(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190455
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
H01R9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098784
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】八木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】土屋 元志
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086CC43
5E086DD33
5E086LL17
(57)【要約】
【課題】設置スペースを抑えることができる端子第を提供することを目的とする。
【解決手段】端子台1が、導電金属製で、互いに対向して延在する帯板状の一対の腕部111,121、及び当該一対の腕部111,121の一端部111a,121a同士を連結する連結部112,122、を有するU字形状のバスバー11,12と、一対の腕部111,121に挟まれた状態でバスバー11,12を保持する保持部131、132を有する絶縁樹脂製のハウジング13と、一対の腕部111,121それぞれに設けられた端子部分14と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電金属製で、互いに対向して延在する帯板状の一対の腕部、及び当該一対の腕部の一端部同士を連結する連結部、を有するU字形状のバスバーと、
前記一対の腕部に挟まれた状態で前記バスバーを保持する保持部を有する絶縁樹脂製のハウジングと、
前記一対の腕部それぞれに設けられた端子部分と、
を備えたことを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記一対の腕部の少なくとも一方に設けられた前記端子部分が、腕部の表面からボルト部分が突出したボルトであることを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記一対の腕部の少なくとも一方に設けられた前記端子部分が、腕部において貫通孔が設けられた孔開き部位であり、
前記ハウジングの前記保持部における前記貫通孔に対応する位置には、前記貫通孔を貫通した雄ネジが螺合する雌ネジが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の端子台。
【請求項4】
前記ハウジングにおける前記保持部には、前記バスバーが、前記保持部に対して前記一対の腕部に沿った取付け方向に相対的にスライド移動することで前記一対の腕部の相互間に前記保持部が嵌入するように取り付けられ、
前記保持部において前記バスバーの取付け時に前記一対の腕部が摺擦する一対の被摺擦部それぞれに、前記一対の腕部それぞれが係止するための、凹凸何れかの形状を有する被係止部が設けられ、
前記一対の腕部それぞれには、前記被係止部に対する嵌合形状を有して前記被係止部に係止する係止部が設けられ、
前記バスバーは、前記ハウジングの前記保持部への取付け時には、前記一対の腕部が互いに離隔する方向に撓んだ状態で前記係止部が前記被係止部との係止位置に向かって移動し、当該係止位置に達すると前記一対の腕部の撓みが解消して復位し、前記係止部が前記被係止部に係止することを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の端子台。
【請求項5】
前記保持部における前記一対の被摺擦部それぞれの前記被係止部は、前記取付け時に前記バスバーが前記U字形状に見える側面方向から見て前記取付け方向に互いにずれた位置に設けられ、
前記一対の腕部それぞれの前記係止部も、前記被係止部の位置に応じ、前記側面方向から見て前記取付け方向に互いにずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の端子台。
【請求項6】
前記ハウジングには、前記保持部における前記一対の被摺擦部それぞれにおける前記側面方向から見て前記取付け方向に互いにずれた位置に、前記一対の腕部によって摺擦される表面から内側に向かう肉抜き方向に延在する肉抜き溝又は肉抜き穴が設けられており、
前記一対の被摺擦部のうちの一方の被摺擦部における前記肉抜き溝又は前記肉抜き孔が、他方の被摺擦部における前記被係止部と、前記一方の被摺擦部に対する平面視で重なるように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の端子台。
【請求項7】
前記一対の腕部の一方に設けられた前記端子部分が、腕部の表面からボルト部分が突出して裏面側にボルト頭部が位置するように設置されたボルトであり、他方に設けられた前記端子部分が、腕部において貫通孔が設けられた孔開き部位であって、前記ハウジングの前記保持部における前記貫通孔に対応する位置には、前記貫通孔を貫通した雄ネジが螺合する雌ネジが形成されており、
前記保持部における前記一対の被摺擦部のうち前記ボルトに対応したボルト側被摺擦部には、前記バスバーの前記保持部への取付け時に前記ボルト頭部が通過するボルト通過溝が前記取付け方向に沿って延在するように設けられ、
前記一対の被摺擦部のうち前記ボルト側被摺擦部とは反対側で前記雌ネジが設けられた雌ネジ側被摺擦部は、前記ボルト頭部が前記ボルト通過溝を通過する正規姿勢と逆向きで前記ボルト頭部が前記雌ネジ側被摺擦部へと向かう逆姿勢で前記バスバーが取り付けられる場合に前記ボルト頭部と干渉する形状を有していることを特徴とする請求項4~6のうち何れか一項に記載の端子台。
【請求項8】
前記ボルト通過溝が、前記ボルト頭部の幅に応じた間隔を開けて前記ボルト側被摺擦部に設けられた一対の溝リブによって構成され、前記取付け時には前記ボルト頭部の移動を案内することで、前記バスバーを前記取付け方向に案内することを特徴とする請求項7に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の機器を電気的に接続する中継部品として、絶縁樹脂製のハウジングと、導電金属製のバスバーと、複数の端子部分と、を設けた端子台が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような端子台では、複数の端子部分は、バスバーを介して互いに電気接続されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されているような端子台では、電気接続される端子部分どうしが略2次元配列されている。そして、そのような構造上、端子台が端子部分の配列面の面内方向に広く延在した形状を有しており、設置スペースが広くなりがちとなっている。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、設置スペースを抑えることができる端子第を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、端子台は、導電金属製で、互いに対向して延在する帯板状の一対の腕部、及び当該一対の腕部の一端部同士を連結する連結部、を有するU字形状のバスバーと、前記一対の腕部に挟まれた状態で前記バスバーを保持する保持部を有する絶縁樹脂製のハウジングと、前記一対の腕部それぞれに設けられた端子部分と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記の端子台によれば、U字形状のバスバーにおける一対の腕部それぞれに端子部分が設けられている。つまり、この端子台では、一方の腕部に対する平面視で、他方の腕部の端子部分が、間にハウジングの保持部を挟んで上記の一方の腕部と重なるように配置されることとなり、少なくとも上記の平面視における端子台の大きさを抑えることができる。その結果、上記の端子台によれば、設置スペースを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態にかかる端子台を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されている端子台を、
図1中の矢印V11方向から見上げた斜視図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されている端子台の分解斜視図である。
【
図4】
図1~
図3に示されている小バスバー保持部への小バスバーの取付け態様を
図3中のV12-V12線に沿った断面で示す模式図である。
【
図5】
図4に示されている小バスバーの取付け時に係止部が被係止部に係止する様子を拡大して示す図である。
【
図6】小バスバーの腕部に対するボルトの取付け態様を示す模式図である。
【
図7】小バスバー保持部のボルト通過溝を、
図1中のV13-V13線に沿った断面で示す図である。
【
図8】小バスバー保持部の、ボルト通過溝に対する直交断面にボルト付きの小バスバーを重ねて示した図である。
【
図9】小バスバー保持部のボルト通過溝を、
図7中のV14-V14線に沿った断面で示す図である。
【
図10】小バスバーが誤って逆姿勢で小バスバー保持部に取り付けられようとしたときに、ボルト側被摺擦部とは反対側の雌ネジ側被摺擦部がボルト頭部と干渉する様子を、
図7と同様の断面で示す図である。
【
図11】第2実施形態にかかる端子台について、小バスバー保持部を小バスバーにおける一対の腕部の長手方向に沿ってカットした断面で示す図である。
【
図12】
図11に示されているハウジングを型成形する際の型を、
図11と同等の断面で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、端子台の複数の実施形態について説明する。まず、第1実施係形態について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態にかかる端子台を示す斜視図である。
図2は、
図1に示されている端子台を、
図1中の矢印V11方向から見上げた斜視図である。
【0011】
これらの
図1及び
図2に示されている第1実施形態の端子台1は、一例として、車両搭載のバッテリパックの内部に設置され、バッテリパックの内部のバッテリ本体と、バッテリパックの外部に設置されたインバータとの電気接続を中継する部品等に利用される。この端子台1は、大バスバー11、小バスバー12、ハウジング13、及び6個所の端子部分14、を備えている。
【0012】
大バスバー11及び小バスバー12は、何れも銅等の導電金属製の帯板を折り曲げて形成された次のようなU字形状を有するバスバーとなっている。即ち、大バスバー11は、互いに対向して延在する帯板状の一対の腕部111、及び当該一対の腕部111の一端部111a同士を連結する連結部112を有している。同様に、小バスバー12も、一対の腕部121、及び当該一対の腕部121の一端部121a同士を連結する連結部122を有している。大バスバー11と小バスバー12とでは、腕部111,121は互いに同じ形状に形成されているが、大バスバー11の連結部112の方が小バスバー12の連結部122よりも長くなっている。
【0013】
ハウジング13は、大バスバー11を保持する大バスバー保持部131と、小バスバー12を保持する小バスバー保持部132と、を有している。大バスバー保持部131は、大バスバー11における一対の腕部111に挟まれた状態で大バスバー11を保持し、小バスバー保持部132は、小バスバー12における一対の腕部121に挟まれた状態で小バスバー12を保持する。また、ハウジング13には、これら2つの保持部の他に、端子台1を所定の固定場所に固定するための一対のフランジ部133,134が、大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132それぞれの側面から張り出すように設けられている。また、小バスバー保持部132から張り出したフランジ部134には、不図示のコネクタ部品が嵌入されて取り付けられるコネクタ取付け部135が設けられている。
【0014】
6個所の端子部分14は、大バスバー11及び小バスバー12それぞれの腕部111,121に設けられ、所定の接続対象物が電気的及び機械的に接続される部位である。接続対象物の一例としては、例えばバスバーにおいて接続用の貫通孔が設けられた接続端や、電線の端部に設けられた丸端子等が挙げられる。本実施形態では、大バスバー11及び小バスバー12それぞれにおける一方の腕部111,121に、2本のボルト141が端子部分14として設けられている。また、他方の腕部111,121には、貫通孔142aが設けられた孔開き部位142が端子部分14として設けられている。このとき、ハウジング13の大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132それぞれにおいて上記の貫通孔142aに対応する位置には、この貫通孔142aを貫通した雄ネジが螺合する雌ネジ136aが形成されている。この雌ネジ136aは、当該位置に埋設されたナット136の雌ネジ部分となっている。
【0015】
図3は、
図1及び
図2に示されている端子台の分解斜視図である。
【0016】
この
図3に示されているように、端子台1においては、ハウジング13における大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132には、大バスバー11及び小バスバー12が次のように取り付けられる。即ち、大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132に対して一対の腕部111,121に沿った取付け方向D11に相対的にスライド移動することで一対の腕部111,121の相互間に大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132が嵌入する。このような嵌入を経て大バスバー11及び小バスバー12が大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132に取り付けられる。
【0017】
ここで、大バスバー保持部131は、大バスバー11の取付け時に一対の腕部111が摺擦する一対の被摺擦部131aを有している。また、小バスバー保持部132も、小バスバー12の取付け時に一対の腕部121が摺擦する一対の被摺擦部132aを有している。本実施形態では、大小各保持部における被摺擦部131a,132aは、ハウジング13の重量軽減のために設けられた複数の肉抜き穴137を区画するリブ壁の端縁で構成されている。
【0018】
そして、大バスバー保持部131における一対の被摺擦部131aには、大バスバー11における一対の腕部111が係止するための凸形状の被係止部131bが設けられている。この大バスバー保持部131の被係止部131bは、各被摺擦部131aにおいて、大バスバー11の各腕部111の先端側の左右一対の側縁それぞれに向き合う位置に1つずつ設けられている。同様に、小バスバー保持部132における一対の被摺擦部132aには、小バスバー12における一対の腕部121が係止するための凸形状の被係止部132bが設けられている。そして、この小バスバー保持部132の被係止部132bも、各被摺擦部132aにおいて、小バスバー12の各腕部121の先端側の左右一対の側縁それぞれに向き合う位置に1つずつ設けられている。
【0019】
また、大バスバー11における一対の腕部111それぞれには、大バスバー保持部131の被係止部131bに嵌合する凹形状の係止部111bが設けられている。この係止部111bは、各腕部111の先端側の左右一対の側縁それぞれに1つずつ設けられている。同様に、小バスバー12における一対の腕部121それぞれには、小バスバー保持部132の被係止部132bに嵌合する凹形状の係止部121bが設けられている。この係止部121bは、各腕部121の先端側の左右一対の側縁それぞれに1つずつ設けられている。
【0020】
大バスバー11及び小バスバー12は、大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132に対し、各係止部111b,121bが各被係止部132bに以下に説明するように係止することで取り付けられる。尚、大小各バスバー保持部への大小各バスバーの取付け態様は互いに同じなので、以下では、小バスバー保持部132への小バスバー12の取付け態様を代表例として挙げて説明を行う。
【0021】
図4は、
図1~
図3に示されている小バスバー保持部への小バスバーの取付け態様を
図3中のV12-V12線に沿った断面で示す模式図であり、
図5は、
図4に示されている小バスバーの取付け時に係止部が被係止部に係止する様子を拡大して示す図である。
【0022】
図4のステップS11に示されている取付け初期の段階では、小バスバー保持部132を一対の腕部121で挟むように小バスバー12が小バスバー保持部132に嵌め込まれ、取付け方向D11にスライド移動される。このスライド移動は、各腕部121が小バスバー保持部132における各被摺擦部132aの表面(リブ壁の端縁)上を滑るように行われる。そして、このようなスライド移動が、一対の腕部121それぞれの先端121cが、一対の被摺擦部132aそれぞれに設けられた凸形状の被係止部132bに当接するまで続けられる。
【0023】
先端121cが被係止部132bに当接した状態で小バスバー12が取付け方向D11に更にスライド移動されると、ステップS12に示されている段階に至る。このステップS12の段階では、小バスバー12の一対の腕部121が、凸形状の被係止部132bに先端121cが乗り上げて内側から押し上げられるように、互いに離隔する撓み方向D12に撓む。
【0024】
ここで、本実施形態では、
図5に拡大して示されているように、小バスバー12の一対の腕部121の先端121cには、先端121cに向かうに従って厚みが減じるように傾斜した腕側斜面121dが形成されている。他方、小バスバー保持部132の一対の被摺擦部132aそれぞれの凸形状の被係止部131bにおいて、小バスバー12の取付け時に腕部121の先端部121cと当接する側にも次のような凸側斜面132cが形成されている。この凸側斜面132cは、腕側斜面121dに対応するように、小バスバー12の取付け方向D11と反対側に向かうに従って突出高さが減じるように傾斜した斜面となっている。腕部121の先端121cが被係止部132bに当接した状態で小バスバー12が取付け方向D11に動かされると、腕側斜面121dが凸側斜面132cを摺擦するように動いて腕部121の先端121cが被係止部132bに乗り上げる。この先端121cの乗り上げによって腕部121が撓み方向D12に撓むこととなる。そして、小バスバー12はこのように撓んだ状態で凹形状の係止部121bが凸形状の被係止部132bとの係止位置に向かって移動する。
【0025】
図4及び
図5のステップS13は、係止部121bが係止位置に達した段階である。この段階において、凸形状の被係止部132bが凹形状の係止部121bの内側に嵌入し、その結果、
図5に矢印D13で示されているように、小バスバー12の一対の腕部121の撓みが解消して復位する。そして、このステップS13の段階において、係止部121bが被係止部121bに係止し、取付け方向D11とは反対側に引っ張られても外れない状態で小バスバー12が小バスバー保持部132に保持されることとなる。
【0026】
このようにしてハウジング13に取り付けられる大バスバー11及び小バスバー12それぞれの一対の腕部111,121のうちの一方には、
図1を参照して概説したように2本のボルト141が端子部分14として設けられている。このとき、ボルト141は次のような態様で腕部111,121に取り付けられている。以下、このボルト141の取付けについて、小バスバー12の腕部121を代表例として挙げて説明を行う。
【0027】
図6は、小バスバーの腕部に対するボルトの取付け態様を示す模式図である。
【0028】
この
図6に示されているように、小バスバー12の腕部121には、ボルト141の雄ネジ部に当たるボルト部分141aが貫通する貫通孔121eが設けられている。本実施形態では、この貫通孔121eが腕部121の長手方向に沿って並ぶように2箇所に設けられている。他方、ボルト141は、ボルト部分141aの根本側に、円板状のボルト頭部141bを有しており、本実施形態では、このボルト頭部141bとボルト部分141aとの境界部分に、腕部121に対するボルト141の固定構造141cが設けられている。この固定構造141cは、ボルト頭部141bの側の円錐台部分141d、その周面に設けられた複数の突起141e、及び、ボルト部分141aの側に設けられたカシメ部分141f、を有している。複数の突起141eは、円錐台部分141dの周面に、その周方向にほぼ等間隔で配列されている。このようなボルト14が、腕部121の表面からボルト部分141aが突出して裏面側にボルト頭部141bが位置するように設置される。その手順としては、まず、腕部121の貫通孔121eにボルト部分141aが通される。この段階では、
図6の左側に示されているように、カシメ部分141fが貫通孔121eの内径よりも若干小さな外径を有する円柱形状を有しており、ボルト部分141aとともにこの円柱形状のカシメ部分141fも貫通孔121eに通される。その後、
図6の右側に示されているように、貫通孔121eからボルト部分141aとともに突出したカシメ部分141fの突出端部分に上方から圧力が加えられ、腕部121の表面側で貫通孔121eの周囲面に重なるように押し広げられてカシメられる。また、このときは、腕部121の裏面側において、円錐台部分141dが、その周面の複数の突起141eが貫通孔121eの内面に食い込むように貫通孔121eに圧入される。腕部121の表面側でのカシメと裏面側での圧入によってボルト141が腕部121に固定される。また、突起141eの食い込みによって、ボルト141の回り止めがなされる。
【0029】
このようにして、裏面側にボルト頭部141bが位置するように一方の腕部111,121にボルト141が設置された大バスバー11及び小バスバー12が、
図4及び
図5を参照して説明したようにハウジング13に取り付けられる。ここで、ハウジング13における大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132には、一方の腕部111,121の裏面側に位置するボルト頭部141bと干渉しないように、
図3に示されているボルト通過溝131d,132dが設けられている。以下、このボルト通過溝131d,132dについて、小バスバー保持部132のボルト通過溝132dを代表例として挙げて説明を行う。
【0030】
図7は、小バスバー保持部のボルト通過溝を、
図1中のV13-V13線に沿った断面で示す図であり、
図8は、小バスバー保持部の、ボルト通過溝に対する直交断面にボルト付きの小バスバーを重ねて示した図である。また、
図9は、小バスバー保持部のボルト通過溝を、
図7中のV14-V14線に沿った断面で示す図である。
【0031】
これらの
図7~
図9に示されているように、ボルト通過溝132dは、小バスバー保持部132における一対の被摺擦部132aのうち小バスバー12のボルト141に対応したボルト側被摺擦部132a-1に設けられている。小バスバー12の小バスバー保持部132への取付け時には、2本のボルト141のボルト頭部141bがこのボルト通過溝132d通過する。また、このボルト通過溝132dは、ボルト頭部141bの幅に応じた間隔を開けてボルト側被摺擦部132a-1に設けられた一対の溝リブ132d-1によって構成される。小バスバー12の取付け時には、ボルト通過溝132dは、一対の溝リブ132d-1でボルト頭部141bの移動を案内することで、小バスバー12を小バスバー保持部132への取付け方向D11に案内する。
【0032】
他方、
図7に示されているように、一対の被摺擦部132aのうちボルト側被摺擦部132a-1とは反対側で雌ネジ136aが設けられた雌ネジ側被摺擦部132a-2には、ボルト通過溝132dは設けられていない。この雌ネジ側被摺擦部132a-2は、小バスバー12が、誤って次のような逆姿勢で小バスバー保持部132に取り付けられようとしたときにボルト頭部141bと干渉する形状を有している。
【0033】
図10は、小バスバーが誤って逆姿勢で小バスバー保持部に取り付けられようとしたときに、ボルト側被摺擦部とは反対側の雌ネジ側被摺擦部がボルト頭部と干渉する様子を、
図7と同様の断面で示す図である。
【0034】
小バスバー12の取付け時における逆姿勢とは、
図7~
図8に示されているボルト頭部141bがボルト通過溝132dを通過する正規姿勢と逆向きの姿勢である。即ち、逆姿勢とは、ボルト頭部141bがボルト側被摺擦部132a-1とは反対側の雌ネジ側被摺擦部132a-2へと向かう姿勢のことである。このような逆姿勢で小バスバー12が小バスバー保持部132へと取付け方向D11に向かうと、ボルト頭部141bが雌ネジ側被摺擦部132a-2における取付け側の角部に当接して干渉する。雌ネジ側被摺擦部132a-2でのこのような干渉によって、小バスバー12の逆姿勢での取付けという誤設置を抑えることができる。
【0035】
以上に説明した第1実施形態の端子台1によれば、U字形状の大バスバー11における一対の腕部111に端子部分14が設けられている。同様に、U字形状の小バスバー12における一対の腕部121にも端子部分14が設けられている。つまり、この端子台1の大バスバー11では、一方の腕部111に対する平面視で、他方の腕部111の端子部分14が、間にハウジング13の大バスバー保持部131を挟んで上記の一方の腕部111と重なるように配置されることとなる。同様に、小バスバー12でも、一方の腕部121に対する平面視で、他方の腕部121の端子部分14が、間にハウジング13の小バスバー保持部132を挟んで上記の一方の腕部121と重なるように配置されることとなる。その結果、少なくとも上記の平面視における端子台1の大きさを抑えることができ、端子台1の設置スペースを抑えることができる。
【0036】
ここで、本実施形態では、一方の端子部分14として、腕部111,121の表面からボルト部分141aが突出したボルト141が設けられている。この構成によれば、例えば丸端子等といった接続対象物の接続を、ボルト部分141aと、このボルト部分141aに締結するナット等を介して容易に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、他方の端子部分14として、腕部111,121において貫通孔142aが設けられた孔開き部位142が設けられている。そして、大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132それぞれの貫通孔142aに対応する位置には、この貫通孔142aを貫通した雄ネジが螺合する雌ネジ136aが形成されている。この構成によれば、例えば丸端子等といった接続対象物の接続を、腕部111,121の貫通孔142aに挿入されてハウジング13の雌ネジ136aに雄ネジが捩じ込まれるボルト等を介して容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態では、大バスバー保持部131に、大バスバー11が、腕部111に沿った取付け方向D11にスライド移動することで一対の腕部111の相互間に大バスバー保持部131が嵌入するように取り付けられる。同様に、小バスバー保持部132に、小バスバー12が、腕部121に沿った取付け方向D11にスライド移動することで一対の腕部121の相互間に小バスバー保持部132が嵌入するように取り付けられる。大バスバー保持部131における一対の被摺擦部131aそれぞれには凸形状の被係止部131bが設けられ、小バスバー保持部132における一対の被摺擦部132aそれぞれには凸形状の被係止部132bが設けられている。また、大バスバー11の腕部111には凹形状の係止部111bが設けられ、小バスバー12の腕部121には凹形状の係止部121bが設けられている。ここで、大バスバー11は、取付け時には、腕部111が撓んだ状態で係止部111bが被係止部131bとの係止位置に向かって移動し、小バスバー12も、腕部121が撓んだ状態で係止部121bが被係止部132bとの係止位置に向かって移動する。そして、係止位置に達すると腕部111,121の撓みが解消して復位し、係止部111b,121bが被係止部131b,132bに係止する。この構成によれば、大バスバー11及び小バスバー12を、係止部111b,121bが被係止部131b,132bに係止するまでスライド移動させるだけで、大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132に容易に取り付けて保持させることができる。
【0039】
また、本実施形態の大バスバー保持部131及び小バスバー保持部132では、小バスバー保持部132を代表例として説明したように、ボルト側被摺擦部132a-1にバスバー取付け時にボルト頭部141bが通過するボルト通過溝132dが設けられている。他方、雌ネジ側被摺擦部132a-2は、正規姿勢とは逆姿勢でのバスバー取付け時にボルト頭部141bと干渉する形状を有している。この構成によれば、バスバー取付け姿勢が、ボルト頭部141bがボルト通過溝131d,132dを通過可能な正規姿勢に一意的に決まる。その結果、この正規姿勢とは逆姿勢で大バスバー11及び小バスバー12を取り付けようとしてもボルト頭部141bが干渉して取付け不能となるので、このような逆姿勢での誤設置を抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態では、ボルト通過溝131d,132dが、小バスバー保持部132を代表例として説明したように、ボルト頭部141bの幅に応じた間隔を開けて設けられた一対の溝リブ132d-1によって構成されている。バスバー取付け時には、ボルト通過溝131d,132dは、ボルト頭部141bの移動を案内することで大バスバー11及び小バスバー12を取付け方向D11に案内する。この構成によれば、溝リブ132d-1の周囲についてハウジング13の肉抜きをすることができるので、このハウジング13の重量を軽減させることができる。更に、バスバー取付け時には、ボルト通過溝131d,132dによってボルト頭部141bの移動が案内されるので、大バスバー11及び小バスバー12をスムーズにスライド移動させることができる。
【0041】
以上で第1実施形態の説明を終了し、次に、第2実施形態の説明を行う。尚、第2実施形態は、ハウジングにおけるバスバーの保持部の形状が、上述の第1実施形態と異なっており、以下では、この第1実施形態との相違点に注目して第2実施形態の説明を行う。また、以下では、互いに略同一の構成を有している大バスバー保持部及び小バスバー保持部のうち、小バスバー保持部を代表例として挙げて説明を行う。
【0042】
図11は、第2実施形態にかかる端子台について、小バスバー保持部を小バスバーにおける一対の腕部の長手方向に沿ってカットした断面で示す図である。
【0043】
この
図11に示されている第2実施形態の端子台2では、ハウジング23の小バスバー保持部232を代表例として示すように、一対の被摺擦部232aそれぞれの被係止部232bが次のように設けられている。即ち、取付け時に小バスバー22がU字形状に見える側面方向D24から見て取付け方向D21に互いにずれた位置に、一対の被摺擦部232aそれぞれの被係止部232bが設けられている。そして、小バスバー22の一対の腕部221それぞれの係止部221bも、上述の被係止部232aの位置に応じ、側面方向から見て取付け方向に互いにずれた位置に設けられている。
【0044】
更に、ハウジング23における小バスバー保持部232には次のような複数の肉抜き穴232eが小バスバー22の取付け方向D21に配列されて設けられている。即ち、一対の被摺擦部232aのうち雌ネジ側被摺擦部232a-2の表面から内側に向かう肉抜き方向D25に延在する4つの肉抜き穴232eが設けられている。また、ボルト側被摺擦部232a-1の表面から内側に向かう肉抜き方向D26に延在する1つの肉抜き穴232eが設けられている。そして、ボルト側被摺擦部232a-1の表面からの肉抜き穴232eと、雌ネジ側被摺擦部232a-2の表面からの肉抜き穴232eとは、側面方向D24から見て取付け方向D21に互いにずれた位置に設けられている。
【0045】
また、雌ネジ側被摺擦部232a-2の表面からの4つの肉抜き穴232eのうち、取付け方向D21の先頭の1つの肉抜き穴232eが次のように設けられている。即ち、この1つの肉抜き穴232eは、ボルト側被摺擦部232a-1における被係止部232bと、雌ネジ側被摺擦部232a-2に対する平面視で重なるように設けられている。また、ボルト側被摺擦部232aー1の表面からの1つの肉抜き穴232eが、雌ネジ側被摺擦部232a-2における被係止部232bと、ボルト側被摺擦部232a-1に対する平面視で重なるように設けられている。
【0046】
ハウジング23における不図示の大バスバー保持部も、上述した小バスバー保持部232と略同様の構成を有して形成されている。
【0047】
以上に説明した第2実施形態の端子台2によっても、上述した第1実施形態と同様に、端子台2の大きさを抑えることができ、端子台2の設置スペースを抑えることができることは言うまでもない。
【0048】
また、本実施形態では、代表例として図示された小バスバー保持部232において、ボルト側被摺擦部232a-1と雌ネジ側被摺擦部232a-2の相互間で被係止部232bが取付け方向D21に互いにずれた位置に設けられている。同様に、代表例として図示された小バスバー22において、係止部221bも取付け方向D21に互いにずれた位置に設けられている。この構成によれば、被係止部232bに対して係止部221bが係止可能な小バスバー22の姿勢が一意的な正規姿勢に決まる。その結果、この正規姿勢とは逆向きに小バスバー22を取り付けようとしても被係止部232bに係止部221bを係止させることができなくなるので、このような逆向きの誤設置を抑えることができる。図示が割愛された大バスバー保持部及び大バスバーにおいても同様の構成となっており、同様の誤設置抑制効果を得ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、ハウジング23の小バスバー保持部232において、ボルト側被摺擦部232a-1と雌ネジ側被摺擦部232a-2の相互間で取付け方向D21に互いにずれた位置に肉抜き穴232eが設けられている。また、一部の肉抜き穴232eは、被係止部232bと各被摺擦部に対する平面視で重なるように設けられている。この構成によれば、まず、肉抜き孔232eが設けられていることでハウジング23の重量を軽減させることができる。その上で、肉抜き孔232eの上述した形成位置に設けることで、樹脂製のハウジング23を型成形する際の型について次のような効果を得ることができる。
【0050】
図12は、
図11に示されているハウジングを型成形する際の型を、
図11と同等の断面で示す模式図である。
【0051】
本実施形態では、繰り返しになるが、ボルト側被摺擦部232a-1と雌ネジ側被摺擦部232a-2の相互間で肉抜き穴232eが互いにズレた位置に設けられる。このため、ハウジング23の型成形を、ボルト側被摺擦部232a-1及び雌ネジ側被摺擦部232a-2それぞれの表面に対する交差方向D27の型抜きが可能な第1型G21及び第2型G22のみで行うことができる。
【0052】
また、肉抜き孔232eが被係止部232bと平面視で重なるように設けられているので、被係止部232bの下部が肉抜き孔232eに利用されることとなり、効率的にハウジング23の重量を軽減させることができる。このように、上記の構成によれば、ハウジング23の効率的な重量軽減とともに、成形に必要な型の数を抑えて製造コストを低減させることができる。
【0053】
尚、以上に説明した第1及び第2実施形態は代表的な形態を示したに過ぎず、端子台は、これらの実施形態に限定されるものではない。即ち、その骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお端子台の構成を具備する限り、勿論、その範疇に含まれるものである。
【0054】
例えば、上述の第1及び第2実施形態では、端子台の一例として、車両搭載のバッテリパックの内部のバッテリ本体と、バッテリパックの外部に設置されたインバータとの電気接続を中継する部品等に利用される端子台1,2が例示されている。しかしながら、端子台は、これに限るものではなく、その設置場所は、適宜に設定することができる。
【0055】
また、上述の第1及び第2実施形態では、端子台の一例として、大バスバー11と小バスバー12,22との2つのバスバーを備えた端子台1,2が例示されている。しかしながら、端子台は、これに限るものではなく、U字形状のバスバーを備えるものであれば、バスバーの設置数は、1つであってもよく、あるいは3つ以上であってもよい。
【0056】
また、上述の第1及び第2実施形態では、端子台の一例として、一方の端子部分14がボルト141で、他方の端子部分14が孔開き部位142であって、その貫通孔142aに対応する位置に雌ネジ136aが設けられた端子台1,2が例示されている。しかしながら、端子台は、これに限るものではなく、接続対象物との接続態様は任意に設定可能である。ただし、端子部分14としてのボルト141や孔開き部位142によれば、接続対象物の接続を容易に行うことができる点は上述した通りである。尚、上述の第1及び第2実施形態とは異なり、一対の腕部の両方に端子部分としてボルトを設けてもよく、あるいは、一対の腕部の両方に端子部分として孔開き部位を設けることとしてもよい。
【0057】
また、第1及び第2実施形態では、端子台の一例として、1つのバスバーの一方の腕部に端子部分14としてのボルト141が2箇所に設けられ、他方の腕部に孔開き部位142が1箇所に設けられた端子台1,2が例示されている。しかしながら、端子台は、これに限るものではなく、端子部分としてのボルトや孔開き部位の設置数は任意の数に設定可能である。
【0058】
また、上述の第1及び第2実施形態では、端子台の一例として、大バスバー11及び小バスバー12が撓んだ状態で係止位置へと移動し、係止位置で復位して係止部111b,121bが被係止部131b,132bに係止する端子台1,2が例示されている。しかしながら、端子台はこれに限るものではなく、バスバーの取付け態様は、例えば、腕部を撓ませずにバスバーを保持部に嵌め込み、その後、ネジ止め固定したり、所定のカバーで押えて保持したりしてもよい。このように、バスバーの取付け態様は、任意の態様に設定可能である。ただし、大バスバー11及び小バスバー12を撓ませて嵌め込み、係止位置で係止部111b,121bを被係止部131b,132bに係止させる取付け態様によれば、大バスバー11及び小バスバー12を容易に取り付けて保持できる点は上述した通りである。
【0059】
また、上述の第1及び第2実施形態では、被係止部の一例として、腕部111,121,221の先端側の左右一対の側縁それぞれに向き合う位置に1つずつ設けられた凸形状の被係止部131b,132b,232bが例示されている。そして、係止部の一例として、腕部111,121,221の先端側の左右一対の側縁それぞれに1つずつ設けられた凹形状の係止部111b,121b,221bが例示されている。しかしながら、ハウジングにおける被係止部やバスバーにおける係止部は、これらに限るものではなく、例えば、ハウジングに凹形状の被係止部を設け、バスバーに凸形状の係止部に設けることとしてもよい。また、被係止部や係止部の位置や数についても、上記のような位置や数に限るものではない。例えば、ハウジング側でバスバーの腕部における幅方向中央に向き合う位置に被係止部を1つ設け、バスバー側では、幅方向中央に係止部を1つ設ける等といった態様を採用することとしてもよい。
【0060】
また、上述の第2実施形態では、端子台の一例として、被係止部232bが互いにずれた位置に設けられ、係止部221bも互いにずれた位置に設けられた端子台2が例示されている。しかしながら、端子台は、これに限るものではなく、第1実施形態の端子台1のように、被係止部131b,132bが互いに同じ位置に設けられ、係止部111b,121bも互いに同じ位置に設けられることとしてもよい。ただし、被係止部232bや係止部221bの形成位置をずらすことで、バスバーについて、逆向きの誤設置を抑えることができる点は上述した通りである。
【0061】
また、上述の第2実施形態では、ハウジングの一例として、一対の被摺擦部232aの相互間で互いにずれた位置に肉抜き穴232eを設けたハウジング23が例示されている。また、このハウジング23では、一方の被摺擦部232aの肉抜き孔232eが、他方の被摺擦部232aの被係止部232bと平面視で重なるように設けられている。しかしながら、ハウジングは、これに限るものではなく、互いに同じ位置に設けた被係止部の相互間に横穴状の肉抜き穴を設けることとしてもよい。ただし、このような横穴状の肉抜き穴の形成には、上下一対の型の他に横抜き用の型が別途に必要となる。一方で、上記のような位置に肉抜き穴232eを設けることで、ハウジングの効率的な重量軽減とともに、成形に必要な型の数を抑えて製造コストを低減させることができる点は上述した通りである。
【0062】
また、上述の第2実施形態では、ハウジングの一例として、肉抜き穴232eが設けられたハウジング23が例示されている。しかしながら、ハウジングはこれに限るものではなく、肉抜き穴に替えて、内周面の一部が開放された肉抜き溝を設けることとしてもよい。また、肉抜き穴を設けるにしても、第2実施形態のように貫通しない穴であってもよく、バスバーの保持部における一対の被摺擦部の一方から他方へと貫通した貫通孔であってもよい。
【0063】
また、上述の第1及び第2実施形態では、端子台の一例として、ハウジング13,23のバスバー保持部において、一方の被摺擦部131a,132a,232aにボルト通過溝131d,132dが設けられた端子台1,2が例示されている。そして、これらの端子台1,2では、他方の被摺擦部131a,132a,232aがボルト頭部141bと干渉する形状を有している。しかしながら、端子台は、これに限るものではなく、バスバー保持部における一対の被摺擦部の両方にボルト通過溝を設けることとしてもよい。あるいは、上述のように一対の腕部の両方に端子部分として孔開き部位を設け、一対の被摺擦部の何れにもボルト通過溝を設けないこととしてもよい。ただし、一方の被摺擦部131a,132a,232aにボルト通過溝131d,132dを設けることで、バスバーの誤設置を抑えることができる点は上述した通りである。
【0064】
また、上述の第1及び第2実施形態では、ボルト通過溝の一例として、一対の溝リブ132d-1によって構成され、取付け時にボルト頭部141bの移動を案内するボルト通過溝131d,132dが例示されている。しかしながら、ボルト通過溝はこれに限るものではなく、その溝幅は、ボルト頭部の通過が可能であれば、ボルト頭部よりも大幅に幅広としてもよい。また、一対の溝リブで構成されるものにも限らず、例えば肉厚板の表面に形成された溝等であってもよい。ただし、ボルト通過溝131d,132dを一対の溝リブ132d-1で構成することで、ハウジング13,23の重量を軽減させ、バスバーをスムーズにスライド移動させることができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0065】
1,2 端子台
11 大バスバー
12,22 小バスバー
13,23 ハウジング
14 端子部分
111,121,221 腕部
111a,121a 一端部
111b,121b,221b 係止部
112,122 連結部
121c 先端
121d 腕側斜面
121e,142a 貫通孔
131 大バスバー保持部
131a,132a,232a 被摺擦部
131b,132b,232b 被係止部
131d,132d ボルト通過溝
132,232 小バスバー保持部
132a-1,232a-1 ボルト側被摺擦部
132a-2,232a-2 雌ネジ側被摺擦部
132c 凸側斜面
132d-1 溝リブ
133,134 フランジ部
135 コネクタ取付け部
136 ナット
137,232e 肉抜き穴
136a 雌ネジ
141 ボルト
141a ボルト部分
141b ボルト頭部
141c 固定構造
141d 円錐台部分
141e 突起
142 孔開き部位
D11,D21 取付け方向
D12 撓み方向
D13 矢印
D24 側面方向
D25,D26 肉抜き方向
D27 交差方向
G21 第1型
G22 第2型