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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190476
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221219BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20221219BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20221219BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221219BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J7/02 H
H02J1/00 304H
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098818
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G165EA02
5G165HA03
5G165LA01
5G165NA01
5G165NA03
5G165NA05
5G165NA06
5G503BA03
5G503CC02
5G503DA02
5G503DA16
5G503GA01
5G503GB03
5H030AA01
5H030AS15
5H030BB21
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの電源回路をバッテリにより動作させるにあたって、電源回路の効率の低下を抑止する。
【解決手段】電圧を入力して所定電圧による電源をディスプレイに出力するディスプレイ電源回路と、バッテリの電圧値が所定以上である場合には、前記バッテリが出力する電圧に基づく第1電圧を前記ディスプレイ電源回路に出力し、前記バッテリの電圧値が所定以下である場合には、前記バッテリが出力する電圧に基づき前記第1電圧よりも高い第2電圧を前記ディスプレイ電源回路に出力する電圧切替部とを備えて電力供給装置を構成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を入力して所定電圧による電源をディスプレイに出力するディスプレイ電源回路と、
バッテリの電圧値が所定以上である場合には、前記バッテリが出力する電圧に基づく第1電圧を前記ディスプレイ電源回路に出力し、前記バッテリの電圧値が所定以下である場合には、前記バッテリが出力する電圧に基づき前記第1電圧よりも高い第2電圧を前記ディスプレイ電源回路に出力する電圧切替部と
を備える電力供給装置。
【請求項2】
前記電圧切替部は、前記バッテリが出力する電圧を昇圧させないことにより前記第1電圧として出力し、前記バッテリが出力する電圧を昇圧させることにより前記第2電圧として出力する
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記バッテリの出力電圧範囲の上限値は、前記ディスプレイ電源回路について定められた入力電圧の許容範囲内であり、前記バッテリの出力電圧範囲の下限値は前記入力電圧の許容範囲よりも低い
請求項1または2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記バッテリは、直列に接続された所定の複数のセルを備えて構成される
請求項1から3のいずれか一項に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記ディスプレイは、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイである
請求項1から4のいずれか一項に記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子としてOLED(Organic Light Emitting Diode)を備えて構成される表示装置において、発光素子を駆動するための電力を供給する電源回路を備える技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-234188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなディスプレイの電源回路をバッテリにより動作させるにあたっては、例えば使用されるバッテリの条件に対して電源回路の効率低下ができるだけ抑えられるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ディスプレイの電源回路をバッテリにより動作させるにあたって、電源回路の効率の低下を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、電圧を入力して所定電圧による電源をディスプレイに出力するディスプレイ電源回路と、バッテリの電圧値が所定以上である場合には、前記バッテリが出力する電圧に基づく第1電圧を前記ディスプレイ電源回路に出力し、前記バッテリの電圧値が所定以下である場合には、前記バッテリが出力する電圧に基づき前記第1電圧よりも高い第2電圧を前記ディスプレイ電源回路に出力する電圧切替部とを備えて電力供給装置を構成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ディスプレイの電源回路をバッテリにより動作させるにあたって、電源回路の効率の低下を抑止できるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】2SバッテリによりOLEDディスプレイに電力を供給するための基本的な構成例を示す図である。
図2】第1実施形態における2Sバッテリの出力電圧範囲と、ディスプレイ電源部の入力電圧範囲と、2Sバッテリを昇圧して得られる出力電圧範囲との関係を示す図である。
図3】第1実施形態における電力供給装置の一例を示す図である。
図4】第1実施形態における入力電力とディスプレイ電源部の消費電力との関係を示す図である。
図5】第2実施形態における電圧切替部の構成例を示す図である。
図6】第3実施形態における電圧切替部の構成例を示す図である。
図7】第4実施形態における電圧切替部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態に至る背景>
本実施形態は、ディスプレイを備える各種電子機器において、ディスプレイが表示動作を行うための電力を供給する電力供給装置に関するものである。本実施形態のディスプレイは、OLED(Organic Light Emitting Diode)を備えるOLEDディスプレイとして構成される。OLEDは、自発光型の表示素子である。なお、OLEDディスプレイは、タッチパネルとして構成されてよい。
また、本実施形態に係る電子機器は、クラムシェル型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型のパーソナルコンピュータ)、タブレット端末、携帯電話、スマートフォンまたは電子手帳等であってよい。
【0010】
本実施形態の電子機器は、バッテリにより動作することができる。この場合、電子機器が備えるOLEDディスプレイもバッテリからの供給される電力により動作する。
本実施形態の電子機器は、バッテリとして2Sバッテリが使用される。2Sバッテリは、2つのセルを直列に接続することで所定の電圧範囲による電力を出力可能なようにされたバッテリである。2Sバッテリは、例えばサイズ、コスト等の面から、電子機器に採用することの利点が多い。
【0011】
図1は、電子機器において2Sバッテリ100によりOLEDディスプレイ300に電力を供給するための基本的な構成例を示している。
2Sバッテリ100から出力される電圧は、ディスプレイ電源部200(ディスプレイ電源回路の一例)に供給される。
ディスプレイ電源部200は、入力された電圧を所定の電圧値で安定化し、安定化された電圧による電源をOLEDディスプレイ300に供給する。ディスプレイ電源部200は、例えばEL(Electro Luminescence)電源IC(Integrated Circuit)のように、1の集積回路として構成されたものであってよい。
OLEDディスプレイ300は、ディスプレイ電源部200から供給された電力により表示を行うように駆動される。
【0012】
図2においては、本実施形態における2Sバッテリ100の出力電圧範囲と、ディスプレイ電源部200の入力電圧範囲との関係が示される。
2Sバッテリ100が出力する電圧値は、2Sバッテリ100の蓄積電力量(充電量)に応じて変化する。2Sバッテリ100の出力電圧範囲は、例えば2Sバッテリ100の仕様や諸元等に基づいて使用が可能であると定められた電圧の範囲である。
ディスプレイ電源部200の入力電圧範囲は、ディスプレイ電源部200が所定電圧値で安定化した電力を出力することが保証される入力電圧の範囲である。
【0013】
2Sバッテリ100の出力電圧範囲BD1は上限値a(v)から下限値b(V)までの電圧値の範囲とされている。
また、ディスプレイ電源部200の入力電圧範囲BD2は、上限値c(V)から下限値d(V)までの範囲とされている。つまり、ディスプレイ電源部200には、入力電圧範囲BD2として規定される範囲内の値による電圧が入力される必要がある。
【0014】
以下の説明にあたっては、2Sバッテリ100の出力電圧範囲BD1の上限値a(v)、下限値b(V)は、それぞれ9V(a=9)、5V(b=5)、入力電圧範囲BD2の上限値c(v)、下限値d(V)は、それぞれ20V(a=10)、7V(b=7)である場合を挙げる。
【0015】
しかしながら、図2から分かるように、2Sバッテリ100の出力電圧範囲BD1の上限値a(V)は、ディスプレイ電源部200の入力電圧範囲BD2に収まるが、出力電圧範囲BD1の下限値b(V)は、入力電圧範囲BD2の下限値d(V)よりも低い。つまり、2Sバッテリ100の充電量が一定以上であって、d(V)以上の電圧値を出力可能な状態では、ディスプレイ電源部200が正常に動作できる。しかし、2Sバッテリ100の使用により充電量が一定未満となると、d(V)以上の電圧値を出力できなくなってディスプレイ電源部200の正常な動作が期待できなくなる。このように、2Sバッテリ100の出力電圧範囲BD1は、ディスプレイ電源部200が要求する入力電圧範囲BD2に適合していない。
【0016】
そこで、1つの対策として、2Sバッテリ100が出力する電圧を昇圧したうえでディスプレイ電源部200に供給するように構成することができる。図2には2Sバッテリ100の出力電圧範囲BD1と、ディスプレイ電源部200の入力電圧範囲BD2とともに、2Sバッテリ100が出力する電圧を2倍にして得られる出力電圧範囲BD3も示されている。出力電圧範囲BD3は、上限値2a(V)から下限値2b(V)までの範囲である。この場合、上限値2a(V)は18V、下限値2b(V)は、10Vとなる。出力電圧範囲BD3は、2Sバッテリ100の電圧を昇圧することで得られる。あるいは、出力電圧範囲BD3は、4つのセルを直列して構成される4Sバッテリを使用することで得られる。
このように、2Sバッテリ100の電圧を昇圧して出力電圧範囲BD3をディスプレイ電源部200に供給すれば、2Sバッテリ100が蓄積電力の減少による電圧低下にかかわらず、ディスプレイ電源部200に入力電圧範囲BD2に収まる電圧値が供給される。
【0017】
しかしながら、ディスプレイ電源部200は、入力電圧が高くなるほど効率が低下する。このため、単に出力電圧範囲BD3によりディスプレイ電源部200を動作させた場合には、効率が低い傾向のもとでディスプレイ電源部200が動作することになる。また、出力電圧範囲BD3は2Sバッテリ100が出力する電圧を2倍に昇圧して生成されることから、昇圧によって出力電圧範囲BD3を生成する段階においても電力損失が生じる。例えば2Sバッテリ100の持続時間や電子機器の発熱等を考慮した場合には、できるだけ低損失で効率の高い状態でディスプレイ電源部200が動作可能なようにすることが求められる。
【0018】
<第1実施形態>
本実施形態では、上記したことを背景に、2Sバッテリ100の電圧値に応じて、2Sバッテリ100からディスプレイ電源部200に供給する電圧を、等倍で出力する等倍モードと、昇圧して出力する昇圧モードとで切り替え可能なようにされる。以下、この点について説明する。
【0019】
図3は、本実施形態における電力供給装置の構成例を示している。ここでの電力供給装置とは、2Sバッテリ100の電力をOLEDディスプレイ300に供給する装置であり、ディスプレイ電源部200、電圧切替部400を含む。図3において、図1と同一部分については同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0020】
図3に示されるように、本実施形態の電力供給装置は、2Sバッテリ100とディスプレイ電源部200との間に挿入されるようにして電圧切替部400を備える。電圧切替部400は、等倍モード部401と昇圧モード部402とスイッチ403とを備える。
【0021】
電圧切替部400には、2Sバッテリ100が出力する電圧が入力電圧Vinとして入力される。
【0022】
等倍モード部401は、入力電圧Vinと同等の電圧値による第1電圧V1を出力する。本実施形態において、等倍モード部401は、例えば単に入力電圧Vinをスルーして出力するようにされてよい。
【0023】
昇圧モード部402は、入力電圧Vinを昇圧して得られる第2電圧V2を出力する。昇圧モード部402は、昇圧回路を備えて構成されてよい。昇圧モード部402が備える昇圧回路の回路構成については特に限定されないが、例えば高効率であることを考慮して、スイッチング回路を備えるDC-DCコンバータが用いられてよい。
スイッチ403は、入力電圧Vinに応じて等倍モードと昇圧モードとで切り替えを行う。つまり、スイッチ403は、入力電圧Vinが閾値以上である場合には、等倍モードとして、等倍モード部401が出力する第1電圧V1を出力電圧Voutとして、ディスプレイ電源部200に出力させるように端子を接続する。また、スイッチ403は、入力電圧Vinが閾値未満である場合には、昇圧モードとして、昇圧モード部402が出力する第2電圧V2を出力電圧Voutとして、ディスプレイ電源部200に出力させるように端子を接続する。
【0024】
具体例として、スイッチ403の切り替えは、図2の出力電圧範囲BD1が9V~5Vで、入力電圧範囲BD2が20V~7Vである場合には、7Vを閾値として端子の切り替えを行うようにされてよい。また、この場合の昇圧モード部402は、入力電圧Vinを2倍に昇圧して第2電圧V2として出力するようにされてよい。
【0025】
このような構成により、2Sバッテリ100の電圧が7V以上の状態では、電圧切替部400は、等倍モードとして、2Sバッテリ100からの入力電圧Vinと同等の第1電圧V1を出力電圧Voutとしてディスプレイ電源部200に供給する。この場合、ディスプレイ電源部200は、9V~7Vの範囲の電圧の入力を受けて動作することになる。つまり、ディスプレイ電源部200は、入力電圧範囲BD2における下限側の2Vの範囲の電圧を入力して動作することから、効率の低下を十分に抑制できる。
また、2Sバッテリ100の電圧が7V未満の状態では、電圧切替部400は、昇圧モードとして、2Sバッテリ100からの入力電圧Vinを2倍に昇圧した第2電圧V2を出力電圧Voutとしてディスプレイ電源部200に供給する。この場合、ディスプレイ電源部200は、14V未満から10V以上の範囲の電圧の入力を受けて動作する。このような昇圧モードでのディスプレイ電源部200に入力される電圧の範囲は、等倍モードのときよりも高い。しかしながら、この場合においてディスプレイ電源部200に入力される出力電圧Voutは14V以上とはならないことから、上限値が20Vの入力電圧範囲BD2に対して十分に余裕があり、効率の低下も抑制される。
このようにして、本実施形態においては、電圧切替部400が2Sバッテリ100の電圧(入力電圧Vin)の電圧値に応じてディスプレイ電源部200に与える出力電圧Voutを切り替えるようにされる。これにより、例えば定常的に2Sバッテリ100の電圧を昇圧した電圧をディスプレイ電源部200に供給する場合よりも、ディスプレイ電源部200における効率の向上が図られる。
【0026】
図4は、2Sバッテリ100の入力電圧Vinに対する、ディスプレイ電源部200と電圧切替部400とによる消費電力を示している。この消費電力は、2Sバッテリ100の出力電力に相当する。
図4において、線LN1は、本実施形態の電圧切替部400による電圧切り替えによって得られる消費電力を示している。線LN2は、2Sバッテリ100の入力電圧Vinを昇圧したことにより得られる出力電圧範囲BD3(図2)により動作させた場合の消費電力を示している。線LN3は、4Sバッテリ(入力電圧Vin×2)を使用して得られる出力電圧範囲BD3(図2)を動作させた場合の消費電力を示している。線LN0は、ディスプレイ電源部200の消費電力を示している。線LN1、LN2、LN3のそれぞれが示す消費電力と線LN0が示すディスプレイ電源部200の消費電力との差分が、電圧切替部400の消費電力に相当する。
図4から理解されるように、本実施形態によっては、同じ入力電圧Vinの条件に対して、入力電圧Vinを昇圧した場合及び4Sバッテリを使用した場合よりも、消費電力が削減されており、効率の向上が図られていることが示される。
【0027】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。図3に示した電圧切替部400の構成は、第1実施形態の具体的構成を示すとともに、当該第2実施形態の構成概念を示すものとして捉えることができる。図5を参照して、図3の構成概念のもとでの本実施形態としての電圧切替部400Aの構成例について説明する。同図において、図3と同一部分については同一符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態においても図3と同様に入力電圧Vinは、2Sバッテリ100から出力され、出力電圧Voutはディスプレイ電源部200に供給される。
【0028】
図5の電圧切替部400Aにおいて、等倍モード部401は、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの間に挿入されるダイオードD1を備える。入力電圧VinがダイオードD1を介して出力されることで第1電圧V1となる。
また、電圧切替部400Aにおいて、昇圧モード部402は、昇圧回路411とダイオードD2とを備える。昇圧回路411は、入力電圧Vinを昇圧して出力する。昇圧回路411から出力された電圧はダイオードD2に印加される。ダイオードD2を介して出力される電圧が第2電圧V2となる。昇圧回路411は、検出部412からイネーブル信号ENが出力されている状態において動作し、イネーブル信号ENが出力されていない状態では動作を停止する。
なお、ダイオードD1、ダイオードD2は、理想ダイオードが用いられてよい。
【0029】
検出部412は、入力電圧Vinを検出する。検出部412は、検出される入力電圧Vinが閾値(例えば7V)以上である場合には、イネーブル信号ENを出力しないことで昇圧回路411の動作を停止させる。また、検出部412は、検出される入力電圧Vinが閾値未満である場合には、イネーブル信号ENを出力することで昇圧回路411を動作させる。
【0030】
このような構成では、入力電圧Vinが閾値以上の状態では、昇圧回路411の動作が停止されていることから、入力電圧VinによりダイオードD1が導通する。この場合、入力電圧VinがダイオードD1を介して第1電圧V1として出力され、出力された第1電圧V1が出力電圧Voutとなる。
一方、入力電圧Vinが閾値未満の状態では昇圧回路411が動作し、昇圧回路411から、例えば入力電圧Vinの2倍の電圧が第2電圧V2として出力される。この場合、昇圧回路411からダイオードD2に印加される電圧のほうが、ダイオードD1に印加される電圧より高いことから、ダイオードD1は非導通となり、ダイオードD2が導通する状態となる。これにより、昇圧回路411から出力される電圧がダイオードD2を介して第2電圧V2として出力され、出力された第2電圧V2が出力電圧Voutとなる。
【0031】
図3のスイッチ403について、出力電圧Voutと接続させる電圧を第1電圧V1と第2電圧V2とで物理的に切り替えるハードウェアとして構成した場合には、スイッチ403の切り替えに際して出力電圧Voutの一時的な降下が生じる。具体的に、入力電圧Vinが閾値未満となったことに応じて、スイッチ403の端子が第1電圧V1側から第2電圧V2側に切り替えられる際には、出力電圧Voutは、第1電圧V1から第1電圧V1より高い第2電圧V2に遷移する際に、第1電圧V1よりも低い状態にまで下降し、この後に第2電圧V2に上昇する。出力電圧Voutが第1電圧V1よりも低い状態にまで下降したときには、ディスプレイ電源部200が正常に動作できずにOLEDディスプレイ300の表示に影響を及ぼす可能性がある。
【0032】
そこで、本実施形態の構成を採ることで、物理的に端子の切り替えが行われるスイッチ403を省略したうえで、等倍モードと昇圧モードとで切り替えを行うことが可能となる。このような本実施形態の構成では、等倍モードと昇圧モードとで切り替えを行う際に出力電圧Voutが降下しない。このため、本実施形態では、ディスプレイ電源部200の正常な動作が保証され、OLEDディスプレイ300の表示に影響が及ぶこともない。
【0033】
また、入力電圧Vinが閾値以上の状態から閾値未満となって等倍モードから昇圧モードとなった後に、何らかの要因で、入力電圧Vinが閾値の近傍で短時間のうちに変動するような状態となる場合がある。この場合には、短時間のうちに等倍モードと昇圧モードとが不用意に切り替わってしまう可能性がある。このように等倍モードと昇圧モードとが不用意かつ頻繁に切り替わる状態は避けられることが好ましい。
【0034】
そこで、検出部412は、以下のようにしてイネーブル信号ENの出力に関する動作を行うようにされる。つまり、検出部412は、等倍モードの状態において、入力電圧Vinと第1閾値とを比較するようにされる。
検出部412は、入力電圧Vinが第1閾値未満となった場合に、イネーブル信号ENを出力して昇圧モードに切り替える。検出部412は、昇圧モードの状態のもとでは、第1閾値よりも高い第2閾値と入力電圧Vinとを比較する。検出部412は、昇圧モードの状態のもと、入力電圧Vinが第2閾値よりも高くなったのであれば、イネーブル信号ENの出力を停止して、昇圧モードから等倍モードに切り替えるようにされてよい。さらに、検出部412は、昇圧モードの状態のもと、入力電圧Vinが第2閾値よりも高い状態が所定の待機時間(例えば数秒)にわたって継続したのであれば、イネーブル信号ENの出力を停止して、昇圧モードから等倍モードに切り替えるようにされてよい。
このような構成により、等倍モードから昇圧モードに遷移した後において、入力電圧Vinの小さな変動によって等倍モードから昇圧モードとで頻繁に切り替えが生じてしまう現象を回避できる。
なお、このような構成は、図3に示した第1実施形態の構成においても適用されてよい。
【0035】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について説明する。図6は、本実施形態の電圧切替部400Bの構成例を示している。図6の電圧切替部400Bについても、入力電圧Vinは2Sバッテリ100から出力され、出力電圧Voutはディスプレイ電源部200に出力される。
【0036】
図6の電圧切替部400Bは、DC-DCコンバータ420BとダイオードD11とを備える。DC-DCコンバータ420Bは、入力電圧Vinをスイッチング回路(インダクタL1、スイッチング素子Q1,Q2、スイッチング駆動回路421)によりスイッチングする。DC-DCコンバータ420Bは、入力電圧Vinをスイッチング回路のスイッチング動作によって断続し、出力コンデンサCo1、Co2の両端電圧として、所定の電圧値により安定化された直流電圧を生成する。このように生成された直流電圧が出力電圧Voutとして出力される。
ダイオードD11を省略したDC-DCコンバータ420B単体の動作により出力される出力電圧Voutの電圧値(規定電圧値)は、等倍モードと昇圧モードとの切り替えに応じた閾値に対応する電圧値と同等となるように設定される。具体的には、図2との例との対応では、規定電圧値は、7Vであってよい。
【0037】
ダイオードD11は、アノードが入力電圧Vinの正極と接続され、カソードが出力電圧Voutの正極と接続されるようにして設けられる。つまり、ダイオードD11は、昇圧回路411におけるスイッチング回路をバイパスして入力電圧Vinを出力電圧Voutとして出力可能なようにして設けられる。ダイオードD11は、例えば理想ダイオードが用いられてよい。
【0038】
本実施形態において、入力電圧Vinが閾値より高い場合には、DC-DCコンバータ420Bの入力側の電圧が、DC-DCコンバータ420Bの規定電圧値より大きくなる。このように、入力電圧Vinが閾値より高い場合にはダイオードD11が導通し、出力コンデンサCo1、Co2の並列接続には、このときの入力電圧Vinに応じた電圧値が出力電圧Voutとして得られる。つまり、この場合の電圧切替部400Bは、等倍モードとして、入力電圧Vinに応じた電圧値による出力電圧Voutを出力する。
【0039】
これに対して、入力電圧Vinが閾値(規定電圧値)以下の場合には、ダイオードD11が導通しない。この場合、電圧切替部400Bは、ダイオードD11を省略したのと同等の単体のDC-DCコンバータ420Bが動作する状態となる。つまり、この場合の電圧切替部400Bは、昇圧モードとして、7V未満の入力電圧Vinを、規定電圧値である7Vの出力電圧Voutに昇圧してディスプレイ電源部200に供給する。
【0040】
このような本実施形態の電圧切替部400Bの構成によっても、2Sバッテリ100からの入力電圧Vinの電圧値が所定値以上のときには、入力電圧Vinが出力電圧Voutとして出力される。一方、入力電圧Vinの電圧値が所定値未満のときには、規定電圧値による出力電圧Voutが出力される。
本実施形態の場合には、昇圧モードにおいて出力される出力電圧Voutは、入力電圧Vinを2倍にまで昇圧せずに、入力電圧Vinの閾値に対応する規定電圧値への昇圧にまで抑制される。このため、ディスプレイ電源部200の効率がさらに向上される。また、本実施形態においても、等倍モードと昇圧モードとでの切り替えにあたり、スイッチの端子の切り替えは生じないことから、出力電圧Voutの降下も生じない。
【0041】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図7は、本実施形態の電圧切替部400Cの構成例を示している。図7の電圧切替部400Cについても、入力電圧Vinは2Sバッテリ100から出力され、出力電圧Voutはディスプレイ電源部200に出力される。
【0042】
図7の電圧切替部400Cは、DC-DCコンバータ420Cを備える。DC-DCコンバータ420Cの構成において、図6のDC-DCコンバータ420Bと同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
同図のDC-DCコンバータ420Cにおけるスイッチング駆動回路421には入力電圧Vinが検出電圧として入力される。
【0043】
スイッチング駆動回路421は、検出電圧として入力された入力電圧Vinが閾値以上である場合には、等倍モードとして、スイッチング素子Q1についてはスイッチング動作を行わせずにオフ状態を維持させ、スイッチング素子Q2についてはスイッチング動作を行わせずにオン状態を維持させる。
【0044】
上記の状態では、DC-DCコンバータ420Cは、DC-DC変換の動作を停止したうえで、入力電圧VinがインダクタL1、スイッチング素子Q2を介して出力電圧Voutとして出力される。つまり、この場合には、等倍モードとして、入力電圧Vinに応じた電圧値の出力電圧Voutが出力される。
また、スイッチング駆動回路421は、検出電圧として入力された入力電圧Vinが閾値未満である場合には、スイッチング素子Q1、Q2にスイッチング動作を行わせることで、DC-DC変換の動作を行う。つまり、この場合には、昇圧モードとして、入力電圧Vinよりも高い規定電圧値による出力電圧Voutが出力される。
【0045】
このような構成によっても、第3実施形態と同様に、昇圧モードにおいて出力される出力電圧Voutは、入力電圧Vinの閾値に対応する規定電圧値への昇圧にまで抑制されるため、ディスプレイ電源部200の効率がさらに向上される。また、本実施形態においても、等倍モードと昇圧モードとでの切り替えにあたり、スイッチの端子の切り替えは生じないことから、出力電圧Voutの降下も生じない。
【0046】
<変形例>
以下、実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、上記各実施形態のいずれにも適用されてよい。また、以下の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0047】
[第1変形例]
電子機器が電源として2Sバッテリ100に加えてACアダプタを利用可能である場合において、電子機器にACアダプタが接続されている場合には、特にディスプレイ電源部200における消費電力の増加を考慮しなくともよいとの考え方を採ることができる。そこで、電圧切替部(400、400A、400B、400C)は、ACアダプタが電子機器に接続されている場合には、昇圧モードで動作するようにしてよい。
【0048】
[第2変形例]
等倍モードと昇圧モードとが頻繁に切り替わってしまう現象を防ぐための構成として、電圧切替部(400、400A、400B、400C)は、過去における等倍モードと昇圧モードとの間での切り替えの履歴に関する情報(モード切替履歴情報)を記憶するようにされてよい。そのうえで、電圧切替部(400、400A、400B、400C)は、記憶したモード切替履歴情報に基づいて閾値の変更等を行うようにされてよい。第2実施形態のように、第1閾値と第2閾値と待機時間とを設定して昇圧モードから等倍モードへの切り替えを行うようにされている場合には、電圧切替部は、記憶したモード切替履歴情報に基づいて、第1閾値と第2閾値と待機時間とを適宜変更可能なようにされてよい。
【0049】
[第3変形例]
上記各実施形態においては、等倍モードと昇圧モードとで切り替えが行われるようにされている。本変形例としては、例えば、昇圧の度合いを異ならせた第1昇圧モードと第2昇圧モードとを設け、入力電圧Vinに応じて第1昇圧モードと第2昇圧モードとで切り替えが行われるようにされてよい。
【0050】
[第4変形例]
入力電圧Vinを供給するバッテリは、2Sバッテリに限定されない。また、本実施形態の電力供給装置により駆動するディスプレイは、OLEDディスプレイ以外であってもよい。
【0051】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上記の実施形態において説明した各構成は、矛盾しない限り任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0052】
100 2Sバッテリ、200 ディスプレイ電源部、300 OLEDディスプレイ、400 電圧切替部、400A 電圧切替部、400B 電圧切替部、400C 電圧切替部、401 等倍モード部、402 昇圧モード部、403 スイッチ、411 昇圧回路、412 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を入力して所定電圧による電源をディスプレイに出力するディスプレイ電源回路と、
バッテリの電圧値が所定の閾値以上である場合には、前記バッテリが出力する電圧に基づく第1電圧を前記ディスプレイ電源回路に出力し、前記バッテリの電圧値が前記閾値未満である場合には、前記バッテリが出力する電圧に基づき前記第1電圧よりも高い第2電圧を前記ディスプレイ電源回路に出力する電圧切替部とを備え
前記電圧切替部は、前記バッテリが出力する電圧を前記第1電圧として出力し、前記バッテリが出力する電圧を昇圧させることにより前記第2電圧として出力し、
前記ディスプレイ電源回路について定められた入力電圧の許容範囲の下限値が前記バッテリの出力電圧範囲内であり、前記バッテリの出力電圧範囲の上限値は、前記ディスプレイ電源回路について定められた入力電圧の許容範囲内であり、
前記閾値は、前記ディスプレイ電源回路について定められた入力電圧の許容範囲の下限値である
電力供給装置。
【請求項2】
前記バッテリは、直列に接続された所定の複数のセルを備えて構成される
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記ディスプレイは、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイである
請求項1または2に記載の電力供給装置。