(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190394
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20221219BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20221219BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G03G21/00 384
G03G21/20
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098697
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】満田 亮
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA30
2H033CA16
2H033CA27
2H033CA36
2H033CA44
2H270LC02
2H270LC04
2H270LC05
2H270LD08
2H270MA35
2H270MC44
2H270MD10
2H270MD17
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】メディアセンサによって記録材の特性を検出する構成において、記録材の特性を検出する精度と、生産性の両立が可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】記録材の搬送を行う搬送部と、記録材の搬送経路に配置され、記録材の記録材特性を検出する記録材特性検出部と、記録材に形成されたトナー像を定着する定着部と、定着部が画像形成ジョブに対してウォームアップを実行している間に、記録材特性検出部に記録材特性を検出させるとともに、検出した記録材特性に基づき画像形成ジョブにおける画像形成条件を設定する制御部と備える画像形成システムを構成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材の搬送を行う搬送部と、
前記記録材の搬送経路に配置され、前記記録材の記録材特性を検出する記録材特性検出部と、
前記記録材に形成されたトナー像を定着する定着部と、
前記定着部が画像形成ジョブに対してウォームアップを実行している間に、前記記録材特性検出部に前記記録材特性を検出させるとともに、検出した前記記録材特性に基づき前記画像形成ジョブにおける画像形成条件を設定する制御部と、備える
画像形成システム。
【請求項2】
前記制御部は、ウォームアップ開始から所定の時間内の前記定着部の温度に基づき、前記記録材特性を検出する期間におけるウォームアップの温度上昇率を制御する
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記制御部は、ウォームアップ開始から所定の時間内の前記定着部の温度が第1の温度閾値未満の低い場合、前記定着部の温度が前記第1の温度閾値まで上昇する時間について、前記記録材特性の検出完了時間以下かどうかを判定し、
判定結果が前記検出完了時間以下であった場合に、少なくとも前記記録材特性を検出する期間において、前記定着部のウォームアップの前記温度上昇率を所定の温度上昇率よりも低く設定する
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、ウォームアップ開始から所定の時間内の前記定着部の温度が第1の温度閾値以上、第2の温度閾値未満の場合、前記定着部の温度が前記第2の温度閾値まで上昇する時間について、前記記録材特性の検出完了時間以下であるかどうかを判定し、
判定結果が前記検出完了時間以下であった場合に、少なくとも前記記録材特性を検出する期間において、前記定着部のウォームアップの前記温度上昇率を所定の温度上昇率よりも低く設定するとともに、画像形成時の搬送速度よりも低い搬送速度で前記記録材を搬送させる、
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記定着部を加熱するヒーターの点灯率を制御することにより、前記温度上昇率を制御する
請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記記録材特性の検出を終了した後、前記温度上昇率を前記所定の温度上昇率に戻す
請求項3または4に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記制御部は、ウォームアップ開始から所定の時間内の前記定着部の温度と所定の温度閾値とを比較した結果に基づいて、前記記録材特性を検出する期間において前記記録材を停止するか搬送するかを決定する
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記制御部は、ウォームアップ開始から所定の時間内の前記定着部の温度が前記第1の温度閾値未満である場合に、少なくとも前記記録材特性を検出する期間において前記記録材の搬送を停止する
請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記制御部は、ウォームアップ開始から所定の時間内の前記定着部の温度が前記第1の温度閾値以上である場合に、少なくとも前記記録材特性を検出する期間において、前記記録材の搬送速度を画像形成時の搬送速度よりも低い速度に設定する
請求項7または8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記記録材は連続紙である
請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記記録材は、ロール状に巻回された形状の連続紙である、
請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記記録材に前記トナー像を形成する画像形成部を有し、
前記制御部は、ウォームアップの実行中に検出された前記記録材特性を基に、前記画像形成条件として前記画像形成部及び前記定着部の少なくとも一方の実行条件を設定する
請求項1から11のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記定着部の前記実行条件は定着目標温度を含む
請求項12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記記録材特性検出部が、前記画像形成部よりも前記記録材の経路の上流側に配置されている
請求項12又は13に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記記録材特性検出部が、前記記録材の供給部と、前記画像形成部との間に配置されている
請求項12から14のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項16】
前記記録材の供給部と前記記録材に画像を形成する前記画像形成部との間に、前記記録材の供給を調整する供給調整部を有し、
前記供給部と前記供給調整部との間に前記記録材特性検出部を備える
請求項15に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに係わる。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、感光体にレーザ光を照射して静電潜像を形成し、これをトナーにより現像することでトナー像を形成する。画像形成装置は、形成したトナー像を記録材に転写し、熱定着することで記録材への画像形成を行う。画像形成装置は、記録材の厚みや表面の状態、記録材の種類等の記録材特性に応じて、最適な定着温度や記録材の搬送速度等の画像形成条件を設定する。
【0003】
記録材特性は、画像形成装置に設けられる操作部や、プリンタドライバの印刷設定画面から、ユーザの操作により設定されていた。最近は、内蔵するセンサ(以下、「メディアセンサ」という。)を用いて記録材特性を検出し、検出結果に応じて自動的に画像形成条件を設定する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1に記載された画像形成装置では、記録材の給紙部からトナー像が転写される位置までの搬送経路にメディアセンサが設けられる。記録材は、メディアセンサの位置まで搬送されて記録材特性が検出される。メディアセンサを用いて記録材特性を検出し、検出した記録材特性に応じて各部の条件設定を行って画像形成を行うことにより、ユーザによる記録材特性の設定が不要となり、利便性が高くなる。
メディアセンサにより記録材の特性を正確に検出するには、所定の時間を要するため記録材の搬送停止や、記録材の搬送速度を低下させ、記録材の挙動が安定した状態で記録材の特性を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常の画像形成装置では、記録材の特性に応じた定着目標温度が必要なため、メディアセンサによる記録材の特性の検知を行った後に、検出結果に応じて定着目標温度を決定する。このため、記録材の搬送を停止して記録材特性の検知が完了するまで待ち時間が発生し、定着含めた印刷開始が遅くなり、生産性が低下する。
また、上述の特許文献1に記載された画像形成装置のように、直前のジョブで検出した記録材特性や対応する定着目標温度を用いて、メディアセンサによる記録材特性の検出前に定着ウォームアップを開始し、待ち時間を減らすことが考えられる。しかし、この方法では、原稿のジョブで使用する記録材が直前のジョブと同じ特性とは限らないため、記録材の入れ替えや補充がされた場合には適用できず、生産性の低下を抑制することができない。
【0007】
上述した問題の解決のため、本発明においては、メディアセンサによって記録材の特性を検出する構成において、記録材の特性を検出する精度と、生産性の両立が可能な画像形成システム、及び、画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成システムは、記録材の搬送を行う搬送部と、記録材の搬送経路に配置され、記録材の記録材特性を検出する記録材特性検出部と、記録材に形成されたトナー像を定着する定着部と、定着部が画像形成ジョブに対してウォームアップを実行している間に、記録材特性検出部に記録材特性を検出させるとともに、検出した記録材特性に基づき画像形成ジョブにおける画像形成条件を設定する制御部と備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メディアセンサによって記録材の特性を検出する構成において、記録材の特性を検出する精度と、生産性の両立が可能な画像形成システム、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図2】画像形成システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】画像形成システムの制御部の機能ブロック図である。
【
図4】画像形成処理、及び、記録材特性の検出に係わる処理のフローチャートである。
【
図5】
図4に示すフローチャートのステップS14の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図6】定着部の温度と温度閾値との関係を示す図である。
【
図7】ウォームアップ中の定着部の温度上昇のグラフである。
【
図8】ウォームアップ中の定着部の温度上昇のグラフである。
【
図9】ウォームアップ中の定着部の温度上昇のグラフである。
【
図10】ウォームアップ中の定着部の温度上昇のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈画像形成システムの実施形態〉
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1に、画像形成システムの概略構成を示す。
図1に示す画像形成システム1は、連続紙であるロール状の記録材Sを記録媒体として使用し、この記録材S上に画像を形成する。画像形成システム1は、記録材Sの搬送方向の上流側から、給紙装置10、メディア検出装置30、画像形成装置40、及び、回収装置60を備える。
図1に示す画像形成システム1では、メディア検出装置30は、給紙装置10の筐体内に配置されている。また、画像形成システム1は、給紙装置10と画像形成装置40との間には供給調整部20を備え、画像形成装置40と回収装置60との間には回収調整部50を備える。
【0012】
給紙装置10は、ロール状に巻介された状態の記録材Sを回転可能に保持する支持軸11と、支持軸11に巻回された記録材Sを複数のローラーによって一定の速度で供給調整部20に搬送する搬送部14とからなる給紙部を備える。なお、記録材Sの形状は、ロール状の連続紙に限られない。記録材Sは、メディア検出装置30から画像形成装置40の定着部47まで到達する長さ以上の形状であればよい。例えば、折り畳み可能な形状や、、長尺紙の形状を記録材Sとして適用することができる。
また、給紙装置10は、記録材を画像形成装置40に供給する、記録材供給装置の一例である。
【0013】
供給調整部20は、給紙装置10から搬送された記録材Sを、画像形成装置40の画像形成部46へと搬送する。供給調整部20は、給紙装置10からの記録材Sの給紙及び搬送速度と、画像形成部46での記録材Sの搬送速度との速度差を吸収するために、記録材Sをたるませて保持し、画像形成部46への記録材Sの給紙を調整する。
【0014】
メディア検出装置30は、給紙装置10において、記録材Sの搬送経路に配置されている。メディア検出装置30は、給紙装置10から搬送される記録材Sの記録材特性を検出するメディア検出部33(
図2参照)を有する。メディア検出部33は、画像形成ジョブを実行する際の記録材Sの条件設定時に、記録材Sの記録材特性を検出する。そして、メディア検出装置30は、検出した検出情報を画像形成装置40に出力する。
なお、メディア検出装置30は、給紙装置10内だけでなく、画像形成装置40の画像形成部46の上流側に配置されていればよく、例えば、供給調整部20の筐体内、供給調整部20と画像形成装置40との間、及び、画像形成装置40の筐体内のいずれかにおいて、記録材Sの搬送経路に設置されていてもよい。また、メディア検出装置30は、記録材Sの特性を検出する記録材特性検出装置の一例である。メディア検出装置30としては、記録材Sの記録材特性を検出可能な従来公知のメディアセンサーを適用することができる。メディア検出装置30は、記録材特性として、例えば、記録材Sの厚みや表面の状態(平滑度)、記録材の種類(紙種)、剛度、帯電量、含水率、及び、流れ目(記録材の繊維方向の角度)等を検出する。
【0015】
画像形成装置40は、制御部41、操作表示部42、スキャナー部43、搬送部44、画像処理部45、画像形成部46、及び、定着部47等を備える。なお、画像形成装置40は、画像形成装置40の装置内に上述の給紙装置10を記録材供給部として備えていてもよい。また、画像形成装置40は、画像形成装置40の装置内に上述のメディア検出装置30を記録材特性検出部として備えていてもよい。画像形成装置40が装置内に記録材特性検出部を備える構成では、記録材特性検出部は給紙装置10(記録材供給部)と画像形成部46との間の記録材搬送経路に配置されることが好ましい。
【0016】
スキャナー部43は、原稿台に載置された原稿面を光源により露光走査して原稿面からの反射光を受光し、受光された反射光をCCD(Charge Coupled Device)により光電変換して画像データを生成し、画像処理部45に出力する。
【0017】
制御部41は、画像形成システム1、及び、画像形成装置40の各構成を統括制御する。画像処理部45は、スキャナー部43や制御部41から入力された画像データに画像処理を施して画像形成部46に出力する。制御部41、及び、画像処理部45の構成の詳細については後述する。
【0018】
操作表示部42は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、制御部41から入力される表示信号の指示に従って表示画面上に各種操作ボタンや装置の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。LCDの表示画面上は、透明電極を格子状に配置して構成された感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネルに覆われており、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部41に出力する。また、操作表示部42は、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ボタン操作による操作信号を制御部41に出力する。
【0019】
画像形成部46は、画像処理部45から入力された各ページの画像データに基づいて、電子写真方式により、供給調整部20から搬送される記録材Sに対して画像形成を行う。画像形成部46には、搬送ベルト、レジストローラー等の搬送ローラー、及びこれらを駆動する図示しないモータが配置された記録材搬送経路が設けられており、制御部41からの制御に従って、記録材Sを搬送しながら記録材Sに画像形成を行う。
【0020】
画像形成部46は、Y、M、C、Kの各色成分に対応する4組の露光部461、感光体462、現像部463、一次転写ローラー464と、中間転写ベルト465と、二次転写ローラー466とを備えている。各色成分に対応する4組の露光部461、感光体462、現像部463、一次転写ローラー464は、上流からY、M、C、Kの順に並んでいる。
【0021】
露光部461は、レーザー光源、ポリゴンモーター、ポリゴンミラー及び複数のレンズ等から構成される。露光部461は、記録材搬送速度に基づいて、帯電された感光体462上にレーザー光源及びポリゴンミラーによってレーザー光を照射して露光し、感光体462上に静電潜像を形成する。
現像部463は、露光された感光体462上に所定の色(Y、M、C、又はK)のトナーを供給して、感光体462上に形成された静電潜像を現像する。
一次転写ローラー464は、感光体462に対向して設けられている。一次転写ローラー464は、トナーと反対極性の1次転写バイアスが印加され、中間転写ベルト465上の所定位置を感光体462に圧着させることにより、感光体462に形成されたトナー像を中間転写ベルト465に転写(一次転写)する。Y、M、C、Kの一次転写ローラー464が順次中間転写ベルト465の所定位置を感光体462に圧着させることにより、中間転写ベルト465に各色の層が重畳されたカラーのトナー像が書き込まれる。
【0022】
中間転写ベルト465は、複数のローラーに懸架され回転可能に支持された半導電性エンドレスベルトであり、ローラーの回転に伴って回転駆動し、書き込まれたトナー像を二次転写ローラー466に搬送する。
二次転写ローラー466は、トナーと反対極性のバイアスが印加され、搬送された記録材Sを挟持搬送することにより記録材Sに中間転写ベルト465に書き込まれているカラーのトナー像を転写(二次転写)する。
【0023】
定着部47は、記録材Sに転写されたトナー像を加熱及び加圧し、トナー像を記録材Sに定着させる。定着部47は、ハロゲンヒータ等を内蔵した定着ローラー471と、定着ローラー471に記録材の搬送経路を挟んで対向した位置に配置された、定着ローラー471を押圧する加圧部材としての加圧ローラー472とを備える。また、定着部47は、定着ローラー471の温度を検出するための温度センサを備える。定着部47は、定着ローラー471と加圧ローラー472との間に形成されたニップ部において、トナー像が転写された記録材Sを挟持及び搬送しながら、記録材Sのトナー像を加熱及び加圧して定着する。
また、定着部47は、定着ローラー471と加圧ローラー472の間のニップ部のニップ圧の調整、及び、圧接の解除等を行うため、定着ローラー471の位置を調整する図示しない位置変更機構を有する。
【0024】
回収調整部50は、記録材Sの搬送方向において、画像形成装置40の下流側、且つ、回収装置60の上流側に設置される。回収調整部50は、画像形成装置40から搬送された記録材Sを回収装置60へと搬送する装置であって、画像形成装置40での記録材Sの搬送速度と、回収装置60での記録材Sの搬送速度との速度差を吸収するために、記録材Sをたるませて保持し、画像形成装置40からの記録材Sの排紙を調整する。
回収装置60は、回収調整部50から搬送されてきた記録材Sを、複数のローラーを経由して、一定の速度で支持軸61によって巻き取る排紙部を備える。
【0025】
[画像形成システムの構成]
次に、
図2に、画像形成システム1の構成例のブロック図を示す。
図2には、画像形成システム1として、本形態の主要な構成である給紙装置10、メディア検出装置30、及び、画像形成装置40の構成を示し、供給調整部20、回収調整部50、及び、回収装置60の構成については記載を省略している。
【0026】
図2に示すように、画像形成装置40は、制御部41、操作表示部42、搬送部44、画像処理部45、画像形成部46、定着部47、不揮発メモリ48、及び、通信部49を備える。給紙装置10は、制御部12、通信部13、搬送部14、及び、不揮発メモリ15を備える。メディア検出装置30は、制御部31、通信部32、メディア検出部33、及び、不揮発メモリ34を備える。
【0027】
給紙装置10の制御部12は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成される。制御部12のCPUは、ROMに格納されている各種処理プログラムを読出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って給紙装置10のシステムバス(図示省略)を介して接続された通信部13、搬送部14、及び、不揮発メモリ15等の給紙装置10の各部の動作を統括的に制御する。
不揮発メモリ15は、制御部12が実行するプログラム等が格納され、また、制御部12の作業領域として使用される。
通信部13は、画像形成システム1を構成する画像形成装置40の通信部49とデータの送信及び受信を行う。また、通信部13は、画像形成装置40の通信部49を介して、メディア検出装置30の通信部32や、図示しない供給調整部20、回収調整部50、及び、回収装置60等の各通信部とデータの送信及び受信を行う。
搬送部14は、給紙装置10に収納された記録材Sを繰り出して搬送し、画像形成装置40に給紙する。
なお、回収装置60も、上述の給紙装置10と同様の構成とすることができる。
【0028】
画像形成装置40の制御部41は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成される。制御部41のCPUは、ROMに格納されている各種処理プログラムを読出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って画像形成装置40のシステムバスを介して接続された操作表示部42、搬送部44、画像処理部45、画像形成部46、定着部47、不揮発メモリ48、及び、通信部49等の画像形成装置40の各部の動作を統括的に制御する。
また、制御部41は、通信部49を介して、給紙装置10、及び、メディア検出装置30を制御する。
【0029】
不揮発メモリ48は、制御部41が実行するプログラム等が格納され、また、制御部41の作業領域として使用される。また、不揮発メモリ48には、画像形成ジョブにおいて設定される画像形成条件や、記録材Sのサイズや種類等を含む記録材情報等が格納される。さらに、不揮発メモリ48には、メディア検出装置30で検出された記録材特性の情報等が格納される。格納される画像形成条件としては、例えば、画像形成部46における実行条件、及び、定着部47における実行条件(定着目標温度、圧力等)が挙げられる。
【0030】
画像形成装置40の通信部49は、給紙装置10の通信部13や、メディア検出装置30の通信部32とデータの送信及び受信を行う。また、通信部49は、図示しない供給調整部20、回収調整部50、及び、回収装置60等の各通信部とデータの送信及び受信を行う。
【0031】
画像処理部45は、入力されたジョブ情報から画像データを取得し、画像処理を行う。画像処理部45は、制御部41の制御のもと、取得した画像データに対し、必要に応じて、シェーディング補正、画像濃度調整、画像圧縮等の画像処理を行う。そして、画像処理部45によって処理された画像データが画像形成部46に送信される。
搬送部44は、制御部41の制御に基づいて、給紙装置10から給紙された記録材Sを、画像形成部46、定着部47等に搬送する。
画像形成部46は、画像処理部45によって画像処理された画像データを受け取り、この画像データに基づき、搬送部44によって画像形成部46に搬送された記録材Sに画像を形成する。
【0032】
操作表示部42は、液晶表示装置等のディスプレイから構成される表示部と、このディスプレイに重ねて設けられたタッチパネルや複数のキー等から構成される操作部とを有する。この操作表示部42は、表示部及び操作部の一例であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部42は、ユーザーの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて、入力信号を制御部41に出力する。
【0033】
メディア検出装置30の制御部31は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成される。制御部31のCPUは、ROMに格納されている各種処理プログラムを読出してRAMに展開し、展開したプログラムに従ってメディア検出装置30のシステムバスを介して接続された通信部32、及び、メディア検出部33等の各部の動作を統括的に制御する。
【0034】
メディア検出部33は、光学センサや、機械式のセンサ等からなり、制御部31の制御に基づいて、給紙装置10の搬送経路や、画像形成装置40の搬送経路を通過する記録材Sの記録材特性を検出する。そして、メディア検出部33が検出した記録材特性の情報が、不揮発メモリ34に格納される。
メディア検出装置30の通信部32は、画像形成システム1を構成する画像形成装置40の通信部49とデータの送信及び受信を行う。例えば、通信部32は、不揮発メモリ34に格納された記録材特性の情報を、画像形成装置40の通信部49に送信する。また、通信部32は、画像形成装置40の通信部49を介して、給紙装置10の通信部13や、図示しない供給調整部20、回収調整部50、及び、回収装置60等の各通信部とデータの送信及び受信を行う。
【0035】
[制御部の構成]
次に、上述の画像形成システム1の給紙装置10の制御部12、メディア検出装置30の制御部31、及び、画像形成装置40の制御部41の機能構成について説明する。
図3に、給紙装置10の制御部12、メディア検出装置30の制御部31、及び、画像形成装置40の制御部41の機能ブロック図を示す。
【0036】
給紙装置10の制御部12は、通信制御部121と、搬送制御部122とを備える。なお、回収装置60の制御部も、給紙装置10の制御部12と同様に構成することができる。
メディア検出装置30の制御部31は、通信制御部311と、メディア検出制御部312とを備える。
画像形成装置40の制御部41は、通信制御部411、定着管理部412、メディア検出管理部413、搬送制御部414、判定部415、条件設定部416、及び、条件履歴管理部417を備える。
【0037】
給紙装置10の制御部12の通信制御部121は、給紙装置10の通信部13(
図2)を介したデータの送受信を制御する。メディア検出装置30の制御部31の通信制御部311は、メディア検出装置30の通信部32(
図2)を介したデータの送受信を制御する。画像形成装置40の制御部41の通信制御部411は、画像形成装置40の通信部49(
図2)を介したデータの送受信を制御する。そして、給紙装置10の制御部12、メディア検出装置30の制御部31、及び、画像形成装置40の制御部41は、それぞれ通信制御部121、通信制御部311及び通信制御部411により、各装置の通信部13,32,49を介して相互の通信を制御する。
【0038】
給紙装置10の制御部12の搬送制御部122は、給紙装置10の搬送部14の駆動を制御することで、記録材Sの搬送速度の調整、及び、記録材Sの搬送の始動、停止等を制御する。
メディア検出装置30の制御部31のメディア検出制御部312は、メディア検出装置30による記録材Sの記録材特性の検出を制御する。
【0039】
画像形成装置40の制御部41の定着管理部412は、定着部47(
図1)を管理する、例えば、定着部47に対してウォームアップの実行指示、定着部47の温度制御等を行う。例えば、定着管理部412は、定着部47を加熱するヒーターの点灯率を制御することにより、ウォームアップを実行中の定着部47の温度上昇率を制御する。
【0040】
メディア検出管理部413は、ウォームアップの実行中にメディア検出装置30に対して、記録材特性の検出の実行を指示する。そして、この指示に基づいて、メディア検出装置30の制御部31は、メディア検出制御部312によって記録材Sの記録材特性を検出する。
【0041】
判定部415は、定着部47の温度センサで検出された定着部47の温度tを基に、ウォームアップを実行中の定着部47の温度tと所定の温度閾値、例えば、第1の温度閾値tAや第2の温度閾値tB(ただし、tA<tB)との温度の大小を比較することで、定着部47のウォームアップの状態を判定する。そして、定着部47の温度tと温度閾値Tとの比較結果、例えば、t<tA、tA≦t<tB、及び、t≧tB等を判定する。
また、判定部415は、ウォームアップを実行中において、定着部の温度tが第1の温度閾値tA、第2の温度閾値tBまで上昇する時間と、記録材特性の検出完了時間とを比較し、定着部47の温度上昇時間が温度検出完了時間以下かどうかを判定する。
【0042】
搬送制御部414は、画像形成装置40の搬送部44の駆動を制御することで、記録材Sの搬送速度の調整、及び、記録材Sの搬送の始動、停止等を制御する。例えば、上述の判定部415の判定結果に基づいて、記録材Sの搬送速度の調整、及び、記録材Sの搬送の始動、停止等を制御する。なお、この搬送制御は、給紙装置10や回収装置60における搬送制御と連動して行う。
【0043】
条件設定部416は、ウォームアップの実行中にメディア検出装置30で検出された記録材特性を基に、画像形成部46における画像形成条件や、定着部47における定着処理の実行条件等の画像形成装置40における画像形成の実行条件を設定する。
【0044】
条件履歴管理部417は、ウォームアップの実行中にメディア検出装置30で検出された記録材特性と、この特性に合わせて条件設定部416が設定した画像形成の実行条件との履歴を管理する。例えば、条件履歴管理部417は、記録材特性と実行条件の履歴が含まれるデータテーブルを、不揮発メモリ48(
図2)等に格納する。
例えば、条件履歴管理部417は、条件設定部416がメディア検出装置30から取得した記録材特性の条件を基に画像形成の実行条件を設定する際に、不揮発メモリ48から記録材特性と実行条件の履歴を読み出す。そして、条件設定部416は、条件履歴管理部417が読み出した履歴データから、取得した記録材特性に該当する実行条件を選択することで、画像形成装置40における画像形成の実行条件を設定する。また、メディア検出装置30において記録材特性を取得できない場合には、条件設定部416は、条件履歴管理部417が読み出した履歴データから任意の実行条件を選択し、画像形成装置40における画像形成の実行条件を設定することができる。例えば、直前に実施した実行条件を履歴データから選択し、この実行条件を画像形成装置40における画像形成に設定することができる。
【0045】
なお、上述の説明では、給紙装置10、メディア検出装置30、及び、画像形成装置40における各制御部12,31,41が連携して制御する例を示したが、これに限られず、これらの機能構成は、制御部12,31,41のいずれかにおいて画像形成システム1の全体を制御するための全ての機能を実行することもできる。例えば、画像形成装置40の制御部41が、画像形成システム1全体を制御してもよい。同様に、給紙装置10の制御部12やメディア検出装置30の制御部31において画像形成システム1の全体を制御するための、全ての制御部の機能を実行することもできる。
【0046】
[画像形成処理、及び、記録材特性の検出]
上述の
図1に示すようなロール状の記録材Sを用いる画像形成システム1では、給紙装置10から画像形成部46、及び、回収装置60まで記録材Sが連続している。このため、このような構成では、画像形成処理中に記録材の搬送速度の低下や、記録材Sの搬送停止により、画像形成動作が影響を受ける。従って、画像形成処理中は、メディア検出装置30による記録材Sの記録材特性を精度よく検出することが難しい。また、記録材Sの搬送が停止すると定着部47も停止した状態となる。このような定着部47が停止した状態では、定着部47に加熱ムラ等が発生しやすいため、定着部47の定着処理に際して悪影響が発生しやすい。
【0047】
そこで、本形態の画像形成システム1では、画像形成装置40において定着部47の定着ウォームアップ中に、メディア検出装置30によって記録材Sの記録材特性を検出する。例えば、記録材Sの搬送が停止した状態において、画像形成装置40に画像形成ジョブが入力されると、画像形成部46が画像形成動作を開始する前に、定着管理部412において定着部47にウォームアップが指示される。この時点では、画像形成が行われていないため、記録材Sの搬送停止や、搬送速度の低下によって、画像形成動作に影響を与えない。このため、画像形成動作に影響を与えずに、メディア検出装置30による記録材Sの記録材特性を検出することができる。
【0048】
上述の
図1に示す画像形成システム1における、画像形成処理、及び、記録材特性の検出に係わる処理のフローチャートを
図4に示す。
まず、画像形成装置40に画像形成ジョブが入力されると、給紙装置10の搬送制御部122、及び、画像形成装置40の搬送制御部414は、記録材Sの搬送を停止する(ステップS10)。このとき、給紙装置10や回収装置60においても同様に制御部12の搬送制御部122において、記録材Sの搬送を停止する。なお、既に記録材Sの搬送が停止している場合には、この処理を省略してもよい。
【0049】
次に、定着管理部412は、定着部47のウォームアップを実行するかどうかを判定する(ステップS11)。定着部47の温度が所定の定着温度(定着目標温度)以上の場合、定着部47のウォームアップを行う必要がない。一方、定着部47の温度が所定の定着温度(定着目標温度)未満の場合には、定着管理部412によって定着部47に対するウォームアップの実行が指示される。定着部47においてウォームアップの実行判定の基準となる定着目標温度は、例えば、画像形成ジョブとして登録された紙種や画像形成面、カバレッジ、及び、その他の条件に基づいて制御部41が設定するように、予め画像形成装置40が構成されている。
なお、実際に画像形成を実行する際の定着温度は、定着目標温度に係わらず、メディア検出装置30によって検出された記録材Sの記録材特性に応じて、設定される。
【0050】
定着部47のウォームアップを実行する場合(ステップS11のYes)、制御部11の定着管理部412は、定着温度47に定着ウォームアップの実行を指示する(ステップS12)。
次に、メディア検出管理部413は、画像形成ジョブにおいて記録材Sの記録材特性の検出が要求されているかどうかを判定する(ステップS13)。
記録材特性の検出が要求されている場合(ステップS13のYes)、定着部47の温度に応じたウォームアップの制御、搬送制御を行い、記録材特性を検出する処理(以下、処理Iと称する)を行う(ステップS14)。ステップS14の処理Iの詳細については後述する。
【0051】
次に、処理Iにより検出された記録材特性に基づいて、条件設定部416が、画像形成ジョブにおける画像形成部46での画像形成条件、及び、定着部47での定着処理の実行条件等の画像形成装置40における画像形成の実行条件を設定する(ステップS15)。
【0052】
ステップS15の処理後、定着部47のウォームアップを実行しない場合(ステップS11のNo)、又は、記録材特性の検出が要求されていない場合(ステップS13のNo)、定着管理部412は、定着部47のウォームアップが完了したかどうかを判定する(ステップS16)。
定着部47のウォームアップが完了していない場合(ステップS16のNo)、定着部47のウォームアップが完了するまでこの処理を継続する。
【0053】
定着部47のウォームアップが完了した場合(ステップS16のYes)、画像形成装置40は、条件設定部416が設定した画像形成の実行条件に従って、画像形成部46において画像形成を実行する(ステップS17)。
【0054】
次に、画像形成装置40の制御部41は、全て画像形成ジョブが終了したかどうかを判定する(ステップS18)。未完了の画像形成ジョブが残っている場合(ステップS18のNo)、ステップS11の処理に戻る。全て画像形成ジョブが終了している場合(ステップS18のYes)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0055】
(処理I)
次に、上述の
図4に示すフローチャートにおけるステップS14の処理Iの詳細について説明する。処理Iのフローチャートを
図5に示す。
【0056】
まず、画像形成装置40の制御部41の判定部415は、ウォームアップ中の定着部47の温度tが第1の温度閾値tA未満かどうかを判定する(ステップS20)。
定着部47の温度tが第1の温度閾値tA以上の場合(ステップS20のNo)、判定部415は、ウォームアップ中の定着部47の温度tが第2の温度閾値tB未満かどうかを判定する(ステップS21)。なお、第1の温度閾値tA、及び、第2の温度閾値tBは、画像形成装置40の制御部41の不揮発メモリ48等に予め閾値温度のデータとして格納されている。例えば、第1の温度閾値tA、及び、第2の温度閾値tBは、画像形成ジョブとして登録された紙種や画像形成面、カバレッジ、及び、その他の条件と、不揮発メモリ48等に予め格納された閾値温度のデータとに基づいて設定される。
【0057】
ここで、定着部47の温度tと、第1の温度閾値tA及び第2の温度閾値tBとの関係について説明する。
図6に、定着部47の温度tと、第1の温度閾値tA及び第2の温度閾値tBの関係を示す。
図6は、縦軸は温度[℃]であり、第1の温度閾値tA、第2の温度閾値tB、及び、ウォームアップ(WU)完了温度(定着目標温度)をそれぞれ示している。また、横軸にウォームアップ(WU)中の定着部47の温度tのパターンをパターン(1)~(3)を示している。
【0058】
第1の温度閾値tAは、定着部47と接触した状態で記録材Sの搬送を停止した場合に、記録材Sに損傷や不具合が発生しない上限の温度である。
また、第2の温度閾値tBは、定着部47と接触した状態で記録材Sの搬送を停止した場合には、記録材Sに損傷や不具合が発生するが、画像形成処理時の通常搬送速度よりも低速で搬送した場合に、記録材Sに損傷や不具合が発生しない上限の温度である。
なお、第1の温度閾値tA、及び、第2の温度閾値tBは、複数種類の記録材を用いた実験に基づいて事前に設定された閾値である。
【0059】
即ち、
図6に示すウォームアップ中の定着部47の温度tのパターン(1)のように、定着部47の温度tが第1の温度閾値tA未満であれば、定着部47のウォームアップ中に記録材Sの搬送を停止することができる。このため、メディア検出装置30は、画像形成システム1において記録材Sの搬送を停止した状態で、記録材Sの記録材特性の検出することができる。
【0060】
また、ウォームアップ中の定着部47の温度tのパターン(2)のように、定着部47の温度tが第1の温度閾値tA以上、第2の温度閾値tB未満であれば、画像形成処理時の通常搬送速度よりも低速で記録材Sの搬送を行うことができる。このため、メディア検出装置30は、画像形成システム1において記録材Sの搬送を通常搬送速度よりも低速で搬送しながら、記録材Sの記録材特性の検出することができる。
【0061】
そして、ウォームアップ中の定着部47の温度tのパターン(3)のように、定着部47の温度tが第2の温度閾値tB以上の場合には、定着部47による記録材Sに損傷や、定着部47における不具合の発生を抑制するため、画像形成処理時の通常搬送速度で記録材Sの搬送を行う必要がある。このため、メディア検出装置30は、記録材Sの記録材特性を正確に検出することが困難となる。
【0062】
図5の説明に戻り、定着部47の温度tが第1の温度閾値tA未満の場合(ステップS20のYes)、判定部415は、ウォームアップ中の定着部47の温度tが第1の温度閾値tAに到達する時間と、記録材特性の検出完了時間とを比較し、第1の温度閾値tAへの到達時間が検出完了時間以下かどうかを判定する(ステップS22)。
定着部47の温度tが第2の温度閾値tB未満の場合(ステップS21のYes)、判定部415は、ウォームアップ中の定着部47の温度tが第2の温度閾値tBに到達する時間と、記録材特性の検出完了時間とを比較し、第2の温度閾値tBへの到達時間が検出完了時間以下かどうかを判定する(ステップS23)。
また、定着部47の温度tが第2の温度閾値tB以上の場合(ステップS21のNo)、画像形成ジョブを停止して本フローチャートによる処理を終了する。定着部47の温度tが第2の温度閾値tB以上の場合には、記録材Sを停止又は低速で搬送しても記録材Sへの損傷や、定着部47において不具合が発生する状態である。このため、記録材特性の検出だけでなく画像形成もできない状態であり、画像形成ジョブを停止する。
【0063】
メディア検出装置30において記録材特性を検出している途中に定着部47の温度tが第1の閾値温度tA以上となる場合、記録材Sの搬送を停止した状態では、記録材Sへの損傷や、定着部47において不具合が発生する可能性がある。また、メディア検出装置30において記録材特性を検出している途中に定着部47の温度tが第2の閾値温度tB以上となる場合、記録材Sの搬送を通常搬送速度よりも低速で搬送した状態では、記録材Sへの損傷や、定着部47において不具合が発生する可能性がある。このため、メディア検出装置30において記録材特性を検出する前に、定着部47の温度tが第1の閾値温度tA、又は、第2の閾値温度tB以上となる時間に対し、記録材Sの記録材特性の検出完了時間以下かどうかを判定する。
【0064】
第1の温度閾値tAの到達時間が検出完了時間以下の場合(ステップS22のYes)、定着管理部412は、ウォームアップ中の定着部47の温度上昇率を低下させる制御を行う(ステップS24)。
また、第2の温度閾値tBの到達時間が検出完了時間以下の場合(ステップS23のYes)、定着管理部412は、ウォームアップ中の定着部47の温度上昇率を低下させる制御を行う(ステップS25)。
【0065】
ここで、ウォームアップ中の定着部47の温度上昇率の制御について説明する。
図7から
図10に、ウォームアップ中の定着部47の温度上昇のグラフを示す。
図7から
図10に示すグラフでは、縦軸が定着部47の定着部47の温度t[℃]、横軸がウォームアップ開始からの経過時間を示す。
また、
図7から
図10に示すグラフでは、温度閾値の例として、第1の温度閾値tAを80℃、第2の温度閾値tBを120℃に設定している。
また、
図7から
図10に示すグラフでは、ウォームアップ開始と同時に、記録材Sの記録材特性の検出を開始した例であり、記録材特性の検出完了までの時間を40秒とした例を示している。
【0066】
図7は、ウォームアップ開始時の定着部47の温度tが50℃の場合であり、全てのヒーターを点灯させて定着部47を加熱する通常のウォームアップを行っても、定着部47の温度tが第1の温度閾値tA以上となる以前に記録材特性の検出が完了する。このように、記録材Sの記録材特性が完了する際の定着部47の温度が、第1の温度閾値tA未満であれば、記録材Sに損傷や不具合を発生させることなく停止した状態で記録材Sの記録材特性の検出が可能となる。
【0067】
これに対し、
図8は、ウォームアップ開始時の定着部47の温度tが65℃の場合である。この場合には、破線で示す全てのヒーターを点灯させた場合のグラフでは、記録材特性の検出が完了する以前に定着部47の温度tが第1の温度閾値tA以上となる。このため、実線で示すグラフのように、定着部47の温度上昇率を通常のウォームアップよりも低下させる。具体的には、定着部47の温度tが第1の温度閾値tA以上となる以前に記録材特性の検出が完了する温度上昇率に低下させる。
このように、記録材Sの記録材特性が完了する際の定着部47の温度を、第1の温度閾値tA未満となるように定着部47の温度上昇率を低下させることにより、記録材Sに損傷や不具合を発生させることなく停止した状態で記録材Sの記録材特性の検出が可能となる。
【0068】
また、
図9は、ウォームアップ開始時の定着部47の温度tが95℃の場合である。この場合には、ウォームアップ開始時点の定着部47の温度tが、第1の温度閾値tA以上である。このため、停止した状態で記録材Sの記録材特性の検出ができない。しかし、ウォームアップ開始時の定着部47の温度tが、第2の温度閾値tB未満である。そして、全てのヒーターを点灯させて定着部47を加熱する通常のウォームアップを行っても、定着部47の温度tが第2の温度閾値tB以上となる以前に記録材特性の検出が完了する。この場合、記録材Sを停止した状態では、記録材Sに損傷や不具合を発生させることなく、記録材Sの記録材特性を検出することはできないが、記録材Sを画像形成の際の通常速度よりも低い速度で搬送(低速搬送)することで記録材Sに損傷や不具合を発生させることなく記録材特性の検出が可能となる。
【0069】
これに対し、
図10は、ウォームアップ開始時の定着部47の温度tが105℃の場合である。この場合には、
図9に示す場合と同様に、停止した状態で記録材Sの記録材特性の検出ができない。
さらに、破線で示す全てのヒーターを点灯させた場合のグラフでは、記録材特性の検出が完了する以前に定着部47の温度tが第2の温度閾値tB以上となる。このため、
図9の場合のように、記録材Sを低速搬送しても記録材特性の検出により記録材Sに損傷や不具合が発生してしまう。そこで、
図10に示す例では、実線で示すグラフのように、定着部47の温度上昇率を通常のウォームアップよりも低下させる。具体的には、定着部47の温度tが第2の温度閾値tB以上となる以前に記録材特性の検出が完了する温度上昇率に低下させる。
このように、記録材Sの記録材特性が完了する際の定着部47の温度を、第2の温度閾値tB未満となるように定着部47の温度上昇率を低下させることにより、画像形成の際の通常速度よりも低い速度で搬送(低速搬送)して記録材特性の検出が可能となる。
【0070】
なお、上述の
図7から
図10に示す例では、ウォームアップの開始と同時に記録材特性の検出を行っているが、記録材特性の検出は、ウォームアップと同時に行う必要はない。記録材特性の検出は、ウォームアップ完了までに記録材特性の検出が終了するように、ウォームアップ開始から所定に時間内に開始される構成であればよい。このため、上述の説明では、ウォームアップ開始時の定着部47の温度tを基に、第1の温度閾値tA及び第2の温度閾値tBとの比較判定を行っているが、ウォームアップ開始から所定に時間内にの定着部47の温度tの温度に基づいて上述の比較判定をおこなってもよい。
【0071】
定着部47の温度上昇率の調整、定着部47の温度tの温度閾値への到達時間の調整は、例えば、定着管理部412において、ヒーターの点灯時間/消灯時間の比率調整(Duty比の調整)や、ヒーター点灯本数の調整等によって行うことができる。
定着管理部412による温度上昇率の調整は、例えば、定着部47の温度tと第1の温度閾値tA又は第2の温度閾値tBとの温度差や、記録材特性の検出時間等によって求めることができる。
【0072】
このように、定着部47の温度tの閾値温度への到達時間がメディア検出装置30における記録材特性の検出完了時間以上となるように、ウォームアップ中の定着部47の温度上昇率を調整する。これにより、定着管理部412は、記録材特性の検出完了時間より遅くなるように、定着部47の温度tが閾値温度に達する時間を調整する。これにより、記録材Sへの損傷や、定着部47における不具合の発生を抑制して精度の高い記録材特性の検出が可能となる。
【0073】
また、ステップS24、又は、ステップS25において定着部47の温度tの温度上昇率を調整した場合は、記録材特性の検出を実行した後、
図8及び
図10に示すように、定着部47の温度tの温度上昇率を通常のウォームアップと同様の状態に戻すことが好ましい。定着管理部412が定着温度の上昇率を調整前の状態に戻すことにより、定着部47のウォームアップの完了時間の遅れや画像形成ジョブの開始時間の遅れを最小にし、生産性の低下を抑制することができる。
【0074】
図5の説明に戻り、第2の温度閾値tBの到達時間が検出完了時間を超える場合(ステップS23のNo)、又は、ステップS25の処理後、給紙装置10の搬送制御部122、及び、画像形成装置40の搬送制御部414は、通常搬送速度よりも低速で記録材Sの搬送を実行する(ステップS26)。搬送制御部122、及び、搬送制御部414は、メディア検出装置30において高い精度で記録材特性を検出でき、定着部47において記録材Sへの損傷や、定着部47における不具合が発生し難い搬送速度で記録材Sの搬送を開始する。
【0075】
第1の温度閾値tAの到達時間が検出完了時間を超える場合(ステップS22のNo)、ステップS24の処理後、又は、ステップS26の処理後、メディア検出装置30において記録材特性の検出を実行する(ステップS27)。記録材特性の検出後、本フローチャートによる処理を終了し、上述の処理Iを終了する。
【0076】
上述の
図4及び
図5に示す処理によれば、画像形成を行っていない定着部47のウォームアップ中に記録材Sの記録材特性を検出することにより、記録材Sの搬送を停止し、又は、搬送速度を低下させて、精度の高い記録材特性の検出が可能となる。さらに、定着部47の温度tに応じて、記録材Sの搬送状態を調整することにより、記録材Sの損傷や不具合を抑制して精度の高い記録材特性の検出が可能となる。また、画像形成を行っていない定着部47のウォームアップ中に記録材Sの記録材特性を検出することにより、生産性の低下を抑制することができる。
【0077】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成システム、10 給紙装置、11,61 支持軸、12,31,41 制御部、13,32,49 通信部、14,44 搬送部、15,34,48 不揮発メモリ、20 供給調整部、30 メディア検出装置、33 検出部、40 画像形成装置、42 操作表示部、43 スキャナー部、45 画像処理部、46 画像形成部、47 定着部、50 回収調整部、60 回収装置、121,311,411 通信制御部、122,414 搬送制御部、312 メディア検出制御部、412 定着管理部、413 メディア検出管理部、415 判定部、416 条件設定部、417 条件履歴管理部、461 露光部、462 感光体、463 現像部、464 一次転写ローラー、465 中間転写ベルト、466 二次転写ローラー、471 定着ローラー、472 加圧ローラー