(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190321
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】レンズ装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20221219BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20221219BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G03B11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098591
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】横山 彰
【テーマコード(参考)】
2H044
2H083
【Fターム(参考)】
2H044AA16
2H044AA20
2H083AA21
2H083AA26
(57)【要約】
【課題】 例えば、小型軽量及びレンズの位置決め精度の点で有利なレンズ装置を提供する。
【解決手段】 レンズ装置は、光学部材と、該光学部材とを保持する保持部材を有するレンズ装置であって、前記光学部材は、光軸の方向において位置の異なる第1部分及び第2部分を含み、前記第1部分は、前記光軸に関する軸対称の形状を有し、前記第2部分は、切り欠きにより前記光軸に関する軸対称な形状を有せず、前記保持部材は、前記光学部材の前記第1部分の外周部と嵌合していることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材と、該光学部材を保持する保持部材とを有するレンズ装置であって、
前記光学部材は、光軸の方向において位置の異なる第1部分及び第2部分を含み、前記第1部分は、前記光軸に関する軸対称の形状を有し、前記第2部分は、切り欠きにより前記光軸に関する軸対称な形状を有せず、
前記保持部材は、前記光学部材の前記第1部分の外周部と嵌合していることを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記光軸に関する軸対称な形状を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記第2部分の外形は、前記光軸に沿って前記光軸からの距離が変化することを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記第2部分の外形は、前記光軸に平行な面を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記第2部分の外形は、前記光軸の方向において位置の異なる前記光軸に平行な複数の面を含むことを特徴とする請求項4に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記光学部材は、単レンズを含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項7】
前記光学部材は、複数のレンズが接合されてなる接合レンズを含むことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記第1部分は、前記複数のレンズのうちの一部のレンズからなり、
前記第2部分は、前記複数のレンズのうちの他のレンズからなることを特徴とする請求項7に記載のレンズ装置。
【請求項9】
前記光学部材は、プリズムを含むことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項10】
前記光学部材は、フィルタを含むことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載のレンズ装置と、前記レンズ装置によって形成された像を撮る撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
前記撮像素子は、矩形状の撮像領域を有し、
前記切り欠きは、前記撮像領域の短辺の方向に対応する方向における前記光学部材の両側に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズの外周における円筒状の面が保持部材の内周における円筒状の面に嵌合してなる撮像用のレンズ装置が知られている。当該レンズ装置においては、撮像素子の形状が非円形(例えば矩形)状であるため、レンズには結像光線が通過しない領域(光学的不要領域)が存在する。
【0003】
特許文献1は、小型化のため、当該不要領域にレンズを保持するための構造を設けたレンズ装置を開示している。また、特許文献2は、当該不要領域を撮像面の長辺及び光軸の双方に平行な切断面で切断してなるレンズと、当該切断部に配されたレンズ押え部材とを含む構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-197237号公報
【特許文献2】特開平7-5353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に開示された構造は、保持部材に対するレンズ(中心)の位置決め精度の点で不利である。
【0006】
本発明は、例えば、小型軽量及びレンズの位置決め精度の点で有利なレンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレンズ装置は、光学部材と、該光学部材とを保持する保持部材を有するレンズ装置であって、前記光学部材は、光軸の方向において位置の異なる第1部分及び第2部分を含み、前記第1部分は、前記光軸に関する軸対称の形状を有し、前記第2部分は、切り欠きにより前記光軸に関する軸対称な形状を有せず、前記保持部材は、前記光学部材の前記第1部分の外周部と嵌合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、小型軽量及びレンズの位置決め精度の点で有利なレンズ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】実施例1の変形例におけるレンズ装置の構成図
【
図6】実施例1の変形例におけるレンズ装置の構成図
【
図11】本発明のレンズ装置を有する撮像装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、
図1から
図6に図示した実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0011】
実施例1におけるレンズ装置の代表的な構造を
図1から
図3に示す。実施例1のレンズ装置では、1枚のレンズ(単レンズ)に対して、後述する第1領域(第1部分)と第2領域(第2部分)とを構成した場合を説明する。
【0012】
図1は正面図を示し、
図2は
図1のA-A断面での断面図を示し、
図3は
図1のB-B断面での断面図を示す。
図2において、レンズ装置が接続される不図示のカメラ装置に構成された撮像素子に結像する有効光線は、レンズ1(光学部材)の第1面1aと第2面1bを通過する。
【0013】
レンズ1の光軸方向において、光軸を中心とする軸対称の形状を有する範囲の領域を第1領域X1とする。第1領域X1内に設けられたレンズ1の嵌合径部1cはレンズ鏡筒2の鏡筒嵌合径部2aに略同径で嵌合する。
【0014】
レンズ1の光軸方向における幅の内、光軸を中心とする軸対称の形状を有さない範囲の領域を第2領域X2とする。実施例1の第2領域X2の形状は、光軸を中心とする軸対称の形状とした場合のレンズ1の最大外周部(最大外径部)から内径側の部分を、光軸に非平行で光軸に対称な2つの切断面1d(平面)で切断したような形状を有する。この切り欠き部は、レンズ1の第2領域X2の、撮像素子の矩形状の形状の短辺方向に対応する方向における両側に構成されている。
【0015】
ここで、切断面1dの位置は、レンズ装置が接続されるカメラ装置の、撮像素子の矩形状の撮像領域の形状で決まる有効光線のレンズの通過位置の外径側に位置するように決められる。本実施例においては、レンズ装置が接続されるカメラ装置の撮像素子が矩形状の形状を有するものとして説明するが、本発明はそれに限定されることはない。矩形状の形状の撮像素子に集光する有効光線が通過するレンズ1の第1面1aの領域のうち、前記矩形状の形状の短辺方向に対応する方向に平行で光軸を含む断面における最大の高さをh1とする(
図2参照)。このとき、切断面1dは第1面1aにおけるh1より外径側のH1を通り前記断面に垂直な断面となる。本実施例においては、レンズ1内の前記有効光線の光路を切断しないように、切断面1dは第1面1aから第2面1bに向けて光軸からの距離が大きくなるように変化して形成される。しかし、本発明の切断面1dの形状はこれに限定されることはなく、レンズ装置の構成、撮像素子の形状によって最適な断面の形状は決められる。したがって、レンズ外形の切断面1dを、第1面1aから第2面1bに向けて光軸からの距離が小さくなるように形成した場合や、光軸に平行に形成した場合が、光学使用領域と干渉することなく、レンズの光学不使用部の除去量が最大となることもある。レンズ押え部材3には、レンズ1の切断面1dに接触して押圧する押え面3aが設けられる。
【0016】
図3において、レンズ1の最大外周部1eの一部は、第2領域X2内においても切断面1dで切断されることなく、円筒形状の一部を構成している。レンズ押え部材3には、レンズ1の第1面1aを押圧する押え面3bが設けられる。
【0017】
図4において、レンズ押え部材3を固定ネジ4でレンズ鏡筒2(保持部材)に固定することで、レンズ1がレンズ鏡筒2に対して押圧され固定される。
【0018】
以上説明したように、本実施例におけるレンズ保持構造では、レンズの第1領域でレンズと鏡筒の全周嵌合を維持しながら、第2領域では軸対称の形状を仮定した場合のレンズの光学的不使用範囲を切断したような形状とする。この構成により、レンズの高精度な保持と、レンズ装置の軽量化を両立することが可能になる。
【0019】
また、切断面を光軸に対して斜め(非平行)に形成することで、効率的に不要範囲を切断しつつ、第1領域のレンズとレンズ鏡筒2の全周嵌合を維持することが可能になるが、
図5のように切断面1dに代えて、光軸と平行な切断面1fを形成しても同様の効果は得られる。この場合、切断面1fは、矩形状の形状の撮像素子に集光する有効光線が通過するレンズ1内の領域のうち、前記矩形状の形状の短辺方向に対応する方向に平行で光軸を含む断面における最大の高さh2(
図5参照)より高い高さH2を通り、前記断面に垂直となる。また、レンズ押え部材31には、レンズ1の第1面1aに接触して押圧する押え面31aが設けられる。
【0020】
また、切断面を光軸に対して斜めに形成した場合(
図2)と、光軸と平行に形成した場合(
図5)を示したが、
図6に示すようにステップ状に光学不使用領域のレンズ部分を除去したような外形とする構成としてもよい。この場合、レンズ押え部材32には、レンズ1の第1面1aに接触して押圧する押え面32aが設けられ、より確実にレンズ1をレンズ鏡筒2に対して押圧して固定することができる。
【0021】
本実施例では、レンズ押え部材3をレンズ鏡筒2に固定することでレンズ1の固定を行う構造について説明したが、レンズ1をレンズ鏡筒2又はレンズ押え部材3に接着することで固定しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
接合レンズ5の光軸方向において、軸対称範囲の形状を有する領域を第1領域Y1とし、第1領域Y1内の第2レンズ7の嵌合径部7cはレンズ鏡筒8の鏡筒嵌合径部8aに略同径で嵌合する。接合レンズ5の光軸方向において、軸対称の形状を有さない範囲の領域を第2領域Y2とする。実施例2の第2領域X2の形状は、光軸を中心とする軸対称の形状とした場合の第1レンズ6の外径側の部分を、光軸に平行で光軸に対称な2つの断面6c(平面)で切断したような形状を有する。第1レンズ6は断面6cで外周部を切断したような形状を有するが、第2レンズ7は光軸を中心とする軸対称形状を有する。第1面6aのレンズ中心(光軸)から有効光線が通過する最大の高さをh3とした場合、第1面6aにおいて断面6cはh3より外側のH3の高さに形成される。
以上説明したように、本実施例におけるレンズ装置によれば、接合レンズの第1領域Y1で一方のレンズ(第2レンズ7)の最大外径構成部を切り欠くことなく、レンズ鏡筒2との全周での嵌合状態を形成するため、接合レンズの高精度な保持が可能になる。また、第2領域Y2で他方のレンズ(第1レンズ6)の光学不使用領域を切断することで、接合レンズ5を構成するレンズ装置の軽量化や小径化が可能になる。
本実施例では、レンズ押え部材9をレンズ鏡筒8に固定することで接合レンズ5の固定を行う構造について説明したが、接合レンズ5をレンズ鏡筒8に接着することで固定しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
実施例では、レンズと該レンズを保持する構成に適用した場合を例示したが、本発明はこれに限定されることはない。光学フィルタと該光学フィルタを保持する構成を有する光学装置や、プリズムと該プリズムを保持する構成を有する光学装置に適用しても同様に本発明の効果を奏することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。