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特開2022-190353ゴムシート搬送装置およびゴムシート製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190353
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】ゴムシート搬送装置およびゴムシート製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/38 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B29D30/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098627
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】前田 尚宏
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AQ01
4F215AR07
4F215VA11
4F215VA12
4F215VD16
4F215VL28
4F215VL32
4F215VM06
4F215VQ03
4F215VQ07
4F215VQ08
(57)【要約】
【課題】フェスツーンバーに垂れ掛けられて搬送されてきたゴムシートを、正常なチャッキング位置で確実に取り上げることができるゴムシートの搬送技術を提供する。
【解決手段】チェーンローラーにより取付けられた複数のフェスツーンバーを有し間欠駆動するフェスツーンコンベアと、フェスツーンバーからゴムシートを取り上げるゴムシート取上げ装置と共に、フェスツーンバーの停止位置を検出する位置検出センサをゴムシート取上げ位置もしくはその近傍に備えており、ゴムシート取上げ装置を位置検出センサの検出に基づいて、ゴムシートをフェスツーンバーから取り上げるように構成されており、ゴムシート取上げ位置もしくはその近傍の上流側に、チェーンの節と節の間の空間と係合して異物を除去するチェーンガイドスプロケットが設けられているゴムシート搬送装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンローラーにより取付けられた複数のフェスツーンバーを有し間欠駆動するフェスツーンコンベアと、前記フェスツーンバーに垂れ掛けられたゴムシートを取り上げるゴムシート取上げ装置とを備えたゴムシート搬送装置であって、
前記フェスツーンバーの停止位置を検出する位置検出センサを、前記ゴムシート取上げ位置もしくはその近傍に備えており、
前記位置検出センサが、前記チェーンローラーの停止位置を検出することにより、前記フェスツーンバーの停止位置を検出し、
前記位置検出センサによる前記フェスツーンバーの停止位置の検出結果に基づいて、前記ゴムシート取上げ装置を前記フェスツーンバーの停止位置まで移動させて、前記ゴムシートを前記フェスツーンバーから取り上げるように構成されており、
前記ゴムシート取上げ位置もしくはその近傍の上流側に、前記チェーンローラーに架け渡されたチェーンの節と節の間の空間と係合して、前記チェーンの節と節の間の空間に付着している異物を除去するチェーンガイドスプロケットが設けられていることを特徴とするゴムシート搬送装置。
【請求項2】
前記位置検出センサが、光学式の位置検出センサであり、
前記チェーンの節と節の間における光の透過と、チェーンの節による光の遮断とを、センサのON/OFFとして検出することを繰り返すことにより、前記ゴムシートの移動量を求めて、その移動量に基づいて、前記フェスツーンバーの停止位置を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴムシート搬送装置。
【請求項3】
前記光学式の位置検出センサが、光電センサまたはレーザセンサであることを特徴とする請求項2に記載のゴムシート搬送装置。
【請求項4】
前記チェーンガイドスプロケットが、前記ゴムシート取上げ位置から、1000~1500mm上流側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のゴムシート搬送装置。
【請求項5】
タイヤの製造に用いられるゴムシートを製造するゴムシート製造装置であって、
未加硫ゴムをシート状にして連続的に押出すゴム押出機、および押出されたシート状の未加硫ゴムを圧延してゴムシートに成形するカレンダーを備えるゴム混練設備バッチオフマシンと、
成形された前記ゴムシートを冷却しながら、次工程に向けて搬送するゴムシート搬送装置とを備えており、
前記ゴムシート搬送装置として、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のゴムシート搬送装置が用いられていることを特徴とするゴムシート製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムシート搬送装置およびゴムシート製造装置に関し、詳しくは、タイヤの製造に用いられる未加硫ゴムシートを搬送するゴムシート搬送装置、および前記ゴムシート搬送装置を用いたゴムシート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造工程において、トレッドゴムやカーカスプライなどに用いられる未加硫ゴムシート(以下、単に「ゴムシート」ともいう)は、一般に、ゴムシート製造装置におけるゴム混練設備バッチオフマシンにより製造された後、ゴムシート搬送装置により順次搬送されて冷却され、次工程へと送られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、タイヤ製造ライン内において、ゴム混練設備バッチオフマシンの押出機から押出されて長尺シート状に圧延された未加硫ゴムシートを、ゴムシート搬送装置により冷却しながら搬送して、次工程へと送り出している。
【0004】
図9は、上記した従来のゴムシート搬送装置の全体構成を示す模式側面図であり、1はゴムシート搬送装置、Sは押出機から押出されてカレンダーにより長尺化されたゴムシート、4はゴムシートSを冷却するフェスツーンコンベア、6はフェスツーンコンベア4から冷却されたゴムシートSを取り上げるゴムシート取上げ装置である。そして、3および8はゴムシートSを搬送するゴムシート搬送コンベアであり、両者は同期して運転されている。なお、7はゴムシート取上げ装置6を水平方向に移動させるためのエンコーダ付き電動シリンダー、70は枠体である。
【0005】
フェスツーンコンベア4は、チェーンローラーにチェーンが架け渡されて構成された、いわゆるチェーンコンベア構造である。そして、フェスツーンコンベア4には、垂れ掛けられたゴムシートSを十分に冷却するために、チェーンローラーにより取付けられた複数のフェスツーンバー44が狭い間隔で配置されている。また、ゴムシートSを所定のゴムシート取上げ位置Pまで搬送して、停止させるためのチェーン間欠駆動スプロケット46および搬入位置決めスプロケット47を有している。そして、フェスツーンコンベア4の上流側には、搬送中におけるゴムシートSとフェスツーンバー44との粘着を防止する防着材として、ゴムシートSの表面に離型剤液の飛沫20を塗布する離型剤ディップコンベア2が配置されている。
【0006】
押出機(図示せず)から押出されて、カレンダー(図示せず)により長尺化されたゴムシートSは、まず、離型剤ディップコンベア2で離型剤液の飛沫20を表面に塗布される。次いで、ゴムシートSは、ゴムシート搬送コンベア3上を搬送されて、隣接する2本のフェスツーンバー44、44の間に設けられたフェスツーンコンベア入口部4aから搬入される。そして、搬入されたゴムシートSは、その後、矢印方向に周回する無端のフェスツーンコンベア4により回転する複数のフェスツーンバー44に順次垂れ掛けられて、所定のゴムシート取上げ位置Pまで搬送される。
【0007】
所定のゴムシート取上げ位置Pまで搬送されたゴムシートSは、搬送を停止し、隣接する2本のフェスツーンバー44、44の間に侵入してきたゴムシート取上げ装置6のシートチャック部62により取り上げられ、移動するゴムシート取上げ装置6によりゴムシート搬送コンベア8まで運ばれた後、次工程へと送られる。
【0008】
このとき、ゴムシート取上げ位置P、もしくはその近傍に光学式の位置検出センサ9を設置して、ゴムシートSを搬送しているチェーンコンベアのチェーンの位置を確認することにより、精度高くゴムシートSが取上げられるようにしている。
【0009】
具体的には、位置検出センサ9からチェーンに向けて光を照射し、チェーンの節と節の間における光の透過と、チェーンの節による光の遮断とを、センサのON/OFFとして検出することを繰り返すことにより、ゴムシートSの移動量を求めて、その移動量に基づいて、ゴムシートSの停止位置、即ち、ゴムシート取り上げ位置P(チャッキング位置)を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014-54799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記したセンサ光の透過と遮断を検出してチャッキング位置の検出を行う際、フェスツーンコンベアによる搬送の前に行われる防着材塗布において飛散した離型剤液の乾燥物などが、チェーンの節と節の間に異物として付着して目詰まりが発生することがあった。このような異物による目詰まりが発生すると、位置検出センサが異物をチェーンの節と誤認するため、ゴムシートSの移動量を正確に求めることができず、正常なチャッキング位置が検出できない。
【0012】
そこで、本発明は、フェスツーンコンベアを用いたゴムシートの搬送工程でフェスツーンバーに垂れ掛けられて搬送されてきたゴムシートを、正常なチャッキング位置で確実に取り上げることができるゴムシートの搬送技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
請求項1に記載の発明は、
チェーンローラーにより取付けられた複数のフェスツーンバーを有し間欠駆動するフェスツーンコンベアと、前記フェスツーンバーに垂れ掛けられたゴムシートを取り上げるゴムシート取上げ装置とを備えたゴムシート搬送装置であって、
前記フェスツーンバーの停止位置を検出する位置検出センサを、前記ゴムシート取上げ位置もしくはその近傍に備えており、
前記位置検出センサが、前記チェーンローラーの停止位置を検出することにより、前記フェスツーンバーの停止位置を検出し、
前記位置検出センサによる前記フェスツーンバーの停止位置の検出結果に基づいて、前記ゴムシート取上げ装置を前記フェスツーンバーの停止位置まで移動させて、前記ゴムシートを前記フェスツーンバーから取り上げるように構成されており、
前記ゴムシート取上げ位置もしくはその近傍の上流側に、前記チェーンローラーに架け渡されたチェーンの節と節の間の空間と係合して、前記チェーンの節と節の間の空間に付着している異物を除去するチェーンガイドスプロケットが設けられていることを特徴とするゴムシート搬送装置である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
前記位置検出センサが、光学式の位置検出センサであり、
前記チェーンの節と節の間における光の透過と、チェーンの節による光の遮断とを、センサのON/OFFとして検出することを繰り返すことにより、前記ゴムシートの移動量を求めて、その移動量に基づいて、前記フェスツーンバーの停止位置を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴムシート搬送装置である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、
前記光学式の位置検出センサが、光電センサまたはレーザセンサであることを特徴とする請求項2に記載のゴムシート搬送装置である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、
前記チェーンガイドスプロケットが、前記ゴムシート取上げ位置から、1000~1500mm上流側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のゴムシート搬送装置である。
【0018】
請求項5に記載の発明は、
タイヤの製造に用いられるゴムシートを製造するゴムシート製造装置であって、
未加硫ゴムをシート状にして連続的に押出すゴム押出機、および押出されたシート状の未加硫ゴムを圧延してゴムシートに成形するカレンダーを備えるゴム混練設備バッチオフマシンと、
成形された前記ゴムシートを冷却しながら、次工程に向けて搬送するゴムシート搬送装置とを備えており、
前記ゴムシート搬送装置として、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のゴムシート搬送装置が用いられていることを特徴とするゴムシート製造装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フェスツーンコンベアを用いたゴムシートの搬送工程でフェスツーンバーに垂れ掛けられて搬送されてきたゴムシートを、正常なチャッキング位置で確実に取り上げることができるゴムシートの搬送技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態に係るゴムシート搬送装置の全体構成を示す模式側面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るゴムシート搬送装置の要部の模式平面図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るゴムシート搬送装置の要部の模式正面図である。
図4】本発明の一実施の形態におけるゴムシート取上げ装置の拡大模式正面図である。
図5】節と節の間に異物が付着したチェーンを模式的に示す平面図である。
図6】異物の付着による位置検出センサの誤検出を説明する図である。
図7】チェーンガイドスプロケットがチェーンの節と節の間の空間と係合することによる異物の除去を説明する図である。
図8】位置検出センサによる誤検出の解消を説明する図である。
図9】従来のゴムシート搬送装置の全体構成を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明する。
【0022】
1.本発明に係るゴムシート搬送装置の概要
最初に、本発明に係るゴムシート搬送装置の概要について説明する。
【0023】
本発明に係るゴムシート搬送装置は、チェーンの節と節の間の空間と係合するように、チェーンガイドスプロケットが設けられている点を除いては、従来のゴムシート搬送装置と同様の構成である。
【0024】
即ち、ゴムシート搬送装置は、チェーンローラーにより取付けられた複数のフェスツーンバーを有し間欠駆動するフェスツーンコンベアと、フェスツーンバーに垂れ掛けられたゴムシートを取り上げるゴムシート取上げ装置とを備えている。そして、フェスツーンバーの停止位置を検出する位置検出センサを、ゴムシート取上げ位置もしくはその近傍に備えている。
【0025】
位置検出センサは、チェーンローラーの停止位置を検出することにより、フェスツーンバーの停止位置を検出する。そして、その検出結果に基づいて、ゴムシート取上げ装置をフェスツーンバーの停止位置まで移動させて、ゴムシートをフェスツーンバーから取り上げるように構成されている。
【0026】
しかしながら、本発明においては、ゴムシート取上げ位置もしくはその近傍の上流側に、チェーンローラーに架け渡されたチェーンの節と節の間の空間と係合して、チェーンの節と節の間の空間に付着している異物を除去するチェーンガイドスプロケットが設けられている。
【0027】
このようなチェーンガイドスプロケットを設けることにより、フェスツーンコンベアによる搬送の前に行われる防着材塗布において飛散した離型剤液の乾燥物などの異物が、付着物としてチェーンの節と節の間で目詰まりを発生させたとしても、チェーンガイドスプロケットがチェーンの節と節の間の空間と係合することにより、付着物の除去が行われて目詰まりが解消されるため、正常なチャッキング位置を確実に検出して、ゴムシートを確実に取り上げて、次工程へと送り出すことができる。
【0028】
2.本実施の形態に係るゴムシート搬送装置
次に、本実施の形態に係るゴムシート搬送装置について、図に基づいて具体的に説明する。
【0029】
(1)全体構成
図1は、本実施の形態に係るゴムシート搬送装置の全体構成を示す模式側面図である。図1に示すように、本実施の形態に係るゴムシート搬送装置1は、チェーンガイドスプロケット10が設けられている他は、図9に示した従来のゴムシート搬送装置と同様の構成となっている。
【0030】
即ち、本実施の形態においても、押出機から押出されてカレンダーにより長尺化されたゴムシートSは、ゴムシート搬送コンベア3上を搬送されて、隣接する2本のフェスツーンバー44、44の間に設けられたフェスツーンコンベア入口部4aから搬入された後、矢印方向に周回する無端のフェスツーンコンベア4により回転する複数のフェスツーンバー44に順次垂れ掛けられて、所定のゴムシート取上げ位置Pまで搬送される。
【0031】
そして、所定のゴムシート取上げ位置Pまで搬送されたゴムシートSは搬送を停止し、隣接する2本のフェスツーンバー44、44の間に侵入してきたゴムシート取上げ装置6のシートチャック部62により取り上げられた後、ゴムシート取上げ装置6によりゴムシート搬送コンベア8まで運ばれ、次工程へと送られる。
【0032】
(2)主要部材の構成
以下、本実施の形態に係るゴムシート搬送装置を構成する各主要部材について説明する。
【0033】
(a)フェスツーンコンベア
まず、フェスツーンコンベアについて説明する。本実施の形態において、フェスツーンコンベア4は、従来のゴムシート搬送装置と同様に、チェーンローラーにチェーンが架け渡されて構成された、いわゆるチェーンコンベア構造である。そして、フェスツーンコンベア4は、垂れ掛けられたゴムシートSを十分に冷却するために、チェーンローラーにより取付けられた複数のフェスツーンバー44が狭い間隔で配置されている。また、ゴムシートSを所定のゴムシート取上げ位置Pまで搬送して、停止させるためのチェーン間欠駆動スプロケット46および搬入位置決めスプロケット47を有している。
【0034】
なお、フェスツーンコンベア4は、押出機およびカレンダーを経由してゴムシート搬送コンベア3により搬送されてきたゴムシートSが投入され易いように、フェスツーンコンベア入口部4aにおいて隣接する2つのフェスツーンバー44、44の間隔が拡大されている。
【0035】
図2は本実施の形態に係るゴムシート搬送装置の要部の模式平面図、図3は要部の模式正面図である。
【0036】
図2に示すように、フェスツーンコンベア4は、チェーンローラー41、43により、取付けられた複数のフェスツーンバー44を有しており、紙面の垂直面内で時計回り方向に周回する。そして、隣り合う2つのチェーンローラー41、41、および43、43の間には、それぞれ、チェーン40、42が設けられている。
【0037】
また、チェーンローラー41、43のそれぞれは、図3に示すように、ガイドレール50、52に案内されて、同期して移動する。
【0038】
チェーン間欠駆動スプロケット46は、図示しないコンベア駆動制御装置によって駆動が制御され、チェーンコンベアを所定の位置、具体的にはゴムシートSの先端部が垂れ掛けられたフェスツーンバー44aが、フェスツーンコンベア4の搬送方向下流側に設けられたゴムシート取上げ位置Pもしくはその近傍で停止するように駆動する。
【0039】
(b)ゴムシート取上げ装置
次に、ゴムシート取上げ装置について説明する。図4は、本実施の形態におけるゴムシート取上げ装置の拡大模式正面図である。
【0040】
図4に示すように、ゴムシート取上げ装置6は、ゴムシート搬送装置1の下流側に設けられた枠体70の上方に配置されており、ゴムシート取上げ位置Pで待機している。ゴムシート取上げ装置6は、フェスツーンバー44に垂れ掛けられたゴムシートSの先端部を取り上げる。
【0041】
ゴムシート取上げ装置6は、本体60と、シートチャック部62と、シートチャック部62を垂直方向に上昇、下降させるための第1アクチュエータ66と、本体60を水平方向に前進、後退させるための第2アクチュエータ68とを有している。
【0042】
本体60には、第1アクチュエータ66が、駆動軸66aを垂直方向にして固定されている。第1アクチュエータ66の駆動軸66aの先端部には、シートチャック部62が固定されており、第2アクチュエータ68によって枠体70の上面に沿って水平方向に平行移動する。
【0043】
枠体70には、ゴムシート取上げ装置6を水平方向に移動させるためのエンコーダ付き電動シリンダー7が固定されている。エンコーダ付き電動シリンダー7は、枠体70の上を水平方向に平行移動可能なスライダ67を介して、ゴムシート取上げ装置6の第2アクチュエータ68に連結されており、エンコーダ付き電動シリンダー7の駆動軸7aが駆動することによって、ゴムシート取上げ装置6の本体60を水平方向に平行移動させて、シートチャック部62の位置決め調整を行うことができる。
【0044】
(c)位置検出センサ
次に、位置検出センサについて説明する。位置検出センサ9は、位置検出センサ素子9aにより検出対象の位置を検出するものであり、図3に示すように、ガイドレール50に固定された支持アーム54によって、チェーンコンベアの真上に取り付けられている。また、図4に示すように、ゴムシート取上げ位置Pに配置されている。
【0045】
このとき、チェーンローラー41は、チェーンコンベアの節毎に取り付けられ、チェーンの節と節の間の距離は一定に保たれているため、光電センサやレーザセンサなど、光学式の位置検出センサ9からチェーンに向けて光を照射し、チェーンの節と節の間における光の透過と、チェーンの節による光の遮断とを、センサのON/OFFとして検出することを繰り返すことにより、ゴムシートSの移動量を求めることができる。そして、その移動量に基づいて、ゴムシートSの停止位置、即ち、取り上げ位置(チャッキング位置)を検出することができる。
【0046】
しかし、前記したように、フェスツーンコンベアによる搬送の前に行われる防着材塗布において飛散した離型剤液の乾燥物などが、チェーンの節と節の間に異物として付着して目詰まりを発生させた場合、光が遮断されて、位置検出センサが異物をチェーンの節と誤認するため、ゴムシートSの移動量を正確に求めることができず、正常なチャッキング位置が検出できない。
【0047】
これを、図5及び図6を用いて説明する。なお、図5は、節と節の間に異物が付着したチェーンを模式的に示す平面図であり、図6は、異物の付着による位置検出センサの誤検出を説明する図である。
【0048】
図5に示すように、チェーン40、42の節と節の間には、異物20aが付着している。この場合、図6に示すように、位置検出センサ9から出射されたセンサ光は、異物20aを透過することができず、遮断されるため、位置検出センサ9が異物20aをチェーンの端部と誤認して、チャッキング位置を誤検出してしまい、この誤検出が、従来のゴムシート搬送装置における問題点となっていた。
【0049】
(d)チェーンガイドスプロケット
そこで、本実施の形態においては、位置検出センサの配置位置よりも上流側に、チェーンガイドスプロケットを設けて、チェーンの節と節の間の空間と係合させることにより、チェーンの節と節の間の空間に付着している異物を除去するようにしている。
【0050】
図7は、このチェーンガイドスプロケットがチェーンの節と節の間の空間と係合することによる異物の除去を説明する図である。そして、図8は、位置検出センサによる誤検出の解消を説明する図である。
【0051】
図7に示すように、チェーンガイドスプロケット10をチェーンの節と節の間の空間に係合させることにより、チェーンの節と節の間に付着している異物を強制的に除去することができるため、目詰まりが解消される。この結果、図8に示すように、位置検出センサ9から出射されたセンサ光は、チェーン40の節と節の間を遮断されることなく透過して行くことができるため、チャッキング位置の誤検出を確実に防止することができ、正常なチャッキング位置を確実に検出して、ゴムシートを確実に取り上げて、次工程へと送り出すことができる。
【0052】
なお、本実施の形態において、チェーンガイドスプロケットは、ゴムシート取上げ位置から上流側に、距離Dだけ離れた位置、具体的には、1000~1500mm離れた位置に設けられていることが好ましい。
【0053】
また、チェーンコンベアがチェーンガイドスプロケット10で支持されていることにより、チェーンの剛性が高まり、ゴムシート取り上げ時、チェーンの揺れが低減されるため、ゴムシート取り上げの作業性(チャッキング性)も向上する。
【0054】
3.本実施の形態に係るゴムシート製造装置
本実施の形態に係るゴムシート製造装置は、タイヤの製造に用いられるゴムシートを製造するゴムシート製造装置であり、未加硫ゴムをシート状にして連続的に押出すゴム押出機、および押出されたシート状の未加硫ゴムを圧延してゴムシートに成形するカレンダーを備えるゴム混練設備バッチオフマシンと、成形されたゴムシートを冷却しながら、次工程に向けて搬送するゴムシート搬送装置とを備えている。そして、本実施の形態においては、ゴムシート搬送装置として、上記したチェーンガイドスプロケットが設けられているゴムシート搬送装置が用いられている。これにより、成形されたゴムシートを冷却しながら、確実に取り上げて、次工程へと送り出すことができるため、安定した生産性を確保することができる。
【0055】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 ゴムシート搬送装置
2 離型剤ディップコンベア
3、8 ゴムシート搬送コンベア
4 フェスツーンコンベア
4a フェスツーンコンベア入口部
6 ゴムシート取上げ装置
7 エンコーダ付き電動シリンダー
7a (エンコーダ付き電動シリンダーの)駆動軸
9 位置検出センサ
9a 位置検出センサ素子
10 チェーンガイドスプロケット
20 (離型剤液の)飛沫
20a 異物
40、42 チェーン
41、43 チェーンローラー
44 フェスツーンバー
44a ゴムシートの先端部が垂れ掛けられたフェスツーンバー
46 チェーン間欠駆動スプロケット
47 搬入位置決めスプロケット
50、52 ガイドレール
54 支持アーム
60 (ゴムシート取上げ装置の)本体
62 シートチャック部
66 第1アクチュエータ
66a (第1アクチュエータの)駆動軸
67 スライダ
68 第2アクチュエータ
70 枠体
P ゴムシート取上げ位置
S ゴムシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9