(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190373
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G03G21/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098662
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】清水 保
(72)【発明者】
【氏名】山岸 義弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 一徳
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA05
2H270KA09
2H270KA19
2H270KA22
2H270KA23
2H270KA28
2H270KA32
2H270KA47
2H270KA51
2H270KA55
2H270KA72
2H270LA02
2H270LA03
2H270LA05
2H270LA10
2H270LA24
2H270LA28
2H270LA29
2H270LA79
2H270LD06
2H270LD14
2H270MA02
2H270MA14
2H270MA28
2H270MB27
2H270MF01
2H270MF08
2H270MH01
2H270NC01
2H270PA83
2H270RA11
2H270SA11
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】ドラムリフレッシュモードの時間短縮及びトナー消費削減を可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部8は、ドラムリフレッシュモードとして、現像部50が感光体ドラム21にトナーを供給しクリーニング部60が感光体ドラム21のトナーを回収する一次リフレッシュモードを実行し、一次リフレッシュモード後に、一次リフレッシュモードで供給された感光体ドラム21のトナーをクリーニング部60が回収する二次リフレッシュモードを実行する。制御部8は、電流検出部13が現像電流を検出して算出部9が感光体ドラム21の表面電位Viを算出する表面電位測定モードを、二次リフレッシュモードと並行して実行する。制御部8は、感光体ドラム21の表面電位Viが予め定められた終了条件を満たす場合にドラムリフレッシュモードを終了する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体にトナーを供給し、前記像担持体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部と、
前記像担持体に付着した前記トナーを回収するクリーニング部と、
前記現像部に所定の現像電圧を印加する現像電源と、
前記現像部を流れる現像電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が検出する前記現像電流に基づいて、前記像担持体の表面電位を算出する算出部と、
前記現像部が前記像担持体にトナーを供給し前記クリーニング部が前記トナーを回収する一次リフレッシュモードと、前記一次リフレッシュモード後に実行する、前記一次リフレッシュモードで供給された前記像担持体の前記トナーを前記クリーニング部が回収する二次リフレッシュモードとを含むドラムリフレッシュモードを制御すると共に、前記電流検出部が前記現像電流を検出して前記算出部が前記像担持体の表面電位を算出する表面電位測定モードを前記二次リフレッシュモードと並行して実行し、前記像担持体の表面電位が予め定められた終了条件を満たす場合に前記ドラムリフレッシュモードを終了する制御部と
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、環境条件が予め定められた開始条件を満たした場合、前記一次リフレッシュモード及び前記二次リフレッシュモードを順番に開始すると共に、前記二次リフレッシュモードと並行して前記表面電位測定モードを実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記像担持体の使用履歴条件が予め定められた開始条件を満たした場合、前記一次リフレッシュモード及び前記二次リフレッシュモードを順番に開始すると共に、前記二次リフレッシュモードと並行して前記表面電位測定モードを実行する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記算出部に前記像担持体の表面電位を算出させ、算出させた前記像担持体の表面電位が予め定められた開始条件を満たした場合、前記一次リフレッシュモード及び前記二次リフレッシュモードを順番に開始すると共に、前記二次リフレッシュモードと並行して前記表面電位測定モードを実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、トナーの色ごとに前記現像部を備える構成であって、
前記制御部は、トナーの色ごとに前記表面電位測定モードを実行するタイミングをずらし、1つの色の前記二次リフレッシュモード及び前記表面電位測定モードを実行中に、他の色の前記一次リフレッシュモードを実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、任意数の色の前記表面電位測定モードにおいて前記算出部が算出した前記像担持体の表面電位が前記予め定められた終了条件を満たす場合、すべての色の前記ドラムリフレッシュモードを終了する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記表面電位測定モードにおいて、前記現像電源が前記現像部に複数の前記現像電圧を印加したときに前記電流検出部が検出したそれぞれの前記現像電流に基づいて前記像担持体の表面電位を算出する、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置において、高湿環境下等で感光体ドラム(像担持体)に水分の吸着が起こっている状態、即ち感光体ドラムに微小結露又は結露が起こっている状態では、感光体ドラムに形成された静電潜像が維持できず、静電潜像及び現像バイアス電圧に従ったトナー像が形成されない場合がある。これを「画像流れ」といい、画像流れが起こっている状態では所望の画像を得ることができない。
【0003】
特許文献1には、画像流れを解消する画像形成装置が開示されている。特許文献1に記載された画像形成装置は、通常の印字動作モードとは別に、感光体ドラムに研磨粒子を含むトナーを付着させ、転写後の感光体ドラムを回転させながら研磨ローラーでクリーニングするドラムリフレッシュモードを行う。これにより、感光体ドラムの表面が研磨され、吸着したイオン生成物、水分、又は紙粉等が、表面の酸化膜ごと除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたドラムリフレッシュモードは、装置内外の温度及び湿度等の環境条件に従って、予め設定された時間感光体ドラムを回転させるといった予測制御である。しかしながら、感光体ドラムの表面に形成される酸化膜の厚み、酸化膜に吸着されるイオン生成物の量、及び吸湿の程度等は、画像形成装置が使用される環境条件(特に湿度)、及び使用する紙の材質等によって大きく変化する。このため、特許文献1に記載された方法では、どのような使用条件下においても画像流れを解消するために、感光体ドラムの表面を過剰に研磨するように、感光体ドラムの回転時間及び研磨ローラーの感光体に対する荷重等が設定される。
【0006】
従来、夏季又は雨天等、高湿度状態が続いて吸湿の程度が極めて高い場合を基準として感光体の回転時間等が設定される。そのため、それ以外の吸湿の程度があまり高くない平常状態において、感光体ドラムの表面が過剰に研磨される。感光体は、吸湿の程度が極めて高い状態より、むしろ平常状態であることの方が多い。そのため、上記設定は、感光体ドラムの寿命を必要以上に縮める原因、及び消費電力の無駄になる。
【0007】
また、ドラムリフレッシュモードにおいて多くのトナーを連続で消費し続けると、感光体ドラムからトナーを除去するクリーニング部において不具合が発生する場合がある。クリーニング部は、感光体ドラムに転写残として残ったトナーを除去するように設計されており、転写残トナーを超える量のトナーが連続的に供給されることを想定して設計されていない。そのため、ドラムリフレッシュモードにおいて想定以上の大量のトナーがクリーニング部に供給されると、クリーニング不良が発生しやすい。
【0008】
本発明は、ドラムリフレッシュモードの時間短縮及びトナー消費削減を可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、現像部と、クリーニング部と、現像電源と、電流検出部と、算出部と、制御部とを備える。前記像担持体は、表面に静電潜像が形成される。前記帯電部は、前記像担持体を帯電させる。前記現像部は、前記像担持体にトナーを供給し、前記像担持体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する。前記クリーニング部は、前記像担持体に付着した前記トナーを回収する。前記現像電源は、前記現像部に所定の現像電圧を印加する。前記電流検出部は、前記現像部を流れる現像電流を検出する。前記算出部は、前記電流検出部が検出する前記現像電流に基づいて、前記像担持体の表面電位を算出する。前記制御部は、前記現像部が前記像担持体にトナーを供給し前記クリーニング部が前記トナーを回収する一次リフレッシュモードと、前記一次リフレッシュモード後に実行する、前記一次リフレッシュモードで供給された前記像担持体の前記トナーを前記クリーニング部が回収する二次リフレッシュモードとを含むドラムリフレッシュモードを制御すると共に、前記電流検出部が前記現像電流を検出して前記算出部が前記像担持体の表面電位を算出する表面電位測定モードを前記二次リフレッシュモードと並行して実行し、前記像担持体の表面電位が予め定められた終了条件を満たす場合に前記ドラムリフレッシュモードを終了する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドラムリフレッシュモードの時間短縮及びトナー消費削減を可能とする画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【
図2】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る画像形成装置の画像形成部周辺を示す断面図である。
【
図4】実施形態1における現像電圧と現像電流との関係を示すデータの表である。
【
図5】実施形態1における現像電圧と現像電流との関係を示すグラフである。
【
図6】実施形態1に係る画像形成装置のドラムリフレッシュモードの動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態1における開始条件を示すグラフである。
【
図8】実施形態1に係る画像形成装置の表面電位測定モードの動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態2に係る画像形成装置のドラムリフレッシュモードの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0013】
<実施形態1>
図1~
図8を参照して、実施形態1に係る画像形成装置1について説明する。
図1は、実施形態1に係る画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。
図2は、実施形態1に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図3は、実施形態1に係る画像形成装置1の画像形成部20周辺を示す断面図である。実施形態1の画像形成装置1は、画像形成部20による画像形成機能に加え、画像読取機能、ファクシミリ機能、及び電子メール機能等を備えた複合機であってもよい。
【0014】
画像形成装置1は、
図1に示されるように、本体2に設けられた給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、及び用紙排出部7を含む。また、画像形成装置1は、
図2に示されるように、制御部8、算出部9、記憶部10、帯電電源11、現像電源12、及び電流検出部13を含む。
【0015】
給紙部3は、複数枚の用紙Pを収容する。給紙部3は、画像形成部20による画像形成時に、収容されている用紙Pを1枚ずつ送り出す。
【0016】
用紙搬送部4は、給紙部3から送り出された用紙Pを二次転写部33及び定着部6へと搬送し、さらに定着後の用紙Pを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。なお、用紙Pの両面に画像形成が行われる場合、用紙搬送部4は、片面定着後の用紙Pを分岐部4bによって反転搬送部4cに振り分け、用紙Pを再度、二次転写部33及び定着部6へと搬送する。
【0017】
露光部5は、画像データに基づいて制御されたレーザー光を、画像形成部20に向けて照射する。
図1及び
図3において、レーザー光は一点鎖線で示される。
【0018】
図1に示されるように、画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Y、シアン用の画像形成部20C、マゼンタ用の画像形成部20M、及びブラック用の画像形成部20Bを含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の符号は省略することがある。
【0019】
図3に示されるように、画像形成部20は、感光体ドラム21、帯電部40、現像部50、及びクリーニング部60を備える。なお、各色の画像形成部20は基本的な構造が同じであるので、
図2及び
図3において、各色を表す符号を省略する。
【0020】
感光体ドラム21は、回転可能に支持され、不図示の駆動部によって所定の方向に回転される。
図1及び
図3において、感光体ドラム21の回転方向は、破線で示されるように時計回りである。感光体ドラム21は、例えば、アルミニウム等の金属製のドラム素管の表面に、アモルファスシリコン(a-Si)等の無機感光体で構成される感光層を有する。感光体ドラム21の表面には、露光部5からのレーザー光照射により、静電潜像が形成される。感光体ドラム21は、像担持体ともいう。
【0021】
画像形成部20は、感光体ドラム21の周囲に、回転方向に沿って、帯電部40、現像部50、及びクリーニング部60を備える。現像部50とクリーニング部60との間に一次転写部32が配置される。
【0022】
帯電部40は、帯電ローラー41及び帯電クリーニングローラー42を有する。
【0023】
帯電ローラー41には、帯電電源11が生成した帯電電圧が印加される。帯電ローラー41は、回転可能に支持され、感光体ドラム21の表面に接触した状態で感光体ドラム21の回転に従って回転することで、感光体ドラム21の表面を所定電位(例えば、後述する基準表面電位)に帯電させる。
【0024】
帯電クリーニングローラー42は、帯電ローラー41の表面に接触し、帯電ローラー41の表面をクリーニングする。
【0025】
帯電電源11は、不図示の交流定電圧電源及び直流定電圧電源を有する。交流定電圧電源は、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電源から発生させた正弦波の交流電圧を出力する。直流定電圧電源は、上記正弦波の交流電圧を整流した直流電圧を出力する。帯電電源11は、交流電圧(交流成分)及び直流電圧(直流成分)を含む帯電電圧を生成し、生成した帯電電圧を帯電ローラー41に印加する。
【0026】
現像部50は、現像容器51、第1攪拌搬送部材52、第2攪拌搬送部材53、及び現像ローラー54を有する。
【0027】
現像容器51は、現像部50から感光体ドラム21の表面に供給する現像剤として、例えばトナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する。
【0028】
第1攪拌搬送部材52及び第2攪拌搬送部材53は、現像容器51内で回転することで、現像剤を攪拌しながら搬送する。トナーは、現像容器51の内部で攪拌及び循環されて帯電され、現像ローラー54の表面に担持される。現像ローラー54の表面では、トナー及び磁性キャリアで構成される磁気ブラシが形成される。
【0029】
現像ローラー54には、現像電源12が生成した現像電圧(いわゆる現像バイアス電圧)が印加される。現像ローラー54に現像電圧が印加されると、感光体ドラム21の表面電位との間の電位差により、現像ローラー54の表面に担持されたトナーが感光体ドラム21の表面に飛翔する。これにより、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像にトナーが付着し、トナー像が現像される。画像形成部20Yの現像部50は、イエローのトナー像を形成する。画像形成部20Cの現像部50は、シアンのトナー像を形成する。画像形成部20Mの現像部50は、マゼンタのトナー像を形成する。画像形成部20Bの現像部50は、ブラックのトナー像を形成する。
【0030】
現像ローラー54の表面には、例えば、ローレット加工が施されている。なお、現像ローラー54の表面処理は、ローレット加工に限定されず、ブラスト加工又はディンプル加工が施されていてもよく、あるいはローレット加工、ブラスト加工、及びディンプル加工が任意に組み合わされていてもよい。
【0031】
現像電源12の構成及び動作は、帯電電源11の構成及び動作と同様である。現像電源12は、交流定電圧電源から出力された交流電圧(交流成分)及び直流定電圧電源から出力された直流電圧(直流成分)を含む現像電圧を生成し、生成した現像電圧を現像ローラー54に印加する。
【0032】
クリーニング部60は、クリーニングローラー61、クリーニングブレード62、及び回収スパイラル63を有する。
【0033】
クリーニングローラー61は、感光体ドラム21の表面に所定の圧力で接触した状態で、感光体ドラム21との接触領域が感光体ドラム21と同方向に移動する向きに回転する。クリーニングブレード62は、感光体ドラム21の表面に所定の圧力で接触する。クリーニングローラー61及びクリーニングブレード62は、一次転写後にクリーニングローラー61の表面に残留するトナー等を除去して、感光体ドラム21をクリーニングする。
【0034】
回収スパイラル63は、感光体ドラム21の表面から除去されたトナー等を、クリーニング部60の外部に設けられた廃トナー回収容器(不図示)へ搬送する。
【0035】
図1に示されるように、転写部30は、中間転写ベルト31、一次転写部32Y、32C、32M、32B、二次転写部33、及びベルトクリーニング部34を有する。中間転写ベルト31は、所定の方向に回転可能に支持される。
図1において、中間転写ベルト31の回転方向は、破線で示されるように反時計回りである。中間転写ベルト31には、4つの画像形成部20それぞれで形成されたトナー像が順次重ねられる。
【0036】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上方に転写される。二次転写部33は、用紙搬送部4の、定着部6よりも用紙搬送方向上流側であって、転写部30の、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向下流側に配置される。ベルトクリーニング部34は、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向上流側に配置される。
【0037】
トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bによって中間転写ベルト31に一次転写される。中間転写ベルト31の回転と共に所定のタイミングで各色の画像形成部20のトナー像が連続して中間転写ベルト31に転写されることにより、中間転写ベルト31の外周面には、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4色のトナー像が重ねあわされたカラートナー像が形成される。
【0038】
二次転写部33は、中間転写ベルト31に形成されたカラートナー像を、用紙搬送部4により搬送されてきた用紙Pに転写する。ベルトクリーニング部34は、二次転写後に中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。
【0039】
定着部6は、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧して、トナー像を用紙Pに定着させる。
【0040】
制御部8及び算出部9は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを有する。記憶部10は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のようなメモリーを有する。プロセッサーは、メモリーに予め記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、制御部8及び算出部9の機能を実現する。
【0041】
制御部8は、画像形成装置1に設けられた各部の動作を制御する。給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、帯電電源11、及び現像電源12のそれぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Pへの画像形成を行う。
【0042】
また、制御部8は、表面電位測定モードと、ドラムリフレッシュモードとを制御する。ドラムリフレッシュモードは、一次リフレッシュモードと、二次リフレッシュモードとを含む。各モードの詳細は後述する。
【0043】
算出部9は、表面電位測定モードにおいて、後述する電流検出部13から出力値を得て、感光体ドラム21の表面電位を算出する。算出部9は、算出した表面電位を、制御部8へ出力する。
【0044】
電流検出部13は、現像電圧を現像ローラー54に印加したときに現像ローラー54に流れる電流を検出する。電流検出部13は、検出した電流を、現像ローラー54と感光体ドラム21との間で流れる現像電流として、算出部9へ出力する。
【0045】
ここで、現像電流について説明する。現像電源12によって現像ローラー54にトナーと同極性(例えば、プラス)の現像電圧が印加されることで、現像ローラー54と感光体ドラム21との間に電位差が発生する。帯電し、現像ローラー54に担持されたトナーは、現像領域D(
図3参照)において現像ローラー54と感光体ドラム21との間で移動し、感光体ドラム21の表面に付着する。その結果、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像がトナー像に現像される。そして、帯電したトナーが現像ローラー54と感光体ドラム21との間を移動することで、現像領域Dに電流(即ち、現像電流)が流れる。
【0046】
現像電流は、二成分現像剤において、トナー移動電流とキャリア電流とで構成される。トナー移動電流は、トナーが現像ローラー54と感光体ドラム21との間を移動することによって流れる電流である。一方、キャリア電流は、トナーによる現像がほとんど行われない状態でも流れることが見出された。なお、キャリアを含まない一成分現像剤において、現像電流は、現像領域Dを流れる電流とトナー移動電流とで構成される。二成分現像剤と同様に、現像領域Dを流れる電流は、トナーによる現像がほとんど行われない状態でも流れることが見出された。
【0047】
キャリア電流が流れる方向は、現像ローラー54の電位と感光体ドラム21の表面電位との電位差によって決定される。即ち、キャリア電流は、現像ローラー54の電位が感光体ドラム21の表面電位よりも高いと、現像ローラー54から感光体ドラム21に向かって流れる。反対に、現像ローラー54の電位が感光体ドラム21の表面電位よりも低いと、キャリア電流は、感光体ドラム21から現像ローラー54に向かって流れる。
【0048】
それゆえ、表面電位測定モードにおいて、電流検出部13は、感光体ドラム21の表面を帯電部40により帯電させた状態で、現像ローラー54の電位を段階的に変化させながら現像電流を検出する。算出部9は、現像ローラー54の電位と現像電流との関係を求める。感光体ドラム21の表面電位と現像電圧の直流成分とが同電位になった場合、現像電流の直流成分も0Aになる。そこで、算出部9は、現像電流の直流成分が0Aになるときの現像電圧の直流成分を推定し、推定した現像電圧の直流成分を、感光体ドラム21の表面電位Viとする。
【0049】
図4は、実施形態1における現像電圧と現像電流との関係を示すデータの表である。
図5は、実施形態1における現像電圧と現像電流との関係を示すグラフである。
図5のグラフは、
図4の表をもとに作成された。以下では、単に現像電圧及び現像電流と記載し、直流成分であることの記載を省略する。
【0050】
制御部8は、感光体ドラム21の表面が、静電潜像を形成するために設計上予め定められた基準表面電位(例えば、270V)となるように帯電電源11を制御する。帯電部40が感光体ドラム21の表面を一様に帯電させた状態で、制御部8は、現像電源12を制御することによって、4つの現像電圧を現像ローラー54に印加する。電流検出部13は、4つの現像電圧を現像ローラー54に印加したときそれぞれの現像電流を検出する。
【0051】
算出部9は、4つの現像電圧を現像ローラー54に印加したときの現像電流に基づき、実際の感光体ドラム21の表面電位Viを算出する。具体的には、算出部9は、4組のデータを直線近似し、現像電流が0Aとなる現像電圧を算出し、算出した現像電圧を感光体ドラム21の表面電位Viとする。これにより、算出部9は、基準表面電位に対し、高電圧側の2組のデータと、低電圧側の2組のデータとを用い、感光体ドラム21の表面電位Viを273Vとして得ることができる。
【0052】
なお、感光体ドラム21の表面電位の算出に用いる現像電圧は、4つに限定されるわけではなく、2つ以上であればよい。
【0053】
また、算出部9は、基準表面電位に対し、高電圧側又は低電圧側の少なくとも一方側の、複数の現像電圧を用いて、感光体ドラム21の表面電位を算出することもできる。すなわち、算出部9は、基準表面電位に対し、高電圧側又は低電圧側の少なくとも一方における複数の現像電圧を現像ローラー54に印加したときそれぞれの現像電流に基づき、現像電流が0Aとなる現像電圧を算出し、感光体ドラム21の表面電位Viとする。
【0054】
この構成によれば、現像電流が0Aになるとき、即ち、現像ローラー54側及び感光体ドラム21側のいずれの方向にも現像電流が流れない状態のときの現像電圧を、実際の感光体ドラム21の表面電位Viとすることができる。これにより、感光体ドラム21の表面電位Viを精度よく且つ容易に得ることが可能である。
【0055】
なお、現像ローラー54の電位が感光体ドラム21の表面電位よりも高い場合と、低い場合とで、現像電流の流れる方向が逆転する。そのため、
図4及び
図5の例では、基準表面電位に対し、高電圧側及び低電圧側の両方の現像電圧が、感光体ドラム21の表面電位の算出に用いられた。
【0056】
また、
図4及び
図5の例では、感光体ドラム21の表面電位の算出に用いられる現像電圧は、電位差100V以内の狭い範囲であったが、さらに狭い電位差(例えば50V)以内の範囲であってもよい。現像ローラー54の電位と感光体ドラム21の表面電位との差が大きい場合、現像電流にトナー移動電流の影響が出るため、表面電位Viの予測精度が下がる。電位差100V以内、又は50V以内にすることでトナー移動電流の影響を抑制できる。
【0057】
また、表面電位測定に用いる現像電圧は、矩形波よりも正弦波の方が望ましい。矩形波の場合、現像剤抵抗の変化及び現像ギャップの変化によって現像領域Dのインピーダンスが変化し、現像電圧波形に歪みが生じやすい。現像電圧波形の歪みは、現像電流の直流成分に影響を与える。一方、正弦波の場合、このような影響を受けにくいため、現像電流の直流成分を安定して検出可能である。なお、画像形成時に現像を行う場合の現像電圧は、正弦波よりも矩形波の方が望ましい。矩形波の方がトナー移動効率が高いためである。以上の観点から、現像電源12は、矩形波と正弦波を出力可能であることが望ましい。
【0058】
次に、
図6~
図8を参照して、画像形成装置1の動作について説明する。
図6は、実施形態1に係る画像形成装置1のドラムリフレッシュモードの動作を示すフローチャートである。以下に説明する一次リフレッシュモード及び二次リフレッシュモードを含むドラムリフレッシュモードでは、クリーニング部60が感光体ドラム21の表面に付着している水分等をトナーと共に除去することで、表面電位を正常値に戻す。制御部8は、例えば、画像形成装置1の電源投入時、又は休止モード若しくは節電モード等から通常動作モードへの復帰時、
図6のフローチャートに示される動作を行う。あるいは、制御部8は、予め定められた周期ごとに、
図6のフローチャートに示される動作を行ってもよい。
【0059】
ステップS11において、制御部8は、画像形成装置1が設置されている環境に関する条件(以下、「環境条件」と称する)が、予め定められた開始条件を満たすか否かを判定する。環境条件が開始条件を満たす場合(ステップS11;Yes)、制御部8の処理はステップS12へ進む。環境条件が開始条件を満たさない場合(ステップS11;No)、制御部8の処理は終了する。
【0060】
図7は、実施形態1における開始条件を示すグラフである。
図7の例において、環境条件は、湿度及び温度である。制御部8は、画像形成装置1周囲の湿度及び温度が、実線で示されるドラムリフレッシュ開始曲線上の湿度及び温度以上である場合、環境条件が開始条件を満たすと判定する。制御部8は、画像形成装置1周囲の湿度又は温度の少なくとも一方が、ドラムリフレッシュ開始曲線上の湿度又は温度の少なくとも一方より低い場合、環境条件が開始条件を満たさないと判定する。
【0061】
この構成により、制御部8は、感光体ドラム21の表面に結露等が生じて表面電位の保持が困難と予測される場合に、ドラムリフレッシュモードを開始して、表面の水分をトナーに吸収させることができる。
【0062】
なお、制御部8は、ドラムリフレッシュ開始曲線を、感光体ドラム21の使用履歴(例えば、使用年数)に応じて、実線から点線の方向へ移動させてもよい。この構成によれば、制御部8は、環境条件に加えて感光体ドラム21の使用履歴条件に基づいて、ドラムリフレッシュモードを開始するか否かを判定できる。なお、制御部8は、環境条件のみ、又は感光体ドラム21の使用履歴条件のみに基づいて、ドラムリフレッシュモードを開始するか否かを判定してもよい。
【0063】
上記例では、制御部8は、環境条件又は使用履歴条件を用いた感光体ドラム21の表面状態の予測に応じて、ドラムリフレッシュモードの開始有無を判定したが、この構成に限定されない。例えば、制御部8は、ステップS11において、最初に表面電位測定モードを実行してもよい。制御部8は、表面電位測定モードで算出された感光体ドラム21の表面電位Viが基準表面電位(例えば、270V)を含む所定範囲(例えば、270±5V)内である場合、開始条件を満たさないと判定する(ステップS11;No)。制御部8は、表面電位Viが所定範囲外である場合、開始条件を満たすと判定する(ステップS11;Yes)。ステップS11で行う表面電位測定モードは、ステップS14で行う表面電位測定モードと同じである。この構成によれば、感光体ドラム21の実際の表面状態に応じて、ドラムリフレッシュモードの開始有無を判定できる。
【0064】
図6のステップS12において、制御部8は、画像形成部20を制御することにより、予め定められた時間、一次リフレッシュモードを実行する。一次リフレッシュモードにおいて、帯電部40は、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる。露光部5は、感光体ドラム21の表面を一様に露光させて静電潜像を形成する。現像部50は、感光体ドラム21にトナーを供給し、感光体ドラム21の表面全体に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。クリーニング部60は、感光体ドラム21の表面全体に付着したトナーを除去して回収する。なお、一次リフレッシュモード及び二次リフレッシュモードにおいて、制御部8は、転写部30を動作させない。
【0065】
ステップS13において、制御部8は、画像形成部20を制御することにより、二次リフレッシュモードを開始する。二次リフレッシュモードでは帯電部40、露光部5、現像部50、及び転写部30は、動作しない。即ち、二次リフレッシュモードにおいては、感光体ドラム21に対してトナーが供給されない。ただし、二次リフレッシュモードと並行して実行される表面電位測定モードでは帯電部40及び現像部50は動作する。クリーニング部60は、一次リフレッシュモードにおいて感光体ドラム21の表面全体に付着したトナーを、除去して回収する。
【0066】
このように、二次リフレッシュモードではトナーを消費しないため、過剰なトナーがクリーニング部60に供給されることを防止でき、クリーニング部60の不良発生を防止できる。また、過剰なトナー消費を抑制できる。
【0067】
ステップS14において、制御部8は、二次リフレッシュモード実行中に表面電位測定モードを実行する。即ち、画像形成装置1は、二次リフレッシュモードと表面電位測定モードとを並行して行う。表面電位測定モードの詳細は、
図8にて説明する。算出部9は、表面電位測定モードにおいて算出した感光体ドラム21の表面電位Viを、制御部8へ出力する。
【0068】
ステップS15において、制御部8は、算出部9が算出した感光体ドラム21の表面電位Viが、予め定められた終了条件を満たすか否かを判定する。表面電位Viが終了条件を満たす場合(ステップS15;Yes)、制御部8はドラムリフレッシュモードを終了する。表面電位Viが終了条件を満たさない場合(ステップS15;No)、制御部8の処理はステップS12へ戻る。
【0069】
例えば、制御部8は、表面電位Viが基準表面電位(例えば、270V)を含む所定範囲(例えば、270±5V)内である場合、表面電位Viが正常になり終了条件を満たすと判定し、表面電位Viが所定範囲外である場合、終了条件を満たさないと判定する。なお、終了条件は、この例に限定されない。
【0070】
図8は、実施形態1に係る画像形成装置1の表面電位測定モードの動作を示すフローチャートである。制御部8は、
図6のフローチャートに示されるステップS14において、
図8に示される動作を行う。
【0071】
ステップS21において、制御部8は、感光体ドラム21の表面を帯電させる。このとき、制御部8は、感光体ドラム21の表面が基準表面電位(例えば、270V)となるように、帯電電源11及び帯電部40を制御し、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる。
【0072】
ステップS22において、制御部8は、現像電源12を制御することによって現像ローラー54に現像電圧を印加する。例えば、制御部8は、
図4及び
図5に示される現像電圧220Vを現像ローラー54に印加する。
【0073】
ステップS23において、制御部8は、電流検出部13に現像電流を検出させる。
【0074】
ステップS24において、制御部8は、複数の現像電圧に対する複数の現像電流をすべて検出し終えたか否かを判定する。例えば、
図4及び
図5に示される4組のデータすべてが揃った場合(ステップS24;Yes)、制御部8の処理はステップS25へ進み、4組のデータすべてが揃っていない場合(ステップS24;No)、制御部8の処理はステップS22へ戻る。
【0075】
ステップS25において、制御部8は、算出部9に対して、感光体ドラム21の表面電位Viの算出を指示する。指示を受けた算出部9は、ステップS22で印加した現像電圧の値及びステップS23で検出した現像電流の値を用いて、現像電流が0Aとなる現像電圧を算出し、算出した現像電圧を感光体ドラム21の表面電位Viとする。
【0076】
従来のドラムリフレッシュモードは、感光体ドラム21に表面電位を帯電させずにトナー像を現像するため、本来クリーニングブレード62に必要なトナーの外添剤を、トナーから脱離させて供給することができなかった。これに対し、実施形態1のドラムリフレッシュモードでは、並行して行う表面電位測定モードにおいて、感光体ドラム21に基準表面電位を帯電させると共に、基準表面電位に近い現像電圧を現像ローラー54に印加する。表面電位より高い現像電圧を現像ローラー54に印加する場合、トナーに含まれる外添剤が脱離しやすくなり、外添剤が感光体ドラム21へ供給されやすくなる。その結果、効果的に外添剤をクリーニングブレード62へ供給することが可能となる。
【0077】
以上、
図1~
図8を参照して説明したように、画像形成装置1は、感光体ドラム21と、帯電部40と、現像部50と、クリーニング部60と、現像電源12と、電流検出部13と、算出部9と、制御部8とを備える。制御部8は、現像部50が感光体ドラム21にトナーを供給しクリーニング部60がトナーを回収する一次リフレッシュモードと、一次リフレッシュモード後に実行する、一次リフレッシュモードで供給された感光体ドラム21のトナーをクリーニング部60が回収する二次リフレッシュモードとを含むドラムリフレッシュモードを制御する。制御部8は、電流検出部13が現像電流を検出して算出部9が感光体ドラム21の表面電位Viを算出する表面電位測定モードを、二次リフレッシュモードと並行して実行する。制御部8は、感光体ドラム21の表面電位Viが予め定められた終了条件を満たす場合にドラムリフレッシュモードを終了する。ドラムリフレッシュ動作として、トナーを消費する一次リフレッシュモードとトナーを消費しない二次リフレッシュモードとを順番に実行するので、トナー消費削減が可能となる。また、感光体ドラム21の表面電位Viが正常に戻るとドラムリフレッシュモードを終了するため、クリーニング部60の無駄な動作がなくなり、ドラムリフレッシュモードの時間短縮が可能となる。また、感光体ドラム21の表面の過剰な研磨も軽減可能となる。
【0078】
制御部8は、環境条件が予め定められた開始条件を満たした場合、一次リフレッシュモード及び二次リフレッシュモードを順番に開始すると共に、二次リフレッシュモードと並行して表面電位測定モードを実行する。これにより、制御部8は、感光体ドラム21の表面に結露等が生じて表面電位の保持が困難と予測される場合に、ドラムリフレッシュモードを開始できる。
【0079】
制御部8は、感光体ドラム21の使用履歴条件が予め定められた開始条件を満たした場合、一次リフレッシュモード及び二次リフレッシュモードを順番に開始すると共に、二次リフレッシュモードと並行して表面電位測定モードを実行する。これにより、制御部8は、感光体ドラム21の劣化状態に基づいて、ドラムリフレッシュモードを開始できる。
【0080】
制御部8は、算出部9に感光体ドラム21の表面電位Viを算出させ、算出させた感光体ドラム21の表面電位Viが予め定められた開始条件を満たした場合、一次リフレッシュモード及び二次リフレッシュモードを順番に開始すると共に、二次リフレッシュモードと並行して表面電位測定モードを実行する。これにより、制御部8は、感光体ドラム21の実際の表面状態に応じて、ドラムリフレッシュモードを開始できる。
【0081】
<実施形態2>
図9を参照して、複数の画像形成部20Y、20C、20M、20Bを有する画像形成装置1におけるドラムリフレッシュモードについて説明する。なお、実施形態2に係る画像形成装置1は、実施形態1に係る画像形成装置1と同じ構成である。また、実施形態2における一次リフレッシュモード、二次リフレッシュモード、及び表面電位測定モードの各動作は、実施形態1における各モードの動作と同じである。
【0082】
図9は、実施形態2に係る画像形成装置1のドラムリフレッシュモードを示すタイミングチャートである。
図9では、実施形態1に係る画像形成装置1のように4色のトナー(イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラック)を用いる装置を例に、ドラムリフレッシュモードを説明する。
【0083】
制御部8は、環境条件等が開始条件を満たした場合、
図9に示されるように画像形成部20Yの一次リフレッシュモードM1Y、画像形成部20Cの一次リフレッシュモードM1C、画像形成部20Mの一次リフレッシュモードM1M、及び画像形成部20Bの一次リフレッシュモードM1Bを、時間をずらしながら順番に開始する。
【0084】
制御部8は、最初に開始した画像形成部20Yの一次リフレッシュモードM1Yが終了すると、続けて画像形成部20Yの二次リフレッシュモードと表面電位測定モード(M2Y)を開始する。画像形成部20Yの二次リフレッシュモードと表面電位測定モード(M2Y)の実行中、残りの画像形成部20C、画像形成部20M、及び画像形成部20Bは一次リフレッシュモードM1C、M1M、M1Bを実行している。
【0085】
制御部8は、算出部9が算出した、画像形成部20Yが有する感光体ドラム21の表面電位Viが、終了条件を満たす場合、画像形成部20Yのドラムリフレッシュモードを終了する。画像形成部20Yが有する感光体ドラム21の表面電位Viが正常になった場合、残りの画像形成部20C、画像形成部20M、及び画像形成部20Bの各感光体ドラム21の表面電位Viも正常になったと推定される。そのため、制御部8は、画像形成部20C、画像形成部20M、及び画像形成部20Bのドラムリフレッシュモードも終了する。
【0086】
一方、制御部8は、画像形成部20Yが有する感光体ドラム21の表面電位Viが終了条件を満たさない場合、再度、画像形成部20Yの一次リフレッシュモードM1Yを実行する。そして、制御部8は、画像形成部20Cの一次リフレッシュモードM1Cが終了すると、画像形成部20Cの二次リフレッシュモードと表面電位測定モード(M2C)を開始する。画像形成部20Cの二次リフレッシュモードと表面電位測定モード(M2C)の実行中、残りの画像形成部20Y、画像形成部20M、及び画像形成部20Bは、一次リフレッシュモードM1Y、M1M、M1Bを実行している。
【0087】
以上、
図9を参照して説明したように、制御部8は、トナーの色ごとに表面電位測定モードを実行するタイミングをずらし、1つの色の二次リフレッシュモード及び表面電位測定モードを実行中に、他の色の一次リフレッシュモードを実行する。これにより、複数の感光体ドラム21のリフレッシュを効率的に行うことができ、ドラムリフレッシュモードの時間短縮が可能となる。
【0088】
制御部8は、任意数の色の表面電位測定モードにおいて算出部9が算出した感光体ドラム21の表面電位Viが予め定められた終了条件を満たす場合、すべての色のドラムリフレッシュモードを終了する。これにより、一部の色の感光体ドラム21の表面電位Viが正常に戻ったタイミングですべての感光体ドラム21のドラムリフレッシュモードを終了するので、クリーニング部60の無駄な動作がなくなり、ドラムリフレッシュモードの時間短縮が可能となる。また、感光体ドラム21の表面の過剰な研磨も軽減可能となる。なお、実施形態2では、任意数を「1」としたが、これに限定されない。
【0089】
以上、本発明の実施形態について、図面(
図1~
図9)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。下記に変形例1~3を説明する。
【0090】
<変形例1>
上記実施形態の表面電位測定方法は、現像電流の直流成分が0Aになるときの現像電圧の直流成分を、感光体ドラム21の表面電位Viとする方法であったが、この方法に限定されない。
【0091】
例えば、制御部8は、感光体ドラム21の表面を帯電させない状態で、現像電圧の直流成分を0Vとし、現像電圧の交流成分だけを帯電ローラー41に印加したときの現像電流の直流電流を、目標電流とする。そして、制御部8は、感光体ドラム21の表面を帯電させ、現像電圧の直流成分を段階的に変化させる。電流検出部13は、現像電圧の直流成分ごとの現像電流を検出する。算出部9は、電流検出部13が検出する現像電流が目標電流と同じになったときの現像電圧の直流成分を、感光体ドラム21の表面電位とする。
【0092】
<変形例2>
上記実施形態の画像形成装置1は、二成分現像剤を用いたが、これに限らず、一成分現像剤を用いてもよい。また、上記実施形態の画像形成装置1は、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4色のトナーを用いたが、これに限らず、任意数の色のトナーを用いてもよい。
【0093】
なお、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0094】
<変形例3>
上記実施形態の画像形成装置1は、帯電部40がプラスの電圧、転写部30がマイナスの電圧を感光体ドラム21に印加する構成であるが、これに限らず、帯電部40がマイナスの電圧、転写部30がプラスの電圧を感光体ドラム21に印加する構成でもよい。この構成の場合、表面電位測定モード開始時に感光体ドラム21の表面電位がマイナスになる。よって、算出部9は、マイナスの基準表面電位に対し、高電圧側又は低電圧側の少なくとも一方側の、複数のマイナスの現像電圧を用いて、感光体ドラム21の表面電位を算出する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置におけるドラムリフレッシュに用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
2 本体
3 給紙部
4 用紙搬送部
4a 用紙排出口
4b 分岐部
4c 反転搬送部
5 露光部
6 定着部
7 用紙排出部
8 制御部
9 算出部
10 記憶部
11 帯電電源
12 現像電源
13 電流検出部
20 画像形成部
21 感光体ドラム(像担持体)
30 転写部
31 中間転写ベルト
32 一次転写部
33 二次転写部
34 ベルトクリーニング部
40 帯電部
41 帯電ローラー
42 帯電クリーニングローラー
50 現像部
51 現像容器
52 第1攪拌搬送部材
53 第2攪拌搬送部材
54 現像ローラー
60 クリーニング部
61 クリーニングローラー
62 クリーニングブレード
63 回収スパイラル