(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190409
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】水濡れ検知用布帛、及び該水濡れ検知用布帛を用いた水濡れ検知装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/40 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G01M3/40 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098722
(22)【出願日】2021-06-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.ウインドウズ
3.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮村 佳成
(72)【発明者】
【氏名】宮田 千歌
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA48
2G067BB40
2G067CC02
2G067DD23
(57)【要約】
【課題】水濡れ検知用布帛が水、お茶等の飲料をはじめとした水濡れや、雨水などの漏水による濡れを検知することができ、しかもその濡れた箇所をも検知することができる水濡れ検知用布帛、及び水濡れ検知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の水濡れ検知用布帛1は、導電性を有する芯部と、非導電性で吸水性を有する鞘部を備えた芯鞘型導電糸が非導電性布帛2に配設された布帛において、前記芯鞘型導電糸は非導電性布帛2に組織又は積層され、前記芯鞘型導電糸は芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bの2本が配設され、芯鞘型導電糸aに端子a1と端子a2と、芯鞘型導電糸bに端子b1と端子b2の4つの端子を設けたことを特徴とする。また、芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bは互いに略同距離に離間し、かつ、交差せず配設、又は、芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bは互いに略線対称に、かつ、交差部を形成し配設されるのが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する芯部と、非導電性で吸水性を有する鞘部を備えた芯鞘型導電糸が非導電性布帛に配設された布帛において、
前記芯鞘型導電糸は前記非導電性布帛に組織又は積層され、
前記芯鞘型導電糸は芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bの2本が配設され、
前記芯鞘型導電糸aに端子a1と端子a2と、前記芯鞘型導電糸bに端子b1と端子b2の4つの端子を設けたことを特徴とする水濡れ検知用布帛。
【請求項2】
前記芯鞘型導電糸aと前記芯鞘型導電糸bは互いに略同距離に離間し、かつ、
交差せず配設された請求項1に記載の水濡れ検知用布帛。
【請求項3】
前記芯鞘型導電糸aと前記芯鞘型導電糸bは互いに略線対称に、かつ、
交差部を形成し配設された請求項1に記載の水濡れ検知用布帛。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の水濡れ検知用布帛を含む検知部と、抵抗器と、ダイオードと、マイクロコンピュータと、表示装置と、電源と、を備え、
前記検知部に電圧を印加して端子b1の電圧を計測する回路を構成し、
前記回路は、前記水濡れ検知用布帛に設けられた前記端子a1と前記端子b1間の水に濡れた際の抵抗と前記抵抗器の2つの抵抗で構成された回路C1と、
前記水濡れ検知用布帛に設けられた前記端子a2と前記端子b1間の水に濡れた際の抵抗と前記抵抗器の2つの抵抗で構成された回路C2と、を含み、
前記マイクロコンピュータに、前記検知部が配設された領域の水濡れ及び水濡れ箇所を検知して結果を知らせるアルゴリズムを実装することを特徴とする水濡れ検知装置。
【請求項5】
前記アルゴリズムには、
端子a1に電圧を印加(印加電圧Vccc1)した時の前記回路C1における端子b1の分圧電圧Voutc1と、
端子a2に電圧を印加(印加電圧Vccc2)した時の前記回路C2における端子b1の分圧電圧Voutc2と、を交互に計測し、
水濡れ箇所を検知する時間と、
分圧電圧Voutc1と、
分圧電圧Voutc2と、
前記印加電圧Vccc1と前記分圧電圧Voutc1と前記抵抗器の値から算出した抵抗値R1と、
前記印加電圧Vccc2と前記分圧電圧Voutc2と前記抵抗器の値から算出した抵抗値R2と、
抵抗値R1―抵抗値R2である抵抗差と、
抵抗値R1+抵抗値R2に対する抵抗値R1の抵抗割合と、
からなるデータ群を準備し、
前記水濡れ箇所と前記データ群から選ばれる既知データを用いて判別する、又は、
前記水濡れ箇所を目的変数、前記データ群から選ばれる説明変数を学習した結果の閾値を用いて判別する請求項4に記載の水濡れ検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水濡れ検知用布帛、及び該水濡れ検知用布帛を用いた水濡れ検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から雨水の侵入や配管からの漏水、また電車、バス等の公共交通機関の座席シートの水濡れを検知したいという要望があった。さらに漏水や水濡れの場所も特定したいという要望があった。
【0003】
例えば、特許文献1には、構造物の屋上に敷設される漏水検知用導電網及びそれを備えた防水シートに関し、漏水自動検知及び漏水箇所探査に適し、かつ、製造コストが安く、輸送及び敷設が容易であって、耐久性の高い漏水検知用導電網及び導電線を備えた防水シートを提供することを目的に、構造物の躯体に表装された防水層の漏水を検知するために用いられる漏水検知用導電網であって、複数の切込みを備えた電気的絶縁性のシートと、前記シートに前記切込みに沿って配置された複数の導電線と、を有し、前記シートが前記切込みを介して網状に拡開されることにより、前記導電線が所定間隔ないし所定パターンで配置される漏水検知用導電網の発明が開示されている。
【0004】
しかしながら、電極と電極との間の電気伝導度を測定することにより、防水層等の破損による漏水の有無を判別することができるものの、その場所までは検知することはできなかった。この問題を解決するには、すなわち漏水の場所を検知するためには複数の漏水検知用導電網を区画して配置する必要があり、区画に番地を付け1区画内で漏水が発生したことを検知することでどの区画で漏水が発生したということから番地を特定することができるが、より細かく漏水の場所を検知するには、さらにより小さな区画を多数設けなければならなく、構成が複雑になり費用が増加する恐れがあった。
【0005】
また、特許文献2には、電車、バス、自動車等の車両の座席シートや、家具のソファ等では、水、お茶等の飲料水を溢してしまった後、気づかずに別の人が座った際にズボンやスカートが濡れてしまうという問題を解決するために、水濡れを検知することができる布帛として、非導電性布帛の少なくとも一部に、2本以上の導電糸と、該2本以上の導電糸と交差するように配置された芯鞘型導電糸と、を備え、前記芯鞘型導電糸が、導電性を有する芯部と、非導電性と吸水性を有する鞘部からなる布帛の発明が開示されている。
【0006】
しかしながら、布帛に液体が付着すると水濡れを検知することができるが、水濡れ場所を検知するには特許文献1と同様の課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-279347公報
【特許文献2】特開2019-039091公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、水濡れ検知用布帛が水、お茶等の飲料をはじめとした水濡れや、雨水などの漏水による濡れを検知することができ、しかもその濡れた箇所をも検知することができる水濡れ検知用布帛、及び該水濡れ検知用布帛を用いた水濡れ検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]導電性を有する芯部と、非導電性で吸水性を有する鞘部を備えた芯鞘型導電糸が非導電性布帛に配設された布帛において、
前記芯鞘型導電糸は前記非導電性布帛に組織又は積層され、
前記芯鞘型導電糸は芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bの2本が配設され、
前記芯鞘型導電糸aに端子a1と端子a2と、前記芯鞘型導電糸bに端子b1と端子b2の4つの端子を設けたことを特徴とする水濡れ検知用布帛。
【0011】
[2]前記芯鞘型導電糸aと前記芯鞘型導電糸bは互いに略同距離に離間し、かつ、
交差せず配設された前項1に記載の水濡れ検知用布帛。
【0012】
[3]前記芯鞘型導電糸aと前記芯鞘型導電糸bは互いに略線対称に、かつ、
交差部を形成し配設された前項1に記載の水濡れ検知用布帛。
【0013】
[4]請求項1~3のいずれか1項に記載の水濡れ検知用布帛を含む検知部と、抵抗器と、ダイオードと、マイクロコンピュータと、表示装置と、電源と、を備え、
前記検知部に電圧を印加して端子b1の電圧を計測する回路を構成し、
前記回路は、前記水濡れ検知用布帛に設けられた前記端子a1と前記端子b1間の水に濡れた際の抵抗と前記抵抗器の2つの抵抗で構成された回路C1と、
前記水濡れ検知用布帛に設けられた前記端子a2と前記端子b1間の水に濡れた際の抵抗と前記抵抗器の2つの抵抗で構成された回路C2と、を含み、
前記マイクロコンピュータに、前記検知部が配設された領域の水濡れ及び水濡れ箇所を検知して結果を知らせるアルゴリズムを実装することを特徴とする水濡れ検知装置。
【0014】
[5]前記アルゴリズムには、
端子a1に電圧を印加(印加電圧Vccc1)した時の前記回路C1における端子b1の分圧電圧Voutc1と、
端子a2に電圧を印加(印加電圧Vccc2)した時の前記回路C2における端子b1の分圧電圧Voutc2と、を交互に計測し、
水濡れ箇所を検知する時間と、
分圧電圧Voutc1と、
分圧電圧Voutc2と、
前記印加電圧Vccc1と前記分圧電圧Voutc1と前記抵抗器の値から算出した抵抗値R1と、
前記印加電圧Vccc2と前記分圧電圧Voutc2と前記抵抗器の値から算出した抵抗値R2と、
抵抗値R1―抵抗値R2である抵抗差と、
抵抗値R1+抵抗値R2に対する抵抗値R1の抵抗割合と、
からなるデータ群を準備し、
前記水濡れ箇所と前記データ群から選ばれる既知データを用いて判別する、又は、
前記水濡れ箇所を目的変数、前記データ群から選ばれる説明変数を学習した結果の閾値を用いて判別する前項4に記載の水濡れ検知装置。
【発明の効果】
【0015】
[1]の発明では、前記芯鞘型導電糸は前記非導電性布帛に組織又は積層され、前記芯鞘型導電糸は芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bの2本が配設され、前記芯鞘型導電糸aに端子a1と端子a2と、前記芯鞘型導電糸bに端子b1と端子b2の4つの端子を設けたことで、水に濡れた際に、芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸b間で通電が可能な状態となることから水濡れを検知することができ、しかもその濡れた箇所をも検知できる水濡れ検知用布帛を提供することができる。
【0016】
[2]の発明、[3]の発明では、水濡れを確実に検知することができ、しかもその濡れた箇所をも検知できる水濡れ検知用布帛を提供することができる。
【0017】
[4]の発明では、前記マイクロコンピュータに実装されたアルゴリズムによって、前記検知部が配設された領域の水濡れ及び水濡れ箇所を検知して結果を知らせる水濡れ検知装置を提供することができる。
【0018】
[5]の発明では、前記水濡れ箇所と前記データ群から選ばれる既知データを用いて判別する、又は、前記水濡れ箇所を目的変数、前記データ群から選ばれる説明変数を学習した結果の閾値を用いて判別することから、水濡れを検知することができ、しかもその濡れた箇所をより確実に検知できる水濡れ検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る水濡れ検知用布帛の一実施形態を示す平面図である。
【
図2】本発明に係る水濡れ検知用布帛の他の実施形態を示す平面図である。
【
図3】本発明に係る水濡れ検知用布帛のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【
図4】本発明に係る水濡れ検知装置の一実施形態を示す説明図である。
【
図5】本発明に係る水濡れ検知装置の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の水濡れ検知用布帛について
図1~3に基づいて詳しく説明する。水濡れ検知用布帛1は、導電性を有する芯部と、非導電性で吸水性を有する鞘部を備えた芯鞘型導電糸が非導電性布帛2に配設された布帛において、前記芯鞘型導電糸は非導電性布帛2に組織又は積層され、前記芯鞘型導電糸は芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bの2本が配設され、芯鞘型導電糸aに端子a1と端子a2と、芯鞘型導電糸bに端子b1と端子b2の4つの端子を設けたことを特徴とする。
【0021】
前記芯鞘型導電糸1本に対して端子を2箇所設け、もう1本の芯鞘型導電糸にも同様に2箇所設けるので端子は計4箇所である。すなわち、端子a1、端子a2、端子b1と端子b2である。端子は前記芯鞘型導電糸の端に限らず、前記芯鞘型導電糸上であればよい。すなわち、各端子は前記芯鞘型導電糸の両端であっても、両端付近であってもよく、特に制限はないが水濡れ及び水濡れ箇所を検知する領域は、上記の4つの端子間の範囲である。そして、前記芯鞘型導電糸1本に2箇所設けた端子をダイオードを介してマイクロコンピュータに接続し、もう1本の芯鞘型導電糸1本に2箇所設けた端子のうちの1つは抵抗器を介してグランドし、残りの1つは解放する。
【0022】
このような構成を採用することで、水濡れを検知することができ、しかもその濡れた箇所をも検知できる水濡れ検知用布帛を提供することができる。
【0023】
ここで、例えば
図1又は3に示すように芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bは互いに略同距離に離間し、かつ、交差せず配設、又は、例えば
図2に示すように芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bは互いに略線対称に、かつ、交差部を形成し配設されるのが好ましい。すなわち、非導電性布帛2上で左右や上下の均整がとれるので好ましい。
【0024】
このような構成を採用することで、水濡れ検知用布帛に水滴が付いた際には、水の毛管現象により水が周辺に広がることで配設された2本の芯鞘型導電糸に水分が達し、2本の芯鞘型導電糸間で通電可能な状態となることから、確実に水濡れを検知することができ、しかもその濡れた箇所をも検知できる水濡れ検知用布帛を提供することができる。
【0025】
前記芯鞘型導電糸は、導電性を有する芯部と、非導電性で吸水性を有する鞘部を備えた芯鞘型導電糸である。導電性を有する芯部としては、特に限定されないが例えば、金、銀、銅、ステンレス等の金属繊維や炭素繊維、金属メッキ繊維を挙げることができる。金属メッキ繊維はポリエステル繊維、ナイロン繊維等の導電性のない繊維に、銀、銅、ニッケル等の金属をメッキすることで導電性を付与した繊維である。なお、前記芯鞘型導電糸の抵抗値としては、繊維の抵抗値に合わせて非導電性布帛の長さを調整することもできるが、抵抗値が小さ過ぎると抵抗値R1と抵抗値R2の差が出にくく、逆に大き過ぎるとノイズの影響を受けやすいことから、500Ω/m~1MΩ/mの範囲が好ましく、10KΩ/m~20KΩ/mの範囲がさらに好ましい。
【0026】
非導電性で吸水性を有する鞘部としては、特に限定されないが、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の繊維を挙げることができる。また、繊維断面の形状として丸断面、異形断面等があるが、繊維の表面積が増えて吸水性が向上することから異形断面が好ましい。
【0027】
また、前記芯鞘型導電糸の鞘部は、導電性を有する芯部に例えば上述の繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等を螺旋状に巻き付ける方法、撚糸する方法、又は組紐にする方法などで鞘部を形成することもできる。
【0028】
こうして、電気的に接続していない2本の芯鞘型導電糸を水に濡らすことで、水が非導電性で吸水性を有する鞘部から浸透して導電性を有する芯部に至ることから通電が可能になる。
【0029】
非導電性布帛2としては、電気が流れない布帛状のもので水に濡れる素材を含んでなれば、特に限定されず、例えば、綿、絹、麻、羊毛などの天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、アクリルなどの合成繊維、レーヨンなどの再生繊維等の素材を含んでなる織物、編物、不織布を挙げることができる。さらに塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、オレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂をシート状に成型し浸透用に無数の貫通孔を設けたシートを挙げることができる。
【0030】
前記芯鞘型導電糸は非導電性布帛2に組織又は積層されるが、例えば、製織する際に前記芯鞘型導電糸を織り込む、袋組織内に挿入する、又は製編する際に前記芯鞘型導電糸を編み込むことで組織することができる。また、織物、編物、不織布、熱可塑性樹脂シート等に前記芯鞘型導電糸を刺繍してもよいし、貼ってもよい。
【0031】
次に、本発明の水濡れ検知装置3について
図4、
図5に基づいて詳しく説明する。
図4では、芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bは互いに略同距離に離間し、かつ、交差せず配設された水濡れ検知用布帛1を用いた水濡れ検知装置3の例を示し、
図5では、芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bは互いに略線対称に、かつ、交差部を形成し配設された水濡れ検知用布帛1を用いた水濡れ検知装置3の例を示す。
図4、
図5では検知部4のP0の領域を水で濡らした例とし、水濡れ箇所9を斜線で示した。なお、
図4で示す水濡れ検知装置3において、水濡れ検知用布帛1として
図3に示す水濡れ検知用布帛1を替りに用いてもよい。
【0032】
水濡れ検知装置3は、水濡れ検知用布帛1を含む検知部4と、抵抗器5と、ダイオード6と、マイクロコンピュータ7と、表示装置8と、電源と、を備え、検知部4に電圧を印加して端子b1の電圧を計測する回路を構成し、前記回路は、水濡れ検知用布帛1に設けられた端子a1と端子b1間の水に濡れた際の抵抗と抵抗器5の2つの抵抗で構成された回路C1と、水濡れ検知用布帛1に設けられた端子a2と端子b1間の水に濡れた際の抵抗と抵抗器5の2つの抵抗で構成された回路C2と、を含み、マイクロコンピュータ7に、検知部4が配設された領域の水濡れ及び水濡れ箇所を検知して結果を知らせるアルゴリズムを実装することを特徴とする。
【0033】
このような構成を採用することで、検知部4が配設された領域の水濡れ及び水濡れ箇所9を検知して結果を知らせる水濡れ検知装置3を提供することができる。なお、表示装置8によって利用者に分かり易い形で結果をフィードバックすることができる。
【0034】
検知部4は、検知部4に割り当てられた任意の数の領域、例えば
図4では検知部4の長手方向に並んだP0とP1の2つの領域のうち濡れた領域を水濡れ箇所として検知することができ、
図5では検知部4の長手方向に並んだP0~P3の4つの領域のうち濡れた領域を水濡れ箇所として検知することができる。検知部4の長手方向に並んだ領域の大きさや数は、特に限定されず目的に応じて適宜設定すればよい。
【0035】
抵抗器5としては特に限定されないが、材質がカーボン皮膜、金属皮膜、酸化金属皮膜などの固定抵抗器、可変抵抗器を挙げることができる。なかでも入手し易く安価なことからカーボン皮膜、金属皮膜が好ましい。なお、抵抗値は10KΩ~40KΩの範囲が好ましい。
【0036】
ダイオード6としては特に限定されないが、整流用ダイオード、スイッチングダイオード、ファストリカバリーダイオード等を挙げることができる。なかでも電流の逆流を防ぐ本来の整流作用に優れればよいことから汎用整流用ダイオードが好ましい。
【0037】
マイクロコンピュータ7としては特に限定されず、CPU、メモリー、ストレージを備えアルゴリズムを実装できればよく、例えば、PICマイコン、AVRマイコン、ARMマイコンや、シングルボードコンピュータ、ワンボードマイコン等を挙げることができる。電圧を印加できるデジタルピンが2本、アナログ/デジタル変換(A/D変換)ピンが3本あればよく、装置の拡張性や規模、また開発段階や製品化に合わせて適宜選定すればよい。
【0038】
表示装置8としては、特に限定されず公知のLED(発光ダイオード)や液晶(LC)を用いた表示装置に検知部4で検知した結果を表示できればよい。また、パーソナルコンピュータと接続することで上述の結果を渡し知らせてもよい。
【0039】
前記電源としては、マイクロコンピュータ7の動作に必要な電圧を安定供給できればよく、例えば、乾電池(1.5V、3~4本)、USB変換器を介したAC(交流)電源、パソコンのUSBポート等を挙げることができる。
【0040】
図4、
図5に示すように、端子a1をマイクロコンピュータ7のデジタル入力ピンD1に整流用ダイオード(D1側がアノード)を介して接続し、同じ端子a1をアナログ入力ピンA1にも接続し、端子a2をマイクロコンピュータ7のデジタル入力ピンD0に整流用ダイオード(D0側がアノード)を介して接続し、同じ端子a2をアナログ入力ピンA0にも接続し、端子b1をマイクロコンピュータ7のアナログ入力ピンA2に接続し、同じ端子b1は抵抗器5を介してグランドし、端子b2は何処にも接続せず開放とする。なお、入出力はマイクロコンピュータ7で処理できるように適宜A/D変換するものとする。また、端子の形状や材質は特に限定されず電気的に接続できるものであればよく、接続には公知のリード線等を用いればよい。
【0041】
検知部4にはマイクロコンピュータ7によって水濡れ検知用布帛1の端子を通し電圧が印加され、水濡れ検知用布帛1の芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bとの間では通電していないところに水濡れが発生することで通電することから、水濡れ及び水濡れ箇所を検知することができる。より詳しくは、回路C1は、水濡れ検知用布帛1に設けられた端子a1と端子b1間の水に濡れた際の抵抗と抵抗器5の2つの抵抗で構成され、回路C2は、水濡れ検知用布帛1に設けられた端子a2と端子b1間の水に濡れた際の抵抗と抵抗器5の2つの抵抗で構成されていることから、検知部4が水に濡れた際に、回路C1では端子a1と端子b1間で通電しつつも抵抗があり、回路C2でも同様に端子a2と端子b1間で通電しつつも抵抗があることから、すなわち、それぞれ水に濡れた際の疑似抵抗があることから水濡れ及び水濡れ箇所を検知することができる。なお、端子a1~端子b2の各符号は構成と相互の関係の説明のために付したもので、芯鞘型導電糸と電気的に接続して同等の回路を2つ形成できればよい。
【0042】
マイクロコンピュータ7に実装されたアルゴリズムは、上述の処理を行うプログラムを含み、計測した数値を処理し表示装置8に検知部4で検知した結果を表示するよう指示する。前記アルゴリズムとは、実行することで得られた数値を含むデータ群を含むものとして用いている。
【0043】
前記データ群として、例えば計測の経過時間、印加した電圧値、測定した電圧値、計測回数を含むのが好ましく、前記データ群から算出される例えば抵抗値、抵抗差、抵抗割合を含むのが好ましい。すなわち、前記アルゴリズムには、端子a1に電圧を印加(印加電圧Vccc1)した時の前記回路C1における端子b1の分圧電圧Voutc1と、端子a2に電圧を印加(印加電圧Vccc2)した時の前記回路C2における端子b1の分圧電圧Voutc2と、を交互に計測し、水濡れ箇所を検知する時間と、分圧電圧Voutc1と、分圧電圧Voutc2と、前記印加電圧Vccc1と前記分圧電圧Voutc1と抵抗器5の値から算出した抵抗値R1と、前記印加電圧Vccc2と前記分圧電圧Voutc2と抵抗器5の値から算出した抵抗値R2と、抵抗値R1―抵抗値R2である抵抗差と、抵抗値R1+抵抗値R2に対する抵抗値R1の抵抗割合と、からなるデータ群を準備し、前記水濡れ箇所と前記データ群から選ばれる既知データを用いて判別する、又は、前記水濡れ箇所を目的変数、前記データ群から選ばれる説明変数を学習した結果の閾値を用いて判別するのが好ましい。前記抵抗割合は、本発明では百分率を含む意味で用いる。なお、英字と数字の組合せ記号は説明のために付しているが、相互の関係が明確で抵抗差と抵抗割合を算出できればよい。次に示す関係があることから、抵抗値R1と抵抗値R2を算出できる。
印加電圧Vccc1:分圧電圧Voutc1=(抵抗値R1+抵抗器5の抵抗値):抵抗器5の抵抗値
印加電圧Vccc2:分圧電圧Voutc2=(抵抗値R2+抵抗器5の抵抗値):抵抗器5の抵抗値
【0044】
上述のとおり本発明の技術思想は、本発明の水濡れ検知用布帛を回路の素子の1つとみたて、2つの回路を構成することで、計測可能な電圧から導き出される特徴に着目して水濡れ箇所を特定、認識できることにある。この特徴が2つの回路における抵抗の差と抵抗割合である。
【0045】
本発明における判別としては、特に限定されないが、既知データを用いたK近傍法による判別、SVM(サポートベクターマシン)、決定木等公知の学習により得られた閾値による判別を挙げることができる。K近傍法は、測定データに近い既知のデータを設定した数だけ選んで、その既知のデータの多数決で判別する方法である。一方、SVM(サポートベクターマシン)は、パターン認識用の学習法であり、目的変数と説明変数から分類等を行い、閾値を設定する。決定木は、木を逆さにしたデータ構造を用いて分類と回帰を行い、閾値を設定する。いずれも公知の学習法として知られており、例えばプログラミング言語Pythonで利用できるライブラリのscikit-learnに含まれるK近傍法、SVM、決定木を利用することができる。
【0046】
予め既知データとして前記データ群を得るには、前記アルゴリズムをもとにマイクロコンピュータ7に実装可能なプログラムを記述し、乾燥している検知部4の1つの領域に水滴を垂らして濡らし、前記プログラムを実行すればよく、繰り返す前に検知部4を乾燥させてから検知部4の他の領域も同様にして繰り返すことで検知部4の各領域におけるデータ群を得ることができる。領域毎に少なくとも数十個~数百個のデータを得るのが好ましい。こうして得られたデータ群の中の複数の前記抵抗差、複数の前記抵抗割合、複数の水濡れ箇所の3種類のデータを既知データとしてK近傍法により未知の水濡れ箇所を判別するのが好ましい。判別するプログラムを前記既知データとともにマイクロコンピュータ7に実装し、未知の水濡れ箇所が発生した際に抵抗差と抵抗割合を算出し、K近傍法により水濡れ箇所を判別することができる。
【0047】
同様に得られたデータ群の中の複数の前記抵抗差と複数の前記抵抗割合のデータを説明変数に、複数の水濡れ箇所のデータを目的変数として、SVM(サポートベクターマシン)や、決定木によって学習した閾値を用いて判別するのが好ましい。
【0048】
また、前記データ群をパーソナルコンピュータへ送信し、前記パーソナルコンピュータの同様のプログラムで判別してもよい。大量のデータ処理には前記パーソナルコンピュータを用いた行う方が容易で時間短縮にもなるので好ましい。なお、前記プログラムはマイクロコンピュータ7、前記パーソナルコンピュータで動作可能な言語で記述すればよく、例えばマシン語、C、C++、Python、Java等を挙げることができる。また、検知部4は1つでも複数でもよく、水濡れを検知したい領域の大きさや形状を含め目的に合わせて適宜設定すればよい。前記送信は有線でも無線でもよく、前記パーソナルコンピュータで処理することで遠隔で水濡れ及び水濡れ箇所を検知し結果を知ることができる。前記データ群の送信に限定せず、水漏れ検知結果等をインターネットに接続して活用してもよい。
【実施例0049】
次に、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のものに特に限定されるものではない。また、開発環境を用意し易いことからマイコンボード系アルドゥイーノとウインドウズ系OSのパソコン(Windows10)を利用し開発した。なお、表1に各学習法の種類等、及び総正答率を示し、表2には実際に濡らした箇所と判別結果を示した。
【0050】
<使用材料>
芯部・・・銀メッキ糸(ODEX(登録商標)、70d×3、大阪電気工業株式会社製)
鞘部・・・異形断面糸(カルキュロ(登録商標)167T48f、帝人フロンティア株式会社製)
芯鞘型導電糸a、b・・・芯部1本と鞘部1本とを撚糸した後、さらに鞘部2本を撚糸
非導電性布帛・・・ポリエステル繊維製編地(幅6cm×長さ1.5m、幅6cm×長さ75cmの2種類)
水濡れ検知用布帛・・・非導電性布帛2に芯鞘型導電糸aと芯鞘型導電糸bの2本を、互いに略同距離に離間し、かつ、交差しないように編み込み配設
端子a1~b2・・・銅製のカシメ
抵抗器・・・10KΩのカーボン抵抗器
ダイオード・・・汎用整流用ダイオード1N4007
マイクロコンピュータ・・・ArduinoUNO
K近傍法、SVM、決定木ライブラリ・・・scikit-learn
【0051】
<実施例1>
P0の領域とP1の領域の2つの領域の検知部4(長手方向1.5m)を備えた
図4で説明の水濡れ検知装置を用いて、P0の領域を水で濡らして水濡れ箇所9とした後、開始時間を記録し、続いて印加電圧Vccc1として5V、印加電圧Vccc2として0Vを印加した際の端子b1に現れた分圧電圧Voutc1を計測、次に印加電圧Vccc1として0V、印加電圧Vccc2として5Vを印加した際の端子b1に現れた分圧電圧Voutc2を計測したのち、印加電圧Vccc1として0V、印加電圧Vccc2として0Vを印加した。印加電圧Vccc1と分圧電圧Voutc1から抵抗値R1を算出し、印加電圧Vccc2と分圧電圧Voutc2から抵抗値R2を算出した。続いて、抵抗値R1―抵抗値R2である抵抗差を求め、抵抗値R1+抵抗値R2に対する抵抗値R1の抵抗割合を計算した。開始からここまでを100回繰り返しP0の領域におけるデータ群を100個得た。次に検知部4を乾燥させた後、P1の領域を水で濡らして水濡れ箇所9とし同様に100回繰り返しP1の領域におけるデータ群を100個得た。得られた合計200個のデータ群のうち抵抗差と抵抗割合と水濡れ箇所(P0の領域、P1の領域)を既知データとしてK近傍法により水濡れ箇所を判別するプログラム(K近傍法判別プログラム)を作成した。次に、P0の領域を水で濡らし上述のようにして合計100個のデータ群を得た。得られデータ群のうちの抵抗差と抵抗割合に対して、P0の領域、P1の領域のどちらであるかをK近傍法判別プログラムにより判別した。判別は100個ある抵抗差と100個ある抵抗割合に対してなので100回行った。P1の領域についても同様にして100回判別した。実際に濡らした箇所と判別結果を表2に示した。P0の領域、P1の領域の正答率はそれぞれ100%で、両方の領域を合わせた総正答率は100%であった。
【0052】
<実施例2>
実施例1と同様にして得られた合計200個のデータ群のうち抵抗差と抵抗割合を説明変数、水濡れ箇所(P0の領域、P1の領域)を目的変数としてSVM(サポートベクターマシン)による学習によって閾値を求めた。得られた閾値により水濡れ箇所を判別するプログラム(SVM判別プログラム)を作成した。次に、K近傍法判別プログラムに替えてSVM判別プログラムを用いて実施例1と同様にしてP0、P1の各領域についてそれぞれ100回判別した。P0の領域、P1の領域の正答率はそれぞれ100%で、両方の領域を合わせた総正答率は100%であった。
【0053】
<実施例3>
実施例1と同様にして得られた合計200個のデータ群のうち抵抗差と抵抗割合を説明変数、水濡れ箇所(P0の領域、P1の領域)を目的変数として決定木による学習によって閾値を求めた。得られた閾値により水濡れ箇所を判別するプログラム(決定木判別プログラム)を作成した。次に、K近傍法判別プログラムに替えて決定木判別プログラムを用いて実施例1と同様にしてP0、P1の各領域についてそれぞれ100回判別した。P0の領域、P1の領域の正答率はそれぞれ100%で、両方の領域を合わせた総正答率は100%であった。
【0054】
<実施例4>
P0~P3の領域の4つの領域の検知部4(長手方向75cm)を備えた
図5で説明の水濡れ検知装置を用いて、実施例1と同様にして、P0~P3の各領域におけるそれぞれのデータ群を得た。得られた合計400個のデータ群のうち抵抗差と抵抗割合と水濡れ箇所(P0の領域、P1の領域、P2の領域、P3の領域)を既知データとしてK近傍法により水濡れ箇所を判別するプログラム(K近傍法判別プログラム)を作成した。次に、P0の領域を水で濡らし上述のようにして合計100個のデータ群を得た。得られデータ群のうちの抵抗差と抵抗割合に対して、P0~P3の領域のいずれの領域であるかをK近傍法判別プログラムにより判別した。判別は100個ある抵抗差と100個ある抵抗割合に対してなので100回行った。P1~P3の各領域についても同様にしてそれぞれ100回判別した。P0の領域~P3の領域の全領域を合わせた総正答率は96.25%であった。
【0055】
<実施例5>
実施例4と同様にして得られた合計400個のデータ群のうち抵抗差と抵抗割合を説明変数、水濡れ箇所(P0の領域、P1の領域、P2の領域、P3の領域)を目的変数としてSVM(サポートベクターマシン)による学習によって閾値を求めた。得られた閾値により水濡れ箇所を判別するプログラム(SVM判別プログラム)を作成した。次に、K近傍法判別プログラムに替えてSVM判別プログラムを用いて実施例4と同様にしてP0~P3の各領域についてそれぞれ100回判別した。P0の領域~P3の領域の全領域を合わせた総正答率は99.75%であった。
【0056】
<実施例6>
実施例4と同様にして得られた合計400個のデータ群のうち抵抗差と抵抗割合を説明変数、水濡れ箇所(P0の領域、P1の領域、P2の領域、P3の領域)を目的変数として決定木による学習によって閾値を求めた。得られた閾値により水濡れ箇所を判別するプログラム(決定木判別プログラム)を作成した。次に、K近傍法判別プログラムに替えて決定木判別プログラムを用いて実施例4と同様にしてP0~P3の各領域についてそれぞれ100回判別した。P0の領域~P3の領域の全領域を合わせた総正答率は100%であった。
【0057】
<比較例1>
実施例1において、抵抗器5を設けなかった。すなわち、印加電圧Vccc1として5V、印加電圧Vccc2として0Vとしたものの端子b1がグランドとショートするため、印加電圧Vccc1と印加電圧Vccc2が常に0Vとなり、水濡れ箇所どころか水濡れしたかどうかさえ分からなかった。
【0058】
<比較例2>
実施例1において、回路C2を構成せず分圧電圧Voutc2を得られなかった。すなわち、印加電圧Vccc1として5V、印加電圧Vccc2として0Vとした際の分圧電圧Voutc1を計測し、印加電圧Vccc1と分圧電圧Voutc1から抵抗値R1のみを算出し、100回繰り返しP0の領域における抵抗値R1と、P1の領域についても同様に100回繰り返し抵抗値R1を得た。得られた合計200個の抵抗値R1と水濡れ箇所(P0の領域、P1の領域)を既知データとしてK近傍法により水濡れ箇所を判別するプログラム(K近傍法判別プログラム)を作成し、このK近傍法判別プログラムを用いて実施例1と同様にしてP0、P1の各領域についてそれぞれ100回判別した。判別の結果は水濡れしたかどうか分かるものの、水濡れ箇所を判別できたとは言い難かった。
【0059】
<比較例3>
実施例5において、回路C2を構成せず分圧電圧Voutc2を得られなかった。すなわち、印加電圧Vccc1として5V、印加電圧Vccc2として0Vとした際の分圧電圧Voutc1を計測し、印加電圧Vccc1と分圧電圧Voutc1から抵抗値R1のみを算出し、100回繰り返しP0の領域における抵抗値R1と、P1~P3の領域についても同様に100回ずつ繰り返し抵抗値R1を得た。得られた合計400個のデータ群のうち抵抗R1を説明変数、水濡れ箇所(P0の領域、P1の領域、P2の領域、P3の領域)を目的変数としてSVM(サポートベクターマシン)による学習によって閾値を求めた。得られた閾値により水濡れ箇所を判別するプログラム(SVM判別プログラム)を作成し、このSVM判別プログラムを用いて実施例5と同様にしてP0~P3の各領域についてそれぞれ100回判別した。判別の結果は水濡れしたかどうか分かるものの、水濡れ箇所を判別できたとは言い難かった。
【0060】
【0061】
【0062】
本発明の水濡れ検知用布帛を用いた水濡れ検知装置は、総正答率が約96%以上の優れた結果を示した。一方、比較例1では水濡れ箇所どころか水濡れしたかどうかさえ分からなかった。また、比較例2、3では水濡れ箇所を判別することは困難であった。
本発明の水濡れ検知用布帛は、飲料をはじめ漏水による濡れ及び濡れた箇所を検知できる水濡れ検知用布帛として好適であり、また、本発明の水濡れ検知装置は、例えば雨水の侵入や水道管などの配管や公共交通機関の座席シートの水濡れ検知装置として好適である。