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  • 特開-スナッバ 図1
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  • 特開-スナッバ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190391
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】スナッバ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/30 20060101AFI20221219BHJP
   F16L 3/20 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F16F9/30
F16L3/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098692
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 史弥
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐樹
【テーマコード(参考)】
3H023
3J069
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB03
3H023AC46
3H023AC51
3H023AC64
3H023AE07
3J069AA50
3J069BB03
3J069CC15
3J069DD47
3J069EE62
(57)【要約】
【課題】より簡素な構成で長期間にわたり配管又は機器等の制振対象物に作用する応力を安定して低減することができるスナッバを提供する。
【解決手段】建屋の壁面側に固定されるシリンダと、ダイラタンシーを示す高分子流体で構成され、シリンダ内に液密に充填された作業流体とを備える。また、シリンダ内において、作業流体を押圧可能な押圧面を有すると共に、シリンダ内における作業流体の流動性を許容するように配置されたピストンと、一方の端部が制振対象物側に固定され、他方の端部がピストンに固定されるロッドとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋の壁面側に固定されるシリンダと、
ダイラタンシーを示す高分子流体で構成され、前記シリンダ内に液密に充填された作業流体と、
シリンダ内において、前記作業流体を押圧可能な押圧面を有すると共に、前記シリンダ内における前記作業流体の流動性を許容するように配置されたピストンと、
一方の端部が制振対象物側に固定され、他方の端部がピストンに固定されるロッドと、
を備えるスナッバ。
【請求項2】
前記作業流体は、α-グルコース分子が共有結合にて重合した高分子材料で構成されている
請求項1に記載のスナッバ。
【請求項3】
前記シリンダは円筒形状で構成され、
前記シリンダの長手方向に沿う方向から見た前記ピストンの形状は、前記シリンダの内壁面に接触しない大きさの楕円形状である
請求項1に記載のスナッバ。
【請求項4】
前記ピストンの押圧面は、蛇腹形状を有する
請求項1に記載のスナッバ。
【請求項5】
前記ロッドの前記シリンダ内に配置される部分の側周面は蛇腹形状又はらせん形状を有する
請求項1に記載のスナッバ。
【請求項6】
前記シリンダの表面は、断熱材に覆われている
請求項1に記載のスナッバ。
【請求項7】
前記ピストンには、前記作業流体の移動を許容する貫通孔が設けられている
請求項1に記載のスナッバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種プラントにおいて配管や機器等の制振対象物を支持するスナッバに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラント等、温度変化の大きい環境下で使用される配管は、温度変化による熱膨張を緩和するため、柔構造となるよう支持されている。柔構造となるように支持された配管は、内部流体による振動や機械等振動を受けやすく、さらに、耐震性が問題となる。
【0003】
そこで、配管を支持する構造物として、加速度が小さい変位を拘束しない一方で、地震等の加速度が大きな変位に対して拘束力を作用させ、配管に作用する応力を抑制することができるスナッバと呼ばれる防振器が提案されている。このような特徴を持つスナッバとしては、機械的な機構を持つメカニカルスナッバや、流体の粘性抵抗を利用したオイルスナッバが実用化されている。
【0004】
特許文献1には、シリンダ内のロッド側圧力室とヘッド側圧力室とに急激な圧力差が生じた場合にシリンダの外側に設置されたスナッバ内弁が閉じることでピストンロッドが動かなくなるように構成されたオイルスナッバが開示されている。特許文献1では、スナッバ内弁はロッド側圧力室とヘッド側圧力室とをシリンダの外側で連通させる連通ラインに設けられている。
【0005】
また、特許文献2には、プラント等で使用される機器又は配管の振動を抑制するための回転型減衰装置(メカニカルスナッバ)が開示されている。特許文献2に記載の回転型減衰装置では、ボールナットとボールねじを組み合わせることにより、直線運動を回転運動に変換させることで振動を効果的に減衰させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-337000号公報
【特許文献2】特開2014-202235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1では、シリンダの外側に別途スナッバ内弁を設けるための連通ライン(配管)を設ける必要があり、全体の構成が大掛かりとなる。また、特許文献2では、ボールねじやボールナット等の機械的に動作する部品によって構成されているため、摩耗や疲労破壊等により、部品強度の低下が危惧される。
【0008】
そこで、本発明は、より簡素な構成で長期間にわたり配管又は機器等の制振対象物に作用する応力を安定して低減することができるスナッバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のスナッバは、建屋の壁面側に固定されるシリンダと、ダイラタンシーを示す高分子流体で構成され、シリンダ内に液密に充填された作業流体とを備える。また、シリンダ内において、作業流体を押圧可能な押圧面を有すると共に、シリンダ内における作業流体の流動性を許容するように配置されたピストンと、一方の端部が制振対象物側に固定され、他方の端部がピストンに固定されるロッドとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より簡素な構成で長期間にわたり、支持する制振対象物に作用する応力を安定して低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係るスナッバの概略断面構成図である。
図2図1のA-A´線上に沿う断面構成図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るスナッバの概略断面構成図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係るスナッバの概略断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るスナッバの一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
【0013】
1.第1の実施形態
1-1.スナッバの構成
まず、本発明の第1の実施形態に係るスナッバについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るスナッバ1の概略断面構成図である。また、図2は、図1のA-A´線上に沿う断面構成図である。以下の説明では、制振対象物として配管を例に説明する。
【0014】
本実施形態のスナッバ1は、原子力プラント等において、配管を支持する防振装置である。図1に示すように、本実施形態のスナッバ1は、スナッバ本体18と、第1固定部16と、第2固定部17とを備える。
【0015】
[スナッバ本体]
スナッバ本体18は、シリンダ2と、シリンダ2内に充填された作業流体10と、軸受11と、封止部材12と、ピストン7と、ロッド4と、断熱材19とを備える。
【0016】
シリンダ2は、円筒状の部材で構成された本体部2aと、本体部2aの長手方向における一方の端部に設けられた第1側面部2bと、本体部2aの長手方向における他方の端部に設けられた第2側面部2cとを備える。第1側面部2bは、本体部2aと一体に構成された円形状の板状部材で構成されており、本体部2aの一端部を閉じるように設けられている。第1側面部2bの本体部2a側とは反対側の面には、後述する第1固定部16の固定軸8が固定されている。第2側面部2cは、本体部2aと一体に構成された円形状の板状部材で構成されており、本体部2aの他端部を閉じるように設けられている。また、第2側面部2cの中央部分には、ロッド4が挿通可能な貫通孔が設けられている。このように構成されたシリンダ2の内部には、後述する作業流体10を保持可能な空間が構成される。
【0017】
軸受11は、第2側面部2cの本体部2a側の内面に密着するように保持されている。そして、軸受11は、第2側面部2cを貫通するロッド4を摺動可能に保持している。シリンダ2の内部に軸受11が設けられることにより、ロッド4がシリンダ2の長手方向に摺動移動する。
【0018】
封止部材12は、中央部にロッド4が貫通する貫通孔を有する円盤状の部材で構成されている。封止部材12は、軸受11の第2側面部2c側とは反対側の面に密着するように設けられると共に、シリンダ2の本体部2aの内周面に密着するように設けられている。封止部材12は、シリンダ2の内部に保持される作業流体10が軸受11側に移動しないように、シリンダ2の内周面及びロッド4の外周面に液密に設けられている。封止部材12は、例えば弾性部材で構成することができる。
【0019】
作業流体10は、シリンダ2の内部に保持される液体状の材料であり、ダイラタンシーを示す高分子流体で構成されている。ダイラタンシーとは、圧縮等の所定の力が加わると、力が加わった面の液体が瞬時に凝固し固体のような抵抗力を発揮する性質のことである。ダイラタンシーを示す高分子流体としては、例えば、α-グルコース分子が共有結合にて重合した高分子材料を用いることができる。その他、例えば、シリコンオイル等、室温で安定してダイラタンシー現象を示す材料であれば種々の材料を適用することが可能である。
【0020】
ピストン7は、シリンダ2の第1側面部2bと封止部材12の間に設けられる部材である。ピストン7は、シリンダ2の本体部2aの長手方向に所定の厚みを有する板状部材で構成されている。また、図2に示すように、本実施形態では、ピストン7は、シリンダ2の内周面に接触しない大きさの楕円形状の部材で構成されている。
【0021】
ここで、ピストン7の第1側面部2b側の面は、ピストン7が第1側面部2b側に変位した際において、第1側面部2bとピストン7との間の作業流体10を押圧する第1押圧面7aとなる。また、ピストン7の第2側面部2c側の面は、ピストン7が第2側面部2c側に変位した際において、第2側面部2cとピストン7との間の作業流体10を押圧する第2押圧面7bとなる。上述したように、ピストン7はシリンダ2の本体部2aの内周面に接触しない大きさの楕円形状で構成されている。これにより、シリンダ2内における作業流体10の流動性が、ピストン7よりも第1側面部2b側の空間と、第2側面部2c側の空間との間で許容される。
【0022】
ロッド4は、第2側面部2c、封止部材12、及び、軸受11を貫通する棒状の円柱部材で構成されている。ロッド4は、軸受11に摺動可能に保持されている。ロッド4の一方の端部はシリンダ2内部に保持されるピストン7の中央部に接続され、他方の端部は、後述する第2固定部17に接続されている。ロッド4は、ピストン7を保持可能な剛性を有する部材で構成されており、シリンダ2の本体部2a内において、シリンダ2の内壁面に接触しない状態で保持する。本実施形態では、ロッド4が軸受11に対して摺動移動することで、ピストン7がシリンダ2の内部で長手方向に沿う方向に移動する。
【0023】
なお、シリンダ2、ピストン7、及び、ロッド4は、腐食しにくい材料であればよく、例えば、SUSで構成することができる。
【0024】
断熱材19は、シリンダ2の外周面全体を被覆するように設けられており、例えば、建築資材として一般的に用いられている材料を適用することができる。断熱材19により、シリンダ2内部の温度を適正に保持することができる部材であれば種々の材料が適用可能である。
【0025】
[第1固定部]
第1固定部16は、建屋の壁面100にスナッバ本体18を固定するための部材であり、固定ブラケット9と、固定軸8とを備える。固定ブラケット9は、建屋の壁面100に固定されており、固定軸8を固定可能に構成されている。固定軸8は、一端が固定ブラケット9に固定され、他端がシリンダ2の第1側面部2bに固定されている。本実施形態では、例えば、固定軸8を固定ブラケット9に対してピン15等で固定することで、壁面100に対してスナッバ本体18を固定することができる。
【0026】
[第2固定部]
第2固定部17は、配管(図示を省略する)を支持する部材であり、配管支持部3と、連結部5とを備える。配管支持部3は、配管が挿通可能な円筒形状の配管支持部本体20と配管支持部本体20を連結部5に連結するための取付ブラケット13で構成されている。配管支持部本体20は、配管が挿通された状態で配管をシリンダ2に対して固定できる構成であればよく、例えば、配管を挟みこんで固定する構成であってもよい。取付ブラケット13は、一端部が連結部5に連結され、他端部が配管支持部本体20に固定されている。
【0027】
連結部5は、一方の端部が、連結ピン14を介して取付ブラケット13に連結され、他方の端部が、ターンバックル6を介してロッド4に連結されている。連結部5と取付ブラケット13とは、例えば、連結部5と取付ブラケット13とを貫通するように取り付けられる連結ピン14によって連結されている。また、連結部5の他方の端部がターンバックル6を介してロッド4に接続されることにより、設置時において、配管位置と、建屋の壁面100との間の距離に応じて、スナッバ1の全長を調節することができる。
【0028】
1-2.スナッバの動作
次に、本実施形態のスナッバ1の動作について説明する。まず、通常の運転時における配管の微小な振動や緩やかな振動が起こった場合について説明する。この場合、配管の振動に伴い、ロッド4を介してシリンダ2内のピストン7が移動する。微小な振動に対しては、ピストン7が緩やかに移動するため、作業流体10は液体の状態を維持する。したがって、配管の微小な振動や緩やかな振動に対しては、スナッバ1において、ロッド4がシリンダ2に対して摺動移動する。
【0029】
一方、地震等の大きく急激な振動により配管が振動した場合について説明する。この場合、配管の振動に伴い、ロッド4を介してシリンダ2内のピストン7が急激に移動しようとする。このとき、シリンダ2内のピストン7には、ロッド4の長手方向に沿う方向に急激な力が加わる。このため、ピストン7に接している作業流体10は、高分子流体が示すダイラタンシー現象により固体のような振る舞いをし、抵抗力を発揮する。
【0030】
例えば、ピストン7が第1側面部2b側に変位(接近)しようとした場合には、ピストン7の第1押圧面7aが作業流体10を押圧する。そのため、第1押圧面7a付近の作業流体10が、瞬時に凝固し抵抗力を発生させる。一方、ピストン7が第2側面部2c側に急激に変位(接近)しようとした場合には、ピストン7の第2押圧面7bが作業流体10を押圧する。そのため、第2押圧面7b付近の作業流体10が、急激に凝固し抵抗力を発生させる。これにより、ピストン7の急激な変位が阻止され、配管の変位を拘束することができる。
【0031】
このように、本実施形態におけるスナッバ1は、温度変化の大きい環境下で使用するために柔構造で支持されている配管に対して、加速度が小さい変異に対しては配管を拘束せず、地震等の加速度が大きな変位に対しては配管を瞬時に拘束することができる。また、本実施形態のスナッバ1は、シリンダ2内に封入する作業流体10としてダイラタンシーを示す高分子流体を用いることで、上記の効果を得ることができるため、装置自体を簡素化することができる。
【0032】
例えば、従来のメカニカルスナッバでは、ボールナットやボールネジのような機械的な機構が必要であった。しかしながら、本実施形態のスナッバ1では、メカニカルスナッバのような機械的機構が必要ない。これにより、本実施形態のスナッバでは、機械的な摩耗や疲労破壊等による構成部品の強度の低下に対する懸念が低減されると共に、ボールネジの回転角に対するボールナットの移動量に非線形な関係が生じる、いわゆるロストモーションの懸念が無い。
【0033】
また、従来のオイルスナッバでは、オイルが封入されたシリンダの外側に、弁を有する連通ライン等を設ける必要があった。これに対し、本実施形態のスナッバ1では、シリンダ2の外側に他の連通ライン等を設ける必要がなく、装置自体が簡素であるため、他装置との干渉に対する懸念が低減される。
【0034】
2.第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態に係るスナッバについて説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係るスナッバ30の概略断面構成図である。図3において、図1に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。第2の実施形態に係るスナッバ30は、第1の実施形態に係るスナッバ1に対して、ピストン37及びロッド34の形状が異なる例である。
【0035】
図3に示すように、第2の実施形態に係るスナッバ30では、ピストン37における作業流体10に接する表面に蛇腹加工が施されている。ピストン37に施された蛇腹加工は、少なくとも、シリンダ2の第1側面部2b側に位置する第1押圧面37a、及び、第2側面部2c側に位置する第2押圧面37bに設けられていればよい。さらにピストン37の側周部に対しても蛇腹加工を施してもよい。なお、ピストン37の、シリンダ2の長手方向に沿う方向から見たときの形状は、第1の実施形態と同様、シリンダ2の内壁面に接触しない楕円形状に構成されている。
【0036】
また、ロッド34におけるピストン37に接続される側であるピストン側ロッド部34aの表面にも、蛇腹加工が施されている。ロッド34において、蛇腹加工が施されるピストン側ロッド部34aは、ロッド34が配管側に最大に移動した場合に、封止部材12に接触しない範囲に設けられている。ロッド34の蛇腹加工が施されるピストン側ロッド部34a以外の部分は、第1の実施形態と同様、表面が滑らかな円柱部材で構成されている。したがって、ピストン側ロッド部34aの蛇腹加工は、軸受11に対する摺動移動や、封止部材12における作業流体10の封止性を阻害しない範囲に設けられている。
【0037】
第2の実施形態では、ピストン37の表面及びピストン側ロッド部34aに対して腹加工を施しているため、第1の実施形態に比較し、ピストン37及びピストン側ロッド部34aにおいて、作業流体10に接触する接触面積が大きくなる。これにより、配管における加速度の大きな変位に対して、ロッド34及びピストン37が大きく変位しようとする際に、ロッド34及びピストン37の変位に伴う圧縮力に伴って一時的に凝固する作業流体10の面積が大きくなる。このため、より効果的に、急激なピストン37の移動を阻止することができ、急激な振動に対して配管の変位を拘束することができる。
【0038】
なお、第2の実施形態では、ピストン37の表面及びピストン側ロッド部34aを蛇腹加工する例としたが、らせん状に加工してもよく、表面積を大きくする加工であれば種々の形態を適用することができる。
【0039】
3.第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態に係るスナッバについて説明する。図4は、本発明の第3の実施形態に係るスナッバ40において、シリンダ2の長手方向に直交する方向においてピストン47側の断面を見たときの概略断面構成図である。図4において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。また、第3の実施形態におけるシリンダ2の長手方向に沿う方向における概略断面構成図は図1と同様であるので、図示を省略する。第3の実施形態に係るスナッバ40は、第1の実施形態に係るスナッバ1に対してピストン47の形状のみが異なる例である。
【0040】
第3の実施形態に係るスナッバ40のピストン47は、真円状の板状部材で構成され、複数の貫通孔48が設けられている。ピストン47は、シリンダ2の内壁面に接触しない程度の大きで構成されている。また、貫通孔48は、例えば、ピストン47が接続される中心部の周囲に等間隔に設けられている。さらに、貫通孔48の径は、緩やかなピストン47の変位に対して、粘性のある作業流体10が貫通孔48内を移動できる大きさに構成されている。すなわち、ピストン47は、作業流体10の流動性を許容するように構成されている。
【0041】
第3の実施形態では、配管の微小な振動に起因するピストン47の変位に対しては、作業流体10が貫通孔48を移動するため、ピストン47を挟むシリンダ2内の領域において作業流体10の流動性を阻害しない。このため、微小な振動に対しては配管の変位を拘束しない。一方、急激な振動に起因するピストン47の変位に対しては、ピストン47の第1押圧面47aや第2押圧面(図示を省略する)に接触している部分の作業流体10が一時的に凝固することにより、ピストン47の移動が制限される。これにより、急激な振動に起因する配管の変位を拘束することができる。
【0042】
上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成について他の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…スナッバ、2…シリンダ、2a…本体部、2b…第1側面部、2c…第2側面部、3…配管支持部、4…ロッド、5…連結部、6…ターンバックル、7…ピストン、7a…第1押圧面、7b…第2押圧面、8…固定軸、9…固定ブラケット、10…作業流体、11…軸受、12…封止部材、13…取付ブラケット、14…連結ピン、15…ピン、16…第1固定部、17…第2固定部、18…スナッバ本体、19…断熱材、20…配管支持部本体、100…壁面
図1
図2
図3
図4