(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190361
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】粘着シートおよび無線充電装置
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20221219BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20221219BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20221219BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20221219BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
B32B27/00 M
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098643
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 忠祐
(72)【発明者】
【氏名】森越 諒
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
5G503
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK25C
4F100AK42A
4F100AK42D
4F100AK51B
4F100AT00D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA26
4F100GB41
4F100JK06
4F100JL11C
4F100JL13B
4F100JM10B
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004CA06
4J004CE01
4J004EA05
4J004FA08
4J040DF001
4J040EF001
4J040JA09
4J040JB09
4J040NA19
5G503AA01
5G503FA03
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】傾斜がある面でも電子装置が滑ったりすることがなく、手間をかけずに安定して保持でき、かつ外部から衝撃が与えられても電子装置が浮き上がることがなく、安定した無線充電を可能とする粘着シートおよび無線充電装置を提供する。
【解決手段】無線充電装置20の充電面21に装着される粘着シート10であって、粘着シートは、プラスチック樹脂フィルムの基材11と、基材の一方の表面に設けられた粘着性樹脂層12と、他方の表面に設けられた接着性樹脂層13とを有し、接着性樹脂層で充電面に貼着され、粘着性樹脂層の粘着力よりも接着性樹脂層の粘着力のほうが強い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線充電装置の充電面に装着される粘着シートであって、プラスチック樹脂フィルムの基材と、前記基材の一方の表面に設けられた粘着性樹脂層と、他方の表面に設けられた接着性樹脂層とを有し、前記接着性樹脂層で無線充電装置の充電面に貼着され、前記粘着性樹脂層の粘着強度よりも前記接着性樹脂層の粘着強度のほうが大きい粘着シート。
【請求項2】
前記基材が、厚さ25μm以上200μm以下のプラスチック樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記粘着性樹脂層および前記接着性樹脂層の厚さが、5000μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記粘着性樹脂層の電子装置側の面が、PET板を試験板としてJIS Z 0237に準じた90度剥離の試験方法で、0.5(N/20mm)以上の粘着強度を有し、前記接着性樹脂層の無線充電装置側の面が、同じく10(N/20mm)以上の粘着強度を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項5】
前記粘着性樹脂層および前記接着性樹脂層の表面に保護フィルムが貼着されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の粘着シートが、前記接着性樹脂層で充電面に貼着された無線充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートおよびその粘着シートを装着した無線充電装置に関し、特に無線充電装置と充電される電子装置を、粘着シートを介して安定して保持でき、電子装置が滑り落ちることなく充電が可能となる粘着シートおよび無線充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線充電装置は、充電技術の成熟で充電効率が向上し続けている。スマートフォンや携帯電話端末のような電子装置では既に無線充電仕様の充電装置が採用されている。上述した電子装置では、内蔵するレシーブ誘導コイルと電池との電気的連接を利用し、無線充電装置内にエミッション誘導コイルを内蔵する。これにより、両者が接近すると、電磁誘導効果、電磁共振原理を利用してエネルギーを伝達し、電力転換により電子装置の電池に対して充電を行う。
【0003】
一般的な無線充電装置は、電源線、無線充電パッドを備える。無線充電パッドは、無線充電可能な電子製品をその上に置くことができ、電源線末端のプラグを各式コンセントに挿入し、電磁誘導により無線充電を行う。上述した構造は、使用上非常に便利ではあるが、机などの様な平坦な面上での充電に限定され、あるいは揺れや振動が発生する恐れが無い場所にしか置くことができない。無線充電装置を傾斜角度のある場所に置かなければならない場合や、車内など場所が固定しにくく不安定な場所で充電を行う必要がある場合には、無線充電装置に電子装置を安定して保持することができないため、使用が困難である。
【0004】
これに対し、従来技術として、ガード部材を用いて電子装置を支える固定装置が提案されている(特許文献1参照)。しかし、提案されている固定装置では自動車等で移動中の場合などに、衝撃で電子装置が浮き上がり固定装置から落下してしまう恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の無線充電装置の上記の様な欠点に鑑み、充電を可能とする環境範囲を広げ利便性を高めるためになされたもので、粘着性を有するシートを無線充電装置に設けて電子装置を保持することで、傾斜がある面でも電子装置が滑ったりすることがなく、手間をかけずに安定して保持でき、かつ外部から振動や衝撃が与えられても電子装置が浮き上がることがなく、安定した無線充電を可能とする粘着シートおよび無線充電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一側面は、
無線充電装置の充電面に装着される粘着シートであって、プラスチック樹脂フィルムの基材と、前記基材の一方の表面に設けられた粘着性樹脂層と、他方の表面に設けられた接着性樹脂層とを有し、前記接着性樹脂層で無線充電装置の充電面に貼着され、前記粘着性樹脂層の粘着強度よりも前記接着性樹脂層の粘着強度のほうが大きい粘着シートである。
【0008】
上記粘着シートにおいて、
前記基材が、厚さ25μm以上200μm以下のプラスチック樹脂フィルムであって良い。
【0009】
上記粘着シートにおいて、
前記粘着性樹脂層および前記接着性樹脂層の厚さが、5000μm以下であって良い。
【0010】
上記粘着シートにおいて、
前記粘着性樹脂層の電子装置側の面が、PET板を試験板としてJIS Z 0237に準じた90度剥離の試験方法で、0.5(N/20mm)以上の粘着強度を有し、前記接着性樹脂層の無線充電装置側の面が、同じく10(N/20mm)以上の粘着強度を有していて良い。
【0011】
上記粘着シートにおいて、
前記粘着性樹脂層および前記接着性樹脂層の表面に保護フィルムが貼着されていて良い。
【0012】
また本発明の別側面は、
上記のいずれかの粘着シートが、前記接着性樹脂層で充電面に貼着された無線充電装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粘着シートによれば、無線充電装置の設置角度が水平でない場合や、振動などがある場合でも、電子装置を無線充電装置の充電面に貼着して装着して充電が可能となり、安定した無線充電が可能となる。また電子装置を取り外す際には、電子装置のいずれかの四隅から捲る様にすることで跡が残らずに容易に無線充電装置から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の粘着シートの一実施形態の層構成図である。
【
図3】本発明の無線充電装置に電子装置を装着した状態の外観概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
【0016】
図1は本発明の粘着シートの一実施形態の層構成を示す図であり、各層の一部を切り欠いて示した図である。粘着シート10は、基材11の一方の表面に粘着性樹脂層12が、他方の表面に接着性樹脂層13が、それぞれ積層されている。また、粘着性樹脂層12と接着性樹脂層13にさらに保護フィルム14がそれぞれ積層され、無線充電装置に貼着される前に粘着性樹脂層12と接着性樹脂層13に埃等が付着するのを防止している。従って、実際に無線充電装置に貼着して使用する際には、両表面の保護フィルム14は剥がされる。
【0017】
基材11としては、薄すぎて粘着シート10が柔らかくなりすぎず、厚すぎて無線充電装置20の充電機能を損なわないために、厚さ25μm以上200μm以下のプラスチック樹脂フィルムを基材として用いると好ましい。プラスチック樹脂フィルムとしては、必要な強度と加工性を有すれば特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、セロハン、塩化ビニル、ポリエチレン、延伸ポリプロピレン、四フッ化エチレン、ポリカーボネート、ポリスチレンなどのフィルムが好適に使用できる。
【0018】
また基材11に積層される粘着性樹脂層12および接着性樹脂層13としては、薄すぎて粘着シート10の粘着強度が不足せず、厚すぎて無線充電装置20の充電機能を損なわないために、基材11を挟むようにそれぞれ厚さ5000μm以下の粘着性樹脂層12および接着性樹脂層13とすると好ましい。また粘着性樹脂層12接着性樹脂層13の厚さは同一でも、互いに異なっていても良い。
【0019】
図2は、本発明の無線充電装置の外観概要図である。無線充電装置20は、充電のためにスマートフォンなどの電子装置30が装着される充電面21に、前述の粘着シート10が、接着性樹脂層13が充電面21側、粘着性樹脂層12が電子装置30側となる様に貼着されて構成される。粘着シート10は
図2に示したように充電面21の略全面に貼着されて良いが、部分的に貼着しない部分があっても良く、また複数のシートに分割された形状であっても良い。
【0020】
本発明の粘着シート10は、上述の様に両面に粘着機能を有している。これを無線充電装置20の充電面に貼着することで、
図3の様に電子装置30の裏面を粘着性樹脂層12に粘着させて固定でき、充電することが可能となる。さらに、粘着シート10は、電子装置30の裏面や無線充電装置20の充電面の材質や表面状態に関わらず、常に無線充電装置20側の面の粘着強度が電子装置30側の面の粘着強度よりも強くなっているため、電子装置30を取り外す際には、電子装置30との粘着面側が剥離するので、粘着シート10が無線充電装置20から剥がれてしまうことがない。
【0021】
さらにこの粘着シート10は、粘着性樹脂層12の面に埃等が付着し粘着強度が低下しても、水また埃除去用のクロスもしくはシート等で表面の付着物を除去することで粘着強度が復元するため、繰り返し使用が可能である。さらに、粘着シート10を用いることで、無線充電装置20の充電面21および電子装置30の裏面が粘着シート10で貼着されている限り、電子装置30の角度を自由に調節することが可能である。
【0022】
粘着シート10を構成する材料について、より具体的に例を挙げれば、例えば、厚さ100μmのPETフィルムを基材11とし、基材11の電子装置側となる面には粘着性樹脂層12としてPET板に対して0.75(N/20mm)の粘着強度を有する厚さ880μmのウレタン系ゲルを、無線充電装置側となる面には接着性樹脂層13としてPET板に対し15.0(N/20mm)の粘着強度を有する厚さ20μmのアクリル系両面接着テープ(日東電工株式会社製:No.5000NS)を、それぞれ貼着し、さらに両表面に対しPET素材の保護フィルム14を貼り付けることで
図1の構成の粘着フィルムとなる。
【0023】
この粘着フィルム10を、両表面の保護フィルム14を剥がして
図2の様に無線充電装置20の充電面21に貼着し,この粘着シート10上に電子装置30の一つであるスマートフォンを装着すると、スマートフォンの裏面が粘着性樹脂層12と粘着した状態となり、無線充電装置20が水平面に対して種々の角度となった場合や、無線充電装置20に振動などが加わった場合でも、電子装置30が脱落してしまうことがなく、安定した充電が可能となる。電子装置30であるスマートフォンを取り外す際には、スマートフォンを無線充電装置20の端から引き剥がす様に引っ張ることで、跡が残らずスマートフォンを剥離することができる。
【0024】
粘着シート10を構成する材料の別の具体的な例としては、原さ50μmのPETフィルムを基材11に、電子装置側となる面には粘着性樹脂層12としてPET板に対して7.55(N/20mm)の粘着強度を有する厚さ930μmのウレタン系ゲルを、無線充電装置側となる面には接着性樹脂層13としてPET板に対して15.0(N/20mm)の接着強度を有する厚さ20μmのアクリル系両面接着テープ(日東電工株式会社製:No.5000NS)をそれぞれ貼着し、さらに両表面に対しPET素材の保護フィルム14を貼り付けた構成とすることができる。
【0025】
以上説明したように、本発明の粘着シートおよび無線充電装置によれば、無線充電装置の充電面と電子製品の裏面の間に粘着シートが設けられ、粘着シートに電子装置を貼着することで、無線充電装置を傾斜がある面に設置した場合でも、また不安定な場所であっても、電子装置が自重で滑ることなく充電が可能になり、また無線充電装置の充電面がどのような向きに向けられていても電子装置を装着しても充電が可能である。
【符号の説明】
【0026】
10・・・粘着シート
11・・・基材
12・・・粘着性樹脂層(ウレタン系粘着樹脂)
13・・・接着性樹脂層(アクリル系粘着樹脂)
14・・・保護フィルム
20・・・無線充電装置
21・・・充電面
30・・・電子装置