。第1照明装置2が射出する第1青色光12の光軸を照明光軸13とする。第1光軸11aは照明光軸13と直交する。第1光源11が射出する第1青色光12はコリメート光学系14を照射する。コリメート光学系14は第1レンズ15及び第2レンズ16を備える。コリメート光学系14は第1青色光12を略平行にする。第1レンズ15及び第2レンズ16は凸レンズである。
【0014】
コリメート光学系14を通過する第1青色光12は第1ダイクロイックミラー17を照射する。第1ダイクロイックミラー17は第1光軸11a及び照明光軸13に対して45°の角度で交わる。第1ダイクロイックミラー17は第1青色光12を反射し、赤色光及び緑色光を含む黄色光を通過させる。
【0015】
第1ダイクロイックミラー17にて反射する第1青色光12は集光光学系18を照射する。集光光学系18は第3レンズ19及び第4レンズ21を備える。第3レンズ19及び第4レンズ21は凸レンズである。第1青色光12は集光光学系18を通過して熱伝導構造体22を照射する。
【0016】
熱伝導構造体22は熱源としての蛍光体23及びヒートシンク24を備える。ヒートシンク24は蛍光体23を冷却する。
【0017】
第1ダイクロイックミラー17で反射した第1青色光12を集光光学系18が集光して蛍光体23を照射する。熱伝導構造体22には第1青色光12が入射される。蛍光体23は第1青色光12を黄色光27に変換して射出する。黄色光27には赤色光及び緑色光が含まれる。蛍光体23が射出する黄色光27は集光光学系18を照射する。集光光学系18は黄色光27を略平行にする。このように、第1照明装置2は第1光源11、集光光学系18及び熱伝導構造体22を備える。
【0018】
集光光学系18及び第1ダイクロイックミラー17は照明光軸13に沿って配置される。黄色光27は集光光学系18及び第1ダイクロイックミラー17を通過する。
【0019】
第2照明装置3は図中第1照明装置2の右側に配置される。第2照明装置3は第2光源28、集光光学系29、散乱板31及びコリメート光学系32を備える。
【0020】
第2光源28は第1光源11と同じ半導体レーザーを備える。第2光源28は第2青色光33を射出する。第2光源28の光軸を第2光軸28aとする。第2青色光33は第2光軸28aに沿って集光光学系29、散乱板31及びコリメート光学系32をこの順に通過する。集光光学系29は第2青色光33を散乱板31付近に集光する。集光光学系29は第5レンズ34及び第6レンズ35を備える。第5レンズ34及び第6レンズ35は凸レンズである。
【0021】
散乱板31は第2青色光33を散乱する。散乱板31は第2青色光33の配光分布を熱伝導構造体22から射出される黄色光27の配光分布に似た配光分布にする。散乱板31には、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスが用いられる。
【0022】
コリメート光学系32は散乱板31からの光を略平行化する。コリメート光学系32は第7レンズ36及び第8レンズ37を備える。第7レンズ36及び第8レンズ37は凸レンズからなる。
【0023】
コリメート光学系32を通過する第2青色光33は第1ダイクロイックミラー17で反射する。第2青色光33は第1ダイクロイックミラー17を透過した黄色光27と合成されて白色光38となる。白色光38は第2青色光33、赤色光、緑色光が含まれる。
【0024】
照明光軸13に沿って第1レンズアレイ39、第2レンズアレイ41、偏光変換素子42及び重畳レンズ43がこの順に配置される。第1ダイクロイックミラー17で合成された白色光38は第1レンズアレイ39、第2レンズアレイ41、偏光変換素子42、重畳レンズ43の順に通過する。
【0025】
第1レンズアレイ39は白色光38を複数の部分光束に分割する。第1レンズアレイ39は複数の第1小レンズ39aを有する。複数の第1小レンズ39aは照明光軸13と直交する面内にマトリックス状に配列される。
【0026】
第2レンズアレイ41及び重畳レンズ43は第1レンズアレイ39の各第1小レンズ39aが形成する像を赤色光変調装置5、緑色光変調装置6、青色光変調装置7の画像形成領域近傍に結像させる。第2レンズアレイ41は複数の第2小レンズ41aを有する。複数の第2小レンズ41aは照明光軸13に直交する面内にマトリックス状に配列されている。複数の第2小レンズ41aは複数の第1小レンズ39aに対応して配置される。
【0027】
第1レンズアレイ39により分割された各部分光束を偏光変換素子42が直線偏光光に変換する。偏光変換素子42は偏光分離層、反射層及び位相差板を有する。偏光分離層は黄色光27に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに他方の直線偏光成分を反射層に向けて反射させる。反射層は偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸13と平行な方向に反射する。位相差板は反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する。
【0028】
重畳レンズ43は、偏光変換素子42からの各部分光束を集光して赤色光変調装置5、緑色光変調装置6及び青色光変調装置7の画像形成領域近傍で互いに重畳させる。第1レンズアレイ39、第2レンズアレイ41及び重畳レンズ43は、白色光38に含まれる黄色光27の面内光強度分布を均一にするインテグレーター光学系を構成する。重畳レンズ43を通過した白色光38は色分離導光光学系4に入力される。
【0029】
色分離導光光学系4は、第2ダイクロイックミラー44、第3ダイクロイックミラー45、第1反射ミラー46、第2反射ミラー47、第3反射ミラー48、第1リレーレンズ49及び第2リレーレンズ51を備える。重畳レンズ43を通過した白色光38を色分離導光光学系4が赤色光52、緑色光53及び第3青色光54に分離する。色分離導光光学系4は赤色光52を赤色光変調装置5へ、緑色光53を緑色光変調装置6へ、第3青色光54を青色光変調装置7へそれぞれ導光する。第3青色光54は第2青色光33に相当する光である。
【0030】
色分離導光光学系4と赤色光変調装置5との間には第1フィールドレンズ55が配置される。色分離導光光学系4と緑色光変調装置6との間には第2フィールドレンズ56が配置される。色分離導光光学系4と青色光変調装置7との間には第3フィールドレンズ57が配置される。
【0031】
第2ダイクロイックミラー44は赤色光52を通過させ、緑色光53及び第3青色光54を反射するダイクロイックミラーである。第3ダイクロイックミラー45は緑色光53を反射して、第3青色光54を通過させるダイクロイックミラーである。第1反射ミラー46は赤色光52を反射する反射ミラーである。第2反射ミラー47及び第3反射ミラー48は第3青色光54を反射する反射ミラーである。
【0032】
第2ダイクロイックミラー44を通過した赤色光52は第1反射ミラー46で反射され、第1フィールドレンズ55を通過して赤色光52用の赤色光変調装置5の画像形成領域に入射する。
【0033】
第2ダイクロイックミラー44で反射された緑色光53は第3ダイクロイックミラー45でさらに反射され、第2フィールドレンズ56を通過して緑色光53用の緑色光変調装置6の画像形成領域に入射する。
【0034】
第2ダイクロイックミラー44で反射された第3青色光54は第3ダイクロイックミラー45を通過する。第3ダイクロイックミラー45を通過した第3青色光54は第1リレーレンズ49、第2反射ミラー47、第2リレーレンズ51、第3反射ミラー48、第3フィールドレンズ57を経て第3青色光54用の青色光変調装置7の画像形成領域に入射する。
【0035】
赤色光変調装置5、緑色光変調装置6及び青色光変調装置7は入射された各色光を画像情報に応じて変調して各色光に対応する画像光を形成する。赤色光変調装置5は熱伝導構造体22で波長変換された黄色光27に含まれる赤色光52を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する。緑色光変調装置6は熱伝導構造体22で波長変換された黄色光27に含まれる緑色光53を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する。青色光変調装置7は第2光源28から射出された第2青色光33に対応する第3青色光54を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する。
【0036】
尚、図示を省略したが、第1フィールドレンズ55と赤色光変調装置5との間には入射側偏光板が配置される。赤色光変調装置5とクロスダイクロイックプリズム8との間には射出側偏光板が配置される。同様に、第2フィールドレンズ56と緑色光変調装置6との間には入射側偏光板が配置される。緑色光変調装置6とクロスダイクロイックプリズム8との間には射出側偏光板が配置される。第3フィールドレンズ57と青色光変調装置7との間には入射側偏光板が配置される。青色光変調装置7とクロスダイクロイックプリズム8との間には射出側偏光板が配置される。
【0037】
クロスダイクロイックプリズム8は赤色光変調装置5、緑色光変調装置6及び青色光変調装置7から射出された各画像光を合成してカラーの画像光を形成する光学素子である。クロスダイクロイックプリズム8は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。
【0038】
赤色の画像光は赤色光変調装置5からクロスダイクロイックプリズム8へ進行する。緑色の画像光は緑色光変調装置6からクロスダイクロイックプリズム8へ進行する。青色の画像光は青色光変調装置7からクロスダイクロイックプリズム8へ進行する。各色の画像光はクロスダイクロイックプリズム8にて合成されてカラーの画像光になる。
【0039】
クロスダイクロイックプリズム8から射出されたカラーの画像光を投写光学装置9がスクリーン58に拡大投写する。スクリーン58上にはカラーの画像が形成される。
【0040】
このように、プロジェクター1は第1照明装置2、第2照明装置3、色分離導光光学系4、赤色光変調装置5、緑色光変調装置6、青色光変調装置7及び投写光学装置9を備える。
【0041】
図2に示すように、第1実施形態の熱伝導構造体22は、蛍光体23と、蛍光体23と接合された熱拡散部63と、熱拡散部63に接合された熱伝導基板64と、熱伝導基板64に接合されたヒートシンク24と、を備えている。
【0042】
熱伝導構造体22は熱拡散部63の表面の中央に蛍光体23を備える。蛍光体23は、第1光源11からの第1青色光12を波長変換する。蛍光体23は第1青色光12によって励起されて第2の波長帯の黄色光27を射出する。蛍光体23に第1青色光12が入射する面は黄色光27が射出される射出面でもある。黄色光27は赤色光52及び緑色光53を含む黄色の光である。蛍光体23は、例えば、YAG系蛍光体である(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceを含有する。蛍光体23の大きさは、例えば、平面視で4mm×4mmである。
【0043】
熱拡散部63は蛍光体23よりも平面視の大きさが大きい。熱拡散部63は積層構造体としての第1積層体65及び第2積層体66を有する。熱拡散部63の大きさは、例えば、平面視で8mm×8mmである。熱拡散部63の厚みは、例えば、1mmである。第1積層体65では複数のグラファイト層がX方向に積層されて構成される。第2積層体66では複数のグラファイト層がY方向に積層されて構成される。
【0044】
熱伝導基板64は平面形状が長方形の板である。熱伝導基板64は銅、または炭素と銅との複合材料、によって構成される。熱伝導基板64は、ヒートシンク24に接合されて、蛍光体23によって発生した熱を効率よく冷却する。これにより、蛍光体23の発光効率の低下を防止することができる。
【0045】
ヒートシンク24には板状のフィン24aが複数配置される。熱伝導基板64はヒートシンク24と密着しており、熱伝導基板64の熱はヒートシンク24に伝導し易くなっている。ヒートシンク24は熱伝導性の良い材質であれば良く特に限定されない。本実施形態では、例えば、ヒートシンク24にはアルミニウムが用いられる。
【0046】
図3に示すように、第1積層体65と第2積層体66とは、第1積層体65の積層方向である第1方向67と、第2積層体66の積層方向である第2方向68とが、交差した関係となるように重ねられて配置されている。第1積層体65と第2積層体66とは同じ構造になっている。第1方向67と第2方向68とが成す角度は特に限定されないが、本実施形態では、例えば、90度である。
【0047】
この構成によれば、第1積層体65の積層方向である第1方向67と、第2積層体66の積層方向である第2方向68と、が交差するように第1積層体及び第2積層体が重ねられている。第1積層体65は第1方向67と直交する方向に熱を急速に拡散させる。第1積層体65の伝熱方向は第2方向68である。第2積層体66は第2方向68と直交する方向に熱を急速に拡散させる。第2積層体66の伝熱方向は第1方向67である。このため、熱源である蛍光体23からの熱を交差する第1方向67及び第2方向68に急速に広げて拡散させることができる。熱伝導基板64を介して広がった熱をヒートシンク24に伝えることにより、効率的に放熱し冷却することができる。
【0048】
蛍光体23による波長変換に伴い発生する熱は、蛍光体23を点光源として発光させると1点に集中するため極めて高い温度になる。蛍光体23は、例えば、200℃以上の温度になると、分子構造が変化して急速に波長変換効率が低下する。この現象を熱崩壊という。
【0049】
第1積層体65及び第2積層体66は蛍光体23の熱を効率的に拡散させて、熱源である蛍光体23の過昇温を防止し、蛍光体23の熱崩壊を抑制する。蛍光体23の過昇温を防止することにより、励起光量の低下を抑制することができる。その結果、蛍光体23の光の変換効率が低下することを抑えることができる。
【0050】
第1積層体65及び第2積層体66は金属材料で表面修飾されたグラファイト層69を複数積層してなる。第1積層体65及び第2積層体66は、グラファイト層69と金属材料とが積層されている。第1積層体65におけるグラファイト層69のピッチ幅と、第2積層体66におけるグラファイト層69のピッチ幅とは、同じである。第1積層体65及び第2積層体66は黒鉛の結晶がシート状に形成されたグラファイトシートを備える。グラファイトは層状の六方晶構造である。グラファイトシートは粉砕した石炭をシート状にプレスして焼成して形成される。グラファイトシートは面方向の熱伝導率が銀、銅、アルミよりも優れている。
【0051】
第1積層体65は、グラファイト層69の積層方向である第1方向67に延設された金属材料で構成される柱状部としての第1柱状部71を具備する。第1積層体65を表面修飾する金属材料と第1柱状部71を構成する金属材料とは同じ金属材料である。
【0052】
第2積層体66は、グラファイト層69の積層方向である第2方向68に延設された金属材料で構成される第2柱状部72を具備する。第2積層体66を表面修飾する金属材料と第2柱状部72を構成する金属材料とは同じ金属材料である。
【0053】
第1柱状部71及び第2柱状部72を構成する金属材料は熱伝導が良く、グラファイト層69を表面装飾できれば良く、特に限定されない。本実施形態では、例えば、第1柱状部71及び第2柱状部72を構成する金属材料に銅または銅を主体とする金属が用いられる。
【0054】
第1積層体65の構成によれば、グラファイト層69の表裏は金属材料で表面修飾される。グラファイト層69の表面が金属材料で表面修飾されることにより、グラファイト層69が破壊されることを抑えることが可能となる。さらに、金属材料の表面修飾によりグラファイト層69を積層することができる。グラファイト層69ではグラファイトシートが金属膜に挟まれている。このため、グラファイト層69ではグラファイトシートの表面及び裏面が延在する方向に変化することを金属膜が規制する。グラファイト層69の積層方向には金属材料で構成される第1柱状部71が設置される。このため、積層構造体である第1柱状部71が積層方向である第1方向67に変位することを第1柱状部71が規制する。
【0055】
第1積層体65に急速な温度の上昇と降下とが反復され、繰り返し応力が発生するときにも、グラファイト層69の変位を金属膜及び第1柱状部71が規制する。このため、グラファイト層69内の結晶界面が熱の伝達方向である第2方向68に沿って劈開し、破壊することを抑制することができる。
【0056】
第2柱状部72は第1柱状部71と同じ構造である。従って、第2柱状部72においてもグラファイト層69内の結晶界面が熱の伝達方向である第1方向67に沿って劈開し、破壊することを抑制することができる。
【0057】
第1柱状部71は、第1積層体65の端面の角部に配置される。詳しくは、第1柱状部71は第1積層体65のY正方向側の端面のZ正方向側の角部に配置される。さらに、第1柱状部71は第1積層体65のY負方向側の端面のZ正方向側の角部に配置される。
【0058】
この構成によれば、第1柱状部71が第1積層体65の端面の角部に配置される。第1柱状部71の近くではグラファイト層69の変位が規制される。従って、第1積層体65の角からグラファイト層69が劈開することを抑制できる。第1柱状部71はグラファイト層69よりも伝熱速度が遅い。第1積層体65の中央に蛍光体23があるとき、蛍光体23の近くにグラファイト層69があるときの方が、蛍光体23の近くに第1柱状部71があるときに比べて早く伝熱して冷却することができる。
【0059】
第2柱状部72は、第2積層体66の端面の角部に配置される。詳しくは、第2柱状部72は第2積層体66のX正方向側の端面のZ負方向側の角部に配置される。さらに、第2柱状部72は第2積層体66のX負方向側の端面のZ負方向側の角部に配置される。
【0060】
第2積層体66は第1積層体65と同様の構造であるため、第2積層体66の角からグラファイト層69が劈開することを抑制できる。
【0061】
図4に示すように、蛍光体23と第1積層体65とは第1接合材73によって接合されている。第1積層体65と第2積層体66とは第2接合材74によって接合されている。第2積層体66と熱伝導基板64とは、第3接合材75によって接合されている。熱伝導基板64とヒートシンク24とは第4接合材76によって接合されている。第1接合材73、第2接合材74、第3接合材75及び第4接合材76には、例えば、銀ナノ粒子を含む接合材等が用いられる。
【0062】
第1積層体65及び第2積層体66に対し蛍光体23の反対側に熱伝導基板64が接合される。熱伝導基板64に対し第1積層体65及び第2積層体66の反対側に、ヒートシンク24が接合されている。
【0063】
この構成によれば、第2積層体66の蛍光体23とは反対側に熱伝導基板64が接合されているので、第1積層体65及び第2積層体66によって第1方向67及び第2方向68に拡散した熱を、熱伝導基板64を介してヒートシンク24から外部に放熱することができる。熱伝導基板64にヒートシンク24が接合されているので、効率よく放熱させることができる。
【0064】
熱伝導構造体22では蛍光体23が第1積層体65の一主面65aに接合される。第1積層体65のような薄板の面のうち他の面よりもはるかに面積の大きい面を「主なる面」すなわち「主面」と呼ぶ。主面には表面及び裏面の2つの面が含まれる。蛍光体23は第1積層体65の主面の1つに接合される。
【0065】
この構成によれば、熱伝導構造体22は第1積層体65を備える。蛍光体23が第1積層体65の一主面65aに接合される。蛍光体23の熱は第1積層体65によりY方向に拡散される。これにより、蛍光体23は早く冷却される。第1積層体65はグラファイト層69内の結晶界面が熱の伝達方向に沿って劈開し、破壊することを抑制することができる。従って、熱伝導構造体22は信頼性の高い構造体とすることができる。
【0066】
次に、第1積層体65及び第2積層体66の構成について説明する。
【0067】
図5は
図3の第1積層体65をAA′線に沿う断面から見た図である。
図5及び
図6に示すように、第1積層体65は、複数のグラファイト層69が第1金属材料77を介して積層されている。具体的には、第1積層体65は、
図5に示すように、略矩形板状のグラファイト層69が、
図6に示すように、X方向に複数積層されている。即ち、複数のグラファイト層69が、第1方向67に積層されている。尚、
図6では、複数のグラファイト層69を接合するための第1金属材料77の図示は省略している。
【0068】
図7は
図6のグラファイト層69をBB′線に沿う断面から見た図である。グラファイト層69は、
図5及び
図7に示すように、グラファイトシート78の表面が第2金属材料79で表面修飾されている。即ち、グラファイトシート78はメタライジングされている。表面修飾の方法としては、例えば、第2金属材料79として銅を用いて、電解メッキを施す方法が挙げられる。電解メッキの厚みは、例えば、0.1μmである。
【0069】
グラファイトシート78が銅によって表面修飾されていることにより、熱の拡散を均一にすることができる。更に、グラファイト層69を積層させて第1積層体65及び第2積層体66を形成した際の積層体間の熱抵抗を小さくすることができる。
【0070】
図8に示すように、グラファイトシート78の熱伝導率は、1600W/m・Kであり、比較的熱伝導率は高い。例えば、銅の熱伝導率は、400W/m・Kである。一方、グラファイトシート78の線膨張係数は、0.93ppm/℃であり、金や銅等の金属と比べて小さく、比抵抗も大きい。よって、グラファイトシート78は、効率的に熱を伝えることができることに加えて、接合による歪や応力を抑制し、導電性を確保する上で有効な材料である。
【0071】
図9に示すように、第2積層体66は、複数のグラファイト層69が第1金属材料77を介して積層されている。具体的には、第2積層体66は、複数のグラファイト層69が、Y方向に積層されている。複数のグラファイト層69が第2方向68に積層されている。尚、
図9では、複数のグラファイト層69を接合するための第1金属材料77の図示は省略している。
【0072】
次に、熱伝導構造体22の製造方法について説明する。
【0073】
まず、第1積層体65の形成方法及び第2積層体66の形成方法について説明する。尚、第1積層体65及び第2積層体66は、同様の製造方法によって形成されるため、第1積層体65の製造方法を主に説明する。
【0074】
図10に示すように、ステップS11では、グラファイトシート78の表面に表面修飾を施す。表面修飾はメタライジングである。表面修飾としては、後工程にて形成する銅との親和性を高めるために、銅を用いてメッキしたり、チタンや銅を用いてスパッタを行ったりする方法が挙げられる。
【0075】
ステップS12では、グラファイト層69を積層する。グラファイト層69とグラファイト層69との間に、銅等の金属粉や箔が配置される。グラファイト層69及び銅等の金属粉や箔が積層されて加圧される。銅箔を用いる場合は、厚みが20μm程度のものを用意し、グラファイト層69と銅箔とを交互に重ねて積層する。グラファイト層69と銅箔とを交互に重ねることにより、グラファイト層69の体積分率を60%以上とし、積層体の熱伝導率を1000W/m・Kとすることができる。尚、金属粉や金属箔を用いず、厚めに表面修飾したグラファイト層69を積層するようにしてもよい。金属粉や金属箔を用いないことで、グラファイト層69の体積含有率を増加させ、更に、積層体の熱伝導率を、グラファイトシート78そのものに1600W/m・Kにまで高くすることができる。グラファイト層69を積層した後で端面の角部が2か所削られる。削る方法には、例えば、回転砥石を角部に当てて回転砥石と積層したグラファイト層69とを相対移動させて角部を削る研削方法を用いることができる。
【0076】
銅線の断面形状が三角形に形成される。銅線の形成には引き抜き加工でも良く、金型を用いて鍛造加工をしても良い。断面の三角形の銅線が所定の長さに切断されて第1柱状部71となる。積層されたグラファイト層69の端面の2か所の角部に第1柱状部71が配置される。
【0077】
ステップS13では、第1積層体65の材料を焼結する。具体的には、加圧したグラファイト層69と第1金属材料77とを、放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)する。放電プラズマ焼結では、電流を流しながら、そのジュール熱で真空中の積層体を焼結するので、より効果的に、ボイドが少なく品質の高い焼結が可能である。尚、グラファイトシート78は導電性が高いので、放電プラズマ焼結が可能となる。以上により、第1積層体65となる前の積層体前駆体が形成される。
【0078】
ステップS14では、積層体前駆体が切断されて個片化される。焼結した積層体前駆体は第1積層体65の大きさに切断される。個片化された積層体前駆体が第1積層体65となる。
【0079】
ステップS15では、第1積層体65に表面修飾を施す。ステップS14にて積層体前駆体を切断して個片化したことにより、グラファイトシート78の端面が露出する。露出した端面では脆弱なグラファイトシート78が壊れ易い。再度、第1積層体65に銅等の第1金属材料77で第1積層体65が表面修飾されて、グラファイトシート78の端面の露出が抑制される。再度、表面修飾を施すことにより、第1積層体65と第2積層体66とを接合した際に、密着性を向上させ、熱を拡散しやすくすることができる。
【0080】
次に、熱伝導基板64の形成方法について説明する。ステップS21では、熱伝導基板64を形成する。熱伝導基板64は銅、または炭素と銅との複合材料の板を所定の大きさに切断して形成される。ステップS22では、熱伝導基板64が表面洗浄される。
【0081】
ステップS31では、第1積層体65と第2積層体66とが重ね合わされて接合される。具体的には、第1積層体65の積層方向と、第2積層体66の積層方向と、が交差するように第1積層体65と第2積層体66とが重ねられて配置される。第1積層体65と第2積層体66とは、銀ナノ粒子等の第2接合材74を挟んで積層され加熱及び加圧される。次に、熱拡散部63と熱伝導基板64とが、第3接合材75を介して接合される。第2接合材74には銅粉や銅箔を用いても良い。
【0082】
次に、蛍光体23の形成方法について説明する。ステップS41では、蛍光体23を形成する。蛍光体23は、例えば、材料を燃焼合成して形成される。ステップS42では、蛍光体23を表面洗浄する。
【0083】
ステップS51では、蛍光体23と第1積層体65とが接合される。蛍光体23と熱拡散部63とが銀ナノ粒子を含む第1接合材73で接合される。
【0084】
ステップS52では、第2積層体66と熱伝導基板64とが銀ナノ粒子を含む第3接合材75で接合される。次に、熱伝導基板64とヒートシンク24とが銀ナノ粒子を含む第4接合材76で接合される。以上により、熱伝導構造体22が完成する。
【0085】
また、本実施形態の熱伝導構造体22の製造方法は、グラファイトシート78に第2金属材料79を表面修飾してグラファイト層69を形成する工程と、グラファイト層69を積層して、第1積層体65及び第2積層体66を形成する工程と、第1積層体65及び第2積層体66を、それぞれ第1金属材料77で表面修飾する工程と、を有する。さらに、熱伝導構造体22の製造方法は、第1積層体65の積層方向である第1方向67と、第2積層体66の積層方向である第2方向68と、が交差した関係となるように、第1積層体65と第2積層体66とを配置する工程と、第1積層体65に第1接合材73を介して蛍光体23を接合する工程と、第2積層体66に第3接合材75を介して熱伝導基板64を接合する工程と、を有する。第1積層体65を形成する工程では第1柱状部71が接合される。第2積層体66を形成する工程では第2柱状部72が接合される。
【0086】
この方法によれば、第1積層体65が第1方向67に変化することを第1柱状部71が規制する。第2積層体66が第2方向68に変化することを第2柱状部72が規制する。従って、後工程において、グラファイト層内の結晶界面が熱の伝達方向に沿って劈開し、破壊することを抑制することができる。その結果、生産性良く熱伝導構造体22を製造することができる。
【0087】
第2実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、第1柱状部71及び第2柱状部72の形態が異なる点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0088】
図11に示すように、熱伝導構造体81は熱拡散部63に相当する熱拡散部82を備える。熱拡散部82は積層構造体としての第1積層体83を備える。第1積層体83は第1方向67の両側に配置される銅板84に挟まれている。
【0089】
第1積層体83は複数のグラファイト層85と複数の銅箔86とを備える。グラファイト層85と銅箔86とが交互に複数積層されている。グラファイト層85には複数の穴85aが形成される。各グラファイト層85は金属材料である銅で表面修飾される。表面装飾方法は第1実施形態のグラファイト層69と同じである。
【0090】
グラファイト層85及び銅箔86の枚数は特に限定されないが、本実施形態では、例えば、グラファイト層85は286枚である。銅箔86は287枚である。銅板84、グラファイト層85及び銅箔86の厚みは特に限定されないが、本実施形態では、例えば、銅板84の厚みは0.5mmである。グラファイト層85の厚みは25μmである。銅箔86の厚みは10μmである。第1積層体83の厚みは約10mmである。穴85aの直径及び間隔は限定されないが、本実施形態では、例えば、穴85aの直径は100μmである。穴85aは等間隔に配置され、穴85aのピッチは300μmである。
【0091】
グラファイト層85の穴85aの加工方法は、特に限定されないが、本実施形態では、例えば、複数の穴が形成されたステンレスのメタルマスクとグラファイトシート78とが重ねられる。メタルマスクと重なったグラファイトシート78に酸素プラズマを照射することより穴あけ加工がなされた。次に、銅メッキにてグラファイトシート78が表面装飾される。
【0092】
図12では、図を見やすくするために、グラファイト層85を8枚に減らしてある。
図12に示すように、銅板84、グラファイト層85及び銅箔86は積層した状態で加圧して加熱される。その結果、銅板84、グラファイト層85及び銅箔86は焼結される。焼結する過程において、銅箔86が溶融して銅が毛細管現象により穴85aに入り込む。
【0093】
銅板84、グラファイト層85及び銅箔86は冷却される。穴85aに入った銅が固化して柱状部87を形成する。その結果、第1積層体83は、グラファイト層85の積層方向である第1方向67に延設された銅で構成される柱状部87を具備する。
【0094】
この構成によれば、グラファイト層85の表裏は金属材料である銅で表面修飾される。グラファイトシート78に銅を表面修飾することにより、グラファイト層85が破壊されることを抑えることが可能となる。さらに、銅の表面修飾によりグラファイト層85を積層することができる。グラファイト層85ではグラファイトシート78が金属である銅の膜に挟まれている。このため、グラファイト層85ではグラファイトシート78の表面及び裏面が延在する方向に変化することを銅の膜が規制する。グラファイト層85の積層方向には銅で構成される柱状部87が設置される。このため、第1積層体83が積層方向である第1方向67に変位することを柱状部87が規制する。
【0095】
第1積層体83に急速な温度の上昇と降下とが反復され、繰り返し応力が発生するときにも、グラファイト層85の変位を銅の膜及び柱状部87が規制する。このため、グラファイト層85内の結晶界面が熱の伝達方向88に沿って劈開し、破壊することを抑制することができる。
【0096】
第1積層体83では柱状部87はグラファイト層85を挿通して構成される。この構成によれば、柱状部87がグラファイト層85を挿通する。グラファイト層85の表面85bに位置する銅箔86と裏面85cに位置する銅箔86とが柱状部87により連結される。柱状部87の近くで第1積層体83を切断してもグラファイト層85がはがれることを柱状部87が抑制する。従って、切断する予定の場所の近くに柱状部87を配置することにより、切断時におけるグラファイト層85のはがれを抑制することができる。
【0097】
グラファイト層85の熱は平面方向に広がる。第1積層体83はグラファイト層85を第1方向67に積層して形成されている。第1実施形態のように積層方向の異なる第1積層体65と第2積層体66とを重ねた熱拡散部63に比べて、熱伝導構造体81は生産性良く製造することができる。
【0098】
第3実施形態
前記第1実施形態では熱源として蛍光体23を例に説明したが、これに限定されず、例えば、ランプやその他発光体等の放熱に熱伝導構造体22を用いてもよい。
【0099】
第4実施形態
前記第1実施形態では、積層体前駆体を形成してから切断して個片化した。予め個片化した大きさのグラファイト層69を積層して第1積層体65を形成してもよい。
【0100】
第5実施形態
前記第1実施形態では、第1積層体65と第2積層体66とを、別々の積層体前駆体から形成した。同じ積層体前駆体から第1積層体65及び第2積層体66を切り出すようにしてもよい。
【0101】
第6実施形態
前記第1実施形態では、グラファイト層69にグラファイトシート78を用いた。他にも、グラファイト層69に剥片化したグラファイト粉末を繋げて熱伝導率を向上したものや、カーボンナノチューブの結晶方向や繊維の方向を配向させて揃えたものを用いてもよい。それらとグラファイトシート78とを組み合わせて複合化してグラファイト層69が形成されてもよい。
【0102】
第7実施形態
前記第1実施形態では、グラファイト層69の表面修飾に銅を用いた。グラファイト層69の表面修飾に金や銀等の高熱伝導の金属材料を用いてもよい。また、スパッタにより表面修飾を行う場合、下地の金属にチタン、タングステンチタン、窒化チタン等の薄膜が用いられても良い。金属膜の密着性を向上することができる。スパッタの前にアルゴン原子による逆スパッタが行われても良い。表面が荒らされるため、金属膜の密着性を更に高めることができる。
【0103】
前記第1実施形態では、2つの第1柱状部71が第1積層体65の端面の角部に配置された。第1積層体65及び第2積層体66に配置される第1柱状部71の数は1つでも良く、3つまたは4つでも良い。第1柱状部71の数が1つのとき生産性良く第1積層体65及び第2積層体66を製造できる。第1柱状部71の数が3つまたは4つのときには、2つのときに比べて、グラファイト層69内の結晶界面が熱の伝達方向に沿って劈開し、破壊することをさらに抑制することができる。
【0104】
第8実施形態
前記第2実施形態では、複数の穴85aのピッチを同じにした。穴85aのピッチは場所により異ならせるようにしてもよい。蛍光体23の近くの穴85aのピッチを、蛍光体23から離れた穴85aのピッチよりも小さくする。蛍光体23に近い方の穴85aのピッチが小さく、蛍光体23から離れた穴85aのピッチは長くする。これによれば、蛍光体23の温度変化に対して第1積層体83の強度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0105】
23…熱源としての蛍光体、24…ヒートシンク、64…熱伝導基板、65,83…積層構造体としての第1積層体、65a…一主面、66…第2積層体、67…第1方向、68…第2方向、69,85…グラファイト層、71…柱状部としての第1柱状部、87…柱状部。