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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190364
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】灯具制御装置、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20221219BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20221219BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B60Q1/00 C
B60Q1/04 E
B60Q1/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098646
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】片山 敬三
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 久
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA25
3K339AA33
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA08
3K339BA11
3K339BA23
3K339BA28
3K339BA30
3K339CA01
3K339CA12
3K339CA22
3K339CA24
3K339DA01
3K339EA06
3K339EA09
3K339FA02
3K339GB01
3K339GB21
3K339JA02
3K339JA05
3K339JA10
3K339JA11
3K339JA16
3K339JA21
3K339JA22
3K339KA01
3K339KA06
3K339KA07
3K339KA09
3K339KA13
3K339KA18
3K339KA28
3K339KA38
3K339LA06
3K339LA33
3K339LA34
3K339MC70
3K339MC77
3K339MC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】灯具制御装置の回路規模を低減すること。
【解決手段】車両用灯具1を構成する複数の光源部10a~10dの動作を制御する装置であって、電力供給部13と、フェールセーフ信号を出力するフェールセーフ回路11と、複数のスイッチ素子12a~12eと、通信回路16と、通信回路16から取得した光源制御用データに基づいて各スイッチ素子12a~12eの開閉状態を個別に制御するスイッチ制御回路15と、を含み、通信回路16において通信異常が検出された際に、スイッチ制御回路15がフェールセーフ回路11に対応するスイッチ素子12a~12eの開閉状態を切り替え、当該開閉状態の切り替えに対応してフェールセーフ回路11のフェールセーフ信号の状態が変化し、当該フェールセーフ信号の状態の変化に対応して電力供給部13が駆動電力を通信異常のない通常時よりも相対的に低下させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具を構成する複数の光源部の動作を制御する装置であって、
前記複数の光源部と接続されており当該各光源部に駆動電力を供給する電力供給部と、
前記複数の光源部のうち1つの光源部に接続され、かつ前記電力供給部と接続されており、前記電力供給部に対してフェールセーフ信号を出力するフェールセーフ回路と、
前記複数の光源部の各々及び前記フェールセーフ回路に対してそれぞれ並列に接続された複数のスイッチ素子と、
外部装置から送信される光源制御用データを受信可能に構成された通信回路と、
前記通信回路と接続され、かつ前記複数のスイッチ素子と接続されており、前記通信回路から取得した前記光源制御用データに基づいて当該各スイッチ素子の開閉状態を個別に制御するスイッチ制御回路と、
を含み、
前記通信回路において通信異常が検出された際に、前記スイッチ制御回路が前記フェールセーフ回路に対応する前記スイッチ素子の開閉状態を切り替え、当該開閉状態の切り替えに対応して前記フェールセーフ回路の前記フェールセーフ信号の状態が変化し、当該フェールセーフ信号の状態の変化に対応して前記電力供給部が前記駆動電力を前記通信異常のない通常時よりも相対的に低下させる、
灯具制御装置。
【請求項2】
前記スイッチ制御回路は、前記通信異常が検出された際に、前記複数の光源部のうち特定の光源部が点灯し、当該特定の光源部以外の前記光源部が消灯ないし減光するように前記複数のスイッチ素子の各々の開閉状態を制御する、
請求項1に記載の灯具制御装置。
【請求項3】
前記特定の光源部は、すれ違い用前照灯として用いられるものを含む、
請求項2に記載の灯具制御装置。
【請求項4】
前記電力供給部は、前記車両用灯具の外部に配置され、
前記フェールセーフ回路、前記複数のスイッチ素子、前記スイッチ制御回路及び前記通信回路は前記車両用灯具の内部に配置される、
請求項1~3の何れか1項に記載の灯具制御装置。
【請求項5】
前記外部装置は、前記車両用灯具の外部に配置されており、所定の制御プログラムを実行することによって前記光源制御用データを生成して前記通信回路へ送信するコントローラである、
請求項1~4の何れか1項に記載の灯具制御装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の灯具制御装置と、
前記灯具制御装置によって制御される複数の光源部と、
を含む、車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、灯具制御装置、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-1572号公報(特許文献1)には、車両に搭載された灯具制御装置であって、マイコンと、トランシーバと、複数のスイッチング素子を備える灯具制御装置が記載されている。マイコンは、CPU、ROM、RAMなどを備えており、通信によって得た点消灯情報に応じて各スイッチング素子を個別にオンオフ制御する。それにより、各スイッチング素子と接続されたヘッドランプ等の点消灯が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-1572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、灯具制御装置等の回路規模を低減することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本開示に係る一態様の灯具制御装置は、車両用灯具を構成する複数の光源部の動作を制御する装置であって、(a)前記複数の光源部と接続されており当該各光源部に駆動電力を供給する電力供給部と、(b)前記複数の光源部のうち1つの光源部に接続され、かつ前記電力供給部と接続されており、前記電力供給部に対してフェールセーフ信号を出力するフェールセーフ回路と、(c)前記複数の光源部の各々及び前記フェールセーフ回路に対してそれぞれ並列に接続された複数のスイッチ素子と、(d)外部装置から送信される光源制御用データを受信可能に構成された通信回路と、(e)前記通信回路と接続され、かつ前記複数のスイッチ素子と接続されており、前記通信回路から取得した前記光源制御用データに基づいて当該各スイッチ素子の開閉状態を個別に制御するスイッチ制御回路と、を含み、(f)前記通信回路において通信異常が検出された際に、前記スイッチ制御回路が前記フェールセーフ回路に対応する前記スイッチ素子の開閉状態を切り替え、当該開閉状態の切り替えに対応して前記フェールセーフ回路の前記フェールセーフ信号の状態が変化し、当該フェールセーフ信号の状態の変化に対応して前記電力供給部が前記駆動電力を前記通信異常のない通常時よりも相対的に低下させる、灯具制御装置である。
[2]本開示に係る一態様の車両用灯具は、前記[1]の灯具制御装置と、この灯具制御装置によって制御される複数の光源部と、を含む、車両用灯具である。
【0006】
上記構成によれば、灯具制御装置ないしこれを備える車両用灯具の回路規模を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態の車両用灯具の構成を示す図である。
図2図2(A)は、フェールセーフ回路の構成例を示す回路図である。図2(B)は、出力制御回路の構成例を示す回路図である。
図3図3は、車両用灯具に内包される灯具制御装置の動作手順を示す図である。
図4図4は、変形実施例の車両用灯具の構成を示す図である。
図5図5は、変形実施例の車両用灯具の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態の車両用灯具の構成を示す図である。図示の車両用灯具1は、複数の光源部10a、10b、10c、10d、フェールセーフ回路11、スイッチ回路12、DC-DCコンバータ13、出力制御回路14、スイッチ制御回路(SW制御回路)15、通信回路16を含んで構成されている。この車両用灯具1は、通信線を介してコントローラ2と相互に通信可能に接続されている。なお、実際には車両前部の左右それぞれに車両用灯具1が設置されるが、ここでは説明を簡単にするために1つの車両用灯具1のみを示す。
【0009】
本実施形態では、車両用灯具1に内包されるフェールセーフ回路11、スイッチ回路12、DC-DCコンバータ13、出力制御回路14、スイッチ制御回路15及び通信回路16が「灯具制御装置」に対応する。また、DC-DCコンバータ13と出力制御回路14が「電力供給部」に対応する。
【0010】
光源部10a、10b、10c、10dは、各々、1つ以上の発光素子(例えばLED)を含んで構成されている。図示のように、光源部10a、10b、10c、10dは、直列接続されている。これらの光源部10a等は、例えば光源部10aがハイビーム用ランプに対応し、光源部10bがロービーム用ランプ(すれ違い用前照灯)に対応し、光源部10cがポジションランプ(車幅灯)に対応し、光源部10dがターンランプ(方向指示灯)に対応する。
【0011】
なお、各光源部10a等に複数の発光素子が含まれる場合において、各光源部10a等の内部における発光素子相互の接続形態(直列、並列等)は任意である。
【0012】
フェールセーフ回路11は、光源部10dと直列接続されている。このフェールセーフ回路11は、通信回路16に通信異常が発生した場合に所定のフェールセーフ信号を生成する回路である。フェールセーフ回路11によって生成されたフェールセーフ信号は出力制御回路14へ入力される。
【0013】
スイッチ回路12は、複数のスイッチ素子12a、12b、12c、12d、12eを含んで構成されており、光源部10a、10b、10c、10d及びフェールセーフ回路11の直列回路に対して並列に接続されている。
【0014】
各スイッチ素子12a、12b、12c、12d、12eは、互いに直列に接続されている。また、スイッチ素子12aは、光源部10aに対して並列に接続され、スイッチ素子12bは、光源部10bに対して並列に接続され、スイッチ素子12cは、光源部10cに対して並列に接続され、スイッチ素子12dは、光源部10dに対して並列に接続され、スイッチ素子12eは、フェールセーフ回路11に対して並列に接続されている。各スイッチ素子12a~12eは、例えばトランジスタを用いて構成することができる。
【0015】
各スイッチ素子12a~12eは、スイッチ制御回路15からの制御信号を受けてオン状態(閉状態)又はオフ状態(開状態)に切り替われる。それにより、各光源部10a~10dをそれぞれ個別に点消灯させることができる。また、各スイッチ素子12a~12dのオン状態/オフ状態をそれぞれPWM制御によって個別に切り替えることで、そのデューティ比に応じて各光源部10a~10dの出射光の輝度を可変に設定することができる。
【0016】
DC-DCコンバータ13は、光源部10a~10d及びスイッチ回路12と接続されており、図示しない車載バッテリから電力供給を受けて、光源部10a~10dに駆動電力(電流/電圧)を生成して供給する。
【0017】
出力制御回路14は、フェールセーフ回路11及びDC-DCコンバータ13と接続されており、フェールセーフ回路11からのフェールセーフ信号を受けてDC-DCコンバータ13からの出力電流を低下させる制御を行う。
【0018】
スイッチ制御回路15は、スイッチ回路12と接続されており、各スイッチ素子12a~12eの動作を制御する。このスイッチ制御回路15は、通信回路16と通信可能なインタフェースを備えており、通信回路16から受信したデジタルデータに基づいて動作する。スイッチ制御回路15は、例えば市販のテキサスインスツルメンツ社の型番TPS92661で特定されるLEDマトリクスマネージャ(IC)を用いて構成することができる。このICは、マルチドロップユニバーサル非同期受信送信機(UART)を備えており、通信回路16との間で情報通信可能である。
【0019】
通信回路16は、コントローラ2との間で情報通信するとともに、スイッチ制御回路15との間で情報通信するためのものである。通信回路16とコントローラ2との間は所定の車内用通信ネットワークを介して接続されている。また、通信回路16とスイッチ制御回路15との間は所定の通信線を介して相互に通信可能に接続されている。
【0020】
コントローラ2は、CPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータを用いて構成されており、CPUにおいて制御プログラム20を実行することによって各種の情報処理を行う。このコントローラ2は、車両用灯具1の通信回路16と相互に通信可能に接続されている。コントローラ2としては、例えば車両の各種制御のために備わっているマイクロコンピュータを兼用して用いることもできる。コントローラ2は、車両の運転席に備わったランプスイッチの操作状態を示す信号を受け取った場合に、車両用灯具1の通信回路16に所定の光源制御用データを送信する。この光源制御用データを受信した通信回路16からスイッチ制御回路15へ光源制御用データが送信されることで、スイッチ制御回路15によるスイッチ制御が実行される。
【0021】
図2(A)は、フェールセーフ回路の構成例を示す回路図である。例示のフェールセーフ回路11は、オペアンプ(増幅器)30、コンパレータ(比較器)31、3つの抵抗素子32、33、34、基準電圧電源35を含んで構成されている。オペアンプ30、抵抗素子33、34を組み合わせて増幅回路が構成されている。
【0022】
抵抗素子32は、光源部10dとGND端子との間に接続されている。抵抗素子33は、光源部10dと抵抗素子32との接続点aに一端が接続され、オペアンプ30の反転入力端子に他端が接続されている。抵抗素子34は、オペアンプ30の反転入力端子と出力端子との間に接続されている。
【0023】
コンパレータ31は、反転入力端子がオペアンプ30の出力端子と接続されており、非反転入力端子が基準電圧電源35のプラス極と接続されている。基準電圧電源35のマイナス極はGND端子と接続されている。
【0024】
このフェールセーフ回路11では、スイッチ素子12eがオフ状態(開状態)の場合には、光源10a~光源10dと直列に接続された抵抗素子32の光源部10dとの接続点aの電圧がオペアンプ30等からなる増幅回路により増幅され、この増幅された電圧がコンパレータ31により基準電圧電源35の電圧と比較される。
【0025】
例えば、スイッチ素子12eがオフ状態の場合におけるオペアンプ30の出力端子の電圧が基準電圧電源35の電圧よりも高くなるように回路条件を設定しておいたとすると、コンパレータ31からは、相対的に高い電圧(ハイレベル電圧)が出力される。また、スイッチ素子12eがオン状態(閉状態)の場合には、接続点aがGND端子に接続されることで接続点aの電圧が相対的に低下するので、コンパレータ31からは、相対的に低い電圧(ローレベル電圧)が出力される。
【0026】
従って、スイッチ制御回路15により、通信回路16に通信異常が生じた場合にはスイッチ素子12eをオン状態にし、通信異常が生じていない場合にはスイッチ素子13eをオフ状態にするように制御することにより、コンパレータ31の出力端子から出力される電圧を出力制御回路14においてフェールセーフ信号として用いることができる。
【0027】
図2(B)は、出力制御回路の構成例を示す回路図である。例示の出力制御回路14は、スイッチ素子40、3つの抵抗素子41、42、43及び電源44を含んで構成されている。3つの抵抗素子41、42、43は直列接続されている。そして、抵抗素子41の一端側が電源44と接続されており、抵抗素子43の他端側がGND端子と接続されている。スイッチ素子40は、一端側が抵抗素子42と抵抗素子43との接続点に接続されており、他端側がGND端子に接続されている。
【0028】
この出力制御回路14では、スイッチ素子40は、フェールセーフ回路11から出力されるフェールセーフ信号に応じて開状態と閉状態が切り替わる。通常時には、フェールセーフ信号(ハイレベル電圧)に対応してスイッチ素子40が開状態となり、抵抗素子41と抵抗素子42の間で分圧された第1電圧がDC-DCコンバータ13の出力電流設定端子へ入力される。また、通信異常時には、フェールセーフ信号(ローレベル電圧)に対応してスイッチ素子40が閉状態となり、抵抗素子41と抵抗素子42の間で分圧された電圧は上記した第1電圧とは異なる第2電圧となり、これがDC-DCコンバータ13の出力電流設定端子へ入力される。DC-DCコンバータ13では、出力電流設定端子へ入力された電圧に応じて出力電流が設定される。このとき、第1電圧の入力時よりも第2電圧の入力時において出力電流が低下する。
【0029】
図3は、車両用灯具に内包される灯具制御装置の動作手順を示す図である。なお、制御結果に矛盾や不整合を生じない限りにおいて適宜、動作の順序を入れ替えることも可能であり、またここで言及しない他の動作を追加してもよく、それらの実施態様も排除されない。なお、前提として、DC-DCコンバータ13から電圧供給が行われ、各スイッチ素子10a~10dが適宜閉状態もしくは開状態に制御され、スイッチ素子10eが開状態に制御されており、各光源部10a~10dが点灯しているものとする。
【0030】
通信回路16は、コントローラ2との間で定期的に所定データの送受信を行う(ステップS11)。ここで、所定データとは、通信異常を検知するためのデータであり、本来の送受信対象である光源制御用データに付加して送受信される。このようなデータとしては、例えば、パリティビット、チェックサム、CRC符号、ハミング符号など公知の種々の誤り検出符号、誤り訂正符号を用いることができる。
【0031】
通信回路16は、所定データに基づいて通信状態が正常である場合には(ステップS12;YES)、ステップS11へ戻り、所定データ(並びに光源制御用データ)の送受信を継続する。
【0032】
他方、通信回路16は、所定データに基づいて通信状態の異常が検出された場合には(ステップS12;NO)、通信回路16から通信異常を示すエラー信号が出力される。このエラー信号が入力されると、スイッチ制御回路15は、スイッチ回路12を制御してスイッチ素子12eをオン状態(閉状態)にする(ステップS13)。ここでのスイッチ素子12eは、フェールセーフモード用のスイッチ素子に対応する。
【0033】
フェールセーフモード用であるスイッチ素子12eがオン状態になると、上記のようにフェールセーフ回路11から出力されるフェールセーフ信号がローレベル電圧になり、それに応じて出力制御回路14によりDC-DCコンバータ13から出力される駆動電圧が相対的に低くなるように変更される(ステップS14)。
【0034】
また、スイッチ制御回路15は、フェールセーフモードに対応する光源部だけを点灯させてそれ以外の光源部を消灯させるように各スイッチ素子12a~12dを制御する。例えば本実施形態では、フェールセーフモードの際には、ロービーム用ランプに対応する光源部10b(すなわち特定の光源部)をデューティ比100%で点灯させるようにスイッチ素子12bを切り替え、それ以外の光源部10a、10c、10dはデューティ比0%、すなわち消灯させるようにスイッチ素子12a、12c、12dを切り替える制御が行われる(ステップS15)。これにより、通信異常の発生時にも光源部10bからロービームが照射される状態を確保できるとともに、他の光源部10a、10c、10dからの光照射を停止させることができる。
【0035】
以上のような実施形態によれば、一般にマイクロコンピュータ等を用いて構成されており回路規模の大きいコントローラ2を車両用灯具1の外部に設置し、通信によってコントローラ2から車両用灯具1の動作制御を行うことができるので、車両用灯具1に内包されて筐体内に配置される灯具制御装置の回路規模を低減することが可能となる。また、それにより車両用灯具の小型化、省線化、軽量化を図ることができる。
【0036】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。
【0037】
例えば、図4に示す変形実施例のように、DC-DCコンバータ13と出力制御回路14を車両用灯具1aの外側(筐体外)に配置してもよい。この場合、車両用灯具1aの各光源部10a等とDC-DCコンバータ13との間は電力供給配線で相互に接続され、フェールセーフ回路11と出力制御回路14との間は信号配線で相互に接続される。このような変形実施例の構成とした場合、車両前部の左右それぞれに設置される車両用灯具1aにおいて1つのDC-DCコンバータ13と1つの出力制御回路14を共有することで構成の簡素化を図ることができる。それにより、コスト減、軽量化、ワイヤーハーネスの削減を図ることができる。
【0038】
また、図5に示す変形実施例のように、上記実施形態の車両用灯具1と同様の構成を有する車両用灯具1c、1dをそれぞれフロント用ランプ、リア用ランプとして用い、それら車両用灯具1c、1dを共通のコントローラ2によって制御してもよい。このような構成では、例えば車両用灯具1c又は1dの何れかにおいてターンランプに対応付けられた光源部10dに断線が生じたことが図示しない検出部によって検出された場合に、他のターンランプに対応付けられた光源部10dを速く点滅させる動作(いわゆるハイフラッシャー動作)を行わせることもできる。具体的には、スイッチ制御回路15により、断線の生じていない光源部10dに対応するスイッチ素子12dのオン状態/オフ状態を高速に切り替えることで当該動作を実現できる。
【0039】
また、上記した実施形態並びに各変形実施例において、ハイビーム用ランプとして用いられる光源部10aに複数の発光素子を設け、かつ各発光素子に対して複数のスイッチ素子をそれぞれ並列に接続し、各スイッチ素子をスイッチ制御回路15により個別に制御してもよい。それにより、前方車両の存在する位置に応じた範囲を減光し、それ以外の範囲には高輝度で光照射を行う制御(ADB制御:Adaptive Driving Beam)を実現できる。同様に、ターンランプとして用いられる光源部10dに複数の発光素子を設け、かつ各発光素子に対して複数のスイッチ素子をそれぞれ並列に接続し、各スイッチ素子をスイッチ制御回路15により個別に制御してもよい。それにより、ターンランプを流れるように連続的に点灯ないし消灯させる制御(シーケンシャル制御)などを実現できる。
【0040】
また、上記した実施形態等では車両の外部に設置される灯具を例示していたが、車室内に設置される灯具に対しても本開示の内容を適用することが可能である。
【0041】
また、上記した実施形態等における車両用灯具とコントローラの間の通信方式については特に限定がなく、例えばLIN(Local Interconnect Network)、CAN(Controller Area Network)、イーサネット、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)、Flexrayなど種々の通信方式を適用することができる。
【0042】
また、上記した実施形態等では四輪車両への適用例を示していたが、本開示の適用範囲はこれに限定されず、二輪車両、特殊車両など種々の車両に搭載される灯具に本開示の内容を適用することが可能である。
【0043】
また、本明細書において、光源部やスイッチ素子等の回路要素同士の「接続」とは、回路要素同士が直接的に接続される場合と、回路要素同士の間に他の回路要素が介在して間接的に接続される場合とを含む概念であるものとする。従って、上記した実施形態等における所期の動作が妨げられない限りにおいて、上記した実施形態等では明示されていない他の回路要素をさらに付け加えてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1:車両用灯具、2:コントローラ、10a、10b、10c、10d:光源部、11:フェールセーフ回路、12:スイッチ回路、12b、12c、12d、12e:スイッチ素子、13:DC-DCコンバータ、14:出力制御回路、15:スイッチ制御回路、16:通信回路、20:制御プログラム
図1
図2
図3
図4
図5