(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190324
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】収穫管理方法、収穫管理システム、及び収穫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20221219BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098596
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】三谷 英樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作物を植え付ける前に圃場で栽培される作物の植付量に関する情報を精度よく推定する収穫管理方法、システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】収穫管理システムにおいて、収穫管理装置100は、取得した作業装置30の稼働情報に基づき、作業装置30の軌道を算出するデータ記憶部150と、軌道から作業装置30の作業軌道を抽出する作業判定部160と、抽出された作業軌道に基づき畝の畝長を検出する畝検出部170と、畝を表す業軌道の画像を表示し、対象畝の選択操作を受け付ける報知部250と、報知部250により選択された対象畝を特定する畝選択部180と、株間長、畝長に基づき、対象畝の植え付け作物の株数を推定し、対象畝に植え付けられる作物の株数に基づき、作物の見込み植付量、見込み収量を推定し、端末200の報知部250に出力する植付量推定部190と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場において作業を行った作業装置が移動した軌道を表す位置情報に基づき、前記圃場内の畝の長さを検出することと、
前記畝の長さと、前記畝に植えられる予定の作物の株間長とに基づき、前記圃場で栽培される前記作物の植付量に関する情報を推定することと、
前記植付量に関する情報を出力することと、
を含む収穫管理方法。
【請求項2】
前記位置情報は、前記圃場において畝立て作業を行った前記作業装置の軌道を表す
請求項1に記載の収穫管理方法。
【請求項3】
前記畝の長さを検出することは、
前記位置情報のうち、前記作業装置が作業を行いながら移動した作業軌道を抽出することと、
前記作業軌道に基づき、前記畝の長さを検出することと、
を含む請求項1または2に記載の収穫管理方法。
【請求項4】
前記作業軌道を抽出することは、前記位置情報のうち、前記作業装置が直線状に移動した直線軌道を前記作業軌道として抽出すること
を含む請求項3に記載の収穫管理方法。
【請求項5】
前記直線軌道を抽出することは、前記位置情報のうち、前記作業装置の速度が閾値以下である前記直線軌道を抽出すること
を含む請求項4に記載の収穫管理方法。
【請求項6】
前記畝の長さを検出することは、前記直線軌道の長さに基づき、前記畝の長さを検出すること
を含む請求項4または5に記載の収穫管理方法。
【請求項7】
前記圃場内の前記畝のうちの対象畝を表す畝情報を取得することをさらに含み、
前記作物の植付量に関する情報を推定することは、前記対象畝において栽培される前記作物の植付量に関する情報を推定することを含む
請求項1から6のいずれか1項に記載の収穫管理方法。
【請求項8】
前記畝情報を取得することは、
前記軌道を表した画像に対して入力される入力線を表す入力情報を取得することと、
前記軌道のうち、前記作業装置が作業を行いながら移動した作業軌道を抽出することと、
前記作業軌道のうち、前記入力線と交差する対象軌道を抽出することと、
前記対象軌道に対応する畝を表す前記畝情報を取得することと、
を含む請求項7に記載の収穫管理方法。
【請求項9】
前記植付量に関する情報と、設定された設定量とを比較した結果を表す比較情報を出力することをさらに含む請求項1から8のいずれか1項に記載の収穫管理方法。
【請求項10】
圃場において作業を行った作業装置が移動した軌道を表す位置情報に基づき、前記圃場内の畝の長さを検出する畝検出部と、
前記畝の長さと、前記畝に植えられる予定の作物の株間長とに基づき、前記圃場で栽培される前記作物の植付量に関する情報を推定し、推定された前記植付量に関する情報を出力する植付量推定部と、
を備える収穫管理システム。
【請求項11】
圃場において作業を行った作業装置が移動した軌道を表す位置情報に基づき、前記圃場内の畝の長さを検出することと、
前記畝の長さと、前記畝に植えられる予定の作物の株間長とに基づき、前記圃場で栽培される前記作物の植付量に関する情報を推定することと、
前記植付量に関する情報を出力することと、
を演算装置に実行させる収穫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫管理方法、収穫管理システム、及び収穫管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、圃場において行われた作業に関する情報を用いて栽培管理の分析を行うことが研究されている。
【0003】
特許文献1には、作業機械から圃場内に形成された畝に作物を植え付けるときの稼働情報に基づき、各畝における各種情報、例えば畝長、植付量などから予測される作物の見込み収量を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、増加している契約栽培において、圃場の面積、畝間、株間、単位面積当たりの植付量等に基づき目標収量を算出し、算出された目標収量の作物を納品することが要求される。しかし、実際に栽培して収穫される作物の収量は、具体的な栽培方法、例えば圃場の形状、枕地の形状などの影響により、圃場の面積から単純に算出できない。また、契約前に見込み収量を算出する必要があるため、見込み収量は作物を植え付ける前に算出される必要がある。
【0006】
また、契約栽培において、目標収量の代わりに、植付量が用いられる場合がある。この植付量も圃場の面積、畝間、株間、単位面積当たりの植付量等に基づき算出されるが、実際に植え付けられる植付量は、具体的な栽培方法、例えば圃場の形状、枕地の形状などの影響により、圃場の面積から単純に算出できない。また、契約前に植え付けられる予定の見込み植付量を算出する必要があるため、見込み植付量は作物を植え付ける前に算出される必要がある。
【0007】
上記の状況に鑑み、本開示は、作物を植え付ける前に圃場で栽培される作物の植付量に関する情報、例えば見込み植付量、見込み収量などを精度よく推定することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫管理方法は、圃場(400)において作業を行った作業装置(30)が移動した軌道(410)を表す位置情報に基づき、圃場(400)内の畝(420)の長さを検出することを含む。また、収穫管理方法は、畝(420)と、畝(420)に植えられる予定の作物の株間長(431)とに基づき、圃場(400)で栽培される作物の植付量に関する情報を推定することを含む。さらに、収穫管理方法は、植付量に関する情報を出力することを含む。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫管理システム(1000)は、畝検出部(170)と、植付量推定部(190)とを備える。畝検出部(170)は、圃場(400)において作業を行った作業装置(30)が移動した軌道(410)を表す位置情報に基づき、圃場(400)内の畝(420)の長さを検出する。植付量推定部(190)は、畝(420)の長さと、畝(420)に植えられる予定の作物の株間長(431)とに基づき、圃場(400)で栽培される作物の植付量に関する情報を推定し、推定された植付量に関する情報を出力する。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫管理プログラム(310)は、圃場(400)において作業を行った作業装置(30)が移動した軌道(410)を表す位置情報に基づき、圃場(400)内の畝(420)の長さを検出することを演算装置(120)に実行させる。また、収穫管理プログラム(310)は、畝(420)と、畝(420)に植えられる予定の作物の株間長(431)とに基づき、圃場(400)で栽培される作物の植付量に関する情報を推定することを演算装置(120)に実行させる。さらに、収穫管理プログラム(310)は、植付量に関する情報を出力することを演算装置(120)に実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の形態によれば、作物を植え付ける前に圃場で収穫される作物の植付量に関する情報を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施の形態における収穫管理システムの構成図である。
【
図2】一実施の形態における作業装置の軌道と畝とを説明するための図である。
【
図3】一実施の形態における収穫管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
【
図4】一実施の形態における収穫管理システムによる処理を表すフローチャートである。
【
図5】一実施の形態において、ユーザが対象畝を選択する操作を説明するための図である。
【
図6】一実施の形態における畝を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
本発明の本実施の形態による収穫管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、
図1に示すように、収穫管理システム1000は、収穫管理装置100と、端末200とを備える。収穫管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、作業装置30と通信可能に接続されている。作業装置30は、例えば畝立て作業機を装着したトラクターである。
【0015】
作業装置30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、各時刻の位置を表す位置情報を取得する。このため、位置情報は、
図2に示すように、圃場400において、作業装置30が移動した軌道410を表す。作業装置30は、作物を植え付ける前に畝420に沿って移動する作業、例えば畝立て作業を行うとき、直線状に移動して畝立て作業を行う。また、作業装置30は、圃場400の端に達すると、一度畝立て作業を中止して、進行方向を変更し、その後、直線状に移動して畝立て作業を行う。このため、軌道410は、例えば直線状に形成された1以上の直線軌道411と、曲線により形成された1以上の旋回軌道412とを含む。
【0016】
収穫管理システム1000は、軌道410のうち、圃場400において作業装置30が作業を行いながら移動した作業軌道、例えば直線軌道411に基づき、圃場400における植付量に関する情報、例えば見込み植付量、見込み収量などを推定する。例えば収穫管理システム1000は、直線軌道411に基づき、畝420を検出し、検出された畝420の長さを表す畝長421と、畝420に植え付ける予定の作物の株間長とに基づき、植付量に関する情報を推定する。
【0017】
このように、収穫管理システム1000は、作物を植え付ける植付作業を行う前に、植付量に関する情報を推定する。例えば、圃場400において栽培を行う作業者は、植付作業の前に植付量に関する情報を推定することで、作物の植付量、目標収量などの設定量を達成できるか否かを判断することができる。
【0018】
(収穫管理システムの構成)
収穫管理装置100の構成を説明する。収穫管理装置100は、
図1に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。収穫管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0019】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業装置30から取得する位置情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0020】
記憶装置140は、植え付ける予定の作物の植付量に関する情報を推定するための様々なデータ、例えば稼働データ300と、収穫管理プログラム310とを格納する。記憶装置140は、収穫管理プログラム310を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。収穫管理プログラム310は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0021】
稼働データ300は、作業装置30の稼働状態を表す各種情報、例えば位置情報を記憶する。稼働データ300は、例えば作業装置30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況、作業装置30の各時刻の位置情報、作業期間などを表す情報を含む。作業装置30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。稼働データ300は、作業装置30から取得する稼働情報、例えば作業装置30の位置情報を含んでもよく、稼働情報から算出される各種情報を含んでもよい。
【0022】
演算装置120は、収穫管理プログラム310を記憶装置140から読み出し実行して、植え付ける予定の作物の植付量に関する情報を推定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0023】
演算装置120は、収穫管理プログラム310を読み出し実行することで、
図3に示すように、データ記憶部150と、作業判定部160と、畝検出部170と、畝選択部180と、植付量推定部190とを実現する。データ記憶部150は、作業装置30から稼働情報を取得して、各種情報を稼働データ300に記憶する。作業判定部160は、作業装置30が作業を行っている位置、例えば作業装置30が移動した軌道410のうち、作業を行いながら移動した作業軌道を判定する。例えば、作業軌道は、作業装置30が畝420に沿って移動した経路を表し、畝420に対応する。畝検出部170は、作業軌道に基づき、圃場400の畝420に関する情報、例えば畝長421を検出する。畝選択部180は、検出された畝420のうち、作物の植付量に関する情報を推定する対象畝を表す畝情報を取得する。植付量推定部190は、対象畝で栽培される作物の植付量に関する情報、例えば見込み植付量を推定する。
【0024】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、
図1に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0025】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、収穫管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を収穫管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0026】
記憶装置240は、推定された作物の植付量に関する情報を報知するための様々なデータ、例えば報知プログラム320を格納する。記憶装置240は、報知プログラム320を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。報知プログラム320は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0027】
演算装置220は、報知プログラム320を読み出し実行することで、
図3に示すように、入出力装置210と協働して、報知部250を実現する。報知部250は、収穫管理装置100から作物の植付量に関する情報を取得して、取得した作物の情報を入出力装置210に表示する。
【0028】
(収穫管理システムの動作)
図1に示す作業装置30は、圃場400での作業を行うと、稼働情報を収穫管理装置100の演算装置120に送信する。例えば、作業装置30は、エンジンを停止したときに、エンジンを起動してから停止するまでの稼働情報を収穫管理装置100の演算装置120に送信する。演算装置120は、作業装置30の稼働情報を受信すると、収穫管理プログラム310を読み出し実行する。収穫管理プログラム310が読み出し実行されると、演算装置120は、収穫管理方法の一部である
図4に示す処理を開始する。
【0029】
ステップS110において、演算装置120により実現されるデータ記憶部150は、作業装置30の稼働情報を取得する。また、データ記憶部150は、取得された稼働情報に基づき、作業装置30の軌道410を算出する。算出された軌道410は、稼働データ300に記憶される。
【0030】
ステップS120において、作業判定部160は、軌道410から作業装置30が作業を行った作業軌道を抽出する。例えば、作業判定部160は、
図2に示すように、軌道410のうち、作業装置30が直線状に移動した直線軌道411を作業軌道として抽出する。また、作業判定部160は、直線軌道411のうち、作業装置30の速度が閾値以下である軌道を作業軌道として抽出してもよい。さらに、作業判定部160は、作業装置30の稼働情報に基づき、作業を行っている期間の軌道を作業軌道として抽出してもよい。例えば、作業判定部160は、作業装置30に牽引される作業機械が下げられている期間を、作業装置30が作業を行っている期間と判定する。作業判定部160は、軌道410のうち、作業が行われていると判定された期間に対応する軌道を作業軌道として抽出する。なお、直線状に移動した直線軌道411は、例えば所定の期間において作業装置30の進行方向の変化が5度以内に含まれる軌道を表してもよい。
【0031】
図4に示すステップS130において、畝検出部170は、抽出された作業軌道に基づき、畝420の畝長421を検出する。例えば、畝検出部170は、
図2に示すように、抽出された作業軌道に基づき、畝420を検出する。例えば、畝420は、作業軌道である直線軌道411に沿った領域として検出される。畝検出部170は、検出された畝420の畝長421、例えば直線軌道411の延びる方向の長さを算出する。畝検出部170は、作業軌道の長さ、例えば直線軌道411の長さを畝長421として検出してもよい。また、畝検出部170は、作業軌道を含む最小の矩形を算出し、算出された矩形の長辺の長さを畝長421として検出してもよい。
【0032】
畝検出部170は、検出された畝420を表す情報を端末200の報知部250に出力する。畝420を表す情報は、軌道410を含んでもよい。
【0033】
図4に示すステップS140において、端末200の報知部250は、畝420を表す情報、例えば作業軌道を表す画像を表示して、ユーザによる対象畝の選択操作を受け付ける。報知部250は、
図5に示すように、軌道410を表す画像を入出力装置210に表示する。ユーザは、入出力装置210に表示された画像において、畝420から、作物の見込み収量を推定する対象を表す対象畝を選択するための操作を行う。例えば、ユーザは、作物の見込み収量を推定する対象畝に対応する作業軌道、例えば直線軌道411と交差する入力線500を入出力装置210に入力する。報知部250は、入力された入力線500を表す入力情報を収穫管理装置100の畝選択部180に送信する。
【0034】
図4に示すステップS150において、収穫管理装置100の畝選択部180は、報知部250から取得した入力情報に基づき、選択された対象畝を特定する。例えば、畝選択部180は、入力線500と交差する作業軌道、例えば直線軌道411を抽出する。
図5の例において、畝選択部180は、入力線500と交差する第1直線軌道411-1と、第2直線軌道411-2と、第3直線軌道411-3と、第4直線軌道411-4とを対象軌道として抽出する。畝選択部180は、抽出された対象軌道に対応する畝420が選択されたと判定する。
図5の例において、第5直線軌道411-5が入力線500と交差していないため、畝選択部180は第5直線軌道411-5を選択されていないと判定する。
【0035】
図4に示すステップS160において、植付量推定部190は、畝長421に基づき、選択された対象畝における植付量に関する情報、例えば見込み植付量、見込み収量などを推定する。最初に、植付量推定部190は、畝420に植え付けられる予定の作物の株間長431を取得する。株間長431は、
図6に示すように、畝420に植え付けられたときに、隣接する2つの作物430の間の距離を表す。株間長431は、例えばデータ記憶部150に予め記憶されている。また、株間長431は、端末200の報知部250に入力線500とともに入力されてもよい。
【0036】
次に、植付量推定部190は、株間長431と、畝長421とに基づき、対象畝に植え付けられる作物430の株数を推定する。植付量推定部190は、畝長421を株間長431で除算することで、対象畝に植付らえれる作物430の株数を推定する。また、植付量推定部190は、株間長431と、畝長421と、畝420の端から最も端に植え付けられる作物430までの縁端距離432とに基づき、対象畝に植付らえれる作物430の株数を推定してもよい。例えば、植付量推定部190は、畝長421から縁端距離432を減算して、作物430を植え付ける植付距離を算出する。植付量推定部190は、算出された植付距離を株間長431で除算することで、対象畝に植え付けられる作物430の株数を推定する。
【0037】
次に、植付量推定部190は、対象畝に植え付けられる作物430の株数に基づき、作物430の見込み植付量を推定する。植付量推定部190は、例えば、対象畝に植え付けられる作物430の株数を見込み植付量として推定する。また、1株に複数の作物430を植え付ける場合は、植付量推定部190は、作物430の株数と、1株当たりの植付量とを積算することで、作物430の見込み植付量を推定する。この場合、1株当たりの植付量は、例えばデータ記憶部150に予め記憶されている。また、1株当たりの植付量は、端末200の報知部250に入力線500とともに入力されてもよい。
【0038】
次に、植付量推定部190は、対象畝に植え付けられる作物430の株数に基づき、対象畝で収穫される作物430の見込み収量を推定する。例えば、植付量推定部190は、作物430の株数と、1株当たりの平均収量とを積算することで、作物430の見込み収量を推定する。1株当たりの平均収量は、例えばデータ記憶部150に予め記憶されている。また、1株当たりの平均収量は、端末200の報知部250に入力線500とともに入力されてもよい。
【0039】
植付量推定部190は、推定された植付量に関する情報、例えば対象畝に植え付けられる株数、見込み植付量、見込み収量などを表す情報を端末200の報知部250に出力する。植付量に関する情報は、例えば、栽培契約で設定される植付量、収量などの設定量に対応する情報を表す。
【0040】
ステップS170において、端末200の報知部250は、植付量に関する情報に基づき、対象畝において植え付けられる予定の作物の植付量に関する情報を報知する。例えば、報知部250は、対象畝において植え付けられる予定の作物の見込み植付量を入出力装置210に表示する。報知部250は、対象畝において植え付けられる予定の作物の見込み収量を入出力装置210に表示してもよい。また、報知部250は、対象畝において植え付けられる予定の作物の株数を入出力装置210に表示してもよい。
【0041】
また、報知部250は、植付量に関する情報、例えば見込み植付量、見込み収量などと栽培契約などで設定される設定量、例えば植付量、目標収量などとを比較した結果を報知してもよい。報知部250は、推定された植付量に関する情報、例えば見込み収量が設定量、例えば目標収量未満であるとき、設定量に達しないことを報知する。例えば、報知部250は、推定された植付量に関する情報、例えば見込み収量が設定量、例えば目標収量未満であるとき、植付量に関する情報を赤色で表示する。なお、設定量は、作物を栽培したときの目標となる量、例えば栽培契約に設定される収量、植付量、株数などを表す。
【0042】
このように、収穫管理システム1000は、作物を植え付ける前の作業を行った作業装置30の位置情報に基づき、植付量に関する情報を推定する。
【0043】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、
図1に示す稼働データ300に含まれる作業装置30の位置情報は、作業装置30の位置を表すことができればよく、任意の方法で取得されてもよい。作業装置30の位置情報は、作業装置30とともに移動する携帯端末、例えば作業者の携帯電話から取得されてもよい。
【0044】
図4に示すステップS140において、端末200の報知部250は、植付量に関する情報を推定する対象畝の選択操作を任意の方法で受け付けてもよい。例えば、報知部250は、ユーザが対象畝に対応する1以上の作業軌道をそれぞれ選択するような操作を受け付けてもよい。また、報知部250は、
図5に示す軌道410を表示せずに、作業軌道、例えば直線軌道411のみを表示してもよい。報知部250は、検出された畝420を表す情報、例えば畝420の領域を表示してもよい。
【0045】
また、
図5に示す入力線500は、直線状の線分に限定されず、任意の線、例えば曲線を含んでもよい。また、入力線500は、複数の線を含んでもよい。
【0046】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、収穫管理システム1000は、ユーザによる対象畝の選択を省略して、圃場400に含まれるすべての畝420で栽培される植付量に関する情報を推定してもよい。この場合、
図4に示すステップS140は省略され、ステップS150において、畝選択部180は、圃場400に含まれるすべての畝420を対象畝として特定する。
【0047】
また、
図3に示す畝選択部180は、端末200で実現されてもよい。この場合、
図4に示すステップS140において、端末200の報知部250は、入力線500を表す入力情報を端末200で実現される畝選択部180に出力する。畝選択部180は、ステップS150において、入力情報に基づき対象畝を特定し、特定された対象畝を表す畝情報を収穫管理装置100の植付量推定部190に出力する。畝情報は、対象畝に対応する作業軌道を表してもよい。
【0048】
また、
図3に示す報知部250の一部の処理、例えばステップS170における一部の処理は、収穫管理装置100の植付量推定部190で実行されてもよい。例えば、植付量推定部190は、推定された植付量に関する情報と設定量とを比較してもよい。この場合、植付量推定部190は、推定された植付量に関する情報と設定量とを比較した結果を表す比較情報を端末200の報知部250に出力する。
【0049】
報知部250は、植付量に関する情報として、1つの情報、例えば見込み植付量のみを報知してもよい。この場合、植付量推定部190は、見込み植付量のみを算出し、算出された植付量を表す情報を出力してもよい。1つの情報は、株数または見込み収量でもよい。
【0050】
また、
図1に示す収穫管理システム1000に端末200は含まれなくてもよい。また、収穫管理装置100の処理は、すべてまたは一部が端末200で実行されてもよい。また、端末200の処理は、すべてまたは一部が収穫管理装置100で実行されてもよい。また、端末200は、作業装置30に組み込まれてもよい。また、収穫管理プログラム310は、報知プログラム320を含んでもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業装置
100 :収穫管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :データ記憶部
160 :作業判定部
170 :畝検出部
180 :畝選択部
190 :植付量推定部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :報知部
300 :稼働データ
310 :収穫管理プログラム
320 :報知プログラム
400 :圃場
410 :軌道
411 :直線軌道(作業軌道)
412 :旋回軌道
420 :畝
421 :畝長
430 :作物
431 :株間長
432 :縁端距離
500 :入力線(入力情報)
1000 :収穫管理システム