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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022190494
(43)【公開日】2022-12-26
(54)【発明の名称】洗車装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021098845
(22)【出願日】2021-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽原 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】星 賢児
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正明
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA03
3D026AA12
3D026AA13
3D026AA25
3D026AA34
3D026AA40
3D026AA74
3D026AA76
3D026AA78
(57)【要約】
【課題】洗車場に来場した自動運転車両が洗車位置の外へ円滑に出庫することを可能とする。
【解決手段】洗車装置は、洗車位置34に位置している車両を洗車する洗車装置本体12と、車載通信部および自動運転部を備えた自動運転車両と通信を行う通信部と、少なくとも、洗車位置34に位置している第1の自動運転車両84への洗車工程が終了し、第1の自動運転車両84が洗車位置34の外へ出庫可能になったことに相当する第1の条件を満たした場合に、第1の自動運転車両84の自動運転部により第1の自動運転車84を洗車位置34の外へ出庫させる出庫指示を第1の自動運転車両84へ送信する制御部と、を含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車位置に位置している車両を洗車する洗車装置本体と、
車載通信部および自動運転部を備えた自動運転車両と通信を行う通信部と、
少なくとも、前記洗車位置に位置している第1の自動運転車両への洗車工程が終了し、前記第1の自動運転車両が前記洗車位置の外へ出庫可能になったことに相当する第1の条件を満たした場合に、前記第1の自動運転車両の前記自動運転部により前記第1の自動運転車両を前記洗車位置の外へ出庫させる出庫指示を前記第1の自動運転車両へ送信する制御部と、
を含む洗車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は洗車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗車場の利用客が洗車場に出向かなくとも、洗車場の混雑状態を知ることができるようにする洗車場システムが記載されている。すなわち、撮影手段は、各地に存在する洗車場の状況を撮影し、画像解析手段は、撮影した画像を解析して洗車場内にいる車両の台数を把握し、制御手段は、車両数に変化がある都度車両数データを管理センタに送信する。管理センタは、洗車場毎の車両数データをインターネット上に公開すると共に、車両数データが送信されてくる度に公開データを自動的に更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-122840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、洗車場に来場した車両が自動運転車両である場合に、どのような状況になったら前記自動運転車両が洗車機に入庫、出庫するのかについて記載されていない。このため、特許文献1に記載の技術は、洗車場に来場した自動運転車両の洗車装置への円滑な入庫、出庫に関して改善の余地がある。
【0005】
本開示は上記事実を考慮して成されたもので、洗車場に来場した自動運転車両が洗車位置の外へ円滑に出庫することが可能な洗車装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る洗車装置は、洗車位置に位置している車両を洗車する洗車装置本体と、車載通信部および自動運転部を備えた自動運転車両と通信を行う通信部と、少なくとも、前記洗車位置に位置している第1の自動運転車両への洗車工程が終了し、前記第1の自動運転車両が前記洗車位置の外へ出庫可能になったことに相当する第1の条件を満たした場合に、前記第1の自動運転車両の前記自動運転部により前記第1の自動運転車両を前記洗車位置の外へ出庫させる出庫指示を前記第1の自動運転車両へ送信する制御部と、を含んでいる。
【0007】
第1の態様では、少なくとも、洗車位置に位置している第1の自動運転車両への洗車工程が終了し、第1の自動運転車両が洗車位置の外へ出庫可能になったことに相当する第1の条件を満たした場合に、第1の自動運転車両へ出庫指示を送信する。これにより、第1の自動運転車両の自動運転部により第1の自動運転車両が洗車位置の外へ出庫される。従って、第1の態様によれば、洗車場に来場した自動運転車両が洗車位置の外へ円滑に出庫することが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、洗車場に来場した自動運転車両が洗車位置の外へ円滑に出庫することが可能になる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る洗車装置および車載システムの概略構成を各々示すブロック図である。
図2】洗車装置が設置された洗車場の斜視図である。
図3】入庫位置、洗車位置および出庫位置を示す平面図である。
図4】洗車装置制御部の機能ブロック図である。
図5】第1実施形態に係る入出庫制御処理を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態における車両移動の推移の一例を示す概略図である。
図7】第2実施形態に係る洗車装置および車載システムの概略構成を各々示すブロック図である。
図8】第2実施形態に係る入出庫制御処理を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態における車両移動の推移の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1には、洗車場に設置された洗車装置10および車載システム50が示されている。なお、車載システム50は、後述するように、自動運転部の一例である自動運転ECU72を含んでおり、車載システム50が搭載された車両は、本開示における自動運転車両として機能する。以下では、自動運転車両を単に「車両」と称する。
【0012】
洗車装置10は、洗車装置本体12、洗車装置制御部14、通信部26および車両検知部28を含んでおり、洗車装置本体12、洗車装置制御部14、通信部26および車両検知部28は内部バス30を介して相互に通信可能に接続されている。
【0013】
図2に示すように、洗車装置本体12は、正面視において門型とされており、床面に敷設された一対のレール32に案内され、第1位置36(図3参照)と第2位置38(図3参照)との間をレール32に沿って往復移動可能とされている。洗車装置本体12は、車両の外面の互いに異なる部位をブラッシングする複数種のブラシを含むブラシ装置と、空気を噴出して車両の車体表面を乾燥させる乾燥装置と、車体に水などを噴霧するスプレー装置と、が設けられている。
【0014】
また、一対のレール32の間は、洗車対象の車両が停車するための洗車位置34とされており、洗車装置本体12は、洗車工程と移動工程とを含む洗車処理を行う。洗車工程は、洗車位置34を挟むように設定された第1位置36と第2位置38との間を洗車装置本体12が移動しながら、洗車位置34に停車している車両を洗車する工程である。洗車装置本体12は、洗車工程の開始から終了までの間に、第1位置36と第2位置38との間を、例えば一往復半だけ移動する。移動工程は、洗車工程の終了後に、洗車装置本体12が第2位置38から第1位置36へ移動する工程である。
【0015】
図3に示すように、洗車位置34よりも車両後側(入庫側)は、洗車位置34への入庫を待機している車両が停車するための入庫位置40とされている。また、洗車位置34よりも車両前側(出庫側)は、洗車位置34から出庫した車両が停車または通過する出庫位置42とされている。車両検知部28は、入庫位置40、洗車位置34および出庫位置42の各位置について、車両が存在するか否かを検知する。なお、車両検知部28による車両の検知には、例えば、カメラ、レーダなどを適用することができる。車両検知部28は第1の車両検知部および第2の車両検知部の一例である。
【0016】
洗車装置制御部14は、CPU(Central Processing Unit)16と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリ18と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部20を含んでいる。
【0017】
記憶部20は入出庫制御プログラム24が記憶されている。洗車装置制御部14は、入出庫制御プログラム24が記憶部20から読み出されてメモリ18に展開され、メモリ18に展開された入出庫制御プログラム24がCPU16によって実行されることで、図4に示す制御部46として機能する。制御部46は、洗車装置本体12の動作を制御すると共に、通信部26を経由して車載システム50と通信を行うことが可能とされている。
【0018】
次に車載システム50について説明する。なお、図1は車載システム50の一部のみ示している。また、以下では車載システム50が搭載された車両を、必要に応じて自車両と称する。
【0019】
車載システム50はシステムバス52を含み、システムバス52は、周辺状況取得デバイス群54、車両走行状態検出センサ群64、自車両の自動運転を行う自動運転ECU72およびユーザインタフェース部74が各々接続されている。周辺状況取得デバイス群54は、自車両の周囲環境がどのような状況かを表す情報を取得するデバイスとして、例えば、GPS(Global Positioning System)装置56、車載通信機58、レーダ装置60及びカメラ62などを含んでいる。
【0020】
GPS装置56は、複数のGPS衛星からGPS信号を受信して自車両の位置を測位する。車載通信機58は、他の車両との間の車車間通信及び路側機との間の路車間通信の少なくとも一方を行う通信装置である。車載システム50は、車載通信機58を経由して洗車装置10と通信を行うことが可能とされている。なお、車載通信機58は本開示における車載通信部の一例である。
【0021】
レーダ装置60は、自車両の周囲に存在する歩行者、他車両等の物体を検出し、検出した物体と自車両の相対位置及び相対速度を取得する。また、レーダ装置60は、直近の複数回の探知結果に含まれる個々の物体との相対位置、相対速度の変化等に基づき、ノイズ、ガードレール等の路側物等を監視対象から除外し、歩行者、他車両等の特定物体を監視対象物体として追従監視する。そしてレーダ装置60は、個々の監視対象物体との相対位置、相対速度等の情報を出力する。カメラ62は、自車両の周囲を複数のカメラで撮影し、撮影した画像を出力する。
【0022】
また、車両走行状態検出センサ群64は、自車両の走行状態を取得する複数のセンサとして、自車両の操舵角を検出する舵角センサ66、自車両の走行速度を検出する車速センサ68および自車両に加わる加速度を検出する加速度センサ70を含んでいる。
【0023】
自動運転ECU72は、自車両のスロットル開度を変更するスロットルACT(actuator)76、自車両の制動装置が発生する制動力を変更するブレーキACT78、および、自車両の操舵装置による操舵量を変更する操舵ACT80が接続されている。自動運転ECU72は、自車両の運転モードとして自動運転モードが選択されている場合に、自車両の乗員による運転操作を伴わずに、自車両を自動的に走行させる自動運転処理を行う。自動運転処理は、周辺状況取得デバイス群54及び車両走行状態検出センサ群64から得られる情報に基づいて自車両及びその周辺の状況を判断し、スロットルACT76、ブレーキACT78及び操舵ACT80を制御する処理である。
【0024】
ユーザインタフェース部74は、自車両のインストルメントパネルなどに設けられた各種のスイッチおよびディスプレイを含んでいる。ユーザインタフェース部74は、ユーザ(自車両の乗員)が、ユーザが所持しているスマートフォンなどの携帯端末と連携することで、携帯端末を洗車装置10の操作部として機能させることが可能とされている。
【0025】
次に第1実施形態の作用として、図5を参照し、第1実施形態に係る入出庫制御処理を説明する。ステップ100において、制御部46は、洗車装置10への入庫を待機している車両が入庫位置40に位置しているか否か判定する。ステップ100の判定が否定された場合は、判定が肯定される迄、ステップ100を繰り返す。入庫位置40に車両が進入すると、ステップ100の判定が肯定されてステップ102へ移行する。
【0026】
ステップ102において、制御部46は、洗車位置34に車両が存在しているか否か判定する。なお、ステップ102は第2の条件の一例である。ステップ102の判定が肯定された場合はステップ104へ移行する。ステップ104において、制御部46は、入庫位置40に位置している車両に対して入庫禁止指示を送信する。これにより、入庫位置40に位置している車両の自動運転ECU72が、入庫位置40に位置している自車両を洗車位置34へ入庫させる自動運転を行うことが禁止される。
【0027】
また、洗車位置34から車両が出庫すると、ステップ102の判定が否定されてステップ106へ移行する。ステップ106において、制御部46は、入庫位置40に位置している車両に対して入庫指示を送信する。これにより、入庫位置40に位置している車両の自動運転ECU72は、入庫位置40に位置している自車両を洗車位置34へ入庫させる自動運転を行う。
【0028】
次のステップ108において、制御部46は、入庫位置40に位置していた車両の洗車位置34への入庫が完了したか否か判定する。ステップ108の判定が否定された場合は、判定が肯定される迄、ステップ108を繰り返す。そして、洗車位置34への車両の入庫が完了すると、ステップ108の判定が肯定されて、ステップ110へ移行する。
【0029】
ステップ110において、制御部46は、洗車装置本体12による洗車処理を開始させる。ステップ112において、制御部46は、洗車装置本体12による洗車処理のうち洗車工程が終了したか否か判定する。ステップ112の判定が否定された場合は、判定が肯定される迄、ステップ112を繰り返す。洗車装置本体12が、洗車工程の開始から終了までの間に、第1位置36と第2位置38との間を、例えば一往復半だけ移動し、第2位置38に到達すると、ステップ112の判定が肯定されてステップ114へ移行する。
【0030】
ステップ114において、制御部46は、出庫位置42に車両が存在しているか否か判定する。ステップ114の判定が肯定された場合はステップ116へ移行する。なお、ステップ114は第1の条件の一例である。ステップ116において、制御部46は、洗車位置34に位置している車両に対して出庫禁止指示を送信する。これにより、洗車位置34に位置している車両の自動運転ECU72が、洗車位置34に位置している自車両を出庫位置42へ出庫させる自動運転を行うことが禁止される。
【0031】
また、出庫位置42に車両が存在しない場合、或いは、出庫位置42に位置していた車両が出庫位置42から退去した場合には、ステップ114の判定が否定されてステップ118へ移行する。ステップ118において、制御部46は、洗車位置34に位置している車両に対して出庫指示を送信する。これにより、洗車位置34に位置している車両の自動運転ECU72は、洗車位置34に位置している自車両を出庫位置42へ出庫させる自動運転を行う。
【0032】
上述の第1実施形態に係る入出庫制御処理について、図6を参照してさらに説明する。図6(A)には、洗車位置34に位置している第1の車両84に対する洗車装置本体12の洗車工程が終了し、出庫位置42に第3の車両88が存在し、入庫位置40に第2の車両86が存在している状態が示されている。洗車装置本体12は、洗車工程が終了した時点では第2位置38に位置しており、第2位置38から第1位置36へ移動する移動工程が開始される。
【0033】
この状態から、第3の車両88が出庫位置42から退去すると、ステップ114の判定が否定され、図6(B)に示すように、洗車位置34に位置している第1の車両84に対して出庫指示が送信される(ステップ118)。これにより、第1の車両84は洗車位置34から出庫位置42へ自動運転による移動を開始する。
【0034】
図6(C)に示すように、第1の車両84が自動運転により出庫位置42へ移動すると、ステップ102の判定が否定され、入庫位置40に位置している第2の車両86に対して入庫指示が送信される(ステップ106)。これにより、第2の車両86は入庫位置40から洗車位置34へ自動運転による移動を開始する。そして、図6(D)に示すように、第2の車両86が自動運転により洗車位置34へ移動する。
【0035】
このように、第1実施形態では、洗車位置34に位置している第1の車両84への洗車工程が終了し、第1の車両84が洗車位置34の外へ出庫可能になったことに相当する第1の条件を満たした場合に、第1の車両84へ出庫指示を送信する。これにより、洗車場に来場して洗車工程を終了した第1の車両84を円滑に出庫させることができる。
【0036】
また、第1実施形態では、洗車位置34に位置している第1の車両84への洗車工程が終了し、第1の車両84が洗車位置34の外へ出庫可能になったことに相当する第1の条件を満たさない場合に、第1の車両84へ出庫禁止指示を送信する。これにより、洗車場に来場して洗車工程を終了した第1の車両84を、出庫位置42に位置している第3の車両88と接触することを防止しつつ、円滑に出庫させることができる。
【0037】
また、第1実施形態では、洗車位置34に位置している第1の車両84への洗車工程が終了し、洗車位置34の外で洗車を待機している第2の車両86が洗車位置34へ入庫可能になったことに相当する第2の条件を満たした場合に、第2の車両86へ入庫指示を送信する。これにより、洗車場に来場した第2の車両86を洗車装置10へ円滑に入庫させることができる。
【0038】
さらに、第1実施形態では、洗車位置34に位置している第1の車両84への洗車工程が終了し、洗車位置34の外で洗車を待機している第2の車両86が洗車位置34へ入庫可能になったことに相当する第2の条件を満たさない場合に、第2の車両86へ入庫禁止指示を送信する。これにより、洗車場に来場した第2の車両86を、洗車位置34に位置している第1の車両84と接触することを防止しつつ、洗車装置10へ円滑に入庫させることができる。
【0039】
また、第1実施形態では、洗車位置34から車両が出庫する方向における第3の車両88の有無を検知する車両検知部28が設けられ、第1の条件は、第1の車両84が洗車位置34から出庫する方向に第3の車両88がいない、という条件である。これにより、洗車場に来場して洗車工程を終了した第1の車両84の出庫における安全性を向上させることができる。
【0040】
さらに、第1実施形態では、洗車位置34における第1の車両84の有無を検知する車両検知部28が設けられ、第2の条件は、洗車位置34に第1の車両84がいない、という条件である。これにより、洗車場に来場した第2の車両86の入庫における安全性を向上させることが可能となる。
【0041】
また、第1実施形態において、洗車装置本体12は、洗車位置34を挟むように設定された第1位置36と第2位置38との間を移動しながら洗車位置34に位置している車両を洗車する洗車工程と、当該洗車工程の終了後に第2位置38から第1位置36へ移動する移動工程と、を含む洗車処理を行う。そして制御部46は、移動工程の間に洗車位置34からの車両の出庫および洗車位置34への車両の入庫を行わせる。これにより、洗車装置本体12が第2位置38から第1位置36へ移動する移動工程と並行して、洗車位置34に位置している第1の車両84の出庫および入庫位置40に位置している第2の車両86の入庫が行われる。従って、洗車装置10による時間当たりの洗車台数を増大させることができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
次に本開示の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0043】
図7に示すように、第2実施形態に係る洗車装置10は、車両検知部28に代えて、レーダ装置から成る距離検知部82が設けられている。距離検知部82は、洗車場内の入庫位置40、洗車位置34および出庫位置42などに存在する各車両を検出し、検出した各車両との相対位置及び相対速度を各々取得すると共に、各車両間の距離を検知する。
【0044】
詳しくは、距離検知部82は、洗車位置34付近に存在している第1の車両84と、入庫位置40付近に存在している第2の車両86と、の距離L1(図9参照)を検知する。また、距離検知部82は、洗車位置34付近に存在している第1の車両84と、出庫位置42付近に存在している第3の車両88と、の距離L2(図9参照)を検知する。なお、距離検知部82は第1の距離検知部および第2の距離検知部の一例である。
【0045】
次に図8を参照し、第2実施形態に係る入出庫制御処理を説明する。なお、第2実施形態に係る入出庫制御処理は、洗車場内に存在する個々の車両に対して各々並列に実行される。
【0046】
ステップ130において、制御部46は、洗車装置10への入庫を待機している車両が入庫位置40に存在しているか否か判定する。ステップ130の判定が否定された場合は、判定が肯定される迄、ステップ130を繰り返す。入庫位置40に車両が進入すると、ステップ130の判定が肯定されてステップ132へ移行する。
【0047】
ステップ132において、制御部46は、洗車位置34に車両が存在しているか否か判定する。ステップ132の判定が否定された場合はステップ138へ移行する。また、ステップ132の判定が肯定された場合はステップ134へ移行する。ステップ134において、制御部46は、入庫位置40に位置している車両と、当該車両よりも洗車位置34側に存在する車両と、の距離L1が所定値L未満か否か判定する。なお、ステップ134は第2の条件の一例であり、所定値Lとしては入庫位置40と洗車位置34との距離以上の値が設定される。
【0048】
ステップ134の判定が肯定された場合はステップ136へ移行し、ステップ136において、制御部46は、入庫位置40に位置している車両に対して入庫禁止指示を送信する。これにより、入庫位置40に位置している車両の自動運転ECU72が、入庫位置40に位置している自車両を洗車位置34へ入庫させる自動運転を行うことが禁止される。
【0049】
また、洗車位置34に位置している車両が出庫位置42への移動を開始し、距離L1が所定値L以上になると、ステップ134の判定が否定されてステップ138へ移行する。ステップ138において、制御部46は、入庫位置40に位置している車両に対して入庫指示を送信する。これにより、入庫位置40に位置している車両の自動運転ECU72は、距離L1が所定値L以上を保ったまま、入庫位置40に位置している自車両を洗車位置34へ入庫させる自動運転を行う。
【0050】
洗車位置34への車両の入庫が完了すると、ステップ140において、制御部46は、洗車装置本体12による洗車処理を開始させる。ステップ142において、制御部46は、洗車装置本体12による洗車処理のうち洗車工程が終了したか否か判定する。ステップ142の判定が否定された場合は、判定が肯定される迄、ステップ142を繰り返す。洗車装置本体12が、洗車工程の開始から終了までの間に、第1位置36と第2位置38との間を、例えば一往復半だけ移動し、第2位置38に到達すると、ステップ142の判定が肯定されてステップ144へ移行する。
【0051】
ステップ144において、制御部46は、出庫位置42に車両が存在しているか否か判定する。ステップ144の判定が否定された場合はステップ150へ移行する。また、ステップ144の判定が肯定された場合はステップ146へ移行する。ステップ146において、制御部46は、洗車位置34に位置している車両と、当該車両よりも出庫位置42側に存在する車両と、の距離L2が所定値L未満か否か判定する。なお、ステップ146は第1の条件の一例であり、所定値Lとしては洗車位置34と出庫位置42の距離以上の値が設定される。
【0052】
ステップ146の判定が肯定された場合はステップ148へ移行し、ステップ148において、制御部46は、洗車位置34に位置している車両に対して出庫禁止指示を送信する。これにより、洗車位置34に位置している車両の自動運転ECU72が、洗車位置34に位置している自車両を出庫位置42へ出庫させる自動運転を行うことが禁止される。
【0053】
また、出庫位置42に位置していた車両が退去方向への移動を開始し、距離L2が所定値L以上になると、ステップ146の判定が否定されてステップ150へ移行する。ステップ150において、制御部46は、洗車位置34に位置している車両に対して出庫指示を送信する。これにより、洗車位置34に位置していた車両の自動運転ECU72は、距離L2が所定値L以上を保ったまま、洗車位置34に位置している自車両を出庫位置42へ出庫させる自動運転を行う。
【0054】
上述の第2実施形態に係る入出庫制御処理について、図9を参照してさらに説明する。図9(A)には、洗車位置34に位置している第1の車両84に対する洗車装置本体12の洗車工程が終了し、出庫位置42に第3の車両88が存在し、入庫位置40に第2の車両86が存在している状態が示されている。洗車装置本体12は、洗車工程が終了した時点では第2位置38に位置しており、第2位置38から第1位置36へ移動する移動工程が開始される。
【0055】
この状態から、第3の車両88が出庫位置42から退去方向に移動を開始し、第3の車両88と第1の車両84との距離L2が所定値L以上になると、第1の車両84に対する入出庫制御処理のステップ146の判定が否定される。そして、洗車位置34に位置している第1の車両84に対して出庫指示が送信される(ステップ150)。これにより、第1の車両84は、第3の車両88に対して距離L2が所定値L以上を保ったまま、洗車位置34から出庫位置42へ自動運転による移動を開始する。
【0056】
また、上記の第1の車両84の移動に伴い、第1の車両84と第2の車両86との距離L1が所定値L以上になると、第2の車両86に対する入出庫制御処理のステップ134の判定が否定される。そして、入庫位置40に位置している第2の車両86に対して入庫指示が送信される(ステップ138)。これにより、第2の車両86も、第1の車両84に対して距離L1が所定値L以上を保ったまま、入庫位置40から洗車位置34へ自動運転による移動を開始する。
【0057】
このように、第2実施形態では、第3の車両88、第1の車両84および第2の車両86の自動運転による移動が並列に行われる。そして、図9(B)、(C)に示す状態を経て、図9(D)に示すように、第1の車両84が出庫位置42へ移動すると共に、第2の車両86が洗車位置34へ移動する。
【0058】
以上説明したように、第2実施形態では、洗車位置34に位置している第1の車両84と、第1の車両84が洗車位置34から出庫する方向に存在する第3の車両88と、の距離を検知する距離検知部82が設けられている。そして、第1の条件は、第1の車両84と、第1の車両84が洗車位置34から出庫する方向に存在する第3の車両88と、の距離L2が所定値L以上、という条件である。これにより、洗車装置10による時間当たりの洗車台数を増大させることができる。
【0059】
また、第2実施形態では、第2の車両86と、洗車位置34から出庫する第1の車両84と、の距離を検知する距離検知部82が設けられている。そして、第2の条件は、第2の車両86と、洗車位置34から出庫する第1の車両84と、の距離L1が所定値L以上、という条件である。これにより、洗車装置10による時間当たりの洗車台数を増大させることができる。
【0060】
なお、上記では、洗車位置34に位置している第1の車両84への洗車工程が終了し、第1の条件を満たした場合に、第1の車両84へ出庫指示を送信する態様を説明した。また、洗車位置34に位置している第1の車両84への洗車工程が終了し、第2の条件を満たした場合に、洗車位置34の外で洗車を待機している第2の車両86へ入庫指示を送信する態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0061】
例えば、洗車位置34に位置している第1の車両84への洗車工程が終了し、さらに第1の車両84への洗車処理が終了した後に、第1の条件を満たした場合に、第1の車両84へ出庫指示を送信するようにしてもよい。また、例えば、洗車位置34に位置している第1の車両84への洗車工程が終了し、さらに第1の車両84への洗車処理が終了した後に、第2の条件を満たした場合に、洗車位置34の外で洗車を待機している第2の車両86へ入庫指示を送信するようにしてもよい。
【0062】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0063】
(付記1)
洗車位置に位置している車両を洗車する洗車装置本体と、
車載通信部および自動運転部を備えた自動運転車両と通信を行う通信部と、
少なくとも、前記洗車位置に位置している車両への洗車工程が終了し、前記洗車位置の外で洗車を待機している第2の自動運転車両が前記洗車位置へ入庫可能になったことに相当する第2の条件を満たした場合に、前記第2の自動運転車両の前記自動運転部により前記第2の自動運転車両を前記洗車位置へ入庫させる入庫指示を前記第2の自動運転車両へ送信する制御部と、
を含む洗車装置。
付記1の態様によれば、洗車場に来場した自動運転車両を洗車位置へ円滑に入庫させることが可能となる。
【0064】
(付記2)
洗車位置に位置している車両を洗車する洗車装置本体と、
車載通信部および自動運転部を備えた自動運転車両と通信を行う通信部と、
少なくとも、前記洗車位置に位置している第1の自動運転車両への洗車工程が終了し、前記第1の自動運転車両が前記洗車位置の外へ出庫可能になったことに相当する第1の条件を満たさない場合に、前記第1の自動運転車両の前記自動運転部により前記第1の自動運転車両を前記洗車位置の外へ出庫させることを禁止する出庫禁止指示を前記第1の自動運転車両へ送信する制御部と、
を含む洗車装置。
付記2の態様によれば、洗車場に来場した自動運転車両を洗車位置の外へ円滑に出庫させることが可能となる。
【0065】
(付記3)
洗車位置に位置している車両を洗車する洗車装置本体と、
車載通信部および自動運転部を備えた自動運転車両と通信を行う通信部と、
少なくとも、前記洗車位置に位置している車両への洗車工程が終了し、前記洗車位置の外で洗車を待機している第2の自動運転車両が前記洗車位置へ入庫可能になったことに相当する第2の条件を満たさない場合に、前記第2の自動運転車両の前記自動運転部により前記第2の自動運転車両を前記洗車位置へ入庫させることを禁止する入庫禁止指示を前記第2の自動運転車両へ送信する制御部と、
を含む洗車装置。
付記3の態様によれば、洗車場に来場した自動運転車両を洗車位置へ円滑に入庫させることが可能となる。
【0066】
(付記4)
前記洗車位置から車両が出庫する方向における車両の有無を検知する第1の車両検知部をさらに含み、
前記第1の条件は、前記第1の自動運転車両が前記洗車位置から出庫する方向に他車両がいない、という条件である請求項1または付記2記載の洗車装置。
付記4の態様によれば、洗車場に来場した自動運転車両の入出庫における安全性を向上させることが可能となる。
【0067】
(付記5)
前記洗車位置に位置している第1の自動運転車両と、前記第1の自動運転車両が前記洗車位置から出庫する方向に存在する他車両と、の距離を検知する第1の距離検知部をさらに含み、
前記第1の条件は、前記第1の自動運転車両と、前記第1の自動運転車両が前記洗車位置から出庫する方向に存在する他車両と、の距離が所定値以上、という条件である請求項1または付記2記載の洗車装置。
付記5の態様によれば、洗車装置による時間当たりの洗車台数を増大させることが可能となる。
【0068】
(付記6)
前記洗車位置における車両の有無を検知する第2の車両検知部をさらに含み、
前記第2の条件は、前記洗車位置に他車両がいない、という条件である付記1または付記3記載の洗車装置。
付記6の態様によれば、洗車場に来場した自動運転車両の入出庫における安全性を向上させることが可能となる。
【0069】
(付記7)
前記第2の自動運転車両と、前記洗車位置から出庫する他車両と、の距離を検知する第2の距離検知部をさらに含み、
前記第2の条件は、前記第2の自動運転車両と、前記洗車位置から出庫する他車両と、の距離が所定値以上、という条件である付記1または付記3記載の洗車装置。
付記7の態様によれば、洗車装置による時間当たりの洗車台数を増大させることが可能となる。
【0070】
(付記8)
前記洗車装置本体は、前記洗車位置を挟むように設定された第1位置と第2位置との間を移動しながら前記洗車位置に位置している車両を洗車する洗車工程と、当該洗車工程の終了後に前記第2位置から前記第1位置へ移動する移動工程と、を含む洗車処理を行い、
前記制御部は、前記移動工程の間に前記洗車位置からの車両の出庫および前記洗車位置への車両の入庫を行わせる請求項1、付記1~付記7の何れか1項記載の洗車装置。
付記8の態様によれば、洗車装置による時間当たりの洗車台数を増大させることが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
10 洗車装置
12 洗車装置本体
14 洗車装置制御部
26 通信部
28 車両検知部
34 洗車位置
36 第1位置
38 第2位置
40 入庫位置
42 出庫位置
46 制御部
50 車載システム
58 車載通信機
72 自動運転ECU
82 距離検知部
84 第1の車両(第1の自動運転車両)
86 第2の車両(第2の自動運転車両)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9