(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190411
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
D06F39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098724
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】黒田 恵
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 貞人
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA01
3B166AA02
3B166AA04
3B166AA05
3B166AB23
3B166AB24
3B166AB32
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE05
3B166AE07
3B166BA48
3B166CA01
3B166CB01
3B166CB11
3B166DA02
3B166DC44
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE02
3B166DE04
3B166FB01
3B166GA06
3B166GA12
3B166HA11
3B166HA31
(57)【要約】
【課題】処理剤タンクと処理剤ケースとを隣接して並べて配置した洗濯機において、処理剤タンクを取り出しやすくして操作性の向上を図ることができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、1回の運転で用いる洗濯処理剤の投入を受けるとともに、投入された洗濯処理剤を水槽に供給する処理剤ケースと、複数回の運転に用いる洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、外箱内に設けられ、外箱の天面部側が開放された開口部を有し、処理剤ケース及び処理剤タンクを水平方向に並べて収容可能な収容部と、を備える。処理剤ケースは、処理剤ケース及び処理剤タンクが収容部に収容された状態で処理剤タンクよりもユーザ側に位置し、処理剤タンクは、処理剤ケース及び処理剤タンクが収容部に収容された状態で少なくとも一部がユーザ側に露出している。処理剤タンク40は、処理剤ケース30が収容部21に収容された状態で収容部21からの着脱が可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に設けられた水槽と、
1回の運転で用いる洗濯処理剤の投入を受けるとともに、投入された前記洗濯処理剤を前記水槽に供給する処理剤ケースと、
複数回の運転に用いる洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、
前記外箱内に設けられ、前記外箱の天面部側が開放された開口部を有し、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクを水平方向に並べて収容可能な収容部と、を備え、
前記処理剤ケースは、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態で前記処理剤タンクよりもユーザ側に位置し、
前記処理剤タンクは、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態で少なくとも一部がユーザ側に露出しており、
前記処理剤タンクは、前記処理剤ケースが前記収容部に収容された状態で前記収容部からの取り外し及び又は前記収容部への装着が可能である
洗濯機。
【請求項2】
外箱と、
前記外箱内に設けられた水槽と、
1回の運転で用いる洗濯処理剤の投入を受けるとともに、投入された前記洗濯処理剤を前記水槽に供給する処理剤ケースと、
複数回の運転に用いる洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、
前記外箱内に設けられ、前記外箱の天面部側が開放された開口部を有し、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクを水平方向に並べて収容可能な収容部と、を備え、
前記処理剤ケースは、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態で前記処理剤タンクよりもユーザ側に位置し、
前記処理剤タンクは、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態で少なくとも一部がユーザ側に露出しており、
前記処理剤タンクは、前記処理剤ケースと対向する側にユーザが手指を掛けることが可能な手掛け部を有し、
前記手掛け部の前記処理剤ケースと対向する面の少なくとも一部は、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態でユーザ側に露出している
洗濯機。
【請求項3】
前記収容部は、前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態で前記処理剤タンクの移動を規制する規制部を有し、
前記処理剤タンクは、前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態で着脱可能に前記規制部と互いに嵌り合う被規制部を有し、
前記手掛け部は、前記処理剤タンクが前記規制部と前記被規制部との嵌め合いが外れる位置まで引き上げられた状態で、前記規制部と前記被規制部とが嵌り合った状態よりも露出量が増える
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記手掛け部は、上方に向けて窪ませた凹部を有している請求項2又は3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記凹部は、前記処理剤タンクのタンク本体に向かって延びてユーザの手指を上方から受ける上端部を有する
請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記凹部の前記上端部は、水平方向に対して傾斜している請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記処理剤ケースは、前記処理剤タンクと対向する側の上部に切欠き部を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの利便性向上のために、洗濯処理剤を自動投入用の処理剤タンクに予め複数回分貯留しておき、各洗濯運転時に必要量を処理剤タンクから自動的に投入する自動投入装置を備えた洗濯機が開発されている。一方で、ユーザが運転毎に処理剤を手動で投入したいというニーズも残る。このため、自動投入装置を備えた洗濯機においても、従来の処理剤ケースつまり1回の運転で使用する洗濯処理剤を運転ごとに手動で投入するための手動投入用の処理剤ケースを備えている。
【0003】
処理剤タンクと処理剤ケースは、ユーザの作業性等を考慮すると、相互に近接した位置に配置することが好ましい。例えば、同一の収容空間において、ユーザの作業頻度の高い処理剤ケースをユーザの近くに配置し、作業頻度の低い処理剤タンクをユーザから離れた位置に配置することが考えられる。この場合、製品のコンパクト化のためには、処理剤タンクと処理剤ケースとをできるだけ密接させて配置することが好ましい。
【0004】
ユーザは、処理剤タンクを掃除するために定期的に機外に取り出すことがある。しかしながら、上記のような場合、処理剤タンクと処理剤ケースとの間に隙間がないため、とりわけ処理剤タンクよりも寸法及び重量が大きい処理剤タンクを取り出すことが容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、処理剤タンクと処理剤ケースとを隣接して並べて配置した洗濯機において、処理剤タンクを取り出しやすくして操作性の向上を図ることができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の洗濯機は、外箱と、前記外箱内に設けられた水槽と、1回の運転で用いる洗濯処理剤の投入を受けるとともに、投入された前記洗濯処理剤を前記水槽に供給する処理剤ケースと、複数回の運転に用いる洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、前記外箱内に設けられ、前記外箱の天面部側が開放された開口部を有し、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクを水平方向に並べて収容可能な収容部と、を備える。前記処理剤ケースは、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態で前記処理剤タンクよりもユーザ側に位置し、前記処理剤タンクは、前記処理剤ケース及び前記処理剤タンクが前記収容部に収容された状態で少なくとも一部がユーザ側に露出している。前記処理剤タンクは、前記処理剤ケースが前記収容部に収容された状態で前記収容部からの取り外し及び又は前記収容部への装着が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態による洗濯機の構成を概略的に示す斜視図
【
図2】第1実施形態による洗濯機の内部構成を概略的に示す図
【
図3】第1実施形態による洗濯機について、外箱からカバー部材を外した状態で収容部周辺の構成を概略的に示す平面図
【
図4】第1実施形態による洗濯機について収容部周辺の構成を示す斜視図
【
図5】第1実施形態による洗濯機について、処理剤タンクの概略構成を示す斜視図
【
図6】第1実施形態による洗濯機について、処理剤タンクの概略構成を示す正面図
【
図7】第1実施形態による洗濯機について、処理剤タンクの概略構成を
図6のA-A線に沿って示す断面図
【
図8】その他の実施形態による洗濯機について、処理剤タンクの概略構成を示す正面図
【
図9】第1実施形態による洗濯機について、規制部と被規制部とが嵌り合った状態の処理剤タンク周辺の概略構成を
図3のB-B線に沿って示す断面図
【
図10】第1実施形態による洗濯機について、規制部と被規制部とが外れた状態の処理剤タンク周辺の概略構成を
図3のB-B線に沿って示す断面図
【
図11】第1実施形態による洗濯機について、規制部と被規制部とが嵌り合った状態の規制機構周辺の概略構成を拡大して示す正面図
【
図12】第1実施形態による洗濯機について、規制部と被規制部とが外れた状態の規制機構周辺の概略構成を拡大して示す正面図
【
図13】第1実施形態による洗濯機について
図4の楕円C内を拡大して手掛け部周辺を示す概略図
【
図14】その他の実施形態による洗濯機について、処理剤タンクの概略構成を
図6のA-A線に沿って示す断面図
【
図15】その他の実施形態による洗濯機について、処理剤タンクの概略構成を
図6のA-A線に沿って示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について
図1~
図13を参照しながら説明する。洗濯機10は、
図1及び
図2に示すように、外箱11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、排水機構15、操作パネル16、給水機構17、及び処理剤投入機構20を備えている。なお
図1において、洗濯機10の設置面側、つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面の反対側、つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。また、洗濯機10を正面から見た場合の左右方向を、洗濯機10の左右方向とする。洗濯機10は、例えば回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。
【0011】
洗濯機10は、例えばヒートポンプ式やヒーター式の乾燥機能を有していても良いし、備えていなくてもよい。外箱11は、例えば鋼材又は樹脂材等の部材によって全体として矩形の箱状に構成されており、洗濯機10の外殻を構成する。本実施形態の場合、外箱11の天面部111は、平坦面に形成されている。水槽12は、外箱11内に配置されて、図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されている。この場合、水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収容する洗濯槽として機能する。回転槽モータ14は、水槽12の外側に設けられている。回転槽モータ14は回転槽13に接続されており、駆動により回転槽13を回転させる。
【0012】
図2に示す排水機構15は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための機能を有する。排水機構15は、排水経路151と、排水弁152と、を有している。排水経路151は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁152に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外へ引き出されている。排水弁152は、例えば電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁で構成されている。排水弁152は、水槽12の底部に設けられた排水口121と、排水経路151との間に設けられており排水経路151を開閉する。
【0013】
操作パネル16は、
図1に示すように外箱11の天面部111の前側部分に設けられている。操作パネル16には、詳細は図示しないが、電源スイッチ、スタートキー、ユーザが洗濯運転コースの設定等を行うための各種操作キーなどが設けられている。なお、電源スイッチは、操作パネル16とは別に設けても良い。ユーザは、洗濯運転を実行させるにあたって、自動で洗濯処理剤を投入するか、又は手動で1回分の洗濯処理剤を投入するかを、操作パネル16を用いて選択操作できる。なお、本実施形態において、洗濯処理剤とは、液体又は粉末の洗剤、柔軟剤仕上げ剤、及び香り付け剤を含む概念であるが、洗濯運転に使用される薬剤であればこれらに限られない。
【0014】
給水機構17は、例えば外箱11内の水槽12の上方左奥部に設けられている。給水機構17は、例えば水道などの給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う。給水機構17は、例えば
図2に示すように、接続口171、給水経路172及び給水弁173を有している。接続口171は、外箱11の天面部111において、左奥部に露出するように設けられている。接続口171は、例えばホースを介して水道の蛇口等の外部の水源に接続される。
【0015】
給水経路172は、接続口171から水槽12及び回転槽13までを接続する経路である。処理剤投入機構20は、例えば給水経路172の途中に設けられており、給水経路172を流れる水に洗濯処理剤を含ませて水槽12及び回転槽13内に供給する機能を有する。処理剤投入機構20は、
図2に示すように、収容部21、ポンプ22、カバー部材23、処理剤ケース30、及び処理剤タンク40を備える。
【0016】
収容部21は、樹脂又は金属部材によって箱又は容器状に構成されており、上部に向けて開口した開口部211を有している。収容部21は、外箱11内に設けられている。収容部21の上端つまり開口部211は、天面部111よりも下方に位置している。本実施形態の場合、収容部21は、給水経路172の一部を構成している。この場合、給水弁173の出口は、直接又は間接的に収容部21に接続されている。そして、収容部21は、直接又は間接的に水槽12に接続されている。
【0017】
ポンプ22は、処理剤タンク40とともに、洗濯処理剤を運転中に自動で水槽12及び回転槽13内に供給するための自動投入装置を構成する。ポンプ22は、運転中に処理剤タンク40から所定量の洗濯処理剤を吸い出し、その吸い出した洗濯処理剤を、給水経路172の途中部分に投入する機能を有する。これにより、給水経路172の途中に供給された洗濯処理剤は、給水経路172内を流れる水の流れに乗って水槽12及び回転槽13内に供給される。このように、洗濯機10は、所定量の洗濯処理剤を運転中に自動で水槽12及び回転槽13内に供給することができる。
【0018】
カバー部材23は、外箱11に回動可能に設けられて回動により収容部21の開口部211を開閉するとともに、折り曲げ可能でかつ折り曲げ出た状態で回動可能に構成されている。すなわち、カバー部材23は、
図1、
図2及び
図4に示すように、外箱11の天面部111に回動可能に取り付けられており、収容部21の開口部211を開閉可能に構成されている。本実施形態では、カバー部材23は、少なくとも2つに折り曲げ可能に構成されている。そして、カバー部材23は、少なくとも2つに折り曲げた状態で回動することで開口部211を開閉可能に構成されている。
【0019】
処理剤ケース30及び処理剤タンク40は、収容部21に着脱可能に収容されている。処理剤ケース30と処理剤タンク40とは、収容部21内に隣接して配置されており、この場合、処理剤ケース30は、洗濯機10の手前側に立って操作するユーザに近い側に配置し、処理剤タンク40はユーザから遠い側に配置することができる。たとえば、処理剤ケース30と処理剤タンク40とは、前後方向又は左右方向に直線上に並べられている。
【0020】
本実施形態の場合、
図1、
図3及び
図4に示すように、処理剤ケース30と処理剤タンク40とは、収容部21内において前後方向に並べて収容される。そして、処理剤ケース30は、処理剤タンク40の前側つまり洗濯機10の手前側に立って操作するユーザにより近い位置に位置している。他の実施形態において処理剤ケース30と処理剤タンク40とを左右方向に並べた場合、処理剤ケース30は、処理剤タンク40よりも洗濯機10の左右方向に関する中心側つまり洗濯機10の手前側に立って操作するユーザにより近い位置に配置することができる。
【0021】
処理剤ケース30と処理剤タンク40とは、収容部21内において密接して収容されている。すなわち処理剤ケース30の処理剤タンク40に面する面と処理剤ケース30の処理剤タンク40に面する面とは近接している。そのため、処理剤ケース30と処理剤タンク40との間にユーザが手指を挿入するスペースは設けられていないが、処理剤ケース30と処理剤タンク40は、それぞれ単独で収容部21から取り出すことができる。すなわち、ユーザは、処理剤タンク40を移動せずに処理剤ケース30単独で収容部21から取り出すこともできるし、処理剤ケース30を移動せずに処理剤タンク40単独で収容部21から取り出すこともできる。
【0022】
処理剤ケース30は、1回の運転で用いる処理剤の投入を受けるとともに、例えば運転前又は運転開始時に投入された処理剤を運転中に水槽12に供給する機能を有する。処理剤ケース30は、例えば樹脂製であって、前後方向又は左右方向に長い矩形状でかつ上部が開口した容器状に構成されている。
【0023】
処理剤ケース30は、
図2及び
図3等に示すように、壁部31と、底部32と、仕切り部33と、一又は複数この場合2個の投入部34、35と、を有する。壁部31は、処理剤ケース30の容器形状の外周壁を形成する。壁部31は、前壁部311と、左右の側壁部312と、背壁部313と、を有する。前壁部311は、処理剤ケース30の前側の面を形成する。左右の側壁部312は、処理剤ケース30の左右の面を形成する。背壁部313は、処理剤ケース30の後ろ側の面を形成する。
【0024】
底部32は、処理剤ケース30の容器形状の底面を形成する。仕切り部33は、処理剤ケース30の容器形状内の空間を前後方向又は左右方向に仕切って、投入部34と投入部35とに区分する。本実施形態では、仕切り部33は左右方向に延びて、処理剤ケース30内の空間を前後方向に仕切っている。
【0025】
投入部34、35は、それぞれ下方に向けて窪ませた容器状に形成されており、内部に洗濯処理剤を受けることができる。投入部34、35は、ユーザから洗濯処理剤の投入を受ける部分であり、上部に開口が形成されている。ユーザは、投入部34、35の上部の開口から処理剤ケース30内に洗濯処理剤を投入する。
【0026】
投入部34、35は、前後方向又は左右方向に並んで設けられている。本実施形態では、投入部34、35は前後方向に並んで設けられている。例えば、投入部34は内部に洗剤を受け、投入部35は内部に柔軟仕上げ剤を受ける。本実施形態では、投入部34は投入部35よりも後ろ側に設けられている。投入部34は、ユーザから1回の運転に用いる量の洗剤の投入を受けて、その洗剤を水槽12内に供給する。洗剤は、液体状であっても粉末状であっても良い。投入部35は、ユーザから1回の運転に用いる量の柔軟仕上げ剤の投入を受けて、その柔軟仕上げ剤を水槽12内に供給する。柔軟仕上げ剤は、通常液体状であるがこれに限らない。
【0027】
処理剤ケース30は、
図2に示すように底部32に連通孔36が形成されている。処理剤ケース30は、給水弁173を通って収容部21内に供給された水を受ける。その際、処理剤ケース30内に洗濯処理剤が投入されている場合、洗濯処理剤は、処理剤ケース30に供給された水とともに底部32の連通孔36から流し落とされて水槽12内に供給される。
【0028】
処理剤タンク40は、複数回の運転に用いる量の処理剤を貯留可能に構成されている。処理剤タンク40は、例えば樹脂製であって、前後方向又は左右方向に長い矩形状で中空の容器で構成されており、液状の洗濯処理剤を貯留することができる。処理剤タンク40は、複数回の運転で使用する量の洗濯処理剤を貯留するために十分な容量を有している。この場合、処理剤タンク40の容量は特に限定されないが、ユーザの利便性を考慮すると、少なくとも数百mL~2L程度に設定することが好ましい。
【0029】
処理剤タンク40は、
図2、及び
図4~
図7等に示すように、タンク本体41、上部材42、及びタンク出口43等を有している。タンク本体41は、処理剤タンク40の外殻を構成しており、例えばプラスチックなどの合成樹脂で構成されている。
【0030】
本実施形態の場合、タンク本体41は、上方に開口した全体として概ね直方体の容器状に形成されており、前面部411、側面部412、背面部413、及び底面部414を有する。前面部411は、タンク本体41の前面を構成する。側面部412は、タンク本体41の左右の側面を構成する。背面部413は、タンク本体41の背面を構成する。底面部414は、タンク本体41の底面を構成する。
【0031】
上部材42は、概ね矩形に形成されて、タンク本体41の上部の開口を開閉する。上部材42は、枠部材421と、投入口422と、蓋部材423とを有する。枠部材421と、蓋部材423とは、タンク本体41と同様に例えばプラスチックなどの合成樹脂で構成されている。枠部材421は、上部材42の外殻を構成する。枠部材421は、内部が開口した矩形の枠形状に形成されている。投入口422は、枠部材421の開口を形成しており、上部材42がタンク本体41に装着された状態で、処理剤タンク40の内部と外部とを連通する。
【0032】
蓋部材423は、板状であって、投入口422を開閉する。蓋部材423は、図示しないヒンジによって上部材42に取り付けられており、投入口422を開閉可能に構成されている。ユーザは、処理剤タンク40が収容部21に収容された状態では、カバー部材23及び蓋部材423を開けて投入口422を露出させた状態で、投入口422から処理剤タンク40内に洗濯処理剤を投入することができる。また、ユーザは、処理剤タンク40を収容部21から取り出して、蓋部材423を開けて投入口422を露出させた状態で、投入口422から処理剤タンク40内に洗濯処理剤を投入することができる。
【0033】
タンク出口43は、タンク本体41の下側後部、この場合、背面部413に設けられている。処理剤タンク40が収容部21に収容されると、タンク出口43には、ポンプ22の接続部221が挿入される。これにより、タンク本体41内とポンプ22とが接続される。
【0034】
洗濯機10は、一又は複数この場合2個の処理剤タンク40を備えている。本実施形態の場合、洗濯機10は、処理剤タンク40として、洗剤タンク401及び仕上げ剤タンク402を備えている。洗剤タンク401は、複数回分の運転に用いる量の洗剤この場合液体洗剤を貯留するためのものである。仕上げ剤タンク402は、複数回分の運転に用いる量の柔軟仕上げ剤、この場合、液体の柔軟仕上げ剤を貯留するためのものである。
【0035】
処理剤タンク40は、手掛け部50を有する。ユーザは、収容部21から処理剤タンク40を取り出す際に、手掛け部50を把持して処理剤タンク40を斜め上方に引き出すことができる。手掛け部50は、タンク本体41の上部、この場合前面部411の上部に設けられている。
【0036】
手掛け部50は、前面部411から前方に突出して、全体として上から見た場合コの字形に形成されている。手掛け部50は、前部51と、左右の側部52と、凹部53とを有する。前部51は、前後方向に垂直な面つまり上下方向及び左右方向に延びる手掛け部50の前面を形成する。この場合、前後方向に垂直するとは、必ずしも厳密に前後方向に直交する必要はなく、前後方向に垂直な成分を含むことを意味する。
【0037】
本実施形態では、前部51は、上下方向に延びる第1面511と、第1面511の下方に位置して上下方向に対して傾斜した第2面512とを含んで構成される。第1面511の上下方向の長さは、前面部411全体の上下方向の長さの1/3~2/3程度に設定されている。本実施形態では、第1面511の上下方向の長さは、前面部411全体の上下方向の長さの約1/2に設定されている。
【0038】
第2面512は、第1面511の下端から後方に向かって下がるように傾斜する。第2面512の上端は第1面511の下端に接続し、第2面512の下端はタンク本体41の前面部411に接続している。
【0039】
左右の側部52は、手掛け部50の左右の側面を形成する。本実施形態では、左右の側部52は、左右方向に垂直な面を形成している。この場合、左右方向に垂直とは、必ずしも厳密に左右方向に直交する必要はなく、左右方向に垂直な成分を含むことを意味する。側部52は、前部51の左右端からタンク本体41の前面部411まで延びている。つまり、側部52の前端は前部51の左右端に接続し、側部52の後端はタンク本体41の前面部411に接続している。
【0040】
凹部53は、前部51の一部を後方に向かって窪ませて凹形状に形成されている。凹部53は、ユーザが手掛け部50を把持する際に手指を受け入れてユーザが把持しやすくする。この場合、凹部53は前部51の下部に位置している。つまり、凹部53は前部51の上部を残して設けられており、第2面512の下端から第1面511の上下方向の中央部辺りまでに亘って設けられている。ユーザは、手掛け部50を把持する際に、例えば親指を手前前から凹部53に挿入して、他の手指を前部51の後方から手掛け部50とタンク本体41との間に挿入することができる。
【0041】
更に、凹部53は、手掛け部50の左右方向の中央部に設けられている。手掛け部50とタンク本体41の左右方向の中心線は一致するため、凹部53は、タンク本体41の左右方向の中央部に設けられているとも言える。そのため、ユーザが凹部53に手指を入れて手掛け部50を把持すると、処理剤タンク40の左右の中央部を把持することになる。したがって、処理剤タンク40に洗濯処理剤が多量に貯留されていて全体の重量が重い場合でも、ユーザは処理剤タンク40を安定して保持することができる。
【0042】
凹部53は、前部51から後方に向かって延びる曲面又は平面を形成する。つまり、凹部53は、
図5及び
図6等に示すように三次元的な曲面又は複数の平面を有する、前後方向に延びるトンネル状に形成されている。すなわち凹部53は三次元的な構成である。凹部53は、ユーザが手指を凹部53に挿入した場合にユーザの手指に少なくとも複数個所で接触する。そのため、処理剤タンク40の重量が重い場合でも、ユーザの手指は面で手掛け部50を支えることができる。したがって、ユーザの手指と手掛け部50とが点接触する場合や線接触する場合と比較して、ユーザの手指が手掛け部50から広い面積で反作用の力を分散して受けることになる。そのため、安定して処理剤タンク40を支えることができると共に、ユーザの手指に手掛け部50が食い込みにくくなり操作感が向上する。
【0043】
凹部53は、前部51からタンク本体41の前面部411まで延びている。凹部53の前後方向の長さは、ユーザの手指を支えることができる長さであればよく、例えば他の実施形態では、凹部53は、タンク本体41の前面部411に接続していなくても良い。更に、凹部53は、連続した面を形成していなくても良く、切欠きや、スリット等が設けられていても良い。
【0044】
凹部53は、
図5及び
図6等に示すように、上部が曲面を形成し正面から見た場合に上部が半円形のいわばドーム形状となっている。この場合、ユーザが手指を挿入した場合、曲面的な手指に凹部53がフィットしやすくなり、より安定的に把持することができる。なお、凹部53の形状はドーム形状に限らない。例えば、他の実施形態では、
図8に示すように、上部が平面を成していても良い。この場合、ユーザが処理剤タンク40を上方に取り出す際にユーザの手指が手掛け部50を押す方向この場合上向きの力に対して垂直な面が広くなるため、ユーザの手指が手掛け部50から受ける反作用の力が更に広い面積に分散して、ユーザの操作感が向上する。
【0045】
凹部53の上端部531は
図7の縦断面図に示すように前方から後方に向かって水平に延びている。つまり、処理剤タンク40の底面部414からの高さを比較すると、凹部53の上端部531の前端部の高さ位置は、上端部531の後端部この場合処理剤タンク40の前面部411との接続部分の高さ位置と同一に設定されている。
【0046】
更に、洗濯機10は、
図9~
図12に示すように規制機構60を備える。規制機構60は、処理剤タンク40が収容部21に収容された状態で、処理剤タンク40の移動を規制する。また、処理剤タンク40が収容部21の所定の位置に収容されることを確実にして、処理剤タンク40のタンク出口43とポンプ22の接続部221との接続を確実にする。
【0047】
規制機構60は、一対の規制部61と、被規制部62とを含んで構成される。一対の規制部61と、被規制部62とは、処理剤タンク40が収容部21に収容された状態で、互いに嵌り合うことで、処理剤タンク40の上方向、左右方向及び前後方向への移動を規制する。
【0048】
本実施形態では、一対の規制部61は、収容部21の底部212から上方に突出して設けられている。被規制部62は、タンク本体41の底面部414から下方に突出して設けられている。この場合、規制部61は、例えば樹脂又は金属部材等で収容部21と一体成型されている。また、被規制部62は、例えば樹脂等でタンク本体41と一体成型されている。
【0049】
被規制部62の先端部621の位置は、タンク本体41の底面部414の下端部の位置と同程度或いはタンク本体41の底面部414の下端部の位置よりも上方に設定されている。つまり、被規制部62は、タンク本体41の底面部414に設けられたへこみ部44に設けられている。へこみ部44は、底面部414の前端部の一部を上方に向かって凹ませて形成されている。被規制部62は、へこみ部44の上面から下方に向かって突出している。そのため、処理剤タンク40を収容部21から取り出して例えば外箱11の天面部111に置いた場合でも、被規制部62がタンク本体41の底面部414の最下部から突出することがなく、処理剤タンク40を独立して立たせることができる。
【0050】
一対の規制部61は、
図11及び
図12等に示すように上下方向に長い概ね矩形の板状に形成されており、互いに向かい合って配置されている。規制部61の向かい合った面つまり被規制部62と対向する面には、被規制部62の先端部621を受け入れる窪み部611が設けられている。窪み部611は、規制部61の被規制部62と対向する面を、規制部61の厚み方向に窪ませて形成されている。
【0051】
被規制部62は、上下方向及び左右方向に延びる概ね矩形の板状に形成されており、先端部621が左右方向につまり規制部61の窪み部611に向けて膨出している。先端部621の左右方向の幅寸法L1は、向かい合う規制部61間の距離L2よりも大きく設定されている。先端部621の左右方向の幅寸法L1は、規制部61の窪み部611間の幅の最大値と同程度に設定されている。
【0052】
規制部61の上端部は自由端となっているため、規制部61は外力によって左右方向に撓む。ユーザが処理剤タンク40を収容部21に収容すると、被規制部62が一対の規制部61間に挿入される。規制部61は、被規制部62が上方から一対の規制部61間に挿し込まれると、それぞれ外側つまり被規制部62から離れる方向に撓んで被規制部62を受け入れる。
図11は、一対の規制部61と被規制部62とが嵌り合った状態を示している。処理剤タンク40が収容部21に完全に収容されると、すなわち処理剤タンク40の底面部414が収容部21の底部212に到達すると、被規制部62の先端部621が窪み部611に到達する。先端部621は一対の窪み部611の間に収容されて、規制部61は撓み状態から解放される。
【0053】
一方、ユーザが処理剤タンク40を収容部21から取り出す場合には、被規制部62の先端部621が窪み部611から外れて、一対の規制部61をそれぞれ外側つまり被規制部62から離れる方向に撓ませる。被規制部62の先端部621が、規制部61を乗り越えると、規制部61は撓み状態から解放される。
図12は、一対の規制部61と被規制部62との嵌め合いが外れた状態を示している。
【0054】
被規制部62は、
図5及び
図6等に示すように、底面部414において前面部411寄りに設けられている。洗濯機10の手前側に位置するユーザが処理剤タンク40を取り外す際に、ユーザは、まず、底面部414の背面部413寄りを支点として上方に向けて回動するように手掛け部50を持ち上げる。この場合、規制機構60がタンク本体41の背面部413寄りに設けられている場合と比較して、手掛け部50を僅かに上方に向けて引き上げることで規制部61と被規制部62との係合を外すことができる。
【0055】
この場合、規制部61と被規制部62との係合が外れるために必要な上方向への移動距離すなわち、
図12に示すように被規制部62の先端部621が被規制部62を乗り越えるために必要な移動距離Hは、例えば1cm~3cmに設定することができる。本実施形態では、規制部61と被規制部62との係合が外れるために必要な上方向への移動距離Hは、例えば2cmに設定することができる。
【0056】
図9、
図10及び
図13等に示すように、処理剤ケース30は、切欠き部37を有する。切欠き部37は、処理剤ケース30の壁部31の上端部の一部を下方に向けて凹ませるように切り欠いて形成されている。切欠き部37は、壁部31のうち、処理剤タンク40に対面する部分この場合背壁部313に設けられている。より具体的には、切欠き部37は、各処理剤タンク401、402の手掛け部50と対面する位置に設けられている。そのため処理剤ケース30と処理剤タンク40とが収容部21に収容された状態で、手掛け部50の前部51の一部は、切欠き部37を通してユーザ側この場合前方に向けて露出する。つまり、ユーザは、切欠き部37を通して手掛け部50にアクセスすることができる。
【0057】
なお、背壁部313の上端部の高さ位置は、処理剤ケース30と処理剤タンク40とが収容部21に収容された状態で、手掛け部50の前部51の上端部の高さ位置と同程度に設定されている。そのため、切欠き部37を設けなかった場合、手掛け部50の前部51は、背壁部313に覆われてユーザ側から視認しづらくなると共に、ユーザが把持しづらくなる。
【0058】
本実施形態では、処理剤ケース30と処理剤タンク40とが収容部21に収容された状態で前部51のうち切欠き部37によって露出しているのは、第1面511の一部である。本実施形態では、ユーザ側から凹部53の上端部が若干視認できるが、他の実施形態では、処理剤ケース30と処理剤タンク40とが収容部21に収容された状態で凹部53がユーザ側から視認できなくても構わない。
【0059】
処理剤タンク40が、距離Hだけ上方に引き上げられると、つまり被規制部62が規制部61を乗り越えると、
図10に示すように切欠き部37から凹部53がユーザ側この場合前方に向けて露出する。したがって、被規制部62が規制部61を乗り越えた状態で、凹部53は、ユーザ側から視認できると共に、ユーザが手指を挿入することができる。
【0060】
ユーザは、収容部21に収容された処理剤タンク40を取り出す場合には、まず、切欠き部37から露出している手掛け部50の前部51を掴んで
図9の矢印で示すように上方に引き上げる。ユーザが処理剤タンク40を距離Hだけ上方に引き上げ、
図10に示すように被規制部62が規制部61を乗り越えると、切欠き部37から凹部53が露出する。ユーザは、例えば親指を凹部53に挿入して、他の手指を後方から第1面511にあてることで、手掛け部50を確実に把持することができる。その後、ユーザは更に処理剤タンク40を上方又は斜め上方に引き上げて、収容部21から処理剤タンク40を取り出すことができる。
【0061】
以上説明した実施形態において、洗濯機10は、外箱11と、水槽12と、処理剤ケース30と、処理剤タンク40と、収容部21と、を備えている。水槽12は、外箱11内に設けられている。処理剤ケース30は、1回の運転で用いる洗濯処理剤の投入を受けるとともに、投入された処理剤を水槽12に供給するためのものである。処理剤タンク40は、複数回の運転に用いる洗濯処理剤を貯留可能に構成されている。収容部21は、外箱11内に設けられ、外箱11の天面部111側が開放された開口部211を有し、処理剤ケース30及び処理剤タンク40を水平方向に並べて収容可能に構成されている。処理剤ケース30は、処理剤ケース30及び処理剤タンク40が収容部21に収容された状態で、処理剤タンク40よりもユーザ側にこの場合前方に位置する。処理剤タンク40は、処理剤ケース30及び処理剤タンク40が収容部21に収容された状態で少なくとも一部がユーザ側に露出している。処理剤タンク40は、処理剤ケース30が収容部21に収容された状態で収容部21からの取り外し及び又は収容部21への装着が可能である。
【0062】
これによれば、処理剤タンク40は処理剤ケース30よりもユーザから離れた位置この場合後方に設けられているが、処理剤タンク40のユーザ側この場合前部の一部は、処理剤ケース30に完全に覆われていない。そのため、処理剤ケース30と処理剤タンク40とが収容部21に収容された状態で、洗濯機10の前方に位置するユーザは、処理剤タンク40にアクセス可能である。ユーザは、露出部分を掴んで処理剤タンク40を収容部21から取り出すことができる。したがって、処理剤タンク40と処理剤ケース30とを隣接して並べて配置した洗濯機10において、処理剤タンク40を取り出しやすくして操作性が向上した洗濯機を提供することができる。
【0063】
処理剤タンク40は、処理剤ケース30と対向する側にユーザが手指を掛けることが可能な手掛け部50を有する。手掛け部50の処理剤ケース30と対向する面つまりこの場合前部51の少なくとも一部は、処理剤ケース30及び処理剤タンク40が収容部21に収容された状態でユーザ側に露出している。本実施形態では、処理剤タンク40は、前方に位置する処理剤ケース30と対向する側すなわち前部に手掛け部50を有し、手掛け部50の前部51の少なくとも一部は、ユーザ側すなわち前方に向けて露出している。
【0064】
手掛け部50がユーザ側に露出していることにより、処理剤ケース30と処理剤タンク40とが収容部21に収容された状態で、ユーザは手掛け部50に手指を掛け、処理剤タンク40を上方に引き上げることができる。そのため、処理剤ケース30と処理剤タンク40とが密接して収容部21に収容された状態でも、ユーザは、ユーザから離れた位置にある処理剤タンク40を取り出しやすくなる。
【0065】
なお、他の実施形態において処理剤ケース30と処理剤タンク40とが左右方向に密接して並べられている構成の場合、処理剤タンク40は、洗濯機10の左右方向の中心側に位置する処理剤ケース30と対向する側すなわち左右方向の中心側に手掛け部50を有しても良い。また、手掛け部50の少なくとも一部はユーザ側すなわち左右方向の中心側に向けて露出している構成としても良い。
【0066】
ここで、処理剤ケース30の壁部31全体の高さを低くした場合、手動投入時に洗濯処理剤が処理剤タンク40側にこぼれてしまったり、給水時に水が処理剤タンク40側に溢れてしまったりする虞がある。この場合、処理剤タンク40の外面が汚れてしまう虞や、想定外の水が侵入してポンプ22の電気系統が故障してしまう可能性がある。そのため、処理剤ケース30の壁部31の上端部の位置は高く設定することが望ましい。一方、処理剤ケース30の壁部31の上端部の位置が処理剤タンク40の手掛け部50の上端部以上であると、ユーザは手掛け部50にアクセスしづらくなってしまう。
【0067】
これに対して、処理剤ケース30は、処理剤タンク40と対向する側の上部に切欠き部37を有する。この場合、処理剤ケース30は、処理剤タンク40と対向する背壁部313の上部に切欠き部37を有する。
【0068】
これによれば、処理剤ケース30の壁部31の上端部の位置を高くしつつ、処理剤タンク40の手掛け部50をユーザ側に露出することができる。そのため、手動投入時に洗濯処理剤が処理剤タンク40側にこぼれてしまったり、給水時に水が処理剤タンク40側に溢れてしまったりすることを抑制しつつ、ユーザが手掛け部50にアクセスしやすくすることができる。
【0069】
なお、他の実施形態において処理剤ケース30と処理剤タンク40とが左右方向に密接して並べられている構成の場合、切欠き部37は、処理剤ケース30の左右方向に関する外側部分の上部に設けることができる。
【0070】
ここで、手掛け部50の上端部の高さ位置を変えずに、処理剤タンク40を少しだけ上に引き上げて手掛け部50に下方からユーザの手指が入るようにすることを検討する。例えば手掛け部50の前部51の下端部の高さ位置を高く設定することで、つまり前部51の上下方向の高さ寸法を小さくすることでも、処理剤タンク40を少し上に引き上げることでユーザの手指が入るようになる。しかし、前部51の上下方向の高さ寸法を小さくすると、手掛け部50の強度が下がってしまう。処理剤タンク40には数百mlから千ml程度の洗濯処理剤を貯留することができるため、洗濯処理剤の重量と処理剤タンク40の重量とを合わせた重量は、相当な重量となることがある。この場合、手掛け部50の強度を下げることは処理剤タンク40の破損につながる虞がある。
【0071】
これに対して、手掛け部50は、上方に向けて窪ませた凹部53を有している。
【0072】
これによれば、凹部53は上方に向かって窪んで形成されているので、前部51の上下方向の高さ寸法を小さくしなくても、処理剤タンク40を少し上に引き出すことでユーザの手指が入る程度にまで凹部53を露出させることができる。また、ユーザは、手掛け部50を把持する際に、手指例えば親指を凹部53に当てることで、安定的に処理剤タンク40を引き上げることができる。
【0073】
収容部21は、処理剤タンク40が収容部21に収容された状態で前記処理剤タンクの移動を規制する規制部61を有する。処理剤タンク40は、処理剤タンク40が収容部21に収容された状態で着脱可能に規制部61と互いに嵌り合う被規制部62を有する。手掛け部50は、処理剤タンク40を規制部61と被規制部62との嵌め合いが外れる位置まで引き上げた状態で、規制部61と被規制部62とが嵌り合った状態よりも露出量が増える。
【0074】
これによれば、ユーザは、処理剤タンク40を取り出すためには、まず規制部61と被規制部62との嵌め合いを外す必要があるが、規制部61と被規制部62との嵌め合いを外すために処理剤タンク40を距離Hだけ引き上げると、ユーザは手掛け部50に手指を掛けやすくなる。したがって、一層ユーザが手掛け部50にアクセスしやすくなり、ユーザの操作性を更に向上することができる。
【0075】
凹部53は、処理剤タンク40のタンク本体41に向かって延びてユーザの手指を上方から受ける上端部531を有する。すなわち、凹部53は、手掛け部50の前部51を単に切り欠いて形成した切欠き形状ではなく、三次元的な曲面又は複数の平面を有するいわばトンネル形状を有する。
【0076】
これによれば、上端部531が手指を受けるので、線ではなく面で手指と手掛け部50とが接触することになる。そのため、凹部53の手指へのあたりがソフトになる。更に、上述のように数百mlから千ml程度の洗濯処理剤を投入された状態で、処理剤タンク40はかなりの重量となる。そのような場合であっても、ユーザは線ではなく面で処理剤タンク40を支えるため、ユーザは、洗濯処理剤を含んだ処理剤タンク40の重量を安定して支えることができる。更に、凹部53はトンネル形状を有して上下方向、前後方向及び左右方向に延びる面を形成するので、手掛け部50の強度を、凹部53が設けられていない場合と比較して強化することができる。したがって、ユーザの操作性と処理剤タンク40の強度とを向上することができる。
【0077】
(他の実施形態)
【0078】
なお、上記各実施形態においては、凹部53の上端部が側面視で水平方向に延びるように構成された例について説明したが、他の実施形態では、凹部53の上端部は、水平方向に対して傾斜して構成されても良い。
【0079】
すなわち、他の実施形態では、凹部53の上端部531は前方から後方に向かって傾斜していても良い。例えば、上端部531は
図14に示すように前方から後方に向かって下がるように傾斜しても良い。この場合、ユーザは上方から凹部53に手指を差し込むため、ユーザの差し込み方向と凹部53の傾斜方向とが一致して、ユーザが手指を挿入しやすくなる。
【0080】
一方、上端部531は
図15に示すように前方から後方に向かって上がるように傾斜しても良い。この場合、処理剤タンク40が収容部21から取り出された後は、例えば外箱11の天面部111に置かれた処理剤タンク40を把持する場合など、ユーザの手指が下方から凹部53に挿し込まれることが想定される。その際、上端部531が前方から後方に向かって上がるように傾斜している場合、ユーザの差し込み方向と凹部53の傾斜方向とが一致して、ユーザが手掛け部50を把持しやすくなる。
【0081】
これら他の実施形態によれば、凹部53の上端部531は、水平方向に対して傾斜している。つまり、上端部531の前端部の床面からの高さ位置と後端部の床面からの高さ位置とは一致しない。凹部53の上端部531は、例えば手掛け部50の前端部からタンク本体41に向かって下降するように傾斜しても良いし、タンク本体41に向かって上昇するように傾斜しても良い。
【0082】
これによれば、凹部53の上端部531に傾斜が付いていることにより、ユーザの手指がより一層凹部53にフィットしやすくなる。例えば、処理剤タンク40が収容部21に収容された状態で、ユーザは上方から手指を凹部53に挿し込むことになる。そのため、例えば凹部53の上端部531がタンク本体41に向かって下降するように傾斜する場合、凹部53が水平に延びる場合と比較して、処理剤タンク40が収容部21に収容された状態で凹部53にユーザは手指を挿入しやすくなる。また、処理剤タンク40を収容部21から取り外した状態では、ユーザは手掛け部50の下方から手指を挿入することが想定される。例えば凹部53の上端部531がタンク本体41に向かって上昇するように傾斜する場合、凹部53が水平に延びる場合と比較して、処理剤タンク40を収容部21から取り外した状態でユーザは手指を凹部53に挿入しやすくなる。したがって、ユーザの操作性が向上する。
【0083】
更に、上記各実施形態において規制機構60は、収容部21側に設けられた一対の規制部61が処理剤タンク40側に設けられた被規制部62を間に挟み込んで処理剤タンク40の移動を規制する構成としたが、これに限らない。すなわち、規制機構60は、収容部21側に設けられた規制部と処理剤タンク40側に設けられた被規制部とが、何らかの方法によって互いに力を及ぼし合って、処理剤タンク40の移動を規制する構造であればよい。例えば、収容部21側に設けられた規制部が、処理剤タンク40側に設けられた一対の被規制部に挟み込まれることで、処理剤タンク40の移動を規制する構成としても良い。つまり、この場合規制部と被規制部とは、嵌め合いの際にいずれが他方に挿入され、いずれが他方を受け入れる構成であっても良い。更に、上記各実施形態において規制部61と被規制部62とは、嵌め合いによって移動を規制する構成としたが、例えば磁石で構成し磁石の吸着力を利用して処理剤タンク40の移動を規制する構成であっても良い。
【0084】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10…洗濯機、11…外箱、12…水槽、21…収容部、211…開口部、212…底部、30…処理剤ケース、31…壁部、37…切欠き部、40…処理剤タンク、41…タンク本体、50…手掛け部、51…前部、52…側部、53…凹部、531…上端部、60…規制機構、61…規制部、62…被規制部