(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190374
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G03G21/00 502
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098663
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】清水 保
(72)【発明者】
【氏名】山岸 義弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 一徳
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA05
2H270KA09
2H270KA21
2H270KA22
2H270KA28
2H270KA32
2H270KA55
2H270KA61
2H270LA02
2H270LA05
2H270LA07
2H270LA09
2H270LD06
2H270MA02
2H270MA13
2H270MA24
2H270MB27
2H270MF01
2H270MF08
2H270NC01
2H270ND13
2H270ND21
2H270QA23
2H270QA36
2H270QB01
2H270RA02
2H270RA13
2H270RC02
2H270RC04
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】感光体ドラムの表面電位を精度よく測定することにより転写性能を正確に評価する画像形成装置を提供する。
【解決手段】電流検出部13は、現像部50を流れる現像電流を検出する。算出部9は、現像電源12が現像部50に複数の現像電圧を印加したときに電流検出部13が検出したそれぞれの現像電流に基づいて感光体ドラム21の表面電位Viを算出する。制御部8は、転写部30により感光体ドラム21に電圧を印加させた状態で感光体ドラム21の表面電位Viを算出部9により算出させ、算出させた感光体ドラム21の表面電位Viに基づいて転写部30の性能を評価する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体に光を照射して前記静電潜像を形成する露光部と、
前記像担持体にトナーを供給し、前記像担持体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部と、
前記現像部に現像電圧を印加する現像電源と、
前記像担持体に形成された前記トナー像を用紙に転写する転写部と、
前記現像部を流れる現像電流を検出する電流検出部と、
前記現像電源が前記現像部に複数の前記現像電圧を印加したときに前記電流検出部が検出したそれぞれの前記現像電流に基づいて前記像担持体の表面電位を算出する算出部と、
前記転写部により前記像担持体に電圧を印加させた状態で前記像担持体の表面電位を前記算出部により算出させ、算出させた前記像担持体の表面電位に基づいて前記転写部の性能を評価する制御部と
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記転写部の性能評価結果を通知する通知部を備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記転写部により前記像担持体に電圧を印加させた後に前記帯電部により前記像担持体を帯電させた状態で前記像担持体の表面電位を前記算出部により算出させ、算出させた前記像担持体の表面電位に基づいて前記用紙に形成される画像の品質を評価する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記露光部から前記像担持体に光を照射させた状態で前記算出部に算出させた前記像担持体の表面電位と、前記露光部から前記像担持体に光を照射させない状態で前記算出部に算出させた前記像担持体の表面電位とに基づいて前記露光部の性能を評価する、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置において、画像形成性能への影響が大きいプロセスの1つに転写プロセスがあげられる。転写性能が低下すると、感光体ドラム(像担持体)の表面に高精細な静電潜像を形成したとしても、用紙にきれいな画像を形成することが困難である。
【0003】
特許文献1に開示された電子写真装置は、感光体上にパルス状の静電電位パターンを形成し、中間転写ドラムに転写バイアスを印加し、静電電位パターンを現像する際に感光体から中間転写ドラムに流れ込む転写電流を測定して感光体上の表面電位を得る。具体的には、パルス状の静電電位パターンの切り替わるポイントで転写電流をモニターすることで、感光体の表面電位を推定し、推定した表面電位に基づいて転写部の放電評価を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された電子写真装置がモニターする電流は、感光体及び帯電部等の経年変化等の影響を受けやすく、不安定であって、誤差を含みやすいことが課題であった。これにより、感光体ドラムの表面電位の測定精度が低下することが懸念された。感光体ドラムの表面電位の測定精度が低いと、転写性能を正確に評価することが困難になる。
【0006】
本発明は、感光体ドラムの表面電位を精度よく測定することにより転写性能を正確に評価する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、現像電源と、転写部と、電流検出部と、算出部と、制御部とを備える。前記像担持体は、表面に静電潜像が形成される。前記帯電部は、前記像担持体を帯電させる。前記露光部は、前記像担持体に光を照射して前記静電潜像を形成する。前記現像部は、前記像担持体にトナーを供給し、前記像担持体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する。前記現像電源は、前記現像部に現像電圧を印加する。前記転写部は、前記像担持体に形成される前記トナー像を用紙に転写する。前記電流検出部は、前記現像電源が前記現像部に複数の前記現像電圧を印加したときに前記電流検出部が検出したそれぞれの前記現像電流に基づいて前記像担持体の表面電位を算出する。前記制御部は、前記転写部により前記像担持体に電圧を印加させた状態で前記像担持体の表面電位を前記算出部に算出させ、算出させた前記像担持体の表面電位に基づいて前記転写部の性能を評価する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、感光体ドラムの表面電位を精度よく測定することにより転写性能を正確に評価する画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【
図2】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る画像形成装置の画像形成部周辺を示す断面図である。
【
図4】実施形態1における現像電圧と現像電流との関係を示すデータの表である。
【
図5】実施形態1における現像電圧と現像電流との関係を示すグラフである。
【
図6】実施形態1に係る画像形成装置の転写性能評価動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態1における転写性能評価時の現像電圧と現像電流との関係を示すデータである。
【
図8】実施形態1における転写性能評価時の現像電圧と現像電流との関係を示すグラフである。
【
図9】実施形態1に係る画像形成装置の表面電位測定モードの動作を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態1に係る画像形成装置の転写性能評価動作の変形例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態1に係る画像形成装置の画像品質評価動作を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態1に係る画像形成装置の露光性能評価動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
<実施形態1>
図1~
図12を参照して、実施形態1に係る画像形成装置1について説明する。
図1は、実施形態1に係る画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。
図2は、実施形態1に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図3は、実施形態1に係る画像形成装置1の画像形成部20周辺を示す断面図である。実施形態1の画像形成装置1は、画像形成部20による画像形成機能に加え、画像読取機能、ファクシミリ機能、及び電子メール機能等を備えた複合機であってもよい。
【0012】
画像形成装置1は、
図1に示されるように、本体2に設けられた給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、及び用紙排出部7を含む。また、画像形成装置1は、
図2に示されるように、制御部8、算出部9、記憶部10、帯電電源11、現像電源12、電流検出部13、及び通知部14を含む。
【0013】
給紙部3は、複数枚の用紙Pを収容する。給紙部3は、画像形成部20による画像形成時に、収容されている用紙Pを1枚ずつ送り出す。
【0014】
用紙搬送部4は、給紙部3から送り出された用紙Pを二次転写部33及び定着部6へと搬送し、さらに定着後の用紙Pを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。なお、用紙Pの両面に画像形成が行われる場合、用紙搬送部4は、片面定着後の用紙Pを分岐部4bによって反転搬送部4cに振り分け、用紙Pを再度、二次転写部33及び定着部6へと搬送する。
【0015】
露光部5は、画像データに基づいて制御されたレーザー光を、画像形成部20に向けて照射する。
図1及び
図3において、レーザー光は一点鎖線で示される。
【0016】
図1に示されるように、画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Y、シアン用の画像形成部20C、マゼンタ用の画像形成部20M、及びブラック用の画像形成部20Bを含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の符号は省略することがある。
【0017】
図3に示されるように、画像形成部20は、感光体ドラム21、帯電部40、現像部50、クリーニング部60、及び除電部70を備える。なお、各色の画像形成部20は基本的な構造が同じであるので、
図2及び
図3において、各色を表す符号を省略する。
【0018】
感光体ドラム21は、回転可能に支持され、不図示の駆動部によって所定の方向に回転される。
図1及び
図3において、感光体ドラム21の回転方向は、破線で示されるように時計回りである。感光体ドラム21は、例えば、アルミニウム等の金属製のドラム素管の表面に、アモルファスシリコン(a-Si)等の無機感光体で構成される感光層を有する。感光体ドラム21の表面には、露光部5からのレーザー光照射により、静電潜像が形成される。感光体ドラム21は、像担持体ともいう。
【0019】
画像形成部20は、感光体ドラム21の周囲に、回転方向に沿って、帯電部40、現像部50、及びクリーニング部60を備える。現像部50とクリーニング部60との間に一次転写部32が配置される。
【0020】
帯電部40は、帯電ローラー41及び帯電クリーニングローラー42を有する。
【0021】
帯電ローラー41には、帯電電源11が生成した帯電電圧が印加される。帯電ローラー41は、回転可能に支持され、感光体ドラム21の表面に接触した状態で感光体ドラム21の回転に従って回転することで、感光体ドラム21の表面を所定電位(例えば、後述する基準表面電位)に帯電させる。
【0022】
帯電クリーニングローラー42は、帯電ローラー41の表面に接触し、帯電ローラー41の表面をクリーニングする。
【0023】
帯電電源11は、不図示の交流定電圧電源及び直流定電圧電源を有する。交流定電圧電源は、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電源から発生させた正弦波の交流電圧を出力する。直流定電圧電源は、上記正弦波の交流電圧を整流した直流電圧を出力する。帯電電源11は、交流電圧(交流成分)及び直流電圧(直流成分)を含む帯電電圧を生成し、生成した帯電電圧を帯電ローラー41に印加する。
【0024】
現像部50は、現像容器51、第1攪拌搬送部材52、第2攪拌搬送部材53、及び現像ローラー54を有する。
【0025】
現像容器51は、現像部50から感光体ドラム21の表面に供給する現像剤として、例えばトナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する。
【0026】
第1攪拌搬送部材52及び第2攪拌搬送部材53は、現像容器51内で回転することで、現像剤を攪拌しながら搬送する。トナーは、現像容器51の内部で攪拌及び循環されて帯電され、現像ローラー54の表面に担持される。現像ローラー54の表面では、トナー及び磁性キャリアで構成される磁気ブラシが形成される。
【0027】
現像ローラー54には、現像電源12が生成した現像電圧(いわゆる現像バイアス電圧)が印加される。現像ローラー54に現像電圧が印加されると、感光体ドラム21の表面電位との間の電位差により、現像ローラー54の表面に担持されたトナーが感光体ドラム21の表面に飛翔する。これにより、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像にトナーが付着し、トナー像が現像される。画像形成部20Yの現像部50は、イエローのトナー像を形成する。画像形成部20Cの現像部50は、シアンのトナー像を形成する。画像形成部20Mの現像部50は、マゼンタのトナー像を形成する。画像形成部20Bの現像部50は、ブラックのトナー像を形成する。
【0028】
現像ローラー54の表面には、例えば、ローレット加工が施されている。なお、現像ローラー54の表面処理は、ローレット加工に限定されず、ブラスト加工又はディンプル加工が施されていてもよく、あるいはローレット加工、ブラスト加工、及びディンプル加工が任意に組み合わされていてもよい。
【0029】
現像電源12の構成及び動作は、帯電電源11の構成及び動作と同様である。現像電源12は、交流定電圧電源から出力された交流電圧(交流成分)及び直流定電圧電源から出力された直流電圧(直流成分)を含む現像電圧を生成し、生成した現像電圧を現像ローラー54に印加する。
【0030】
クリーニング部60は、クリーニングローラー61、クリーニングブレード62、及び回収スパイラル63を有する。
【0031】
クリーニングローラー61は、感光体ドラム21の表面に所定の圧力で接触した状態で、感光体ドラム21との接触領域が感光体ドラム21と同方向に移動する向きに回転する。クリーニングブレード62は、感光体ドラム21の表面に所定の圧力で接触する。クリーニングローラー61及びクリーニングブレード62は、一次転写後にクリーニングローラー61の表面に残留するトナー等を除去して、感光体ドラム21をクリーニングする。
【0032】
回収スパイラル63は、感光体ドラム21の表面から除去されたトナー等を、クリーニング部60の外部に設けられた廃トナー回収容器(不図示)へ搬送する。
【0033】
除電部70は、感光体ドラム21に向けて除電光を照射し、感光体ドラム21の表面の静電潜像(電荷)を除去する。なお、
図1及び
図3の画像形成部20において、除電部70は、一次転写部32よりも感光体ドラム21の回転方向下流側に配置されて、転写後の静電潜像を除去するが、これに限定されない。除電部70は、一次転写部32よりも感光体ドラム21の回転方向上流側に配置されて、転写前の静電潜像を除去する構成であってもよい(不図示)。また、2つの除電部70が、一次転写部32よりも感光体ドラム21の回転方向下流側及び回転方向下流側のそれぞれに配置され、転写前及び転写後の静電潜像のそれぞれを除去する構成であってもよい(不図示)。
【0034】
図1に示されるように、転写部30は、中間転写ベルト31、一次転写部32Y、32C、32M、32B、二次転写部33、及びベルトクリーニング部34を有する。中間転写ベルト31は、所定の方向に回転可能に支持される。
図1において、中間転写ベルト31の回転方向は、破線で示されるように反時計回りである。中間転写ベルト31には、4つの画像形成部20それぞれで形成されたトナー像が順次重ねられる。
【0035】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上方に転写される。二次転写部33は、用紙搬送部4の、定着部6よりも用紙搬送方向上流側であって、転写部30の、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向下流側に配置される。ベルトクリーニング部34は、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向上流側に配置される。
【0036】
トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bによって中間転写ベルト31に一次転写される。中間転写ベルト31の回転と共に所定のタイミングで各色の画像形成部20のトナー像が連続して中間転写ベルト31に転写されることにより、中間転写ベルト31の外周面には、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4色のトナー像が重ねあわされたカラートナー像が形成される。
【0037】
二次転写部33は、中間転写ベルト31に形成されたカラートナー像を、用紙搬送部4により搬送されてきた用紙Pに転写する。ベルトクリーニング部34は、二次転写後に中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。
【0038】
定着部6は、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧して、トナー像を用紙Pに定着させる。
【0039】
制御部8及び算出部9は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを有する。記憶部10は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のようなメモリーを有する。プロセッサーは、メモリーに予め記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、制御部8及び算出部9の機能を実現する。
【0040】
制御部8は、画像形成装置1に設けられた各部の動作を制御する。給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、帯電電源11、及び現像電源12のそれぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Pへの画像形成を行う。
【0041】
また、制御部8は、転写部30の性能、露光部5の性能、又は用紙Pに形成された画像の品質の少なくとも1つを評価する。制御部8は、評価の際に表面電位測定モードを実行する。表面電位測定モードの詳細は後述する。制御部8は、評価結果を、通知部14を介してユーザーに通知可能である。
【0042】
算出部9は、表面電位測定モードにおいて、後述する電流検出部13から出力値を得て、感光体ドラム21の表面電位を算出する。算出部9は、算出した表面電位を、制御部8へ出力する。
【0043】
電流検出部13は、現像電圧を現像ローラー54に印加したときに現像ローラー54に流れる電流を検出する。電流検出部13は、検出した電流を、現像ローラー54と感光体ドラム21との間で流れる現像電流として、算出部9へ出力する。
【0044】
通知部14は、液晶ディスプレー又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレー等のディスプレーを有する(不図示)。通知部14は、制御部8の指示に従って評価結果を表示する。あるいは、通知部14は、スピーカーを有してもよい(不図示)。通知部14は、制御部8の指示に従って評価結果を音声出力する。なお、通知部14は、ディスプレーとスピーカーの両方を有し、画面表示と音声出力の両方を行ってもよい。
【0045】
また、通知部14は、外部装置に対して評価結果を送信する有線又は無線通信装置であってもよい。この構成の場合、通知部14は、制御部8の指示に従って、予め定められた外部装置に対して評価結果を送信する。外部装置は、評価結果を受信し、評価結果を画面表示又は音声出力する。外部装置は、パーソナルコンピューター、タブレット、又はスマートフォン等である。
【0046】
ここで、現像電流について説明する。現像電源12によって現像ローラー54にトナーと同極性(例えば、プラス)の現像電圧が印加されることで、現像ローラー54と感光体ドラム21との間に電位差が発生する。帯電し、現像ローラー54に担持されたトナーは、現像領域D(
図3参照)において現像ローラー54と感光体ドラム21との間で移動し、感光体ドラム21の表面に付着する。その結果、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像がトナー像に現像される。そして、帯電したトナーが現像ローラー54と感光体ドラム21との間を移動することで、現像領域Dに電流(即ち、現像電流)が流れる。
【0047】
現像電流は、二成分現像剤において、トナー移動電流とキャリア電流とで構成される。トナー移動電流は、トナーが現像ローラー54と感光体ドラム21との間を移動することによって流れる電流である。一方、キャリア電流は、トナーによる現像がほとんど行われない状態でも流れることが見出された。なお、キャリアを含まない一成分現像剤において、現像電流は、現像領域Dを流れる電流とトナー移動電流とで構成される。二成分現像剤と同様に、現像領域Dを流れる電流は、トナーによる現像がほとんど行われない状態でも流れることが見出された。
【0048】
キャリア電流が流れる方向は、現像ローラー54の電位と感光体ドラム21の表面電位との電位差によって決定される。即ち、キャリア電流は、現像ローラー54の電位が感光体ドラム21の表面電位よりも高いと、現像ローラー54から感光体ドラム21に向かって流れる。反対に、現像ローラー54の電位が感光体ドラム21の表面電位よりも低いと、キャリア電流は、感光体ドラム21から現像ローラー54に向かって流れる。
【0049】
それゆえ、表面電位測定モードにおいて、電流検出部13は、感光体ドラム21の表面を帯電部40により帯電させた状態で、現像ローラー54の電位を段階的に変化させながら現像電流を検出する。算出部9は、現像ローラー54の電位と現像電流との関係を求める。感光体ドラム21の表面電位と現像電圧の直流成分とが同電位になった場合、現像電流の直流成分も0Aになる。そこで、算出部9は、現像電流の直流成分が0Aになるときの現像電圧の直流成分を推定し、推定した現像電圧の直流成分を、感光体ドラム21の表面電位Viとする。
【0050】
図4は、実施形態1における現像電圧と現像電流との関係を示すデータの表である。
図5は、実施形態1における現像電圧と現像電流との関係を示すグラフである。
図5のグラフは、
図4の表をもとに作成された。以下では、単に現像電圧及び現像電流と記載し、直流成分であることの記載を省略する。
【0051】
制御部8は、感光体ドラム21の表面が、静電潜像を形成するために設計上予め定められた基準表面電位(例えば、270V)となるように帯電電源11を制御する。帯電部40が感光体ドラム21の表面を一様に帯電させた状態で、制御部8は、現像電源12を制御することによって、4つの現像電圧を現像ローラー54に印加する。電流検出部13は、4つの現像電圧を現像ローラー54に印加したときそれぞれの現像電流を検出する。
【0052】
算出部9は、4つの現像電圧を現像ローラー54に印加したときの現像電流に基づき、実際の感光体ドラム21の表面電位Viを算出する。具体的には、算出部9は、4組のデータを直線近似し、現像電流が0Aとなる現像電圧を算出し、算出した現像電圧を感光体ドラム21の表面電位Viとする。これにより、算出部9は、基準表面電位に対し、高電圧側の2組のデータと、低電圧側の2組のデータとを用い、感光体ドラム21の表面電位Viを273Vとして得ることができる。
【0053】
なお、感光体ドラム21の表面電位の算出に用いる現像電圧は、4つに限定されるわけではなく、2つ以上であればよい。
【0054】
また、算出部9は、基準表面電位に対し、高電圧側又は低電圧側の少なくとも一方側の、複数の現像電圧を用いて、感光体ドラム21の表面電位を算出することもできる。すなわち、算出部9は、基準表面電位に対し、高電圧側又は低電圧側の少なくとも一方における複数の現像電圧を現像ローラー54に印加したときそれぞれの現像電流に基づき、現像電流が0Aとなる現像電圧を算出し、感光体ドラム21の表面電位Viとする。
【0055】
この構成によれば、現像電流が0Aになるとき、即ち、現像ローラー54側及び感光体ドラム21側のいずれの方向にも現像電流が流れない状態のときの現像電圧を、実際の感光体ドラム21の表面電位Viとすることができる。これにより、感光体ドラム21の表面電位Viを精度よく且つ容易に得ることが可能である。
【0056】
なお、現像ローラー54の電位が感光体ドラム21の表面電位よりも高い場合と、低い場合とで、現像電流の流れる方向が逆転する。そのため、
図4及び
図5の例では、基準表面電位に対し、高電圧側及び低電圧側の両方の現像電圧が、感光体ドラム21の表面電位の算出に用いられた。
【0057】
また、
図4及び
図5の例では、感光体ドラム21の表面電位の算出に用いられる現像電圧は、電位差100V以内の狭い範囲であったが、さらに狭い電位差(例えば50V)以内の範囲であってもよい。現像ローラー54の電位と感光体ドラム21の表面電位との差が大きい場合、現像電流にトナー移動電流の影響が出るため、表面電位Viの予測精度が下がる。電位差100V以内、又は50V以内にすることでトナー移動電流の影響を抑制できる。
【0058】
また、表面電位測定に用いる現像電圧は、矩形波よりも正弦波の方が望ましい。矩形波の場合、現像剤抵抗の変化及び現像ギャップの変化によって現像領域Dのインピーダンスが変化し、現像電圧波形に歪みが生じやすい。現像電圧波形の歪みは、現像電流の直流成分に影響を与える。一方、正弦波の場合、このような影響を受けにくいため、現像電流の直流成分を安定して検出可能である。なお、画像形成時に現像を行う場合の現像電圧は、正弦波よりも矩形波の方が望ましい。矩形波の方がトナー移動効率が高いためである。以上の観点から、現像電源12は、矩形波と正弦波を出力可能であることが望ましい。
【0059】
次に、
図6~
図12を参照して、画像形成装置1の動作について説明する。
図6は、実施形態1に係る画像形成装置1の転写性能評価動作を示すフローチャートである。以下に説明するように、画像形成装置1は、感光体ドラム21に転写電圧を印加した状態で表面電位測定モードを行うことにより算出された感光体ドラム21の表面電位Viに基づいて、転写部30の性能を評価する。
【0060】
ステップS11において、制御部8は、感光体ドラム21の回転を開始させると共に、感光体ドラム21の表面電位を0Vに調整する。具体的には、制御部8は、除電部70を作動させると共に、現像電源12が現像ローラー54に印加する現像電圧を0Vに制御する。
【0061】
制御部8は、感光体ドラム21の表面電位を0Vに調整した後、ステップS12において露光部5の動作を停止させ、ステップS13において転写部30を作動させ、ステップS14において帯電部40の動作を停止させる。ステップS11において感光体ドラム21の表面電位が0Vに調整済みであるため、ステップS12~S14において、感光体ドラム21の表面電位は、転写部30が印加したマイナスの電圧によって変化する。
【0062】
ステップS15において、制御部8は、表面電位測定モードを実行する。表面電位測定モードの詳細は、
図7~
図9にて説明する。算出部9は、表面電位測定モードにおいて算出した感光体ドラム21の表面電位Viを、制御部8へ出力する。
【0063】
ステップS16において、制御部8は、算出部9が算出した感光体ドラム21の表面電位Viに基づいて、転写部30の性能を評価する。
【0064】
例えば、制御部8は、算出部9が算出した感光体ドラム21の表面電位Viと、予め定められた転写性能評価用の基準表面電位とを比較する。制御部8は、表面電位Viと基準表面電位との差が、予め定められた範囲外である場合に、転写部30の性能が悪い、又は転写部30に異常が生じていると判定する。表面電位Viと基準表面電位との差が、上記予め定められた範囲内である場合、制御部8は、転写部30は正常であると判定する。なお、転写部30の性能評価方法は、この方法に限定されない。
【0065】
次に、
図7~
図9を参照して、表面電位測定モードについて説明する。
図7は、実施形態1における転写性能評価時の現像電圧と現像電流との関係を示すデータである。
図8は、実施形態1における転写性能評価時の現像電圧と現像電流との関係を示すグラフである。
【0066】
画像形成時の表面電位測定モードでは、
図4及び
図5に示されるように、プラスの現像電圧が感光体ドラム21に印加される。一方、転写性能評価時の表面電位測定モードでは、
図7及び
図8に示されるように、マイナスの現像電圧が感光体ドラム21に印加される。転写性能評価時の表面電位測定モードにおいてマイナスの現像電圧が感光体ドラム21に印加されるのは、表面電位測定モード開始時に、感光体ドラム21の表面電位がマイナスになっているためである。
【0067】
正常な転写部30が感光体ドラム21に印加するマイナスの電圧、即ち、正常な転写部30が感光体ドラム21にマイナスの電圧を印加した場合の感光体ドラム21の表面電位を、転写性能評価用の基準表面電位とする。転写性能評価用の基準表面電位は、制御部8に対して予め設定されている。
図7及び
図8において、転写性能評価用の基準表面電位は、-375Vである。
【0068】
制御部8は、以下に説明するように、感光体ドラム21の表面を転写部30により帯電させた状態で、現像ローラー54の電位を段階的に変化させながら現像電流を検出する。算出部9は、現像電流が0Aになるとき、即ち、現像ローラー54側及び感光体ドラム21側のいずれの方向にも現像電流が流れない状態のときの現像電圧を、実際の感光体ドラム21の表面電位Viとする。制御部8は、算出部9により算出された感光体ドラム21の表面電位Viを、転写部30が感光体ドラム21に印加した電圧とみなす。
【0069】
図9は、実施形態1に係る画像形成装置1の表面電位測定モードの動作を示すフローチャートである。制御部8は、
図6のフローチャートに示されるステップS15において、
図9に示される動作を行う。
【0070】
ステップS21において、制御部8は、現像電源12を制御することによって、
図7及び
図8に示されるような、基準表面電位-375Vに対して高電圧側又は低電圧側の現像電圧を現像ローラー54に印加する。
【0071】
ステップS22において、制御部8は、電流検出部13に現像電流を検出させる。
【0072】
ステップS23において、制御部8は、複数の現像電圧に対する複数の現像電流をすべて検出し終えたか否かを判定する。例えば、
図7及び
図8に示される4組のデータすべてが揃った場合(ステップS23;Yes)、制御部8の処理はステップS24へ進み、4組のデータすべてが揃っていない場合(ステップS23;No)、制御部8の処理はステップS21へ戻る。
【0073】
ステップS24において、制御部8は、算出部9に対して、感光体ドラム21の表面電位Viの算出を指示する。指示を受けた算出部9は、ステップS21で印加した現像電圧の値及びステップS22で検出した現像電流の値を用いて、現像電流が0Aとなる現像電圧を算出し、算出した現像電圧を感光体ドラム21の表面電位Viとする。算出された表面電位Viは、転写部30が感光体ドラム21に印加した電圧に相当する。
図8の例では、転写性能評価用の基準表面電位-375Vに対し、算出された表面電位Viは-380Vであり、正常な転写部30が印加する予定の電圧と実際に転写部30が印加した電圧とに5Vのずれがあることになる。
【0074】
図10は、実施形態1に係る画像形成装置1の転写性能評価動作の変形例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートにおけるステップS11~S15の動作は、
図6のフローチャートにおけるステップS11~S15の動作と同じである。
【0075】
ステップS16-1において、制御部8は、算出部9が算出した感光体ドラム21の表面電位Viと、予め定められた転写性能評価用の基準電圧とを比較する。表面電位Viと基準表面電位との差が、予め定められた第1の範囲外である場合(ステップS16-1;大)、制御部8の処理はステップS16-2へ進む。表面電位Viと基準表面電位との差が、予め定められた第1の範囲内、且つ予め定められた第2の範囲外である場合(ステップS16-1;中)、制御部8の処理はステップS16-2へ進む。第1の範囲は、第2の範囲より広い。
【0076】
ステップS16-2において、制御部8は、表面電位Viと基準表面電位との差が大きいため、転写部30に異常が発生していると判定する。制御部8は、転写部30の交換を促す案内を、通知部14を介してユーザーに通知する。
【0077】
ステップS16-3において、制御部8は、表面電位Viと基準表面電位との差が中程度であるため、転写部30の性能が悪く、転写部30のクリーニングが必要であると判定する。制御部8は、不図示のクリーニング部を作動させ、転写部30をクリーニングする。例えば、転写部30がコロナ放電を行う構成である場合、制御部8は、コロナ放電を行う放電電極を清掃するクリーニング部(不図示)を作動させる。
【0078】
表面電位Viと基準表面電位との差が予め定められた第2の範囲内である場合(ステップS16-1;小)、制御部8は、両者の差が小さく、転写部30が正常であると判定する。この場合、制御部8は、
図10のフローチャートに示される転写性能評価動作を終了する。
【0079】
図11は、実施形態1に係る画像形成装置1の画像品質評価動作を示すフローチャートである。
図11において、制御部8は、転写メモリー等、転写が画像に与える影響を評価する。この場合、制御部8は、
図11及び後述する
図12のように、転写の後に帯電部40によって感光体ドラム21の表面を帯電させ、その後に表面電位測定モードを実行する。
【0080】
ステップS31において、制御部8は、
図6のステップS11と同様に、感光体ドラム21の回転を開始させると共に、感光体ドラム21の表面電位を0Vに調整する。
【0081】
制御部8は、感光体ドラム21の表面電位を0Vに調整した後、ステップS32において、帯電部40を作動させ、ステップS33において露光部5を作動させる。ステップS32、S33において感光体ドラム21の表面電位を帯電部40と露光部5とにより変化させた後、制御部8は、ステップS34において転写部30を作動させる。ステップS34において感光体ドラム21の表面電位を転写部30によりマイナスの電位に変化させた後、制御部8は、ステップS35において帯電部35を作動させ、感光体ドラム21にプラスの電圧を印加させる。
【0082】
ステップS36において、制御部8は、
図9に示される表面電位測定モードを実行する。ただし、画像品質評価動作の表面電位測定モード開始時に、感光体ドラム21の表面電位がプラスになっているため、制御部8は、画像品質評価時の表面電位測定モードにおいてプラスの現像電圧を感光体ドラム21に印加する。算出部9は、表面電位測定モードにおいて算出した感光体ドラム21の表面電位Viを、制御部8へ出力する。
【0083】
ステップS37において、制御部8は、算出部9が算出した感光体ドラム21の表面電位Viに基づいて、用紙Pに形成される画像の品質を評価する。評価方法は、上述した転写性能評価方法と同様に、表面電位Viと基準表面電位とを比較する方法等である。
【0084】
制御部8は、画像品質の評価結果を、通知部14を介してユーザーに通知してもよい。
【0085】
図11の画像品質評価動作において、転写部30だけでなく露光部5及び帯電部40も作動するため、画像品質評価結果には、転写が画像に与える影響と露光が画像に与える影響と帯電が画像に与える影響が含まれる。そこで、
図12のフローチャートでは、露光が画像に与える影響(即ち、露光部5の性能)を分離して評価する。
【0086】
図12は、実施形態1に係る画像形成装置1の露光性能評価動作を示すフローチャートである。ステップS41において、制御部8は、
図11のフローチャートに示される画像品質評価動作を行う。
【0087】
ステップS42において、制御部8は、
図6のステップS11と同様に、感光体ドラム21の回転を開始させると共に、感光体ドラム21の表面電位を0Vに調整する。
【0088】
制御部8は、感光体ドラム21の表面電位を0Vに調整した後、ステップS43において露光部5の動作を停止させた状態で、ステップS44において転写部30を作動させる。ステップS43、S44において感光体ドラム21の表面電位を転写部30によりマイナスの電位に変化させた後、制御部8は、ステップS45において帯電部40を作動させ、感光体ドラム21にプラスの電圧を印加させる。
【0089】
ステップS46において、制御部8は、
図9に示される表面電位測定モードを実行する。ただし、露光性能評価動作の表面電位測定モード開始時に感光体ドラム21の表面電位がプラスになっているため、制御部8は、露光性能評価時の表面電位測定モードにおいてプラスの現像電圧を感光体ドラム21に印加する。算出部9は、表面電位測定モードにおいて算出した感光体ドラム21の表面電位Viを、制御部8へ出力する。
【0090】
ステップS47において、制御部8は、露光部5の性能を評価する。ステップS41の画像品質評価動作(
図11のステップS31~S35)と
図12のステップS42~S45とを比較すると、
図11のステップS33では露光部5が作動するのに対し、
図12のステップS43では露光部5が作動しない点が異なる。よって、ステップS41の画像品質評価結果と、ステップS46で算出された表面電位Viに基づく評価結果とを照合することにより、露光部5の性能を評価できる。
【0091】
制御部8は、ステップS41で算出された感光体ドラム21の表面電位Viと基準表面電位との差が予め定められた範囲外である場合(即ち、画像の品質が悪い場合)、且つ、ステップS46で算出された感光体ドラム21の表面電位Viと基準表面電位との差が予め定められた範囲内である場合、露光部5の性能が悪い、又は異常が生じていると判定する。
【0092】
制御部8は、ステップS41で算出された感光体ドラム21の表面電位Viと基準表面電位との差が予め定められた範囲内である場合(即ち、画像の品質が良い場合)、且つ、ステップS46で算出された感光体ドラム21の表面電位Viと基準表面電位との差が予め定められた範囲内である場合、露光部5の性能が良く、正常であると判定する。
【0093】
制御部8は、ステップS41で算出された感光体ドラム21の表面電位Viと基準表面電位との差が予め定められた範囲外である場合(即ち、画像の品質が悪い場合)、且つ、ステップS46で算出された感光体ドラム21の表面電位Viと基準表面電位との差が予め定められた範囲外である場合、転写部30又は帯電部40の少なくとも一方の性能が悪い、又は異常が生じていると判定する。
【0094】
制御部8は、転写部30又は帯電部40の少なくとも一方の性能が悪い、又は異常が生じていると判定した場合、
図12のフローチャートに続けて
図6又は
図10のフローチャートを実行してもよい。制御部8は、
図6又は
図10のフローチャートを実行することにより、転写部30の性能を直接的に評価できる。加えて、制御部8は、転写部30の性能が良い場合に帯電部40の性能が悪いと判定できる。
【0095】
なお、
図6、
図9~
図12のフローチャートに示される動作において、制御部8は、クリーニング部60を作動させてもよいし、作動させなくてもよい。
【0096】
以上、
図1~
図12を参照して説明したように、画像形成装置1は、感光体ドラム21と、帯電部40と、露光部5と、現像部50と、現像電源12と、転写部30と、電流検出部13と、算出部9と、制御部8とを備える。算出部9は、現像電源12が現像部50に複数の現像電圧を印加したときに電流検出部13が検出したそれぞれの現像電流に基づいて感光体ドラム21の表面電位Viを算出する。制御部8は、転写部30により感光体ドラム21に電圧を印加させた状態で感光体ドラム21の表面電位Viを算出部9により算出させ、算出させた感光体ドラム21の表面電位Viに基づいて転写部30の性能を評価する。現像部50に複数の現像電圧を印加したときの各現像電流を用いることで、算出部9は、感光体ドラム21の表面電位Viを精度よく測定できる。制御部8は、この測定方法を利用して、転写部30によって感光体ドラム21に印加された表面電位を測定することにより、転写部30の性能を正確に評価できる。
【0097】
画像形成装置1は、転写部30の性能評価結果を通知する通知部14を備える。これにより、画像形成装置1は、転写部30に異常が生じた場合に転写部30の交換を促すことができる。
【0098】
制御部8は、転写部30により感光体ドラム21に電圧を印加させた後に帯電部40により感光体ドラム21を帯電させた状態で感光体ドラム21の表面電位Viを算出部9により算出させ、算出させた感光体ドラム21の表面電位Viに基づいて用紙Pに形成される画像の品質を評価する。これにより、制御部8は、感光体ドラム21の表面電位Viに基づいて、画像の品質を正確に評価できる。
【0099】
制御部8は、露光部5から感光体ドラム21に光を照射させた状態で算出部9に算出させた感光体ドラム21の表面電位Viと、露光部5から感光体ドラム21に光を照射させない状態で算出部9に算出させた感光体ドラム21の表面電位Viとに基づいて露光部5の性能を評価する。これにより、制御部8は、感光体ドラム21の表面電位Viに基づいて、露光部5の性能を正確に評価できる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について、図面(
図1~
図12)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。下記に変形例1~3を説明する。
【0101】
<変形例1>
上記実施形態の表面電位測定方法は、現像電流の直流成分が0Aになるときの現像電圧の直流成分を、感光体ドラム21の表面電位Viとする方法であったが、この方法に限定されない。
【0102】
例えば、制御部8は、感光体ドラム21の表面を帯電させない状態で、現像電圧の直流成分を0Vとし、現像電圧の交流成分だけを帯電ローラー41に印加したときの現像電流の直流電流を、目標電流とする。そして、制御部8は、感光体ドラム21の表面を帯電させ、現像電圧の直流成分を段階的に変化させる。電流検出部13は、現像電圧の直流成分ごとの現像電流を検出する。算出部9は、電流検出部13が検出する現像電流が目標電流と同じになったときの現像電圧の直流成分を、感光体ドラム21の表面電位とする。
【0103】
<変形例2>
上記実施形態の画像形成装置1は、二成分現像剤を用いたが、これに限らず、一成分現像剤を用いてもよい。また、上記実施形態の画像形成装置1は、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4色のトナーを用いたが、これに限らず、任意数の色のトナーを用いてもよい。
【0104】
<変形例3>
上記実施形態の画像形成装置1は、帯電部40がプラスの電圧、転写部30がマイナスの電圧を感光体ドラム21に印加する構成であるが、これに限らず、帯電部40がマイナスの電圧、転写部30がプラスの電圧を感光体ドラム21に印加する構成でもよい。
【0105】
なお、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置における転写性能評価に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
2 本体
3 給紙部
4 用紙搬送部
4a 用紙排出口
4b 分岐部
4c 反転搬送部
5 露光部
6 定着部
7 用紙排出部
8 制御部
9 算出部
10 記憶部
11 帯電電源
12 現像電源
13 電流検出部
14 通知部
20 画像形成部
21 感光体ドラム(像担持体)
30 転写部
31 中間転写ベルト
32 一次転写部
33 二次転写部
34 ベルトクリーニング部
40 帯電部
41 帯電ローラー
42 帯電クリーニングローラー
50 現像部
51 現像容器
52 第1攪拌搬送部材
53 第2攪拌搬送部材
54 現像ローラー
60 クリーニング部
61 クリーニングローラー
62 クリーニングブレード
63 回収スパイラル
70 除電部