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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190320
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20221219BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20221219BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20221219BHJP
   G06Q 50/12 20120101ALI20221219BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20221219BHJP
【FI】
G05D1/00 Z
G05B19/418 Z
G05D1/02 P
G06Q50/12
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098590
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】竹内 愛
(72)【発明者】
【氏名】梶 雄登
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅之
【テーマコード(参考)】
3C100
5H301
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA47
3C100BB21
3C100BB31
3C100BB33
3C100CC02
5H301BB05
5H301BB14
5H301CC02
5H301KK02
5H301KK06
5L049AA16
5L049CC24
(57)【要約】
【課題】食器洗浄機が設置された第二スペースで効率よく食器を洗浄することが可能な搬送システムを提供する。
【解決手段】ホテルのパントリー12から、食器洗浄機が設置された食洗場14へ食器Sを搬送する搬送システム20であって、パントリー12から食洗場14へ食器Sを搬送する搬送ロボット21と、食洗場14へ搬送された食器Sのうち、食器洗浄機による食洗場14の洗浄前の食器Sの量を算出し、当該算出結果に基づいて搬送ロボット21による食器Sの搬送を制御する制御部と、を具備する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一スペースから、食器洗浄機が設置された第二スペースへ食器を搬送する搬送システムであって、
前記第一スペースから前記第二スペースへ食器を搬送する搬送体と、
前記第二スペースへ搬送された食器のうち、前記食器洗浄機による前記第二スペースの洗浄前の食器の量を算出し、当該算出結果に基づいて前記搬送体による食器の搬送を制御する制御部と、
を具備する、
搬送システム。
【請求項2】
前記搬送体は、
食器が収容された容器を前記第二スペースへ搬送するものであり、
前記制御部は、
前記第二スペースで前記容器から取り出されていない食器の量を、前記洗浄前の食器の量として算出する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記第一スペースで前記容器に収容された食器の量に関する第一情報を取得する第一取得部と、
前記第二スペースで前記容器から取り出された食器の量に関する第二情報を取得する第二取得部と、
をさらに具備し、
前記制御部は、
前記第一取得部及び前記第二取得部の取得結果に基づいて、前記洗浄前の食器の量を算出する、
請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれかには、
前記容器の内部を撮像した結果が含まれる、
請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれかには、
前記容器に対して離間した位置から当該容器に収容された食器までの距離を測定した結果が含まれる、
請求項3又は請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれかには、
収容した食器を含む前記容器の重量を測定した結果が含まれる、
請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第一取得部及び前記第二取得部の取得結果に基づいて算出した前記洗浄前の食器の量が所定の閾値以下となった場合に、前記搬送体による容器の搬送を開始させる、
請求項3から請求項6までのいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記搬送体は、
食器が収容された容器を前記第二スペースへ搬送するものであり、
前記制御部は、
前記第二スペースの前記容器のうち、食器が収容された容器の数量に基づいて前記洗浄前の食器の量を算出する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記食器の量として、食器の数量を算出する、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記第一スペースは、
使用済みの食器が運び込まれるパントリーである、
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の搬送システムは、工場の生産ラインでワークを搬送するためのものである。搬送システムは、ワークを搬送する移動ロボットを具備する。移動ロボットは、生産ラインの工程にしたがってワークを搬送する。
【0004】
ここで、特許文献1に記載されたような搬送システムを用いて、ホテル等で使用済みの食器を食洗場(食器洗浄機が設置される場所)まで搬送すれば、食器の搬送を自動的に行うことができる。
【0005】
しかし、1回の搬送で食洗場へ搬送される食器の数量は、食器の種類や大きさにより変動する。したがって、例えば前記搬送システムにより一定の時間ごとに食器の搬送を行う場合、搬送した食器の数量が少ないと、食器洗浄機へ投入する食器がなくなってしまう可能性がある。また搬送した食器の数量が多いと、食器洗浄機への投入を待っている食器が食洗場に大量に滞留する可能性がある。このように、特許文献1に記載されたような搬送システムを用いて食器の搬送を行う場合、食器の搬送タイミングを適切に制御しなければ、食洗場で効率よく食器を洗浄することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-195919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、食器洗浄機が設置された第二スペースで効率よく食器を洗浄することが可能な搬送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、第一スペースから、食器洗浄機が設置された第二スペースへ食器を搬送する搬送システムであって、前記第一スペースから前記第二スペースへ食器を搬送する搬送体と、前記第二スペースへ搬送された食器のうち、前記食器洗浄機による前記第二スペースの洗浄前の食器の量を算出し、当該算出結果に基づいて前記搬送体による食器の搬送を制御する制御部と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記搬送体は、食器が収容された容器を前記第二スペースへ搬送するものであり、前記制御部は、前記第二スペースで前記容器から取り出されていない食器の量を、前記洗浄前の食器の量として算出するものである。
【0011】
請求項3においては、前記第一スペースで前記容器に収容された食器の量に関する第一情報を取得する第一取得部と、前記第二スペースで前記容器から取り出された食器の量に関する第二情報を取得する第二取得部と、をさらに具備し、前記制御部は、前記第一取得部及び前記第二取得部の取得結果に基づいて、前記洗浄前の食器の量を算出するものである。
【0012】
請求項4においては、前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれかには、前記容器の内部を撮像した結果が含まれるものである。
【0013】
請求項5においては、前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれかには、前記容器に対して離間した位置から当該容器に収容された食器までの距離を測定した結果が含まれるものである。
【0014】
請求項6においては、前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれかには、収容した食器を含む前記容器の重量を測定した結果が含まれるものである。
【0015】
請求項7においては、前記制御部は、前記第一取得部及び前記第二取得部の取得結果に基づいて算出した前記洗浄前の食器の量が所定の閾値以下となった場合に、前記搬送体による容器の搬送を開始させるものである。
【0016】
請求項8においては、前記搬送体は、食器が収容された容器を前記第二スペースへ搬送するものであり、前記制御部は、前記第二スペースの前記容器のうち、食器が収容された容器の数量に基づいて前記洗浄前の食器の量を算出するものである。
【0017】
請求項9においては、前記制御部は、前記食器の量として、食器の数量を算出するものである。
【0018】
請求項10においては、前記第一スペースは、使用済みの食器が運び込まれるパントリーである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
請求項1においては、食器洗浄機が設置された第二スペースで効率よく食器を洗浄することができる。
【0021】
請求項2においては、第二スペースで効率よく食器を洗浄することができる。
【0022】
請求項3においては、洗浄前の食器の量を容易に算出することができる。
【0023】
請求項4においては、洗浄前の食器の量を精度よく算出することができる。
【0024】
請求項5においては、洗浄前の食器の量を算出する構成の簡素化を図ることができる。
【0025】
請求項6においては、洗浄前の食器の量を算出する構成の簡素化を図ることができる。
【0026】
請求項7においては、食器の搬送タイミングを容易に決定することができる。
【0027】
請求項8においては、洗浄前の食器の量を算出する構成の簡素化を図ることができる。
【0028】
請求項9においては、より適切なタイミングで容器を搬送することができる。
【0029】
請求項10においては、パントリーで残渣が除かれた食器を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第一実施形態に係る搬送システムが適用されたホテルで使用済みの食器を搬送する流れを示した説明図。
図2】搬送システムの構成を示したブロック図。
図3】搬送ロボットにより番重を搬送する様子を示した説明図。
図4】(a)番重に新たに食器が収容される前の状態を示した図。(b)番重に新たに食器が収容される様子を示した図。(c)番重が作業台から下ろされた状態を示した図。(d)新しい番重が作業台へ載せられた状態を示した図。(e)番重から食器が取り出される前の状態を示した図。(f)番重から食器が取り出される様子を示した図。(g)番重が作業台から下ろされた状態を示した図。(h)次の番重が作業台へ載せられた状態を示した図。
図5】(a)第二実施形態に係る第一距離センサの構成を示した説明図。(b)番重に新たに食器が収容される前の状態を示した図。(c)番重に新たに食器が収容される様子を示した図。(d)番重が作業台から下ろされた状態を示した図。(e)新しい番重が作業台へ載せられた状態を示した図。
図6】(a)第二実施形態において、番重から食器が取り出される前の状態を示した図。(b)番重から食器が取り出される様子を示した図。(c)番重が作業台から下ろされた状態を示した図。(d)次の番重が作業台へ載せられた状態を示した図。
図7】(a)第三実施形態において、番重に新たに食器が収容される前の状態を示した図。(b)番重に新たに食器が収容される様子を示した図。(c)番重が作業台から下ろされた状態を示した図。(d)新しい番重が作業台へ載せられた状態を示した図。(e)番重から食器が取り出される前の状態を示した図。(f)番重から食器が取り出される様子を示した図。(g)番重が空になった状態を示した図。(h)次の番重が作業台へ載せられた状態を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の第一実施形態に係る搬送システム20について説明する。
【0032】
搬送システム20は、食器Sを搬送するためのものである。本実施形態の搬送システム20は、ホテル10に適用され、使用済みの食器Sを食洗場14へ搬送する用途に用いられる。以下ではまず図1を参照し、使用済みの食器Sが搬送される流れについて説明する。
【0033】
使用済みの食器Sは、ホテル10のスタッフにより宴会場11等(食事を提供するための食堂)から下膳されてパントリー12へ運び込まれる。
【0034】
パントリー12は、下膳された食器Sを番重Bに収容するための場所である。番重Bは、食器Sを収容可能な容器である。番重Bは、上部が開口した略箱状に形成される。パントリー12は、宴会場11と隣接するように設けられる。パントリー12には、作業台12a及び台車D(図3参照)が配置される。作業台12aは、番重Bを載置するためのものである。台車Dは、複数の番重Bを積層(搭載)可能に構成される。台車Dは、パントリー12に複数配置される。
【0035】
パントリー12では、下膳された食器Sの残渣(食べ残し)が捨てられる。こうして残渣が処理された食器Sは、作業台12aの番重Bに収容される。番重Bは、適宜(例えば、これ以上食器Sを詰められなくなると)作業台12aから台車Dへ移される。その後、別の番重Bが作業台12aへ載置され、残渣が処理された食器Sが番重Bへ収容される。パントリー12では、このような作業がスチュワードS1により繰り返し行われる。
【0036】
番重Bが積層された台車Dは、バックヤード13を走行して食洗場14へと移動する。こうして番重B(食器S)は、食洗場14へ搬送される。当該番重Bの搬送は、後述する搬送ロボット21により行われる。
【0037】
食洗場14には、作業台14a、浸漬槽14b及び食器洗浄機14cが配置される。作業台14aは、番重Bを載置するためのものである。浸漬槽14bは、食器Sを液体に浸けるためのものである。浸漬槽14bには、例えば水が貯溜される。食器洗浄機14cは、食器SがセットされたラックRを投入可能に構成される。食器洗浄機14cは、ラックRをコンベアで搬送しながら食器Sの洗浄や乾燥を行うことができる。
【0038】
食洗場14に台車D(番重B)が搬送されると、食洗場14で荷下ろしが行われる。具体的には、番重Bの1つが作業台14aに載置される。一方、残りの番重Bは所定の場所(食洗場14の空きスペース等)に載置される。作業台14aの番重B内の食器Sは、順次取り出されて浸漬槽14bに浸けられる。作業台14aの番重Bが空になると、次の番重Bが作業台14aへ載置され、食器Sが取り出されて浸漬槽14bに浸けられる。浸漬槽14bに浸けられた食器Sは、所定時間が経過すると浸漬槽14bから取り出され、ラックRへセットされる。当該ラックRは、食器洗浄機14cのコンベアで搬送される。こうして食器洗浄機14cで食器Sの洗浄や乾燥が行われる。当該食器Sは、拭き上げられる等して水分が取り除かれる。食洗場14では、このような作業がパントリー12とは異なるスチュワードS2により繰り返し行われる。
【0039】
本実施形態に係る搬送システム20は、番重Bを搬送するタイミングの最適化を図ることにより、食洗場14で効率よく食器Sを洗浄することができる。
【0040】
以下では、図2及び図3を参照し、搬送システム20の構成について説明する。
【0041】
搬送システム20は、搬送ロボット21、第一カメラ22、第二カメラ23及び制御部24を具備する。
【0042】
搬送ロボット21は、パントリー12から食洗場14へ番重Bを搬送するためのものである。搬送ロボット21は、例えば路面に引かれたラインに沿って自動的に走行することで、パントリー12と食洗場14とを往復移動することができる。また搬送ロボット21は、台車Dを当該搬送ロボット21の荷台に載置させた状態で走行することができる。搬送ロボット21はこの状態でラインに沿って走行することで、パントリー12から食洗場14へ番重Bを搬送することができる。このように、本実施形態の搬送ロボット21は、1回の搬送で1台の台車Dに積層された番重Bを食洗場14へ搬送する。また搬送ロボット21は、食洗場14へ搬送した台車Dを当該搬送ロボット21の荷台に載置させた状態で走行することで、当該台車Dをパントリー12へ戻すことができる。
【0043】
なお、搬送ロボット21の構成は、ラインに沿って走行する構成に限定されるものではなく、例えば、床に貼られたコードを読み取ることで当該コードに対応する軌道に沿って自動的に走行する構成でもよい。また搬送ロボット21は、台車Dを搬送ロボット21の荷台に載置させた状態で走行する構成に限定されるものではなく、例えば台車Dを牽引する構成でもよい。
【0044】
第一カメラ22は、パントリー12で番重Bに収容された食器Sの数量に関する情報を取得するためのものである。食器Sの数量に関する情報とは、食器Sの数量を算出可能な情報である。第一カメラ22は、レンズを下に向けた状態で作業台12aの上方に設置される。第一カメラ22は、パントリー12の作業台12aに載置された番重Bの内部を撮像することができる。なお、以下では、第一カメラ22の撮像結果のうち、番重Bを撮像可能な範囲(図4(a)参照)を「第一範囲A1」と称する。本実施形態では、第一カメラ22の撮像結果によりパントリー12で番重Bに収容された食器Sの数量が算出される。なお、食器Sの数量が算出される(カウントされる)流れについては後述する。
【0045】
第二カメラ23は、食洗場14で番重Bから取り出された食器Sの数量に関する情報を取得するためのものである。第二カメラ23は、レンズを下に向けた状態で作業台14aの上方に設置される。第二カメラ23は、食洗場14の作業台14aに載置された番重Bの内部を撮像することができる。なお、以下では、第二カメラ23の撮像結果のうち番重Bを撮像可能な範囲(図4(e)参照)を「第二範囲A2」と称する。本実施形態では、第二カメラ23の撮像結果により食洗場14で番重Bから取り出された食器Sの数量が算出される。なお、食器Sの数量が算出される流れについては後述する。
【0046】
図2に示す制御部24は、搬送ロボット21による食器Sの搬送タイミングを制御するためのものである。制御部24は、CPU等の演算処理装置、並びにRAMやROM等の記憶装置等を具備する。また制御部24は、搬送システム20を動作させるための種々のプログラム等を前記記憶装置に格納する。制御部24は、前記プログラム等を用いた演算処理により、搬送ロボット21の搬送を開始させるタイミングを制御することができる。また制御部24(前記記憶装置)は、演算処理に用いる変数として、「番重Bの段数」、「食器Sの枚数」、「食器Sの総枚数」、「番重Bの残り段数」及び「食器Sの残り枚数」を記憶することができる。制御部24は、後述するように、パントリー12での食器Sの収容動作等に伴って「食器Sの枚数」等を1枚ずつカウントし、最終的な「食器Sの枚数」等を求めることができる。
【0047】
「番重Bの段数」は、番重Bを一意に特定するための情報である。本実施形態の「段数」は、番重Bが台車Dの何段目に積層されているのかを示す変数となっている。「段数」は、先に台車Dに積層されたものから順に(下から順に)、1段目、2段目、3段目と値が大きくなる。「段数」は、台車Dごと(1回の搬送ごと)にカウントされる。例えば制御部24は、所定のセンサからの情報によって複数の台車Dのうち、どの台車Dに番重Bが載せられているのかを検知する。また、制御部24は、検知した台車Dを識別する情報(例えば、台車D固有のID等)と「段数」とを関連付けて記憶する。こうして制御部24は「番重Bの段数」より、どの台車Dの何段目の番重Bであるのかを把握することができる。なお、台車Dを検知する手法は特に限定されるものではない。例えば制御部24は、決まった場所で番重Bを載せることが規定されている場合、その場所で待機している台車Dをカメラ等で撮像して識別することで、番重Bが載せられる台車Dを検知することができる。
【0048】
「食器Sの枚数」は、1つの番重Bに収容された食器Sの数量を示す変数である。「枚数」は、台車Dの識別情報及び「段数」と関連付けて記憶される。こうして制御部24は、どの台車Dの何段目の番重Bに何枚の食器Sが収容されているのかを把握することができる。「食器Sの枚数」は、後述するように、新しい番重Bが作業台12aに載せられたタイミングでリセットされる。こうして新しい番重Bにおける「食器Sの枚数」が、1枚からカウントされる。
【0049】
「食器Sの総枚数」は、1回の搬送で食洗場14へ送られる食器Sの合計数を示す情報である。本実施形態の「総枚数」は、台車Dに積層された全ての番重B内の食器Sの合計数を示す変数となっている。「総枚数」は、「番重Bの段数」と同様に、台車Dごとにカウントされる。
【0050】
「番重Bの残り段数」は、食洗場14に搬送された番重Bのうち、食器Sが収容された番重Bの数量を示す変数である。すなわち「残り段数」は、食器Sが取り出されるのを待っている番重Bの合計数となる。
【0051】
「食器Sの残り枚数」は、食洗場14に搬送された食器Sのうち、番重B内に収容された食器Sの数量を示す変数である。すなわち「残り枚数」は、浸漬槽14bへ投入されるのを待っている食器Sの合計数となる。
【0052】
制御部24は、第一カメラ22及び第二カメラ23と接続され、第一カメラ22及び第二カメラ23の撮像結果に関する信号を受信することができる。制御部24は、当該信号に基づいて撮像結果を取得することができる。また制御部24は、撮像結果のうち、番重Bを撮像可能な第一範囲A1及び第二範囲A2(図4(a)及び図4(e)参照)を解析可能に構成される。例えば制御部24は、画像処理により第一範囲A1内に食器Sや番重Bが映っているか否かを判定することができる。
【0053】
また制御部24は、搬送ロボット21と接続され、搬送ロボット21へ走行に関する信号を送信することができる。例えば制御部24は、走行を指示する信号を送信することで、パントリー12から食洗場14まで搬送ロボット21を走行させることができる。また、制御部24は、走行を待機する信号を送信することで、搬送ロボット21をパントリー12で待機させることができる。
【0054】
上述の如く構成された搬送システム20の制御部24は、第一カメラ22及び第二カメラ23の撮像結果に基づいて搬送ロボット21を制御し、浸漬槽14bへ投入されるのを待っている食器Sがなくなる前に次の番重B(台車D)を食洗場14へ搬送する。これによって食洗場14では、常に食器Sが待機するようになり、継続して食器Sを浸漬槽14bへ投入することができる。
【0055】
以下では、図3及び図4を参照し、制御部24による搬送ロボット21の制御の内容を具体的に説明する。なお以下では、説明の便宜上、台車Dが1台だけであるものとする。
【0056】
制御部24は、第一カメラ22の撮像結果に基づいて、パントリー12で台車Dに載せる「番重Bの段数」、「食器Sの枚数」及び「総枚数」をカウントする。以下、図4(a)から図4(d)を用いて説明する。なお、図4(a)では、4段目の番重Bの食器Sを44枚までカウントした状態となっている。
【0057】
上述の如く、第一カメラ22は、パントリー12の作業台12aに載置された番重Bの内部を撮像する。また、パントリー12では、当該番重Bに食器Sが収容される。このとき、図4(a)及び図4(b)に示すように、第一カメラ22の撮像結果において、食器Sが第一範囲A1(番重B)の外側から内側へと移動することとなる。制御部24は、第一範囲A1を解析してこのような食器Sの移動を検出した場合に、「食器Sの枚数」及び「総枚数」をインクリメントする。こうして、制御部24は、食器Sが番重Bへ収容されるたびに、「食器Sの枚数」及び「総枚数」を増やしていく。
【0058】
また、パントリー12では、番重Bが適宜作業台12aから台車Dへと移される。このとき、図4(c)に示すように、第一カメラ22の撮像結果における第一範囲A1内には、番重Bが映らなくなる。制御部24は、第一範囲A1を解析し、番重Bが映った状態から映っていない状態へと遷移した場合に、「食器Sの枚数」を確定させる。より詳細には、制御部24は、台車Dが食洗場14へ搬送されるまで、確定させた「枚数」(図4(c)では4段目の番重Bの枚数:45枚)の変更を禁止する。
【0059】
また、パントリー12では、番重Bが台車Dへと移されてから、新しい番重Bが作業台12aへ載置される。このとき、図4(d)に示すように、第一カメラ22の撮像結果における第一範囲A1内には、番重Bが映るようになる。制御部24は、第一範囲A1を解析し、番重Bが映っていない状態から映った状態へと遷移した場合に、「番重Bの段数」をインクリメントする。こうして、制御部24は、新しい番重Bが作業台12aへ載置されるたびに、「段数」を増やしていく。そして制御部24は、新しい番重Bに収容される食器Sを1枚からカウントする。
【0060】
このように、制御部24は、第一カメラ22の撮像結果から食器S及び番重Bの動きを検出して、「食器Sの枚数」等をカウントする。図3に示す台車Dには、上述のようにして「枚数」等がカウントされた5つの番重Bが積層される。また、1段目の番重Bに55枚、2段目の番重Bに50枚、3段目の番重Bに60枚、4段目の番重Bに45枚、5段目の番重Bに50枚の食器Sが収容される。台車Dは、搬送ロボット21により適宜食洗場14へ搬送される。
【0061】
なお、制御部24は、所定のセンサからの情報によって食洗場14で台車Dが空になった(全ての番重Bが下ろされた)ことを検知する。そして制御部24は、搬送ロボット21へ食洗場14からパントリー12へ走行するように指示を出す。これによって搬送ロボット21は、空になった台車Dをパントリー12へ自動的に搬送する。パントリー12では、こうして食洗場14から戻された台車Dに次の番重Bが積層される。制御部24は、当該番重Bについても上述のような流れにより、次の台車Dに積層される「番重Bの枚数」等をカウントする。こうして、パントリー12では次の台車Dが準備される。なお、食洗場14で台車Dが空になったことを検知する手法は特に限定されるものではない。例えば制御部24は、台車Dの荷台をカメラで撮像した結果を用いることで、台車Dが空になったことを検知することができる。
【0062】
また制御部24は、食洗場14で台車Dが空になったことを検知すると、パントリー12でカウントした「段数」(5段)を「番重Bの残り段数」に加えると共に、「総枚数」(260枚)を「食器Sの残り枚数」に加える。
【0063】
また、制御部24は、第二カメラ23の撮像結果に基づいて、「番重Bの残り段数」及び「食器Sの残り枚数」等を減らしていく。本実施形態では、先に食洗場14に到着した台車Dの番重Bから順に、食洗場14の作業台14aに載置されることが規定されている。また、先に到着した台車Dの中で、上に積層されたものから順番(すなわち、台車Dに載せられた順番とは反対の順番)に作業台14aに載置されるように、作業手順が予め規定されている。このため制御部24は、先に食洗場14に到着した台車Dの番重Bが全て空になると、図3に示す台車Dの5段目(最も上)の番重Bから順に「食器Sの枚数」を減らしていく。以下、図4(e)から図4(h)を用いて「食器Sの枚数」を減らす流れを説明する。なお、図4(e)は、3段目の番重Bに10枚の食器Sが残った減った状態を示している。
【0064】
上述の如く、第二カメラ23は、食洗場14の作業台14aに載置された番重Bの内部を撮像する。また、食洗場14では、当該番重Bから食器Sが取り出される。このとき、図4(e)及び図4(f)に示すように、第二カメラ23の撮像結果において、食器Sが第二範囲A2の内側から外側へと移動することとなる。制御部24は、第二範囲A2を解析してこのような食器Sの移動を検出した場合に、「食器Sの枚数」及び「残り枚数」をデクリメントする。こうして、制御部24は、食器Sが番重Bから取り出されるたびに、「残り枚数」等を減らしていく。制御部24は、こうして「残り枚数」を減らすことで、食洗場14へ搬送された食器Sの中で、浸漬槽14bへ投入されるのを待っている待機中の食器Sが何枚残っているのかを把握することができる。
【0065】
また、食洗場14では、作業台14aの番重Bが空になると、当該番重Bが作業台14aから下ろされる。このとき、図4(g)に示すように、第二カメラ23の撮像結果における第二範囲A2内には、番重Bが映らなくなる。制御部24は、第二範囲A2を解析し、番重Bが映った状態から映っていない状態へと遷移した場合に、「番重Bの残り段数」をデクリメントする。こうして、制御部24は、作業台14aの番重Bが空になるたびに、「残り段数」を減らしていく。制御部24は、こうして「残り段数」を減らすことで、食洗場14へ搬送された番重Bの中で、空になっていない番重Bが何個残っているのかを把握することができる。
【0066】
また、食洗場14では、作業台14aから番重Bが下ろされると、1つ前の段の番重Bが作業台14aへ載置される。このとき、図4(h)に示すように、第二カメラ23の撮像結果における第二範囲A2内には、番重Bが映るようになる。制御部24は、こうして映った番重Bから食器Sが取り出されたと判定した場合に、1つ前の段(図4(h)では2段目)の「食器Sの枚数」をデクリメントする。こうして制御部24は、「段数」が最も大きい番重Bから順に「食器Sの枚数」を減らしていく。
【0067】
制御部24は、上述のようにして「食器Sの枚数」及び「残り枚数」を減らしていく中で、次の台車Dを食洗場14へ搬送するか否かを判定する。
【0068】
具体的には、制御部24は、「食器Sの残り枚数」をデクリメントする(番重Bから食器Sが取り出される)と、当該「残り枚数」と予め設定された閾値とを比較する。なお、閾値は、搬送ロボット21の搬送時間やスチュワードS2の作業速度や食器洗浄機14cの洗浄時間等を考慮した適宜の値が設定される。制御部24は、「残り枚数」が閾値よりも大きい場合に、搬送ロボット21へ信号を送信せず、次の台車Dの搬送を開始しない。一方制御部24は、「残り枚数」が閾値以下である場合に、搬送ロボット21へ信号を送信し、次の台車Dの搬送を開始する。
【0069】
このように、制御部24は、食洗場14へ搬送した番重B内の食器Sが少なくなると(「残り枚数」が閾値以下となると)、パントリー12から次の台車Dを食洗場14へ搬送させる。こうして、「残り枚数」(浸漬槽14bへ投入されていない食器S)が0になる前に、搬送ロボット21による台車Dの搬送を完了させる。このような構成により、浸漬槽14bへ食器Sを投入する作業の進捗状況に応じて台車Dの搬送タイミングを適切に制御することができ、食洗場14に常に食器Sを待機させることができる。これによって浸漬槽14bへ継続して食器Sを投入することができる。こうして浸漬槽14bへ継続して食器Sを投入すると、当該浸漬槽14bから継続して食器Sを取り出してラックRへセット可能となる。これによって、浸漬槽14bから食器洗浄機14cへ継続してラックRを投入し、途切れることなく食器Sの洗浄を行うことができる。
【0070】
また、食器Sが取り出されていない番重B(「残り段数」)がある程度減ってから台車Dを搬送することで、食洗場14に多くの番重B及び食器Sが滞留することなく台車Dの搬送を行うことができる。これにより、食洗場14が狭い場合でも、台車Dに積層された番重Bを無理なく下ろすことができると共に、浸漬槽14bへ投入する前の食器Sを無理なく待機させることができる。
【0071】
また、制御部24は、番重B内を第一カメラ22及び第二カメラ23で撮像し、食器Sや番重Bの動きを検出することで、番重Bへの食器Sの出し入れを精度よく検出することができる。これによって浸漬槽14bへ投入されていない食器Sの数量(「残り枚数」)を精度よく求めることができ、次の台車Dを食洗場14へタイミングよく搬送することができる。
【0072】
以上の如く、本実施形態に係る搬送システム20は、第一スペース(パントリー12)から、食器洗浄機14cが設置された第二スペース(食洗場14)へ食器Sを搬送する搬送システム20であって、前記第一スペースから前記第二スペースへ食器Sを搬送する搬送体(搬送ロボット21)と、前記第二スペースへ搬送された食器Sのうち、前記食器洗浄機14cによる前記第二スペースの洗浄前の食器Sの量(本実施形態では「残り枚数」)を算出し、当該算出結果に基づいて前記搬送体による食器Sの搬送を制御する制御部24と、を具備するものである。
【0073】
このように構成することにより、洗浄前の食器Sの量を把握することができるため、第一スペースから第二スペースへ適切なタイミングで食器Sを搬送することができる。これにより、食器洗浄機14cで効率よく食器Sを洗浄することができる。
【0074】
また、前記搬送体は、食器Sが収容された容器(番重B)を前記第二スペースへ搬送するものであり、前記制御部24は、前記第二スペースで前記容器から取り出されていない食器Sの量(本実施形態では「残り枚数」)を、前記洗浄前の食器Sの量として算出するものである。
【0075】
このように構成することにより、容器を用いて食器Sを搬送する場合でも、洗浄前の食器Sの量を把握できるため、適切なタイミングで食器Sを搬送することができる。
【0076】
また、前記搬送システム20は、前記第一スペースで前記容器に収容された食器Sの量に関する第一情報(本実施形態ではパントリー12の作業台12aの番重B内を撮像した結果)を取得する第一取得部(第一カメラ22)と、前記第二スペースで前記容器から取り出された食器Sの量に関する第二情報(本実施形態では食洗場14の作業台14aの番重B内を撮像した結果)を取得する第二取得部(第二カメラ23)と、をさらに具備し、前記制御部24は、前記第一取得部及び前記第二取得部の取得結果に基づいて、前記洗浄前の食器Sの量を算出するものである。
なお、食器Sの量に関する情報とは、食器Sの数量や重量を算出可能な情報である。本実施形態では、第一カメラ22及び第二カメラ23の撮像結果から、食器Sの数量を算出している。
【0077】
このように構成することにより、第一情報及び第二情報により容器へ出し入れされた食器Sを把握することができ、容器から取り出されていない食器S(洗浄前の食器S)の量を容易に算出することができる。
【0078】
また、前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれか(本実施形態では第一情報及び第二情報のそれぞれ)には、前記容器の内部を撮像した結果が含まれるものである。
【0079】
このように構成することにより、容器の内部を撮像した結果を用いて洗浄前の食器Sの量を精度よく算出することができる。
【0080】
また、前記制御部24は、前記第一取得部及び前記第二取得部の取得結果に基づいて算出した前記洗浄前の食器Sの量が所定の閾値以下となった場合に、前記搬送体による容器の搬送を開始させるものである。
【0081】
このように構成することにより、閾値を用いて食器Sの搬送タイミングを容易に決定することができる。
【0082】
また、前記制御部24は、前記食器Sの量として、食器Sの数量を算出するものである。
【0083】
このように、食器Sの数量を算出することで、第二スペースでの作業の進捗状況を適切に把握することができる。これによって、第一スペースから第二スペースへより適切なタイミングで容器を搬送することができる。
【0084】
また、前記第一スペースは、使用済みの食器Sが運び込まれるパントリー12である。
【0085】
このように構成することにより、パントリー12で残渣が除かれた食器Sを搬送することができる。
【0086】
なお、本実施形態に係るパントリー12は、本発明に係る第一スペースの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る食洗場14は、本発明に係る第二スペースの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る搬送ロボット21は、本発明に係る搬送体の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一カメラ22は、本発明に係る第一取得部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二カメラ23は、本発明に係る第二取得部の実施の一形態である。
【0087】
次に、図5及び図6を参照し、第二実施形態に係る搬送システム20について説明する。
【0088】
なお、第二実施形態に係る搬送システム20は、距離センサを用いて「食器Sの枚数」等を算出する点で、第一実施形態と相違する。以下、具体的に説明する。なお以下では、第一実施形態と同様に構成される機器については第一実施形態と同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
搬送システム20は、搬送ロボット21、第一距離センサ32、第二距離センサ33及び制御部24を具備する。
【0090】
図5(a)に示す第一距離センサ32は、パントリー12の作業台12aに載置された番重B内の食器Sまでの距離を測定するためのものである。第一距離センサ32は、作業台12aの上方に水平方向に間隔をあけて複数(本実施形態では6つ)設置される。第一距離センサ32は、レーザ32aの照射により、食器Sまでの距離を測定することができる。また第一距離センサ32は、距離の測定結果を制御部24へ送信することができる。
【0091】
図6(a)に示す第二距離センサ33は、食洗場14の作業台14aに載置された番重B内の食器Sまでの距離を測定するためのものである。第二距離センサ33は、作業台14aの上方に水平方向に間隔をあけて複数(本実施形態では6つ)設置される。第二距離センサ33は、レーザ33aの照射により、食器Sまでの距離を測定することができる。第二距離センサ33は、距離の測定結果を制御部24へ送信することができる。
【0092】
なお、第一距離センサ32及び第二距離センサ33の構成は、レーザ32a・33aを照射するものに限定されるものではなく、他の方式(音波の照射等)により距離を測定するものでもよい。また、第一距離センサ32及び第二距離センサ33の設置個数は、特に限定されるものではなく、番重Bの大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0093】
制御部24は、第一距離センサ32の測定結果の変化に基づいて、パントリー12で「食器Sの枚数」等をカウントする。
【0094】
具体的には、図5(b)及び図5(c)に示すように、番重B内に食器Sが収容されると、当該食器Sは、先に収容された食器Sの上に積まれることになる。これに伴い、第一距離センサ32の測定結果(食器Sまでの距離)は小さくなる。制御部24は、所定の微小時間(例えば0.1秒~1秒)ごとに繰り返し第一距離センサ32からの測定結果を取得し、値が安定し、かつ直近の2つの時間帯の測定結果を比較することで第一距離センサ32の測定結果が減少したか否かを判定する。この際、制御部24は、例えば、1つの第一距離センサ32ごとに測定結果の減少を判定したり、複数の第一距離センサ32の測定結果の合計が減少したかを判定する。制御部24は、測定結果が減少した場合に、「食器Sの枚数」及び「総枚数」をインクリメントする。
【0095】
また、パントリー12では、番重Bが適宜作業台12aから台車Dへと移される。こうして番重Bが台車Dへと移されると、図5(d)に示すように、第一距離センサ32は、作業台12aまでの距離を測定する。こうして第一距離センサ32の測定結果が初期値(番重Bがない状態)に戻る。制御部24は、当該初期値を予め記憶しており、第一距離センサ32の測定結果(値が安定している時間帯の測定結果)と初期値とを比較する。そして制御部24は、第一距離センサ32の測定結果が初期値と一致した(初期値に戻った)場合に、食器Sの「枚数」を確定させる。
【0096】
また、パントリー12では、番重Bが台車Dへと移されてから、新しい番重Bが作業台12aへ載置される。こうして新しい番重Bが載置されると、図5(e)に示すように、第一距離センサ32は、番重Bの底面までの距離を測定する。制御部24は、第一距離センサ32から番重Bの底面までの距離を設定値として予め記憶しており第一距離センサ32の測定結果(値が安定している時間帯の測定結果)と設定値とを比較する。そして制御部24は、第一距離センサ32の測定結果が設定値と一致した場合に、「番重Bの段数」をインクリメントする。
【0097】
また、制御部24は、第二距離センサ33の測定結果の変化に基づいて、食洗場14で「食器Sの残り枚数」等を減らしていく。
【0098】
具体的には、図6(a)及び図6(b)に示すように、食洗場14では、最も上に積まれた食器Sが番重Bから取り出される。これに伴い、第二距離センサ33の測定結果(食器Sまでの距離)は大きくなる。制御部24は、パントリー12(第一距離センサ32)の場合と同様の処理により、第二距離センサ33の測定結果が増大したかを判定する。制御部24は、測定結果が増大した場合に、「食器Sの枚数」及び「総枚数」をデクリメントする。
【0099】
また、図6(c)に示すように、作業台14aの番重Bが空になると、第二距離センサ33は、番重Bの底面までの距離を測定する。制御部24は、第二距離センサ33から番重Bの底面までの距離を設定値として予め記憶しており、第二距離センサ33の測定結果(値が安定している時間帯の測定結果)と設定値とを比較する。そして制御部24は、第二距離センサ33の測定結果が設定値と一致した場合に、「番重Bの残り段数」をデクリメントする。
【0100】
このようにして制御部24は、「段数」が最も大きい番重Bから順に「食器Sの枚数」をデクリメントする。また制御部24は、食器Sが取り出されるたびに「総枚数」をデクリメントする。
【0101】
制御部24は、「総枚数」をデクリメントすると、第一実施形態と同様に、「総枚数」が予め設定された閾値以下であるか否かを判定し、搬送ロボット21を制御する。
【0102】
本実施形態では、センサの中で比較的安価な種類のセンサである距離センサを用いて搬送ロボット21を制御できるため、コストの低減を図ることができる。
【0103】
以上の如く、前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれか(本実施形態では第一情報及び第二情報のそれぞれ)には、前記容器(番重B)に対して離間した位置から当該容器に収容された食器Sまでの距離を測定した結果が含まれるものである。
【0104】
このように、距離の測定結果を用いることで、洗浄前の食器Sの量(「総枚数」)を算出する構成の簡素化を図ることができる。
【0105】
なお、本実施形態に係る第一距離センサ32は、本発明に係る第一取得部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二距離センサ33は、本発明に係る第二取得部の実施の一形態である。
【0106】
次に、図7を参照し、第三実施形態に係る搬送システム20について説明する。
【0107】
なお、第三実施形態に係る搬送システム20は、重量センサを用いて「食器Sの枚数」等を算出する点で、第一実施形態と相違する。以下、具体的に説明する。なお以下では、第一実施形態と同様に構成される機器については第一実施形態と同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0108】
搬送システム20は、搬送ロボット21、第一重量センサ42、第二重量センサ43及び制御部24を具備する。
【0109】
図7(a)に示す第一重量センサ42は、パントリー12の作業台12aに載置された番重Bの重量を測定するためのものである。第一重量センサ42は、作業台12aの上面に設置される。第一重量センサ42は、測定結果を制御部24へ送信することができる。
【0110】
図7(e)に示す第二重量センサ43は、食洗場14の作業台14aに載置された番重Bの重量を測定するためのものである。第二重量センサ43は、作業台14aの上面に設置される。第二重量センサ43は、測定結果を制御部24へ送信することができる。
【0111】
制御部24は、第一重量センサ42の測定結果の変化に基づいて、パントリー12で「食器Sの枚数」等をカウントする。
【0112】
具体的には、図7(a)及び図7(b)に示すように、番重B内に食器Sが収容されると、第一重量センサ42の測定結果(番重Bの重量)が大きくなる。制御部24は、所定の微小時間(例えば0.1秒~1秒)ごとに繰り返し第一重量センサ42からの測定結果を取得し、値が安定し、かつ直近の2つの時間帯の測定結果を比較することで第一重量センサ42の測定結果が増大したか否かを判定する。制御部24は、測定結果が増大した場合に、「食器Sの枚数」及び「総枚数」をインクリメントする。
【0113】
また、パントリー12では、番重Bが適宜作業台12aから台車Dへと移される。図7(c)に示すように、番重Bが台車Dへと移されて作業台12aから番重Bがなくなると、第一重量センサ42の測定結果は、初期値(0)に戻る。制御部24は、第一重量センサ42の測定結果(値が安定している時間帯の測定結果)が初期値と一致した場合に、「枚数」を確定させる。
【0114】
また、パントリー12では、番重Bが台車Dへと移されてから、新しい番重Bが作業台12aへ載置される。こうして新しい番重Bが載置されると、図7(d)に示すように、第一重量センサ42は、番重B単体の重量を測定する。制御部24は、番重B単体の重量を設定値として予め記憶しており、第一重量センサ42の測定結果(値が安定している時間帯の測定結果)と設定値とを比較する。そして制御部24は、第一重量センサ42の測定結果が設定値と一致した場合に、「番重Bの段数」をインクリメントする。
【0115】
また、制御部24は、第二重量センサ43の測定結果の変化に基づいて、食洗場14で「食器Sの残り枚数」等を減らしていく。
【0116】
具体的には、図7(e)及び図7(f)に示すように、食器Sが番重Bから取り出されると、第二重量センサ43の測定結果(番重Bの重量)が小さくなる。制御部24は、パントリー12(第一重量センサ42)の場合と同様の処理により、第二重量センサ43の測定結果が減少したか否かを判定する。制御部24は、測定結果が減少した場合に、「食器Sの枚数」及び「総枚数」をデクリメントする。
【0117】
また、図7(g)に示すように、番重B内の食器Sが空になると、第二重量センサ43は、番重B単体の重量を測定する。制御部24は、第二重量センサ43の測定結果(値が安定している時間帯の測定結果)が前記設定値と一致した場合に、「残り段数」をデクリメントする。
【0118】
このようにして制御部24は、「段数」が最も大きい番重Bから順に「食器Sの枚数」をデクリメントする。また制御部24は、食器Sが取り出されるたびに「総枚数」をデクリメントする。
【0119】
制御部24は、「総枚数」をデクリメントすると、第一実施形態と同様に、「総枚数」が予め設定された閾値以下であるか否かを判定し、搬送ロボット21を制御する。
【0120】
本実施形態では、センサの中で比較的安価な種類のセンサである重量センサを用いて搬送ロボット21を制御できるため、コストの低減を図ることができる。
【0121】
なお、第二重量センサ43は、番重B(食器Sが取り出される番重B)を置く場所の上に設置されるものであればよい。したがって、食洗場14で台車Dに載った番重Bから浸漬槽14bへ食器Sを直接投入する場合(作業台14aへ番重Bを載置しない場合)、第二重量センサ43は、台車Dの荷台に設置されるものであってもよい。
【0122】
以上の如く、前記第一情報又は前記第二情報の少なくともいずれかには、収容した食器Sを含む前記容器(番重B)の重量を測定した結果が含まれるものである。
【0123】
このように、容器の重量の測定結果を用いることで、洗浄前の食器Sの量(「総枚数」)を算出する構成の簡素化を図ることができる。
【0124】
なお、本実施形態に係る第一重量センサ42は、本発明に係る第一取得部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二重量センサ43は、本発明に係る第二取得部の実施の一形態である。
【0125】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0126】
例えば、搬送システム20は、ホテル10に適用されるものとしたが、搬送システム20の適用対象は特に限定されるものではなく、飲食店等であってもよい。
【0127】
また、本実施形態において、パントリー12は、宴会場11に隣接するように設けられるものとしたが、設置場所が限定されるものではない。すなわち、パントリー12は、使用済みの食器を、食洗場14へと搬送する前に一旦運び込むことができる場所であればよい。このように、パントリー12は、ホテル10のレイアウト等に応じて適宜の場所に設けることができ、例えば宴会場11(配膳される場所)とは異なる階に設けることもできる。ただし、パントリー12は、食器Sの搬送(下膳等)の効率化の観点から、宴会場11や厨房と隣接する(近しい場所にある)ことが好ましい。またパントリー12に運び込まれる使用済みの食器には、本実施形態のように食事に使用された食器だけでなく、例えば厨房で調理に使用された食器等、種々の用途に使用された食器が含まれる。また本発明に係る第一スペースは、パントリー12に限定するものではない。すなわち、第一スペースは、例えば厨房やその他の場所でもよく、スチュワードが作業可能な作業スペースであればよい。
【0128】
また、各実施形態では、パントリー12から食洗場14へ食器Sが搬送されるものとしたが、食器Sの搬送元は、特に限定されるものではない。また、食器Sの搬送先は、食器洗浄機14cが設置される場所であれば、特に限定されるものではない。
【0129】
また、各実施形態では、パントリー12及び食洗場14に同一種類の機器(カメラや距離センサ)が設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、パントリー12及び食洗場14で互いに異なる種類の機器が設置されてもよい。例えば、パントリー12に第一カメラ22が設置されると共に、食洗場14に第二距離センサ33が設置されてもよい。
【0130】
また、各実施形態では、パントリー12に設置された1種類の機器(例えば第一カメラ22)からの情報に基づいて「食器Sの枚数」等がカウントされるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば複数種類の機器(第一カメラ22及び第一距離センサ32等)からの情報に基づいて「食器Sの枚数」等がカウントされるものでもよい。
【0131】
また、各実施形態では、食洗場14に設置された1種類の機器(例えば第二カメラ23)からの情報に基づいて「食器Sの枚数」等が減らされるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば複数種類の機器(第一カメラ22及び第一距離センサ32等)からの情報に基づいて「食器Sの枚数」等が減らされるものでもよい。
【0132】
また、各実施形態における「食器Sの枚数」は、食器Sの数量を把握するための目安であり、実際の数量と完全に一致する必要はない。すなわち、制御部24が算出した「食器Sの枚数」と、実際の食器Sの数量との間に多少の誤差が生じても、搬送タイミングの制御に特に影響はない。また、「総枚数」は、1回の搬送で送られる食器Sの合計数を把握するための目安であり、実際の合計数と完全に一致する必要はない。また、「残り枚数」は、浸漬槽14bへ投入されるのを待っている食器Sの合計数を把握するための目安であり、実際の合計数と完全に一致する必要はない。
【0133】
また、各実施形態では、1台の台車Dで番重Bが搬送されるものとしたが、これに限定されるものではなく、複数の台車Dにより番重Bが搬送されるものでもよい。この場合、例えば、番重Bの搭載が完了した順に台車Dが食洗場14へ搬送される。また制御部24は、搬送ロボット21からの信号に基づいて台車Dの搬送が完了したことを検知した場合に、台車Dを下ろすように搬送ロボット21へ指示を出す。また制御部24は、仮に食洗場14に空の台車Dがある場合、台車Dを下ろした搬送ロボット21へ指示を出し、空の台車Dをパントリー12へ戻す。一方制御部24は、食洗場14に空の台車Dがない場合、台車Dを下ろした搬送ロボット21にパントリー12へ戻るように指示を出す。
【0134】
なお、複数の台車Dにより番重Bが搬送される場合、番重Bの搭載が完了した順ではなく、「食器Sの総枚数」に基づいて、複数の台車Dの中から番重Bを搬送する1台の台車Dが決定されるものでもよい。具体的には、制御部24は、パントリー12で台車Dごとに「総枚数」等をカウントする。制御部24は、食洗場14の食器S(浸漬槽14bへ投入前の食器S)が少なくなると、「総枚数」が最も多い1つの台車Dを食洗場14へ搬送する。仮に、「総枚数」が最も多い台車Dが複数存在する場合、制御部24は、当該台車Dの中で「番重Bの段数」が最も多い1つの台車Dを食洗場14へ搬送する。このような構成により、パントリー12に複数の台車Dが配置される場合に、食洗場14へ搬送する台車Dを適切に選択することができる。
【0135】
また、各実施形態では、台車Dにより複数の番重Bが搬送されるものとしたが、食器Sがどのように搬送されるのかは特に限定されるものではなく、1つの番重Bだけが搬送されるものでもよい。また、本実施形態の番重Bとは異なり、「段数」がカウントされない容器で搬送されるものでもよい。前記容器で食器Sが搬送される場合、制御部24は、食器Sの撮像結果等に基づいて「食器Sの残り枚数」等を算出することができる。例えば、食器Sが浸漬槽14b側へ移動したことを検出し、「残り枚数」を減らすことができる。
【0136】
また、各実施形態では、食器Sの数量(「残り枚数」)と閾値との比較により台車Dの搬送タイミングが制御されるものとしたが、搬送タイミングの制御に用いる指標は、食器Sの数量に限定されるものではない。例えば、前記指標は、食器S及び番重Bの重量であってもよい。このような構成によると、例えば、第二重量センサ43の測定結果と所定の閾値とを比較するだけで台車Dの搬送タイミングを制御可能となり、構成の簡素化を図ることができる。また、前記指標は、例えば、番重Bの数量(「残り段数」)であってもよい。このような構成によると、番重Bの数量から食器Sの量(数量や重量)を概算できるため、構成の簡素化を図ることができる。また、「番重Bの残り段数」が少なくなるのを待ってから次の台車Dを搬送できるため、食洗場14に多くの番重Bが待機する(食器Sを収容した状態の番重Bが滞留する)のを防止することもできる。
【0137】
このように、前記搬送体は、食器Sが収容された容器を前記第二スペースへ搬送するものであり、前記制御部24は、前記第二スペースの前記容器のうち、食器Sが収容された容器の数量に基づいて前記洗浄前の食器Sの量を算出するものである。
【0138】
このように構成することにより、洗浄前の食器Sの量を算出する構成の簡素化を図ることができる。
【0139】
ここで、パントリー12では、所定の事情(例えば、番重Bに食器Sを詰め過ぎた場合等)に番重Bから食器Sが取り出されることが想定される。そこで、制御部24は、食洗場14での処理を応用し、パントリー12で番重Bから食器Sが取り出されることを検出してもよい。このような構成により、一度カウントした「食器Sの総枚数」等を減少させることができる。また、パントリー12で食器Sの出し入れを検出でき、「総枚数」等をより精度よく算出することができる。
【0140】
また、食洗場14では、所定の事情(例えば、これ以上浸漬槽14bへ食器Sを投入できなくなった場合等)に番重Bへ食器Sが戻されることが想定される。そこで、制御部24は、パントリー12での処理を応用し、食洗場14で番重Bへ食器Sが収容されることを検出してもよい。このような構成により、一度減らした「食器Sの残り枚数」等を増やすことができる。また、食洗場14で食器Sの出し入れを検出でき、「残り枚数」等をより精度よく算出することができる。
【符号の説明】
【0141】
12 パントリー(第一スペース)
14 食洗場(第二スペース)
14c 食器洗浄機
20 搬送システム
21 搬送ロボット(搬送体)
24 制御部
S 食器
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図7