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特開2022-190447トーチ点火機構付きバーナおよびその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190447
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】トーチ点火機構付きバーナおよびその運転方法
(51)【国際特許分類】
   F23Q 9/00 20060101AFI20221219BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20221219BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F23Q9/00 B
F23R3/00 E
F23R3/00 D
F23Q9/00 M
F23Q9/00 N
F23Q9/00 J
F23Q9/00 K
F23N5/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098774
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 正雄
(72)【発明者】
【氏名】岩井 保憲
(72)【発明者】
【氏名】森澤 優一
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 宏樹
【テーマコード(参考)】
3K003
【Fターム(参考)】
3K003FA02
3K003FB10
3K003FC10
3K003GA02
(57)【要約】
【課題】着火条件によらず、供給した燃料および酸化剤における混合気に確実に着火することができるトーチ点火機構付きバーナおよびその運転方法を提供する。
【解決手段】実施形態のバーナ1は、トーチ部10と主燃料-主酸化剤供給部90とを備える。トーチ部10は、トーチ部ケーシング内に設けられ燃料と酸化剤を燃焼させるトーチ燃焼器ライナ35と、燃料を供給するトーチ燃料供給部25と、酸化剤を供給するトーチ酸化剤供給部20と、燃料と空気の混合気を着火させる点火装置と、トーチ部10の中央に配置されトーチ燃焼器ライナ35内の燃焼ガスをトーチ部10の一端側に導く燃焼ガス配管40とを備える。主燃料-主酸化剤供給部90は、トーチ部10の外周に環状に形成された主燃料供給通路100と、主燃料供給通路100の外周に環状に形成された主酸化剤供給通路110とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる管状のトーチ部と、
前記トーチ部の一端側に設けられ、前記トーチ部の外周に環状に形成された主燃料-主酸化剤供給部と
を備え、
前記トーチ部は、
トーチ部ケーシングと
前記トーチ部ケーシング内に設けられた、燃料と酸化剤を燃焼させるトーチ燃焼器ライナと、
前記トーチ燃焼器ライナ内に燃料を供給するトーチ燃料供給部と、
前記トーチ燃焼器ライナ内に酸化剤を供給するトーチ酸化剤供給部と、
前記トーチ燃焼器ライナ内の燃料と空気の混合気を着火させる点火装置と、
前記トーチ燃焼器ライナから前記トーチ部の一端側に向かって延設されるとともに前記トーチ部の中央に配置され、前記トーチ燃焼器ライナで生成された燃焼ガスを前記トーチ部の一端側に導く燃焼ガス配管と、
前記トーチ燃焼器ライナおよび前記燃焼ガス配管と、前記トーチ部ケーシングとの間に環状に形成され、前記トーチ部の一端側に向かって冷却媒体を導く冷却媒体通路と
を備え、
前記主燃料-主酸化剤供給部は、
前記トーチ部の外周に環状に形成された主燃料供給通路と、
前記主燃料供給通路の外周に環状に形成された主酸化剤供給通路と
を備えることを特徴とするトーチ点火機構付きバーナ。
【請求項2】
前記トーチ燃焼器ライナよりも前記トーチ部の他端側に設けられ、前記トーチ燃焼器ライナ内の火炎または前記主燃料-主酸化剤供給部から供給された燃料および酸化剤によって形成される火炎を検知する火炎検知機構をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のトーチ点火機構付きバーナ。
【請求項3】
前記火炎検知機構は、
前記トーチ部の他端側に設けられ、火炎を検知する火炎検知部と、
前記火炎検知部と前記トーチ燃焼器ライナ内とを連通させる火炎検知用通路と
を備え、
前記燃焼ガス配管、前記トーチ燃焼器ライナ、前記火炎検知用通路および前記火炎検知部が同軸上に配置されていることを特徴とする請求項2記載のトーチ点火機構付きバーナ。
【請求項4】
前記火炎検知機構は、
前記火炎検知部と前記火炎検知用通路との間に設けられ、火炎からの光を前記火炎検知部側に透過する光透過部材と、
前記光透過部材を浄化する浄化媒体を前記火炎検知用通路に供給する浄化媒体供給部と
をさらに備えることを特徴とする請求項3記載のトーチ点火機構付きバーナ。
【請求項5】
前記主燃料供給通路は、
前記トーチ部の外周に環状に形成された第1の主燃料供給通路と、
前記第1の主燃料供給通路の外周に環状に形成された第2の主燃料供給通路と
を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のトーチ点火機構付きバーナ。
【請求項6】
前記主酸化剤供給通路は、
前記主燃料供給通路の外周に環状に形成された第1の主酸化剤供給通路と、
前記第1の主酸化剤供給通路の外周に環状に形成された第2の主酸化剤供給通路と
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のトーチ点火機構付きバーナ。
【請求項7】
燃料と酸化剤を燃焼させるトーチ燃焼器ライナ、前記トーチ燃焼器ライナ内に燃料を供給するトーチ燃料供給部、前記トーチ燃焼器ライナ内に酸化剤を供給するトーチ酸化剤供給部、前記トーチ燃焼器ライナ内の燃料と空気の混合気を着火させる点火装置、および前記トーチ燃焼器ライナで生成された燃焼ガスを一端側に導く燃焼ガス配管を備えたトーチ部と、
トーチ部の一端側の外周に環状に形成された主燃料供給通路および前記主燃料供給通路の外周に環状に形成された主酸化剤供給通路を備える主燃料-主酸化剤供給部と、
前記トーチ燃焼器ライナよりも前記トーチ部の他端側に設けられ、前記トーチ燃焼器ライナ内の火炎または前記主燃料-主酸化剤供給通路から供給された燃料および酸化剤によって形成される火炎を検知する火炎検知機構と、
前記トーチ燃料供給部、前記トーチ酸化剤供給部および前記主燃料-主酸化剤供給部に供給する燃料流量および酸化剤流量および前記点火装置を制御する制御装置と
を備えるトーチ点火機構付きバーナの運転方法であって、
前記制御装置は、
着火開始に係る信号に基づいて、前記点火装置を駆動させるとともに、前記トーチ燃料供給部および前記トーチ酸化剤供給部から前記トーチ燃焼器ライナ内に燃料および酸化剤を供給させ、
前記火炎検知機構において前記トーチ燃焼器ライナ内の火炎が検知された運転時間から所定時間が経過した運転時間に、前記点火装置を停止させるとともに、前記主燃料-主酸化剤供給部から燃料および酸化剤を供給させ、
前記トーチ燃焼器ライナで生成された燃焼ガスが前記主燃料-主酸化剤供給部から供給された燃料と酸化剤の混合気を着火するまでの着火想定時間に基づいて設定された所定の運転時間に、前記トーチ燃焼器ライナ内への燃料および酸化剤の供給を停止させ、
前記トーチ燃焼器ライナ内への燃料および酸化剤の供給の停止後、前記火炎検知機構からの検知信号に基づいて、前記主燃料-主酸化剤供給部から供給された燃料と酸化剤による火炎の有無を判定することを特徴とするトーチ点火機構付きバーナの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、トーチ点火機構付きバーナおよびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの燃焼器において、バーナから供給された燃料と酸化剤を燃焼器ライナ内において燃焼させる拡散燃焼方式が採用された燃焼器がある。この燃焼器は、燃焼器ライナ内で混合された燃料と酸化剤の混合気に着火する点火装置を備える。
【0003】
燃焼器に備えられる点火装置として、燃焼器ライナ内の混合気をレーザによって着火するレーザ点火装置や、燃焼器ライナ内の混合気を火花放電によって着火する火花点火装置が採用されている。
【0004】
従来の燃焼器では、筒体で構成される燃焼器ライナの中心軸方向(燃焼器ライナの長手方向)に対して垂直な方向から燃焼器ライナ内の最適な位置に、レーザ光が照射され、または点火プラグが配置されている。レーザ光の照射や点火プラグの挿入が行われる最適な位置は、例えば、燃焼器ライナ内への燃料や酸化剤の噴出パターン、着火に最適な燃料と酸化剤の混合気が形成される位置などの着火条件に基づいて設定される。
【0005】
このような燃焼器を備える火力発電プラントにおいて、高効率化が進められる中、超臨界CO雰囲気中で燃料と酸化剤を燃焼させる拡散燃焼方式の燃焼器を備えた超臨界COガスタービン設備が検討されている。この超臨界COガスタービン設備では、タービンから排出された作動流体の一部は、循環ガスとして燃焼器に循環される。
【0006】
この超臨界COガスタービン設備では、超高圧の環境下での運転条件となるため、圧力容器としての燃焼器ケーシングの肉厚も厚くなる。また、燃焼器ケーシングと燃焼器ライナとの間には、循環する循環ガスを流すための循環ガス流路が備えられる。
【0007】
このような超高圧の環境下で運転される燃焼器においては、作動流体の漏洩などを防止する観点から、点火装置として、非接触な着火が可能なレーザ点火装置が検討されている。
【0008】
従来のレーザ点火装置は、レンズによってレーザ光を絞り、耐圧ガラスを介して燃焼器ライナ内にレーザ光を照射している。この場合においても、レーザ光は、筒体で構成される燃焼器ライナの中心軸方向に対して垂直な方向から燃焼器ライナ内の最適な位置に照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-117535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ガスタービンの燃焼器においては、着火条件によって、レーザ光を照射する最適な中心軸方向位置や点火プラグを配置する最適な中心軸方向位置は異なる。しかしながら、上記した従来の燃焼器において、着火条件によって、レーザ光を照射する中心軸方向位置や点火プラグを配置する中心軸方向位置を変更することができない。そのため、着火条件が変更された場合、最適な着火を行うことができないことがある。
【0011】
また、超臨界COガスタービン設備では、肉厚の燃焼器ケーシングおよび循環ガス流路を備えるため、レンズの焦点距離は長くなる。そのため、確実に着火させるためには、レーザ出力を高める必要がある。レーザ出力を高めることによって、耐圧ガラスの損傷リスクが高くなる。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、着火条件によらず、供給した燃料および酸化剤における混合気に確実に着火することができるトーチ点火機構付きバーナおよびその運転方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態のトーチ点火機構付きバーナは、軸方向に延びる管状のトーチ部と、前記トーチ部の一端側に設けられ、前記トーチ部の外周に環状に形成された燃料-酸化剤供給部とを備える。
【0014】
そして、前記トーチ部は、トーチ部ケーシングと前記トーチ部ケーシング内に設けられた、燃料と酸化剤を燃焼させるトーチ燃焼器ライナと、前記トーチ燃焼器ライナ内に燃料を供給するトーチ燃料供給部と、前記トーチ燃焼器ライナ内に酸化剤を供給するトーチ酸化剤供給部と、前記トーチ燃焼器ライナ内の燃料と空気の混合気を着火させる点火装置と、前記トーチ燃焼器ライナから前記トーチ部の一端側に向かって延設されるとともに前記トーチ部の中央に配置され、前記トーチ燃焼器ライナで生成された燃焼ガスを前記トーチ部の一端側に導く燃焼ガス配管と、前記トーチ燃焼器ライナおよび前記燃焼ガス配管と、前記トーチ部ケーシングとの間に環状に形成され、前記トーチ部の一端側に向かって冷却媒体を導く冷却媒体通路とを備える。
【0015】
また、前記燃料-酸化剤供給部は、前記トーチ部の外周に環状に形成された主燃料供給通路と、前記主燃料供給通路の外周に環状に形成された主酸化剤供給通路とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態のバーナの縦断面を模式的に示した図である。
図2】実施の形態のバーナにおけるトーチ部および火炎検知機構の縦断面を拡大して模式的に示した図である。
図3】実施の形態のバーナにおけるトーチ部の一部および燃料-酸化剤供給部の縦断面を拡大して模式的に示した図である。
図4】実施の形態のバーナの運転方法を実行する制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態のバーナの運転方法を説明するためのタイムチャートである。
図6】実施の形態のバーナの運転方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、実施の形態のバーナ1の縦断面を模式的に示した図である。図2は、実施の形態のバーナ1におけるトーチ部10および火炎検知機構70の縦断面を拡大して模式的に示した図である。図3は、実施の形態のバーナ1におけるトーチ部10の一部および主燃料-主酸化剤供給部90の縦断面を拡大して模式的に示した図である。図3には、バーナ1が取付けられる主燃焼器ライナ120も示している。なお、バーナ1は、トーチ点火機構付きバーナとして機能する。
【0019】
バーナ1は、バーナ1が取付けられる主燃焼器ライナ120内に燃料および酸化剤を供給するとともに、その供給した燃料および酸化剤の混合気を着火するための着火源(燃焼ガス)を供給する機能を備える。なお、バーナ1の一端側が主燃焼器ライナ120に取り付けられている。
【0020】
図1に示すように、バーナ1は、トーチ部10と、火炎検知機構70と、主燃料-主酸化剤供給部90とを備える。また、バーナ1は、バーナ1の運転制御を実行する制御装置130も備える。
【0021】
トーチ部10、火炎検知機構70および主燃料-主酸化剤供給部90は、中心軸Oを中心軸として配置されている。すなわち、トーチ部10、火炎検知機構70および主燃料-主酸化剤供給部90は、同軸上に配置されている。
【0022】
まず、トーチ部10の構成について説明する。
【0023】
トーチ部10は、燃焼ガスを生成し、その燃焼ガスを主燃焼器ライナ120内に着火源として導く。トーチ部10は、中心軸Oの方向に延びる管状部材で構成されている。なお、以下において、中心軸Oの方向を単に軸方向と称する。
【0024】
図1および図2に示すように、トーチ部10は、主として燃料および酸化剤を供給する機能を備える第1のトーチ構成部10Aと、主として燃料および酸化剤を燃焼させる機能を備える第2のトーチ構成部10Bと、主として燃焼ガスを主燃焼器ライナ120内に導く機能を備える第3のトーチ構成部10Cとを備える。
【0025】
各トーチ構成部は、主燃料-主酸化剤供給部90側(バーナ1の一端側)に向かって、第1のトーチ構成部10A、第2のトーチ構成部10B、第3のトーチ構成部10Cの順に配置されている。
【0026】
図2に示すように、第1のトーチ構成部10Aは、第1のトーチ部ケーシング11と、トーチ酸化剤供給部20と、トーチ燃料供給部25とを備える。
【0027】
第1のトーチ部ケーシング11は、例えば、両端にフランジ部12、13を備える筒体で構成される。第1のトーチ部ケーシング11の両端は、開口されている。第1のトーチ部ケーシング11の火炎検知部75側(バーナ1の他端側)の端部には、封止板17が備えられている。この封止板17は、フランジ部12に取り付けられている。
【0028】
第1のトーチ部ケーシング11内には、軸方向に沿って両端が開口した筒体14が備えられている。筒体14の火炎検知部75側の端部は、図2に示すように、例えば、半径方向外側に環状に突出するフランジ部14aを備える。また、筒体14は、フランジ部14aがフランジ部12と封止板17によって挟まれることで固定されている。
【0029】
ここで、半径方向外側とは、中心軸Oに垂直な方向で、かつ中心軸Oから遠ざかる側である。
【0030】
トーチ酸化剤供給部20は、第2のトーチ構成部10Bに備えられるトーチ燃焼器ライナ35内に酸化剤を供給する。トーチ酸化剤供給部20は、トーチ酸化剤供給通路15と、トーチ酸化剤供給管21とを備える。
【0031】
トーチ酸化剤供給通路15は、酸化剤をトーチ燃焼器ライナ35に導く。トーチ酸化剤供給通路15は、筒体14と第1のトーチ部ケーシング11との間に軸方向に形成された環状通路で構成される。トーチ酸化剤供給通路15の火炎検知部75側の端部は、例えば、筒体14のフランジ部14aによって封鎖されている。
【0032】
トーチ酸化剤供給通路15の出口には、トーチ燃焼器ライナ35に噴出される酸化剤の流を旋回流とするスワーラ16が備えられている。
【0033】
トーチ酸化剤供給管21は、酸化剤供給源(図示しない)から供給された酸化剤をトーチ酸化剤供給通路15に供給する。トーチ酸化剤供給管21の一端は、例えば、第1のトーチ部ケーシング11の側壁に形成された貫通孔11aに連通するように側壁に接合される。酸化剤は、貫通孔11aを介してトーチ酸化剤供給管21からトーチ酸化剤供給通路15に供給される。なお、トーチ酸化剤供給管21には、酸化剤の流量を調整する流量調整弁22が備えられている。
【0034】
酸化剤として、例えば、酸素、酸素に二酸化炭素を混合した混合ガス、酸素に水蒸気を混合した混合ガス、空気などが挙げられる。例えば、超臨界COガスタービン設備にバーナ1を備える場合には、臨界圧力以上に昇圧された酸化剤がトーチ酸化剤供給管21に供給される。
【0035】
トーチ燃料供給部25は、トーチ燃焼器ライナ35内に燃料を供給する。トーチ燃料供給部25は、トーチ燃料導入通路26と、トーチ燃料供給管27とを備える。
【0036】
トーチ燃料導入通路26は、例えば、燃料をトーチ酸化剤供給通路15の出口に設けられたスワーラ16内に導入する。なお、ここでは、燃料をスワーラ16内に導入するトーチ燃料導入通路26の構成の一例を示しているが、この構成に限られない。トーチ燃料導入通路26は、例えば、トーチ燃焼器ライナ35内に燃料を直接噴出するように構成されてもよい。
【0037】
トーチ燃料導入通路26は、例えば、図2に示すように、第1のトーチ部ケーシング11のフランジ部13に形成される。トーチ燃料導入通路26は、例えば、フランジ部13の外側面からスワーラ16が備えられる位置のトーチ酸化剤供給通路15に貫通する貫通孔で構成される。
【0038】
トーチ燃料供給管27は、燃料供給源(図示しない)から供給された燃料をトーチ燃料導入通路26に供給する。トーチ燃料供給管27の一端は、トーチ燃料導入通路26に連通するように、フランジ部13の外側面に接合される。なお、トーチ燃料供給管27には、燃料の流量を調整する流量調整弁28が備えられている。
【0039】
なお、トーチ燃料供給部25の構成は、上記した構成に限られない。例えば、トーチ燃料供給管27から供給された燃料がトーチ酸化剤供給通路15に周方向に亘って均等に供給できるように構成されてもよい。具体的には、例えば、複数のトーチ燃料供給部25をフランジ部13の周方向に放射状に備えてもよい。
【0040】
燃料として、例えば、メタン、天然ガスなどの炭化水素が使用される。また、燃料として、例えば、一酸化炭素および水素などを含む石炭ガス化ガス燃料を使用することもできる。さらに、燃料として、例えば、水素を使用することもできる。
【0041】
第2のトーチ構成部10Bは、第2のトーチ部ケーシング30と、トーチ燃焼器ライナ35と、燃焼ガス配管40と、冷却媒体通路45と、点火装置50とを備える。
【0042】
第2のトーチ部ケーシング30は、例えば、両端にフランジ部31、32を備える筒体で構成される。第2のトーチ部ケーシング30の両端は、開口されている。フランジ部31は、第1のトーチ部ケーシング11のフランジ部13と接合されている。フランジ部32は、後述する第3のトーチ部ケーシング60のフランジ部61と連結されている。
【0043】
トーチ燃焼器ライナ35は、トーチ燃料導入通路26から供給された燃料と、トーチ酸化剤供給通路15から供給された酸化剤を燃焼させる。ここで、主燃焼器ライナ120が主燃焼室としての機能を備える場合、トーチ燃焼器ライナ35は、副燃焼室としての機能を備える。
【0044】
トーチ燃焼器ライナ35は、第2のトーチ部ケーシング30内に軸方向に沿って備えられている。図2に示すように、トーチ燃焼器ライナ35は、例えば、両端が開口した円錐台状の筒体である。トーチ燃焼器ライナ35は、先端側(下流側)に行くに伴って流路断面積が小さくなっている。
【0045】
トーチ燃焼器ライナ35の第1のトーチ部ケーシング11側(上流側)の端部は、図2に示すように、例えば、半径方向外側に環状に突出するフランジ部35aを備える。トーチ燃焼器ライナ35は、フランジ部35aがフランジ部31とフランジ部13によって挟まれることで固定されている。
【0046】
また、トーチ燃焼器ライナ35には、冷却媒体通路45からトーチ燃焼器ライナ35内に冷却媒体を導入するための複数の貫通孔36が形成されている。なお、図2には、貫通孔36からトーチ燃焼器ライナ35内に導入される冷却媒体の流れを矢印で示している。
【0047】
燃焼ガス配管40は、トーチ燃焼器ライナ35で生成された燃焼ガスをトーチ部の一端側(バーナ1の一端側)に導く。燃焼ガス配管40は、トーチ燃焼器ライナ35の下流端に接続されている。燃焼ガス配管40は、トーチ燃焼器ライナ35の下流端からトーチ部の一端側に向かって延設されている。
【0048】
燃焼ガス配管40は、トーチ部10の中央に配置され、筒体14およびトーチ燃焼器ライナ35と同軸上に配置されている。燃焼ガス配管40は、例えば、円管などで構成される。
【0049】
冷却媒体通路45は、トーチ燃焼器ライナ35と第2のトーチ部ケーシング30との間、燃焼ガス配管40と第2のトーチ部ケーシング30との間に軸方向に形成された環状通路で構成される。冷却媒体通路45は、トーチ燃焼器ライナ35の上流側からトーチ部の一端側に向かって延設されている。冷却媒体通路45における上流部に供給された冷却媒体は、冷却媒体通路45によってトーチ部の一端側に導かれる。
【0050】
冷却媒体通路45の上流側の端部は、例えば、トーチ燃焼器ライナ35のフランジ部35aによって封鎖されている。
【0051】
また、第2のトーチ構成部10Bには、冷却媒体通路45に冷却媒体を供給するための冷却媒体導入通路46および冷却媒体供給管47を備える。
【0052】
冷却媒体導入通路46は、冷却媒体通路45に冷却媒体を供給する。冷却媒体導入通路46は、例えば、図2に示すように、第2のトーチ部ケーシング30のフランジ部31に形成される。冷却媒体導入通路46は、例えば、フランジ部31の外側面から冷却媒体通路45に貫通する貫通孔で構成される。
【0053】
冷却媒体供給管47は、冷却媒体供給源(図示しない)から供給された冷却媒体を冷却媒体導入通路46に供給する。冷却媒体供給管47の一端は、冷却媒体導入通路46に連通するように、フランジ部31の外側面に接合される。なお、冷却媒体供給管47には、冷却媒体の流量を調整する流量調整弁48が備えられている。
【0054】
冷却媒体として、例えば、二酸化炭素、水蒸気、空気などが使用される。例えば、超臨界COガスタービン設備にバーナ1を備える場合には、臨界圧力以上に昇圧された冷却媒体が冷却媒体供給管47に供給される。
【0055】
点火装置50は、トーチ燃焼器ライナ35内の燃料と空気の混合気を着火させる。点火装置50は、第2のトーチ部ケーシング30に形成された貫通孔33を介してトーチ燃焼器ライナ35内の混合気に着火できるように配置されている。なお、貫通孔33は、トーチ燃焼器ライナ35の外周に位置する第2のトーチ部ケーシング30に形成される。
【0056】
点火装置50は、例えば、図2に示すように、トーチ燃焼器ライナ35の外周に位置する第2のトーチ部ケーシング30に備えられる。
【0057】
点火装置50として、レーザ光によって着火するレーザ点火装置、点火プラグによって着火する火花点火装置などが使用される。レーザ点火装置は、非接触で着火できるなどの利点がある。また、従来のガスタービンにおける燃焼器内の圧力よりも高圧となる超臨界COガスタービン設備にバーナ1を備える場合には、燃焼ガスなどの漏洩を考慮するとレーザ点火装置を採用することが好ましい。
【0058】
なお、本実施の形態では、点火装置50として、レーザ点火装置を備えた場合の一例を示している。
【0059】
貫通孔33の、冷却媒体通路45側の端部には、貫通孔33を塞ぐようにレーザ透過部材51が設けられている。レーザ透過部材51は、例えば、レーザ光を透過する平板状の耐熱ガラスなどで構成される。なお、レーザ透過部材51として、レーザ光を透過する平板状の耐熱樹脂などを使用してもよい。
【0060】
ここで、トーチ燃焼器ライナ35の、貫通孔33に対向する位置には、レーザ光をトーチ燃焼器ライナ35内に照射するための貫通孔37が形成されている。点火装置50から出射されたレーザ光は、貫通孔33、レーザ透過部材51、貫通孔37を通りトーチ燃焼器ライナ35内に照射される。
【0061】
また、冷却媒体通路45を流れる冷却媒体は、レーザ透過部材51の一方の表面と接触する。そのため、この冷却媒体は、トーチ燃焼器ライナ35、燃焼ガス配管40およびレーザ透過部材51を冷却するとともに、レーザ透過部材51の一方の表面に付着した異物を除去する。
【0062】
ここで、トーチ部10において、点火装置50は、第2のトーチ部ケーシング30に備えられている。そして、レーザ光は、第2のトーチ部ケーシング30の貫通孔33、トーチ燃焼器ライナ35の貫通孔37を介して、中心軸Oに対して所定の角度を有して第2のトーチ構成部10Bの側方からトーチ燃焼器ライナ35内に照射される。トーチ燃焼器ライナ35内における着火条件は、ほぼ一定であるため、レーザ光を照射する最適な中心軸方向位置は一定の位置となる。そのため、レーザ光が第2のトーチ構成部10Bの側方から照射されても、最適な着火を行うことができる。
【0063】
また、第2のトーチ部ケーシング30の肉厚は、主燃焼器ライナ120を収容する主燃焼器のケーシングの肉厚に比べて薄い。さらに、点火装置50におけるレーザを集光させるレンズの焦点距離は短い。そのため、点火装置50におけるレーザ出力は、従来の主燃焼器におけるレーザ点火装置のレーザ出力に比べて低い。これによって、レーザ透過部材51がレーザ光によって損傷することもない。
【0064】
第3のトーチ構成部10Cは、第3のトーチ部ケーシング60と、燃焼ガス配管40と、冷却媒体通路45とを備える。
【0065】
第3のトーチ部ケーシング60は、例えば、一端にフランジ部61を備える筒体で構成される。第3のトーチ部ケーシング60は、軸方向にバーナ1の出口まで延設されている。第3のトーチ部ケーシング60の両端は、開口されている。フランジ部61は、第2のトーチ部ケーシング30のフランジ部32と連結されている。
【0066】
なお、この第3のトーチ部ケーシング60と、前述した、第1のトーチ部ケーシング11と、第2のトーチ部ケーシング30とによってトーチ部ケーシングを構成している。
【0067】
第3のトーチ部ケーシング60内には、前述した燃焼ガス配管40が軸方向にバーナ1の出口まで延設されている。すなわち、燃焼ガス配管40は、トーチ燃焼器ライナ35の下流端からバーナ1の出口まで延設されている。燃焼ガス配管40は、バーナ1の出口において開口している。
【0068】
ここで、燃焼ガス配管40の出口が軸方向に平行な直管形状で構成された一例が示されているが、この構成に限られない。燃焼ガス配管40の出口は、噴出される燃焼ガスが半径方向外側に広がるように構成されてもよい。これによって、燃焼ガスの流れは、燃料と酸化剤が供給される側に広がる。
【0069】
例えば、燃焼ガス配管40の出口にスワーラを備えてもよい。また、例えば、燃焼ガス配管40の出口を環状の拡大通路としてもよい。燃焼ガス配管40の出口の形状を拡大管による二重管構造としてもよい。すなわち、燃焼ガス配管40の出口を断面積が徐々に広がる拡大管で構成し、さらにその内側にそれよりも小径の円錐状部材を頂点を上流側に向けて配置して、環状の拡大通路を構成してもよい。これによって、燃焼ガスの噴出速度を低下させることなく、燃焼ガスを半径方向外側に広げることができる。
【0070】
第3のトーチ部ケーシング60と燃焼ガス配管40との間には、前述した冷却媒体通路45が軸方向にバーナ1の出口まで延設されている。すなわち、冷却媒体通路45は、トーチ燃焼器ライナ35の上流側からバーナ1の出口まで延設されている。冷却媒体通路45は、バーナ1の出口において開口している。
【0071】
次に、火炎検知機構70の構成について説明する。
【0072】
火炎検知機構70は、トーチ燃焼器ライナ35内に形成される火炎または主燃焼器ライナ120内に形成される火炎を検知する。火炎検知機構70は、トーチ燃焼器ライナ35よりもトーチ部10の他端側に設けられる。
【0073】
火炎検知機構70は、検知部ケーシング71と、火炎検知部75と、火炎検知用通路80と、光透過部材72と、浄化媒体供給部85とを備える。
【0074】
火炎検知部75は、トーチ燃焼器ライナ35内に形成される火炎または主燃焼器ライナ120内に形成される火炎を検知する。火炎検知部75は、トーチ部10の他端側に設けられる。例えば、図2に示すように、火炎検知部75は、封止板17の、第1のトーチ部ケーシング11側とは反対側の端面に接続された検知部ケーシング71内に備えられる。
【0075】
火炎検知部75は、火炎から放出される赤外線、可視光または紫外線などを検知する光学式火炎検知装置で構成される。
【0076】
火炎検知用通路80は、トーチ燃焼器ライナ35内に形成される火炎または主燃焼器ライナ120内に形成される火炎を火炎検知部75において検知するための通路である。火炎検知用通路80は、トーチ燃焼器ライナ35内に連通し、火炎検知部75側に延設された通路である。
【0077】
具体的には、火炎検知用通路80は、図2に示すように、筒体14内の貫通部14bおよび封止板17の中央に形成された貫通孔17aを備える。貫通部14bは、トーチ燃焼器ライナ35内に連通する。貫通孔17aは、貫通部14bと連通する。貫通部14bおよび貫通孔17aは、中心軸Oを中心軸として同軸上に形成されている。
【0078】
ここで、トーチ燃焼器ライナ35内に形成される火炎を検知するための火炎検知用通路80は、上記したように、貫通孔17aおよび貫通部14bで構成される。この場合、トーチ燃焼器ライナ35内に形成される火炎からの光は、貫通部14b、貫通孔17aを通り、火炎検知部75に入射する。
【0079】
一方、主燃焼器ライナ120内に形成される火炎を検知するための火炎検知用通路80は、貫通部14b、貫通孔17a、トーチ燃焼器ライナ35および燃焼ガス配管40で構成される。この場合、主燃焼器ライナ120内に形成される火炎からの光は、燃焼ガス配管40、トーチ燃焼器ライナ35、貫通部14b、貫通孔17aを通り、火炎検知部75に入射する。
【0080】
ここで、燃焼ガス配管40、トーチ燃焼器ライナ35、貫通部14b、貫通孔17aおよび火炎検知部75は、中心軸Oを中心軸として同軸上に形成されている。
【0081】
なお、点火装置50は、図1および図2に示すように、上記した火炎検知用通路80における火炎検知を阻害しない位置に配置されている。
【0082】
ここで、広い運転範囲で作動されるガスタービンの燃焼器では、運転条件によって火炎が中心軸方向に移動することがある。このように、主燃焼器ライナ120内に形成される火炎を軸方向の上流側から検知することで、例えば、火炎が軸方向に変動した場合においていても確実に火炎を検知することができる。
【0083】
光透過部材72は、火炎からの光を火炎検知部75側に透過する。光透過部材72は、例えば、火炎検知部75と火炎検知用通路80との間に設けられる。光透過部材72は、火炎からの光を透過する平板状の耐熱ガラスなどで構成される。なお、光透過部材72として、火炎からの光を透過する平板状の耐熱樹脂などを使用してもよい。
【0084】
浄化媒体供給部85は、光透過部材72を浄化する浄化媒体を火炎検知用通路80に供給する。具体的には、浄化媒体供給部85は、光透過部材72の火炎検知用通路80側の表面に付着した異物を除去するための浄化媒体を火炎検知用通路80に供給する。なお、浄化媒体は、光透過部材72を冷却する機能も有する。浄化媒体供給部85は、浄化媒体導入通路86と、浄化媒体供給管87とを備える。
【0085】
浄化媒体導入通路86は、浄化媒体を火炎検知用通路80内に導入する。浄化媒体導入通路86は、例えば、図2に示すように、封止板17に形成される。浄化媒体導入通路86は、例えば、封止板17の外側面から火炎検知用通路80に貫通する貫通孔で構成される。なお、浄化媒体導入通路86の出口は、光透過部材72に近いことが好ましい。
【0086】
浄化媒体供給管87は、浄化媒体供給源(図示しない)から供給された浄化媒体を浄化媒体導入通路86に供給する。浄化媒体供給管87の一端は、浄化媒体導入通路86に連通するように、封止板17の外側面に接合される。なお、浄化媒体供給管87には、浄化媒体の流量を調整する流量調整弁88が備えられている。
【0087】
浄化媒体として、例えば、二酸化炭素、水蒸気、空気などが使用される。例えば、超臨界COガスタービン設備にバーナ1を備える場合には、臨界圧力以上に昇圧された浄化媒体が浄化媒体供給管87に供給される。
【0088】
ここで、火炎検知部75が光透過部材72の機能を備える場合には、光透過部材72は備えられなくてもよい。この場合、浄化媒体供給部85も備えられなくてもよい。
【0089】
次に、主燃料-主酸化剤供給部90の構成について説明する。
【0090】
主燃料-主酸化剤供給部90は、主燃焼器ライナ120内に燃料および酸化剤を供給する。図3に示すように、主燃料-主酸化剤供給部90は、主燃料供給通路100と、主酸化剤供給通路110とを備える。主燃料-主酸化剤供給部90の出口端面は、例えば、凹凸の無い平面状に構成されている。
【0091】
また、主燃料-主酸化剤供給部90は、主燃料供給通路100に燃料を供給する主燃料供給管91と、主酸化剤供給通路110に酸化剤を供給する主酸化剤供給管92とを備える。
【0092】
主燃料供給通路100は、主燃焼器ライナ120内に燃料を供給する。主燃料供給通路100は、トーチ部10の、主燃焼器ライナ120側の外周に軸方向に形成された環状通路で構成される。
【0093】
主燃料供給通路100は、例えば、図3に示すように、第1の主燃料供給通路101と、第2の主燃料供給通路102とを備える。また、主燃料供給管91は、第1の主燃料供給通路101に燃料を供給する第1の主燃料供給管91Aと、第2の主燃料供給通路102に燃料を供給する第2の主燃料供給管91Bとを備える。
【0094】
なお、第1の主燃料供給管91Aには、燃料の流量を調整する流量調整弁93が備えられている。また、第2の主燃料供給管91Bには、燃料の流量を調整する流量調整弁94が備えられている。
【0095】
第1の主燃料供給通路101および第2の主燃料供給通路102は、中心軸Oを中心とする同心円状に配置された配管の間に形成される環状通路で構成される。
【0096】
第1の主燃料供給通路101は、トーチ部10の外周に形成された環状通路で構成される。具体的には、第1の主燃料供給通路101は、第3のトーチ部ケーシング60と配管103との間に形成される環状通路で構成される。配管103は、第3のトーチ部ケーシング60の外周に配置される。第1の主燃料供給通路101は、第1の主燃料供給管91Aと連通している。
【0097】
第2の主燃料供給通路102は、第1の主燃料供給通路101の外周に形成された環状通路で構成される。具体的には、第2の主燃料供給通路102は、配管103と配管104との間に形成される環状通路で構成される。配管104は、配管103の外周に配置される。第2の主燃料供給通路102は、第2の主燃料供給管91Bと連通している。
【0098】
主酸化剤供給通路110は、主燃焼器ライナ120内に酸化剤を供給する。主酸化剤供給通路110は、主燃料供給通路100の外周に軸方向に形成された環状通路で構成される。
【0099】
主酸化剤供給通路110は、例えば、図3に示すように、第1の主酸化剤供給通路111と、第2の主酸化剤供給通路112とを備える。また、主酸化剤供給管92は、第1の主酸化剤供給通路111に酸化剤を供給する第1の主酸化剤供給管92Aと、第2の主酸化剤供給通路112に酸化剤を供給する第2の主酸化剤供給管92Bとを備える。
【0100】
なお、第1の主酸化剤供給管92Aには、酸化剤の流量を調整する流量調整弁95が備えられている。また、第2の主酸化剤供給管92Bには、酸化剤の流量を調整する流量調整弁96が備えられている。
【0101】
第1の主酸化剤供給通路111および第2の主酸化剤供給通路112は、中心軸Oを中心とする同心円状に配置された配管の間に形成される環状通路で構成される。
【0102】
第1の主酸化剤供給通路111は、主燃料供給通路100の外周に形成された環状通路で構成される。具体的には、第1の主酸化剤供給通路111は、配管104と配管113との間に形成される環状通路で構成される。配管113は、配管104の外周に配置される。第1の主酸化剤供給通路111は、第1の主酸化剤供給管92Aと連通している。
【0103】
第2の主酸化剤供給通路112は、第1の主酸化剤供給通路111の外周に形成された環状通路で構成される。具体的には、第2の主酸化剤供給通路112は、配管113と配管114との間に形成される環状通路で構成される。配管114は、配管113の外周に配置される。第2の主酸化剤供給通路112は、第2の主酸化剤供給管92Bと連通している。
【0104】
ここで、例えば、第1の主酸化剤供給通路111および第2の主酸化剤供給通路112の出口近傍には、酸化剤の流れを旋回流とするスワーラ115、116が備えられている。例えば、スワーラ115によって形成される旋回流の旋回方向は、スワーラ116によって形成される旋回流の旋回方向と同じである。
【0105】
スワーラ115、116を備えることで、主燃焼器ライナ120内の燃焼領域に酸化剤の旋回流による再循環領域が形成される。これによって、燃焼領域においいて燃料と酸化剤の混合が促進されるとともに、安定した火炎が形成される。
【0106】
なお、ここでは、主燃料供給通路100および主酸化剤供給通路110が、それぞれ複数の通路を備えた一例を示したが、この構成に限られない。主燃料供給通路100および主酸化剤供給通路110は、それぞれ一つずつ備えられてもよい。
【0107】
ここで、前述したトーチ燃料供給部25と同様に、主燃料供給通路100には、燃料として、例えば、メタン、天然ガスなどの炭化水素が使用される。また、燃料として、例えば、一酸化炭素および水素などを含む石炭ガス化ガス燃料を使用することもできる。さらに、燃料として、例えば、水素を使用することもできる。
【0108】
前述したトーチ酸化剤供給部20と同様に、主酸化剤供給通路110には、酸化剤として、例えば、酸素、酸素に二酸化炭素を混合した混合ガス、酸素に水蒸気を混合した混合ガス、空気などが挙げられる。例えば、超臨界COガスタービン設備にバーナ1を備える場合には、臨界圧力以上に昇圧された酸化剤が主酸化剤供給通路110に供給される。
【0109】
なお、主燃料供給通路100に供給される燃料は、トーチ燃料供給部25に供給される燃料と同じでも、異なっていてもよい。主酸化剤供給通路110に供給される酸化剤は、トーチ酸化剤供給部20に供給される酸化剤と同じでも、異なっていてもよい。
【0110】
次に、制御装置130の構成について説明する。
【0111】
図4は、実施の形態のバーナ1の運転方法を実行する制御装置130の構成を示すブロック図である。
【0112】
制御装置130は、各流量調整弁などを制御して、バーナ1に供給される燃料流量、酸化剤流量、冷却媒体流量、浄化媒体流量などを調整する。制御装置130は、入力部140と、記憶部150と、演算部160と、出力部141とを備える。
【0113】
入力部140は、例えば、入力装置などからの着火要求信号や負荷要求信号、火炎検知部75からの検知信号、タイマー装置などからのタイマー信号、各種検知部からの検知信号などを入力する。
【0114】
記憶部150は、読み出し専用メモリ(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM)などの記憶媒体で構成される。記憶部150は、例えば、各運転工程(運転経過時間)と、トーチ燃焼器ライナ35内に供給される燃料流量や酸化剤流量の関係を示すトーチ燃料・トーチ酸化剤データ151、および各運転工程(運転経過時間)と、主燃焼器ライナ120内に供給される燃料流量や酸化剤流量の関係を示す主燃料・主酸化剤データ152などを格納している。
【0115】
また、記憶部150は、例えば、各運転工程(運転経過時間)と、冷却媒体通路45に供給される冷却媒体流量や火炎検知用通路80に供給される浄化媒体流量の関係を示す冷却媒体・浄化媒体データ153などを格納している。さらに、記憶部150は、例えば、トーチ燃焼器ライナ35で生成された燃焼ガスが主燃焼器ライナ120内の燃料と酸化剤の混合気を着火するまでの時間に関する主火炎着火時間データ154などを格納している。
【0116】
なお、上記した各データは、各運転時における圧力や温度などの条件を考慮して設定されている。また、上記した各データには、各流量に対応する流量調整弁の弁開度などの情報も格納されている。
【0117】
演算部160は、例えば、入力部140からの入力信号、記憶部150に格納されたプログラムやデータなどを用いて各種の演算処理を実行する。演算部160は、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161、主燃料・主酸化剤供給判定部162、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163、着火判定部164、経過時間判定部165などを備える。
【0118】
経過時間判定部165は、タイマー装置などからのタイマー信号から運転経過時間を判定する。運転経過時間は、例えば、点火装置50を作動させた時からの経過時間である。
【0119】
トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、着火要求信号(着火開始信号)、経過時間判定部165における判定結果およびトーチ燃料・トーチ酸化剤データ151に基づいて、トーチ燃焼器ライナ35内に供給するトーチ燃料流量およびトーチ酸化剤流量を特定する。これによって、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、トーチ部10における着火のための制御を実行する。
【0120】
トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、経過時間判定部165における判定結果およびトーチ燃料・トーチ酸化剤データ151に基づいて、トーチ燃焼器ライナ35内に供給するトーチ燃料流量およびトーチ酸化剤流量を特定する。
【0121】
また、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、着火判定部164における判定結果、経過時間判定部165における判定結果およびトーチ燃料・トーチ酸化剤データ151に基づいて、トーチ燃焼器ライナ35内に供給するトーチ燃料流量およびトーチ酸化剤流量を特定する。例えば、着火判定部164が主燃焼器ライナ120内で燃料と酸化剤の混合気が着火されたと判断した場合には、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、経過時間判定部165における判定結果およびトーチ燃料・トーチ酸化剤データ151に基づいて、トーチ燃料およびトーチ酸化剤の供給を停止するための処理を実行する。
【0122】
主燃料・主酸化剤供給判定部162は、着火判定部164における判定結果、経過時間判定部165における判定結果および主燃料・主酸化剤データ152に基づいて、主燃焼器ライナ120内に供給する主燃料流量および主酸化剤流量を特定する。
【0123】
冷却媒体・浄化媒体供給判定部163は、着火要求信号(着火開始信号)、経過時間判定部165における判定結果および冷却媒体・浄化媒体データ153に基づいて、冷却媒体通路45に供給する冷却媒体流量および火炎検知用通路80に供給する浄化媒体流量を特定する。
【0124】
着火判定部164は、火炎検知部75からの検知信号に基づいてトーチ燃焼器ライナ35内に火炎が形成されたか否かを判定する。また、着火判定部164は、経過時間判定部165および主火炎着火時間データ154に基づいて、トーチ燃焼器ライナ35で生成された燃焼ガスが主燃焼器ライナ120内の燃料と酸化剤の混合気を着火するまでの時間に達したか否かを判定する。
【0125】
ここで、トーチ燃焼器ライナ35で生成された燃焼ガスが主燃焼器ライナ120内の燃料と酸化剤の混合気を着火するまでの着火想定時間Tは、次のように定義される。
着火想定時間T = αL/U ・・・式(1)
【0126】
Lは、図1に示すように、トーチ燃焼器ライナ35の上流端から燃焼ガス配管40の下流端までの長さである。Uは、トーチ燃焼器ライナ35および燃焼ガス配管40を流れる燃焼ガスの平均流速である。αは、安全係数であり、例えば、1.2~1.5の範囲で設定される。安全係数をこの範囲とすることで、トーチ燃焼器ライナ35で生成された燃焼ガスが主燃焼器ライナ120内に確実に到達することができる時間を着火想定時間Tとすることができる。
【0127】
着火想定時間Tは、主燃焼器ライナ120内で生成された燃焼ガスがトーチ燃焼器ライナ35の上流端から燃焼ガス配管40の出口(バーナ1の出口)に達するまでの時間(L/U)に安全係数αを乗じた時間である。
【0128】
出力部141は、演算部160からの制御信号を、例えば、流量調整弁22、28、48、88、93、94、95、96、点火装置50などに出力する。なお、出力部141は、流量調整弁22、28、48、88、93、94、95、96、点火装置50などと通信可能に接続されている。
【0129】
ここで、上記した制御装置130が実行する処理は、例えば、コンピュータ装置などで実現される。
【0130】
次に、バーナ1の作用およびバーナ1の運転方法について説明する。
【0131】
図5は、実施の形態のバーナ1の運転方法を説明するためのタイムチャートである。図6は、実施の形態のバーナ1の運転方法を説明するためのフローチャートである。
【0132】
図5の横軸は、時間を示している。時間は、点火装置50の作動時を時間t1としている。図5の縦軸は、各制御項目などを示している。
【0133】
ここでは、点火装置50の作動時(時間t1)からタービン負荷を上昇し始める時(時間t6)までについて説明する。
【0134】
図6に示すように、制御装置130のトーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、入力部140において着火開始信号が入力された否かを判定する(ステップS10)。
【0135】
ステップS10の判定において、着火開始信号が入力されていないと判定した場合(ステップS10のNo)、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、ステップS10の処理を再度実行する。
【0136】
ステップS10の判定において、着火開始信号が入力されたと判定した場合(ステップS10のYes)、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、トーチ部10における着火のための制御を実行する(ステップS11)。
【0137】
また、ステップS10の判定において、着火開始信号が入力されたと判定した場合(ステップS10のYes)、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、その情報を冷却媒体・浄化媒体供給判定部163に出力する。
【0138】
そして、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163は、冷却媒体および浄化媒体の供給のための制御を実行する(ステップS12)。
【0139】
なお、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163は、ステップS10において、着火開始信号の入力の有無を判定し、その判定に基づいてステップS12の処理を実行してもよい。
【0140】
ステップS11およびステップS12の処理は、図5に示す時間t1(点火装置50の作動時)および時間t1から時間t3の間に実行される処理である。
【0141】
ステップS11において、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、点火装置50を作動させるための信号を出力部141に出力する。
【0142】
出力部141は、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161からの信号を点火装置50に出力する。これによって、図5に示すように点火装置50は作動し、レーザ光を貫通孔33、レーザ透過部材51、貫通孔37を介してトーチ燃焼器ライナ35内に照射する。
【0143】
また、ステップS11において、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、トーチ燃料・トーチ酸化剤データ151を参照して、トーチ燃料導入通路26に供給する燃料流量およびトーチ酸化剤供給通路15に供給する酸化剤流量を特定する。そして、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、流量調整弁28および流量調整弁22を制御するための信号を出力部141に出力する。
【0144】
出力部141は、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161からの信号を流量調整弁28および流量調整弁22に出力する。これによって、流量調整弁28および流量調整弁22の開度が調整される。
【0145】
そして、所定流量の燃料は、トーチ燃料供給管27、トーチ燃料導入通路26を介してトーチ酸化剤供給通路15内の出口側(例えば、スワーラ16内)に供給され、酸化剤とともにトーチ燃焼器ライナ35内に供給される。また、所定流量の酸化剤は、トーチ酸化剤供給管21、貫通孔11a、トーチ酸化剤供給通路15を介してトーチ燃焼器ライナ35内に供給される。図5に示すように、燃料流量および酸化剤流量は、時間t3時に規定流量に達するように徐々に増加される。
【0146】
燃料流量および酸化剤流量を増加する過程において、図5に示すように、トーチ燃焼器ライナ35内において燃料と酸化剤の混合気が着火してトーチ火炎が形成される。ここでは、時間t2に達する前に火炎が形成された一例を示している。なお、以下において、トーチ燃焼器ライナ35内に形成される火炎をトーチ火炎と称する。
【0147】
ここで、トーチ燃焼器ライナ35内に供給される燃料および酸化剤の流量は、燃焼ガス配管40の出口における燃焼ガスの温度が800℃以上となるように設定される。そのため、トーチ燃焼器ライナ35内に供給される燃料および酸化剤の流量は、冷却媒体通路45から主燃焼器ライナ120内に流入する冷却媒体の温度や流量、火炎検知用通路80から主燃焼器ライナ120内に流入する浄化媒体の温度や流量、燃焼ガス配管40を流れる際の熱損失などを考慮して設定される。
【0148】
ここで、燃焼ガス配管40の出口における燃焼ガスの温度を800℃以上に設定する理由について説明する。
【0149】
なお、この燃焼ガスは、トーチ燃焼器ライナ35内において燃料と酸化剤の燃焼によって生成した燃焼ガスと、貫通孔36からトーチ燃焼器ライナ35内に流入する冷却媒体と、火炎検知用通路80からトーチ燃焼器ライナ35内に流入する浄化媒体とから構成される。
【0150】
燃焼ガス配管40の出口における燃焼ガスは、主燃焼器ライナ120内の燃料と酸化剤の混合気を着火する着火源となる。着火源として機能する燃焼ガスの温度は、高温なほど好ましい。しかしながら、燃焼ガス配管40の外周面は、冷却媒体によって冷却されているが、内周面は高温の燃焼ガスに曝されている。そこで、燃焼ガス配管40の熱応力や耐酸化性などを考慮して、燃焼ガスの温度の上限は、燃焼ガス配管40を構成する材料の耐熱温度以下に設定される。
【0151】
一方、燃焼ガスを着火源として機能させるため、燃焼ガスの温度の下限は、主燃焼器ライナ120内の混合気を少なくとも着火できる温度に設定される。そこで、主燃料-主酸化剤供給部90に供給される燃料における量論混合気での自己着火温度、冷却媒体通路45から主燃焼器ライナ120内に噴出される冷却媒体によって燃焼ガスが希釈されることによる温度低下などを考慮して、燃焼ガスの温度の下限は、800℃に設定されている。
【0152】
すなわち、この下限値は、バーナ1の出口の下流側近傍において、燃焼ガス配管40から噴出された燃焼ガスが冷却媒体通路45から噴出された冷却媒体によって希釈されても、主燃焼器ライナ120内の混合気を着火できる温度である。
【0153】
ステップS12において、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163は、冷却媒体・浄化媒体データ153を参照して、冷却媒体通路45に供給する冷却媒体流量および火炎検知用通路80に供給する浄化媒体流量を特定する。そして、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163は、流量調整弁48および流量調整弁88を制御するための信号を出力部141に出力する。
【0154】
出力部141は、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163からの信号を流量調整弁48および流量調整弁88に出力する。これによって、流量調整弁48および流量調整弁88の開度が調整される。
【0155】
そして、所定流量の冷却媒体は、冷却媒体供給管47、冷却媒体導入通路46を介して冷却媒体通路45に供給される。また、所定流量の浄化媒体は、浄化媒体供給管87、浄化媒体導入通路86を介して火炎検知用通路80に供給される。なお、図5に示すように、冷却媒体流量および浄化媒体流量は、時間t3時に規定流量に達するように徐々に増加される。
【0156】
図6に示すように、続いて、着火判定部164は、火炎検知部75から火炎検知に係る検知信号が入力された否かを判定する(ステップS13)。
【0157】
ステップS13の判定において、検知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS13のNo)、着火判定部164は、ステップS13の処理を再度実行する。
【0158】
ステップS13の判定において、検知信号が入力されたと判定した場合(ステップS13のYes)、着火判定部164は、その情報を経過時間判定部165に出力する。
【0159】
そして、経過時間判定部165は、着火判定部164によって検知された検知信号が時間t3の経過後に入力されたか否かを判定する(ステップS14)。
【0160】
ステップS14の判定において、検知信号が時間t3の経過後に入力されたと判定した場合(ステップS14のYes)、経過時間判定部165は、例えば、異常運転としてバーナ1の運転を停止する。
【0161】
ステップS14の判定において、検知信号が時間t3の経過前に入力されたと判定した場合(ステップS14のNo)、経過時間判定部165は、タイマーからの出力信号に基づいて時間t3に達したか否かを判定する(ステップS15)。
【0162】
ステップS15の判定において、時間t3に達していないと判定した場合(ステップS15のNo)、経過時間判定部165は、ステップS15の処理を再度実行する。
【0163】
ステップS15の判定において、時間t3に達していると判定した場合(ステップS15のYes)、経過時間判定部165は、その情報をトーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161、主燃料・主酸化剤供給判定部162、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163に出力する。
【0164】
なお、図5には、時間t2時に火炎検知部75よって火炎が検知された一例を示している。
【0165】
トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、点火装置50を停止するための処理、トーチ燃料およびトーチ酸化剤の流量を調整するための処理を実行する(ステップS16、ステップS17)。
【0166】
主燃料・主酸化剤供給判定部162は、燃料および酸化剤を供給するための処理を実行する(ステップS18)。
【0167】
冷却媒体・浄化媒体供給判定部163は、冷却媒体および浄化媒体の流量を調整するための処理を実行する(ステップS19)。
【0168】
ステップS16において、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、点火装置50を停止させるための信号を出力部141に出力する。
【0169】
出力部141は、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161からの信号を点火装置50に出力する。これによって、図5に示すように点火装置50は停止する。
【0170】
ステップS17において、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、トーチ燃料・トーチ酸化剤データ151および主火炎着火時間データ154を参照して、燃料および酸化剤の流量を規定流量に維持するための信号を出力部141に出力する。なお、主火炎着火時間データ154において、時間t5を設定するための情報を参照することができる。
【0171】
出力部141は、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161からの信号を流量調整弁28および流量調整弁22に出力する。これによって、流量調整弁28および流量調整弁22の開度が調整される。そして、図5に示すように、燃料および酸化剤の流量は、規定流量に維持される。
【0172】
ステップS18において、主燃料・主酸化剤供給判定部162は、主燃料・主酸化剤データ152および主火炎着火時間データ154を参照して、主燃料供給管91(第1の主燃料供給管91Aおよび第2の主燃料供給管91B)に供給する燃料流量および主酸化剤供給管92(第1の主酸化剤供給管92Aおよび第2の主酸化剤供給管92B)に供給する酸化剤流量を特定する。そして、主燃料・主酸化剤供給判定部162は、流量調整弁93、94、95、96を制御するための信号を出力部141に出力する。
【0173】
出力部141は、主燃料・主酸化剤供給判定部162からの信号を流量調整弁93、94、95、96に出力する。これによって、流量調整弁93、94、95、96の開度が調整される。
【0174】
そして、所定流量の燃料は、第1の主燃料供給管91A、第1の主燃料供給通路101を介して主燃焼器ライナ120内に供給される。また、所定流量の燃料は、第2の主燃料供給管91B、第2の主燃料供給通路102を介して主燃焼器ライナ120内に供給される。
【0175】
所定流量の酸化剤は、第1の主酸化剤供給管92A、第1の主酸化剤供給通路111を介して主燃焼器ライナ120内に供給される。また、所定流量の酸化剤は、第2の主酸化剤供給管92B、第2の主酸化剤供給通路112を介して主燃焼器ライナ120内に供給される。なお、酸化剤がスワーラ115、116を通過することで、主燃焼器ライナ120内には、酸化剤の旋回流が噴出される。
【0176】
図5に示すように、主燃料-主酸化剤供給部90から供給される燃料流量および酸化剤流量は、時間t5時に規定流量に達するように徐々に増加される。
【0177】
燃料流量および酸化剤流量を増加する過程において、図5に示すように、主燃焼器ライナ120内において燃料と酸化剤の混合気が着火して火炎が形成される。ここで、燃料と酸化剤の混合気は、燃焼ガス配管40から主燃焼器ライナ120内に噴出されるトーチ燃焼器ライナ35内で生成された燃焼ガスによって着火される。なお、前述したように、温度が800℃以上の燃焼ガスが、燃焼ガス配管40の出口から主燃焼器ライナ120内に噴出される。
【0178】
着火源である燃焼ガスは、バーナ1の中央から軸方向に噴出される。すなわち、バーナ1の出口において、着火源である燃焼ガスの外周には、主燃料供給通路100から噴出された燃料が存在し、その燃料の周囲には、主酸化剤供給通路110から噴出された酸化剤が存在する。
【0179】
このように、バーナ1の中央から軸方向に噴出される燃焼ガスを着火源として機能させ、その周囲から燃料、酸化剤を噴出することで、燃焼と酸化剤の混合気に確実に着火することができる。
【0180】
また、着火源である燃焼ガスをバーナ1の上流端から導入する場合における主燃焼器ライナ120内の燃料および酸化剤の混合気に着火源が接する面積は、着火源としてレーザ光を使用した場合におけるそれよりも大きい。そのため、燃焼と酸化剤の混合気に確実に着火することができる。
【0181】
また、着火条件が変更された場合でも、着火源である燃焼ガスをバーナ1の上流端から導入することで、燃焼と酸化剤の混合気に確実に着火することができる。
【0182】
なお、ここでは、時間t5に達する前の時間t4に火炎が形成された一例を示している。また、以下において、主燃焼器ライナ120内に形成される火炎を主火炎と称する。
【0183】
ステップS19において、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163は、冷却媒体・浄化媒体データ153を参照して、冷却媒体および浄化媒体の流量を規定流量に維持するための信号を出力部141に出力する。
【0184】
出力部141は、冷却媒体・浄化媒体供給判定部163からの信号を流量調整弁48および流量調整弁88に出力する。これによって、流量調整弁48および流量調整弁88の開度が調整される。そして、図5に示すように、冷却媒体および浄化媒体の流量は、規定流量に維持される。
【0185】
続いて、経過時間判定部165は、タイマーからの出力信号に基づいて時間t5に達したか否かを判定する(ステップS20)。
【0186】
ステップS20の判定において、時間t5に達していないと判定した場合(ステップS20のNo)、経過時間判定部165は、ステップS20の処理を再度実行する。
【0187】
ステップS20の判定において、時間t5に達していると判定した場合(ステップS20のYes)、経過時間判定部165は、その情報をトーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161、主燃料・主酸化剤供給判定部162に出力する。
【0188】
ここで、時間t5は、時間t3から上記した着火想定時間T経過後の時間として設定される。なお、この時間t5に関する情報は、例えば、主火炎着火時間データ154に格納されている。
【0189】
時間t3では、トーチ燃焼器ライナ35内に規定流量の燃料および酸化剤が供給される。そして、時間t3から着火想定時間T経過後の時間t5まで、トーチ燃焼器ライナ35内において、燃焼ガス配管40の出口における燃焼ガスの温度を800℃以上とするための燃焼ガスが生成される。
【0190】
時間t3時に生成された燃焼ガスは、着火想定時間Tの間には、燃焼ガス配管40から主燃焼器ライナ120内に噴出される。すなわち、主燃焼器ライナ120内に供給される燃料および酸化剤が規定流量になる前(時間t5に達する前)に、着火源となる温度が800℃以上の燃焼ガスが燃焼ガス配管40から主燃焼器ライナ120内に噴出される。
【0191】
そのため、図5に示すように、時間t5に達する前の時間t4において主燃焼器ライナ120内に火炎が形成されている。換言すると、着火想定時間Tを考慮して設定された時間t5時までには、主燃焼器ライナ120内において着火が完了する。
【0192】
そして、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、トーチ燃料供給部25への燃料の供給停止、およびトーチ酸化剤供給部20への酸化剤の供給停止のための処理を実行する(ステップS21)。
【0193】
主燃料・主酸化剤供給判定部162は、燃料および酸化剤の流量を調整するための処理を実行する(ステップS22)。
【0194】
ステップS21において、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、トーチ燃料・トーチ酸化剤データ151を参照して、トーチ燃料導入通路26への燃料の供給およびトーチ酸化剤供給通路15への酸化剤の供給を停止するための情報を特定する。そして、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、流量調整弁28および流量調整弁22を制御するための信号を出力部141に出力する。すなわち、図5に示すように、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、時間t5において、トーチ燃焼器ライナ35への燃料および酸化剤の供給を停止するための信号を出力する。
【0195】
出力部141は、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161からの信号を流量調整弁28および流量調整弁22に出力する。これによって、流量調整弁28および流量調整弁22の開度を閉じるように調整される。
【0196】
そして、図5に示すように、トーチ燃料導入通路26への燃料の供給およびトーチ酸化剤供給通路15への酸化剤の供給が停止する。
【0197】
ここでは、燃料および酸化剤の供給が時間t5から所定時間後に停止する一例を示しているが、この制御に限られない。燃料および酸化剤の供給は、時間t5時に停止させてもよい。
【0198】
ステップS22において、主燃料・主酸化剤供給判定部162は、主燃料・主酸化剤データ152を参照して、燃料および酸化剤の流量を規定流量に維持するための信号を出力部141に出力する。
【0199】
出力部141は、主燃料・主酸化剤供給判定部162からの信号を流量調整弁93、94、95、96に出力する。これによって、流量調整弁93、94、95、96の開度が調整される。そして、図5に示すように、燃料および酸化剤の流量は、規定流量に維持される。
【0200】
続いて、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、例えば、流量調整弁28および流量調整弁22の弁開度に係る情報や、トーチ燃料供給管27に備えられた流量計(図示しない)およびトーチ酸化剤供給管21に備えられた流量計(図示しない)からの出力信号などに基づいて、燃料および酸化剤の供給が停止されたか否かを判定する(ステップS23)。
【0201】
ステップS23の判定において、燃料および酸化剤の供給が停止されていないと判定した場合(ステップS23のNo)、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、ステップS23の処理を再度実行する。
【0202】
ステップS23の判定において、燃料および酸化剤の供給が停止されていると判定した場合(ステップS23のYes)、トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部161は、その情報を着火判定部164に出力する。
【0203】
着火判定部164は、火炎検知部75から火炎検知に係る検知信号が入力された否かを判定する(ステップS24)。
【0204】
ここで、ステップS24の判定時において、トーチ火炎は消炎しているため、火炎検知部75によって検知される火炎は、主火炎である。なお、火炎検知部75では、トーチ火炎または主火炎を連続して検知しているため、図5に示すように、時間t2以降、火炎検知部75からの信号はOn信号となる。
【0205】
ステップS24の判定において、検知信号が入力されていないと判定した場合(ステップS24のNo)、着火判定部164は、例えば、異常運転としてバーナ1の運転を停止する。
【0206】
ステップS24の判定において、検知信号が入力されたと判定した場合(ステップ24のYes)、着火判定部164は、その情報を経過時間判定部165に出力する。
【0207】
経過時間判定部165は、タイマーからの出力信号に基づいて、時間t5時、またはトーチ燃料供給管27への燃料供給およびトーチ酸化剤供給管21への酸化剤供給の停止時から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS25)。
【0208】
ここで、所定時間とは、例えば、主火炎が形成された後タービン負荷運転を開始するまでの時間などが例示できる。
【0209】
ステップS25の判定において、所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS25のNo)、経過時間判定部165は、ステップS25の処理を再度実行する。
【0210】
ステップS25の判定において、所定時間が経過したと判定した場合(ステップS25のYes)、経過時間判定部165は、その情報を主燃料・主酸化剤データ152に出力する。
【0211】
主燃料・主酸化剤データ152は、燃料および酸化剤の流量を調整するための処理を実行する(ステップS26)。
【0212】
ステップS26において、主燃料・主酸化剤供給判定部162は、主燃料・主酸化剤データ152を参照して、例えば、タービン負荷に応じた燃料および酸化剤の流量を特定する。そして、主燃料・主酸化剤供給判定部162は、流量調整弁93、94、95、96を制御するための信号を出力部141に出力する。
【0213】
出力部141は、主燃料・主酸化剤データ152からの信号を流量調整弁93、94、95、96に出力する。これによって、流量調整弁93、94、95、96の開度は調整される。
【0214】
上記したように、実施の形態のバーナ1は、バーナ1の中央から軸方向に着火源である燃焼ガスを主燃焼室である主燃焼器ライナ120内に噴出することができる。
【0215】
また、バーナ1は、着火源である燃焼ガスの外周に燃料を噴出し、その燃料の周囲に酸化剤を噴出することができる。これによって、例えば、主燃焼器ライナ120内への燃料や酸化剤の噴出パターン、着火に最適な燃料と酸化剤の混合気が形成される位置などの着火条件によらず、主燃焼器ライナ120内の燃焼と酸化剤の混合気に確実に着火することができる。
【0216】
また、実施の形態のバーナ1を備える燃焼器は、燃焼器ライナの中心軸方向に対して垂直な方向からレーザ光を照射する点火装置を備える従来の燃焼器に比べて、着火条件が変更された場合においても、着火に対して軸方向における変更の影響はほとんど受けない。そのため、実施の形態のバーナ1を備える燃焼器は、着火条件の変更によって最適な点火位置が軸方向にずれた場合においても、確実な着火が可能となる。
【0217】
ここで、従来のガスタービンの燃焼器において、火炎検知部は、点火装置と同様に、燃焼器ライナの中心軸方向に対して垂直な方向に向けて配置されている。そして、火炎検知部は、燃焼器ライナの中心軸方向に対して垂直な方向から火炎を検知している。そのため、燃焼器ライナの中心軸方向に対して垂直な方向から火炎を検知している火炎検知器では、火炎を検知できないことがある。
【0218】
一方、実施の形態のバーナ1において、燃焼ガス配管40、トーチ燃焼器ライナ35、貫通部14b、貫通孔17aおよび火炎検知部75は、中心軸Oを中心軸として同軸上に連通している。これによって、主燃焼器ライナ120内に形成される火炎を軸方向の上流側から検知することができる。そのため、実施の形態のバーナ1においては、例えば、火炎が軸方向に変動した場合においていても正確に火炎を検知することができる。
【0219】
また、例えば、超臨界COガスタービン設備における燃焼器のように肉厚の燃焼器ケーシングを備える場合においても、バーナ1を備えることで、燃焼器ケーシングに、点火装置や火炎検知部を備える必要がなくなる。そのため、燃焼器ケーシングに点火装置や火炎検知部を備えるための複雑な設計が回避できる。
【0220】
ここで、上記した実施の形態のバーナ1は、例えば、一般に使用されている産業用や航空用のガスタービン燃焼器、超臨界COガスタービン設備における燃焼器、水素を空気または酸素と燃焼させるガスタービン燃焼器などに適用することができる。
【0221】
以上説明した実施形態によれば、着火条件によらず、供給した燃料および酸化剤における混合気に確実に着火することが可能となる。
【0222】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0223】
1…バーナ、10…トーチ部、10A…第1のトーチ構成部、10B…第2のトーチ構成部、10C…第3のトーチ構成部、11…第1のトーチ部ケーシング、11a、17a、33、36、37…貫通孔、12、13、14a、31、32、35a、61…フランジ部、14…筒体、14b…貫通部、15…トーチ酸化剤供給通路、16、115、116…スワーラ、17…封止板、20…トーチ酸化剤供給部、21…トーチ酸化剤供給管、22、28、48、88、93、94、95、96…流量調整弁、25…トーチ燃料供給部、26…トーチ燃料導入通路、27…トーチ燃料供給管、30…第2のトーチ部ケーシング、35…トーチ燃焼器ライナ、40…燃焼ガス配管、45…冷却媒体通路、46…冷却媒体導入通路、47…冷却媒体供給管、50…点火装置、51…レーザ透過部材、60…第3のトーチ部ケーシング、70…火炎検知機構、71…検知部ケーシング、72…光透過部材、75…火炎検知部、80…火炎検知用通路、85…浄化媒体供給部、86…浄化媒体導入通路、87…浄化媒体供給管、90…主燃料-主酸化剤供給部、91…主燃料供給管、91A…第1の主燃料供給管、91B…第2の主燃料供給管、92…主酸化剤供給管、92A…第1の主酸化剤供給管、92B…第2の主酸化剤供給管、100…主燃料供給通路、101…第1の主燃料供給通路、102…第2の主燃料供給通路、103、104、113、114…配管、110…主酸化剤供給通路、111…第1の主酸化剤供給通路、112…第2の主酸化剤供給通路、120…主燃焼器ライナ、130…制御装置、140…入力部、141…出力部、150…記憶部、151…トーチ燃料・トーチ酸化剤データ、152…主燃料・主酸化剤データ、153…冷却媒体・浄化媒体データ、154…主火炎着火時間データ、160…演算部、161…トーチ燃料・トーチ酸化剤供給判定部、162…主燃料・主酸化剤供給判定部、163…冷却媒体・浄化媒体供給判定部、164…着火判定部、165…経過時間判定部、O…中心軸、T…着火想定時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6