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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190367
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A47J27/00 103A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098654
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】町井 健太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 善行
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA02
4B055BA57
4B055CB01
4B055CB06
4B055CB30
(57)【要約】
【課題】調理時の本体内部の温度上昇を抑制するとともに、意匠性を改善した炊飯器を得る。
【解決手段】調理容器である内釜と、内釜を収容する本体の底面側に設けられ、吸気口および排気口が形成された底板と、内釜と底板との間に設けられ、内釜を加熱する加熱コイルと、底板の吸気口に設けられた冷却ファンと、本体の背面側に設けられ、加熱コイルおよび冷却ファンに電力を供給する電源基板と、内釜と電源基板との間に配置され、冷却ファンによって吸気口から本体に取り込まれる冷却風を電源基板と加熱コイルとに分流する分流壁と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理容器である内釜と、
前記内釜を収容する本体の底面側に設けられ、吸気口および排気口が形成された底板と、
前記内釜と前記底板との間に設けられ、前記内釜を加熱する加熱コイルと、
前記底板の前記吸気口に設けられた冷却ファンと、
前記本体の背面側に設けられ、前記加熱コイルおよび前記冷却ファンに電力を供給する電源基板と、
前記内釜と前記電源基板との間に配置され、前記冷却ファンによって前記吸気口から前記本体に取り込まれる冷却風を前記電源基板と前記加熱コイルとに分流する分流壁と、
を有する炊飯器。
【請求項2】
前記排気口は、前記内釜の中心よりも前記本体の正面側に配置されている、
請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記排気口は、複数のスリット排気口を有し、
前記複数のスリット排気口のそれぞれは、前記内釜の中心から外側に向けて放射状に延びるように前記底板に形成されている、
請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記排気口は、複数の排気ブロックを有し、
前記複数の排気ブロックは、前記底板の外周に沿って設けられている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記電源基板は、
前記電源基板に搭載された素子と、
前記素子を冷却する冷却フィンと、
前記素子および前記冷却フィンを覆うカバーと、を有し、
前記カバーは、前記冷却ファンから前記冷却風が取り込まれる第1の開口と、前記第1の開口から取り込まれた前記冷却風が前記冷却フィンを冷却した後に排出される第2の開口と、を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記冷却ファンは、前記冷却風の吹き出し方向が前記底板の面に対して垂直方向よりも前記本体の正面側に傾くように、前記底板に取り付けられている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却ファンを備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器として、本体の背面側の底部に吸気口が設けられ、本体の正面側に排気口が設けられた炊飯器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された炊飯器において、冷却ファンによって吸気口から本体に取り込まれた冷却風は、電源基板側と調理容器を加熱する加熱コイル側とに分流する。加熱コイル側に分流した冷却風は、加熱コイルを冷却した後、本体の正面側に設けられた排気口から外に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-75510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された炊飯器の本体の正面側に排気口が設けられているため、ユーザが炊飯器を使用する度に排気口がユーザの視野に入る。そのため、特許文献1に開示された炊飯器は意匠性が損なわれるという課題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、調理時の本体内部の温度上昇を抑制するとともに、意匠性を改善した炊飯器を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る炊飯器は、調理容器である内釜と、前記内釜を収容する本体の底面側に設けられ、吸気口および排気口が形成された底板と、前記内釜と前記底板との間に設けられ、前記内釜を加熱する加熱コイルと、前記底板の前記吸気口に設けられた冷却ファンと、前記本体の背面側に設けられ、前記加熱コイルおよび前記冷却ファンに電力を供給する電源基板と、前記内釜と前記電源基板との間に配置され、前記冷却ファンによって前記吸気口から前記本体に取り込まれる冷却風を前記電源基板と前記加熱コイルとに分流する分流壁と、を有するものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、冷却ファンによって取り込まれた冷却風が分流壁によって電源基板側と加熱コイル側とに分流され、これらの冷却対象が効率的に冷却され、本体内部の温度上昇を抑制できる。加熱コイル側に分流した冷却風が加熱コイルを冷却した後に本体から排出される排気口が、本体下部の底板に形成されているので、ユーザの視野に排気口が入らず、意匠性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る炊飯器の一構成例を示す側面透視図である。
図2図1に示す炊飯器を底面側から見たときの底面図である。
図3図2に示した底板を上から見たときの平面図である。
図4図3に示した底板を下から見たときの平面図である。
図5図1に示した電源基板に搭載される回路の一構成例を示すブロック図である。
図6図1に示した電源基板の一構成例を示す外観斜視図である。
図7図6に示した冷却フィンにカバーが取り付けられた状態を示す外観図である。
図8図1に示した炊飯器の調理動作中において、炊飯器内の冷却風の流れを示す模式図である。
図9図7に示した電源基板に対する冷却風の流れを示す模式図である。
図10図8に示した分流壁および冷却ファンを拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態の炊飯器について、図面を参照して説明する。説明の便宜上、図面の一部に、方向を定義する3つの軸(X軸、Y軸およびZ軸)を表示している。3つの軸が表示された図面において、Z軸矢印方向を上方向とし、Z軸矢印の反対方向(重力方向)を下方向とする。
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態1の炊飯器の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係る炊飯器の一構成例を示す側面透視図である。図1において、一部の構成の断面をハッチングで示している。図2は、図1に示す炊飯器を底面側から見たときの底面図である。
【0011】
炊飯器1は、調理容器である内釜2と、内釜2を収容する本体3と、本体3の底面側に取り付けられた底板4と、内釜2と底板4との間に設けられ、内釜2を加熱する加熱コイル6と、冷却ファン5と、電源基板20とを有する。図1に示す炊飯器1において、Y軸矢印方向を本体3の背面側とし、Y軸矢印の反対方向を本体3の正面側とする。炊飯器1は内釜2の開口を覆う上蓋を備えた蓋体を有しているが、本実施の形態1においては蓋体の構成は限定されず、蓋体を図1に示すことを省略している。図1では、ユーザが調理の内容を入力するための操作部40が設けられた蓋体10の外形を破線で示している。
【0012】
本実施の形態1においては、加熱コイル6は、電磁誘導の原理で内釜2を加熱する加熱手段である。加熱コイル6は、加熱効率をよくするために内釜2の底面全体に設けられている。冷却ファン5は、例えば、軸流ファンである。電源基板20は、本体3において内釜2よりも背面側の位置に、基板面がXZ面に平行になるように設けられている。電源基板20は、加熱コイル6および冷却ファン5に電力を供給するとともに、加熱コイル6の動作および冷却ファン5の回転を制御する電気回路を有する。電源基板20に搭載された電気回路の構成は後で説明する。
【0013】
図2に示すように、底板4には吸気口11および排気口12が設けられている。排気口12は、本体3の背面側近くの底板4に形成されている。冷却ファン5は、底板4の吸気口11に取り付けられている。図1に示すように、内釜2と電源基板20との間に分流壁7が設けられている。分流壁7は、冷却ファン5によって底板4側から本体3に取り込まれる冷却風を電源基板20側と加熱コイル6側とに分流する役目を果たす。電源基板20は分流壁7に固定されている。
【0014】
図2に示すように、排気口12は、第1排気ブロック12aと、第2排気ブロック12bと、第3排気ブロック12cとを有する。第1排気ブロック12a、第2排気ブロック12bおよび第3排気ブロック12cの各排気ブロックは、複数のスリット排気口13を有する。スリット排気口13は、矩形をベース形状として、4つの頂点が婉曲した形状である。
【0015】
図3は、図2に示した底板を上から見たときの平面図である。図3に示すように、底板4の中央付近には、電源コード9を収納するコードリール8が設けられている。第1排気ブロック12a、第2排気ブロック12bおよび第3排気ブロック12cは、コードリール8の外側であって、底板4の外周に沿って設けられている。
【0016】
図4は、図3に示した底板を下から見たときの平面図である。図4においては、図3に示した電源コード9を示すことを省略している。図4に示す底板4において、炊飯器1の重心位置COGは、図1に示した内釜2を上から見たときの内釜2の中心位置と同等である。
【0017】
また、図4に示すように、底板4には、ユーザが炊飯器1を保持する際に手を置く第1保持部14および第2保持部15が設けられている。図4において、太い線と第1保持部14および第2保持部15とで囲まれる面を、本体支持基底面Fsbと称する。本体支持基底面Fsbは平行四辺形に近似した形状であり、平行四辺形の重心と本体3の重心位置COGとが一致している。底板4において、本体支持基底面FsbのY軸に平行な2辺のうち、一方の辺に第1保持部14が配置され、他方の辺に第2保持部15が配置されている。このような構成にすることで、ユーザが一方の手を第1保持部14の下におき、他方の手を第2保持部15の下において両手で本体3を保持することで、炊飯器1を安定した状態で持ち運びできる。
【0018】
図4に示すように、第1排気ブロック12aは、重心位置COGの位置に相当する内釜2の中心よりも本体3の正面側に配置されている。図4に示すように、各排気ブロックの複数のスリット排気口13が、重心位置COGの位置に相当する内釜2の中心から外側に向けて放射状に延びるように底板4に形成されている。
【0019】
次に、電源基板20に搭載された電気回路を説明する。図5は、図1に示した電源基板に搭載される回路の一構成例を示すブロック図である。図5には、電源基板20と接続される操作部40の構成例も示す。電源基板20には、整流回路21と、平滑回路を構成するチョークコイル22および平滑コンデンサ23と、共振コンデンサ24と、加熱コイル6を動作させる素子25と、電源回路26と、加熱コイル動作回路27と、冷却ファン駆動回路28とが搭載されている。
【0020】
整流回路21は、外部から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。整流回路21は、例えば、ダイオードブリッジ回路である。共振コンデンサ24は、加熱コイル6に並列に接続されている。電源回路26は、交流電圧を制御用電圧に変換して操作部40に供給する。加熱コイル動作回路27は、素子25をオン動作およびオフ動作させる回路である。冷却ファン駆動回路28は冷却ファン5を駆動する回路である。
【0021】
素子25は、スイッチング素子25aと、スイッチング素子25aに並列に接続された還流ダイオード25bとを有する。スイッチング素子25aは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体スイッチング素子である。
【0022】
操作部40は、ユーザが指示を入力するための入力部42と、調理に関する情報をユーザに通知する表示部43と、表示部43、加熱コイル動作回路27および冷却ファン駆動回路28を制御する制御部41とを有する。制御部41は、プログラムを記憶するメモリ(図示せず)と、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ(図示せず)とを有する。
【0023】
図6は、図1に示した電源基板の一構成例を示す外観斜視図である。図5を参照して説明した素子25等の回路が電源基板20の表面側に搭載され、電源基板20の裏面側に分流壁7が設けられている。図6は電源基板20の表面側を示している。図6は、図5に示した素子25に冷却フィン19が取り付けられた状態を示す。冷却フィン19は、素子25が動作によって熱が発生すると、素子25から放熱して素子25を冷却する役目を果たす。冷却フィン19は、複数の放熱板で構成される。各放熱板は、放熱板の面がYZ面と平行になるように配置されている。
【0024】
分流壁7は、電源基板20を保持するホルダーの役目を果たす。図6に示すように、分流壁7には、電源基板20の3方を囲むように3つの側壁17a~17cが設けられている。側壁17bおよび17cは、冷却フィン19の複数の放熱板と同様に、YZ面に平行に設けられている。側壁17aは、冷却フィン19の上方向に、XY平面に平行に設けられている。
【0025】
図7は、図6に示した冷却フィンにカバーが取り付けられた状態を示す外観図である。図5に示した素子25および図6に示した冷却フィン19は、図7に示すように、カバー18で覆われている。カバー18は、冷却ファン5から冷却風が取り込まれる第1の開口31と、第1の開口31から取り込まれた冷却風が冷却フィン19を冷却した後に排出される第2の開口32とを有する。分流壁7によって電源基板20側に分流される冷却風が第1の開口31からカバー18内を流通して第2の開口32から排出されるため、より気温の低い状態で冷却風を冷却フィン19の複数の放熱板の間に流通させることができる。
【0026】
次に、本実施の形態1の炊飯器1の調理動作中において、冷却ファン5によって発生する冷却風の炊飯器1内の流れを説明する。図8は、図1に示した炊飯器の調理動作中において、炊飯器内の冷却風の流れを示す模式図である。図8においては、図1に示した蓋体10を示すことを省略している。ここでは、空気の流れを見やすくするために、図8では、冷却ファン5および分流壁7の外形を太い線で示し、これらの構成を簡略化している。また、図8において、空気の流れを矢印で示している。
【0027】
図5に示した制御部41がユーザによって設定された調理の内容に対応して制御信号を加熱コイル動作回路27および冷却ファン駆動回路28に送信する。冷却ファン駆動回路28は制御部41から制御信号を受信すると、冷却ファン5を回転させる。加熱コイル動作回路27は、制御部41から制御信号を受信すると、素子25に対してオン動作およびオフ動作を一定の周期で切り替える制御を行う。素子25がオン動作およびオフ動作を交互に繰り返すことで、加熱コイル6に電力が供給され、加熱コイル6が内釜2を加熱する。
【0028】
冷却ファン5が回転を開始することで、図8に示すように、冷却風が吸気口11から本体3の内部に取り込まれる。本体3に取り込まれた冷却風は、分流壁7によって、加熱コイル6側と電源基板20側とに分流する。冷却ファン5の吹き出し口に冷却風を分流させる分流壁7が設けられているので、電源基板20側と加熱コイル6側とに冷却風を分流し、本体3の内部全体を効率よく冷却することができる。
【0029】
図8に示すように、加熱コイル6側に分流した冷却風は、内釜2と底板4との間の風路を流通して、第1排気ブロック12aの方向に流通する。これにより、内釜2と底板4との間を流通する冷却風によって、加熱コイル6が冷却される。
【0030】
図3を参照して説明したように、第1排気ブロック12a、第2排気ブロック12bおよび第3排気ブロック12cの複数の排気ブロックが底板4の外周に沿って設けられているので、本体3から排出される空気が本体3から拡散しやすくなる。そのため、排気の圧力損失を低減することができる。
【0031】
また、図4を参照して説明したように、第1排気ブロック12aが内釜2の中心よりも本体3の正面側に配置されているので、背面側の吸気口11から吸気された冷却風が本体3の正面方向に流れる。そのため、加熱コイル6の放熱効率を高めることができる。
【0032】
また、図4を参照して説明したように、第1排気ブロック12a、第2排気ブロック12bおよび第3排気ブロック12cの各排気ブロックの複数のスリット排気口13が内釜2の中心から外側に向けて放射状に延びるように底板4に形成されている。そのため、スリット排気口13の長手方向が吸気口11から第1排気ブロック12a~第3排気ブロック12cのそれぞれの排気ブロックに形成される風路の流通方向と平行になり、風路の圧力損失を抑制できる。
【0033】
一方、図8において、電源基板20側に分流した冷却風は、電源基板20に設けられたカバー18の中を流通する。図8では、カバー18内の空気の流れを破線矢印で示している。図9は、図7に示した電源基板に対する冷却風の流れを示す模式図である。図9は、図8に示すカバー18内を流通する冷却風をわかりやすく説明するために、カバー18を図に示すことを省略している。図9において、空気の流れを矢印で示している。
【0034】
図9に示すように、冷却風は冷却フィン19の複数の放熱板の間を流通した後、側壁17aに到達すると、側壁17aを正面にして左側と右側とに分流する。左側に分流した冷却風は側壁17bに沿って下方向に流れる。右側に分流した冷却風は側壁17cに沿って下方向に流れる。このようにして、本体3の背面側に配置された電源基板20の下部に配置された冷却ファン5によって吸気口11から取り込まれた冷却風を電源基板20に流入させることができる。そのため、電源基板20に搭載される電気回路の動作によって発熱する電源基板20を冷却できる。
【0035】
また、電源基板20側を流れる冷却風が、吸気口11から取り込まれたばかりの気温の低い状態で、電源基板20に搭載される回路のうち、最も発熱量の多い素子25を冷却するため、電源基板20を効率よく冷却できる。
【0036】
次に、図8に示した炊飯器1において、冷却ファン5の設置の仕方について説明する。図10は、図8に示した分流壁および冷却ファンを拡大した模式図である。図10においては、冷却ファンの設置の仕方に関連する主要な構成を示し、その他の構成を図に示すことを省略している。図10において、空気の流れを矢印で示している。
【0037】
本実施の形態1の炊飯器1は、図10に示すように、分流壁7は、冷却ファン5の中心から底板4に対して垂直方向に延びている。冷却ファン5は、冷却風の吹き出し方向が底板4の面に対して垂直方向よりも本体の正面側に傾くように、底板4に取り付けられている。冷却ファン5の傾き角度θは、例えば、0°<θ<10°である。図10では、角度θを見やすくするために、角度θを10°より大きい角度にしている。
【0038】
図10に示すように、冷却ファン5を本体の正面側に傾けることで、分流壁7によって加熱コイル6側に分流する冷却風が内釜2の底面と底板4との間の風路により入りやすくなる。そのため、冷却風がより正面側の図8に示した第1排気ブロック12aまで到達しやすくなり、内釜2の底面全体に設けられた加熱コイル6をより冷却しやすくなる。
【0039】
また、電源基板20は、内釜2とは逆側にあたる分流壁7に設けられている。よって、図10に示すように冷却ファン5を本体の正面側に傾けると、電源基板20側に分流された冷却風は、電源基板20に押し付けられるように電源基板20に沿って流れる。つまり、電源基板20を内釜2とは逆側にあたる分流壁7に設け、且つ冷却ファン5を本体の正面側に傾けることで、電源基板20の冷却効果を高めることが出来る。
【0040】
なお、本実施の形態1では、排気口12が第1排気ブロック12a~第3排気ブロック12cを有する場合で説明したが、排気ブロックの数は3つに限らない。排気口12として、少なくとも第1排気ブロック12aを有していればよい。また、本実施の形態1では、図10を参照して冷却ファン5が本体の正面側に角度θ(例えば、0°<θ<10°)だけ傾いている場合を説明したが、角度θが0°であってもよい。
【0041】
本実施の形態1の炊飯器1は、調理容器である内釜2と、本体3の底面側に設けられた底板4と、内釜2と底板4との間に設けられた加熱コイル6と、底板4に設けられた冷却ファン5と、本体3の背面側に設けられた電源基板20と、内釜2と電源基板20との間に配置された分流壁7とを有する。底板4に吸気口11および排気口12が形成され、吸気口11に冷却ファン5が設けられている。電源基板20は、加熱コイル6および冷却ファン5に電力を供給する。分流壁7は、冷却ファン5によって吸気口11から本体3に取り込まれる冷却風を電源基板20と加熱コイル6とに分流する。
【0042】
本実施の形態1によれば、冷却ファン5によって取り込まれた冷却風が分流壁7によって電源基板20側と加熱コイル6側とに分流される。加熱コイル6側に分流した冷却風が加熱コイル6を冷却した後に本体3から排出される排気口12が、本体下部の底板4に形成されているので、ユーザの視野に排気口12が入らず、意匠性が改善される。また、電源基板20も分流壁7によって分流された冷却風によって冷却される。そのため、排気口12が本体3の底面に配置されていても、冷却対象の電源基板20と加熱コイル6とに対して冷却風の温度差を大きくとることができ、これらの冷却対象を効率的に冷却できる。その結果、本体内部の温度上昇を抑制できる。
【符号の説明】
【0043】
1 炊飯器、2 内釜、3 本体、4 底板、5 冷却ファン、6 加熱コイル、7 分流壁、8 コードリール、9 電源コード、10 蓋体、11 吸気口、12 排気口、12a 第1排気ブロック、12b 第2排気ブロック、12c 第3排気ブロック、13 スリット排気口、14 第1保持部、15 第2保持部、17a~17c 側壁、18 カバー、19 冷却フィン、20 電源基板、21 整流回路、22 チョークコイル、23 平滑コンデンサ、24 共振コンデンサ、25 素子、25a スイッチング素子、25b 還流ダイオード、26 電源回路、27 加熱コイル動作回路、28 冷却ファン駆動回路、31 第1の開口、32 第2の開口、40 操作部、41 制御部、42 入力部、43 表示部、COG 重心位置、Fsb 本体支持基底面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10