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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190393
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】エレベータのドア装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/12 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B66B13/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098694
(22)【出願日】2021-06-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307CB04
(57)【要約】
【課題】かごの移動時にかご及び乗場のうちの一方のドアの係合部と他方のドアの被係合部との干渉を防ぐことができるエレベータのドア装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、かごドア及び乗場ドアのうちの一方のドアと、該一方のドアにおける他方のドアと対向する対向面に配置され、他方のドアに設けられた被係合部を挟み込み可能な一対の挟持面を有する係合部と、係合部を駆動する駆動機構と、を備え、一対の挟持面は、開閉方向に間隔をあけた位置においてそれぞれ上下方向に延びる一対の回動軸周りに回動可能であり、駆動機構は、一方のドアの戸開動作に連動して被係合部を挟み込む挟持位置まで各挟持面を回動させると共に、一方のドアの戸閉動作に連動して被係合部を解放する解放位置まで各挟持面を回動させる、ことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごドア及び乗場ドアのうちの一方のドアと、
前記一方のドアにおける前記かごドア及び前記乗場ドアのうちの他方のドアと対向する対向面に配置され、前記他方のドアに設けられた被係合部を挟み込み可能な一対の挟持面を有する係合部と、
前記係合部を駆動する駆動機構と、を備え、
前記一対の挟持面は、前記一方のドアの開閉方向に間隔をあけた位置においてそれぞれ上下方向に延びる一対の回動軸周りに回動可能であり、
前記駆動機構は、前記一方のドアの戸開動作に連動して、前記被係合部を挟み込む挟持位置まで各挟持面を互いに接近する方向に回動させると共に、前記一方のドアの戸閉動作に連動して、前記被係合部を解放する解放位置まで各挟持面を互いに離間する方向に回動させる、エレベータのドア装置。
【請求項2】
前記一対の挟持面が前記解放位置のときの前記一対の回動軸の間隔は、前記開閉方向における前記被係合部の寸法より大きな第一間隔であり、
前記駆動機構は、前記一対の挟持面が前記挟持位置まで回動したときに、前記一対の回動軸の間隔が前記開閉方向における前記被係合部の寸法と対応し且つ前記第一間隔より小さな第二間隔になるように、前記一対の回動軸のうちの少なくとも一方の回動軸を移動させる、請求項1に記載のエレベータのドア装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記挟持位置の前記挟持面に対し、前記他方のドアを前記一方のドアの開閉動作に追従させるときに該挟持面に加わる前記被係合部からの力より大きな力が加わったときに、該大きな力が加わった該挟持面の前記挟持位置から前記解放位置側への回動を許容する、請求項1又は2に記載のエレベータのドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかご又は乗場に配置されるエレベータのドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、かごドアを開閉するときに、該かごドアの係合部を乗場ドアの被係合部に係合させることで、かごドアの開閉動作に乗場ドアを追従させるかごドア装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、このかごドア装置は、かごドアと、かごドアの開閉方向に間隔をあけ且つそれぞれが上下方向に延びる一対の挟持部材、及びかごドアの開閉動作に応じて一対の挟持部材を駆動する駆動機構を有し、かごドアに配置される係合部と、を備える。
【0004】
係合部において、一対の挟持部材は、平行を維持しつつ互いの間隔を変更可能に構成される。また、駆動機構は、かごが乗場に着床した状態、即ち、かごドアと乗場ドアとが対向した状態でかごドアが開閉動作する際に、かごドアの戸開動作に連動して一対の挟持部材を間隔が小さくなるように駆動することで一対の挟持部材に乗場ドアの被係合部を挟持させると共に、かごドアの戸閉動作に連動して一対の挟持部材を間隔が大きくなるように駆動することで被係合部を解放させる。
【0005】
このかごドア装置では、一対の挟持部材が乗場ドアの被係合部を挟み込んだ状態(即ち、係合部が被係合部と係合した状態)でかごドアが開閉動作することで、乗場ドアを該かごドアの開閉動作に追従させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6758539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなかごドア装置では、かごドアの開閉動作に対する乗場ドアの追従性を確保するために、かごドアが戸開し始めて直ぐに係合部と被係合部とが係合する、即ち、一対の挟持部材が被係合部を直ぐに挟み込めるよう、被係合部と係合していない状態での各挟持部材と被係合部との間隔は、狭くなっている。
【0008】
このため、係合部及び被係合部の取付誤差や移動時のかごのゆれ等によって、かごが乗場を通過する際のかごドアの係合部と乗場ドアの被係合部との干渉が懸念される。
【0009】
そこで、本発明は、かごの移動時においてかご及び乗場のうちの一方のドアの係合部と他方のドアの被係合部との干渉を防ぐことができるエレベータのドア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエレベータのドア装置は、
かごドア及び乗場ドアのうちの一方のドアと、
前記一方のドアにおける前記かごドア及び前記乗場ドアのうちの他方のドアと対向する対向面に配置され、前記他方のドアに設けられた被係合部を挟み込み可能な一対の挟持面を有する係合部と、
前記係合部を駆動する駆動機構と、を備え、
前記一対の挟持面は、前記一方のドアの開閉方向に間隔をあけた位置においてそれぞれ上下方向に延びる一対の回動軸周りに回動可能であり、
前記駆動機構は、前記一方のドアの戸開動作に連動して、前記被係合部を挟み込む挟持位置まで各挟持面を互いに接近する方向に回動させると共に、前記一方のドアの戸閉動作に連動して、前記被係合部を解放する解放位置まで各挟持面を互いに離間する方向に回動させる。
【0011】
かかる構成によれば、一方のドアが全閉状態では、各挟持面が挟持位置から解放位置まで回動した状態であるため、被係合部と各挟持面との間に十分な間隔が形成され、これにより、かごの移動時におけるかご及び乗場のうちの一方のドアの係合部と他方のドアの被係合部との干渉を防ぐことができる。
【0012】
前記エレベータのドア装置では、
前記一対の挟持面が前記解放位置のときの前記一対の回動軸の間隔は、前記開閉方向における前記被係合部の寸法より大きな第一間隔であり、
前記駆動機構は、前記一対の挟持面が前記挟持位置まで回動したときに、前記一対の回動軸の間隔が前記開閉方向における前記被係合部の寸法と対応し且つ前記第一間隔より小さな第二間隔になるように、前記一対の回動軸のうちの少なくとも一方の回動軸を移動させてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、一対の挟持面(係合部)がより強固に被係合部を挟み込み、これにより、一方のドアの開閉動作に対する他方のドアの追従性がより向上する。
【0014】
また、前記エレベータのドア装置では、
前記駆動機構は、前記挟持位置の前記挟持面に対し、前記他方のドアを前記一方のドアの開閉動作に追従させるときに該挟持面に加わる前記被係合部からの力より大きな力が加わったときに、該大きな力が加わった該挟持面の前記挟持位置から前記解放位置側への回動を許容してもよい。
【0015】
かかる構成によれば、挟持面に対して被係合部による開閉方向への所定の力(他方のドアを一方のドアの開閉動作に追従させるときに該挟持面に加わる被係合部からの力)より大きな力が加わったときに挟持面が挟持位置から解放位置側へ逃げることができ、これにより、係合部及び被係合部の損傷を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上より、本発明によれば、かごの移動時においてかご及び乗場のうちの一方のドアの係合部と他方のドアの被係合部との干渉を防ぐことができるエレベータのドア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態のエレベータの構成を示す模式図である。
図2図2は、前記エレベータが備えるかごの正面図である。
図3図3は、前記かごが戸閉状態のときのドア装置の係合部の正面図である。
図4図4は、前記戸閉状態のときの前記係合部の平面図である。
図5図5は、前記かごが戸開状態のときの前記ドア装置の前記係合部の正面図である。
図6図6は、前記戸開状態のときの前記ドア装置の前記係合部の平面図である。
図7図7は、他実施形態に係る係合部の正面図である。
図8図8は、他実施形態に係る係合部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図1図6を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態に係るエレベータのドア装置(以下、単に「ドア装置」とも称する。)は、図1に示すような、利用者が乗降するかご110と、建物内等に形成され、内部をかご110が移動する移動路120と、を備えるエレベータ100において、かご110の出入口111を開閉する。即ち、かご110は、出入口111を有するかご本体112と、かご本体112に配置されて出入口111を開閉するドア装置1と、を有する。
【0020】
本実施形態のエレベータ100の移動路120は、かご110が上下方向に移動(昇降)可能な上下移動路121と、上下移動路121の所定の高さ位置においてかご110が水平方向に移動可能な横移動路122と、を含む。即ち、本実施形態のエレベータ100では、かご110は、上下方向の移動に加え、水平方向(横方向)の移動も可能である。
【0021】
このかご110の駆動方式は限定されない。例えば、上下移動路121内に配置される上下方向に延びる軌道(レール等)と、横移動路122内に配置される水平方向に延びる軌道(レール等)とに対し、かご110が係合した状態で自走等する構成でもよく、リニアモータ等を利用して磁力によって上下方向及び水平方向に移動する構成でもよく、上下移動路121内を移動するときには、上下方向に移動する台車等にかご110が保持され、横移動路122内を移動するときには、水平方向に移動する台車等にかご110が保持される構成等でもよい。
【0022】
ドア装置1は、図2にも示すように、かご110の出入口111を開閉するかごドア(ドア)11と、乗場150に停止したときに乗場ドア151に設けられた被係合部152と係合する係合部2と、該係合部2を駆動する駆動機構Dと、を備える。また、ドア装置1は、出入口111の上方においてかごドア11を吊り下げた状態で該出入口111の幅方向(図2における左右方向:以下、「開閉方向」とも称する。)に往復動可能なドアハンガー12と、ドアハンガー12を案内するガイドレール13と、かごドア11を開閉方向に移動させるドア駆動装置14と、を備える。本実施形態のドア装置1では、かごドア11とドアハンガー12とによって、開閉部材10が構成されている。また、本実施形態のドア装置1は、いわゆる片開き式のドア装置であり、一つのかごドア11を有する。また、本実施形態の乗場ドア151の被係合部152は、かご110の出入り方向に延びる軸と、該軸を回転軸とするローラとを備える、いわゆるキャッチローラである。
【0023】
ドア駆動装置14は、ガイドレール13の上方位置において開閉方向に間隔をあけて配置される複数のプーリー141と、複数のプーリー141に巻き掛けられた環状の第一無端ベルト142と、複数のプーリー141のうちの所定のプーリー141aを回転駆動するモータ143と、該モータ143と所定のプーリー141aとに巻き掛けられた第二無端ベルト144と、を有する。
【0024】
ガイドレール13は、かご110の出入口111の上方において開閉方向に延び、かごドア11(詳しくは、かごドア11を吊り下げた状態のドアハンガー12)を開閉方向に案内する。本実施形態のガイドレール13は、一つのかごドア11を開閉方向に案内する。このかごドア11は、それぞれ上下に長尺な矩形のパネル状である。
【0025】
ドアハンガー12は、ドア駆動装置14の第一無端ベルト142に接続され、且つかごドア11を直接又は間接に吊り下げた状態でガイドレール13に沿って往復動可能である。本実施形態のドアハンガー12は、かごドア11を直接吊り下げた状態でドア駆動装置14からの動力によってガイドレール13に沿って往復動する。
【0026】
係合部2は、かご110が所定の乗場150に停止したときに該乗場150の乗場ドア151に設けられた被係合部152と係合することで、かごドア11が開閉したときの該かごドア11の動き(開閉動作)に乗場ドア151を追従させる。本実施形態の係合部2は、かごドア11においてかご110が乗場150に停止したときに乗場ドア151と対向する面(対向面)11aに配置される。この係合部2は、乗場ドア151に設けられた被係合部152を挟み込み可能な一対の挟持面721A、821Aを有する。この一対の挟持面721A、821Aは、開閉方向に間隔をあけた位置においてそれぞれ上下方向に延びる一対の回動軸71、81周りに回動可能である。
【0027】
具体的に、係合部2は、図3図6にも示すように、かごドア11の開閉動作に応じて開閉方向に接離(接近及び離間)する一対の接離部(第一接離部3及び第二接離部4)と、各接離部3、4を開閉方向に案内するガイド部5と、第一接離部3と第二接離部4との間に配置される少なくとも一つの伝達部材6と、一対の接離部3、4の接離に応じて乗場ドア151の被係合部152を挟み込み可能な一対の挟持部(第一挟持部7及び第二挟持部8)と、を備える。
【0028】
第一接離部3は、かごドア11の開閉動作に応じて該かごドア11に対して開閉方向に相対移動する接離部本体31と、接離部本体31を戸閉方向に付勢可能な付勢部32と、かごドア11が戸閉するときに接離部本体31を戸開方向に押圧可能な押圧部33と、を有する。
【0029】
接離部本体31は、上下方向に延びる第一部位311と、第一部位311から戸閉方向に延びる第二部位312と、第一部位311から戸開方向に延びる第三部位313と、を有する。本実施形態の接離部本体31は、第一部位311において上下方向における第三部位313と異なる位置から戸開方向に延びる延伸部314も有する。本実施形態の接離部本体31において、これら第一部位311、第二部位312、第三部位313、及び延伸部314は、一体に形成されている。また、接離部本体31は、複数の軸受け部315と、複数のラックギア316、317、318と、を有する。
【0030】
第一部位311は、かごドア11に対して開閉方向に相対移動可能にガイド部5と係合している。本実施形態の第一部位311は、上下方向の各位置での横断面が開閉方向に長尺な矩形状となる角柱状である。
【0031】
第二部位312は、第一部位311の上端部から戸閉方向に延びている。本実施形態の第二部位312は、開閉方向の各位置での横断面が上下方向に長尺な矩形状となる角柱状である。
【0032】
第三部位313は、第一部位311の下端部から戸開方向に延びている。本実施形態の第三部位313は、開閉方向の各位置での横断面が上下方向に長尺な矩形状となる角柱状である。
【0033】
延伸部314は、第一部位311の上端部から戸開方向に延びている。即ち、延伸部314は、第一部位311の上端部から第二部位312と反対方向に延びている。本実施形態の延伸部314は、開閉方向の各位置での横断面が円形となる円柱状である。
【0034】
複数の軸受け部315のそれぞれは、かごドア11の側と反対側(乗場ドア151側)に向けて第一部位311から突出し、これら複数の軸受け部315は、上下方向に間隔をあけて配置されている。各軸受け部315は、上下方向に貫通する穴315aを有する。本実施形態の第一接離部3には、二つの軸受け部315が配置されている。
【0035】
複数のラックギア316、317、318は、第二部位312と第三部位313とに配置されている。これら複数のラックギア316、317、318は、第一接離部3の動作を利用して第二接離部4を動作させるのに用いられるものと、第一接離部3の動作を利用して第二挟持部8を動作させるのに用いられるものと、を含む。本実施形態の第一接離部3には、三つのラックギア316、317、318が配置されており、二つのラックギア316、317が第二部位312に配置されると共に、一つのラックギア318が第三部位313に配置されている。
【0036】
具体的に、ラックギア316は、第二部位312におけるかごドア11の側とは反対側(即ち、かご110の乗場150での停止時に乗場ドア151)を向いた面312aにおいて、開閉方向における第二挟持部8と対応する位置(範囲)に配置されている。このラックギア316は、開閉方向に延び、上下方向に延びる複数の歯が開閉方向に並んでいる。
【0037】
また、ラックギア317は、第二部位312における下方を向いた面312bにおいて第二接離部4と対向する位置に配置されている。このラックギア317は、開閉方向に延び、かご110の出入り方向(以下、「出入り方向」とも称する。)に延びる複数の歯が開閉方向に並んでいる。
【0038】
また、ラックギア318は、第三部位313における下方を向いた面313aにおいて第二接離部4と対向する位置に配置されている。このラックギア318は、開閉方向に延び、出入り方向に延びる複数の歯が開閉方向に並んでいる。
【0039】
付勢部32は、少なくともかごドア11が全閉状態のときに、接離部本体31を戸閉方向に付勢する。この付勢部32は、かごドア11の対向面11aに固定されている固定部321と、付勢力を発生させる第一弾性部材322と、を有する。
【0040】
固定部321は、かごドア11に固定されることで、該かごドア11に対する第一弾性部材322の端部位置を規定する。具体的に、固定部321は、かごドア11の対向面11aから該対向面11aの法線方向に延び、開閉方向に貫通する穴321aを有する。この固定部321は、第一部位311の上端部と対応する位置において該上端部から戸開方向に間隔をあけた位置に配置されている。固定部321の穴321aには、接離部本体31の延伸部314が開閉方向に相対移動可能に挿通されている。
【0041】
第一弾性部材322は、固定部321と第一部位311の上端部との間に配置される。具体的に、第一弾性部材322は、かごドア11の戸閉時に接離部本体31(詳しくは、第一部位311の上端部)が固定部321に接近することで弾性変形し又は弾性変形量を増大させる。これにより、第一弾性部材322において、第一接離部3を戸閉方向に付勢する付勢力(弾性力)が生じる又は増大する。
【0042】
本実施形態の第一弾性部材322は、開閉方向に伸縮するつるまきバネであり、延伸部314の周囲に配置されている。即ち、延伸部314が第一弾性部材322の内側を螺旋中心に沿って延びている。これにより、第一弾性部材322が伸縮しても、固定部321と第一部位311の上端部との間における第一弾性部材322の位置が保持される。
【0043】
押圧部33は、かごドア11が戸閉するときに、接離部本体31を戸開側に押圧する。この押圧部33は、かごドア11が戸閉するとき、詳しくは、全閉状態になる直前に、かご110の出入口111の上方、例えば、ドア装置1のガイドレール13やその近傍において、開閉方向における全閉状態のかごドア11の戸閉側の端部と対応する位置(以下、「戸閉終端部」とも称する。)に配置された止め部9(図3及び図4参照)に当接する当接部331と、第二部位312と当接部331との間に配置される第二弾性部材332と、第二部位312の戸閉側の端部と当接部331とを接続する接続部333と、を有する。
【0044】
当接部331は、出入り方向に延びる軸3311を有するローラ保持部3312と、軸3311周りに回転自在なローラ3313と、を有する。
【0045】
第二弾性部材332は、第二部位312の戸閉側の端部と当接部331のローラ保持部3312との間に配置される。具体的に、第二弾性部材332は、かごドア11の戸閉時に止め部9に当接した当接部331が第二部位312に接近することで弾性変形し又は弾性変形量を増大させる。これにより、第二弾性部材332において、第一接離部3を戸開方向に押圧する押圧力(弾性復帰力)が発生する又は増大する。本実施形態の第二弾性部材332は、開閉方向に伸縮するつるまきバネである。
【0046】
接続部333は、第二部位312の戸閉側の端部から戸閉方向に当接部331(詳しくは、ローラ保持部3312)まで延びている。この接続部333は、開閉方向に伸縮可能である。この接続部333の伸縮により、開閉方向における第二部位312(接離部本体31)と当接部331との間隔が変更する。本実施形態の接続部333は、当接部331が止め部9に当接せず且つ接続部333が最も伸びた状態のときに当接部331が開閉方向におけるかごドア11の戸閉側の端縁位置から戸閉側に突出するような長さに設定されている(図5及び図6参照)。尚、図5において上下方向に延びる二点鎖線は、かごドア11の戸閉側の端縁位置を示す仮想線である。
【0047】
また、接続部333は、第二弾性部材(つるまきバネ)332の内側を螺旋中心に沿って延びている。これにより、第二弾性部材332が伸縮しても、第二部位312と当接部331との間における第二弾性部材332の位置が保持される。本実施形態の接続部333は、円柱状である。
【0048】
第二接離部4は、かごドア11の開閉動作に応じて第一接離部3に対して開閉方向に接離(接近及び離間)する。この第二接離部4は、上下方向に延びる第一部位41と、第一部位41から戸閉方向に延びる第二部位42と、第一部位41から戸開方向に延びる第三部位43と、を有する。本実施形態の第二接離部4において、これら第一部位41、第二部位42、及び第三部位43は、一体に形成されている。また、第二接離部4は、複数の軸受け部45と、複数のラックギア46、47、48と、を有する。
【0049】
第一部位41は、第一接離部3の第一部位311の戸閉側において、かごドア11に対して開閉方向に相対移動可能にガイド部5と係合している。本実施形態の第一部位41は、第一接離部3の第一部位311と開閉方向の戸閉側に間隔をあけた位置で上下方向に延びている。即ち、第二接離部4の第一部位41は、第一接離部3の第一部位311と平行である。第一部位41の上端は、第一接離部3の第一部位311の上端、より詳しくは第一接離部3の第二部位312より下方位置である。また、第一部位41の下端は、第一接離部3の第一部位311の下端、より詳しくは、第一接離部3の第三部位313より下方位置である。この第一部位41は、第一接離部3の第一部位311と同様に、上下方向の各位置での横断面が開閉方向に長尺な矩形状となる角柱状である。
【0050】
第二部位42は、第一部位41の上端部から戸閉方向に延びている。この第二部位42は、第一接離部3の第二部位312の下側において戸閉方向に延びている。詳しくは、第二部位42は、第一接離部3の第二部位312と上下方向の下側に間隔をあけた位置で該第二部位312と平行に延びている。本実施形態の第二部位42は、第一接離部3の第二部位312と同様に、開閉方向の各位置での横断面が上下方向に長尺な矩形状となる角柱状である。
【0051】
第三部位43は、第一部位41の下端部から戸開方向に延びている。この第三部位43は、第一接離部3の第三部位313の下側において戸開方向に延びている。詳しくは、第三部位43は、第一接離部3の第三部位313と上下方向の下側に間隔をあけた位置で該第三部位313と平行に延びている。本実施形態の第三部位43は、第一接離部3の第三部位313と同様に、開閉方向の各位置での横断面が上下方向に長尺な矩形状となる角柱状である。
【0052】
複数の軸受け部45のそれぞれは、かごドア11の側と反対側(乗場ドア151側)に向けて第一部位41から突出し、これら複数の軸受け部45は、上下方向に間隔をあけて配置されている。各軸受け部45は、上下方向に貫通する穴45aを有する。本実施形態の第二接離部4には、二つの軸受け部45が配置されており、各軸受け部45は、上下方向において、第一接離部3の複数の軸受け部315のうちの対応する軸受け部315と同じ高さ位置に配置されている。
【0053】
複数のラックギア46、47、48は、第二部位42と第三部位43とに配置されている。これら複数のラックギア46、47、48は、第一接離部3の動作を利用して第二接離部4を動作させるのに用いられるものと、第二接離部4の動作を利用して第一挟持部7を動作させるのに用いられるものと、を含む。本実施形態の第二接離部4には、三つのラックギア46、47、48が配置されており、一つのラックギア46が第二部位42に配置されると共に、二つのラックギア47、48が第三部位43に配置されている。
【0054】
具体的に、ラックギア46は、第二部位42における上方を向いた面42aにおいて第一接離部3の第二部位312と対向する位置に配置されている。詳しくは、ラックギア46は、第二部位42において、第一接離部3(第一部位311)と第二接離部4(第一部位41)とが最も接近したときから最も離間したときまで上下方向から見て第一接離部3のラックギア317の少なくとも一部と重なるような範囲(開閉方向の範囲)に配置されている。このラックギア46は、開閉方向に延び、出入り方向に延びる複数の歯が開閉方向に並んでいる。
【0055】
また、ラックギア47は、第三部位43における上方を向いた面43bにおいて第一接離部3の第三部位313と対向する位置に配置されている。詳しくは、ラックギア47は、第三部位43において、第一接離部3(第一部位311)と第二接離部4(第一部位41)とが最も接近したときから最も離間したときまで上下方向から見て第一接離部3のラックギア318の少なくとも一部と重なるような範囲(開閉方向の範囲)に配置されている。このラックギア47は、開閉方向に延び、出入り方向に延びる複数の歯が開閉方向に並んでいる。
【0056】
また、ラックギア48は、第三部位43におけるかごドア11の側とは反対側(乗場ドア151側)を向いた面43aにおいて、開閉方向における第一挟持部7と対応する位置(範囲)に配置されている。このラックギア48は、開閉方向に延び、上下方向に延びる複数の歯が開閉方向に並んでいる。
【0057】
ガイド部5は、開閉方向に延び、かごドア11の対向面11aに固定されている。このガイド部5は、第一接離部3の第一部位311が該ガイド部5に対して開閉方向に相対移動可能に該第一部位311と係合すると共に、第二接離部4の第一部位41が該ガイド部5に対して開閉方向に相対移動可能に該第一部位41と係合している。このように、ガイド部5が各第一部位311、41を開閉方向にそれぞれ案内することで、第一部位311、41同士が開閉方向に接離(接近及び離間)できる。
【0058】
少なくとも一つの伝達部材6は、第一接離部3が開閉方向に動くときの動力を第二接離部4に伝達する。本実施形態の係合部2は、二つの伝達部材6a、6bを備える。二つの伝達部材のうちの一方の伝達部材6aは、第二部位312、42間に配置され、他方の伝達部材6bは、第三部位313、43間に配置されている。
【0059】
本実施形態の各伝達部材6a、6bは、かごドア11から出入り方向に延びる軸S周りに回転自在の歯車(ピニオンギア)である。この軸Sのかごドア11に対する位置は、固定されている。
【0060】
一方の伝達部材6aは、上下方向において互いに対向する第二部位312、42のラックギア317、46間に配置され、これら各ラックギア317、46とそれぞれ噛み合っている。また、他方の伝達部材6bは、上下方向において互いに対向する第三部位313、43のラックギア318、47間に配置され、これら各ラックギア318、47とそれぞれ噛み合っている。
【0061】
第一挟持部7は、第一挟持面(挟持面)721Aを有し、第一接離部3に配置されている。具体的に、この第一挟持部7は、上下方向に延びる第一回動軸(回動軸)71と、第一回動軸71に取り付けられている第一プレート部72と、第一回動軸71に取り付けられる第一歯車73と、を有する。
【0062】
第一回動軸71は、第一接離部3の第一部位311に配置された各軸受け部315の穴315aに挿通された状態で上下方向に延びている。この第一回動軸71は、上下方向に延びる円柱状の軸部材であり、上下方向に延びる中心線C1周りに回動自在に各軸受け部315に支持(保持)されている。本実施形態の第一回動軸71は、上下方向において、少なくとも、複数の軸受け部315のうちの最も上方に配置された軸受け部315と対応する位置から第二接離部4の第三部位43に配置されたラックギア48と対応する位置まで延びている。
【0063】
第一プレート部72は、中心線C1周りの第一回動軸71の回動に伴って回動する板状の部位である。具体的に、第一プレート部72は、板状の第一プレート本体721と、第一回動軸71を保持する第一プレート取付部722と、を有する。本実施形態の第一プレート部72は、上下方向における二つの軸受け部315の間に配置されている。
【0064】
第一プレート本体721は、上下方向に長尺な矩形板状の部位である。この第一プレート本体721の一方の面721Aは、係合部2が乗場ドア151の被係合部152と係合するときに該被係合部152を挟み込む一対の挟持面のうちの一方である。即ち、第一プレート部72(詳しくは、第一プレート本体721)は、挟持面721Aを有する。
【0065】
第一プレート取付部722は、第一プレート本体721の一つの長辺に沿って(上下方向に)延び且つ第一回動軸71を該第一回動軸71の周方向に囲んでいる円柱状の部位である。
【0066】
第一歯車73は、第一回動軸71において第二接離部4のラックギア48と対応する位置に取り付けられ、該ラックギア48と噛み合っている。これにより、第一接離部3と第二接離部4とが開閉方向に接離(相対移動)したときに、この接離に伴って第一回動軸71が中心線C1周りに回動する。このとき、第一プレート部72が第一回動軸71に取り付けられているため、この第一回動軸71の回動に伴って第一プレート部72が第一回動軸71(中心線C1)周りに回動する。
【0067】
第二挟持部8は、第二挟持面(挟持面)821Aを有し、第二接離部4に配置されている。具体的に、この第二挟持部8は、上下方向に延びる第二回動軸(回動軸)81と、第二回動軸81に取り付けられている第二プレート部82と、第二回動軸81に取り付けられる第二歯車83と、を有する。
【0068】
第二回動軸81は、第二接離部4の第一部位41に配置された各軸受け部45の穴45aに挿通された状態で上下方向に延びている。この第二回動軸81は、上下方向に延びる円柱状の軸部材であり、上下方向に延びる中心線C2周りに回動自在に各軸受け部45に支持(保持)されている。本実施形態の第二回動軸81は、上下方向において、少なくとも、第一接離部3の第二部位312に配置されたラックギア316と対応する位置から複数の軸受け部45のうちの最も下方に配置された軸受け部45と対応する位置まで延びている。
【0069】
第二プレート部82は、第一プレート部72と同じ構成の部位である。この第二プレート部82は、中心線C2周りの第二回動軸81の回動に伴って回動する板状の部位である。具体的に、第二プレート部82は、板状の第二プレート本体821と、第二回動軸81を保持する第二プレート取付部822と、を有する。本実施形態の第二プレート部82は、上下方向における二つの軸受け部45の間に配置されている。
【0070】
第二プレート本体821は、上下方向に長尺な矩形板状の部位である。この第二プレート本体821の一方の面821Aは、係合部2が乗場ドア151の被係合部152と係合するときに該被係合部152を挟み込む一対の挟持面のうちの他方である。即ち、第二プレート部82(詳しくは、第二プレート本体821)は、挟持面821Aを有し、該挟持面821Aは、第一プレート部72の挟持面721Aとの間に、乗場ドア151の被係合部152を挟持可能である。
【0071】
第二プレート取付部822は、第二プレート本体821の一つの長辺に沿って(上下方向に)延び且つ第二回動軸81を該第二回動軸81の周方向に囲んでいる円柱状の部位である。
【0072】
第二歯車83は、第二回動軸81において第一接離部3のラックギア316と対応する位置に取り付けられ、該ラックギア316と噛み合っている。これにより、第一接離部3と第二接離部4とが開閉方向に接離(相対移動)したときに、この接離に伴って第二回動軸81が中心線C2周りに回動する。このとき、第二プレート部82が第二回動軸81に取り付けられているため、この第二回動軸81の回動に伴って第二プレート部82が第二回動軸81(中心線C2)周りに回動する。
【0073】
以上のように構成される係合部2は、かご110が乗場150に停止した状態、即ち、かごドア11が乗場ドア151と対向した状態で、ドア駆動装置14の駆動によってかごドア11が開閉動作したときに、この開閉動作に伴って乗場ドア151の被係合部152を一対の挟持面721A、821Aによって挟み込み又は解放する。このとき、係合部2の少なくとも第一弾性部材322、各ラックギア316、317、318、46、47、48、伝達部材6a、6b、第一歯車73、及び第二歯車83は、該係合部2を駆動する駆動機構Dを構成している。
【0074】
この駆動機構Dは、かごドア11の戸開動作に連動して、乗場ドア151の被係合部152を挟み込む挟持位置P1(図6に示す位置)まで各挟持面721A、821A(各プレート部72、82)を互いに接近する方向に回動させると共に、かごドア11の戸閉動作に連動して、被係合部152を解放する解放位置P2(図4に示す位置)まで各挟持面721A、821A(各プレート部72、82)を互いに離間する方向に回動させる。本実施形態の係合部2において、挟持位置P1は、各プレート部72、82の挟持面721A、821Aが互いに平行又は略平行となる位置であり、解放位置P2は、各プレート部72、82の挟持面721A、821Aがかごドア11(詳しくは、対向面11a)と平行又は略平行となる位置である。
【0075】
具体的に、かごドア11が全閉状態から戸開動作を行うとき(図3に示す状態から図5に示す状態に向かう動作時)は、かごドア11の戸開方向への移動に伴って第一接離部3の固定部321が、かご110の出入口111周辺の戸閉終端部に配置された止め部9に対して戸開方向に離間する。これにより、押圧部33による第一接離部3の戸開方向への押圧力が小さくなり又は無くなるため、第一接離部3が、付勢部32の第一弾性部材322による戸閉方向への付勢(弾性復帰力)によってかごドア11(固定部321)に対して戸閉方向に相対移動する。
【0076】
また、全閉状態では第二弾性部材332が弾性圧縮された状態であるため(図3及び図4参照)、かごドア11が戸開方向に移動して止め部9から離れるのに伴って、第二弾性部材332の弾性力(弾性復帰力)によって当接部331が第二部位312に対して戸閉側に押圧され、これにより、第二部位312と当接部331とを接続する接続部333が開閉方向に伸びる。この接続部333が最も伸びた状態では、当接部331(ローラ3313)がかごドア11の戸閉側の端縁より戸閉側に突出している(図5及び図6参照)。
【0077】
このとき、一方の伝達部材6aは、軸Sのかごドア11に対する位置が固定された状態で第二部位312のラックギア316と第二部位42のラックギア46とのそれぞれと噛み合い、且つ、他方の伝達部材6bは、軸Sのかごドア11に対する位置が固定された状態で第三部位313のラックギア318と第三部位43のラックギア47とのそれぞれと噛み合っている。このため、第一接離部3がかごドア11に対して戸閉方向へ相対移動すると、この動きが伝達部材6a、6bを介して第二接離部4に伝達され、これにより、第一接離部3の戸閉方向への相対移動と同期して第二接離部4がかごドア11に対して戸開方向へ相対移動する。即ち、第一接離部3の第一部位311と第二接離部4の第一部位41とが開閉方向において接近する。
【0078】
第一接離部3と第二接離部4とが接近するときに、第一接離部3(第二部位312)のラックギア316によって第二挟持部8の第二歯車83が回動し、これにより、第二プレート部82が第二回動軸81周りに解放位置P2から挟持位置P1まで回動する。また、この第二プレート部82の回動と同期して、第二接離部4(第二部位42)のラックギア46によって第一歯車73が回動し、これにより、第一プレート部72が第一回動軸71周りに解放位置P2から挟持位置P1まで回動する。この第一プレート部72と第二プレート部82との回動によって、一対の挟持面721A、821Aが乗場ドア151の被係合部152を挟み込む。
【0079】
また、本実施形態の係合部2では、一対の挟持面721A、821A、即ち、第一プレート部72と第二プレート部82との解放位置P2から挟持位置P1への各回動に伴って第一接離部3の第一部位311と第二接離部4の第一部位41との開閉方向の間隔が小さくなるため、第一プレート部72と第二プレート部82とがそれぞれ解放位置P2のときの一対の回動軸(第一回動軸71と第二回動軸81)の間隔(第一間隔)d1より、挟持位置P1のときの一対の回動軸71、81の間隔(第二間隔)d2が小さいくなっている。これにより、本実施形態の係合部2では、一対の挟持面721A、821Aが被係合部152を強固に挟み込むことができる。本実施形態において、第一間隔d1は、開閉方向における被係合部152の寸法d11より大きく、第二間隔d2は、被係合部152の寸法d11と対応し且つ第一間隔d1より小さい。
【0080】
このように第一プレート部72と第二プレート部82とによって乗場ドア151の被係合部152が挟み込まれた状態(係合部2が被係合部152と係合した状態)でかごドア11が更に戸開側に移動すると、乗場ドア151がかごドア11に追従して戸開方向に移動する。
【0081】
一方、かごドア11が全開状態から戸閉動作を行うとき(図5に示す状態から図3に示す状態に向かう動作時)は、一対のプレート部72、82が被係合部152挟み込んだ状態、即ち、係合部2が被係合部152と係合した状態で、かごドア11が戸閉動作をするため、該かごドア11の戸閉動作に追従して乗場ドア151が戸閉動作する。そして、かごドア11が全閉状態となる直前に押圧部33の当接部331がかご110の出入口111周辺の戸閉終端部に配置された止め部9に当接し、この当接後、更にかごドア11が戸閉方向に移動することで、第一接離部3が押圧部33に押圧され、これにより、かごドア11に対して戸開方向に移動する。
【0082】
このとき、第一接離部3の固定部321がかごドア11の戸閉動作に伴って止め部9に対し開閉方向において接近することで、第一接離部3の付勢部32では、第一弾性部材322が開閉方向に弾性圧縮され(弾性変形し又は弾性変形量が増大し)、これにより、第一接離部3を戸閉方向に付勢する付勢力が発生し又は増大する。
【0083】
このように、第一接離部3がかごドア11に対して戸開側へ相対移動すると、この動きが伝達部材6a、6bを介して第二接離部4に伝達され、これにより、第一接離部3の戸開方向への相対移動と同期して第二接離部4がかごドア11に対して戸閉方向へ相対移動する。即ち、第一接離部3の第一部位311と第二接離部4の第一部位41とが開閉方向において離間する。
【0084】
この第一接離部3と第二接離部4とが離間するときに、第一接離部3(第二部位312)のラックギア316によって第二挟持部8の第二歯車83が回動し、これにより、第二プレート部82が第二回動軸81周りに挟持位置P1から解放位置P2まで回動する。また、この第二プレート部82の回動と同期して、第二接離部4(第三部位43)のラックギア48によって第一歯車73が回動し、これにより、第一プレート部72が第一回動軸71周りに挟持位置P1から解放位置P2まで回動する。この第一プレート部72と第二プレート部82との回動によって、一対の挟持面721A、821Aによって挟持されていた乗場ドア151の被係合部152が解放される。
【0085】
また、本実施形態の係合部2では、一対の挟持面721A、821A、即ち、第一プレート部72と第二プレート部82との挟持位置P1から解放位置P2への回動に伴って第一接離部3の第一部位311と第二接離部4の第一部位41との開閉方向の間隔が第二間隔d2から第一間隔d1へ大きくなる。
【0086】
このように乗場ドア151の被係合部152が第一プレート部72と第二プレート部82とによって挟み込まれた状態(被係合部152が係合部2と係合した状態)から解放されることで、かご110が移動路120内を移動可能になる。
【0087】
また、本実施形態の駆動機構Dは、挟持位置P1の各プレート部72、82(挟持面721A、821A)に対し、乗場ドア151をかごドア11の開閉動作に追従させるときに該プレート部72、82(挟持面721A、821A)に加わる被係合部152からの力より大きな力(開閉方向の力)が加わったときに、該大きな力が加わった該プレート部72、82(挟持面721A、821A)の挟持位置P1から解放位置P2側への回動を許容する。
【0088】
具体的には、かごドア11の係合部2と乗場ドア151の被係合部152とが係合状態(即ち、各プレート部72、82が挟持位置P1:図5及び図6参照)のままでかご110が横移動路122を移動したときのように、被係合部152から一方のプレート部72、82に対して開閉方向の大きな力が加わったときに、駆動機構Dの第一弾性部材322が開閉方向に縮むように弾性変形する又は弾性変形量が増大する(開閉方向に縮む)ことで、この弾性変形又は弾性変形量の増大に伴ってプレート部72、82が挟持位置P1から解放位置P2側に回動し(換言すると、前記力が加わっているプレート部72、82が挟持位置P1から解放位置P2側に回動することが許容され)、これにより、係合部2の損傷等が防がれる。
【0089】
即ち、本実施形態の第一弾性部材322は、一対のプレート部72、82が被係合部152を挟み込んだ状態でかごドア11が開閉動作したときに、該かごドア11に乗場ドア151が追従する(開閉動作する)ように、係合部2と被係合部152との係合状態(一対のプレート部72、82が被係合部152を挟み込んだ状態)を維持する一方、乗場ドア151を追従させるときにプレート部72、82に加わる力より大きな力(被係合部152を解放しなければプレート部72、82や駆動機構D等が破損する大きさの力)が加わったときに、弾性変形し又は弾性変形量を増大させてプレート部72、82を挟持位置P1から解放位置P2側に逃がす(回動する)ことができるように、ばね定数等を設定されている。
【0090】
以上のドア装置1によれば、かごドア11が全閉状態では、各プレート部72、82(各挟持面721A、821A)が挟持位置P1から解放位置P2まで回動した状態であるため、被係合部152と各プレート部72、82(各挟持面721A、821A)との間に十分な間隔(詳しくは、回動方向における十分な間隔)が形成される。これにより、かご110の移動時におけるかごドア11の係合部2と乗場ドア151の被係合部152との干渉を防ぐことができる。
【0091】
また、本実施形態のかご110は、横移動路122内を移動可能である、即ち、水平方向(図1における左右方向)にも移動可能であるが、この方向へのかご110の移動時においても、かごドア11が全閉状態では各プレート部72、82がかごドア11の対向面11aと平行な位置(解放位置)P2まで回動した状態のため(図4参照)、係合部2の被係合部152との干渉が防がれる。即ち、解放位置P2の各プレート部72、82は、かご110が乗場150に対して縦横の何れの方向に移動しても該乗場150の被係合部152との干渉が発生しない位置に収まっている。
【0092】
また、本実施形態のドア装置1では、一対のプレート部72、82(一対の挟持面721A、821A)が解放位置P2から挟持位置P1まで回動したときに、一対の回動軸(第一回動軸71と第二回動軸81)の間隔が第一間隔d1から第二間隔d2に狭くなる。このため、係合部2、即ち、一対のプレート部72、82が被係合部152をより強固に挟み込み、これにより、かごドア11の開閉動作に対する乗場ドア151の追従性がより向上する。
【0093】
また、本実施形態のドア装置1では、上記のように、駆動機構Dが、挟持位置P1のプレート部72、82(挟持面721A、821A)に対し、乗場ドア151をかごドア11の開閉動作に追従させるときに該プレート部72、82(挟持面721A、821A)に加わる被係合部152からの力より大きな力が加わったときに、該大きな力が加わった該プレート部72、82(挟持面721A、821A)の挟持位置P1から解放位置P2側への回動を許容する。このため、プレート部72、82(挟持面721A、821A)に対して被係合部152による開閉方向への所定の力(乗場ドア151をかごドア11の開閉動作に追従させるときに該プレート部72、82(挟持面721A、821A)に加わる被係合部152からの力)より大きな力が加わったときに該プレート部72、82(挟持面721A、821A)が挟持位置P1から解放位置P2側へ逃げることができる。これにより、係合部2及び被係合部152等の損傷を防ぐことができる。
【0094】
尚、本発明のエレベータのドア装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0095】
上記実施形態のドア装置1は、かご110の出入口111を開閉するように該かご110に配置されているが、この構成に限定されない。ドア装置1は、乗場150の出入口を開閉するように該乗場150に配置されていてもよい。この場合、係合部2は、乗場ドア151のかごドア11と対向する面に配置され、被係合部152はかごドア11の対向面11aに配置される。
【0096】
また、上記実施形態のドア装置1は、一つのドア11を有しているが、この構成に限定されない。ドア装置1は、二つのドア11を有し、該二つのドア11が離間及び接近することで出入口を開閉する、いわゆるセンターオープン型であってもよい。この場合、ドア装置1の二つのドア11のそれぞれに、係合部2が配置されてもよい。即ち、ドア装置1は、複数の係合部2を有していてもよい。また、一つのドア11に複数の係合部2が配置され、対応するドア151に係合部2の数と対応する数の被係合部152が配置される構成でもよい。
【0097】
上記実施形態のエレベータ100は、かご110が上下方向と水平(横)方向とに移動可能に構成されているが、この構成に限定されない。エレベータ100は、かご110が上下方向にのみ移動する(昇降する)構成でもよい。
【0098】
この場合、解放位置P2は、挟持面721A、821Aと被係合部152とが十分に離れていれば、かごドア11の対向面11aと平行な位置より挟持位置P1側に寄った位置であってもよい。また、駆動機構Dは、挟持位置P1のプレート部72、82に被係合部152から開閉方向の大きな力(乗場ドア151をかごドア11の開閉動作に追従させるときに加わる力より大きな力)が加わったときに該プレート部72、82が解放位置P2側に回動することを許容する機能(リリース機能)を備えていなくてもよい。
【0099】
また、上記実施形態のドア装置1では、係合部2における被係合部152を挟み込む部位、即ち、挟持面721A、821Aを有する部位(上記実施形態の例では、プレート部72、82)が板状であるが、この構成に限定されない。係合部2において被係合部152を挟み込む一対の部位のそれぞれは、各回動軸71、81(中心線C1、C2)周りに回動可能であり、且つ、挟持面721A、821Aを有する部位であれば、形状は限定されない。
【0100】
また、上記実施形態のドア装置1では、一対のプレート部72、82が解放位置P2から挟持位置P1まで回動したときに、一対の回動軸71、81の間隔が狭くなるが、この構成に限定されない。プレート部72、82が回動しても各プレート部72、82の回動軸71、81の開閉方向の間隔が変化しない構成であってもよい。
【0101】
また、上記実施形態の係合部2の各挟持面721A、821Aは、平面であるが、この構成に限定されない。各挟持面721A、821Aは、少なくとも一部が湾曲、屈曲等していてもよく、矩形状の面でなくてもよい。即ち、各挟持面721A、821Aは、挟持位置P1のときに被係合部152を挟み込むことができる形状であればよい。
【0102】
また、上記実施形態の係合部2では、第一接離部3と第二接離部4との接離動作をラックギア316、48と第一及び第二歯車(ピニオンギア)73、83とによりプレート部72、82に伝達することで該プレート部72、82を回動させているが、この構成に限定されない。例えば、図7に示すように、モータM等によって各回動軸71、81を駆動することでプレート部72、82を回動させる構成でもよい。この場合、駆動機構Dは、ラックギア317、318、46、47や歯車73、83以外に、モータM等(即ち、プレート部72、82を回動させる動力源や該動力源からの動力をプレート部72、82に伝達する構成等)も有する。
【0103】
また、上記実施形態の係合部2では、第一接離部3と第二接離部4との接離動作は、付勢部32の付勢力と、戸閉時に押圧部33が止め部9に当接することにより生じる押圧力と、によって行われるが、この構成に限定されない。例えば、図8に示すように、第一接離部3と第二接離部4との接離動作は、第一接離部3及び第二接離部4のうちの少なくとも一方の接離部に接続されたアクチュエータA等によって行われる構成でもよい。この場合、駆動機構Dは、ラックギア316、317、318、46、47、48や歯車73、83以外に、アクチュエータ等(即ち、第一接離部3や第二接離部4を接離させる動力源や該動力源からの動力を第一接離部3や第二接離部4に伝達する構成等)も有する。
【0104】
被係合部152の具体的な構成は、限定されない。上記実施形態の被係合部152は、いわゆるキャッチローラであるが、例えば、かご110が乗場150に停止したときに係合部2が設けられた一方のドア(上記実施形態の例では、かごドア11)の相手側ドア(上記実施形態の例では、乗場ドア151)における一方のドアと対向する面に設けられ、一対の挟持面721A、821Aによって挟み込める構成であればよい。
【0105】
また、上記実施形態の係合部2では、第一接離部3と第二接離部4とを開閉方向に案内する部材(ガイド部)5は、一つであるが、複数配置されていてもよい。
【0106】
また、上記実施形態の係合部2では、ラックギア317、318、46、47と該ラックギア317、318、46、47と噛み合う歯車(第一歯車73、第二歯車83)とによって第一接離部3及び第二接離部4の一方の接離部3(又は4)の動きが他方の接離部4(又は3)に伝達されることで、開閉方向の接離動作が同期するが、この構成に限定されない。例えば、係合部2は、リンク機構によって第一接離部3及び第二接離部4の一方の接離部3(又は4)の動きが他方の接離部4(又は3)に伝達される構成等であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…ドア装置、10…開閉部材、11…かごドア(ドア)、11a…対向面、12…ドアハンガー、13…ガイドレール、14…ドア駆動装置、141、141a…プーリー、142…第一無端ベルト、143…モータ、144…第二無端ベルト、2…係合部、3…第一接離部(接離部)、31…接離部本体、311…第一部位、312…第二部位、312a…乗場ドア側を向いた面、312b…下方を向いた面、313…第三部位、313a…下方を向いた面、314…延伸部、315…軸受け部、315a…穴、316、317、3138…ラックギア、32…付勢部、321…固定部、321a…穴、322…第一弾性部材、33…押圧部、331…当接部、3311…軸、3312…ローラ保持部、3313…ローラ、332…第二弾性部材、333…接続部、4…第二接離部(接離部)、41…第一部位、42…第二部位、42a…上方を向いた面、43…第三部位、43a…上方を向いた面、45…軸受け部、45a…穴、46、47、48…ラックギア、5…ガイド部、6、6a、6b…伝達部材、7…第一挟持部、71…第一回動軸(回動軸)、72…第一プレート部、721…第一プレート本体、721A…第一挟持面(挟持面)、722…第一プレート取付部、73…第一歯車、8…第二挟持部、81…第二回動軸(回動軸)、82…第二プレート部、821…第二プレート本体、821A…第二挟持面(挟持面)、822…第二プレート取付部、83…第二歯車、9…止め部、100…エレベータ、110…かご、111…かごの出入口、112…かご本体、120…移動路、121…上下移動路、122…横移動路、150…乗場、151…乗場ドア(ドア)、152…被係合部、A…アクチュエータ、C1、C2…中心線、D…駆動機構、d1…第一間隔、d11…開閉方向における被係合部の寸法、d2…第二間隔、M…モータ、P1…挟持位置、P2…解放位置、S…軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8