(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190485
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20221219BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20221219BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20221219BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
H01L23/36 A
H01L23/28 F
H01L23/28 J
H01L23/00 C
H05K1/02 P
H05K1/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098832
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 義成
【テーマコード(参考)】
4M109
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA03
4M109CA21
4M109CA22
4M109EA02
4M109EE07
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB13
5E338CC05
5E338CC08
5E338CD03
5E338EE02
5E338EE13
5F136BA30
5F136DA01
5F136FA52
5F136GA22
5F136GA23
(57)【要約】
【課題】微細な構造を有するヒートシンク及び電磁シールドを封止樹脂に簡便に形成することができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、半導体素子を有する半導体チップと、プリント基板と、所定の厚さで半導体チップを覆うとともに、プリント基板と対向する面に凹部を有し、プリント基板上に半導体チップを封止する封止樹脂と、凹部を含む封止樹脂の面の少なくとも一部を覆う第1のめっき層と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を有する半導体チップと、
プリント基板と、
所定の厚さで前記半導体チップを覆うとともに、前記プリント基板と対向する面に凹部を有し、前記プリント基板上に前記半導体チップを封止する封止樹脂と、
前記凹部を含む前記封止樹脂の前記面の少なくとも一部を覆う第1のめっき層と、を備える、
半導体装置。
【請求項2】
前記凹部は、
前記封止樹脂の厚さ方向に前記半導体チップと重なる複数の第1の凹部を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第1の凹部は、
前記半導体チップの前記プリント基板と対向する面に到達する複数の貫通孔であり、
前記第1のめっき層は、
前記複数の第1の凹部の側面から連続的に前記半導体チップの前記面をも覆う、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記プリント基板は、
前記半導体チップが配置される領域の周囲に、前記プリント基板を厚さ方向に貫通する貫通ビアを有し、
前記凹部は、
前記貫通ビアの上面に到達する第2の凹部を含み、
前記第1のめっき層は、
前記第2の凹部の側面から連続的に前記貫通ビアの上面をも覆い、前記貫通ビアと接続されている、
請求項2または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の凹部は、
前記半導体チップの周囲の少なくとも一部を囲う貫通溝、及び前記半導体チップの周囲に配置される複数の貫通孔の少なくともいずれかを含む、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1のめっき層の少なくとも一部を覆い、前記複数の第1の凹部内に充填される第2のめっき層を更に備える、
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記プリント基板は、
前記半導体チップが配置される領域の周囲に露出する接地用端子を備え、
前記凹部は、
前記半導体チップの周囲を取り囲み、前記接地用端子の上面に到達する枠状部を含み、
前記第1のめっき層は、
前記枠状部の側面から連続的に前記接地用端子の上面をも覆い、前記接地用端子と接続されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体チップは、
第1の半導体チップと第2の半導体チップとを含み、
前記凹部は、
前記封止樹脂の厚さ方向に前記第1の半導体チップと重なる複数の第1の凹部を含み、
前記枠状部は、
前記第2の半導体チップの周囲を取り囲む、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1のめっき層は、
前記封止樹脂の前記面を介して前記枠状部と前記複数の第1の凹部とを連続的に覆う、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1のめっき層の少なくとも一部を覆い、前記枠状部内に充填される第2のめっき層を更に備える、
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1のめっき層の少なくとも一部を覆い、前記枠状部内および前記複数の第1の凹部内の少なくともいずれかに充填される第2のめっき層を更に備える、
請求項8または請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体素子を有する半導体チップをプリント基板上に配置し、
所定の厚さで前記半導体チップを覆って前記プリント基板上に前記半導体チップを封止する封止樹脂を形成し、
前記封止樹脂の前記プリント基板と対向する面にレーザ光を照射して、前記封止樹脂の前記面を活性化するとともに、前記封止樹脂の前記面に凹部を形成し、
前記凹部を含む前記封止樹脂の活性化された前記面に、無電解めっきによりめっき層を形成する、
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記半導体チップを前記プリント基板上に配置するときは、
接地用端子を備える前記プリント基板上の前記接地用端子が露出した部分の近傍に前記半導体チップを配置し、
前記凹部は枠状部を含み、
前記凹部を形成するときは、
前記半導体チップの周囲を取り囲み、前記接地用端子の上面に到達するように前記枠状部を形成し、
前記めっき層を形成するときは、
前記枠状部の側面から連続的に前記接地用端子の上面をも前記めっき層で覆い、前記めっき層を前記接地用端子と接続させる、
請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の高速化および高電力化に伴って、半導体素子を有する半導体チップが封止された半導体装置の発熱および電磁波の影響が顕著になっている。このため、半導体チップの放熱を促進するヒートシンク、及び半導体チップからの電磁波を遮蔽する電磁シールドを半導体装置に設ける検討がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-057805号公報
【特許文献2】特開平11-330315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半導体素子が小型化されるなか、微細な構造を有するヒートシンク及び電磁シールドを封止樹脂に簡便に形成することは困難である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、微細な構造を有するヒートシンク及び電磁シールドを封止樹脂に簡便に形成することができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の半導体装置は、半導体素子を有する半導体チップと、プリント基板と、所定の厚さで前記半導体チップを覆うとともに、前記プリント基板と対向する面に凹部を有し、前記プリント基板上に前記半導体チップを封止する封止樹脂と、前記凹部を含む前記封止樹脂の前記面の少なくとも一部を覆う第1のめっき層と、を備える。
【0007】
この構成によれば、微細な構造を有するヒートシンク及び電磁シールドを封止樹脂に簡便に形成することができる。
【0008】
また、上述の半導体装置において、前記凹部は、前記封止樹脂の厚さ方向に前記半導体チップと重なる複数の第1の凹部を含む。この構成によれば、微細な構造を有するヒートシンクを封止樹脂に簡便に形成することができる。
【0009】
また、上述の半導体装置において、前記複数の第1の凹部は、前記半導体チップの前記プリント基板と対向する面に到達する複数の貫通孔であり、前記第1のめっき層は、前記複数の第1の凹部の側面から連続的に前記半導体チップの前記面をも覆う。この構成によれば、半導体チップから直接的に放熱をすることが可能なヒートシンクが得られる。
【0010】
また、上述の半導体装置において、前記プリント基板は、前記半導体チップが配置される領域の周囲に、前記プリント基板を厚さ方向に貫通する貫通ビアを有し、前記凹部は、前記貫通ビアの上面に到達する第2の凹部を含み、前記第1のめっき層は、前記第2の凹部の側面から連続的に前記貫通ビアの上面をも覆い、前記貫通ビアと接続されている。この構成によれば、プリント基板を介して放熱をすることが可能なヒートシンクが得られる。
【0011】
また、上述の半導体装置において、前記第2の凹部は、前記半導体チップの周囲の少なくとも一部を囲う貫通溝、及び前記半導体チップの周囲に配置される複数の貫通孔の少なくともいずれかを含む。この構成によれば、プリント基板を介して放熱する構成を様々な形状とすることができる。
【0012】
また、上述の半導体装置において、前記第1のめっき層の少なくとも一部を覆い、前記複数の第1の凹部内に充填される第2のめっき層を更に備える。この構成によれば、めっき層の厚さを種々に調整することができる。
【0013】
また、上述の半導体装置において、前記プリント基板は、前記半導体チップが配置される領域の周囲に露出する接地用端子を備え、前記凹部は、前記半導体チップの周囲を取り囲み、前記接地用端子の上面に到達する枠状部を含み、前記第1のめっき層は、前記枠状部の側面から連続的に前記接地用端子の上面をも覆い、前記接地用端子と接続されている。この構成によれば、微細な構造を有する電磁シールドを封止樹脂に簡便に形成することができる。
【0014】
また、上述の半導体装置において、前記半導体チップは、第1の半導体チップと第2の半導体チップとを含み、前記凹部は、前記封止樹脂の厚さ方向に前記第1の半導体チップと重なる複数の第1の凹部を含み、前記枠状部は、前記第2の半導体チップの周囲を取り囲む。この構成によれば、微細な構造を有するヒートシンク及び電磁シールドの両方を封止樹脂に簡便に形成することができる。
【0015】
また、上述の半導体装置において、前記第1のめっき層は、前記封止樹脂の前記面を介して前記枠状部と前記複数の第1の凹部とを連続的に覆う。この構成によれば、ヒートシンク及び電磁シールドを封止樹脂に一体的に形成することができる。
【0016】
また、上述の半導体装置において、前記第1のめっき層の少なくとも一部を覆い、前記枠状部内に充填される第2のめっき層を更に備える。この構成によれば、めっき層の厚さを種々に調整することができる。
【0017】
また、上述の半導体装置において、前記第1のめっき層の少なくとも一部を覆い、前記枠状部内および前記複数の第1の凹部内の少なくともいずれかに充填される第2のめっき層を更に備える。この構成によれば、めっき層の厚さを種々に調整することができる。
【0018】
実施形態の半導体装置の製造方法は、半導体素子を有する半導体チップをプリント基板上に配置し、所定の厚さで前記半導体チップを覆って前記プリント基板上に前記半導体チップを封止する封止樹脂を形成し、前記封止樹脂の前記プリント基板と対向する面にレーザ光を照射して、前記封止樹脂の前記面を活性化するとともに、前記封止樹脂の前記面に凹部を形成し、前記凹部を含む前記封止樹脂の活性化された前記面に、無電解めっきによりめっき層を形成する。
【0019】
この構成によれば、微細な構造を有するヒートシンク及び電磁シールドを封止樹脂に簡便に形成することができる。
【0020】
また、上述の半導体装置の製造方法において、前記半導体チップを前記プリント基板上に配置するときは、接地用端子を備える前記プリント基板上の前記接地用端子が露出した部分の近傍に前記半導体チップを配置し、前記凹部は枠状部を含み、前記凹部を形成するときは、前記半導体チップの周囲を取り囲み、前記接地用端子の上面に到達するように前記枠状部を形成し、前記めっき層を形成するときは、前記枠状部の側面から連続的に前記接地用端子の上面をも前記めっき層で覆い、前記めっき層を前記接地用端子と接続させる。この構成によれば、微細な構造を有する電磁シールドを封止樹脂に簡便に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す図面である。
【
図3】
図3は、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す図面である。
【
図4】
図4は、実施形態1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す図面である。
【
図5】
図5は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の変形例2にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1の変形例3にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態1の変形例4にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態1の変形例5にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の変形例6にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態2にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態3にかかる半導体装置の構成の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態3の変形例にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態3の変形例にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の例示的な実施形態等の同様の構成要素には共通の符号を付与して、重複する説明を適宜省略する。
【0023】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0024】
(半導体装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体装置1の構成の一例を示す図である。
図1の上図は半導体装置1の上面図であり、下図は半導体装置1の断面図である。
【0025】
図1に示すように、実施形態1の半導体装置1は、プリント基板10、半導体チップ21a,21b,22、封止樹脂30、及びめっき層40a,40bを備え、封止樹脂30の上面にヒートシンク51及び電磁シールド52を有する半導体パッケージとして構成されている。
【0026】
プリント基板(PCB:Printed Circuit Board)10は、例えばエポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、またはフェノール樹脂等から構成される基板11を備える。基板11には、複数のビア及び複数の配線を積層することで、基板11の上下面に貫通する複数の端子12が配置されている。複数の端子12には、接地線等に接続されることとなる接地用端子12gが含まれる。
【0027】
プリント基板10上には、複数の半導体チップ21a,21b,22、または複数の半導体チップ21a,21b,22が搭載された半導体パッケージ等が配置されている。これらの半導体チップ21a,21b,22は上面に半導体素子を有する。半導体素子は、SoC(System on Chip)及びFET(Field Effect Transistor)等の能動素子、並びにコンデンサ及び抵抗等の受動素子等でありうる。これらの半導体素子の中には、動作に伴って発熱するもの及び電磁波を発生させるもの等が含まれる。
【0028】
図1の例では、第1の半導体チップとしての半導体チップ21a,21bは、発熱しやすい半導体素子を有するものとする。第2の半導体チップとしての半導体チップ22は、電磁波を発生させる半導体素子、または電磁波の影響を受け特性が悪化する半導体素子を有するものとする。
【0029】
半導体チップ21a,21b,22が有する半導体素子は、プリント基板10の複数の端子12のうちのいずれかに電気的に接続されている。これらの端子12のうちの幾つかは接地用端子12gであってもよい。これにより、半導体素子は、端子12を介して電力の供給を受けたり、種々の信号の授受を行ったり、接地電位に調整されたりすることができる。また、半導体チップ22が配置されるプリント基板10の領域の周囲にも接地用端子12gが配置される。
【0030】
封止樹脂30は、半導体チップ21a,21b,22を覆ってプリント基板10上に半導体チップ21a,21b,22を封止している。封止樹脂30は、添加剤として有機金属化合物を含有するエポキシ樹脂、フェノール樹脂、またはポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から構成される。ただし、有機金属化合物の含有率、及び金属原子が有機リガンドに捕捉された状態にあること等から、封止樹脂30は、半導体チップ21a,21b,22の封止材に要求される程度の絶縁性を充分に保っている。また、封止樹脂30は、上面、つまり、プリント基板10と対向する面に、孔部31及び枠状部32を有する。
【0031】
複数の第1の凹部としての孔部31は、封止樹脂30の厚さ方向に半導体チップ21a,21bと重なる位置に配置されている。つまり、複数の孔部31は半導体チップ21a,21bの上方に配置されている。複数の孔部31は、半導体チップ21a,21b上方の封止樹脂30の所定深さまで到達し、例えば円形、楕円形、または多角形等の断面形状を有する孔として形成されている。
【0032】
複数の孔部31のそれぞれの孔径は例えば100μm以下である。また、複数の孔部31の深さと孔径とは例えば1:1とすることができる。したがって、複数の孔部31の孔径が100μmである場合、複数の孔部31は例えば100μmの深さに加工することが可能である。また、隣接する孔部31同士の間隔と孔径とは例えば1:1とすることができる。したがって、複数の孔部31の孔径が100μmである場合、隣接する孔部31同士の間隔を例えば100μmまで狭めて加工することが可能であり、例えば200μmの狭ピッチが得られる。
【0033】
ただし、封止樹脂30は、複数の第1の凹部として複数の溝部を有していてもよい。この場合、複数の溝部のそれぞれの幅は例えば50μm以下である。また、複数の溝部の深さと幅とは例えば1:1とすることができる。したがって、複数の溝部の幅が50μmである場合、複数の溝部は例えば50μmの深さに加工することが可能である。また、隣接する溝部同士の間隔と溝部の幅とは例えば1:1とすることができる。したがって、複数の溝部の幅が50μmである場合、隣接する溝部同士の間隔を例えば50μmまで狭めて加工することが可能であり、例えば100μmの狭ピッチが得られる。
【0034】
凹部としての枠状部32は、半導体チップ22の周囲を取り囲む枠状に構成され、封止樹脂30を貫通してプリント基板10の接地用端子12gに到達している。枠状部32の1辺の幅、つまり溝幅は例えば50μm以下であり、枠状部32の深さと溝幅とは例えば1:1とすることができる。したがって、枠状部32の溝幅が50μmである場合、枠状部32は例えば50μmの深さに加工することが可能である。
【0035】
なお、これらの複数の孔部31(または複数の溝部)、及び枠状部32は、後述するようにレーザ光の照射により形成される。したがって、上記の孔径、孔ピッチ、溝幅、及び溝ピッチ等の最小値、並びに孔深さ及び溝深さ等の最大値は、封止樹脂30の材質、レーザ光の波長、及びレーザ光を照射する装置の型式等によって異なりうる。
【0036】
第1のめっき層としてのめっき層40a,40bは、例えば銅めっき等により形成された銅薄層等であり、孔部31及び枠状部32を含む封止樹脂30の上面の一部を覆っている。めっき層40a,40bの厚さは、例えば3μm以上10μm以下である。
【0037】
めっき層40aは、封止樹脂30の厚さ方向に半導体チップ21a,21bと重なる位置に配置されている。つまり、めっき層40aは、半導体チップ21a,21bが配置される領域の上方に位置する封止樹脂30の上面、及び孔部31を覆うように配置される。このとき、めっき層40aは、封止樹脂30の上面から、孔部31の側面、孔部31の底面までを連続的に覆う。
【0038】
めっき層40bは、封止樹脂30の厚さ方向に半導体チップ22と重なる位置に配置されている。つまり、めっき層40bは、半導体チップ22が配置される領域の上方に位置する封止樹脂30の上面、及び枠状部32を覆うように配置される。このとき、めっき層40bは、封止樹脂30の上面から、枠状部32の側面、枠状部32の底面までを連続的に覆う。枠状部32の底面において、めっき層40bはプリント基板10の接地用端子12gに接続される。
【0039】
ここで、主に封止樹脂30の複数の孔部31及びめっき層40aによりヒートシンク51が構成される。つまり、複数の孔部31による凹凸形状によって封止樹脂30上面の表面積が増大し、また、その凹凸形状の表面に封止樹脂30よりも熱伝導率が高いめっき層40aが配置されることで、半導体チップ21a,21bからの熱がヒートシンク51を介して半導体装置1の周囲へと放散されやすくなる。
【0040】
また、主に封止樹脂30の枠状部32及びめっき層40bにより電磁シールド52が構成される。これらに加え、電磁シールド52がめっき層40bに接続される接地用端子12gを含むこととしてもよい。半導体チップ22の上方に配置される封止樹脂30の上面、及び半導体チップ22を取り囲む枠状部32、及びそれらの構成を覆いつつ接地用端子12gに接続されるめっき層40bにより、半導体チップ22から発生した電磁波が電磁シールド52によって遮蔽されやすくなる。
【0041】
以上のように構成される半導体装置1は、図示しないボールグリッド、ソケット、その他の構成を介して、プリント基板10がホストコンピュータ側のマザーボード等に接続されることで、種々の用途に用いられる。
【0042】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図2~
図4を用いて、実施形態1の半導体装置1の製造方法について説明する。
図2~
図4は、実施形態1にかかる半導体装置1の製造方法の手順の一例を示す図面である。
図2~
図4の左図は製造途中の半導体装置1の断面図であり、右図は製造途中の半導体装置1の上面図である。
【0043】
図2に示すように、半導体チップ21a,21b,22をプリント基板10上に配置し、プリント基板10の端子12等と電気的に接続する。また、半導体チップ21a,21b,22を覆ってプリント基板10上に半導体チップ21a,21b,22を封止する封止樹脂30を形成する。
【0044】
封止樹脂30は、コンプレッション成形、インジェクション成形、またはトランスファ成形等の種々の成形方法で形成することができる。この時点で、封止樹脂30は孔部31及び枠状部32を有しておらず、封止樹脂30の上面は平坦な状態である。
【0045】
図3に示すように、半導体チップ21a,21bが配置される領域上方の封止樹脂30の上面、及び半導体チップ22が配置される領域上方の封止樹脂30の上面にレーザ光を照射する。これにより、レーザ光を照射された封止樹脂30上面の領域33a,33bが活性化する。封止樹脂30の活性化とは、レーザ光の照射により、封止樹脂30に含有される有機金属化合物の金属原子が、有機リガンドから遊離した状態となることである。
【0046】
またこのとき、レーザ光の照射により、封止樹脂30の上面の領域33aに複数の孔部31を形成する。また、封止樹脂30の上面の領域33bに半導体チップ22が配置される領域を取り囲む枠状部32を形成する。
【0047】
またこのとき、レーザ光の照射により、封止樹脂30上面の領域33a,33bは、例えばコンプレッション成形、インジェクション成形、またはトランスファ成形等の成形直後の表面よりも高い粗度を有することとなる。
【0048】
図4に示すように、封止樹脂30の上面に銅による無電解めっきを施す。このとき、レーザ光を照射され、活性化した封止樹脂30上面の領域33a,33bにおいて、有機リガンドから遊離した金属原子が触媒として機能する。
【0049】
これにより、封止樹脂30の領域33a,33bへの無電解での銅めっきが可能となって、めっき層40a,40bがそれぞれの領域33a,33bに選択的に形成される。めっき層40a,40bの形成は、封止樹脂30の領域33a,33bが、レーザ光の照射によって他の表面より高い粗度を有していることによっても促進される。またこのとき、領域33aの孔部31の内部、及び領域33bの枠状部32の内部もめっき層40a,40bで覆われる。
【0050】
以上により、実施形態1の半導体装置1が製造される。
【0051】
(比較例)
半導体素子の高速化および高電力化に伴って、半導体パッケージ等の半導体装置にヒートシンク及び電磁シールドを設ける技術が検討されている。
【0052】
比較例1としての上述の特許文献1の技術では、封止樹脂にレーザ光を照射して溝を形成し、導電性樹脂で被覆して電磁シールド機能を持たせる。しかしながら、導電性樹脂の特性上、微細な溝内にカバレッジ性よく導電性樹脂を被覆することは困難である。また、局所的な領域に絞って導電性樹脂を被覆することも難しい。このため、電磁シールドのサイズが大きくなってしまうという難点がある。導電性樹脂の形成には、導電性樹脂を塗布し硬化させる処理を要するため、製造工程が煩雑となってしまう懸念もある。
【0053】
比較例2としての上述の特許文献2の技術では、封止樹脂を形成した後、封止樹脂が硬化する前に、凹凸形状を有する金型を封止樹脂の表面に押し当てる。これにより、表面に凹凸形状のヒートシンクを有する封止樹脂が得られる。しかしながら、金型を用いた凹凸形状の形成では、微細で狭ピッチの構造を有するヒートシンクの形成は困難である。
【0054】
実施形態1の半導体装置1によれば、上面に孔部31及び枠状部32を有する封止樹脂30と、孔部31及び枠状部32を含む封止樹脂30の上面を覆うめっき層40a,40bとを備える。
【0055】
このような構成は、上述したように簡便な工法によって得ることができ、ヒートシンク51及び電磁シールド52を一括して形成することができる。これにより、例えば別部材から構成されるヒートシンク及び電磁シールドを半導体装置に組み付ける必要が無く、材料および工数を削減することができる。半導体装置1の小型化を容易に図ることも可能である。
【0056】
また、複雑な凹凸構造は、封止樹脂30の成形後に形成されるので、封止樹脂30を成形する際に、複雑な凹凸構造を有する金型を使用する必要がない。このため、金型内部での硬化前の樹脂の流動性が妨げられるのを抑制することができ、樹脂の流動制御が容易となる。樹脂内に巻き込みボイド等が生じてしまうことも抑制できる。
【0057】
また、レーザ光を照射することで、微細で狭ピッチの孔部31及び枠状部32を任意の場所に形成することができ、更にそれをめっき層40a,40bで覆うことができる。このため、微細な構造を有するヒートシンク51及び電磁シールド52を簡便に形成することができる。これにより、よりいっそう半導体装置1を小型化することが容易となる。
【0058】
なお、上述の実施形態1では、枠状部32がプリント基板10の接地用端子12gにまで到達し、めっき層40bは枠状部32の底面で接地用端子12gと接続されることとした。しかし、半導体装置1の周囲に設置されたケース等が配置される場合には、めっき層40bが、封止樹脂30の上面で配線等によりケースと接続されることで接地される構成となっていてもよい。この場合、枠状部は貫通していなくともよく、プリント基板は接地用端子12gを半導体チップ23の周囲に備えていなくともよい。
【0059】
(変形例1)
次に、
図5を用いて、実施形態1の変形例1の半導体装置1aについて説明する。変形例1の半導体装置1aは、ヒートシンクと電磁シールドとが一体に構成されている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0060】
図5は、実施形態1の変形例1にかかる半導体装置1aの構成の一例を示す図である。
図5の左図は半導体装置1aの断面図であり、右図は半導体装置1aの上面図である。
【0061】
図5に示すように、半導体装置1aは、上面の一部領域がめっき層41aで覆われた封止樹脂30aを備える。
【0062】
第1のめっき層としてのめっき層41aは、半導体チップ21a,21b,22が配置された領域上方の封止樹脂30aの上面、孔部31、及び枠状部32を連続的に覆う。これにより、半導体装置1aは、主に封止樹脂30aの複数の孔部31、枠状部32、及びめっき層41aにより一体に構成されたヒートシンク/電磁シールド53aを備えることとなる。
【0063】
このような半導体装置1aは、上述の実施形態1の
図3において、封止樹脂30aの上面へのレーザ光の照射領域を広くすることで製造することが可能である。すなわち、半導体チップ21a,21b,22が配置される領域上方の封止樹脂30aの上面の連続的な領域をレーザ光で照射する。これにより、封止樹脂30aのこの領域の表面全体が活性化される。その後、封止樹脂30aの上面に銅めっき処理を施せば、半導体チップ21a,21b,22が配置される領域上方の封止樹脂30aの上面領域を連続的に覆うめっき層41aが形成される。
【0064】
変形例1の半導体装置1aによれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0065】
変形例1の半導体装置1aによれば、めっき層41aが封止樹脂30aの上面を介して枠状部32と複数の孔部31とを連続的に覆う。これにより、めっき層41aの全体の表面積が増大し、ヒートシンク/電磁シールド53aの放熱性を更に向上させることができる。
【0066】
(変形例2)
次に、
図6を用いて、実施形態1の変形例2の半導体装置1bについて説明する。変形例2の半導体装置1bは、複数の孔部31bが貫通孔である点が上述の実施形態1とは異なる。
【0067】
図6は、実施形態1の変形例2にかかる半導体装置1bの構成の一例を示す図である。
図6の左図は半導体装置1bの断面図であり、右図は半導体装置1bの上面図である。
【0068】
図6に示すように、半導体装置1bは、半導体チップ21a,21bのプリント基板10と対向する面に到達する複数の孔部31bを有する封止樹脂30bを備える。つまり、複数の第1の凹部としての孔部31bは、半導体チップ21a,21b上方の封止樹脂30bを貫通し、半導体チップ21a,21bの上面に到達する貫通孔として構成されている。
【0069】
また、半導体装置1bの第1のめっき層としてのめっき層41bは、封止樹脂30bの上面を介して枠状部32と複数の孔部31bとを連続的に覆い、複数の孔部31b内においては孔部31bの側面から連続的に孔部31bの底面に露出した半導体チップ21a,21bの上面をも覆っている。
【0070】
これにより、半導体装置1bは、主に封止樹脂30bの複数の孔部31b、枠状部32、及びめっき層41bにより一体に構成されたヒートシンク/電磁シールド53bを有することとなる。
【0071】
このような半導体装置1bは、上述の実施形態1の
図3において、封止樹脂30bの上面へレーザ光を照射する際に、半導体チップ21a,21bの上面に到達する複数の孔部31bを形成することで製造することが可能である。その後、封止樹脂30bの上面に銅めっき処理を施せば、孔部31bの底面の半導体チップ21a,21bの上面を覆うめっき層41bが形成される。
【0072】
変形例2の半導体装置1bによれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0073】
変形例2の半導体装置1bによれば、半導体チップ21a,21bのプリント基板10と対向する面に到達する複数の貫通孔として形成された複数の孔部31bと、複数の孔部31bの側面から連続的に半導体チップ21a,21bの上面を覆うめっき層41bとを備える。これにより、半導体チップ21a,21bの上面からめっき層41bへと直接熱を伝えることができ、半導体装置1bの放熱性を更に向上させることができる。
【0074】
なお、封止樹脂30bを貫通する孔部31bを有する上記構成において、ヒートシンクと電磁シールドとは一体に構成されていなくともよく、孔部31bと枠状部32とをそれぞれ別々に覆う分離されためっき層を有していていもよい。
【0075】
(変形例3)
次に、
図7を用いて、実施形態1の変形例3の半導体装置1cについて説明する。変形例3の半導体装置1cは、めっき層41cが封止樹脂30cの表面全体を覆っている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0076】
図7は、実施形態1の変形例3にかかる半導体装置1cの構成の一例を示す図である。
図7の左図は半導体装置1cの断面図であり、右図は半導体装置1cの上面図である。
【0077】
図7に示すように、半導体装置1cは、上面および側面の表面全体がめっき層41cに覆われた封止樹脂30cを備える。
【0078】
つまり、第1のめっき層としてのめっき層41cは、封止樹脂30cの上面および側面の表面全体に配置されている。これにより、半導体装置1cは、主に封止樹脂30cの複数の孔部31、枠状部32、及びめっき層41cにより一体に構成され、封止樹脂30cの表面全体に広がったヒートシンク/電磁シールド53cを有することとなる。
【0079】
このような半導体装置1cは、上述の実施形態1の
図3において、封止樹脂30cの上面および側面の表面全体にレーザ光を照射することで製造することが可能である。これにより、封止樹脂30cの表面全体が活性化される。その後、封止樹脂30aに銅めっき処理を施せば、封止樹脂30cの表面全体を覆うめっき層41cが形成される。
【0080】
変形例3の半導体装置1cによれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0081】
変形例3の半導体装置1cによれば、封止樹脂30cの表面全体がめっき層41cで覆われている。これにより、半導体装置1cの放熱性および電磁波の遮蔽性がよりいっそう向上する。
【0082】
(変形例4~6)
次に、
図8~
図10を用いて、実施形態1の変形例4~6の半導体装置1d~1fについて説明する。変形例4~6の半導体装置1d~1fは、半導体チップ21a,21bの周囲に更に放熱を促進させる構造を有する点が上述の実施形態1とは異なる。
【0083】
図8は、実施形態1の変形例4にかかる半導体装置1dの構成の一例を示す図である。
図8の左図は半導体装置1dの断面図であり、右図は半導体装置1dの上面図である。
【0084】
図8に示すように、半導体装置1dは、半導体チップ21a,21bの周囲に貫通ビア12tを有するプリント基板10dを備える。貫通ビア12tは、プリント基板10dの基板11を厚さ方向に貫通し、半導体チップ21a,21b及びプリント基板10dの端子12等の他の構成からは電気的に浮遊したダミービアとして構成されている。
【0085】
また、半導体装置1dは、半導体チップ21a,21bの上方に配置される複数の孔部31に加え、半導体チップ21a,21bを取り囲む溝部31dを有する封止樹脂30dを備える。
【0086】
第2の凹部としての溝部31dは、例えば半導体チップ21a,21bを囲む枠状に配置され、封止樹脂30dを貫通してプリント基板10dの貫通ビア12tに到達する貫通溝として構成されている。溝部31dの幅は例えば50μm以下であり、溝部31dの深さと幅とは例えば1:1とすることができる。なお、加工可能な最小溝幅および最大深さ等は、封止樹脂30dの材質、レーザ光の波長、及びレーザ光を照射する装置の型式等によって異なる。
【0087】
半導体装置1dの第1のめっき層としてのめっき層41dは、例えば封止樹脂30dの表面全体を覆うとともに、溝部31dの側面および底面をも連続的に覆う。これにより、めっき層41dは溝部31dの底面に露出した貫通ビア12tの上面をも覆い、貫通ビア12tに接続される。
【0088】
またこれにより、半導体装置1dは、主に封止樹脂30dの複数の孔部31、溝部31d、枠状部32、及びめっき層41dにより一体に構成されたヒートシンク/電磁シールド53dを有することとなる。ヒートシンク/電磁シールド53dにおいて、主に複数の孔部31、溝部31d、及びめっき層41dによりヒートシンクとしての機能が発揮される。また、主に枠状部32及びめっき層41dにより電磁シールドとしての機能が発揮される。
【0089】
このような半導体装置1dは、上述の実施形態1の
図3において、封止樹脂30dの表面全体へレーザ光を照射する際に、半導体チップ21a,21bの周囲を取り囲み、プリント基板10dの貫通ビア12tの上面に到達する溝部31dを形成することで製造することが可能である。その後、封止樹脂30dに銅めっき処理を施せば、溝部31dの底面に露出する貫通ビア12tの上面を覆うめっき層41dが形成される。
【0090】
図9は、実施形態1の変形例5にかかる半導体装置1eの構成の一例を示す上面図である。半導体装置1eの断面は、上述の半導体装置1dの断面と略同一であるので、上述の
図8の断面図を一部援用して説明する。
【0091】
図9に示すように、半導体装置1eの封止樹脂30eは、半導体チップ21a,21bの周囲に配置される孔部31eを有している。また、半導体装置1eは、例えば上述の半導体装置1dと同様、プリント基板10dを備えている。
【0092】
第2の凹部としての孔部31eは、例えば半導体チップ21a,21bが配置される領域の各頂点にあたる位置に複数配置され、封止樹脂30eを貫通してプリント基板10dの貫通ビア12tに到達する貫通孔として構成されている。孔部31eの孔径は例えば100μm以下であり、孔部31eの深さと孔径とは例えば1:1とすることができる。なお、加工可能な最小径および最大深さ等は、封止樹脂30dの材質、レーザ光の波長、及びレーザ光を照射する装置の型式等によって異なる。
【0093】
半導体装置1eの第1のめっき層としてのめっき層41eは、例えば封止樹脂30eの表面全体を覆うとともに、孔部31eの側面および底面をも連続的に覆う。これにより、めっき層41eは孔部31eの底面に露出した貫通ビア12tの上面をも覆い、貫通ビア12tに接続される。
【0094】
またこれにより、半導体装置1eは、主に封止樹脂30eの複数の孔部31,31e、枠状部32、及びめっき層41eにより一体に構成されたヒートシンク/電磁シールド53eを有することとなる。ヒートシンク/電磁シールド53eにおいて、主に複数の孔部31,31e、及びめっき層41eによりヒートシンクとしての機能が発揮される。また、主に枠状部32及びめっき層41eにより電磁シールドとしての機能が発揮される。
【0095】
このような半導体装置1eは、上述の半導体装置1dと同様に製造することが可能である。
【0096】
図10は、実施形態1の変形例6にかかる半導体装置1fの構成の一例を示す上面図である。半導体装置1fの断面は、上述の半導体装置1dの断面と略同一であるので、上述の
図8の断面図を一部援用して説明する。
【0097】
図10に示すように、半導体装置1fの封止樹脂30fは、半導体チップ21a,21bの周囲の一部を囲う溝部31fを有している。また、半導体装置1fは、例えば上述の半導体装置1dと同様、プリント基板10dを備えている。
【0098】
第2の凹部としての溝部31fは、例えば半導体チップ21a,21bが配置される領域の各頂点にあたる位置にV字に配置され、封止樹脂30fを貫通してプリント基板10dの貫通ビア12tに到達する貫通溝として構成されている。溝部31fの幅は例えば50μm以下であり、溝部31fの深さと幅とは例えば1:1とすることができる。なお、加工可能な最小溝幅および最大深さ等は、封止樹脂30fの材質、レーザ光の波長、及びレーザ光を照射する装置の型式等によって異なる。
【0099】
半導体装置1fの第1のめっき層としてのめっき層41fは、例えば封止樹脂30fの表面全体を覆うとともに、溝部31fの側面および底面をも連続的に覆う。これにより、めっき層41fは溝部31fの底面に露出した貫通ビア12tの上面をも覆い、貫通ビア12tに接続される。
【0100】
またこれにより、半導体装置1fは、主に封止樹脂30fの複数の孔部31、複数の溝部31f、枠状部32、及びめっき層41fにより一体に構成されたヒートシンク/電磁シールド53fを有することとなる。ヒートシンク/電磁シールド53fにおいて、主に複数の孔部31、複数の溝部31f、及びめっき層41fによりヒートシンクとしての機能が発揮される。また、主に枠状部32及びめっき層41fにより電磁シールドとしての機能が発揮される。
【0101】
このような半導体装置1fは、上述の半導体装置1dと同様に製造することが可能である。
【0102】
変形例4~6の半導体装置1d~1fによれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0103】
変形例4~6の半導体装置1d~1fによれば、封止樹脂30d~30fが、プリント基板10dの貫通ビア12tの上面に到達する溝部31d、孔部31e、または溝部31fを有し、めっき層41d~41fは、溝部31d、孔部31e、または溝部31fの側面から貫通ビア12tの上面をも覆い、貫通ビア12tと接続されている。
【0104】
このように、ヒートシンクとして機能する溝部31d、孔部31e、または溝部31f内のめっき層41d~41fが貫通ビア12tと接続されることで、プリント基板10dを介した放熱も促進することができ、半導体装置1d~1fの放熱性がよりいっそう向上する。
【0105】
また、半導体チップ21a,21bの周囲に配置される放熱促進構造を溝部31d、孔部31e、または溝部31f等のように様々に構成することが可能であるので、半導体チップ21a,21bの配置および周囲のスペース等に合わせた構成とすることができる。
【0106】
また、孔部31eの数を削減し、または溝部31fを短くすること等により、銅めっきの量を削減することも可能である。
【0107】
なお、半導体チップ21a,21bの周囲に配置される放熱促進構造は、上述の溝部31d、孔部31e、または溝部31f以外にも、種々の形状および配置を取ることができる。
【0108】
また、半導体チップ21a,21bの周囲に放熱を促進させる構造を有する上記構成において、めっき層は封止樹脂の表面全体に配置されていなくともよく、さらには、ヒートシンクと電磁シールドとは一体に構成されていなくともよい。この場合、半導体装置が、孔部31bと共に放熱を促進させる構造と、枠状部32とをそれぞれ別々に覆う分離されためっき層を有していてもよい。
【0109】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2の半導体装置は、プリント基板の両面に半導体チップが実装されている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0110】
図11は、実施形態2にかかる半導体装置2の構成の一例を示す図である。
図11の上図は半導体装置2の上面図であり、下図は半導体装置2の断面図である。
【0111】
図11に示すように、実施形態2の半導体装置2は、プリント基板14の両面に半導体チップ21a~21d,22,23が実装された構造を取ることができる。一例として、ヒートシンクと電磁シールドとが一体に構成され、半導体チップ21a~21dの周囲に更なる放熱促進構造として溝部31g,31hを有する半導体装置2について以下に説明する。
【0112】
すなわち、半導体装置2は、プリント基板14、半導体チップ21a~21d,22,23、封止樹脂34、及びめっき層44x,44yを備え、封止樹脂34の両面に一体に構成されたヒートシンク/電磁シールド54x,54yをそれぞれ有する半導体パッケージとして構成されている。
【0113】
プリント基板14は、面11x,11yを有する基板11、及び基板11に配置された複数の端子12及び複数の貫通ビア12tを有する。複数の端子12は接地用端子12gを含む。
【0114】
プリント基板14の第1の面としての面11x上には、複数の半導体チップ21a,21b,22が配置されている。プリント基板14の第2の面としての面11y上には、複数の半導体チップ21c,21d,23が配置されている。これらの半導体チップ21c,21d,23もまた、SoC及びFET等の能動素子、並びにコンデンサ及び抵抗等の受動素子等の半導体素子を上面に有する。
【0115】
図11の例では、第3の半導体チップとしての半導体チップ21c,21dは、発熱しやすい半導体素子を有するものとする。第4の半導体チップとしての半導体チップ23は、電磁波を発生させる半導体素子を有するものとする。
【0116】
半導体チップ21a~21d,22,23が有する半導体素子は、プリント基板14の複数の端子12のうちのいずれかに電気的に接続されている。これらの端子12のうちの幾つかは接地用端子12gであってもよい。接地用端子12gの更に幾つかは、半導体チップ22,23が配置されるプリント基板14の領域の周囲にも配置されている。
【0117】
封止樹脂34は、半導体チップ21a~21d,22,23が配置されたプリント基板14の両方の面11x,11yを覆う。つまり、封止樹脂34は、半導体チップ21a,21b,22を覆ってプリント基板14の面11x上に半導体チップ21a,21b,22を封止している。また、封止樹脂34は、半導体チップ21c,21d,23を覆ってプリント基板14の面11y上に半導体チップ21c,21d,23を封止している。
【0118】
封止樹脂34もまた、添加剤として有機金属化合物を含有するエポキシ樹脂、フェノール樹脂、またはポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から構成される。
【0119】
また、封止樹脂34は、両面に、孔部31x,31y、溝部31g,31h、及び枠状部32x,32yを有する。つまり、封止樹脂34は、プリント基板14の面11xと対向する第3の面としての面34xに孔部31x、溝部31g、及び枠状部32xを有し、プリント基板14の面11yと対向する第4の面としての面34yに孔部31y、溝部31h、及び枠状部32yを有する。
【0120】
複数の孔部31x及び枠状部32xは、例えば上述の実施形態1と同様の構成を有する。溝部31gは、例えば上述の実施形態1の変形例4の溝部31dと同様の構成を有する。
【0121】
複数の第1の凹部としての孔部31yは、封止樹脂34の厚さ方向に、半導体チップ21c,21dと重なる位置に配置されている。複数の孔部31yは、半導体チップ21c,21d上方の封止樹脂34の所定深さまで到達し、例えば円形、楕円形、または多角形等の断面形状を有する孔として形成されている。
【0122】
複数の孔部31yのそれぞれの孔径は例えば100μm以下であり、複数の孔部31yのそれぞれの深さと孔径とは例えば1:1とすることができる。また、隣接する孔部31y同士の間隔と孔径とは例えば1:1とすることができ、例えば孔径の2倍以下の狭ピッチを得ることができる。なお、加工可能な最小径および最小ピッチ、並びに加工可能な最大深さ等は、封止樹脂34の材質、レーザ光の波長、及びレーザ光を照射する装置の型式等によって異なる。
【0123】
第2の凹部としての溝部31hは、例えば半導体チップ21c,21dを囲む枠状に配置され、封止樹脂34を貫通してプリント基板14の面11yに露出した貫通ビア12tに到達する貫通溝として構成されている。溝部31hの幅は例えば50μm以下であり、溝部31hの深さと幅とは例えば1:1とすることができる。なお、加工可能な最小溝幅および最大深さ等は、封止樹脂34の材質、レーザ光の波長、及びレーザ光を照射する装置の型式等によって異なる。
【0124】
凹部としての枠状部32yは、半導体チップ23の周囲を取り囲む枠状に構成され、封止樹脂34を貫通してプリント基板14の面11yに露出した接地用端子12gに到達している。枠状部32yの1辺の溝幅は例えば50μm以下であり、枠状部32yの深さと幅とは例えば1:1とすることができる。なお、加工可能な最小溝幅および最大深さ等は、封止樹脂34の材質、レーザ光の波長、及びレーザ光を照射する装置の型式等によって異なる。
【0125】
第1のめっき層としてのめっき層44x,44yは、例えば銅めっき等により形成された銅薄層等であり、孔部31x,31y、溝部31g,31h、及び枠状部32x,32yを含む封止樹脂34の面34x,34yの一部をそれぞれ覆っている。めっき層44x,44yの厚さは、例えばそれぞれ3μm以上10μm以下である。
【0126】
めっき層44xは、封止樹脂34の面34xを介して孔部31x、溝部31g、及び枠状部32xを連続的に覆い、溝部31gの底面で貫通ビア12tと、枠状部32xの底面で接地用端子12gと接続される。
【0127】
めっき層44yは、封止樹脂34の面34yを介して孔部31y、溝部31h、及び枠状部32yを連続的に覆い、溝部31hの底面で貫通ビア12tと、枠状部32yの底面で接地用端子12gと接続される。
【0128】
これにより、半導体装置2は、主に封止樹脂34の複数の孔部31x、溝部31g、枠状部32x、及びめっき層44xにより一体に構成されたヒートシンク/電磁シールド54xを有することとなる。ヒートシンク/電磁シールド54xにおいて、主に複数の孔部31x、溝部31g、及びめっき層44xによりヒートシンクとしての機能が発揮される。また、主に枠状部32x及びめっき層44xにより電磁シールドとしての機能が発揮される。
【0129】
またこれにより、半導体装置2は、主に封止樹脂34の複数の孔部31y、溝部31h、枠状部32y、及びめっき層44yにより一体に構成されたヒートシンク/電磁シールド54yを有することとなる。ヒートシンク/電磁シールド54yにおいて、主に複数の孔部31y、溝部31h、及びめっき層44yによりヒートシンクとしての機能が発揮される。また、主に枠状部32y及びめっき層44yにより電磁シールドとしての機能が発揮される。
【0130】
半導体装置2では、封止樹脂34から突出する図示しないソケット等を介して、プリント基板14がホストコンピュータ側のマザーボード等に接続される。または、プリント基板14の一部が封止樹脂34から露出していることで、ボールグリッド、その他の構成を介して、プリント基板14がホストコンピュータ側のマザーボード等に接続されるように構成されていてもよい。
【0131】
このような半導体装置2は、上述の実施形態1の
図2において、プリント基板14の両面を覆う封止樹脂34を形成し、
図3及び
図4の処理を封止樹脂34の両面に対して繰り返すことで製造可能である。
【0132】
このとき、
図3の処理では、半導体チップ21a,21b,22上方の封止樹脂34の面34xの連続的な領域、及び半導体チップ21c,21d,23上方の封止樹脂34の面34yの連続的な領域へレーザ光を照射する。
【0133】
これとともに、半導体チップ21a,21bの周囲を取り囲み、プリント基板14の面11xに露出した貫通ビア12t上面に到達する溝部31gを形成し、半導体チップ21c,21dの周囲を取り囲み、プリント基板14の面11yに露出した貫通ビア12t上面に到達する溝部31hを形成する。
【0134】
実施形態2の半導体装置2によれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0135】
実施形態2の半導体装置2によれば、プリント基板14の両面に、それぞれめっき層44x,44yで覆われた孔部31x,31y、溝部31g,31h、及び枠状部32x,32yを有する封止樹脂34を備える。このように、プリント基板14の両面に半導体チップ21a~21d,22,23が実装された半導体パッケージにも、微細なヒートシンク及び電磁シールドを一括で形成する構成が適用可能である。
【0136】
なお、プリント基板の両面に半導体チップを搭載する上記構成において、封止樹脂が有する凹凸構造および凹凸構造を覆うめっき層の構成は上述の
図11の構成に限られない。封止樹脂は、上述の実施形態1及び変形例1~6のいずれの凹凸構造を有していてもよく、凹凸構造を覆うめっき層も、上述の実施形態1及び変形例1~6のいずれの構成を有していてもよい。プリント基板の両面における封止樹脂の凹凸構造およびめっき層の構成が互いに異なっていてもよい。
【0137】
[実施形態3]
以下、図面を参照して実施形態3について詳細に説明する。実施形態3の半導体装置は、めっき層が複数積層されている点が上述の実施形態1とは異なる。
【0138】
(半導体装置の構成例)
図12は、実施形態3にかかる半導体装置3の構成の一例を示す図である。
図12の上図は半導体装置3の上面図であり、下図は半導体装置3の断面図である。
【0139】
図12に示すように、実施形態3の半導体装置3は、プリント基板10、半導体チップ21a,21b,22、封止樹脂30、及びめっき層40a,40b,45a,45bを備え、封止樹脂30の上面にヒートシンク51i及び電磁シールド52iを有する半導体パッケージとして構成されている。
【0140】
プリント基板10、半導体チップ21a,21b,22、封止樹脂30、及びめっき層40a,40bは、上述の実施形態1と同様の構成を備える。
【0141】
第2のめっき層としてのめっき層45a,45bは、めっき層40a,40bの一部または全体を覆う。このとき、封止樹脂30が有する孔部31及び枠状部32の内部が、めっき層45a,45bによって所定高さまで、あるいは完全に充填されていてもよい。めっき層45a,45bは、例えば銅、ニッケル、パラジウム、スズ、または金等による電解めっきによって形成されためっき層である。めっき層45a,45bの厚さは例えばそれぞれ10μm以上であってよい。
【0142】
(半導体装置の製造方法)
次に、引き続き
図12を用いて、実施形態3の半導体装置3の製造方法について説明する。
【0143】
半導体装置3は、上述の実施形態1の
図2~
図4までの処理を行った後に、めっき層45a,45bを形成することで製造することが可能である。すなわち、めっき層40a,40bを電力供給源となるシード層として電解めっきを行って、銅、ニッケル、パラジウム、スズ、または金等から構成されるめっき層45a,45bを形成する。
【0144】
めっき層45a,45bの厚さは、電解めっきによる処理時間を調整することで適宜調整される。電解めっきの処理時間を長くすることで、より厚くめっき層45a,45bを形成することが可能であり、また、孔部31及び枠状部32の内部へのめっき層45a,45bの充填量を調整することが可能である。
【0145】
実施形態3の半導体装置3によれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0146】
実施形態3の半導体装置3によれば、めっき層40a,40bの一部または全部を覆い、孔部31及び枠状部32内に充填されるめっき層45a,45bを備える。無電解めっきにより形成されるめっき層40a,40bは例えば10μmを超える厚さに形成することが困難な場合がある。半導体装置3の構成上、より厚いめっき層が必要な場合には、めっき層40a,40b上に電解めっきを施すことで、より厚いめっき層40a,45a、及びめっき層40b,45bの積層構造を得ることができる。
【0147】
なお、めっき層が複数積層された上記構成において、封止樹脂が有する凹凸構造および凹凸構造を覆うめっき層の構成は上述の
図12の構成に限られない。封止樹脂は、上述の実施形態1及び変形例1~6のいずれの凹凸構造を有していてもよく、凹凸構造を覆うめっき層も、上述の実施形態1及び変形例1~6のいずれの構成を有していてもよい。封止樹脂は、プリント基板の両面を覆い、めっき層に覆われた凹凸構造を両面に有する実施形態2の構成を備えていてもよい。
【0148】
(変形例)
次に、
図13及び
図14を用いて、実施形態3の変形例の半導体装置3aについて説明する。変形例の半導体装置3aは、めっき層40a,40b上の一方にのみめっき層45bを有する点が上述の実施形態3とは異なる。
【0149】
半導体装置3aの構成上、ヒートシンクまたは電磁シールドの一方にのみ、より厚いめっき層が必要となる場合もあり得る。例えば
図13及び
図14の処理を行うことで、このような構成の半導体装置3aを製造することが可能である。
【0150】
図13及び
図14は、実施形態3の変形例にかかる半導体装置3aの製造方法の手順の一例を示す図である。
図13及び
図14の左図は半導体装置3aの断面図であり、右図は半導体装置3aの上面図である。
図13及び
図14は、電磁シールド52jに厚膜のめっき層40b,45bを形成する場合の例である。
【0151】
図13に示すように、上述の実施形態1の
図2~
図4の処理の終了後、レジスト材等を用い、めっき層40aを覆うマスク層60を形成する。
【0152】
図14に示すように、封止樹脂30に対して電解めっきを実施する。このとき、めっき層40aがマスク層60に覆われているため、めっき層40b上にのみ、めっき層40bをシード層とする電解めっきが施され、銅、ニッケル、パラジウム、スズ、または金等から構成されるめっき層45bが形成される。その後、マスク層60をアッシング処理等により除去する。
【0153】
以上により、変形例の半導体装置3aが製造される。
【0154】
変形例の半導体装置3aは、主に封止樹脂30の複数の孔部31及びめっき層40aにより構成されるヒートシンク51を備える。また、変形例の半導体装置3aは、主に封止樹脂30の枠状部32及びめっき層40b,45bにより構成される電磁シールド52jを備える。
【0155】
変形例の半導体装置3aによれば、上述の実施形態1の半導体装置1と同様の効果を奏する。
【0156】
変形例の半導体装置3aによれば、一方の電磁シールド52jにのみめっき層40b,45bの積層構造を有する。このように、所望の構成に所望の厚さのめっき層を形成することができる。
【0157】
なお、
図14の処理の後に、めっき層45b上をマスク層で覆って電解めっきを施すことにより、銅、ニッケル、パラジウム、スズ、または金等のうち、めっき層45bとは異なる材料から構成されるめっき層をめっき層40a上に更に形成してもよい。これにより、互いに異なる材料から構成されるめっき層を有するヒートシンク及び電磁シールドを形成することができる。
【0158】
[付記]
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0159】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
半導体素子を有する半導体チップと、
プリント基板と、
所定の厚さで前記半導体チップを覆うとともに、前記プリント基板と対向する面に凹部を有し、前記プリント基板上に前記半導体チップを封止する封止樹脂と、
前記凹部を含む前記封止樹脂の前記面の少なくとも一部を覆う第1のめっき層と、を備える、
半導体装置が提供される。
【0160】
(付記2)
上述の半導体装置において、
前記半導体チップは、
第1の半導体チップと第3の半導体チップとを含み、
前記封止樹脂は、
所定厚さで前記第1の半導体チップを覆って前記プリント基板の第1の面上に前記第1の半導体チップを封止するとともに、所定厚さで前記第3の半導体チップを覆って前記プリント基板の前記第1の面とは反対側の第2の面上に前記第3の半導体チップを封止し、
前記凹部は、
前記封止樹脂の前記プリント基板の前記第1の面に対向する第3の面と、前記封止樹脂の前記プリント基板の前記第2の面に対向する第4の面とにそれぞれ配置され、
前記第1のめっき層は、
前記凹部を含む前記封止樹脂の前記第3及び第4の面の少なくとも一部を覆う。
【0161】
(付記3)
上述の半導体装置において、
前記封止樹脂は有機金属化合物を含む。
【0162】
(付記4)
本発明の他の態様によれば、
半導体素子を有する半導体チップをプリント基板上に配置し、
所定の厚さで前記半導体チップを覆って前記プリント基板上に前記半導体チップを封止する封止樹脂を形成し、
前記封止樹脂の前記プリント基板と対向する面にレーザ光を照射して、前記封止樹脂の前記面を活性化するとともに、前記封止樹脂の前記面に凹部を形成し、
前記凹部を含む前記封止樹脂の活性化された前記面に、無電解めっきによりめっき層を形成する、
半導体装置の製造方法が提供される。
【0163】
(付記5)
上述の半導体装置の製造方法において、
前記凹部は複数の第1の凹部を含み、
前記凹部を形成するときは、
前記封止樹脂の厚さ方向に前記半導体チップと重なる位置に前記複数の第1の凹部を形成する。
【0164】
(付記6)
上述の半導体装置の製造方法において、
前記めっき層の少なくとも一部を覆い、前記複数の第1の凹部内に充填される第2のめっき層を電解めっきにより形成する。
【0165】
(付記7)
上述の半導体装置の製造方法において、
前記半導体チップは第1の半導体チップと第2の半導体チップとを含み、
前記半導体チップを前記プリント基板上に配置するときは、
前記第1の半導体チップと前記第2の半導体チップとを前記プリント基板上に配置し、
前記凹部は複数の第1の凹部を含み、
前記凹部を形成するときは、
前記封止樹脂の厚さ方向に前記第1の半導体チップと重なるように前記複数の第1の凹部を形成し、前記第2の半導体チップの周囲を取り囲むように前記枠状部を形成する。
【0166】
(付記8)
上述の半導体装置の製造方法において、
前記半導体チップを前記プリント基板上に配置するときは、
接地用端子を備える前記プリント基板上の前記接地用端子が露出した部分の近傍に前記半導体チップを配置し、
前記凹部は枠状部を含み、
前記凹部を形成するときは、
前記半導体チップの周囲を取り囲み、前記接地用端子の上面に到達するように前記枠状部を形成し、
前記めっき層を形成するときは、
前記枠状部の側面から連続的に前記接地用端子の上面をも前記めっき層で覆い、前記めっき層を前記接地用端子と接続させる。
【0167】
(付記9)
上述の半導体装置の製造方法において、
前記めっき層を形成するときは、
前記封止樹脂の前記面を介して前記枠状部と前記複数の第1の凹部とを連続的に覆う前記めっき層を形成する。
【0168】
(付記10)
上述の半導体装置の製造方法において、
前記めっき層の少なくとも一部を覆い、前記枠状部内に充填される第2のめっき層を電解めっきにより形成する。
【符号の説明】
【0169】
1,1a~1f,2,3,3a…半導体装置
10,10d,14…プリント基板
12…端子
12g…接地用端子
12t…貫通ビア
21a~21d,22,23…半導体チップ
30,30a~30f,34…封止樹脂
31,31b,31e…孔部
31d,31f~31h…溝部
32,32x,32y…枠状部
40a,40b,41a~41f、44x,44y,45a,45b…めっき層
51,51i…ヒートシンク
52,52i,52j…電磁シールド
53a~53f,54x,54y…ヒートシンク/電磁シールド