(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190314
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】作業員選定システム、作業員選定方法、作業員選定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20221219BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20221219BHJP
G16Y 40/40 20200101ALI20221219BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
G06Q10/00 300
G16Y40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098579
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】島田 知明
(72)【発明者】
【氏名】上野 幸平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】作業員を適切な地域から派遣する。
【解決手段】障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定システムであって、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信する障害情報受信部と、前記作業員の障害対応能力に関する情報、および前記作業員の位置に関する情報を含む作業員情報を記憶する作業員情報記憶部と、前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報を記憶する地域情報記憶部と、前記作業員情報および前記地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定する作業員選定部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定システムであって、
前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信する障害情報受信部と、
前記作業員の障害対応能力に関する情報、および前記作業員の位置に関する情報を含む作業員情報を記憶する作業員情報記憶部と、
前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報を記憶する地域情報記憶部と、
前記作業員情報および前記地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定する作業員選定部と、
を備えた作業員選定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業員選定システムにおいて、前記作業員には、前記機器の製造メーカーに属するメーカー作業員と、前記機器の製造メーカーに属さない非メーカー作業員とが含まれる、
ことを特徴とする作業員選定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の作業員選定システムにおいて、前記作業員選定部は、前記設定地域内に存在する前記非メーカー作業員が遠隔支援を受けることで前記障害に対応可能である場合、当該非メーカー作業員を前記派遣候補として選定する、
ことを特徴とする作業員選定システム。
【請求項4】
請求項3に記載の作業員選定システムにおいて、前記作業員選定部を備える作業員選定サーバーは、前記派遣候補として選定した前記作業員に関する情報を、前記機器の使用者であるユーザーの情報端末へ送信可能であり、
前記ユーザーの情報端末に送信される前記作業員に関する情報には、前記作業員が遠隔支援を受ける旨が含まれる、
ことを特徴とする作業員選定システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の作業員選定システムにおいて、前記設定地域は、感染症対策で設定される地域である、
ことを特徴とする作業員選定システム。
【請求項6】
障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定方法であって、
前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信し、
前記作業員の障害対応能力に関する情報と前記作業員の位置に関する情報とを含む作業員情報、および前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定する、
を含む作業員選定方法。
【請求項7】
障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員の選定をコンピューターに実行させる作業員選定プログラムであって、
前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信するステップと、
前記作業員の障害対応能力に関する情報と前記作業員の位置に関する情報とを含む作業員情報、および前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定するステップと、
を前記コンピューターに実行させることを特徴とする作業員選定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定システム、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定方法、および障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員の選定をコンピューターに実行させる作業員選定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、障害が発生した機器に作業員を派遣するシステムが知られている。例えば特許文献1には、作業員の位置と障害が発生した機器が存在する作業拠点の位置との間の距離や、作業員についての経験などを加味して作業員を決定し、より早く顧客のトラブルを解消可能とする作業員に作業を指示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、感染症対策の観点で例えば県境を跨いだ人の往来が好ましくないとされる場合がある。この様な状況のもとでは、障害が生じた機器のユーザーとしても、作業員が特定の地域から派遣されることを嫌う場合がある。また感染症対策の観点に限らず、例えば機器のメーカーが作業員の派遣元地域を管理したい場合もある。しかしながら従来の作業員選定システムでは、この様な問題について配慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の作業員選定システムは、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定システムであって、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信する障害情報受信部と、前記作業員の障害対応能力に関する情報、および前記作業員の位置に関する情報を含む作業員情報を記憶する作業員情報記憶部と、前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報を記憶する地域情報記憶部と、前記作業員情報および前記地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定する作業員選定部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また本発明の作業員選定方法は、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定方法であって、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信し、前記作業員の障害対応能力に関する情報と前記作業員の位置に関する情報とを含む作業員情報、および前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定することを特徴とする。
【0007】
また本発明の作業員選定プログラムは、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員の選定をコンピューターに実行させる作業員選定プログラムであって、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信するステップと、前記作業員の障害対応能力に関する情報と前記作業員の位置に関する情報とを含む作業員情報、および前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定するステップと、を前記コンピューターに実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】作業員基本テーブル、作業員能力テーブル、現在ステータステーブル、のこれらの一例を示す図。
【
図5】ユーザーの機器における障害解析部による処理を示すフローチャート。
【
図6】メーカー管理サーバーにおける対応決定部による処理を示すフローチャート。
【
図7】作業員選定サーバーにおける作業員選定部による処理を示すフローチャート。
【
図8】障害発生機器と選定された作業員との位置関係を概念的に示す図。
【
図9】障害発生機器と選定された作業員との位置関係を概念的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る作業員選定システムは、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定システムであって、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信する障害情報受信部と、前記作業員の障害対応能力に関する情報、および前記作業員の位置に関する情報を含む作業員情報を記憶する作業員情報記憶部と、前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報を記憶する地域情報記憶部と、前記作業員情報および前記地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定する作業員選定部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、作業員選定システムは、作業員の障害対応能力に関する情報および前記作業員の位置に関する情報を含む作業員情報と、障害が生じた前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報とに基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定するので、前記機器のユーザー或いは前記機器の製造メーカー等にとって好ましくない地域から前記作業員が派遣されることを抑制でき、好適な前記作業員を派遣することができる。
【0011】
第2の態様は、第1の態様において、前記作業員には、前記機器の製造メーカーに属するメーカー作業員と、前記機器の製造メーカーに属さない非メーカー作業員とが含まれることを特徴とする。
本態様によれば、前記作業員には、前記機器の製造メーカーに属するメーカー作業員と、前記機器の製造メーカーに属さない非メーカー作業員とが含まれるので、より多数の作業員の中から派遣候補を選定することができ、その結果より適切な作業員を選定できる。
【0012】
第3の態様は、第2の態様において、前記作業員選定部は、前記設定地域内に存在する前記非メーカー作業員が遠隔支援を受けることで前記障害に対応可能である場合、当該非メーカー作業員を前記派遣候補として選定することを特徴とする。
本態様によれば、前記作業員選定部は、前記設定地域内に存在する前記非メーカー作業員が遠隔支援を受けることで前記障害に対応可能である場合、当該非メーカー作業員を前記派遣候補として選定するので、前記非メーカー作業員の障害対応能力を補うことで当該非メーカー作業員を派遣候補とすることができ、前記作業員の選定の幅を拡げることができる。
【0013】
第4の態様は、第3の態様において、前記作業員選定部を備える作業員選定サーバーは、前記派遣候補として選定した前記作業員に関する情報を、前記機器の使用者であるユーザーの情報端末へ送信可能であり、前記ユーザーの情報端末に送信される前記作業員に関する情報には、前記作業員が遠隔支援を受ける旨が含まれることを特徴とする。
【0014】
前記作業員が遠隔支援を受ける場合、前記作業員がカメラを用いることにより前記機器の周辺が撮影される場合があり、前記機器のユーザーにとってセキュリティ上好ましくない場合がある。しかしながら本態様によれば、前記作業員選定サーバーがユーザーの情報端末に送信する前記作業員に関する情報には、前記作業員が遠隔支援を受ける旨が含まれるので、遠隔支援を好まないユーザーにそれを知らせることができ、ユーザーの便宜を図ることができる。
【0015】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記設定地域は、感染症対策で設定される地域であることを特徴とする。
本態様によれば、前記設定地域は、感染症対策で設定される地域であるので、感染症対策の観点において適切な前記作業員を選定することができる。
【0016】
第6の態様に係る作業員選定方法は、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定方法であって、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信し、前記作業員の障害対応能力に関する情報と前記作業員の位置に関する情報とを含む作業員情報、および前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、作業員選定方法は、作業員の障害対応能力に関する情報および前記作業員の位置に関する情報を含む作業員情報と、障害が生じた前記機器の位置を含む地域であって設定により変化する設定地域に関する地域情報とに基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定するので、前記機器のユーザーにとって好ましくない地域から前記作業員が派遣されることを抑制でき、前記機器のユーザーにとって好適な前記作業員を派遣することができる。
【0018】
第7の態様に係る作業員選定プログラムは、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員の選定をコンピューターに実行させる作業員選定プログラムであって、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信するステップと、前記作業員の障害対応能力に関する情報と前記作業員の位置に関する情報とを含む作業員情報、および前記機器の位置を含む地域であって、設定により変化する設定地域に関する地域情報に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって、前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定するステップと、を前記コンピューターに実行させることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、作業員選定プログラムは、作業員の障害対応能力に関する情報および前記作業員の位置に関する情報を含む作業員情報と、障害が生じた前記機器の位置を含む地域であって設定により変化する設定地域に関する地域情報とに基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定するので、前記機器のユーザーにとって好ましくない地域から前記作業員が派遣されることを抑制でき、前記機器のユーザーにとって好適な前記作業員を派遣することができる。
【0020】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では本発明の一実施例として、復旧作業を行う対象である機器を記録装置1とし、記録装置1で障害が生じた場合に記録装置1の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定システム50を説明する。記録装置1には、例えば媒体の一例である記録用紙に対して液体の一例であるインクを吐出することで記録を行うインクジェットプリンターが挙げられる。
本実施例に係る作業員選定システム50は、メーカー管理サーバー10と作業員選定サーバー20とを備えて構成されている。
尚、作業員選定システム50はこの様な構成に限られないことは勿論であり、例えばメーカー管理サーバー10と作業員選定サーバー20とが同一のサーバーであっても良いし、作業員選定サーバー20が備える作業員データ25や地域情報データ26は他のサーバーに設けられていても良い。この様な変形例については、後に改めて説明する。
【0021】
作業員選定システム50の機能を説明するために、以降では作業員選定システム50に加え、記録装置1、ユーザー端末40、および作業員端末30を併せて説明する。記録装置1、メーカー管理サーバー10、作業員選定サーバー20、ユーザー端末40、作業員端末30、のこれらはインターネット等のネットワーク100に接続され、任意の機器間で情報の送受信が可能である。
以下、各機器の構成について説明する。
【0022】
[記録装置]
記録装置1は、記録機構部5を備えている。記録機構部5は、インクを吐出するインク吐出ヘッド(不図示)や記録用紙を搬送する搬送手段(不図示)を備えている。また記録装置1は、制御部2、表示部3、入力部4、記憶部6、のこれらを備えている。制御部2は、不図示のCPU、揮発性メモリ、通信モジュール等を備えている。制御部2は、記憶部6に記憶された各種制御プログラムを実行することで記録機構部5をはじめ記録装置1における各部位の制御を行い、また外部機器と情報の送受信を行う。記憶部6は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。障害解析部7は記憶部6に記憶されたプログラムの一つであり、制御部2によって実行される。障害解析部7については後に改めて説明する。
表示部3は液晶パネルで構成され、各種情報の表示を行う。入力部4は各種設定ボタンで構成され、ユーザーは入力部4を介して記録装置1の各種操作設定を行う。
【0023】
[メーカー管理サーバー]
メーカー管理サーバー10は、制御部11、表示部12、入力部13、記憶部14、のこれらを備えたコンピューター端末である。メーカー管理サーバー10は、一例として記録装置1の製造メーカーA社が所有及び管理するコンピューター端末である。制御部11は、不図示のCPU、揮発性メモリ、通信モジュール等を備えている。制御部11は、記憶部14に記憶された各種プログラムを実行し、また外部機器と情報の送受信を行う。記憶部14は、ハードディスク等のストレージで構成される。対応決定部16は記憶部14に記憶されたプログラムの一つであり、制御部11によって実行される。また記憶部14には復旧条件データ15が記憶されている。対応決定部16及び復旧条件データ15については後に改めて説明する。
表示部12は液晶ディスプレイで構成され、各種情報の表示を行う。入力部13は不図示のキーボード及びマウスで構成され、製造メーカーA社に属するオペレーターは入力部13を介して各種情報の入力を行うことができる。
【0024】
[作業員選定サーバー]
作業員選定サーバー20は、制御部21、表示部22、入力部23、記憶部24、のこれらを備えたコンピューター端末である。作業員選定サーバー20は、一例として作業員派遣会社D社が所有及び管理するコンピューター端末である。作業員派遣会社D社は、製造メーカーA社とは異なる会社である。但し作業員選定サーバー20が、記録装置1の製造メーカーA社が所有及び管理するコンピューター端末であっても良いことは勿論である。
【0025】
制御部21は、不図示のCPU、揮発性メモリ、通信モジュール等を備えている。制御部21は、記憶部24に記憶された各種プログラムを実行し、また外部機器と情報の送受信を行う。記憶部24は、ハードディスク等のストレージで構成される。
作業員選定部27は記憶部24に記憶されたプログラムの一つであり、制御部11によって実行される。また記憶部24には、作業員データ25と地域情報データ26とが記憶されている。作業員選定部27、作業員データ25、及び地域情報データ26については後に改めて説明する。
表示部22は液晶ディスプレイで構成され、各種情報の表示を行う。入力部23は不図示のキーボード及びマウスで構成され、作業員派遣会社D社に属するオペレーターは入力部23を介して各種情報の入力を行うことができる。
【0026】
[作業員端末]
作業員端末30は、制御部31及びタッチパネル32を備えた携帯情報端末、例えばスマートフォンである。制御部31は、不図示のCPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、通信モジュール等を備えている。制御部31は、不揮発性メモリに記憶された各種プログラムを実行し、また外部機器と情報の送受信を行う。タッチパネル32は、各種情報を表示し、また各種入力操作を受け付ける。
尚、図示の便宜上、
図1において作業員端末30は一つのみ示されているが、実際には複数の作業員が、各自一つの作業員端末30を所持している。
【0027】
[ユーザー端末]
ユーザー端末40は、制御部41及びタッチパネル42を備えた携帯情報端末、例えばスマートフォンであって、記録装置1のユーザーが所持する端末である。制御部41は、不図示のCPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、通信モジュール等を備えている。制御部41は、不揮発性メモリに記憶された各種プログラムを実行し、また外部機器と情報の送受信を行う。タッチパネル42は、各種情報を表示し、また各種入力操作を受け付ける。
【0028】
[障害が生じた際の記録装置における処理]
続いて記録装置1において障害が生じた際の記録装置1における処理について
図5を参照して説明する。
図5は、記録装置1の制御部2が障害解析部7を実行した際の処理の流れを示している。
記録装置1の制御部2は、記録装置1において障害が生じると、その障害の内容を解析し、対応するエラーコードを取得する(ステップS101)。記録装置1の記憶部6には、障害の内容とそれに対応するエラーコードがデータとして記憶されており、制御部2はこのデータを参照してエラーコードを取得する。障害の解析は、必要に応じて記録装置1に設けられた各種センサー類を利用して行われる。またエラーコードには、ユーザー対応可能な障害であるか否かを示すフラグと、オペレーターによるユーザーに対する遠隔サポート或いは作業員の派遣が必要であるか否かを示すフラグが紐づけられ、これらフラグが記憶部6に記憶されている。またエラーコードには、障害の内容が不明、即ち解析できなかった場合に対応するものも含まれ、少なくともこの場合はオペレーターによるユーザーに対する遠隔サポート或いは作業員の派遣が必要となる。
【0029】
次に、障害の内容がユーザー対応可能なものである場合(ステップS102においてYes)、例えば用紙切れやインク切れ等と判断される場合には、制御部2は障害の内容とそれを解消する方法を案内するユーザインタフェース(以下「UI」と称する)を記録装置1の表示部3に表示させる(ステップS107)。
一方、障害の内容がユーザー対応不可能なものである場合(ステップS102においてNo)、例えば電気系統の不具合やパーツの寿命が到来した等と判断できる場合、ステップS103に進む。ステップS103では、障害の内容が製造メーカーA社のオペレーターによる対応が必要なものであるか否かを判断する。製造メーカーA社のオペレーターによる対応が必要なものである場合とは、例えばステップS101において障害の内容が確定できず、作業員を派遣する為にはユーザーから障害の状況を直接ヒアリングし、更に情報を得る必要がある場合などが挙げられる。
【0030】
オペレーター対応必要と判断される場合(ステップS103においてYes)、制御部2はオペレーターとのやりとりを推奨するUIを記録装置1の表示部3に表示させる(ステップS108)。このUIは、例えば「障害が生じました。障害を解消する為にオペレーターから連絡させていただきます。宜しいですか?(Y/N)」とのメッセージ表示とすることができる。この要求をユーザーが承認した場合(ステップS109においてYes)、記録装置1の制御部2は障害情報をメーカー管理サーバー10に送信する(ステップS106)。
障害情報には、記録装置1の型番、製造番号、エラーコード、障害発生日時、が少なくとも含まれる。エラーコード及び障害発生日時は、障害の内容に関する情報の一例であり、記録装置1の型番及び製造番号は、機器の特定に関する情報の一例である。
【0031】
製造メーカーA社のオペレーターはこれを受け、自社データベースを参照して記録装置1のユーザーの連絡先として登録された電話番号へ電話をかけ、記録装置1のユーザーから障害に関する情報をヒアリングする。そしてオペレーターは障害の復旧に作業員の派遣が必要か否か、また作業員の派遣が必要な場合には障害の復旧に必要な作業員の能力を決定し、その情報を作業員選定サーバー20へ送信する。これは、後述する対応決定部16が行う処理を、製造メーカーA社のオペレーターが行うことに相当する。
【0032】
ステップS103に戻り、オペレーター対応不要と判断される場合(ステップS103においてNo)、即ち障害の内容が明確であって作業員の派遣が必要な場合は、制御部2は作業員を派遣する為のUIを記録装置1の表示部3に表示させる(ステップS104)。このUIは、例えば「障害が生じました。障害を解消する為に作業員による作業が必要です。作業員を派遣して宜しいですか?(Y/N)」とのメッセージ表示とすることができる。この要求をユーザーが承認した場合(ステップS105においてYes)、記録装置1の制御部2は障害情報をメーカー管理サーバー10に送信する(ステップS106)。尚、ステップS105においてユーザーが承認しなかった場合、ステップS108へ移る。
【0033】
[メーカー管理サーバーにおける処理]
メーカー管理サーバー10の制御部11は、障害の内容に関する情報、および機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信する障害情報受信部として機能する。そして
図6は、メーカー管理サーバー10の制御部11が対応決定部16を実行した際の処理の流れを示している。
制御部11は、障害情報を受信すると(ステップS201)、障害情報から機器の特定に関する情報、即ち記録装置1の型番と製造番号を取得し(ステップS202)、次いで障害情報からエラーコードを取得する(ステップS203)。そして制御部11は、復旧条件データ15を参照してエラーコードに対応する障害復旧条件を取得し(ステップS204)、作業員選定サーバー20に作業員選定のリクエストを送信する(ステップS205)。制御部11が作業員選定サーバー20に送信するリクエストには、記録装置1の型番、製造番号、エラーコード、障害発生日時、記録装置1が設置された場所、及び障害復旧条件が含まれる。
【0034】
ここで、障害復旧条件の取得(ステップS204)について復旧条件データ15の一例である障害復旧条件テーブルT1を示す
図2を参照して説明する。
図2に示す障害復旧条件テーブルT1は記録装置1の型番毎に設定されており、エラーコード毎に、障害を復旧する為の必要工具、必要物品、必要スキル等が図示する様に設定されている。必要工具における基本工具一式には、例えばドライバー、プライヤー等の工具が含まれる。特殊工具としては、例えば星形ドライバー、テスター等が挙げられる。必要物品には、例えばグリス、ねじ止め剤、接着剤や記録装置1の交換部品が挙げられる。必要スキルには、例えば電気主任技術者等の資格が挙げられる。
一例としてエラーコードA1004の場合、必要工具として基本工具一式と特殊工具Bが必要であり、必要物品として交換部品a、bが必要であり、特定のスキルは必要ないことが示されている。
この様な復旧条件テーブルT1は、製造メーカーA社のオペレーターが適宜修正、追加することができる。
【0035】
また障害復旧条件テーブルT1には、非メーカー作業員が対応可能であるか、また遠隔支援により非メーカー作業員が対応可能かであるかの情報が含まれている。本実施例において作業員には、製造メーカーA社に属する作業員、即ち記録装置1に関する専門知識を有するメーカー作業員と、製造メーカーA社に属さない作業員、即ち記録装置1に関する専門知識を必ずしも有していない非メーカー作業員とが含まれている。障害復旧の難易度が低ければ、非メーカー作業員であっても障害に対応可能であり、本実施例ではそれに基づいて作業員として非メーカー作業員を含めることを前提としている。これにより作業員の選択の自由度が向上し、より迅速に作業員を障害発生場所に派遣することができる。
尚、部品交換が必要になる作業は、原則としてメーカー作業員のみが対応可能となる。また機器の分解作業を伴う場合、メーカー作業員のみが対応可能である場合が多い。それ以外の作業、例えば現場確認、清掃、調整等については、多くが非メーカー作業員であっても対応可能となる。
【0036】
また非メーカー作業員が対応不可の場合であっても、メーカー作業員の遠隔支援を受けることで非メーカー作業員が対応可能な場合がある。例えばエラーコードA1003の場合、非メーカー作業員は単独で障害復旧を行うことができないが、メーカー作業員の遠隔支援を受けることで、障害復旧を行うことができる。遠隔支援には、例えばメール、ファクシミリ等による文章ベースでの支援、通話による音声ベースでの支援、ビデオ通話等による音声及び映像ベースでの支援が挙げられる。また、非メーカー作業員が所謂スマートグラスを有していれば、AR(Augmented Reality)即ち拡張現実の技術を用い、非メーカー作業員の視野に障害復旧作業に必要な情報を提供することもできる。遠隔支援としていずれの方法を用いるかは、専ら非メーカー作業員が有する機器に依存し、それは後述する作業員データ25に含まれている。
【0037】
[作業員選定サーバーにおける処理]
次に作業員選定サーバー20の制御部21は、メーカー管理サーバー10からリクエスト情報、具体的には記録装置1の型番、製造番号、エラーコード、障害発生日時、記録装置1が設置された場所、及び障害復旧条件を受信するリクエスト情報受信部として機能する。そして
図7は、作業員選定サーバー20の制御部21が作業員選定部27を実行した際の処理の流れを示している。
ここで
図7に示す処理について説明する前に、作業員サーバー20の記憶部24に記憶される作業員データ25と地域情報データ26とについて説明する。作業員サーバー20の記憶部24は、作業員の障害対応能力に関する情報、および作業員の位置に関する情報を含む作業員情報を記憶する作業員情報記憶部として機能する。また記憶部24は、障害が生じている機器の位置を含む地域であって設定により変化する設定地域に関する地域情報を記憶する地域情報記憶部として機能する。
【0038】
図3は、作業員データ25の一例であって作業員データ25を構成する作業員基本テーブルT2、作業員能力テーブルT3、及び現在ステータステーブルT4を示している。このうち作業員能力テーブルT3は、作業員の障害対応能力に関する情報を含み、作業員基本テーブルT2は、作業員の位置に関する情報を含んでいる。
先ず、作業員基本テーブルT2には、作業員に関する基本情報が登録されている。具体的には、作業員ID、作業員氏名、所属会社、所属地(勤務地)、連絡先、のこれらが図示する様に登録されている。尚、連絡先には電話番号のほか、作業員端末30に情報を送信する為のアドレス情報も含まれている。
また作業員能力テーブルT3には、作業員IDに紐づけて、作業員の所有工具、所有物品、遠隔支援の受け入れが可能か否か、作業履歴、所有資格が図示する様に登録されている。尚、メーカー作業員であっても自社から遠隔支援を受ける場合もある為、遠隔支援が受け入れ可能か否かについての情報が登録される。
【0039】
また現在ステータステーブルT4には、作業員IDに紐づけて、作業員の現在位置、稼働状況、新規依頼の受託可能日時が図示する様に登録されている。
作業員の現在位置、稼働状況、新規依頼の受託可能日時は、作業員が、所有する作業員端末30に情報を入力し、作業員端末30から作業員サーバー20へ情報を送信することで、随時更新される。但し現在位置情報については、衛星を利用した測位システムを利用して作業員端末30が自動的に、且つ定期的に作業員サーバー20へ送信することもできる。
【0040】
次に
図4は、地域情報データ26の一例である設定地域テーブルT5を示している。設定地域テーブルT5には、障害が生じた機器の所在地に対応する設定地域が登録されている。例えば、障害が生じた機器の所在地がX県である場合、設定地域はX県、Y県、Z県であり、これによりX県、Y県、Z県に存在する作業員が派遣候補として選定されることとなる。また障害が生じた機器の所在地がV県である場合、設定地域はV県であり、これによりV県に存在する作業員から派遣候補として選定されることとなる。
この設定地域テーブルT5は、製造メーカーA社のオペレーター或いは作業員派遣会社D社のオペレーターによって適宜更新される。例えば、設定地域テーブルT5が感染症対策の観点で設定される場合、感染症の拡大状況に応じて国或いは自治体から出される移動に関する自粛要請に基づいて適宜更新される。
【0041】
次に、
図7を参照して作業員選定サーバー20の制御部21が作業員選定部27を実行した際の処理の流れを説明する。
作業員サーバー20の制御部21は、メーカー管理サーバー10から作業員選定のリクエストを受信すると(ステップS301)、設定地域内に存在する作業員であって、障害復旧条件を満たす作業員を選定する(ステップS302)。この選定では、一例として現在ステータステーブルT4(
図3参照)から把握される作業員の現在状況は問わず、作業員基本テーブルT2(
図3参照)から把握される作業員の所属地、及び作業員能力テーブルT3(
図3参照)から把握される作業員の障害対応能力をもとに、障害復旧条件を満たす作業員を選定する。但し、作業員基本テーブルT2(
図3参照)から把握される作業員の所属地に代えて、現在ステータステーブルT4(
図3参照)から把握される作業員の現在位置を利用しても良い。
【0042】
次に作業員サーバー20の制御部21は、現在ステータステーブルT4(
図3参照)から把握される作業員の現在状況に基づき、障害が生じた機器までの到達見込み時間が短い順に、選定された作業員をソートして派遣候補リストを作成する(ステップS303)。障害が生じた機器までの作業員の到達見込み時間は、現在ステータステーブルT4(
図3参照)から把握される作業員の新規依頼の受託可能日時を基礎として、更に作業員の現在位置から障害が生じた機器の位置まで自動車で移動する場合の標準所要時間を加味して制御部21が算出する。
【0043】
前記標準所要時間は、例えば公知のルート検索システムを利用して取得することができる。尚、本実施例では、作業員の移動手段は感染症対策の観点で自動車のみに限定する。但し公共交通機関での移動が許容される場合はこれに限られない。またその際、作業員基本テーブルT2(
図3参照)に作業員の移動手段を登録し、その移動手段に基づいて前記標準所要時間を算出しても良い。公共交通機関を利用する場合、前記標準所要時間は、例えば公知の経路検索システムを利用して取得することができる。
そして制御部21は、作成された派遣候補リストをユーザー端末40へ送信する(ステップS304)。
【0044】
ユーザー端末40の制御部41は、受信した上記派遣候補リストをタッチパネル42に表示させる。ユーザー端末40に表示される情報には、作業員の所属会社、所属地、訪問見込み時間、作業員が遠隔支援を受けるか否かについての情報が含まれる。
記録装置1のユーザーは、ユーザー端末40に表示された派遣候補リストの中から、希望する作業員を選択する。これを受けてユーザー端末40は、作業員選定サーバー20へ作業員選択情報を送信する。
【0045】
作業員サーバー20の制御部21は、上記作業員選択情報を受けると(ステップS305においてYes)、該当する作業員が所有する作業員端末30へ必要情報を送信する(ステップS306)。この必要情報には、障害復旧作業が要求されたこと、記録装置1の型番、製造番号、エラーコード、障害発生日時、記録装置1が設置された場所、ユーザー連絡先等の情報が含まれる。
【0046】
作業員端末30の制御部31は、受信した上記必要情報をタッチパネル32に表示させる。また作業員端末30の制御部31は、上記必要情報を受信した旨を作業員サーバー20に送信する。
尚、本実施例においては基本的に作業員端末30が上記必要情報を受信したことをもって作業員が作業を受諾したものとするが、作業員が作業員端末30に作業を受諾した旨を入力し、それを作業員サーバー20に送信することをもって作業員が作業を受諾したものとしても良い。
【0047】
[作業員選定システムの作用効果]
図8及び
図9は、本実施例に係る作業員選定システム50によって選定される作業員と障害発生機器との位置関係を概念的に示す図であり、符号Asは障害発生機器の位置を含む設定地域を示している。
図8において作業員A、作業員Bはいずれも障害復旧条件を満たす作業員であって、作業員Aは作業員Bよりも障害発生機器の位置に近い。しかしながら作業員Aは設定地域Asの外側にいる為、派遣候補として選定されず、設定地域Asの内側にいる作業員Bが派遣候補として選定されることとなる。
【0048】
また
図9において作業員A、作業員Bはいずれも障害復旧条件を満たす作業員であって、作業員Aは単独で障害復旧可能なスキルを有し、作業員Bは製造メーカー支援員による遠隔支援が必要となる。作業員Aは作業員Bよりも障害発生機器の位置に近いが、作業員Aは設定地域Asの外側にいる為、派遣候補として選定されず、設定地域Asの内側にいる作業員Bが派遣候補として選定されることとなる。
【0049】
以上の様に、作業員選定システム50は、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員を選定する作業員選定システムであって、障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信する障害情報受信部(メーカー管理サーバー10の制御部11)と、作業員の障害対応能力に関する情報(作業員能力テーブルT3)、および作業員の位置に関する情報(作業員基本テーブルT2)を含む作業員情報を記憶する作業員情報記憶部(作業員選定サーバー20の記憶部24)と、前記機器の位置を含む地域であって設定により変化する設定地域に関する地域情報(設定地域テーブルT5)を記憶する地域情報記憶部(作業員選定サーバー20の記憶部24)と、前記作業員情報および前記地域情報に基づき、前記障害に対応可能な作業員であって前記設定地域内に存在する作業員を派遣候補として選定する作業員選定部(作業員選定部27)とを備えている。
【0050】
また作業員選定システム50における作業員選定方法は、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信するステップ(
図7のステップS301)と、前記作業員の障害対応能力に関する情報(作業員能力テーブルT3)と前記作業員の位置に関する情報(作業員基本テーブルT2)とを含む作業員情報、および前記機器の位置を含む地域であって設定により変化する設定地域に関する地域情報(設定地域テーブルT5)に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定するステップ(
図7のステップS302)とを含む。
【0051】
また作業員選定プログラムである作業員選定部27は、障害が生じた機器の復旧作業を行う作業員の選定を作業員選定サーバー20に実行させる作業員選定プログラムであって、前記障害の内容に関する情報、および前記機器の特定に関する情報を含む障害情報を受信するステップ(
図7のステップS301)と、前記作業員の障害対応能力に関する情報(作業員能力テーブルT3)と前記作業員の位置に関する情報(作業員基本テーブルT2)とを含む作業員情報、および前記機器の位置を含む地域であって設定により変化する設定地域に関する地域情報(設定地域テーブルT5)に基づき、前記障害に対応可能な前記作業員であって前記設定地域内に存在する前記作業員を派遣候補として選定するステップ(
図7のステップS302)とを含む。
【0052】
以上により、作業員選定システム50によれば、障害が生じた機器のユーザー或いは障害が生じた機器の製造メーカー等にとって好ましくない地域から作業員が派遣されることを抑制でき、好適な作業員を派遣することができる。
【0053】
また本実施例において作業員には、復旧対象である機器の製造メーカーに属するメーカー作業員と、前記機器の製造メーカーに属さない非メーカー作業員とが含まれる。このことにより、より多数の作業員の中から派遣候補を選定することができ、その結果より適切な作業員を選定できる。
【0054】
また作業員選定部27は、設定地域内に存在する非メーカー作業員が遠隔支援を受けることで前記障害に対応可能である場合、当該非メーカー作業員を派遣候補として選定するので、非メーカー作業員の障害対応能力を補うことで当該非メーカー作業員を派遣候補とすることができ、作業員の選定の幅を拡げることができる。
【0055】
また非メーカー作業員が遠隔支援を受ける場合、非メーカー作業員がカメラを用いることにより前記機器の周辺が撮影される場合があり、前記機器のユーザーにとってセキュリティ上好ましくない場合がある。しかしながら本態様によれば、作業員選定サーバー20がユーザー端末40に送信する前記作業員に関する情報には、前記作業員が遠隔支援を受ける旨が含まれるので、遠隔支援を好まないユーザーにそれを知らせることができ、ユーザーの便宜を図ることができる。
【0056】
また上記実施例において前記設定地域は、感染症対策で設定される地域である。このことにより、感染症対策の観点において適切な前記作業員を選定することができる。
【0057】
[変形例]
上述した実施例は、以下の様に変形することができる
(1)メーカー管理サーバー10と作業員選定サーバー20とが同一のサーバーであっても良く、この場合、一つのサーバーが作業員選定システムを構成することとなる。またメーカー管理サーバー10と作業員選定サーバー20の双方が、製造メーカーAが所有、管理するものであっても良い。
またメーカー管理サーバー10が備える復旧条件データ15は、他のサーバーに設けられていても良い。その場合メーカー管理サーバー10の制御部11は、他のサーバーから復旧条件データ15を取得する。
また作業員選定サーバー20が備える作業員データ25及び地域情報データ26のいずれか一方或いは双方は、メーカー管理サーバー10、或いは他のサーバーに設けられていても良い。その場合作業員選定サーバー20の制御部21は、他のサーバーから作業員データ25や地域情報データ26を取得する。
【0058】
(2)作業員データ25は、メーカー作業員のデータと非メーカー作業員のデータとで分けられていても良い。その際、メーカー作業員のデータがメーカー管理サーバー10、或いはその他のサーバーに設けられ、非メーカー作業員のデータが作業員選定サーバー20、或いはその他のサーバーに設けられていても良い。この場合作業員選定サーバー20の制御部21は、メーカー作業員のデータと非メーカー作業員のデータとをそれぞれ別個に取得する。
【0059】
(3)設定地域は、上記実施例では感染症対策で設定される地域であるが、これに限られず、例えば顧客管理上の理由や作業拠点の負荷の平準等の観点で設定されるものであっても良い。より具体的には、例えば一つの作業拠点が担当する顧客の数が極力均一になる様に設定地域を画定することが考えられる。また設定地域はユーザー自身が設定できるものであっても良い。この場合、記録装置1が設定地域に関する情報を保持し、障害が生じた際にそれをメーカー管理サーバー10に送信する様にしても良い。
【0060】
(4)ユーザー端末40のタッチパネル42に表示する派遣候補リストに関し、作業員データ25に基づき、所有資格や、発生している障害と同一の障害を過去に解消しているか否かの情報を表示する様にしても良い。また作業員データ25として、作業員の性別、過去の作業に対するユーザーの評価等を保存し、それをユーザー端末40のタッチパネル42に表示する様にしても良い。
【0061】
(5)ユーザー端末40のタッチパネル42に表示する派遣候補リストに関し、作業員毎に、発生する費用を算出してユーザーに提示する様にしても良い。例えば、より遠方から派遣される作業員ほど発生費用を高く設定し、より高度な能力を所有する作業者ほど発生費用を高く設定するといったことができる。
【0062】
(6)派遣候補とする作業員の選定に関し、ユーザーの設定により、設定地域を踏まえた作業員の選定を無効にできるようにしても良い。この場合、作業員の到着時間等の、ユーザーが優先する要因に基づいて派遣候補とする作業員を選定する様にしても良い。
【0063】
(7)機器のユーザーがユーザー端末40を所有していない場合、作業員選定サーバー20の制御部21は、派遣候補リストをメーカー管理サーバー10へ送信しても良い。この場合、製造メーカーA社のオペレーターと機器のユーザーとが、電話等の通信手段を利用して情報のやりとりを行い、派遣する作業員を決定する。
【0064】
(8)上記実施例では、機器の一例として記録装置1を挙げたが、これに限られずその他の機器の障害復旧作業に対し適用可能であることは勿論であり、また障害が生じた機器の復旧作業に限らず、その他の作業に対し適用することもできる。
【0065】
更に本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1…記録装置、2…制御部、3…表示部、4…入力部、5…記録機構部、6…記憶部、7…障害解析部、10…メーカー管理サーバー、11…制御部、12…表示部、13…入力部、14…記憶部、15…復旧条件データ、16…対応決定部、20…作業員選定サーバー、21…制御部、22…表示部、23…入力部、24…記憶部、25…作業員データ、26…地域情報データ、27…作業員選定部、30…作業員端末、31…制御部、32…タッチパネル、40…ユーザー端末、41…制御部、42…タッチパネル、50…作業員選定システム、100…ネットワーク