(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190463
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置、運行記録装置、加速度センサ補正プログラム及び補正値データ構造
(51)【国際特許分類】
G01C 9/08 20060101AFI20221219BHJP
G01P 21/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G01C9/08
G01P21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098796
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳浩
(72)【発明者】
【氏名】酒井 一成
(57)【要約】
【課題】積荷有無等による零点補正時の影響を抑えることができる加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置、運行記録装置、加速度センサ補正プログラム及び補正値データ構造を提供する。
【解決手段】加速度センサ補正装置100は、車両に搭載され、車両にかかる加速度を検出する加速度センサ14と、現在地の勾配情報を取得し、勾配情報に基づいて加速度センサ14の零点補正を行い、車両が空車状態又は実車状態のいずれであるかを判定して、前記零点補正後に判定手段の判定結果に基づいて加速度センサ14の零点補正を行うCPU1と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両にかかる加速度を検出する加速度センサと、
現在地の勾配情報を取得する第1取得手段と、
前記勾配情報に基づいて前記加速度センサの零点補正を行う第1補正手段と、
前記車両が空車状態又は実車状態のいずれであるかを判定する判定手段と、
前記第1補正手段による零点補正後に判定手段の判定結果に基づいて前記加速度センサの零点補正を行う第2補正手段と、
を備えることを特徴とする加速度センサ補正装置。
【請求項2】
勾配と補正値との関係を示すテーブルを取得する第2取得手段を備え、
前記第1補正手段及び前記第2補正手段は前記テーブルに基づいて補正をすることを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ補正装置。
【請求項3】
前記判定手段は、予め設定された基準地点において前記加速度センサで検出される振動パターンに基づいて判定することを特徴とする請求項1または2に記載の加速度センサ補正装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記車両の前記空車状態又は前記実車状態を示す情報を取得することで判定することを特徴とする請求項1または2に記載の加速度センサ補正装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記車両の種別が前記判定の実行対象の場合に前記判定を行うことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の加速度センサ補正装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の加速度センサ補正装置と、
前記加速度センサが検出した前記加速度に基づいて前記車両が位置する道路勾配を検出する道路勾配検出部と、
を備えたことを特徴とする道路勾配検出装置。
【請求項7】
前記車両の運行情報を収集するとともに、請求項7に記載の道路勾配検出装置を備えたことを特徴とする運行記録装置。
【請求項8】
車両に搭載され、前記車両にかかる加速度を検出する加速度センサの零点補正を行う加速度センサ補正プログラムであって、
現在地の勾配情報を取得する第1取得手段と、
前記勾配情報に基づいて前記加速度センサの零点補正を行う第1補正手段と、
前記車両の空車状態又は実車状態のいずれであるかを判定する判定手段と、
前記第1補正手段による零点補正後に判定手段の判定結果に基づいて前記加速度センサの零点補正を行う第2補正手段と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする加速度センサ補正プログラム。
【請求項9】
車両に搭載され、前記車両にかかる加速度を検出する加速度センサの零点補正を行う加速度センサ補正装置が取得して用いられ、前記加速度センサ補正装置の記憶部に記憶される補正値データ構造であって、
前記車両の空車状態又は実車状態のいずれであるかに応じて前記加速度センサの零点補正処理を行う際に用いる勾配値毎の補正値情報がテーブル状に構成されていることを特徴とする補正値データ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が勾配に位置しているか検出する道路勾配検出装置で用いられる加速度センサの補正をする加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置、運行記録装置、加速度センサ補正プログラム及び補正値データ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、坂道などの路面状況を反映した車両の運行管理システムが提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載の従来の運行管理システムは、気圧計から気圧を測定し、前記気圧から単位走行距離毎の高度値を算出し、単位走行距離毎の高度差を予め定められた高度差と比較することで走行中の路面が勾配か否かを判定している。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、気圧計を用いて勾配を判定しているが、専用に高価な気圧センサや制御回路等が必要となる上に、窓の開け閉め、走行中の風や急な環境変化等の急な気圧変化の影響を受ける環境下では極端に精度が悪化してしまう。
【0004】
また、勾配の検出には、加速度センサを用いた方法も知られている。この方法は、加速度センサにより検知される車体の傾きと走行中に受けるG(加速度)値を演算することにより、走行中の道路勾配を算出するものである。但し、検出精度確保のためには加速度センサのオフセットズレ補正(零点補正ともいう)が重要である。
【0005】
特許文献2には、勾配車両加速度センサからの出力値αSと理論空走加速度算出手段で算出された理論空走加速度α0との偏差に基づき勾配車両加速度センサ出力値の補正値αSDを算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-46439号公報
【特許文献2】特開2001-153883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、零点補正を行う際には、その実施地点の勾配がゼロ(平坦)ではない場合、その地点の勾配がそのまま誤差となってしまう。また、トラック等においては、積荷有無等によるキャビン(車室)の傾き差がそのまま誤差となってしまうといった問題があった。
【0008】
特許文献2に記載の発明は、平坦路においてエンジンと車輪との間の動力伝達を遮断した空走状態になったことが検出されると、理論空走加速度α0を算出しているが、上記したようなキャビンの傾き等は何ら考慮されていない。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、積荷有無等による零点補正時の影響を抑えることができる加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置、運行記録装置、加速度センサ補正プログラム及び補正値データ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた発明は、車両に搭載され、前記車両にかかる加速度を検出する加速度センサと、現在地の勾配情報を取得する第1取得手段と、前記勾配情報に基づいて前記加速度センサの零点補正を行う第1補正手段と、前記車両が空車状態又は実車状態のいずれであるかを判定する判定手段と、前記第1補正手段による補正後に判定手段の判定結果に基づいて前記加速度センサの零点補正を行う第2補正手段と、を備えることを特徴とする加速度センサ補正装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空車状態、実車状態のいずれの状態であっても、その状態に合った零点補正をすることができる。したがって、積荷有無等による零点補正時の影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる加速度センサ補正装置を備える道路勾配検出装置の概略構成図である。
【
図2】オフセット地点の勾配と、補正値との関係を示したテーブルの例である。
【
図3】
図1に示された加速度センサ補正装置で行う補正動作の概略図である。
【
図4】
図1に示された加速度センサ補正装置で行う補正動作の概略図である。
【
図5】
図1に示された加速度センサ補正装置の動作のフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる運行記録装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる加速度センサ補正装置を備える道路勾配検出装置20の基本構成図である。同図に示すように、道路勾配検出装置20内には、CPU1と、EEPROM2と、加速度センサ14と、電源回路4と、IGN(イグニッション)5と、入力I/F回路6と、出力I/F回路8、9と、ダイヤル12、13と、勾配情報記憶部15と、を備えている。そして、道路勾配検出装置20は、車速パルス7が入力され、上り信号モニタ10と、下り信号モニタ11と、を出力する。
【0014】
CPU1は、電源回路4を介してIGN(イグニッション)5からON信号が入力される。そして、車両が走行すると、該CPU1には、入力I/F回路6を介して、車速パルス7が供給される。また、CPU1は、走行中の路面が坂道と判定された際に坂道信号を、出力I/F回路8、9を介して、上り信号モニタ10、下り信号モニタ11として出力している。また、CPU1は、後述する加速度センサ14の零点補正処理も行う。
【0015】
EEPROM2は、CPU1が行う処理プログラムなどを格納したプログラム格納エリアと、CPU1での各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ格納エリアと、を有し、読み出し書き込み自在に設けられている。
【0016】
加速度センサ14は、車両に加わる例えば進行方向の加速度や車両自体の傾きを測定(検出)している。
【0017】
ダイヤル12、13は、車両が走行中の路面が坂道(勾配)であるか否かを判定する際の閾値を設定している。本実施形態では、例えば閾値を2.5%に設定している。
【0018】
勾配情報記憶部15は、勾配と補正値との関係が記憶されている。この勾配情報記憶部15に記憶されている勾配情報は、水準器で測定した正確な勾配の値と、その勾配に対応する補正値が登録される。勾配情報としては、測定した生値を登録してもよいし、測定と補正値との関係をマップ、テーブル等として登録してもよい。テーブルの例を
図2に示す。
【0019】
図2は、勾配(%)と、補正値との関係を示したテーブルの例である。
図2では、勾配を0.5%毎に区分して補正値を設定しているがさらに細分化してもよい。即ち、
図2に示したテーブルは本実施形態にかかる補正値データ構造であり、勾配情報は、後述するように、車両の空車状態又は実車状態のいずれであるかに応じて加速度センサの零点補正処理を行う際に用いる勾配値毎の補正値情報がテーブル状に構成されているものである。
【0020】
なお、本実施形態における勾配ゼロ(平坦)とは、完全に平坦なゼロ度やゼロ%のみではなく、例えば0±0.5%以内などの後述する加速度センサ14の補正に際して平坦と見做して演算しても差し支えない程度の勾配も含むものである。
【0021】
なお、本実施形態では、実勾配情報記憶部15に予め勾配情報が記憶されているが、例えば外部サーバ等からダウンロードするような構成であってもよい。
【0022】
上述した構成において、CPU1と、加速度センサ14と、勾配情報記憶部15と、で本発明の一実施形態にかかる加速度センサ補正装置100を構成する。
【0023】
本実施形態では、零点補正処理を行う地点(オフセット地点)の実勾配を水準器で測定し、その測定値に基づく補正を行う(
図3)。零点補正処理は平坦路で行うことが好ましいが、平坦路としている道路・地点であっても、実際の勾配がゼロとは限らない場合があるため、正確な零点補正処理を行うために実勾配を測定し、その測定値に応じた補正を行う。
【0024】
そして、実勾配に基づく補正とともに、本実施形態では、空車(状態)又は実車(状態)の判定を行い、空車又は実車に応じた傾き差の補正を行う(
図4)。
図4に示したように、例えばトラックであれば荷室に積荷が積載されていると加速度センサ14等が設置されているキャビンが傾き、零点補正時に誤差が生じてしまう。そこで、空車又は実車の判定を行って、積荷の有無を特定し、それぞれの状態に適した補正を行う。
【0025】
次に、上述した構成の加速度センサ補正装置100の動作を
図5のフローチャートを参照して説明する。
図5に示したフローチャートはCPU1で実行される。また、
図5のフローチャートを例えばCPU1で実行するコンピュータプログラムとして構成することで加速度センサ補正プログラムとなる。
【0026】
まず、CPU1は、オフセット地点の勾配情報を反映させる(ステップS11)。ステップS11では、現在地(オフセット地点)における路面の実勾配を水準器で測定し、測定結果に基づいて、
図2に示したテーブルを利用して補正値を取得して零点補正処理を行う。補正処理自体は、加速度センサ14の出力値から補正値を加算又は減算するような周知の零点補正方法でよい。即ち、CPU1は、現在地の勾配情報を取得する第1取得手段と、勾配情報に基づいて零点補正を行う第1補正手段と、して機能している。また、CPU1は、勾配と補正値との関係を示すテーブルを取得する第2取得手段として機能している。
【0027】
次に、CPU1は、キャビン(車室)の傾き差補正を実施する車両であるか判定する(ステップS12)。即ち、車両の種別が空車状態又は実車状態の判定の実行対象の場合に判定を行う。キャビンの傾き差補正を実施する車両であることは、予めフラグや設定値等として設定し、その設定値等を参照して判定すればよい。キャビンの傾き差補正を実施する車両とは、例えばトラック、ワンボックスカー、バン、バス等の運行管理装置が設置される主に業務用の車両であって、運転者以外の積荷等の重量物の有無によりキャビン等の車室の傾き差が発生し、加速度センサ14の検出値が影響を受けるような車両である。
【0028】
なお、ステップS12以降は、ステップS11以降であればステップS11と異なる地点で実行してもよい。ステップS11は、上記したように路面上に水準器を設置して測定するため、停止状態で実行されるが、ステップS12以降は、以下の説明から明らかなように走行中に実行してもよいものである。したがって、ステップS11とS12以降は独立して実行してもよい。
【0029】
キャビンの傾き差補正を実施する車両である場合は(ステップS12;Y)、CPU1は、空車状態か判定する(ステップS13)。空車状態の判定は、例えばデジタルタコグラフ(運行記録装置)の空車/実車のスイッチと連動させればよい。つまり、デジタルタコグラフが備える空車/実車を切り替えるスイッチの操作に応じて、その切替信号等を加速度センサ補正装置100が取得して判定すればよい。勿論、加速度センサ補正装置100が入力手段を有し、当該入力手段からドライバー等が空車又は実車を入力する方法でもよい。即ち、判定手段は、車両の空車状態又は実車状態を示す情報を取得することで判定している。
【0030】
なお、本実施形態における空車とは荷室に積荷等の重量物(バス等であれば乗客)が積載されていない状態を示し、実車とは荷室に積荷等の重量物が積載されている状態を示す。
【0031】
また、空車状態の判定は、上記したデジタルタコグラフと連動する方法やドライバー等が直接入力する方法に限らない。例えば、車両は、空車又は実車でキャビン(車室)の振動状態が変わるため、予め設定しておいた基準地点を特定の条件で通過時における加速度センサ14で検出される振動パターンの違いにより、空車/実車のいずれかの状態かを判定する方法でもよい。基準地点は、運行上、通常通過する地点とすればよく、例えば、会社の入出庫口が面する道路上の地点等が挙げられる。特定の条件とは、例えば走行速度が予め決められた値であること等をいう。そして、予め基準地点を特定の条件で通過した際の振動パターン(加速度センサ14の出力波形)を測定し、その振動パターンと実際の走行時の振動パターンとを照合することで判定する。
【0032】
ステップS13により空車状態と判定された場合は(ステップS13;Y)、事前に把握している空車相当値(補正値)を参照して傾き補正処理(零点補正処理)を実施する(ステップS14)。事前に把握している空車相当値とは、空車時のキャビンの傾き状態の補正値である。空車状態の場合キャビンは殆ど傾かないが、基準値として予め測定しておくことで零点補正の精度を向上させることができる。なお、ステップS13及びS14の補正処理自体はステップS11と同様に周知の方法で良い。
【0033】
一方、ステップS13により空車状態でない(実車状態)と判定された場合は(ステップS13;N)、事前に把握している実車相当値(補正値)を参照して傾き補正処理(零点補正処理)を実施する(ステップS15)。事前に把握している実車相当値とは、実車時のキャビンの傾き状態の補正値である。この場合、傾き値に対応する補正値は、ステップS11で使用した
図2のテーブルを使用すればよい。つまり、キャビンの傾き値(%)に応じた補正値をテーブルから取得して零点補正処理を行えばよい。キャビンの傾き値はキャビン内に設置された傾斜計等から取得すればよい。
【0034】
また、ステップS12でキャビンの傾き差補正を実施する車両でないと判定された場合は(ステップS12;N)、ステップS13以降の処理を実行せずに終了する。
【0035】
ステップS13~S15の説明から明らかなように、CPU1は、車両の空車状態又は実車状態のいずれであるかを判定する判定手段として機能する。また、CPU1は、第1補正手段による零点補正後に判定手段の判定結果に基づいて加速度センサ14の零点補正を行う第2補正手段として機能する。
【0036】
上述したフローチャートの実行後は、周知の加速度センサ14を用いた坂道検出処理へ復帰すればよい。周知の加速度センサ14を用いた坂道検出処理とは、例えば車両の走行中に、CPU1が、車速パルス7に基づいて検出された検出車速から得られた実加速度に相当する値を加速度センサ14の出力値から減算し、減算後の加速度センサ14の出力から道路勾配を検出するといった方法が挙げられる。また、この道路勾配の検出時には、ダイヤル12、13で設定した閾値を利用して勾配か否か判定してもよい。即ち、CPU1が道路勾配検出部として機能する。
【0037】
本実施形態によれば、加速度センサ補正装置100は、車両に搭載され、車両にかかる加速度を検出する加速度センサ14と、車両の空車状態又は実車状態のいずれであるかを判定し、判定結果に基づいて加速度センサ14の零点補正を行うCPU1と、を備えている。
【0038】
加速度センサ補正装置100が上記のように構成されることにより、空車状態、実車状態のいずれの状態であっても、その状態に合った零点補正をすることができる。したがって、積荷有無等による零点補正時の影響を抑えることができる。
【0039】
また、CPU1は、車両の空車状態又は実車状態の判定前に、ステップS13又はS14による零点補正とは別に、現在地の勾配情報を取得して、勾配情報に基づいて零点補正を行う。このようにすることにより、現在地の地形の傾斜による誤差を少なくし、加速度センサ14の零点ズレを少なくすることができる。
【0040】
また、CPU1は、水準器等の測定器により測定された勾配情報とその補正値との関係を示すテーブルを取得し、そのテーブルに基づいて零点補正を行う。このようにすることにより、予め算出された補正値を利用できるので補正処理を軽減することができる。
【0041】
また、CPU1は、予め設定された基準地点において前記加速度センサで検出される振動パターンに基づいて空車状態又は実車状態の判定をしてもよい。この場合、例えばドライバー等が主導で空車状態又は実車状態を入力する必要が無く、自動的に判定することができる。
【0042】
また、CPU1は、車両の空車状態又は実車状態を示す情報を取得することで空車状態又は実車状態を判定するので、確実に空車状態又は実車状態を判定することができる。
【0043】
また、CPU1は、キャビンの傾き差補正を実施する車両である場合に、空車状態又は実車状態を判定するので、キャビンの傾き差補正が不要な車両について空車状態又は実車状態の判定を行うことが無い。したがって、処理を効率良く行うことができる。
【0044】
また、道路勾配検出装置20は、上述した構成の加速度センサ補正装置100を備えているので、道路勾配の検出精度低下の要因の1つである加速度センサの検出精度の低下を抑えることができる。また、キャビンの傾き補正を行う必要がある場合には、空車又は実車のそれぞれの状態に合った補正値により零点補正を行うので、積荷有無等による零点補正時の影響を抑えることができる。
【0045】
なお、上述した実施形態で説明した道路勾配検出装置20を車両の運行記録装置に備えてもよい。運行記録装置に道路勾配検出装置20を備えた例を
図6に示す。
図6は、道路勾配検出装置20を備えた運行記録装置200の概略構成図である。運行記録装置200は、デジタルタコグラフとも呼ばれ、車速、エンジン回転数等の走行情報や入庫、出庫等の運行状態にかかる情報等が発生時刻とともに逐次記録される。
【0046】
運行記録装置200は、道路勾配検出装置20と運行記録部201とを備えている。運行記録部201は、上述した車速、エンジン回転数、入庫、出庫等の各種運行情報を収集し、SDカード202に記録させる。なお、各種情報はSDカードに記録するに限らず、外部サーバ等に送信してもよい。
【0047】
図6に示した運行記録装置200によれば、道路勾配検出装置20を備えているので、高精度に検出された勾配情報を取得することができる。したがって、坂道等を走行しているか否かを走行情報に関連付けることが可能となり、走行状態を反映した適切な運行管理をすることができる。
【0048】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置、運行記録装置、加速度センサ補正プログラム及び補正値データ構造の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1 CPU(判定手段、第1補正手段、第1取得手段、第2補正手段、第2取得手段)
7 車速パルス
14 加速度センサ
15 勾配情報記憶部(記憶部)
20 道路勾配検出装置
100 加速度センサ補正装置
200 運行記録装置