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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190469
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】洗車装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098809
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽原 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】星 賢児
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正明
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA03
3D026AA12
3D026AA13
3D026AA34
3D026AA74
3D026AA76
3D026AA78
(57)【要約】
【課題】不適切なタイミングで待機車両が洗車機へ進入するのを抑制することができる洗車装置を提供する。
【解決手段】洗車装置10は、洗車車両検知部60によって所定の洗車位置に停車した洗車対象車両を検知し、洗車実行部62が洗車機本体により洗車対象車両の洗車を行う。ここで、待機車両検知部64は、洗車機本体から離れた所定の待機位置に停車した待機車両を検知する。そして、車両制御部66は、洗車実行部62により洗車対象車両の洗車が行われている間、待機車両の進行操作を禁止させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の洗車位置に停車した洗車対象車両を検知する洗車車両検知部と、
洗車機本体により前記洗車対象車両の洗車を行う洗車実行部と、
前記洗車機本体から離れた所定の待機位置に停車した待機車両を検知する待機車両検知部と、
前記洗車実行部により洗車が行われている間、前記待機車両の進行操作を禁止させる車両制御部と、
を有する洗車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両と洗車機本体との接触を防止するための洗車設備が開示されている。具体的には、特許文献1の洗車設備では、洗車開始位置に停車した車両のエンジンが作動状態であることを検知するETC通信装置を設け、ETC通信装置によって通信可能信号が出力されている間は、洗車機本体による洗車動作を開始しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-202746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車体構造では、洗車を待つ待機位置で待機している待機車両については考慮されておらず、待機車両が意図せずに前進して洗車機本体又は洗車中の車両と接触する虞がある。
【0005】
本発明は、不適切なタイミングで待機車両が洗車機へ進入するのを抑制することができる洗車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る洗車装置は、所定の洗車位置に停車した洗車対象車両を検知する洗車車両検知部と、洗車機本体により前記洗車対象車両の洗車を行う洗車実行部と、前記洗車機本体から離れた所定の待機位置に停車した待機車両を検知する待機車両検知部と、前記洗車実行部により洗車が行われている間、前記待機車両の進行操作を禁止させる車両制御部と、を有する。
【0007】
請求項1に係る洗車装置では、洗車車両検知部によって洗車位置に停車した洗車対象車両が検知される。また、洗車実行部は、洗車機本体によって洗車対象車両の洗車を行う。一方、洗車機本体から離れた所定に位置に待機位置が設定されており、待機車両検知部は、待機位置に停車した待機車両を検知する。このように、待機車両検知部によって待機車両を検知することで、洗車を待っている車両の有無を把握できる。
【0008】
また、洗車実行部により洗車が行われている間、車両制御部によって待機車両の進行操作を禁止させる。これにより、洗車が行われている間に待機車両の運転者が誤ってアクセルペダルを操作した場合であっても、待機車両が洗車機本体側へ移動するのを抑制できる。
【0009】
なお、車両制御部は、待機車両のアクセル操作を検知した際にブレーキを作動させる構成としてもよい。この場合、待機車両のブレーキを作動させることで、待機車両の進行を確実に抑制できる。
【0010】
また、車両制御部は、待機車両のアクセル操作を無効にすることで待機車両の前進を禁止させる構成としてもよい。この場合、待機車両の運転者が誤ってアクセルペダルを踏みこんだ場合でも車両の進行を抑制できる。
【0011】
さらに、車両制御部は、洗車対象車両の洗車が完了した後、所定時間経過後に待機車両の進行操作を許容する構成としてもよい。この場合、洗車が終了した車両が退避するまでの間、待機車両の進行を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る洗車装置によれば、不適切なタイミングで待機車両が洗車機へ進入するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る洗車装置を含む洗車システムの全体構成を概略的に示す図である。
図2】洗車装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】車両ECUのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】洗車装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】洗車装置による待機車両制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る洗車装置10について説明する。図1に示されるように、本実施形態の洗車装置10を備えた洗車システムSは、洗車装置10、洗車機本体12及び待機車両Vを含んで構成されている。そして、洗車装置10、洗車機本体12及び待機車両Vは、ネットワークNによって接続されている。具体的には、待機車両Vは、制御部である車両ECU11を備えており、車両ECU11を介して待機車両VがネットワークNに接続されている。
【0015】
洗車機本体12は、図示しない洗車対象車両の洗車を行う機構を備えており、洗車対象車両と相対的に移動しながら洗車を行う装置である。例えば、洗車機本体12は、水及び洗浄液を噴射する複数のノズル、車体の汚れを落とすための複数のブラシ、及び車体へ送風するためのブロアなどを備えている。
【0016】
ここで、洗車機本体12から離れた位置に所定の待機位置が設定されており、待機位置には待機車両Vが停車している。待機位置は、例えば、路面及び表示板などによって示されており、他車の洗車中には、待機位置から洗車位置への進行を禁止する旨の表示が行われる。
【0017】
本実施形態の洗車装置10は、ネットワークNを介して待機車両Vの車両ECU11とデータの送受信を行い、待機車両Vが不適切なタイミングで洗車位置へ進行する進行操作を禁止させるように構成されている。
【0018】
(洗車装置10のハードウェア構成)
図2は、洗車装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。この図2に示されるように、洗車装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)20、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)24、ストレージ26、通信I/F(通信インタフェース)28及び入出力I/F(入出力インタフェース)30を含んで構成されている。各構成は、内部バス32を介して相互に通信可能に接続されている。
【0019】
CPU20は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20は、ROM22又はストレージ26からプログラムを読み出し、RAM24を作業領域としてプログラムを実行する。CPU20は、ROM22又はストレージ26に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0020】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM24は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ26は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。本実施形態では、ROM22又はストレージ26には、待機車両制御処理を行うためのプログラム及び各種データなどが格納されている。
【0021】
通信I/F28は、洗車装置10が洗車機本体12及び他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、CAN(Controller Area Network)、イーサネット(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
【0022】
入出力I/F30は、洗車車両センサ34及び待機車両センサ36と電気的に接続されている。
【0023】
洗車車両センサ34は、所定の洗車位置に停車した車両(洗車対象車両)を検知するためのセンサである。洗車車両センサ34は、例えば、赤外線センサなどによって構成されている。また、洗車位置を撮像するカメラなどによって洗車車両センサ34を構成してもよい。そして、洗車車両センサ34によって洗車対象車両が検知された場合、洗車対象車両が停車していることを示す信号が洗車装置10に送信される。
【0024】
待機車両センサ36は、所定の待機位置に停車した待機車両Vを検知するためのセンサである。待機車両センサ36は、洗車車両センサ34と同様に赤外線センサ及びカメラなどを含んで構成されている。そして、待機車両センサ36によって待機車両Vが検知された場合、待機車両Vが停車していることを示す信号が洗車装置10に送信される。
【0025】
(車両ECU11のハードウェア構成)
図3は、車両ECU11のハードウェア構成を示すブロック図である。この図3に示されるように、車両ECU11は、CPU40、ROM42、RAM44、ストレージ46、通信I/F(通信インタフェース)48及び入出力I/F(入出力インタフェース)50を含んで構成されている。各構成は、内部バス52を介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
CPU40は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU40は、ROM42又はストレージ46からプログラムを読み出し、RAM44を作業領域としてプログラムを実行する。CPU40は、ROM42又はストレージ46に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0027】
ROM42は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM44は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ46は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0028】
通信I/F48は、車両ECU11が機器と外部機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、CAN(Controller Area Network)、イーサネット(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
【0029】
入出力I/F50は、アクセルセンサ54及びブレーキセンサ56と電気的に接続されている。
【0030】
アクセルセンサ54は、待機車両Vのアクセルペダルの位置を電気的に検知するアクセルポジションセンサを含んで構成されている。ブレーキセンサ56は、待機車両Vのブレーキペダルの位置を電気的に検知するブレーキポジションセンサを含んで構成されている。
【0031】
(洗車装置10の機能構成)
洗車装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。洗車装置10が実現する機能構成について図4を参照して説明する。
【0032】
図4に示されるように、洗車装置10は、機能構成として、洗車車両検知部60、洗車実行部62、待機車両検知部64及び車両制御部66を含んで構成されている。なお、各機能構成は、CPU20がROM22又はストレージ26に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0033】
洗車車両検知部60は、所定の洗車位置に停車した洗車対象車両を検知する。具体的には、洗車車両検知部60は、洗車車両センサ34からの信号に基づいて洗車対象車両が洗車位置に停車していることを検知する。
【0034】
洗車実行部62は、洗車機本体12を作動させて洗車対象車両の洗車を行う。なお、運転者は、待機位置に車両を停車させた状態で洗車機本体12の操作画面を操作し、洗車コースなどを選択する。洗車実行部62は、運転者によって選択された洗車コースに基づいて洗車機本体12の洗車プログラムを実行させる。
【0035】
待機車両検知部64は、洗車機本体12から離れた所定の待機位置に停車した待機車両Vを検知する。具体的には、待機車両検知部64は、待機車両センサ36からの信号に基づいて待機車両Vが待機位置に停車していることを検知する。
【0036】
車両制御部66は、洗車実行部により洗車が行われている間、前記待機車両の運転者による進行操作を禁止させる。具体的には、車両制御部66は、待機車両Vのアクセル操作を検知した際にブレーキを作動させる。すなわち、車両制御部66は、車両ECU11からアクセルセンサ54の信号を取得し、アクセルペダルが操作されたことを検知した場合、強制的に待機車両Vのブレーキを作動させる。ここで、待機車両Vは、アクセル操作よりもブレーキ操作が優先されるため、車両制御部66によってブレーキが作動されると、アクセルペダルの操作有無にかかわらず、待機車両Vの進行が抑制される。
【0037】
また、車両制御部66は、待機車両Vのアクセル操作を無効にすることで待機車両Vの前進を禁止させる構成としてもよい。この場合、車両制御部66は、車両ECU11へ信号を送ることで、待機車両Vが待機している間、アクセルセンサ54によるアクセルペダルのポジション検知を無効にする。
【0038】
さらに、車両制御部66は、洗車対象車両の洗車が完了した後、所定時間経過後に待機車両Vの進行操作を許容する。具体的には、本実施形態では、洗車が完了した車両が洗車機本体12から所定の距離以上離れたことが検知された場合に、待機車両Vに対して洗車位置までの進行を促す表示を行う。そして、車両制御部66は、この表示が行われるまでの間、待機車両Vの進行操作を禁止させる。
【0039】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0040】
(待機車両制御処理の一例)
洗車装置10による待機車両制御処理の一例について、図5に示されるフローチャートを用いて説明する。この待機車両制御処理は、CPU20がROM22又はストレージ26からプログラムを読み出して、RAM24に展開することによって実行される。また、待機車両制御処理は、洗車対象車両の洗車が開始された後に実行される。
【0041】
図5に示されるように、CPU20は、ステップS102で待機車両Vが存在するか否かについて判定する。具体的には、CPU20は、待機車両検知部64の機能によって取得した待機車両センサ36の信号から待機位置に待機車両Vがいると検知された場合、ステップS102が肯定判定されてステップS104の処理へ移行する。
【0042】
また、CPU20は、ステップS102で待機位置に待機車両Vがいないと判定された場合、待機車両制御処理を終了させる。そして、所定の周期で繰り返し待機車両制御処理が実行される。
【0043】
CPU20は、ステップS104で待機車両Vから信号を取得する。具体的には、CPU20は、車両ECU11からアクセル操作及びブレーキ操作に関する信号を取得する。
【0044】
続いて、CPU20は、ステップS106でアクセル操作が行われたか否かについて判定する。具体的には、CPU20は、アクセルセンサ54の信号によってアクセルペダルの操作が行われた場合に、ステップS106が肯定判定され、ステップS108の処理へ移行する。
【0045】
CPU20は、ステップS108でブレーキを作動させる。具体的には、CPU20は、車両制御部66の機能によって待機車両Vの車両ECU11へ信号を送り、待機車両Vのブレーキを作動させる。
【0046】
CPU20は、ステップS106でアクセル操作が検知されなかった場合、及びステップS108でブレーキを作動させた場合、ステップS110の処理へ移行して洗車が終了したか否かについて判定する。具体的には、CPU20は、洗車機本体12による洗車プログラムが終了した後、洗車車両センサ34の信号に基づいて洗車対象車両が洗車位置から離れた場合、ステップS110が肯定判定されてステップS112の処理へ移行する。
【0047】
一方、CPU20は、ステップS110で洗車対象車両が洗車位置にいる場合、ステップS110が否定判定されてステップS104の処理へ戻る。
【0048】
CPU20は、ステップS112で待機車両Vの進行操作を許可する。具体的には、CPU20は、車両制御部66の機能による待機車両Vの監視及びブレーキ操作を終了させる。これにより、待機車両Vの運転者がアクセルペダルを操作すると、待機車両Vが前進して洗車位置へ向かうこととなる。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る洗車装置10では、待機車両検知部64によって待機車両Vを検知することで、洗車を待っている車両の有無を把握できる。また、洗車実行部62により洗車が行われている間、車両制御部66によって待機車両Vの運転者による進行操作を禁止させる。これにより、洗車が行われている間に待機車両Vの運転者が誤ってアクセルペダルを操作した場合であっても、待機車両Vが洗車機本体12側へ移動するのを抑制できる。
【0050】
また、本実施形態では、車両制御部66が待機車両Vのブレーキを作動させるため、待機車両Vの進行を確実に抑制できる。
【0051】
さらに、本実施形態では、洗車対象車両の洗車が終了した後、車両が洗車機本体12から退避するまでの間、車両制御部66による待機車両Vの進行操作を禁止することで、洗車が終了した車両と待機車両Vとの接触を確実に抑制することができる。
【0052】
以上、実施形態に係る洗車装置10について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、車両制御部66によって待機車両Vの進行操作を禁止している状態では、待機車両Vの車室内のディスプレイなどにアクセル操作が無効状態であることを表示することで、運転者に対して進行操作が禁止されていることを通知してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 洗車装置
60 洗車車両検知部
62 洗車実行部
64 待機車両検知部
66 車両制御部
図1
図2
図3
図4
図5