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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190419
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】車線変更装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221219BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20221219BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20221219BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20221219BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20221219BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20221219BHJP
【FI】
G08G1/16 A
B60W30/10
B62D6/00
B62D101:00
B62D113:00
B62D119:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098736
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝宗
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 友彰
(72)【発明者】
【氏名】安達 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】森本 一広
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D232CC19
3D232CC20
3D232DA03
3D232DA15
3D232DA24
3D232DA77
3D232DA84
3D232DA87
3D232DA88
3D232DA90
3D232DA91
3D232DA92
3D232DA93
3D232DC07
3D232DC33
3D232DC34
3D232DC36
3D232DC38
3D232DD03
3D232DE09
3D232DE14
3D232EA01
3D232EB04
3D232FF07
3D232GG01
3D241BA11
3D241BB16
3D241BB37
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD07
3D241CD11
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DA58Z
3D241DB02Z
3D241DC25Z
3D241DD12Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】高速で自車両に接近する後走車が存在する場合においても確実に自車両の車線変更を完了させることができる車線変更装置を提供する。
【解決手段】車線変更装置10は、自車両100を隣接車線へ車線変更させる車線変更制御を実行する。車線変更装置は、自車両の後方から自車両に接近するように走行している後走車200Rであって、車線変更制御により自車両を車線変更させる隣接車線を走行している後走車が自車両に追いつく後走車追いつき可能性を推定し、後走車追いつき可能性が高いほど、車線変更制御による自車両の車線変更を開始してから隣接車線への車線変更を完了するまでの時間として目標とする時間である目標車線変更時間を短い時間に設定し、設定した目標車線変更時間で隣接車線への車線変更が完了するように車線変更制御により自車両の隣接車線への車線変更を行う。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両を隣接車線へ車線変更させる車線変更制御を実行する車線変更装置において、
前記自車両の後方から前記自車両に接近するように走行している後走車であって、前記車線変更制御により前記自車両を車線変更させる隣接車線を走行している後走車が前記自車両に追いつく後走車追いつき可能性を推定し、
前記後走車追いつき可能性が高いほど、前記車線変更制御による前記自車両の車線変更を開始してから前記隣接車線への車線変更を完了するまでの時間として目標とする時間である目標車線変更時間を短い時間に設定し、
前記設定した目標車線変更時間で前記隣接車線への車線変更が完了するように前記車線変更制御により前記自車両の前記隣接車線への車線変更を行う、
ように構成された車線変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
隣接車線への自車両の車線変更を自動で行う車線変更装置が知られている。又、自車両の車線変更を一定の時間で完了するために、自車両の車線変更を開始してから車線変更を完了させるまでの時間(車線変更時間)が設定されている車線変更装置も知られている。更に、こうした車線変更装置として、自車両を車線変更させようとしている隣接車線を自車両に接近しつつ走行している車両(後走車)がある場合、自車両の車線変更に対する自車両の運転者の不安感を軽減したり、自車両の車線変更を安全に行ったりするために、車線変更時間を変更するように構成された車線変更装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-35100号公報
【発明の概要】
【0004】
従来の車線変更装置は、自車両に搭載されているレーダセンサやカメラセンサ等から得られる情報に基づいて上記後走車を検知するになっている。しかしながら、レーダセンサやカメラセンサ等の検知・検出能力等の理由から、後走車が自車両から離れたところを走行している場合、その後走車を検知することができないことがある。そして、その後走車が高速で自車両に接近してきている場合、後走車が検知されていないからといって自車両の車線変更を開始してしまうと、自車両の車線変更が完了する前に自車両に後走車が追いついてしまうことがあり、このとき、例えば、自車両の車線変更を中止しなければならなくなることがある。
【0005】
本発明の目的は、高速で自車両に接近する後走車が存在する場合においても確実に自車両の車線変更を完了させることができる車線変更装置を提供することにある。
【0006】
本発明に係る車線変更装置は、自車両を隣接車線へ車線変更させる車線変更制御を実行する装置である。本発明に係る車線変更装置は、前記自車両の後方から前記自車両に接近するように走行している後走車であって、前記車線変更制御により前記自車両を車線変更させる隣接車線を走行している後走車が前記自車両に追いつく後走車追いつき可能性を推定する。そして、本発明に係る車線変更装置は、前記後走車追いつき可能性が高いほど、前記車線変更制御による前記自車両の車線変更を開始してから前記隣接車線への車線変更を完了するまでの時間として目標とする時間である目標車線変更時間を短い時間に設定し、前記設定した目標車線変更時間で前記隣接車線への車線変更が完了するように前記車線変更制御により前記自車両の前記隣接車線への車線変更を行う。
【0007】
これによれば、後走車追いつき可能性が高いほど短い時間が目標車線変更時間として設定され、その目標車線変更時間で車線変更が完了するように車線変更制御による自車両の隣接車線への車線変更が行われる。従って、高速で自車両に接近する後走車が存在する場合においても確実に自車両の車線変更を完了させることができる。
【0008】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車線変更装置及びその車線変更装置が搭載された車両(自車両)を示した図である。
図2図2は、自車両が車線変更される場面を示した図である。
図3図3は、自車両の横に並走車が存在する場面を示した図である。
図4図4は、自車両の後方に後走車が存在する場面を示した図である。
図5図5は、目標車線変更経路を示した図である。
図6図6は、自車両の前方に前走車が存在する場面を示した図である。
図7図7は、走行レーンから追越レーンへの車線変更を示した図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る車線変更装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施形態に係る車線変更装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態に係る車線変更装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図11図11は、本発明の実施形態に係る車線変更装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図12図12は、本発明の実施形態に係る車線変更装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車線変更装置について説明する。図1に示したように、本発明の実施形態に係る車線変更装置10は、自車両100に搭載されている。以下の説明において、自車両100の運転者を「運転者DR」と表記する。
【0011】
<ECU>
車線変更装置10は、ECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0012】
<走行装置>
又、自車両100には、走行装置20が搭載されている。走行装置20は、駆動装置21、制動装置22及び操舵装置23を含んでいる。
【0013】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に付加される駆動トルク(駆動力)を出力する装置であり、例えば、内燃機関及びモータ等である。駆動装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、駆動装置21の作動を制御することにより駆動装置21から出力される駆動トルクを制御することができる。
【0014】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に付加される制動トルク(制動力)を出力する装置であり、例えば、ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動トルクを制御することができる。
【0015】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に付加される操舵トルク(操舵力)を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵トルクを制御することができる。
【0016】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル31、アクセルペダル操作量センサ32、ブレーキペダル33、ブレーキペダル操作量センサ34、ハンドル35、ステアリングシャフト36、操舵角センサ37、操舵トルクセンサ38、車線維持要求スイッチ41、車線変更要求スイッチ42、車速検出装置51、GPS装置52、周辺情報検出装置60及び道路情報検出装置70が搭載されている。
【0017】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ32は、アクセルペダル31の操作量を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ32は、検出したアクセルペダル31の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてアクセルペダル31の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。ECU90は、後述する車線変更制御が実行されていない場合、通常運転制御を実行するが、その通常運転制御の実行中は、アクセルペダル操作量AP及び自車速V100(自車両100の走行速度)に基づいて要求駆動トルク(要求駆動力)を取得し、その要求駆動トルクが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0018】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ34は、ブレーキペダル33の操作量を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ34は、検出したブレーキペダル33の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてブレーキペダル33の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。ECU90は、先に述べたように、後述する車線変更制御が実行されていない場合、通常運転制御を実行するが、その通常運転制御の実行中は、ブレーキペダル操作量BPに基づいて要求制動トルク(要求制動力)を取得し、その要求制動が制動装置22から出力されるように制動装置22の作動を制御する。
【0019】
<操舵角センサ>
操舵角センサ37は、中立位置に対するステアリングシャフト36の回転角度を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ37は、検出したステアリングシャフト36の回転角度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてステアリングシャフト36の回転角度を操舵角θsとして取得する。
【0020】
<操舵トルクセンサ>
操舵トルクセンサ38は、運転者DRがハンドル35を介してステアリングシャフト36に入力したトルクを検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ38は、検出したトルクの情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて運転者DRがハンドル35を介してステアリングシャフト36に入力したトルク(ドライバー入力トルク)を取得する。ECU90は、先に述べたように、後述する車線変更制御が実行されていない場合、通常運転制御を実行するが、その通常運転制御の実行中は、操舵角θs、ドライバー入力トルク及び自車速V100(自車両100の走行速度)に基づいて要求操舵トルクを取得し、その要求操舵トルクが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0021】
<車線維持要求スイッチ>
車線維持要求スイッチ41は、後述する車線維持制御の実行を要求するために運転者DRにより操作されるスイッチであり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、車線維持要求スイッチ41が操作されてオン位置に設定されると、車線維持制御の実行が要求されたと判定する。
【0022】
<車線変更要求スイッチ>
車線変更要求スイッチ42は、後述する車線変更制御の実行を要求するために運転者DRにより操作されるスイッチであり、例えば、自車両100の方向指示器を点滅させるために運転者DRにより操作されるウインカーレバーである。車線変更要求スイッチ42は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、車線変更要求スイッチ42が操作されて自車両100の走行車線(自車線LN_O)の右側の隣接車線への車線変更を要求する位置に設定されると、自車線LN_Oの右側の隣接車線への自車両100の車線変更を行うための車線変更制御の実行が要求されたと判定し、車線変更要求スイッチ42が操作されて自車線LN_Oの左側の隣接車線への車線変更を要求する位置に設定されると、自車線LN_Oの左側の隣接車線への自車両100の車線変更を行うための車線変更制御の実行が要求されたと判定する。車線変更要求スイッチ42がウインカーレバーである場合、ECU90は、ウインカーレバーが右回り方向に操作された状態が所定時間、継続すると、自車線LN_Oの右側の隣接車線への自車両100の車線変更を行うための車線変更制御の実行が要求されたと判定し、ウインカーレバーが左回り方向に操作された状態が所定時間、継続すると、自車線LN_Oの左側の隣接車線への自車両100の車線変更を行うための車線変更制御の実行が要求されたと判定する。
【0023】
<車速検出装置>
車速検出装置51は、自車両100の車速(自車速V100)を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置51は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置51は、検出した自車両100の車速の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車速V100を取得する。
【0024】
<GPS装置>
GPS装置52は、いわゆるGPS信号を受信する装置であり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、GPS装置52を介してGPS信号を取得する。ECU90は、取得したGPS信号に基づいて自車両100の現在位置P100を取得することができる。
【0025】
<周辺情報検出装置>
周辺情報検出装置60は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、電波センサ61及び画像センサ62を備えている。電波センサ61は、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)である。画像センサ62は、例えば、カメラである。尚、周辺情報検出装置60は、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサやレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサを備えていてもよい。
【0026】
<電波センサ>
電波センサ61は、ECU90に電気的に接続されている。電波センサ61は、電波を発信するとともに、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電波センサ61は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。別の言い方をすると、電波センサ61は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。ECU90は、その情報(電波情報)に基づいて自車両100の周辺に存在する物体に係る情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。尚、本例において、物体は、車両、自動二輪車、自転車及び人等である。
【0027】
<画像センサ>
画像センサ62も、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ62は、自車両100の周辺を撮像し、撮像した画像に係る情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(カメラ画像情報)に基づいて自車両100の周辺に関する情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。
【0028】
<道路情報検出装置>
道路情報検出装置70は、受信装置71及び地図情報データベース72を含んでいる。
【0029】
<受信装置>
受信装置71は、外部からの無線信号を受信する装置であり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、外部からの無線信号を受信装置71を介して取得する。
【0030】
<地図情報データベース>
地図情報データベース72は、「規制速度に関する情報」及び「道路の種別に関する情報」等を含む地図情報を記憶したデータベースであり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、自車両100の現在位置P100から自車両100に現在適用される規制速度及び自車両100が現在走行している道路の種別等に関する情報を取得することができる。
【0031】
<車線変更装置の作動の概要>
次に、車線変更装置10の作動の概要について説明する。
【0032】
<車線変更制御>
車線変更装置10は、車線変更制御の実行が要求された場合、後述する禁止条件CFが成立していないことを条件として、車線変更制御を実行する。尚、本例においては、車線維持制御が実行されていることは、車線変更制御を実行する条件ではないが、これを条件としてもよい。尚、車線維持制御は、周辺検出情報ISに基づいて自車線LN_Oの中央ラインを認識し、その中央ラインに沿って自車両100が走行するように自車両100を操舵することにより、自車線LN_O内での自車両100の走行を維持する制御である。自車両100の中央ラインは、周辺検出情報ISに基づいて認識可能である。
【0033】
車線変更制御は、図2に示したように、自車線LN_Oの隣の車線(隣接車線)に自車両100を自動で車線変更させる車線変更走行処理を含む制御である。尚、図2は、自車線LN_O(図2に示した例においては、第1車線LN1)の右側の隣接車線(図2に示した例においては、第2車線LN2)への自車両100の車線変更を行うための車線変更制御の実行が要求された場面を示している。車線変更装置10は、周辺検出情報ISに基づいて自車線LN_O及び隣接車線を認識する。尚、図2において、符号LN3は、第2車線LN2の右隣の車線を示している。
【0034】
以下、車線変更装置10が実行する車線変更制御について説明する。尚、以下の説明においては、車線変更制御により自車両100を車線変更させようとしている自車線LN_Oの隣の車線を「対象車線LN_T」と称呼する。
【0035】
車線変更装置10は、車線維持制御が実行されているときに車線変更制御の実行が要求されると、車線変更制御を開始する。車線変更装置10は、車線変更制御を開始すると、まず、禁止条件CFが成立しているか否かを判定する。禁止条件CFは、自車両100周辺の状況に鑑みたときに自車両100の車線変更を安全に行うことができないと判断される場合に成立する条件である。
【0036】
本例において、禁止条件CFは、図3に示したように、対象車線LN_T(図3に示した例においては、第2車線LN2)に並走車200が存在する場合、成立する。本例において、並走車200は、自車両100の対象車線LN_T側に設定される所定範囲AR内に存在する他車両である。所定範囲ARは、水平面において矩形の範囲であり、その横方向の幅は、対象車線LN_Tの幅と同等の幅であり、その縦方向の長さは、自車両100の全長よりも長い長さであって、その長さの範囲内に他車両が存在する場合、その他車両が対象車線LN_Tへの自車線LN_Oの安全な車線変更を阻害してしまうと推定される長さである。車線変更装置10は、周辺検出情報ISに基づいて並走車200を認識する。
【0037】
車線変更装置10は、禁止条件CFが成立していると判定した場合、車線変更制御を終了する。この場合、車線変更走行処理は行われず、従って、対象車線LN_Tへの自車両100の車線変更は行われない。
【0038】
一方、車線変更装置10は、禁止条件CFが成立していないと判定した場合、対象車線LN_Tに後走車200Rが存在するか否かを判定する。本例において、後走車200Rは、図4に示したように、自車両100の後方に存在する他車両である。車線変更装置10は、周辺検出情報ISに基づいて後走車200Rを認識する。尚、このとき、禁止条件CFが成立していないので、車線変更装置10は、実質的には、所定範囲AR内に存在しない後走車200Rが対象車線LN_Tに存在するか否かを判定していることになる。
【0039】
車線変更装置10は、後走車200Rが存在する場合、目標車線変更時間TLCtgtを基準時間TLCbaseに設定する。目標車線変更時間TLCtgtは、車線変更走行処理を開始してから対象車線LN_Tへの自車両100の車線変更を完了させるのに要する時間である。
【0040】
車線変更装置10は、目標車線変更時間TLCtgtを設定すると、図5に示したように、その目標車線変更時間TLCtgtで車線変更を完了させるために自車両100を走行させる経路を目標車線変更経路Rtgtとして設定する。
【0041】
車線変更装置10は、目標車線変更経路Rtgtを設定すると、自車両100が目標車線変更経路Rtgtに沿って走行するように走行装置20の作動を制御する車線変更走行処理を開始する。
【0042】
車線変更装置10は、自車両100の車線変更が完了すると、車線変更走行処理を終了し、それにより、車線変更制御を終了する。本例においては、車線変更制御が終了されると、車線維持制御が開始される。
【0043】
一方、後走車200Rが存在しない場合、基準時間TLCbaseを目標車線変更時間TLCtgtに設定して車線変更走行処理を開始しても、対象車線LN_Tへの自車両100の車線変更を安全に行えると考えることもできるが、以下の理由から、車線変更装置10は、後走車追いつき可能性レベルLVrskに応じた目標車線変更時間TLCtgtを設定して車線変更走行処理を実行する。
【0044】
即ち、対象車線LN_Tを高速で自車両100に接近するように走行している後走車200Rが存在するが、その後走車200Rが自車両100から非常に離れたところを走行している場面においては、その後走車200Rは、周辺情報検出装置60により検知されず、従って、車線変更装置10は、後走車200Rが存在しないと判定する。こうした場面において、後走車200Rが存在しないからといって基準時間TLCbaseを目標車線変更時間TLCtgtに設定して車線変更走行処理を開始してしまうと、対象車線LN_Tへの自車両100の車線変更が完了する前に、その後走車200Rが自車両100に追いついてしまい、一旦開始した車線変更走行処理を自車両100の安全確保のために中止しなければならならなくなる。
【0045】
例えば、自車速V100がそのときに自車両100に適用される規制速度Vregよりも一定速度以上に遅い場合、後走車200Rが存在しないからといって車線変更走行処理を開始してしまうと、自車両100の車線変更の完了前に自車両100が後走車200Rに追いつかれてしまう可能性がある。そこで、車線変更装置10は、自車速V100がそのときに自車両100に適用される規制速度Vregよりも所定速度(第1速度V1)以上に遅い場合、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更の完了前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性があると判定する。別の言い方をすると、車線変更装置10は、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更の完了前に後走車200Rが検出されて中止条件Ccanが成立してしまう可能性があると判定する。
【0046】
本例においては、自車速V100がそのときに自車両100に適用される規制速度Vregよりも第1速度V1以上に遅い場合に自車両100の車線変更が完了する前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性を予め数値化しておく。そして、車線変更装置10は、自車速V100がそのときに自車両100に適用される規制速度Vregよりも所定速度(第1速度V1)以上に遅いと判定した場合、その数値を後走車追いつき可能性レベルLVrskとして加算する。
【0047】
尚、車線変更装置10は、周辺検出情報IS(特に、カメラ画像情報)に含まれる道路標識に係る情報に基づいて自車両100に適用される規制速度Vregを認識する。或いは、車線変更装置10は、GPS信号から自車両100の現在位置P100を特定し、その特定した自車両100の現在位置P100と地図情報データベース72に保存されている地図情報とを照合し、そのときに自車両100が走行している道路を特定し、その道路に設定されている規制速度Vregを地図情報データベース72から読み出して自車両100に適用される規制速度Vregを認識することもできる。又、車線変更装置10は、そのときに自車両100が走行している道路脇に設置されている送信機(いわゆる路側機)から発信される規制速度Vregを表す無線信号を受信装置71により受信し、その無線信号に基づいて自車両100に適用される規制速度Vregを認識することもできる。
【0048】
又、自車両100の前方で渋滞が発生しており、自車両100がその渋滞発生場所に近づいている場合、車線変更走行処理を開始した後、渋滞発生場所にさしかかり、自車両100を減速させなければならない場面が想定され、その場合、自車両100の車線変更の完了前に自車両100が後走車200Rに追いつかれてしまう可能性がある。そこで、車線変更装置10は、自車両100の前方に渋滞が発生している場合において、自車両100とその渋滞発生場所との間の距離Dが所定距離(渋滞到達距離Dth)以下である場合、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更が完了する前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性があると判定する。別の言い方をすると、車線変更装置10は、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更が完了する前に後走車200Rが検出されて中止条件Ccanが成立してしまう可能性があると判定する。
【0049】
本例においては、自車両100とその渋滞発生場所との間の距離Dが渋滞到達距離Dth以下である場合に自車両100の車線変更が完了する前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性を予め数値化しておく。そして、車線変更装置10は、自車両100とその渋滞発生場所との間の距離Dが渋滞到達距離Dth以下であると判定した場合、その数値を後走車追いつき可能性レベルLVrskとして加算する。
【0050】
尚、車線変更装置10は、渋滞発生場所に係る情報を表す無線信号を受信装置71により受信し、その無線信号に基づいて渋滞発生場所を特定し、又、GPS信号に基づいて自車両100の現在位置P100を特定し、それら特定した渋滞発生場所と自車両100の現在位置P100とから自車両100と渋滞発生場所との間の距離Dを取得する。
【0051】
又、図6に示したように、前走車200Fが存在する場合において、自車速V100がその前走車200Fの車速V200よりも一定速度以上速い場合、車線変更走行処理を開始した後、自車両100を減速させなければならない場面が想定され、その場合、自車両100の車線変更の完了前に自車両100が後走車200Rに追いつかれてしまう可能性がある。そこで、車線変更装置10は、前走車200Fが存在する場合において、自車速V100がその前走車200Fの車速V200よりも所定速度(第2速度V2)以上速い場合、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更の完了前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性があると判定する。別の言い方をすると、車線変更装置10は、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更の完了前に後走車200Rが検出されて中止条件Ccanが成立してしまう可能性があると判定する。
【0052】
本例においては、自車速V100が前走車200Fの車速V200よりも第2速度V2以上速い場合に自車両100の車線変更が完了する前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性を予め数値化しておく。そして、車線変更装置10は、自車速V100が前走車200Fの車速V200よりも第2速度V2以上速いと判定した場合、その数値を後走車追いつき可能性レベルLVrskとして加算する。
【0053】
尚、車線変更装置10は、周辺検出情報ISに基づいて前走車200Fを検知し、検知した前走車200Fの車速V200を取得する。
【0054】
又、一般に、追越レーンを走行している車両の走行速度は、走行レーンを走行している車両の走行速度よりも速い。従って、図7に示したように、自車両100が走行レーン(即ち、第1車線LN1)を走行しており且つ対象車線LN_Tが追越レーン(即ち、第2車線LN2)である場合、車線変更走行処理を開始した後、自車両100の車線変更の完了前に自車両100が後走車200Rに追いつかれてしまう可能性がある。そこで、車線変更装置10は、自車両100が走行レーンを走行しており且つ対象車線LN_Tが追越レーンである場合、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更の完了前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性があると判定する。別の言い方をすると、車線変更装置10は、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更の完了前に後走車200Rが検出されて中止条件Ccanが成立してしまう可能性があると判定する。
【0055】
本例においては、自車両100が走行レーンを走行しており且つ対象車線LN_Tが追越レーンである場合に自車両100の車線変更が完了する前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性を予め数値化しておく。そして、車線変更装置10は、自車両100が走行レーンを走行しており且つ対象車線LN_Tが追越レーンであると判定した場合、その数値を後走車追いつき可能性レベルLVrskとして加算する。
【0056】
尚、車線変更装置10は、GPS信号に基づいて自車両100の現在位置P100を特定し、その特定した自車両100の現在位置P100と地図情報データベース72に保存されている地図情報とを照合し、そのときに自車両100が走行している道路を特定し、その道路に設けられている各車線の種別を地図情報データベース72から読み出して自車線LN_Oが走行レーンであるか否か、及び、対象車線LN_Tが追越レーンであるか否かを判定する。
【0057】
又、周辺情報検出装置60の検出精度が十分な精度に保たれていれば周辺情報検出装置60により検知される後走車200Rも、周辺情報検出装置60の検出精度が不十分な物となっている場合、周辺情報検出装置60により検知されないことがあり、この場合、後走車200Rが存在しないと判定したからといって車線変更走行処理を開始してしまうと、自車両100の車線変更の完了前に自車両100が後走車200Rに追いつかれてしまう可能性がある。そこで、車線変更装置10は、周辺情報検出装置60の検出精度の自己診断を行い、それにより取得された検出精度が所定精度以下である場合、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更の完了前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性があると判定する。別の言い方をすると、車線変更装置10は、車線変更走行処理の開始後、自車両100の車線変更の完了前に後走車200Rが検出されて中止条件Ccanが成立してしまう可能性があると判定する。
【0058】
本例においては、周辺情報検出装置60の検出精度が所定精度以下である場合に自車両100の車線変更が完了する前に自車両100に後走車200Rが追いついてしまう可能性を予め数値化しておく。そして、車線変更装置10は、周辺情報検出装置60の検出精度が所定精度以下であると判定した場合、その数値を後走車追いつき可能性レベルLVrskとして加算する。
【0059】
車線変更装置10は、上述したようにして後走車追いつき可能性レベルLVrskを演算すると、その後走車追いつき可能性レベルLVrskの高さが高いほど基準時間TLCbaseよりも短い時間を目標車線変更時間TLCtgtとして設定する。
【0060】
車線変更装置10は、目標車線変更時間TLCtgtを設定すると、その目標車線変更時間TLCtgtで車線変更を完了させるために自車両100を走行させる経路を目標車線変更経路Rtgtとして設定する。
【0061】
車線変更装置10は、目標車線変更経路Rtgtを設定すると、自車両100が目標車線変更経路Rtgtに沿って走行するように走行装置20の作動を制御する車線変更走行処理を開始する。
【0062】
車線変更装置10は、自車両100の車線変更が完了すると、車線変更走行処理を終了し、それにより、車線変更制御を終了する。先に述べたように、本例においては、車線変更制御が終了されると、車線維持制御が開始される。
【0063】
尚、車線変更装置10は、車線変更走行処理の実行中、自車両100に接近する後走車200Rを検知した場合において車線変更走行処理を中止することが好ましいと判断した場合(即ち、中止条件Ccanが成立した場合)、車線変更走行処理を中止する。
【0064】
尚、上述した車線変更装置10は、後走車追いつき可能性レベルLVrskが高いほど短い時間を目標車線変更時間TLCtgtとして設定しているが、後走車追いつき可能性レベルLVrskが所定レベルLVth以上であるか否かに応じて目標車線変更時間TLCtgtを設定するように構成されてもよい。
【0065】
即ち、車線変更装置10は、後走車追いつき可能性レベルLVrskを演算すると、後走車追いつき可能性レベルLVrskが所定レベルLVth以上であるか否かを判定する。
【0066】
車線変更装置10は、後走車追いつき可能性レベルLVrskが所定レベルLVth以上である場合、基準時間TLCbaseよりも短い所定の時間TLCshortを目標車線変更時間TLCtgtとして設定する。
【0067】
一方、車線変更装置10は、後走車追いつき可能性レベルLVrskが所定レベルLVthよりも小さい場合、基準時間TLCbaseを目標車線変更時間TLCtgtとして設定する。
【0068】
以上が車線変更装置10の作動の概要である。これによれば、後走車追いつき可能性レベルLVrskが高いほど短い時間TLCrsk又はTLCshortが目標車線変更時間TLCtgtとして設定され、その目標車線変更時間TLCtgtで車線変更が完了するように車線変更制御による自車両100の隣接車線への車線変更が行われる。従って、高速で自車両100に接近する後走車200Rが存在する場合においても確実に自車両100の車線変更を完了させることができる。
【0069】
<車線変更装置の具体的な作動>
次に、車線変更装置10の具体的な作動について説明する。車線変更装置10のECU90のCPUは、図8に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。
【0070】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図8のステップ800から処理を開始し、その処理をステップ805に進め、車線変更条件フラグXLCの値が「1」であるか否かを判定する。車線変更条件フラグXLCは、車線変更制御の実行が要求されているか否かを表すフラグであり、その値は、車線変更制御の実行が要求されている場合、「1」に設定されており、車線変更制御の実行が要求されていない場合、「0」に設定されている。
【0071】
CPUは、ステップ805にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ810に進め、車線変更走行中フラグXLCexeの値が「0」であるか否かを判定する。車線変更走行中フラグXLCexeは、車線変更走行処理が実行されているか否かを表すフラグであり、その値は、車線変更走行処理が実行されている場合、「1」に設定されており、車線変更走行処理が実行されていない場合、「0」に設定されている。
【0072】
CPUは、ステップ810にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ815に進め、禁止条件フラグXFの値が「0」であるか否かを判定する。禁止条件フラグXFは、禁止条件CFが成立しているか否かを表すフラグであり、その値は、禁止条件CFが成立している場合、「1」に設定されており、禁止条件CFが成立していない場合、「0」に設定されている。
【0073】
CPUは、ステップ815にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ820に進め、後走車200Rが存在するか否か(後走車200Rが検知されているか否か)を判定する。
【0074】
CPUは、ステップ820にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ825に進め、図9に示したルーチンを実行する。従って、CPUは、処理をステップ825に進めると、図9のステップ900から処理を開始し、その処理をステップ905に進め、基準時間TLCbaseを目標車線変更時間TLCtgtとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ910に進め、目標車線変更経路Rtgtを設定する。
【0075】
次いで、CPUは、処理をステップ915に進め、車線変更走行開始フラグXLCstartの値を「1」に設定する。車線変更走行開始フラグXLCstartは、車線変更走行処理を開始させるか否かを表すフラグであり、その値は、車線変更走行処理を開始させる場合、「1」に設定され、車線変更走行処理を終了した場合、「0」に設定される。
【0076】
次いで、CPUは、処理をステップ920に進め、車線変更走行中フラグXLCexeの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ995を経由して図8のステップ895に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0077】
一方、CPUは、ステップ820にて「No」と判定した場合、処理をステップ830に進め、図10又は図11に示したルーチンを実行する。従って、CPUは、処理をステップ830に進めたときに図10に示したルーチンを実行するようになっている場合、処理をステップ830に進めると、図10のステップ1000から処理を開始し、その処理をステップ1005に進め、後走車追いつき可能性レベルLVrskを演算する。次いで、CPUは、処理をステップ1010に進め、後走車追いつき可能性レベルLVrskに応じて取得した時間TLCrskを目標車線変更時間TLCtgtとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1015に進め、目標車線変更経路Rtgtを設定する。
【0078】
次いで、CPUは、処理をステップ1020に進め、車線変更走行開始フラグXLCstartの値を「1」に設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1025に進め、車線変更走行中フラグXLCexeの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ1095を経由して図8のステップ895に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0079】
一方、CPUは、処理をステップ830に進めたときに図11に示したルーチンを実行するようになっている場合、処理をステップ830に進めると、図11のステップ1100から処理を開始し、その処理をステップ1105に進め、後走車追いつき可能性レベルLVrskを演算する。次いで、CPUは、処理をステップ1111に進め、後走車追いつき可能性レベルLVrskが所定レベルLVth以上であるか否かを判定する。
【0080】
CPUは、ステップ1111にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1112に進め、所定時間TLCshortを目標車線変更時間TLCtgtとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1115に進める。
【0081】
一方、CPUは、ステップ1111にて「No」と判定した場合、処理をステップ1113に進め、基準時間TLCbaseを目標車線変更時間TLCtgtとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1115に進める。
【0082】
CPUは、処理をステップ1115に進めると、目標車線変更経路Rtgtを設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1120に進め、車線変更走行開始フラグXLCstartの値を「1」に設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1125に進め、車線変更走行中フラグXLCexeの値を「1」に設定する。その後、CPUは、ステップ1195を経由して図8のステップ895に処理を進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0083】
尚、CPUは、図8のステップ805又はステップ810又はステップ815にて「No」と判定した場合、処理をステップ895に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0084】
更に、CPUは、図12に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図12のステップ1200から処理を開始し、その処理をステップ1205に進め、車線変更走行開始フラグXLCstartの値が「1」であるか否かを判定する。
【0085】
CPUは、ステップ1205にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1210に進め、車線変更走行中止フラグXLCcanの値が「0」であるか否かを判定する。車線変更走行中止フラグXLCcanは、車線変更走行処理の開始後、中止条件Ccanが成立したか否かを表すフラグであり、その値は、車線変更走行処理の開始後、中止条件Ccanが成立した場合、「1」に設定され、車線変更走行処理の開始後、中止条件Ccanが成立していない場合、「0」に設定されている。
【0086】
CPUは、ステップ1210にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1215に進め、車線変更走行処理を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ1220に進め、車線変更が完了したか否かを判定する。
【0087】
CPUは、ステップ1220にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1225に進め、車線変更走行処理を終了する。次いで、CPUは、処理をステップ1230に進め、車線変更条件フラグXLC、車線変更走行開始フラグXLCstart、車線変更走行中フラグXLCexe、車線変更走行中止フラグXLCcan及び禁止条件フラグXFの値をそれぞれ「0」に設定する。その後、CPUは、処理をステップ1295に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0088】
一方、CPUは、ステップ1220にて「No」と判定した場合、処理をステップ1295に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0089】
又、CPUは、ステップ1210にて「No」と判定した場合、処理をステップ1235に進め、車線変更走行処理を中止する。次いで、CPUは、処理をステップ1240に進め、車線変更条件フラグXLC、車線変更走行開始フラグXLCstart、車線変更走行中フラグXLCexe、車線変更走行中止フラグXLCcan及び禁止条件フラグXFの値をそれぞれ「0」に設定する。その後、CPUは、処理をステップ1295に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0090】
又、CPUは、ステップ1205にて「No」と判定した場合、処理をステップ1295に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0091】
以上が車線変更装置10の具体的な作動である。
【0092】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0093】
10…車線変更装置、20…走行装置、42…車線変更要求スイッチ、51…車速検出装置、52…GPS装置、60…周辺情報検出装置、61…電波センサ、62…画像センサ、70…道路情報検出装置、71…受信装置、72…地図情報データベース、90…ECU、100…自車両、200R…後走車

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12