(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190452
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】傾斜回転テーブル装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/54 20060101AFI20221219BHJP
B23Q 1/44 20060101ALI20221219BHJP
B23Q 1/72 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B23Q1/54
B23Q1/44 J
B23Q1/72 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098781
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】511122075
【氏名又は名称】テクノダイナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 平三郎
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048BC02
3C048DD12
3C048DD28
(57)【要約】
【課題】高精度な傾斜回転テーブル装置1を提供することが可能となる。
【解決手段】回転テーブル装置103と、回転テーブル130のテーブル面を傾斜させる回動テーブル30と、を有する回動テーブル装置3と、を備え、回転テーブル装置が、回転テーブルの中心軸Zbに沿う方向が回動テーブルの中心軸Zaに沿う方向と交差するように、回動テーブルに取り付けられている傾斜回転テーブル装置1であって、回動テーブル装置は、回動テーブルの中央部に設けられ回動テーブルと一体的に回動する回動軸32を有し、回動軸は、回動テーブルから見て回転テーブル装置とは反対側に延伸する延伸部32bを備え、延伸部には、回転テーブル装置とバランスを取るためのバランスウエイト200が設けられ、バランスウエイトの重心P2は回動軸の中心位置から該回動軸の径方向に離れた位置に位置していることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルと、前記回転テーブルを駆動する回転テーブル駆動部と、を有する回転テーブル装置と、
回動することにより前記回転テーブル装置を揺動させて前記回転テーブルのテーブル面を傾斜させる回動テーブルと、前記回動テーブルを駆動する回動テーブル駆動部と、を有する回動テーブル装置と、を備え、
前記回転テーブル装置が、前記回転テーブルの中心軸に沿う方向が前記回動テーブルの中心軸に沿う方向と交差するように、前記回動テーブルに取り付けられている傾斜回転テーブル装置であって、
前記回動テーブル装置は、前記回動テーブルの中央部に設けられ前記回動テーブルと一体的に回動する回動軸を有し、前記回動軸は、前記回動テーブルから見て前記回転テーブル装置とは反対側に延伸する延伸部を備え、
前記延伸部には、前記回転テーブル装置とバランスを取るためのバランスウエイトが設けられ、前記バランスウエイトの重心は前記回動軸の中心位置から該回動軸の径方向に離れた位置に位置していることを特徴とする傾斜回転テーブル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の傾斜回転テーブル装置あって、
前記回動テーブルは、カムフォロアを備え、
前記回動テーブル駆動部は、前記カムフォロアと係合するバレルカムを備えることを特徴とする傾斜回転テーブル装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の傾斜回転テーブル装置であって、
前記回転テーブル装置の一端部が前記回動テーブルに取り付けられおり、前記一端部とは反対側の他端部は自由端となっていることを特徴とする傾斜回転テーブル装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の傾斜回転テーブル装置であって、
転動体を備え、前記回動テーブルを回動可能に支持する支持軸受けを有し、
前記回転テーブル装置の重心から、
前記回動テーブルのテーブル面と平行であり、かつ、前記転動体の重心を通る回動テーブル断面と、前記回動テーブルの中心軸と、の交点へと、
引いた仮想直線の仮想延長線と前記バランスウエイトが交わることを特徴とする傾斜回転テーブル装置。
【請求項5】
請求項4に記載の傾斜回転テーブル装置であって、
前記回転テーブル装置の重さをM1、前記バランスウエイトの重さをM2、前記仮想直線の長さをL1としたときに、
前記仮想延長線上の仮想点であって、前記交点から距離L2=M1×L1/M2だけ離れた仮想点は、
前記バランスウエイトの内部に位置することを特徴とする傾斜回転テーブル装置。
【請求項6】
請求項5に記載の傾斜回転テーブル装置であって、
前記回動テーブル装置は、前記回動テーブルと前記回動テーブル駆動部と前記回動軸とを収容するハウジングを有し、
前記回動軸の前記延伸部の一部は、前記ハウジングの外部へ突出しており、
前記仮想点は、前記ハウジングの外部に位置することを特徴とする傾斜回転テーブル装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の傾斜回転テーブル装置であって、
前記回動テーブル装置は、前記回動テーブルと前記回動テーブル駆動部と前記回動軸とを収容するハウジングを有し、
前記回動軸の前記延伸部の一部は、前記ハウジングの外部へ突出しており、
前記バランスウエイトは、前記延伸部のうちの、前記ハウジングの外部へ突出した部分に、設けられていることを特徴とする傾斜回転テーブル装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の傾斜回転テーブル装置であって、
前記傾斜回転テーブル装置の非作動状態において、
前記回転テーブルの上面は、前記回動軸の中心位置よりも下方に位置し、
前記バランスウエイトの下端は、前記回動軸の中心位置よりも上方に位置することを特徴とする回転傾斜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜回転テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等での加工において、加工の自動化が進められてゆく中で、工作機械のテーブル上に直交する2軸の回転装置、つまりNC傾斜回転テーブル装置を用いることで、回転テーブルにセットしたワークに2軸のローテーション(回転)を与え複雑な加工や加工時の段取り回数を低減し、生産性の向上に用いられている。特に近年、金型や高精度部品加工等の要求が強まり、生産性の高いNC傾斜回転テーブル(一般的にはチルトテーブル装置)が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、上述した傾斜テーブル装置に対する精度向上の要請が高まってきているが、傾斜テーブル装置において、回転テーブル上にワークをセットした場合、傾斜テーブルの大きな偏心荷重にワークによる偏心荷重が加わり、傾斜軸の回転に伴い、回転モーメント(回転静トルク)が大きく変動し、特に傾斜軸の回転位置精度が低下していた。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高精度な傾斜回転テーブル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、回転テーブルと、前記回転テーブルを駆動する回転テーブル駆動部と、を有する回転テーブル装置と、回動することにより前記回転テーブル装置を揺動させて前記回転テーブルのテーブル面を傾斜させる回動テーブルと、前記回動テーブルを駆動する回動テーブル駆動部と、を有する回動テーブル装置と、を備え、前記回転テーブル装置が、前記回転テーブルの中心軸に沿う方向が前記回動テーブルの中心軸に沿う方向と交差するように、前記回動テーブルに取り付けられている傾斜回転テーブル装置であって、前記回動テーブル装置は、前記回動テーブルの中央部に設けられ前記回動テーブルと一体的に回動する回動軸を有し、前記回動軸は、前記回動テーブルから見て前記回転テーブル装置とは反対側に延伸する延伸部を備え、前記延伸部には、前記回転テーブル装置とバランスを取るためのバランスウエイトが設けられ、前記バランスウエイトの重心は前記回動軸の中心位置から該回動軸の径方向に離れた位置に位置していることを特徴とする傾斜回転テーブル装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高精度な傾斜回転テーブル装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る傾斜回転テーブル装置1の側面概略図及び背面概略図であり、側面概略図においては、回動テーブル装置3をB-B断面概略図(
図3参照)、回転テーブル装置103をF-F断面概略図(
図6参照)、バランスウエイト200を側面図(非断面図)で示している。背面概略図においては、背面図(非断面図)を示している。
【
図2】
図1の矢視Aであり、回動テーブル装置3の平面概略図(非断面図)を示している。
【
図3】
図2のB-B断面概略図及びC-C断面概略図であり、C-C断面概略図においては、回動テーブル30、回動軸32、及び第1支持軸受け34の断面を示している。なお、B-B断面概略図においては、隠れた部分は記載しないが、図面をわかりやすくするため、入力側第1出力テーブル20、入力側第1カムフォロア20a、及び回動軸32については、隠れた部分を破線で記載する。第1中間軸受け26(
図4参照)については記載を省略する。出力側第1カムフォロア30aは個数を省略して1つのみ表示する。
【
図5】
図1の矢視Eであり、回転テーブル装置103の平面概略図(非断面図)を示している。
【
図6】
図5のF-F断面概略図及びG-G断面概略図であり、G-G断面概略図においては、回転テーブル130、回転軸132、及び第2支持軸受け134の断面を示している。なお、F-F断面概略図においては、隠れた部分は記載しないが、図面をわかりやすくするため、入力側第2出力テーブル120、入力側第2カムフォロア120a、及び回転軸132については、隠れた部分を破線で記載する。第2中間軸受け126(
図7参照)については記載を省略する。出力側第2カムフォロア130aは個数を省略して1つのみ表示する。
【
図8】
図1の側面概略図に相当する図で、バランスウエイト200の配置を説明するための説明図であり、回動テーブル装置3のB-B断面概略図には、交点P0の位置を説明するためにC-C断面概略図に示す転動体34aを記載している。
【
図9】回転テーブル130を傾斜させた際に回動テーブル30に発生する回転モーメントを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
回転テーブルと、前記回転テーブルを駆動する回転テーブル駆動部と、を有する回転テーブル装置と、回動することにより前記回転テーブル装置を揺動させて前記回転テーブルのテーブル面を傾斜させる回動テーブルと、前記回動テーブルを駆動する回動テーブル駆動部と、を有する回動テーブル装置と、を備え、前記回転テーブル装置が、前記回転テーブルの中心軸に沿う方向が前記回動テーブルの中心軸に沿う方向と交差するように、前記回動テーブルに取り付けられている傾斜回転テーブル装置であって、前記回動テーブル装置は、前記回動テーブルの中央部に設けられ前記回動テーブルと一体的に回動する回動軸を有し、前記回動軸は、前記回動テーブルから見て前記回転テーブル装置とは反対側に延伸する延伸部を備え、前記延伸部には、前記回転テーブル装置とバランスを取るためのバランスウエイトが設けられ、前記バランスウエイトの重心は前記回動軸の中心位置から該回動軸の径方向に離れた位置に位置していることを特徴とする傾斜回転テーブル装置。
【0012】
このような傾斜回転テーブル装置によると、バランスウエイトが回転テーブル装置と同時に回動することにより、回転テーブル装置によって生じる回動テーブルの回転モーメントがバランスウエイトによって生じる回転モーメントにより相殺されて小さくなるので、高精度な傾斜回転テーブル装置を提供することができる。
【0013】
かかる傾斜回転テーブル装置であって 、前記回動テーブルは、カムフォロアを備え、前記回動テーブル駆動部は、前記カムフォロアと係合するバレルカムを備えることが望ましい。
【0014】
このような傾斜回転テーブル装置によると、バレルカムは、ローラギヤカムよりも同じサイズの装置において回動テーブルが大口径となり、回転モーメントがより大きくなる。したがって、回転テーブル装置の回転モーメントをバランスウエイトの回転モーメントが相殺して小さくする効果が、例えばローラギヤカムの場合よりも、より有効に発揮される。
【0015】
かかる傾斜回転テーブル装置であって、前記回転テーブル装置の一端部が前記回動テーブルに取り付けられおり、前記一端部とは反対側の他端部は自由端となっていることが望ましい。
【0016】
このような傾斜回転テーブル装置によると、回転テーブル装置が片持ち状態となるので、バランスウエイトによって傾斜回転テーブル装置の傾きを抑制する効果が、例えば両持ち状態の場合よりも、より有効に発揮される。
【0017】
かかる傾斜回転テーブル装置であって、転動体を備え、前記回動テーブルを回動可能に支持する支持軸受けを有し、前記回転テーブル装置の重心から、前記回動テーブルのテーブル面と平行であり、かつ、前記転動体の重心を通る回動テーブル断面と、前記回動テーブルの中心軸と、の交点へと、引いた仮想直線の仮想延長線と前記バランスウエイトが交わることが望ましい。
【0018】
このような傾斜回転テーブル装置によると、回動テーブルに生じる回転モーメントの発生位置を交点に近づけることができるので、回動テーブルの回転モーメントを抑制することができる。
【0019】
かかる傾斜回転テーブル装置であって、前記回転テーブル装置の重さをM1、前記バランスウエイトの重さをM2、前記仮想直線の長さをL1としたときに、前記仮想延長線上の仮想点であって、前記交点から距離L2=M1×L1/M2だけ離れた仮想点は、前記バランスウエイトの内部に位置することが望ましい。
【0020】
このような傾斜回転テーブル装置によると、L2が内部に位置するようにバランスウエイトを設けることにより、回動テーブルに生じる回転モーメントの発生位置を交点に近づけることができるので、回動テーブルの回転モーメントを抑制することができる。
【0021】
かかる傾斜回転テーブル装置であって、前記回動テーブル装置は、前記回動テーブルと前記回動テーブル駆動部と前記回動軸とを収容するハウジングを有し、前記回動軸の前記延伸部の一部は、前記ハウジングの外部へ突出しており、前記仮想点は、前記ハウジングの外部に位置することが望ましい。
【0022】
このような傾斜回転テーブル装置によると、仮想点がハウジングの外側に位置することにより、ハウジングの外側にバランスウエイトを設けることができるので、バランスウエイトの大きさに制限が無く、大きなバランスウエイトを設けることができる。
【0023】
かかる傾斜回転テーブル装置であって、前記回動テーブル装置は、前記回動テーブルと前記回動テーブル駆動部と前記回動軸とを収容するハウジングを有し、前記回動軸の前記延伸部の一部は、前記ハウジングの外部へ突出しており、前記バランスウエイトは、前記延伸部のうちの、前記ハウジングの外部へ突出した部分に、設けられていることが望ましい。
【0024】
このような傾斜回転テーブル装置によると、回動テーブル装置のハウジングの外側にバランスウエイトが位置するので、バランスウエイトの大きさに制限が無く、大きなバランスウエイトを設けることができる。
【0025】
かかる傾斜回転テーブル装置であって、前記傾斜回転テーブル装置の非作動状態において、前記回転テーブルの上面は、前記回動軸の中心位置よりも下方に位置し、前記バランスウエイトの下端は、前記回動軸の中心位置よりも上方に位置することが望ましい。
【0026】
このような傾斜回転テーブル装置によると、バランスウエイトの位置が回動軸の下方に位置する場合に比べて、回転テーブルにより発生する回転モーメントを相殺することができるので、回動テーブルに生じる回転モーメントを小さくすることができる。
【0027】
===傾斜回転テーブル装置1について===
本実施形態に係る傾斜回転テーブル装置1について、図を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る傾斜回転テーブル装置1の側面概略図及び背面概略図であり、左図が側面概略図、右図が背面概略図(傾斜回転テーブル装置1を右側から見た図)である。そして、側面概略図においては、回動テーブル装置3をB-B断面概略図(
図3参照)、回転テーブル装置103をF-F断面概略図(
図6参照)、バランスウエイト200を側面図(非断面図)で示している。背面概略図においては、背面図(非断面図)を示している。なお、本実施の形態に係る図面においては、本発明を解りやすく説明するため適宜部材を省略している場合がある。
【0028】
また、本実施形態に係る傾斜回転テーブル装置1は、X方向、Y方向、Z方向を有しており、X方向とY方向は互いに交差し、X方向とY方向の双方とZ方向は交差している。そして、
図1の側面概略図における紙面の横方向をX方向として紙面の左側(右側)を左(右)と呼び、紙面の縦方向をZ方向(鉛直方向)として紙面の上側(下側)を上(下)と呼ぶ。また、
図1の背面概略図における紙面の横方向をY方向として紙面の左側(右側)を手前(奥)と呼ぶ。
【0029】
本実施形態に係る傾斜回転テーブル装置1は、一般的にチルトテーブルと呼ばれる工作機械であって、チルトテーブルを傾斜させることによりワーク等の割り出しを行い、所定の加工を行う装置である。なお、一般的なチルトテーブルの最大傾斜角度θは、100~120度である。
【0030】
傾斜回転テーブル装置1は、2つの装置(第1装置としての回動テーブル装置3と、第2装置としての回転テーブル装置103)と、バランスウエイト200と、を有しており、回動テーブル装置3の左側においては、回転テーブル装置103が回動テーブル30にボルト103a及び位置決めピン(不図示)にて取り付けられ、回動テーブル装置3の右側においては、回転テーブル装置103とバランスを取るためのバランスウエイト200が取り付けられている。
【0031】
そして、傾斜回転テーブル装置1の非作動状態において、回転テーブル130の上面130bは、回動軸32の中心位置(中心軸Za)よりも下方に位置し、バランスウエイト200の下端200aは、回動軸32の中心位置(中心軸Za)よりも上方に位置する。
【0032】
回動テーブル装置3は、回動することにより回転テーブル装置103を揺動させて回転テーブル装置103の回転テーブル130のテーブル面130cを傾斜させる回動テーブル30(
図9参照)と、回動テーブル30を駆動する回動テーブル駆動部を有している。
【0033】
回転テーブル装置103は、回転テーブル130と、回転テーブル130を駆動する回転テーブル駆動部とを有している。つまり、回動テーブル30に加えて回転テーブル130も回転するので、傾斜回転テーブル装置1は、回動テーブル30及び回転テーブル130の2軸の中心軸(回転軸)、中心軸Zaと中心軸Zbを有する傾斜回転テーブル装置1である。
【0034】
そして、回動テーブル30には、回転テーブル130の中心軸Zbに沿う方向が回動テーブル30の中心軸Zaに沿う方向と交差するように回転テーブル装置103が取り付けられている。そして、これにより、回転2軸の傾斜回転テーブル装置1が一般的なチルトテーブルの機能を発揮することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る回転テーブル装置103は、回動テーブル30に片持ち状態で取り付けられている。つまり、回転テーブル装置103の一端部103b(右端部)が回動テーブル30に取り付けられおり、一端部とは反対側の他端部103c(左端部)は自由端となっている。なお、実施形態に係る回転テーブル装置103は、回動テーブル30に片持ち状態で取り付けられているが、これに限るものではなく、両端部(左右端部)を支持する構成であっても構わない。
【0036】
<<<回動テーブル装置3について>>>
回動テーブル装置3について、図を用いて説明する。
図2は、
図1の矢視Aであり、回動テーブル装置3の平面概略図(非断面図)を示しており、
図3は、
図2のB-B断面概略図及びC-C断面概略図であり、C-C断面概略図においては、回動テーブル30、回動軸32、及び第1支持軸受け34の断面を示している。
図4は、
図3のD-D断面概略図である。
【0037】
なお、B-B断面概略図においては、隠れた部分は記載しないが、図面をわかりやすくするため、入力側第1出力テーブル20、入力側第1カムフォロア20a、及び回動軸32の隠れた部分を破線で記載する。第1中間軸受け26については記載を省略する。出力側第1カムフォロア30aは個数を省略して1つのみ表示する。
【0038】
そして、上述したように、回動テーブル装置3は、回動テーブル30と、回動テーブル30を回動させる回動テーブル駆動部を有している。
【0039】
回動テーブル駆動部(第1装置)は、動力源として第1モータ10を有しており、第1モータ10の回転数より少ない回転数で回動テーブル30を回動させる装置である(回転数の減少は出力トルクの増大となる)。そして、第1モータ10の回転数を減速させる機構として、入力側第1カム14と出力側第1カム24(バレルカムに相当)の2段階のカム機構を用いている。
【0040】
回動テーブル装置3は、第1ハウジング5(ハウジングに相当)を有し、第1ハウジング5の内部には、第1モータ10と、第1入力軸12と、入力側第1カム14と、入力側第1出力テーブル20と、第1中間軸22と、出力側第1カム24と(第1モータ10から出力側第1カム24までが回動テーブル駆動部に相当)、回動テーブル30と、回動軸32(傾斜軸)と、が収容されている。
【0041】
第1モータ10は、回転軸がZ方向に沿うようにして設けられており、第1カップリング16によって第1入力軸12と連結されている。
【0042】
第1入力軸12は、Z方向に沿って設けられており、第1入力軸受け18によって回転可能に支持されている。そして、第1入力軸12の上側は、第1入力軸受け18よりもさらに上に延出しており、かかる延出部分が第1カップリング16によって第1モータ10の回転軸と連結されている。
【0043】
また、第1入力軸12は、入力側第1カム14のZ方向における上下両端に設けられており、入力側第1カム14と第1入力軸12は一体的に回転する。
【0044】
入力側第1カム14は、バレルカムであって、入力側第1カム溝14aを有しており、螺旋状の入力側第1カム溝14aは第1入力軸12の方向に沿って設けられている。そして、入力側第1カム溝14aに後述する入力側第1出力テーブル20の入力側第1カムフォロア20aを係合させることにより、入力側第1カム14の回転が入力側第1出力テーブル20に伝達される。なお、第1入力軸12と入力側第1カム14は、別体に加工されたものを接合して一体化しても良いし、一体的に製造された軸状のものにカム溝を加工して製造してもよい。
【0045】
入力側第1出力テーブル20は、円形状をしており、入力側第1カム14(入力側第1カム溝14a)と係合する複数の入力側第1カムフォロア20aを備え、Z方向に沿った第1入力軸12周りを入力側第1カム14が回転することにより、Y方向に沿った第1中間軸22周りに回転する。つまり、入力側(入力側第1カム14)と出力側(入力側第1出力テーブル20)で回転軸の方向が直交することとなる(Z方向からY方向に変化する)。
【0046】
入力側第1カムフォロア20aは、入力側第1カム溝14aと係合する部位であり、円筒状の自転可能な回転体であって、自転軸方向がY方向に沿うように設けられている。そして、入力側第1出力テーブル20の回転中心を中心とした円に沿うように等間隔に複数備えられている。本実施の形態においては、入力側第1カムフォロア20aが等間隔に12個(30度毎)備えられている。
【0047】
また、入力側第1カムフォロア20aは、入力側第1出力テーブル20の手前側において入力側第1カム14の入力側第1カム溝14aと係合しており、この係合している入力側第1カムフォロア20aが入力側第1カム溝14aに案内されて回転移動する。
【0048】
具体的には、入力側第1カム14が上側から見て時計回りに回転すると、係合している入力側第1カムフォロア20aは、螺旋状の入力側第1カム溝14aに案内されて入力側第1出力テーブル20の周方向に沿って上側から下側へ移動する。すなわち、入力側第1出力テーブル20が手前側から見て時計回りに回転する。
【0049】
そして、入力側第1出力テーブル20の回転を高精度とするため、すなわち、高精度な出力を実現するため、入力側第1カムフォロア20aと入力側第1カム溝14aは、バックラッシ、ずれ、ガタツキ等が発生しないように、高い精度にて係合されている(カム機構の高精度な出力を実現するための係合方法等については、公知技術であるため、ここでは説明を省略する)。
【0050】
第1中間軸22は、Y方向に沿って設けられており、第1中間軸受け26によって回転可能に支持されている。そして、第1中間軸22の手前側には入力側第1出力テーブル20が連結されており(入力側第1出力テーブル20は第1中間軸22のY方向における端部(本実施形態においては手前側の端部)に設けられており)、入力側第1出力テーブル20と第1中間軸22は一体的に回転する。つまり、第1中間軸22は、Y方向に沿い、かつ、入力側第1出力テーブル20に接続され、入力側第1出力テーブル20の回転に伴って回転する。
【0051】
また、第1中間軸22は、出力側第1カム24のY方向の手前側と奥側の両端に設けられており、出力側第1カム24と第1中間軸22は一体的に回転する。
【0052】
出力側第1カム24は、出力側第1カム溝24aを有しており、螺旋状の出力側第1カム溝24aは第1中間軸22の方向に沿って設けられている。そして、出力側第1カム溝24aに回動テーブル30(出力側回動テーブル)の出力側第1カムフォロア30a(カムフォロアに相当)を係合させることにより、出力側第1カム24の回転が回動テーブル30に伝達される。つまり、回動テーブル30は、出力側第1カムフォロア30aを備え、回動テーブル駆動部は、出力側第1カムフォロア30aと係合する出力側第1カム24を備える。なお、具体的な動力伝達等の説明については、上述した入力側第1カム溝14aと入力側第1カムフォロア20aと同じ説明となるので、ここでは省略する。
【0053】
回動テーブル30の法線方向は、Z方向とY方向の双方と交差するX方向に沿っており、回動テーブル30は、第1支持軸受け34(支持軸受けに相当)よって回動可能に支持されている。そして、回動テーブル30は、出力側第1カム24(出力側第1カム溝24a)と係合する複数の出力側第1カムフォロア30aを備え、Y方向に沿った出力側第1カム24が回転することにより、X方向周りを回動する。
【0054】
なお、本実施形態における第1支持軸受け34は、大口径4点支持玉軸受であって、球状の転動体34aを備え、回動テーブル30を回動可能に支持している。
【0055】
出力側第1カムフォロア30aは、出力側第1カム溝24aと係合する部位であり、円筒状の自転可能な回転体であって、自転軸方向がX方向に沿うように設けられている。そして、回動テーブル30の回動中心を中心とした円に沿うように等間隔に複数備えられている。本実施の形態においては、出力側第1カムフォロア30aが等間隔に16個(22.5度毎)備えられている。
【0056】
回動軸32は、X方向に沿い、かつ、回動テーブル30の中央において回動テーブル30に接続され、回動テーブル30の回動に伴って回動する。つまり、回動軸32は、回動テーブル30の中央部に設けられ回動テーブル30と一体的に回動する。
【0057】
また、回動軸32は、回動テーブル30の中空部分に位置するテーブル内部分32aと、回転テーブル装置103とは反対側(右側)に延伸する延伸部32bを備えている。そして、延伸部32bは、第1ハウジング5の外側まで(第1ハウジング5の右端5aを超えて)延伸している。つまり、延伸部32bの一部は、第1ハウジング5の外部へ突出した突出部分32cとなっている。
【0058】
また、回動軸32は、その中央に中空部分が無いもの(中実軸)でも良いが、本実施形態に係る回動軸32は、中空部分を有する所謂中空軸である。
【0059】
<<<回転テーブル装置103について>>>
回転テーブル装置103について、図を用いて説明する。
図5は、
図1の矢視Eであり、回転テーブル装置103の平面概略図を示しており、
図6は、
図5のF-F断面概略図及びG-G断面概略図であり、G-G断面概略図においては、回転テーブル130、回転軸132、及び第2支持軸受け134の断面を示している。
図7は、
図6のH-H断面概略図である。
【0060】
なお、F-F断面概略図においては、隠れた部分は記載しないが、図面をわかりやすくするため、入力側第2出力テーブル120、入力側第2カムフォロア120a、及び回転軸132の隠れた部分を破線で記載する。第2中間軸受け126については記載を省略する。出力側第2カムフォロア130aは個数を省略して1つのみ表示する。
【0061】
そして、上述したように、回転テーブル装置103は、回転テーブル130と、回転テーブル130を回転させる回転テーブル駆動部を有している。
【0062】
回転テーブル駆動部(第2装置)は、動力源として第2モータ110を有しており、第2モータ110の回転数より少ない回転数で回転テーブル130を回転させる装置である(回転数の減少は出力トルクの増大となる)。そして、第2モータ110の回転数を減速させる機構として、入力側第2カム114と出力側第2カム124の2段階のカム機構を用いている。
【0063】
回転テーブル装置103は、第2ハウジング105を有し、第2ハウジング105の内部には、第2モータ110と、第2入力軸112と、入力側第2カム114と、入力側第2出力テーブル120と、第2中間軸122と、出力側第2カム124と(第2モータ110から出力側第2カム124までが回転テーブル駆動部に相当)、回転テーブル130と、回転軸132と、が収容されている。
【0064】
第2モータ110は、回転軸がX方向に沿うようにして設けられており、第2カップリング116によって第2入力軸112と連結されている。
【0065】
第2入力軸112は、X方向に沿って設けられており、第2入力軸受け118によって回転可能に支持されている。そして、第2入力軸112の右側は、第2入力軸受け118よりもさらに右に延出しており、かかる延出部分が第2カップリング116によって第2モータ110の回転軸と連結されている。
【0066】
また、第2入力軸112は、入力側第2カム114のX方向における左右両端に設けられており、入力側第2カム114と第2入力軸112は一体的に回転する。
【0067】
入力側第2カム114は、バレルカムであって、入力側第2カム溝114aを有しており、螺旋状の入力側第2カム溝114aは第2入力軸112の方向に沿って設けられている。そして、入力側第2カム溝114aに後述する入力側第2出力テーブル120の入力側第2カムフォロア120aを係合させることにより、入力側第2カム114の回転が入力側第2出力テーブル120に伝達される。なお、第2入力軸112と入力側第2カム114は、別体に加工されたものを接合して一体化しても良いし、一体的に製造された軸状のものにカム溝を加工して製造してもよい。
【0068】
入力側第2出力テーブル120は、円形状をしており、入力側第2カム114(入力側第2カム溝114a)と係合する複数の入力側第2カムフォロア120aを備え、X方向に沿った第2入力軸112周りを入力側第2カム114が回転することにより、Y方向に沿った第2中間軸122周りに回転する。
【0069】
入力側第2カムフォロア120aは、入力側第2カム溝114aと係合する部位であり、円筒状の自転可能な回転体であって、自転軸方向がY方向に沿うように設けられている。そして、入力側第2出力テーブル120の回転中心を中心とした円に沿うように等間隔に複数備えられている。本実施の形態においては、入力側第2カムフォロア120aが等間隔に12個(30度毎)備えられている。
【0070】
また、入力側第2カムフォロア120aは、入力側第2出力テーブル120の手前側において入力側第2カム114の入力側第2カム溝114aと係合しており、この係合している入力側第2カムフォロア120aが入力側第2カム溝114aに案内されて回転移動する。
【0071】
具体的には、入力側第2カム114が右側から見て時計回りに回転すると、係合している入力側第2カムフォロア120aは、螺旋状の入力側第2カム溝114aに案内されて入力側第2出力テーブル120の周方向に沿って右側から左側へ移動する。すなわち、入力側第2出力テーブル120が手前側から見て時計回りに回転する。
【0072】
そして、入力側第2出力テーブル120の回転を高精度とするため、すなわち、高精度な出力を実現するため、入力側第2カムフォロア120aと入力側第2カム溝114aは、バックラッシ、ずれ、ガタツキ等が発生しないように、高い精度にて係合されている。
【0073】
第2中間軸122は、Y方向に沿って設けられており、第2中間軸受け126によって回転可能に支持されている。そして、第2中間軸122の手前側には入力側第2出力テーブル120が連結されており(入力側第2出力テーブル120は第2中間軸122のY方向における端部(本実施形態においては手前側の端部)に設けられており)、入力側第2出力テーブル120と第2中間軸122は一体的に回転する。つまり、第2中間軸122は、Y方向に沿い、かつ、入力側第2出力テーブル120に接続され、入力側第2出力テーブル120の回転に伴って回転する。
【0074】
また、第2中間軸122は、出力側第2カム124のY方向の手前側と奥側の両端に設けられており、出力側第2カム124と第2中間軸122は一体的に回転する。
【0075】
出力側第2カム124は、バレルカムであり、出力側第2カム溝124aを有しており、螺旋状の出力側第2カム溝124aは第2中間軸122の方向に沿って設けられている。そして、出力側第2カム溝124aに回転テーブル130(出力側回転テーブル)の出力側第2カムフォロア130aを係合させることにより、出力側第2カム124の回転が回転テーブル130に伝達される。なお、具体的な動力伝達等の説明については、上述した入力側第2カム溝114aと入力側第2カムフォロア120aと同じ説明となるので、ここでは省略する。
【0076】
回転テーブル130の法線方向は、X方向とY方向の双方と交差するZ方向に沿っており、回転テーブル130は、第2支持軸受け134によって回転可能に支持されている。そして、回転テーブル130は、出力側第2カム124(出力側第2カム溝124a)と係合する複数の出力側第2カムフォロア130aを備え、Y方向に沿った出力側第2カム124が回転することにより、Z方向周りに回転する。
【0077】
出力側第2カムフォロア130aは、出力側第2カム溝124aと係合する部位であり、円筒状の自転可能な回転体であって、自転軸方向がZ方向に沿うように設けられている。そして、回転テーブル130の回転中心を中心とした円に沿うように等間隔に複数備えられている。本実施の形態においては、出力側第2カムフォロア130aが等間隔に16個(22.5度毎)備えられている。
【0078】
回転軸132は、Z方向に沿い、かつ、回転テーブル130の中央において回転テーブル130に接続され、回転テーブル130の回転に伴って回転する。
【0079】
また、回転軸132は、その中央に中空部分が無いもの(中実軸)でも良いが、本実施形態に係る回転軸132は、中空部分を有する所謂中空軸である。また、回転軸132は、省略することも可能である。つまり、本実施形態の傾斜回転テーブル装置1において、回転テーブル130を出力軸とし(テーブル型の出力軸とし)、回転軸132を設けない構成も可能である。
【0080】
<<<バランスウエイト200の配置について>>>
次に、バランスウエイト200の配置について、図を用いて説明する。
図8は、
図1の側面概略図に相当する図で、バランスウエイト200の配置を説明するための説明図であり、回動テーブル装置3のB-B断面概略図には、交点P0の位置を説明するためにC-C断面概略図に示す転動体34aを記載している。
【0081】
バランスウエイト200が、回動テーブル装置3の右側に位置することは既に述べたが、バランスウエイト200は、回動テーブル装置3の右側であって、かつ、回動軸32の延伸部32bに固定されている。つまり、延伸部32bに、回転テーブル装置103とバランスを取るためのバランスウエイト200が設けられている。また、バランスウエイト200は、延伸部32bうちの、第1ハウジング5の外部へ突出した部分である突出部分32cに、設けられている。
【0082】
そして、バランスウエイト200の重心P2は、回動軸32(回動テーブル30)の中心軸Zaよりも上側に位置している。つまり、バランスウエイト200の重心は回動軸32の中心位置から該回動軸32の径方向に離れた位置に位置している。
【0083】
また、回動テーブル30のテーブル面30bと平行であり、かつ、転動体34aの重心34acを通る回動テーブル断面(破線で示した位置の回動テーブル30のテーブル面と平行な断面)と、回動テーブル30の中心軸Zaと、の交わる点を交点P0とした場合に、交点P0と回転テーブル装置103の重心P1との間の仮想直線の仮想直線延長線とバランスウエイト200が交わる。つまり、回転テーブル装置103の重心P1から、回動テーブル30のテーブル面と平行であり、かつ、転動体34aの重心34acを通る回動テーブル断面と、回動テーブル30の中心軸Zaと、の交点P0へと、引いた仮想直線(符号L1で示している直線)の仮想延長線(符号L2で示している延長線)とバランスウエイト200が交わる。ここで、仮想延長線とバランスウエイト200が交わるとは、仮想延長線が、バランスウエイト200の外部ではなく内部を通過することを意味する。
【0084】
また、回転テーブル装置103の重さをM1、バランスウエイトの重さをM2、重心P1から交点P0へと引いた仮想直線の長さをL1としたときに、仮想延長線上の仮想点であって、交点P0から距離L2=M1×L1/M2だけ離れた仮想点は、バランスウエイト200の内部に位置している。
【0085】
換言すると、仮想点がバランスウエイト200の内部のいずれかの位置に位置するように、バランスウエイト200が設けられている。そして、本実施形態においては、仮想点の位置がバランスウエイト200の重心P2の位置に位置するように、バランスウエイト200を設けている。
【0086】
つまり、交点P0と回転テーブル装置103の重心P1の間の直線L1の長さと回転テーブル装置103の重量M1を掛けたL1×M1の値と、交点P0とバランスウエイト200の重心P2の間の直線L2の長さとバランウエイトの重量M2を掛けたL2×M2の値が等しくなっている。そして、かかるバランスウエイト200の位置は、傾斜回転テーブル装置1において、回転テーブル装置103に対するバランスウエイト200の適切な位置(バランスが取れている位置)の一例である。
【0087】
また、上記仮想点は、第1ハウジング5の内部ではなくて第1ハウジング5の外部に位置する。つまり、バランスウエイト200は、第1ハウジング5の内部ではなく第1ハウジング5の右端5aよりも右側の外側に位置している。
【0088】
<<<傾斜回転テーブル装置1の有効性について>>>
上述したとおり、本実施形態に係る傾斜回転テーブル装置1は、回転テーブル130と、回転テーブル130を駆動する回転テーブル駆動部と、を有する回転テーブル装置103と、回動することにより回転テーブル装置103を揺動させて回転テーブル130のテーブル面を傾斜させる回動テーブル30と、回動テーブル30を駆動する回動テーブル駆動部と、を有する回動テーブル装置3と、を備え、回転テーブル装置103が、回転テーブル130の中心軸Zbに沿う方向が回動テーブル30の中心軸Zaに沿う方向と交差するように、回動テーブル30に取り付けられている傾斜回転テーブル装置1であって、回動テーブル装置3は、回動テーブル30の中央部に設けられ回動テーブル30と一体的に回動する回動軸32を有し、回動軸32は、回動テーブル30から見て回転テーブル装置103とは反対側に延伸する延伸部32bを備え、延伸部32bには、回転テーブル装置103とバランスを取るためのバランスウエイト200が設けられ、バランスウエイト200の重心は回動軸32の中心位置(中心軸Za)から該回動軸32の径方向に離れた位置に位置していることとした。そのため、高精度な傾斜回転テーブル装置1を提供することができる。
【0089】
図9は、回転テーブル130を傾斜させた際に回動テーブル30に発生する回転モーメントを説明するための説明図である。なお、
図9は一例として、傾斜回転テーブル装置1を正面から見て(傾斜回転テーブル装置1を左側からみて)、回転テーブル装置103を時計回りに45度回動させ、回転テーブル130を傾斜させた例を示している。
【0090】
正面からみて回転テーブル装置103を時計回りに45度回動させると、回動テーブル30には、回転テーブル装置103とバランスウエイト200の回転モーメントが発生する。
【0091】
回転テーブル装置103側においては、回転テーブル装置103の重心P1に回転テーブル装置103の重量M1がかかるとみなせるので、回動テーブル30には、回動テーブル30の中心軸Zaから回転テーブル装置103の重心P1の距離に、重量M1×Sin45°分を掛けた回転モーメントが、正面から見て反時計回りに発生する。
【0092】
一方、バランスウエイト200側においては、バランスウエイト200の重心P2にバランスウエイト200の重量M2がかかるとみなせるので、回動テーブル30には、回動テーブル30の中心軸Zaからバランスウエイト200の重心P2の距離に、重量M2×Sin45°分を掛けた回転モーメントが、正面から見て時計回りに発生する。
【0093】
つまり、バランスウエイト200が回転テーブル装置103と同時に回動することにより、回転テーブル装置103によって生じる回動テーブル30の回転モーメントがバランスウエイト200によって生じる回転モーメントにより相殺されて小さくなるので、回動テーブル30の回動位置精度を向上させることができ、高精度な傾斜回転テーブル装置1を提供することができる。
【0094】
また、回転テーブル装置103の重量M1によって、傾斜回転テーブル装置1は回転テーブル装置103側(左側)に傾きやすくなるが、バランスウエイト200を傾斜回転テーブル装置1の右側に設けることにより、バランスウエイト200の重量M2によってかかる傾きを抑制することができる。つまり、回転テーブル装置103による傾斜回転テーブル装置1の傾きをバランスウエイト200によって抑制することができる。
【0095】
また、上記実施形態においては、回動テーブル30は、出力側第1カムフォロア30aを備え、記回動テーブル駆動部は、出力側第1カムフォロア30aと係合する出力側第1カム24(バレルカム)を備えることとした。
【0096】
カム機構において、バレルカムのカムフォロアは出力テーブルの下面に同心円状に配置され、ローラギヤカムのカムフォロアは出力テーブルの側面に放射線状に配置されるので、同じサイズのカム装置で比べると、バレルカム装置の方がローラギヤカム装置よりも大口径の出力テーブルを有する。
【0097】
つまり、出力側第1カム24は、バレルカムなので、ローラギヤカムよりも同じサイズの装置において回動テーブル30が大口径となり、回転モーメントがより大きくなる。したがって、回転テーブル装置103の回転モーメントをバランスウエイト200の回転モーメントが相殺して小さくする効果が、例えばローラギヤカムの場合よりも、より有効に発揮される。
【0098】
また、上記実施形態においては、回転テーブル装置103の一端部が回動テーブル30に取り付けられおり、一端部とは反対側の他端部は自由端となっていることとした。そして、これにより、回転テーブル装置103が片持ち状態となるので、バランスウエイト200によって傾斜回転テーブル装置1の傾きを抑制する効果が、例えば両持ち状態の場合よりも、より有効に発揮される。
【0099】
また、片持ち状態とすることにより、ワークのローディング、セッティング、加工の目視確認、アンローディング、切粉の清掃等がやり易くなり、加工性、作業性が向上する。
【0100】
また、上記実施形態においては、転動体34aを備え、回動テーブル30を回動可能に支持する第1支持軸受け34を有し、回転テーブル装置103の重心から、回動テーブル30のテーブル面と平行であり、かつ、転動体34aの重心を通る回動テーブル断面と、回動テーブル30の中心軸Zaと、の交点P0へと、引いた仮想直線の仮想延長線とバランスウエイト200が交わることとした。
【0101】
そして、これにより、仮想直線の仮想延長線とバランスウエイト200が交わらない場合に比べて、バランスウエイト200をバランスの取れたより適切な位置に設けることができる。
【0102】
また、上記実施形態においては、回転テーブル装置103の重さをM1、バランスウエイト200の重さをM2、仮想直線の長さをL1としたときに、仮想延長線上の仮想点であって、交点P0から距離L2=M1×L1/M2だけ離れた仮想点は、バランスウエイトの内部に位置することとした。
【0103】
そして、これにより、仮想点がバランスウエイト200の外部に位置する場合に比べて、バランスウエイト200をバランスの取れたより適切な位置に設けることができる。
【0104】
また、上記実施形態においては、回動テーブル装置3は、回動テーブル30と回動テーブル駆動部と回動軸32とを収容する第1ハウジング5を有し、回動軸32の延伸部32bの一部は、第1ハウジング5の外部へ突出しており、仮想点は、第1ハウジング5の外部に位置することとした。
【0105】
そして、上述したように仮想点はバランスウエイト200の内部に位置するので、バランスウエイト200はバランスの取れた適切な位置に位置し、かつ、仮想点が第1ハウジング5の外側に位置し、バランスウエイト200を第1ハウジング5の外側に設けることができるので、バランスウエイト200の大きさに制限が無く、大きなバランスウエイト200を設けることができる。
【0106】
また、上記実施形態においては、バランスウエイト200は、延伸部32bのうちの、第1ハウジング5の外部へ突出した部分(突出部分32c)に、設けられていることとした。そして、これにより、回動テーブル装置3の第1ハウジング5の外側にバランスウエイト200が位置するので、バランスウエイト200の大きさに制限が無く、大きなバランスウエイト200を設けることができる。
【0107】
また、上記実施形態においては、傾斜回転テーブル装置1の非作動状態において、回転テーブル130の上面は、回動軸32の中心位置(中心軸Za)よりも下方に位置し、バランスウエイト200の下端は、回動軸32の中心位置(中心軸Za)よりも上方に位置することとした。
【0108】
そして、これにより、バランスウエイト200の位置が回動軸32の中心位置の下方に位置する場合に比べて、回転テーブル装置103により発生する回転モーメントを相殺することができるので、回動テーブル30に生じる回転モーメントを小さくすることができる。
【0109】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることはもちろんである。
【0110】
また、上記実施形態においては、回転テーブル装置103として2段階のカム機構を用いていたが、これに限るものではなく、例えば、1段階のカム機構であってもよいし、ダイレクトドライブの機構(駆動部であるモータがカムやギヤ等を介せず直接テーブルを回転させる機構)を用いてもよい。
【0111】
また、上記実施形態においては、支持軸受け34に4点支持玉軸受を用いていたが、これに限るものではなく、例えば、クロスローラ軸受けを用いてもよく、剛性が高い軸受けが望ましい。
【符号の説明】
【0112】
1 傾斜回転テーブル装置、3 回動テーブル装置、
5 第1ハウジング(ハウジング)、10 第1モータ、12 第1入力軸、
14 入力側第1カム、14a 入力側第1カム溝、16 第1カップリング、
18 第1入力軸受け、20 入力側第1出力テーブル、
20a 入力側第1カムフォロア、22 第1中間軸、
24 出力側第1カム(バレルカム)、24a 出力側第1カム溝、
26 第1中間軸受け、30 回動テーブル、
30a 出力側第1カムフォロア(カムフォロア)、30b テーブル面、
32 回動軸、32a テーブル内部分、32b 延伸部、32c 突出部分、
34 第1支持軸受け(支持軸受け)、34a 転動体、34ac 重心、
103 回転テーブル装置、103a ボルト、105 第2ハウジング、
110 第2モータ、112 第2入力軸、114 入力側第2カム、
114a 入力側第2カム溝、116 第2カップリング、118 第2入力軸受け、
120 入力側第2出力テーブル、120a 入力側第2カムフォロア、
122 第2中間軸、124 出力側第2カム、124a 出力側第2カム溝、
126 第2中間軸受け、130 回転テーブル、130a 出力側第2カムフォロア、
132 回転軸、134 第2支持軸受け、200 バランスウエイト、
P0 交点、P1 重心、P2 重心、Za 中心軸、Zb 中心軸、